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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022114409
(43)【公開日】2022-08-05
(54)【発明の名称】化粧料用組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/55 20060101AFI20220729BHJP
   A61K 8/63 20060101ALI20220729BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20220729BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20220729BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20220729BHJP
   A61Q 1/12 20060101ALI20220729BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20220729BHJP
【FI】
A61K8/55
A61K8/63
A61K8/92
A61K8/34
A61K8/02
A61Q1/12
A61Q17/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021058806
(22)【出願日】2021-03-30
(31)【優先権主張番号】P 2021010320
(32)【優先日】2021-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】592042750
【氏名又は名称】株式会社アルビオン
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【弁理士】
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】森田 恭輔
(72)【発明者】
【氏名】秋元 航
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA112
4C083AB032
4C083AB172
4C083AB212
4C083AB242
4C083AB282
4C083AC012
4C083AC072
4C083AC102
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC302
4C083AC342
4C083AC352
4C083AC392
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC522
4C083AC532
4C083AC552
4C083AC582
4C083AC642
4C083AC792
4C083AC852
4C083AD042
4C083AD132
4C083AD152
4C083AD212
4C083AD222
4C083AD242
4C083AD262
4C083AD332
4C083AD352
4C083AD412
4C083AD491
4C083AD492
4C083AD571
4C083AD572
4C083AD602
4C083AD642
4C083AD662
4C083CC04
4C083CC07
4C083CC12
4C083CC19
4C083DD01
4C083DD31
4C083DD39
4C083EE01
4C083EE12
4C083FF04
(57)【要約】
【課題】リン脂質以外の界面活性剤に依らなくとも、固形状又はペースト状の油剤由来の成分が安定的に分散された透明又は半透明の液状化粧料用組成物を提供する。
【解決手段】主分散剤としてのリン脂質と、ステロールと、常温下かつ未分散の状態において固形状又はペースト状である油剤由来の成分と、多価アルコールと、水を含む、透明又は半透明である液状の化粧料用組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主分散剤としてのリン脂質と、
ステロールと、
常温下かつ未分散の状態において固形状又はペースト状である油剤由来の成分と、
多価アルコールと、
水を含む
透明又は半透明である液状の化粧料用組成物。
【請求項2】
透過率が65%以上である
請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記リン脂質はホスファチジルコリンの含有量が60質量%以上である
請求項1又は請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ステロールはコレステロールである
請求項1から請求項3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
前記コレステロールに対する前記リン脂質の配合比(リン脂質/コレステロール)が、2.0~5.5である
請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記ステロールはフィトステロールである
請求項1から請求項3のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
前記フィトステロールに対する前記リン脂質の配合比(リン脂質/フィトステロール)が、4~9である
請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
透明又は半透明である液状の化粧料用組成物の製造方法であって、
主分散剤としてのリン脂質、ステロール、固形状又はペースト状の油剤、多価アルコール、及び水を含む組成物を加温する加温工程と、
加温された前記組成物を加圧する加圧工程を含む、
前記油剤が分散された化粧料用組成物の製造方法。
【請求項9】
前記加温工程は、前記組成物を50~100℃まで加温する
請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記ステロールは、コレステロール及びフィトステロールから選ばれる1種又は2種である
請求項8又は請求項9に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料用組成物とその製造方法に関する。具体的に説明すると、本発明は、固形状又はペースト状の油剤を有効成分として含むにも関わらず、透明又は半透明の外観を有する液状の化粧料用組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、固形状又はペースト状の油剤を含有した水中油型乳化化粧料が知られている(特許文献1)。特許文献1に記載の化粧料のように、ペースト状又は固形状の油剤を用いることで、肌にハリ感(もっちり感)を付与することができる。ただし、このような油剤を化粧料中に分散させるためには、一般的にイオン性もしくは非イオン性の界面活性剤などを配合し、油剤を分散することが必要となる。
【0003】
また、リン脂質を含有する透明又は半透明の化粧料も提案されている(特許文献2)。リン脂質は、生体膜の構成成分として知られており、この文献では肌との親和性が良く効果実感に優れた成分であるとして着目されている。また、リン脂質は、生体膜の構成成分であるとともに、分散効果を持つことから、安全性の高い天然由来の界面活性剤として利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-016583号公報
【特許文献2】特開2011-136934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、化粧水などに代表される液状の化粧品では、浸透感に優れ、サラサラとした手触りでべたつかず、塗布後の肌が柔らかくなる等の効果実感が重要視されることから、粘度の低い液体状態が求められる。さらに、透明又は半透明な外観は化粧料としての清潔感を演出することができる。ここで、固形状又はペースト状の油剤を化粧料に配合することで、前述のように肌にハリ感を付与することができると期待されるが、このような油剤が少量でも含まれる場合、化粧料を液状に保ちつつ、透明度を高く維持することは困難である。また、油剤を化粧料中に安定的に分散させるために、リン脂質以外のイオン性界面活性剤及び/又は非イオン性界面活性剤等を添加することも考えられるが、界面活性剤は、皮膚表面の脂質の流失を招き、皮膚表層のバリアを壊して異物を浸透させることが懸念される。このため、リン脂質以外の界面活性剤を化粧料中に含有させると、固形状又はペースト状の油剤の効果実感が損なわれる恐れがある。また、界面活性剤は皮膚刺激もあり、人によっては痛いと感じるため、被分散物を透明に分散させるために界面活性剤を高配合することは安全性上も好ましくない。
【0006】
また、イオン性界面活性剤や非イオン性界面活性剤の代わりとしてリン脂質を利用することも考えられる。しかしながら、リン脂質の分散力は弱く、それ単独では有効量で含有されている固形状又はペースト状の油剤を透明に分散することは困難である。また、リン脂質を化粧水等の低粘度の化粧料に配合した場合、リン脂質自体が析出してしまうことが懸念されるため、その分散性を高めるためにノニオン性界面活性剤などをさらに添加する必要性が生じ得る。また、固形状又はペースト状の油剤とリン脂質を液状の化粧料に一時的に透明に分散できたとしても、環境条件によっては長期保存後に油剤あるいはリン脂質が析出して、化粧料の透明度が低下する恐れもある。
【0007】
そこで、本発明は、リン脂質以外の界面活性剤に依らなくとも、固形状又はペースト状の油剤由来の成分が安定的に分散された透明又は半透明の液状化粧料用組成物を提供することを主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の発明者らは、上記の課題を解決する手段について鋭意検討した結果、主分散剤としてリン脂質を用いるとともに、分散助剤としてステロールを配合することで、固形状又はペースト状の油剤を液中において透明又は半透明に分散させることができ、しかも経時安定性に優れた化粧料用組成物を得ることができるという知見を得た。そして、本発明者らは、上記知見に基づけば従来技術の課題を解決できることに想到し、本発明を完成させた。以下、本発明の構成又は工程について具体的に説明する。
【0009】
本発明の第1の側面は、透明又は半透明である液状の化粧料用組成物に関する。なお、本願明細書において、「透明」とは透過率が80%以上であることを意味し、「半透明」とは透過率が50%以上80%未満であることを意味する。また、本願明細書において「透過率」というときは、Biochrom社製分光光度計(GeneQuant 1300)により測定した波長700nmの光透過率を意味する。
【0010】
本発明に係る化粧料用組成物は、下記成分(A)~(E)を含む。
(A)主分散剤としてのリン脂質
(B)ステロール
(C)常温下かつ未分散の状態において固形状又はペースト状である油剤由来の成分
(D)多価アルコール
(E)水
【0011】
ここで、リン脂質を「主分散剤として」含むとは、化粧料用組成物中に分散作用を持つ他の成分(例えばリン脂質以外のイオン性界面活性剤及び/又は非イオン性界面活性剤)が質量比においてリン脂質以上に含有されていないことを意味する。つまり、本発明に係る化粧料用組成物中にリン脂質以外に界面活性剤が含まれていてもよいが、その界面活性剤の含有量は質量比においてリン脂質未満とする。なお、本願明細書において、分散という用語には、乳化が含まれる。分散には、液体と固体の混じり合いの作用の他、液体同士の混じり合いの作用も広く含まれる。また、ステロールは、分散助剤として用いられる。ステロールは、例えばコレステロール及びフィトステロールから選ばれる1種又は2種の成分である。分散助剤とは、主分散剤と共に用いられることで分散安定性の向上をもたらす基剤である。また、成分(C)は、最終的な化粧料用組成物中においては分散している。ただし、成分(C)は、他の成分と混合される前の原料の段階では、常温下(25℃)かつ未分散の状態において固形状又はペースト状の油剤であったものである。また、多価アルコールは、成分(A)~(C)に対する分散媒である。また、化粧料用組成物中、成分(A)~(D)の残余が成分(E)、すなわち水となる。なお、本発明に係る化粧料用組成物は、成分(A)~(E)からなるものであってもよいが、当該組成物が透明又は半透明の液状である限りにおいて他の成分を別途添加することも当然に可能である。また、本発明により、透明又は半透明の液状の化粧料組成物を中間生成物として製造した後に、この中間生成物を、例えば乳液、クリーム、ファンデーション、パックなど、非透明の化粧料や、固形状又はペースト状の化粧料の材料として用いることも可能である。
【0012】
本発明に係る化粧料用組成物は、透過率が65%以上であることが好ましい。透過率が65%以上であれば、十分に透明度のある外観であるため、使用者に対して化粧料としての清潔感を演出することができる。
【0013】
本願明細書における液状とは、「液状」の定義(危険物の規制に関する規則 第69条の2)に準じる。すなわち、「液状」とは、垂直にした試験管(内径30mm,高さ120mmの平底円筒型のガラス製のもの)に物品を試験管の底から高さが55mmとなるまで入れ、当該試験管を水平にした場合に、当該物品の異動面の先端が試験管の底からの距離が85mmの部分を通過するまでの時間が90秒以下であることをいう。この液状の定義を満たすものは、サラサラとした手触りとなり、皮膚表面上にみずみずしく広がりやすく、べたつきや塗りむらも抑えることができる。
【0014】
本発明に係る化粧料用組成物において、成分(A)であるリン脂質は、ホスファチジルコリンの含有量が60質量%以上であることが好ましい。このようなリン脂質を利用することで、液中に固形状又はペースト状の油剤を効果的に分散させることができる。
【0015】
本発明に係る化粧料用組成物において、ステロールとしてコレステロールを用いることとしてもよい。この場合、コレステロール(B)に対するリン脂質(A)の配合比(A/B)は2~5.5であることが好ましい。成分(A)と成分(B)の配合比を上記範囲に調整することにより、液中に固形状又はペースト状の油剤を効果的に分散させることができる。
【0016】
本発明に係る化粧料用組成物において、ステロールとしてフィトステロールを用いることとしてもよい。この場合、フィトステロール(B)に対するリン脂質(A)の配合比(A/B)は4~9であることが好ましい。成分(A)と成分(B)の配合比を上記範囲に調整することにより、液中に固形状又はペースト状の油剤を効果的に分散させることができる。特に、ステロールとしてフィトステロールを用いた場合、コレステロールを用いた場合と比較して、ステロールの配合比率を少なくすることができる。
【0017】
本発明の第2の側面は、透明又は半透明である液状の化粧料用組成物の製造方法に関する。本発明に係る製造方法は、油系成分を予備分散し、得られた粗分散物を高圧乳化装置で処理する製造方法で、特に高圧力処理時に、原料もしくは先の粗分散物が加温された状態にあるような加温工程と、ここで加温された原料もしくは先の粗分散物を加圧する加圧工程を含む。この粗分散物は、主分散剤としてのリン脂質、ステロール、固形状又はペースト状の油剤、多価アルコール、及び水を含む。上記加温工程中又はその直後に加圧工程を実施することで、粗分散物中の油剤が分散された化粧料用組成物を効率的に製造することができる。特に、加温工程では粗分散物を50~100℃まで加温することが好ましい。ステロールは、コレステロール及びフィトステロールから選ばれる1種又は2種であることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、主分散剤としてリン脂質を用いて、固形状又はペースト状の油剤由来の成分が安定的に分散された透明又は半透明の液状化粧料用組成物を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。本発明は、以下に説明する形態に限定されるものではなく、以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜変更したものも含む。
【0020】
なお、本願明細書において、数値範囲を表す「A~B」とは「A以上B以下」であることを意味する。
【0021】
[1.化粧料用組成物]
本発明に係る化粧料用組成物は、透明又は半透明の液状であって、下記成分(A)~(E)を少なくとも含む。
(A)主分散剤としてのリン脂質
(B)ステロール
(C)常温下かつ未分散の状態において固形状又はペースト状である油剤由来の成分
(D)多価アルコール
(E)水
本発明は、成分(A)~(E)からなる化粧料用組成物であってもよいが、有効成分による肌効果実感が失われず、化粧料用組成物が透明又は半透明の液状である限りにおいて他の成分を別途添加することも当然に可能である。また、本組成物の状態は、乳化や液晶、ベシクルなど油剤が分散剤であるリン脂質によって均一に分散された系で、透明もしくは半透明を維持できればいずれであってもよい。以下各成分について説明する。
【0022】
[成分(A):リン脂質]
リン脂質は、主分散剤として用いられる。すなわち、本化粧料用組成物には、分散作用を持つ他の成分が質量比においてリン脂質以上には含有されていない。分散作用を持つ他の成分の例は、アニオン性、カチオン性、両性、又は非イオン性の界面活性剤である。本発明においては、リン脂質を主分散剤とし、ステロールを分散助剤として用いることで、その他界面活性剤に依らずに、多価アルコール及び水を含む液中に固形状又はペースト状である油剤を透明又は半透明状に分散させることができる。
【0023】
また、リン脂質は、化粧料用組成物の保存安定性を向上させ、べたつきを抑制し、皮膚へのなじみを向上させる。リン脂質は、化粧料の分野において通常使用される種類のものであれば、特に限定なく用いることができる。リン脂質は、動植物から抽出又は精製した天然物であってもよいし、化学合成したものであってもよいし、水素添加又は水酸化処理などの加工を施したものであってもよい。リン脂質は、大豆又は卵黄等からの抽出又は精製されたレシチンであることが好ましく、さらにそれらのレシチンに水素添加処理又は水酸化処理を施したものであることが特に好ましい。具体的には、リン脂質としては、大豆レシチン、大豆水素添加(水添)レシチン、卵黄レシチン、又は卵黄水素添加レシチンを用いることが好ましい。
【0024】
また、リン脂質は、当該リン脂質中におけるホスファチジルコリンの含有量が60質量%以上のものであることが好ましく、65質量%以上、70質量%、又は80質量%以上のものであることが特に好ましい。リン脂質中におけるホスファチジルコリンの含有量の上限は特に制限されないが、99質量%以下又は98質量%以下であることが好ましい。なお、ホスファチジルコリン以外のリン脂質成分としては、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール等が挙げられる。リン脂質中のホスファチジルコリンの含有率は、薄層クロマトグラフィー(TLC)や高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、イアトロスキャン(ヤトロン社製)等を用いた方法で分析することができる。具体的には、リン脂質が含まれる有機溶媒をTLCにスポットしてクロロホルム:メタノール:酢酸=65:25:10で展開し、50質量%硫酸エタノールを噴霧、加熱後デンシトメーターでリン脂質を分析する。
【0025】
化粧料用組成物の全組成中におけるリン脂質の含有量は、固形状又はペースト状の油剤を分散させるとともに、保存安定性を向上させ、べたつきを抑制し、皮膚へのなじみを向上させるといった観点から、0.1質量%以上であることが好ましく、0.3質量%又は0.5質量%以上であることがより好ましく、0.6質量%以上又は0.8質量%以上であることが特に好ましい。また、効果実感をより高めるために、リン脂質の含有量を1.0質量%以上、1.1質量%以上、1.5質量%以上とすることも可能である。なお、リン脂質の含有量が高すぎると、リン脂質自体が液中に析出して透明度が低下する可能性があることから、リン脂質の含有量は、2質量%以下、2.5質量%以下、又は3質量%以下とすることが好ましい。
【0026】
[成分(B):ステロール]
ステロール(別名:ステロイドアルコール)は、分散助剤として用いられる。ステロールは、化学構造的にはステロイド核A環の3位にヒドロキシ基(水酸基)を有した環状高級アルコールである。ステロールの例は、動物由来のコレステロールと植物由来のフィトステロールである。コレステロールは、主に動物組織中に遊離状態又は脂肪酸エステルとして広く分布している動物ステロールである。フィトステロールは、主に植物油脂の不鹸化物から得られる植物ステロールの混合物である。フィトステロールに含まれる植物ステロールとしては、例えばカンペステロール、β-シトステロール、ブラシカステロール、及びスチグマステロールが挙げられる。本発明において、ステロールとして、コレステロールとフィトステロールをそれぞれ単独で用いることとしてもよいし、これらを混合したものを用いてもよい。また、水素添加などの化学処理を施したもの(コレスタノールなど)も、本発明におけるステロールに含まれる。
【0027】
ステロールとしてコレステロールを採用する場合、化粧料用組成物の全組成中におけるコレステロールの含有量は、分散助剤として効果的に作用させるといった観点から、0.05質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上、0.15質量%以上、又は0.2質量%以上であることが好ましい。ただし、コレステロールの含有量は、リン脂質の含有量未満とされる。
【0028】
また、コレステロールの含有量に対するリン脂質の配合比は質量比で2.0~5.5の範囲内であることが好ましく、当該配合比は、2.5以上、3.0以上、3.5以上、4.0以上、又は5.0以上としてもよい。このように、リン脂質とコレステロールの配合比を適切な範囲に調整することで、主分散剤であるリン脂質と分散助剤であるコレステロールとによって化粧料用組成物の分散安定性が向上する。特に、長期間(例えば1ヶ月程度)に亘って高温条件下(例えば40℃程度)で化粧料用組成物を保存した場合であっても、化粧料用組成物を透明又は半透明の液状のまま保存することが可能である。
【0029】
また、ステロールとしてフィトステロールを採用する場合、化粧料用組成物の全組成中におけるフィトステロールの含有量は、分散助剤として効果的に作用させるといった観点から、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上又は0.1質量%以上であることが好ましい。ただし、フィトステロールの含有量は、リン脂質の含有量未満とされる。
【0030】
また、フィトステロールの含有量に対するリン脂質の配合比は質量比で4.0~9.0の範囲内であることが好ましく、当該配合比は、4.0以上、6.0以上、又は7以上としてもよい。このように、リン脂質とフィトステロールの配合比を適切な範囲に調整することで、主分散剤であるリン脂質と分散助剤であるフィトステロールとによって化粧料用組成物の分散安定性が向上する。特に、長期間(例えば1ヶ月程度)に亘って高温条件下(例えば40℃程度)で化粧料用組成物を保存した場合であっても、化粧料用組成物を透明又は半透明の液状のまま保存することが可能である。
【0031】
[成分(C):固形状又はペースト状の油剤]
固形状又はペースト状の油剤は、主に肌にハリ感(もっちり感)を与える有効成分として用いられる。この油剤は、原料の段階では、大気圧下(1013.25hPa)、常温下(25℃)、かつ未分散の状態において固形状又はペースト状である。ただし、この油剤、化粧料組成物の製造過程にて他の成分と混合されることにより液中に微細に分散される。
【0032】
固形状又はペースト状の油剤は、化粧料の分野において通常使用される種類のものであれば、特に限定なく用いることができる。固形状又はペースト状の油剤の例は、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、オゾケライト、ワセリン、ポリエチレンワックス、及びフィッシャートロプシュワックス等の炭化水素; カルナウバロウ、ミツロウ、キャンデリラロウ、コメヌカロウ、ジョジョバロウ、モクロウ、ホホバ脂、及びラノリン等のロウ; ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、ラウロイルグルタミン酸ジオクチルドデシル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、水添ヒマシ油、水添パーム油、水添ヤシ油、パルミチン酸セチル、(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル、トリステアリン、トリベヘニン、シア脂、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、トリ(カプリル/カプリン/ミリスチン/ステアリン酸)グリセリル、ステアリン酸水添ヒマシ油、イソステアリン酸水添ヒマシ油、及びモノヒドロキシステアリン酸水添ヒマシ油等のエステル油; バチルアルコール、及びキミルアルコール等のエーテル油; ステアリルアルコール、及びベヘニルアルコール等のステロール以外の高級アルコール等である。
【0033】
詳しくは後述するが、本発明の好ましい実施形態においては、上記成分(A)~(E)を含む粗分散物を加温した直後又は加温しながら加圧して、成分(C):油剤の微細分散を促進する。この油剤は、加温工程において溶解する融点を持つものであることが好ましい。具体的には、この油剤の融点は、100℃以下であることが好ましく、90℃以下、80℃以下、70℃以下、又は60℃以下であってもよい。なお、この油剤の融点の下限は、常温(25℃)の大気圧下において固形状又はペースト状を維持できるものであれば特に制限されないが、例えば、30℃以上、32℃以上、35℃以上、又は40℃以上のものを用いることが好ましい。また固形・ペースト状油剤については多価アルコールや液状油剤と混合し、100℃以下で融解させる方法であってもよい。
【0034】
化粧料用組成物の全組成中における固形状又はペースト状の油剤由来の成分の含有量は、0.001質量%以上であることが好ましく、0.01質量%以上、0.02質量%以上、0.05質量%以上、0.08質量%以上、又は0.1質量%以上であることが特に好ましい。この油剤由来の成分が化粧料用組成物中に0.001質量%以上、特に0.01質量%以上で含有されていることで、肌にハリ感を付与することができる。ただし、この油剤由来の成分の含有量は、1質量%未満であることが好ましく、0.9質量%以下、0.7質量%以下、0.5質量%以下、0.3質量%以下、又は0.2質量%以下であることが特に好ましい。この有効成分の成分が1質量%以上で組成物中に含有されていると、化粧料用組成物が白濁してしまい、本発明が目的とする透明又は半透明の化粧料用組成物が得られなくなる。本発明では、このように有効成分である固形状又はペースト状の油剤の含有量が少なくても、界面活性剤に依らずに、その代わりとしてリン脂質及びステロールを分散剤あるいはその助剤として用いることで、肌効果実感が十分に高い化粧料を得ることができる。特に、リン脂質及びステロールにも肌効果が備わっているため、上記油剤との組み合わせによって化粧料用組成物の肌効果を向上させることができる。このような理由から、本発明では、化粧料の透明度を維持することを優先し、固形状又はペースト状の油剤の含有量を少なくしている。
【0035】
[成分(D):多価アルコール]
多価アルコールは、上記成分(A)~(C)の溶媒として用いられる。多価アルコールは、特に水溶性多価アルコールであることが好ましい。多価アルコールの例は、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン-3、ポリグリセリン-10、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ヘキシレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,2-デカンジオール、ポリプロピレングリコール、ソルビトール、マルチトール、及びトレハロース等である。多価アルコールは、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0036】
化粧料用組成物の全組成中における多価アルコールの含有量は、特に限定されないが、例えば1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上、4質量%以上、又は5質量%以上であることがより好ましい。また、多価アルコールの含有量の上限は、40質量%又は30質量%とすることが好ましく、20質量%とすることが特に好ましい。
【0037】
[成分(E):水]
化粧料用組成物のうち、上記成分(A)~(D)の残部は、水(精製水)とすればよい。化粧料用組成物中における水の含有量は、例えば、30質量%以上とすればよく、50質量%、70質量%以上、90質量%以上としてもよい。
【0038】
[任意成分]
本発明に係る化粧料用組成物には、透明又は半透明の外観を呈し、かつ液状であることを維持できる範囲で、化粧品分野で通常使用されている水性又は油性の任意成分を1種または2種以上含有させることができる。任意成分の例は、保湿剤、界面活性剤、水溶性高分子、液状の油剤、油溶性ゲル化剤、粘土鉱物、樹脂、皮膜形成剤、紫外線吸収剤、粉体、顔料、染料、色素、防腐剤、抗菌剤、酸化防止剤、塩類、pH調整剤、キレート剤、香料、清涼剤、制汗剤、抗炎症剤、皮膚賦活剤、美肌用成分、及び各種抽出物である。
【0039】
特に、化粧料用組成物には、成分(C)である固形状又はペースト状の油剤の肌効果を補助したり、組成物の透明度を高めることを目的として、液状の油剤(成分(C-2))をさらに添加することとしてもよい。液状の油剤は、大気圧下、常温下(25℃)の状態において液状のものが用いられる。
【0040】
液状の油剤の例は、オレイン酸エチル、リノール酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル、2-エチルヘキサン酸セチル、2-エチルヘキサン酸イソセチル、2-エチルへキサン酸イソステアリル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、イソステアリン酸2-ヘキシルデシル、イソステアリン酸イソステアリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソセチル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、オレイン酸オクチルドデシル、ピバリン酸イソステアリル、イソステアリン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、エルカ酸オクチルドデシル、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、コハク酸ジオクチル、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジノナン酸プロピレングリコール、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、及びジイソステアリン酸プロピレングリコール等である。
【0041】
固形状又はペースト状の油剤は、液状の油剤と比較して、より高いハリ感を肌に付与できる。このため、固形状又はペースト状の油剤の含有量は、液状の油剤よりも高いことが好ましい。固形状又はペースト状の油剤の含有量と液状の油剤の含有量の合計値を1.0とした場合に、この合計値に対して固形状又はペースト状の油剤は、0.5以上であることが好ましく、0.6以上、0.7以上、又は0.8以上であることが特に好ましい。なお、当配合比は、最低でも0.1以上又は0.2以上は確保する必要がある。
【0042】
[界面活性剤]
本発明の好ましい実施形態において、リン脂質以外に界面活性剤は化粧料用組成物に含有されないこととしてもよい。また、化粧料用組成物中にリン脂質以外の界面活性剤が含まれていてもよいが、その場合の含有量は質量比においてリン脂質の含有量未満とする。界面活性剤とは、例えば石油由来の成分を含み、化学的に合成されたものである。界面活性剤の例は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及びノニオン性(非イオン)界面活性剤である。本発明では、これらの界面活性剤に依らず、透明又は半透明の液状化粧料用組成物を実現できる。
【0043】
アニオン性界面活性剤の例は、高級脂肪酸石鹸、アルキルエーテルリン酸エステル、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシルメチルタウリン塩、N-アシル-N-メチル-β-アラニン塩、N-アシルグリシン塩、N-アシルグルタミン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルカルボン酸塩、アルキルフェニルエーテルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸及びその塩、N-アシルサルコシン及びその塩、並びにポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸塩等である。
【0044】
カチオン性界面活性剤の例は、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム等、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド乳酸塩、ジラウリルアミン塩酸塩、及びオレイルアミン乳酸塩等である。
【0045】
両性界面活性剤の例は、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ラウロイルアミドエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルベタイン、ヒドロキシプロピルリン酸ナトリウム、及びβ-ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等である。
【0046】
ノニオン性界面活性剤の例は、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、及びこれらのアルキレンオキシド付加物、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルフェノール、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシエチレンステロール及びその誘導体、ポリオキシエチレンコレステロールエーテル、ポリオキシエチレンコレスタノールエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロールエーテル及びポリオキシエチレンフィトスタノールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン及びその誘導体、ポリオキシエチレンミツロウ誘導体、シュガーエステル類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、並びにポリオキシエチレンヒマシ油等である。
【0047】
[化粧料用組成物の物性(粘度・透過率)]
本発明に係る化粧料用組成物は、液状であり、低粘度に調整されている。本願明細書における液状とは、「液状」の定義(危険物の規制に関する規則 第69条の2)に準じる。すなわち、「液状」とは、垂直にした試験管(内径30mm,高さ120mmの平底円筒型のガラス製のもの)に物品を試験管の底から高さが55mmとなるまで入れ、当該試験管を水平にした場合に、当該物品の異動面の先端が試験管の底からの距離が85mmの部分を通過するまでの時間が90秒以内であることをいう。性状として液状を満たせばよいが、化粧料用組成物の粘度は、1000mPa・S以下であればよく、800又は600mPa・S以下であることが好ましく、400又は300mPa・S以下であることがより好ましく、200又は100mPa・S以下であることが特に好ましい。粘度の測定方法は、本願明細書において、「粘度」とは、測定試料をφ40.5mm、高さ74mmのガラス製ビンに高さ45mm程度まで充填し、蓋をして30℃恒温槽にて一昼夜放置した後、TVB-10型粘度計(東機産業社製)にて、付属の1~4号ローターを用い、0.3~30rpmで1~3分後いずれかに定めた時点の測定値を読み取り、各々の乗数を乗じた値を意味する。
【0048】
本発明に係る化粧料用組成物は、半透明又は透明であり、透過率が高く調整されている。化粧料用組成物の透過率は、50%以上であればよいが、65%以上又は70%以上であることが好ましく、80%以上、85%以上、又は90%以上であることが特に好ましい。透過率の上限は、特に制限されないが、一般的には100%以下となる。透過率の測定方法は、前述したとおりである。
【0049】
[2.化粧料用組成物の製造方法]
続いて、本発明に係る化粧料用組成物の製造方法について説明する。化粧料用組成物の製造方法は、主に以下の工程を1~4の順に含む。
1:粗分散工程
2:加温工程
3:加圧工程
4:冷却工程
【0050】
粗分散工程は、前述した成分(A)~(E)に、必要に応じて任意成分を加えて予備分散し、粗分散物を得る工程である。なお成分(A)~(E)及び任意成分を混合する際に、各成分を撹拌したり加温したりすることも可能である。
【0051】
加温工程は、粗分散工程にて得られた粗分散物を加温する工程である。加温工程では、粗分散物を、50℃以上に加温することが好ましい。特に、加温工程では、60℃以上、70℃以上、又は80℃以上に粗分散物を加温することが特に好ましい。加温工程で加温される粗分散物の温度の上限は、100℃であり、95℃であってもよい。これにより、粗分散物中における各成分の流動性が向上し、後段の加圧工程において各成分が微細に分散しやすくなる。特に、本発明では、融点の高い固形状又はペースト状の油剤を原料の一部に用いている。このような油剤を、加圧工程の前の工程で、当該油剤の融点以上の温度まで加温しておくことで、加圧工程において油剤を液中に効果的に分散させることができる。
【0052】
加温工程には、一般的な加温装置を用いることができる。加温装置は、例えば、シリコーンオイル等を溜めるためのオイルバス(液槽)と、当該オイルバス内のシリコーンオイルを加温するためのヒーターと、当該オイルバス内に粗分散物を流通させる導管とを備える。また、加温装置は、オイルバス内のシリコーンオイルを撹拌するための撹拌機を備えていてもよい。これにより、粗分散物を導管内に通すことで連続的に加温することができる。その他、ベルトヒーターや電熱線を導管に巻くなどして管内を通過する粗分散物を加温することも可能である。
【0053】
加圧工程では、加温工程の直後に、加温された粗分散物に対して、その加温された温度を維持した状態で圧力をかける工程である。加圧工程では、粗分散物に対して、30MPa以上の圧力を付与することが好ましい。特に、加圧工程では、35MPa以上、50MPa以上又は70MPa以上の圧力を粗分散物に付与することが好ましい。また、加圧工程の圧力は、100MPa以上、120MPa以上、又は150MPa以上としてもよい。加圧工程における圧力の上限は特に制限されないが、一般的な加圧装置ではその構造上、500MPa程度が限界である。前段の加温工程において所定温度まで加温された粗分散物に対し、加圧工程で圧力をかけることで、固形状又はペースト状の油剤を液中に透明に分散させることができる。
【0054】
加圧工程では、一般的な加圧装置を用いることができる。加圧装置とは、水相成分及び油相成分を、必要に応じてホモミキサー等により予備分散し、例えば、高圧下の高圧ホモジナイザーを用いた高剪断力により微細な分散粒子を有する組成物を得る装置である。
【0055】
冷却工程は、加温工程及び加圧工程を経て高温になっている組成物を冷却する工程であり、この冷却工程を経て、最終的な化粧料用組成物が得られる。冷却工程では、公知の熱交換器等の冷却装置を用いて、組成物を常温(25℃)又は15℃、10℃、それ以下まで冷却すればよい。また、冷却工程では、組成物を自然冷却することとしてもよい。
【0056】
上記製造方法により得られた化粧料用組成物は、液中に固形状又はペースト状の油剤が分散された透明又は半透明のものとなる。上記製造方法によれば、リン脂質以外の界面活性剤等を用いなくても、油剤が安定的に分散された透明又は半透明の液状化粧料用組成物を得ることができる。
【実施例0057】
[検討I.成分(A)と成分(B)の配合量と配合比の検討]
実施例1~4及び比較例1は、化粧水である。実施例1~4では、以下の成分(A)~(E)を、表1に示す含有量(質量%)で配合した。検討Iでは、実施例1~4における成分(B):コレステロールの有効性を確認するために、比較例1では成分(B)を非配合とした。実施例1~4及び比較例1では、各成分を混合した粗分散物を70℃に加温し、その直後に70MPaで加圧した。
【0058】
<成分>
・成分(A):水添レシチン
・成分(B):コレステロール
・成分(C):ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)
・成分(D):BG(1,3-ブチレングリコール)
・成分(E):水
【0059】
【表1】
【0060】
<評価>
検討Iでは、上記実施例1~4及び比較例1について、透明度の経時安定性と肌効果(肌へのハリ)を評価した。経時安定性は、室温(RT、25℃)、5℃、又は40℃の温度環境化において3日間保存したサンプルと、5℃又は40℃の温度環境化において1ヶ月間保存したサンプルについて、それぞれ評価を行った。経時安定性の評価では、前述した測定方法で各サンプルの透過率を測定した。化粧水を想定した場合、組成物の透過率が65%以上であれば十分に透明度のある外観であると評価できるため、各表では、透過率が65以上80%未満のものを「○」、80%以上100%以下のものを「◎」とし、65%未満のものを「×」(不適格)としている。また、肌効果(肌へのハリ)の評価では、20人のモニターが、肌へのハリの効果実感を1~5の5段階(5が最高点)で採点した。各表では、その平均値が4.5以上のものを「◎」とし、4以上4.5未満のものを「○」とし、3以上4未満のものを「△」とし、3未満のものを「×」(不適格)とした。
【0061】
検討Iの結果、水添レシチンとコレステロールが含有されている実施例1~4は、経時的安定性に優れており、比較的過酷な温度環境下に長期間保存した場合であっても、透明度に劣化は見受けられなかった。他方で、コレステロールが含有されていない比較例1では、40℃で1ヶ月保存した場合、透過率が65%未満にまで劣化するため、商品の流通過程で品質が損なわれる可能性があることが確認された。なお、実施例1~4及び比較例1では、成分(C)が有効量で含有されていることから、肌効果については十分な評価が得られた。
【0062】
[検討II.成分(C)の種類と配合量の検討]
実施例5~15は、化粧水である。実施例5~15では、表2に示すように、成分(A)、(B)、(D)、(E)については、表1に示した実施例1~4と同じ成分を用いた。他方で、検討IIでは、成分(C)の有効な種類と配合量を検討するために、実施例5~15について、以下のように種類と配合量を調整した。
【0063】
<成分(C)>
・実施例5:ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル) 0.001質量%
・実施例6:ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル) 0.01質量%
・実施例7:ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル) 0.1質量%
・実施例8:パルミチン酸セチル 0.1質量%
・実施例9:ラウロイルグルタミン酸ジオクチルドデシル 0.1質量%
・実施例10:ヒドロキシステアリン酸コレステリル 0.1質量%
・実施例11:パラフィン 0.1質量%
・実施例12:オレイン酸コレステリル 0.1質量%
・実施例13:ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル 0.1質量%
・実施例14:ワセリン 0.1質量%
・実施例15:ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル) 0.1質量%
【0064】
【表2】
【0065】
<評価>
上記実施例5~15について、透明度の経時安定性と肌効果(肌へのハリ)を評価した。評価手法は、上記検討Iと同じである。
【0066】
検討IIの結果、実施例5~実施例7を比較すると、成分(C)である固形状又はペースト状の油剤は、その含有量が少ないと肌効果が損なわれるものの、その含有量が多すぎると透明度が低くなることがわかった。このため、成分(C)は、化粧水の透明度と肌効果に与える影響が二律背反の関係にあり、その種類ごとに適切な含有量を調整することが求められるといえる。例えば、ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)については、化粧水の透明度の経時的安定性と肌効果を最適化するためには、0.01重量%程度の含有量が好ましいといえる。なお、実施例5~実施例15を比べると、固形状又はペースト状の油剤は、化粧品に通常用いられている種類であれば、透明度や、経時的安定性、その肌効果については特に大きな差はないことがわかった。
【0067】
[検討III.固形油剤と液状油剤の配合比検討]
実施例16~19及び比較例2は、化粧水である。実施例16~19では、表3に示すように、成分(A)、(B)、(C-1)、(D)、(E)については、表1に示した実施例1~4と同じ成分を用いた。他方で、検討IIIでは、実施例16~19において、油剤成分を、成分(C-1):固形状又はペースト状の油剤と、成分(C-2):液状油剤に分けて、それぞれの配合比について検討した。また、比較例2では、成分(C-1):固形状又はペースト状の油剤の有効性を確認するために、当該成分(C-1)を非配合とし、油剤成分として、成分(C-2):液状油剤のみを用いた。なお、実施例16~19及び比較例2のいずれにおいても、成分(C-2)としては、オレイン酸エチルを用いた。
【0068】
【表3】
【0069】
<評価>
上記実施例16~19及び比較例2について、透明度の経時安定性と肌効果(肌へのハリ)を評価した。評価手法は、上記検討Iと同じである。
【0070】
検討IIIの結果、実施例16~19を比較すると、固形状又はペースト状の油剤成分(C-1)と液状油剤成分(C-2)の総量における(C-1)の配合量を高めることにより、化粧水の肌効果が向上するものの透明度が低下し、一方で(C-2)の配合量を高めることにより、化粧水の透明度が向上するものの肌効果が低下することがわかった。このため、油剤成分として、固形状又はペースト状のものと液状のものの両方を用いることで、化粧水の肌効果と透明度をコントロールすることが可能である。つまり、肌効果を高めた化粧水が好まれる場合には、固形状又はペースト状の油剤の配合を高めればよい。また、透明度を高めた化粧水が好まれる場合には、液状油剤の配合量を高めればよい。一方で、実施例16~19と比較例2を比較すると、液状油剤のみでは、化粧水の透明度、経時的安定性、及び肌効果のいずれもが不適格となることがわかった。つまり、透明度を有し、経時的安定性及び肌効果に優れた化粧水を得るには、固形状又はペースト状の油剤が必須となることがわかった。
【0071】
[検討IV.成分(D)の配合量と種類の検討]
実施例20~23は、化粧水である。実施例20~23では、表4に示すように、成分(A)、(B)、(C)、(E)については、表1に示した実施例1~4と同じ成分を用いた。他方で、検討IVでは、成分(D)の有効な種類と配合量を検討するために、実施例20~23について、以下のように種類と配合量を調整した。
【0072】
<成分(D)>
・実施例20:BG(1,3-ブチレングリコール) 5質量%
・実施例21:BG(1,3-ブチレングリコール) 30質量%
・実施例22:DPG(ジプロピレングリコール) 5質量%
・実施例23:グリセリン 5質量%
【0073】
【表4】
【0074】
<評価>
上記実施例20~23について、透明度の経時安定性と肌効果(肌へのハリ)を評価した。評価手法は、上記検討Iと同じである。
【0075】
検討IVの結果、成分(D)については、化粧品に通常適用される範囲のものであれば、種類及び配合量を調整しても、透明度、経時的安定性や、その肌効果については特に大きな差はないことがわかった。
【0076】
[検討V.加温条件及び高圧条件の検討]
実施例24~27及び比較例3~4は、化粧水である。実施例24~27及び比較例3及び4では、表5に示すように、成分(A)~(E)については、表1に示した実施例1~4と同じ成分を用いた。他方で、検討Vでは、特に加温工程の有効性を検討するために、実施例24~27及び比較例3~4について、各成分(A)~(E)の含有量を全て統一しつつ、それら粗分散物の加温条件と加圧条件をそれぞれ調整した。すなわち、実施例24~27では、粗分散物を50℃又は70℃まで加温するとともに、70MPa、35MPa、又は150Mpaで加圧した。他方で、比較例3~4では、加圧条件は実施例24~27と同等としつつも、粗分散物の温度を常温(25℃)のままとして実施例24~27よりも低く設定した。
【0077】
【表5】
【0078】
<評価>
上記実施例24~27及び比較例3~4について、透明度の経時安定性と肌効果(肌へのハリ)を評価した。評価手法は、上記検討Iと同じである。
【0079】
検討Vの結果、比較例3~4のように、十分に加温されていない粗分散物を加圧しても、成分(C)の油剤が液中に微細に分散せず、化粧水の透明度が不十分になることがわかった。これに対して、実施例24~27のように、50℃以上に粗分散物を加温してから加圧した場合は、加圧条件は比較例3~4と同じであっても、油剤を液中に効果的に分散させることに成功し、透明度が十分に高い化粧水が得られることがわかった。このように、加圧の直前に、粗分散物を加温した実施例と加温しない比較例とでは、得られる化粧水の透明度に顕著な差が現れた。また、実施例24~27を比較すると、成分(C)の油剤の融点以上まで加温しておけば、それ以上の温度まで加温しても特に大きな差が現れないことがわかった。他方で、加圧条件に関しては、実施例27のように、100MPa以上(特に150MPa)で加圧することで、化粧料の透明度を高めることができることがわかった。
【0080】
[検討VI.成分(A)と成分(B)の配合量と配合比の検討]
実施例28~31及び比較例5は、化粧水である。検討VIでは、上記した検討Iの成分(B)をコレステロールからフィトステロールに変更し、この検討Iと同条件で化粧水を製造して、同条件にて評価を行った。実施例28~31及び比較例5では、成分(A)~(E)の各成分を表6に示す含有量(質量%)で配合した。なお、検討Iのラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)の代わりに、検討VIでは、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)を用いた。
【0081】
【表6】
【0082】
検討VIの結果、フィトステロールが含有されている実施例28~31は、コレステロールが含有されている実施例(検討I)と同様に、経時的安定性に優れており、比較的過酷な温度環境下に長期間保存した場合であっても、透明度に劣化は見受けられなかった。他方で、フィトテロールが含有されていない比較例5では、40℃で1ヶ月保存した場合、透過率が65%未満にまで劣化するため、商品の流通過程で品質が損なわれる可能性があることが確認された。なお、実施例28~31及び比較例5では、成分(C)が有効量で含有されていることから、肌効果については十分な評価が得られた。
【0083】
[検討VII.成分(C)の種類と配合量の検討]
実施例32~42は、化粧水である。検討VIIでは、上記した検討IIの成分(B)をコレステロールからフィトステロールに変更し、この検討IIと同条件で化粧水を製造して、同条件にて評価を行った。実施例32~42では、成分(A)~(E)の各成分を表7に示す含有量(質量%)で配合した。
【0084】
【表7】
【0085】
検討VIIの結果、フィトステロールが含有されている実施例32~42は、コレステロールが含有されている実施例(検討II)と同様に、成分(C)である固形状又はペースト状の油剤は、その含有量が少ないと肌効果が損なわれるものの、その含有量が多すぎると透明度が低くなることがわかった。このため、成分(C)は、化粧水の透明度と肌効果に与える影響が二律背反の関係にあり、その種類ごとに適切な含有量を調整することが求められるといえる。例えば、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)については、透明度の経時的安定性を優先する場合には0.01重量%程度の含有量が好ましく、一方で肌効果を優先する場合には0.1重量%程度の含有量が好ましといえる。なお、実施例32~42を比べると、固形状又はペースト状の油剤は、化粧品に通常用いられている種類であれば、透明度や、経時的安定性、その肌効果については特に大きな差はないことがわかった。
【0086】
[検討VIII.固形油剤と液状油剤の配合比検討]
実施例43~46及び比較例6は、化粧水である。検討VIIIでは、上記した検討IIIの成分(B)をコレステロールからフィトステロールに変更し、この検討IIIと同条件で化粧水を製造して、同条件にて評価を行った。実施例43~46及び比較例6では、成分(A)~(E)の各成分を表8に示す含有量(質量%)で配合した。なお、検討IIIのラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)の代わりに、検討VIIIでは、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)を用いた。
【0087】
【表8】
【0088】
検討VIIIの結果、フィトステロールが含有されている実施例43~46は、コレステロールが含有されている実施例(検討III)と同様に、固形又はペースト状の油剤成分(C-1)と液状の油剤成分(C-2)の総量における(C-1)の配合量を高めることにより、化粧水の肌効果が向上するものの透明度が低下し、一方で(C-2)の配合量を高めることにより、化粧水の透明度が向上するものの肌効果が低下することがわかった。このため、油剤成分として、固形状又はペースト状のものと液状のものの両方を用いることで、化粧水の肌効果と透明度をコントロールすることが可能である。つまり、肌効果を高めた化粧水が好まれる場合には、固形状又はペースト状の油剤の配合を高めればよい。また、透明度を高めた化粧水が好まれる場合には、液状油剤の配合量を高めればよい。一方で、実施例43~46及び比較例6を比較すると、液状油剤のみでは、化粧水の透明度、経時的安定性、及び肌効果のいずれもが不適格となることがわかった。つまり、透明度を有し、経時的安定性及び肌効果に優れた化粧水を得るには、固形状又はペースト状の油剤が必須となることがわかった。
【0089】
[検討IX.成分(D)の配合量と種類の検討]
実施例47~50は、化粧水である。検討IXでは、上記した検討IVの成分(B)をコレステロールからフィトステロールに変更し、この検討IVと同条件で化粧水を製造して、同条件にて評価を行った。実施例47~50では、成分(A)~(E)の各成分を表9に示す含有量(質量%)で配合した。なお、検討IVのラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)の代わりに、検討IXでは、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)を用いた。
【0090】
【表9】
【0091】
検討IXの結果、フィトステロールが含有されている実施例47~50は、コレステロールが含有されている実施例(検討IV)と同様に、成分(D)については、化粧品に通常適用される範囲のものであれば、種類及び配合量を調整しても、透明度、経時的安定性や、その肌効果については特に大きな差はないことがわかった。
【0092】
[検討X.加温条件及び高圧条件の検討]
実施例51~54及び比較例7~8は、化粧水である。検討Xでは、上記した検討Vの成分(B)をコレステロールからフィトステロールに変更し、この検討Vと同条件で化粧水を製造して、同条件にて評価を行った。実施例51~54及び比較例7~8では、成分(A)~(E)の各成分を表10に示す含有量(質量%)で配合し、それら粗分散物の加温条件と加圧条件をそれぞれ調整した。なお、検討Vのラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)の代わりに、検討Xでは、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)を用いた。
【0093】
【表10】
【0094】
検討Xの結果、比較例7~8のように、十分に加温されていない粗分散物を加圧しても、成分(C)の油剤が液中に微細に分散せず、化粧水の透明度が不十分になることがわかった。これに対して、実施例51~54のように、50℃以上に粗分散物を加温してから加圧した場合は、加圧条件は比較例7~8と同じであっても、油剤を液中に効果的に分散させることに成功し、透明度が十分に高い化粧水が得られることがわかった。このように、加圧の直前に、粗分散物を加温した実施例と加温しない比較例とでは、得られる化粧水の透明度に顕著な差が現れた。また、実施例51~54を比較すると、成分(C)の油剤の融点以上まで加温しておけば、それ以上の温度まで加温しても特に大きな差が現れないことがわかった。他方で、加圧条件に関しては、実施例54のように、100MPa以上(特に150MPa)で加圧することで、化粧料の透明度を高めることができることがわかった。
【0095】
(処方例)
化粧料として本技術を使用可能な、処方例を以下に示す。なお、以下の処方例において配合量(重量%)で「残量」とあるのは、合計量が100重量%となる量であることを意味する。
【0096】
処方例1:化粧水
(成分) (重量%)
1.水添レシチン(成分A) 0.25%
2.コレステロール(成分B) 0.1%
3.ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)(成分C)
0.03%
4.オレイン酸エチル 0.01%
5.トコフェロール 0.001%
6.BG(成分D) 10%
7.DPG 1%
8.グリセレス-26 1%
9.アセチルヒアルロン酸Na 0.01%
10.加水分解ヒアルロン酸 0.01%
11.アルカリゲネス産生多糖体 0.01%
12.セルロースガム 0.01%
13.結晶セルロース 0.01%
14.シロキクラゲエキス 0.01%
15.クエン酸 0.01%
16.クエン酸Na 0.01%
17.ニコチン酸アミド 10%
18.カルノシン 0.01%
19.シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール 0.1%
20.(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ポリグリセリル-10 0.1%
21.グリコシルトレハロース 0.1%
22.加水分解水添デンプン 0.05%
23.PEG-8 0.1%
24.PEG-32 0.1%
25.ダマスクバラ花水 1%
26.クインスシードエキス 0.1%
27.グリセリン 8%
28.エタノール 4%
29.フェノキシエタノール 0.1%
30.カプリル酸グリセリル 0.01%
31.カワラヨモギ花エキス 0.01%
32.チョウジエキス 0.01%
33.ラウリン酸ポリグリセリル-10 0.01%
34.ペンタイソステアリン酸ポリグリセリル-10 0.01%
35.香料 0.05%
36.水(成分E) 残量
【0097】
(製造方法)
(1)成分1~5、7と成分6の一部を90℃に加熱溶解して組成物1を得た。
(2)組成物1と成分36の一部を75℃で混ぜ合わせ組成物2を得た。
(3)組成物2を高圧乳化装置で処理した(加圧直前の温度を70℃またはそれ以上に設定し、その温度またはそれ以上の温度で70MPaまたはそれ以上の圧力で処理した)。
(4)加圧処理後、溶液を15℃もしくはそれ以下の温度に冷却し組成物3を得た。
(5)成分6の一部と成分10から14を混ぜ合わせ80℃に加熱し、さらに80℃に加熱した成分36の一部と混ぜ合わせ均一にして組成物4を得た。
(6)成分8、9、15~27を成分36の一部に溶解し、組成物5を得た。
(7)成分28~35を混ぜ合わせ、組成物6を得た。
(8)組成物5に、組成物3、4、6を混ぜ合わせた。
【0098】
処方例2:乳液
(成分) (重量%)
1.水添レシチン(成分A) 0.25%
2.コレステロール(成分B) 0.1%
3.ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)(成分C)
0.03%
4.オレイン酸エチル 0.1%
5.トコフェロール 0.001%
6.BG(成分D) 15%
7.DPG 1%
8.ステアリン酸 0.8%
9.ステアリン酸グリセリル 0.2%
10.セテアリルアルコール 0.4%
11.ベヘニルアルコール 0.2%
12.ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル
0.2%
13.パルミチン酸ソルビタン 0.4%
14.ポリソルベート60 0.4%
15.水添リゾレシチン 0.1%
16.ミネラルオイル 5%
17.ジメチコン 1%
18.ジカプリン酸PG 1%
19.メドウフォーム油 2%
20.トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン 3%
21.オクチルドデカノール 0.1%
22.スクワラン 2%
23.ヒドロキシステアリン酸コレステリル 0.5%
24.TEA 0.8%
25.EDTA-2Na 0.1%
26.カラメル 0.01%
27.(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー 0.2%
28.カルボマー 0.15%
29.キサンタンガム 0.1%
30.アルカリゲネス産生多糖体 0.02%
31.エタノール 2%
32.フェノキシエタノール 0.1%
33.カプリル酸グリセリル 0.01%
34.ニコチン酸アミド 3%
35.香料 0.1%
36.水(成分E) 残量
【0099】
(製造方法)
(1)成分1~3、5、7と成分4、6の一部を90℃に加熱溶解して組成物1を得た。
(2)組成物1と成分36の一部を75℃で混ぜ合わせ組成物2を得た。
(3)組成物2を高圧乳化装置で処理した(加圧直前の温度を70℃またはそれ以上に設定し、その温度またはそれ以上の温度で70MPaまたはそれ以上の圧力で処理した)。
(4)加圧処理後、溶液を15℃もしくはそれ以下の温度に冷却し組成物3を得た。
(5)成分26~30を成分6の一部と混ぜ合わせ80℃に加熱し、さらに80℃に加熱した成分36の一部と混ぜ合わせ均一にして組成物4を得た。
(6)成分6の一部と成分8~23を80℃に加熱溶解し、組成物5を得た。
(7)成分24、25と成分36の一部を80℃に加熱溶解し、組成物6を得た。
(8)組成物5と組成物6を80℃で混ぜ合わせ組成物7を得た。
(9)成分31~33、35を混ぜ合わせ、組成物8を得た。
(10)成分34を成分36の一部と混ぜ合わせ、組成物9を得た。
(11)組成物7に組成物3、4、8、9を混ぜ合わせた。
【0100】
処方例3:乳液2
(成分) (重量%)
1.水添レシチン(成分A) 0.3%
2.コレステロール(成分B) 0.1%
3.ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)(成分C)
0.03%
4.オレイン酸エチル 0.01%
5.BG(成分D) 12%
6.DPG 1%
7.グリセリン 4%
8.バチルアルコール 0.2%
9.ステアリン酸スクロース 0.9%
10.ステアリン酸グリセリル 0.1%
11.ステアリン酸PEG-2 0.1%
12.オレイン酸ソルビタン 0.1%
13.ポリソルベート80 0.4%
14.ホホバ種子油 0.5%
15.ミネラルオイル 2%
16.ジメチコン 1%
17.水添ヤシ油 2%
18.トリエチルヘキサノイン 2%
19.ジイソステアリン酸ダイマージリノレイル 0.1%
20.コメヌカ油 1%
21.ワセリン 2%
22.水添パーム油 0.5%
23.(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー 0.1%
24.アルカリゲネス産生多糖体 0.005%
25.EDTA-2Na 0.04%
26.カラメル 0.01%
27.(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー 0.4%
28.カルボマー 0.1%
29.イソヘキサデカン 0.1%
30.水酸化Na 0.02%
31.エタノール 5%
32.フェノキシエタノール 0.4%
33.香料 0.4%
34.グリシン 0.02%
35.セリン 0.01%
36.ポリグルタミン酸 0.01%
37.PCA-Na 0.02%
38.水(成分E) 残量
【0101】
(製造方法)
(1)成分2~4、6と成分1および5の一部を90℃に加熱溶解して組成物1を得た。
(2)組成物1と成分39の一部を75℃で混ぜ合わせ組成物2を得た。
(3)組成物2を高圧乳化装置で処理した(加圧直前の温度を70℃またはそれ以上に設定し、その温度またはそれ以上の温度で70MPaまたはそれ以上の圧力で処理した)。
(4)加圧処理後、溶液を15℃もしくはそれ以下の温度に冷却し組成物3を得た。
(5)成分24、26~28を成分5の一部と混ぜ合わせ80℃に加熱し、さらに80℃に加熱した成分39の一部と混ぜ合わせ均一にして組成物4を得た。
(6)成分1および5の一部と成分7~23、29を75℃に加熱溶解し、組成物5を得た。
(7)組成物5に75℃に加熱した成分39の一部を加えて混ぜ合わせ、組成物6を得た。
(8)成分25、30、34~38および成分39の一部を混ぜ合わせ組成物7を得た。
(9)成分31~33を混ぜ合わせ組成物8を得た。
(10)組成物6に組成物3、4、7、8を混ぜ合わせた。
【0102】
処方例4:クリーム
(成分) (重量%)
1.水添レシチン(成分A) 1.25%
2.コレステロール(成分B) 0.1%
3.ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)(成分C)
4.5%
4.オレイン酸エチル 0.5%
5.トコフェロール 0.001%
6.BG(成分D) 10%
7.DPG 10%
8.グリセリン 6%
9.クエン酸 0.1%
10.セテアリルアルコール 2%
11.ベヘニルアルコール 2%
12.ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル
3%
13.オレイン酸ソルビタン 0.1%
14.ポリソルベート80 0.1%
15.キャンデリラロウ 0.5%
16.ミネラルオイル 1%
17.ジメチコン 0.5%
18.ジカプリン酸PG 0.1%
19.ステアロイルメチルタウリンNa 0.5%
20.トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル 0.1%
21.オクチルドデカノール 0.5%
22.スクワラン 5%
23.ヒドロキシステアリン酸コレステリル 3.5%
24.(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー 0.01%
25.水添ポリイソブテン 1%
26.EDTA-2Na 0.04%
27.カラメル 0.01%
28.(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー 0.1%
29.カルボマー 0.25%
30.イソヘキサデカン 0.1%
31.水酸化Na 0.1%
32.エタノール 2%
33.フェノキシエタノール 0.4%
34.水添ナタネ油脂肪酸グリセリズ 0.23%
35.香料 0.1%
36.DNA-Na 0.1%
37.水(成分E) 残量
【0103】
(製造方法)
(1)成分2、5と成分1、3、4、6、7の一部を90℃に加熱溶解して組成物1を得た。
(2)組成物1と成分37の一部を75℃で混ぜ合わせ組成物2を得た。
(3)組成物2を高圧乳化装置で処理した(加圧直前の温度を70℃またはそれ以上に設定し、その温度またはそれ以上の温度で70MPaまたはそれ以上の圧力で処理した)。
(4)加圧処理後、溶液を15℃もしくはそれ以下の温度に冷却し組成物3を得た。
(5)成分27~29を成分6の一部と混ぜ合わせ80℃に加熱し、さらに80℃に加熱した成分37の一部と混ぜ合わせ均一にして組成物4を得た。
(6)成分8、9、19、26と成分6、7、37の一部を75℃に加熱溶解し、組成物5を得た。
(7)成分1、3、4の一部と成分10~18、20~25、30、34を75℃に加熱溶解し、組成物6を得た。
(8)組成物5と組成物6を75℃で混ぜ合わせ組成物7を得た。
(9)成分31、36と成分37の一部を混ぜ合わせ組成物8を得た。
(10)成分32、33、35を混ぜ合わせ組成物9を得た。
(11)組成物7に組成物3~5、8、9を混ぜ合わせた。
【0104】
処方例5:日焼け止め料1
(成分) (重量%)
1.水添レシチン(成分A) 0.25%
2.コレステロール(成分B) 0.02%
3.ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)(成分C)
0.03%
4.オレイン酸エチル 0.01%
5.トコフェロール 0.001%
6.BG(成分D) 10%
7.ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 2.0%
8.ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン 2.0%
9.ポリシリコーン-15 3.0%
10.メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 8.0%
11.ジカプリン酸プロピレングリコール 3.0%
12.イソノナン酸イソトリデシル 2.0%
13.イソステアリン酸デキストリン 0.1%
14.セトステアリルアルコール 1.0%
15.モノステアリン酸グリセリル 0.1%
16.(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー 2.0%
17.ポリソルベート80 1.0%
18.PEG-10水添ヒマシ油 0.2%
19.カルボマー 0.2%
20.(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー 0.1%
21.グリセリン 1.0%
22.ニコチン酸アミド 3.0%
23.水酸化K 0.12%
24.EDTA-2Na 0.05%
25.セリン 0.1%
26.水(成分E) 残量
27.エタノール 8.0%
28.カプリル酸グリセリル 0.3%
29.フェノキシエタノール 0.1%
30.シリカ(注1) 3.0%
31.香料 0.2%
32.フィトステロール(成分B) 0.03%
(注1)ゴットボールE-90C(鈴木油脂工業社製)
【0105】
(製造方法)
(1)成分1~6、32を90℃に加熱溶解して組成物1を得た。
(2)組成物1と成分26の一部を75℃で混ぜ合わせ組成物2を得た。
(3)組成物2を高圧乳化装置で処理した(加圧直前の温度を70℃またはそれ以上に設定し、その温度またはそれ以上の温度で70MPaまたはそれ以上の圧力で処理した)。
(4)加圧処理後、溶液を15℃もしくはそれ以下の温度に冷却し組成物3を得た。
(5)成分7~18を80℃で加熱溶解して組成物4を得た。
(6)成分19~25と成分26の一部を混ぜ合わせ組成物5を得た。
(7)組成物4と5を75℃で混ぜ合わせ組成物6を得た。
(8)成分27~31を混ぜ合わせ組成物7を得た。
(9)組成物6に組成物3、7を混ぜ合わせた。
【0106】
処方例6:日焼け止め料2
(成分) (重量%)
1.水添レシチン(成分A) 0.25%
2.コレステロール(成分B) 0.1%
3.ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)(成分C)
0.03%
4.オレイン酸エチル 0.01%
5.トコフェロール 0.001%
6.BG(成分D) 10%
7.水添リゾレシチン 1.2%
8.ステアリン酸 0.5%
9.水添ポリイソブテン 5%
10.イソヘキサデカン 5%
11.ジカプリン酸プロピレングリコール 5%
12.メトキシケイ皮酸エチルヘキシル 5%
13.ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 3%
14.ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/
ベヘニル) 1%
15.ステアリルアルコール 2%
16.DPG 20%
17.TEA 0.1%
18.アセチル化ヒアルロン酸ナトリウム 0.1%
19.水酸化Na 0.1%
20.L-アスコルビン酸2-グルコシド 2%
21.リン酸Na 0.1%
22.リン酸2Na 0.1%
23.フェノキシエタノール 0.2%
24.(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー 0.2%
25.キサンタンガム 0.1%
26.ハイドロゲンジメチコン処理微粒子酸化亜鉛(注2) 2%
27.香料 0.1%
28.水(成分E) 残量
29.ジメチルポリシロキサン処理微粒子酸化チタン(注3) 3%
30.ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン 2%
(注2)MZY-505S(テイカ社製)
(注3)SMT-500SAM(テイカ社製)
【0107】
(製造方法)
(1)成分1~6を90℃に加熱溶解して組成物1を得た。
(2)組成物1と成分28の一部を75℃で混ぜ合わせ組成物2を得た。
(3)組成物2を高圧乳化装置で処理した(加圧直前の温度を70℃またはそれ以上に設定し、その温度またはそれ以上の温度で70MPaまたはそれ以上の圧力で処理した)。
(4)加圧処理後、溶液を15℃もしくはそれ以下の温度に冷却し組成物3を得た。
(5)成分7~15、26、29、30を80℃で加熱溶解して組成物4を得た。
(6)成分16~22、24、25と成分28の一部を混ぜ合わせ組成物5を得た。
(7)組成物4と5を75℃で混ぜ合わせ組成物6を得た。
(8)成分23、27を混ぜ合わせ組成物7を得た。
(9)組成物6に組成物3、7を混ぜ合わせた。
【0108】
処方例7:化粧水
(成分) (重量%)
1.水添レシチン(成分A) 0.25%
2.フィトステロール(成分B) 0.04%
3.ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)(成分C)
0.03%
4.オレイン酸エチル 0.01%
5.トコフェロール 0.001%
6.BG(成分D) 10%
7.アルカリゲネス産生多糖体 0.01%
8.セルロースガム 0.01%
9.結晶セルロース 0.01%
10.シロキクラゲエキス 0.01%
11.クエン酸 0.01%
12.クエン酸Na 0.01%
13.ダマスクバラ花水 1%
14.クインスシードエキス 0.1%
15.グリセリン 8%
16.エタノール 4%
17.カプリル酸グリセリル 0.01%
18.カワラヨモギ花エキス 0.01%
19.チョウジエキス 0.01%
20.ラウリン酸ポリグリセリル-10 0.01%
21.香料 0.05%
22.水(成分E) 残量
【0109】
(製造方法)
(1)成分1~5と成分6の一部を90℃に加熱溶解して組成物1を得た。
(2)組成物1と成分22の一部を75℃で混ぜ合わせ組成物2を得た。
(3)組成物2を高圧乳化装置で処理した(加圧直前の温度を70℃またはそれ以上に設定し、その温度またはそれ以上の温度で70MPaまたはそれ以上の圧力で処理した)。
(4)加圧処理後、溶液を15℃もしくはそれ以下の温度に冷却し組成物3を得た。
(5)成分6の一部と成分7から10を混ぜ合わせ80℃に加熱し、さらに80℃に加熱した成分22の一部と混ぜ合わせ均一にして組成物4を得た。
(6)成分11~15を成分22の一部に溶解し、組成物5を得た。
(7)成分16~21を混ぜ合わせ、組成物6を得た。
(8)組成物5に、組成物3、4、6を混ぜ合わせた。
【0110】
以上、本願明細書では、本発明の内容を表現するために、本発明の実施形態及びその実施例の説明を行った。ただし、本発明は、上記実施形態及び実施例に限定されるものではなく、本願明細書に記載された事項に基づいて当業者が自明な変更形態や改良形態を包含するものである。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は、化粧料用組成物及びその製造方法に関する。従って、本発明は、化粧品の製造業において好適に利用し得る。