(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022114453
(43)【公開日】2022-08-05
(54)【発明の名称】ベビーキャリア
(51)【国際特許分類】
A47D 13/02 20060101AFI20220729BHJP
【FI】
A47D13/02
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022008804
(22)【出願日】2022-01-24
(31)【優先権主張番号】202110107661.4
(32)【優先日】2021-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】517042092
【氏名又は名称】ワンダーランド スイツァーランド アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファン、メイフェン
(57)【要約】
【課題】適切な調整を行うことができるベビーキャリアの提供。
【解決手段】本発明のベビーキャリアは、使用者の体に装着可能な背負アセンブリと、背負アセンブリに接続される支持シートと、を含み、背負アセンブリは、腰部材及び2つの肩ベルト部材を含み、肩ベルト部材の前端は、支持シートの上部に接続され、肩ベルト部材の後端は、支持シートの中間部に接続され、2つの肩ベルト部材は、交差状をなすように肩ベルト固定部材をスライド可能に通過し、肩ベルト部材は、肩ベルト固定部材により使用者の背部で交差状をなし、肩ベルト固定部材のスライドによって2つの肩ベルト部材の交差位置を調整し、腰部材は、支持シートの下部に接続される。肩幅や身長の異なる使用者は、本発明に係るベビーキャリアを使用する場合、自身の体型に応じて交差位置を適切に調整することができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の体に装着可能な背負アセンブリと、前記背負アセンブリに接続され、赤ちゃんを載せるための支持シートと、を含むベビーキャリアであって、
前記背負アセンブリは、
前記支持シートの下部に接続される腰部材と、
前端が前記支持シートの上部に接続され、後端が前記支持シートの中間部に接続される2つの肩ベルト部材と、を含み、
2つの前記肩ベルト部材は、交差状をなすように肩ベルト固定部材をスライド可能に通過し、
2つの前記肩ベルト部材は、前記肩ベルト固定部材により使用者の背部で交差状をなし、
前記肩ベルト固定部材のスライドによって2つの前記肩ベルト部材の交差位置を調整する、
ことを特徴とするベビーキャリア。
【請求項2】
前記肩ベルト固定部材は、
互いに交差状を形成するとともに、2つの前記肩ベルト部材が対応してスライド可能に通過する通路を備え、
2つの前記肩ベルト部材は、対応して前記通路を通過して交差状をなす、
ことを特徴とする請求項1に記載のベビーキャリア。
【請求項3】
前記肩ベルト固定部材は、中空構造を形成し、
前記肩ベルト固定部材には、交差する2つの方向においてそれぞれ前記中空構造を貫通する貫通口が設けられ、
同一の肩ベルト部材は、対向する2つの貫通口を通過する、
ことを特徴とする請求項1に記載のベビーキャリア。
【請求項4】
前記肩ベルト固定部材は、菱形構造を形成する、
ことを特徴とする請求項1に記載のベビーキャリア。
【請求項5】
前記菱形構造の大きな内角は、95°~115°である、
ことを特徴とする請求項4に記載のベビーキャリア。
【請求項6】
前記肩ベルト固定部材は、TPE材質である、
ことを特徴とする請求項1に記載のベビーキャリア。
【請求項7】
前記肩ベルト固定部材の内側面には、ABS材料層が被覆される、
ことを特徴とする請求項1に記載のベビーキャリア。
【請求項8】
前記支持シートの上部と2つの前記肩ベルト部材の前端は、一体式構造を形成する、
ことを特徴とする請求項1に記載のベビーキャリア。
【請求項9】
前記支持シートの上部の両端は、それぞれ独立的に延びることによって2つの前記肩ベルト部材を形成する、
ことを特徴とする請求項8に記載のベビーキャリア。
【請求項10】
前記支持シートの上部と2つの前記肩ベルト部材の前端は、縫製によって固定的に接続されて一体式構造を形成する、
ことを特徴とする請求項8に記載のベビーキャリア。
【請求項11】
前記支持シートの上部と2つの前記肩ベルト部材の前端は、着脱可能な構造を形成する、
ことを特徴とする請求項1に記載のベビーキャリア。
【請求項12】
前記肩ベルト部材は、長さ調整可能な構造を形成する、
ことを特徴とする請求項1に記載のベビーキャリア。
【請求項13】
前記肩ベルト部材の前端は、長さ調整可能で且つスナップフィット接続可能な第1固定バックルによって前記支持シートの上部に着脱可能に接続される、
ことを特徴とする請求項11に記載のベビーキャリア。
【請求項14】
前記肩ベルト部材の後端は、長さ調整可能で且つスナップフィット接続可能な第2固定バックルによって前記支持シートの中間部に着脱可能に接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載のベビーキャリア。
【請求項15】
前記腰部材の両端は、長さ調整可能で且つスナップフィット接続可能な第3固定バックルによって着脱可能に接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載のベビーキャリア。
【請求項16】
前記腰部材と前記支持シートの下部との接続部位には、前記支持シートの幅及び高さを調整するための調整固定バックルが設けられ、
前記調整固定バックルは、ロック状態及びロック解除状態を有し、
前記調整固定バックルが前記ロック状態になる場合の前記支持シートの幅及び高さは、前記調整固定バックルが前記ロック解除状態になる場合よりも小さい、
ことを特徴とする請求項1に記載のベビーキャリア。
【請求項17】
前記調整固定バックルは、引き紐、互いに配合されるボタンと固定リング、プラグバックル、スナップ又はベルクロ(登録商標)のいずれかの1つである、
ことを特徴とする請求項16に記載のベビーキャリア。
【請求項18】
前記背負アセンブリは、前記腰部材に接続される遷移バックルをさらに含み、
前記肩ベルト部材の後端は、前記遷移バックルをスライド可能に通過してその方向を変えた後、前記支持シートの中間部に接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載のベビーキャリア。
【請求項19】
前記肩ベルト部材の後端には、前記腰部材をスライド可能に通過するウェビング構造が設けられる、
ことを特徴とする請求項18に記載のベビーキャリア。
【請求項20】
前記背負アセンブリは、側肩ベルトをさらに含み、
前記側肩ベルトは、前端が前記支持シートの上部に接続され、後端が前記肩ベルト部材の後端にスライド可能に接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載のベビーキャリア。
【請求項21】
前記背負アセンブリは、スライディングバックルをさらに含み、
前記スライディングバックルは、前記肩ベルト部材の後端にスライド可能に通過するように設置され、前記側肩ベルトの後端に接続される、
ことを特徴とする請求項20に記載のベビーキャリア。
【請求項22】
前記側肩ベルトと前記支持シートとは、一体式構造を形成する、
ことを特徴とする請求項20に記載のベビーキャリア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳幼児用品の技術分野に関し、特に、調整可能なベビーキャリアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のベビーキャリアは、抱っこの仕方によって横抱き式、前向き抱き式、後向き抱き式などに分類することができる。ここで、前向きベビーキャリアは、操作が簡単で、赤ちゃんの様子をタイムリーに観察することができるなどの利点を有するので、最も一般的に使用されている。
【0003】
前向きベビーキャリアは、長期間の使用に伴って、赤ちゃんの体重により前方に引っ張られるので、使用者の肩部に大きな荷重がかかる。肩ベルト部材を背部で交差させることによってクロスタイプのベビーキャリアを形成することで、使用者の肩部にかかる荷重を背部にうまく分散させることができる。これにより、使用者の肩部への負担及び長時間の使用による疲労感を軽減することができる。このような肩ベルト部材は、使用者の肩部に過度の荷重がかかるという問題を解決したが、肩幅や身長の異なる使用者に対して、このようなクロスタイプの肩ベルト部材は、その交差点の位置が移動できないので、肩ベルト部材の位置を調整することができない。これにより、肩幅や身長の異なる使用者は、交差点の位置を最適な位置に調整したり固定したりすることができないので、使用者の負担を軽減する目的を達成することができない。
【0004】
これに対して、当該業界では、使用者への赤ちゃんの荷重が肩部、背部及び腰部によって分担させる設計のみが、最も実用的で使用を促進しやすいベビーキャリアであると常に信じられている。
【0005】
したがって、異なる使用者の異なる体型に応じて、使用者の肩部、背部及び腰部に同時に均等な力がかけられるように、適切な調整を行うことができるベビーキャリアが緊急に必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、異なる使用者の異なる体型に応じて、使用者の肩部、背部及び腰部に同時にかかる力を均等化するように、適切な調整を行うことができるベビーキャリアを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を実現するために、本発明は、ベビーキャリアを提供する。前記ベビーキャリアは、使用者の体に装着可能な背負アセンブリと、背負アセンブリに接続され且つ赤ちゃんを載せるための支持シートと、を含み、背負アセンブリは、腰部材及び2つの肩ベルト部材を含み、肩ベルト部材の前端は、支持シートの上部に接続され、肩ベルト部材の後端は、支持シートの中間部に接続され、2つの肩ベルト部材は、交差状をなすように肩ベルト固定部材をスライド可能に通過し、肩ベルト部材は、肩ベルト固定部材によって使用者の背部において交差状をなし、肩ベルト固定部材のスライドによって2つの肩ベルト部材の交差位置を調整し、腰部材は、支持シートの下部に接続される。
【0008】
従来技術に比べて、本発明に係るベビーキャリアの肩ベルト部材は、肩ベルト固定部材によって使用者の背部で交差状をなし、前記交差状構造は、使用者の肩部にかかる荷重を背部にうまく分散させるだけでなく、肩ベルト部材のずり落ちの発生を効果的に防止し、前向きベビーキャリアの使用の安定性及び強固性を向上させ、赤ちゃんをより安定な位置に維持することを確保することによって、赤ちゃんの安全を確保する一方で、本発明に係るベビーキャリアは、肩ベルト固定部材のスライドによって2つの肩ベルト部材の交差位置を調整することによって、肩幅や身長の異なる使用者が自身の実際の状況に応じて2つの肩ベルト部材の交差位置を適切に調整することで、2つの肩ベルト部材の交差位置が調整可能になるとともに、使用者自身の条件に適した耐荷重位置に固定されることができる。これにより、使用者の肩部、背部及び腰部に同時にかかる力が均等化され、使用者の肩部への負担を軽減し、使用者の疲労感が出る時間を遅延させることができる。
【0009】
好ましくは、本発明に係る肩ベルト固定部材は、互いに交差状を形成し、且つ2つの肩ベルト部材が対応してスライド可能に通過する2つの通路を有し、2つの肩ベルト部材は、対応して通路を通過して交差状をなす。
【0010】
好ましくは、本発明に係る肩ベルト固定部材は、中空構造を形成し、肩ベルト固定部材には、交差する2つの方向においてそれぞれ中空構造を貫通する貫通口が設けられ、同一の肩ベルト部材が対向する2つの貫通口を通過する。
【0011】
好ましくは、本発明に係る肩ベルト固定部材は、菱形構造をなす。
【0012】
好ましくは、本発明に係る肩ベルト固定部材の菱形構造は、大きな内角が95°~115°であり、好ましくは105°である。
【0013】
好ましくは、本発明に係る肩ベルト固定部材は、TPE材質である。肩ベルト固定部材は、使用者の快適性及び構造の安定性を兼ね備えるように、可撓性及び剛性を両立するTPE材質を選択する。
【0014】
好ましくは、本発明に係る肩ベルト固定部材の内側面には、ABS材料層が被覆される。肩ベルト固定部材は、肩ベルト固定部材の剛性が補強されるように、肩ベルト交差部に近接する内側面の部位にABS材料層が被覆されることによって、肩ベルト固定部材の構造の硬度を向上させ、ベビーキャリアの強固性及び耐久性を向上させる。
【0015】
好ましくは、本発明に係る支持シートの上部と2つの肩ベルト部材の前端とは、一体式構造を形成する。前記一体式構造によって、バックルの使用が低減されるので、ベビーキャリア全体の構造をより簡単にし、収納及び携帯が容易になる。
【0016】
好ましくは、本発明に係る支持シートの上部の両端は、それぞれ独立的に延びることによって2つの肩ベルト部材を形成する。
【0017】
好ましくは、本発明に係る支持シートの上部と2つの肩ベルト部材の前端とは、縫製を介して固定して接続されることにより一体式構造を形成する。
【0018】
好ましくは、本発明に係る支持シートの上部及び2つの肩ベルト部材の前端は、着脱可能な構造を形成することができる。
【0019】
好ましくは、本発明に係る肩ベルト部材は、長さ調整可能な構造を形成する。肩幅や身長の異なる使用者は、自身の実際の状況に応じて肩ベルト部材の長さを適切に調整することによって、最適な使用姿勢を実現することができる。
【0020】
好ましくは、本発明に係る肩ベルト部材の前端は、長さ調整可能で且つスナップフィット(snap-fit)接続可能な第1固定バックル(buckle)によって、支持シートの上部に着脱可能に接続される。前記第1固定バックルは、使用者が支持シートの上部を2つの肩ベルト部材の前端と便利且つ迅速に取り外して分離させることを便利にし、使用時に、赤ちゃんを体の前に抱っこしてから、支持シートで赤ちゃんを被覆して第1固定バックルを閉合すればよいので、一人で赤ちゃんに対する背負う操作の全過程を完了させることができる。
【0021】
好ましくは、本発明に係る肩ベルト部材の後端は、長さ調整可能で且つスナップフィット接続可能な第2固定バックルによって、支持シートの中間部に着脱可能に接続される。
【0022】
好ましくは、本発明に係る腰部材の両端は、長さ調整可能で且つスナップフィット接続可能な第3固定バックルによって、着脱可能に接続される。
【0023】
好ましくは、本発明に係る腰部材と支持シートの下部との接続部位には、支持シートの幅及び高さを調整するための調整固定バックルが設けられる。調整固定バックルは、ロック状態及びロック解除状態を有する。調整固定バックルがロック状態になる場合の前記支持シートの幅及び高さは、調整固定バックルがロック解除状態になる場合よりも小さい。前記調整固定バックルは、異なる年齢帯の赤ちゃんの体型の変化に合わせて支持シートの幅及び高さを適切に調整することによって、赤ちゃんの体型によりフィットさせ、特に、赤ちゃんの臀部及び腿部に対する支持をより強固にし、赤ちゃんへより安全且つ快適な乗り心地を提供することができる。
【0024】
好ましくは、本発明に係る調整固定バックルは、引き紐、互いに嵌合するボタンと固定リング、プラグバックル(plug buckle)、スナップ又はベルクロ(登録商標)のいずれかである。
【0025】
好ましくは、本発明に係る背負アセンブリは、遷移バックル(transition buckle)をさらに含む。遷移バックルは、腰部材に接続される。肩ベルト部材の後端は、遷移バックルをスライド可能に通過して方向を変えた後、支持シートの中間部に接続される。肩ベルト部材の後端は、遷移バックルを介して腰部材に過渡的に接続されることによって、使用者の背部に被覆された肩ベルト部材の力を受ける面積をより大きくし、使用者の肩部及び腰部にかかる負担をさらに軽減することで、使用者の肩部、背部及び腰部に同時にかかる力をさらに均等化することができる。
【0026】
好ましくは、本発明に係る肩ベルト部材の後端は、ウェビング構造を形成し、ウェビング構造は、腰部材をスライド可能に通過する。
【0027】
好ましくは、本発明に係る背負アセンブリは、側肩ベルトをさらに含む。側肩ベルトの前端は、支持シートの上部に接続され、側肩ベルトの後端は、肩ベルト部材の後端にスライド可能に接続される。側肩ベルトは、さらに支持シートと肩ベルト部材との接続を補強し、赤ちゃんがベビーキャリアの側面からずり落ちることを効果的に防止することによって、赤ちゃんの安全をさらに確保することができる。
【0028】
好ましくは、本発明に係る背負アセンブリは、スライディングバックルをさらに含む。スライディングバックルは、肩ベルト部材の後端をスライド可能に通過し、スライディングバックルは、側肩ベルトの後端に接続される。
【0029】
好ましくは、本発明に係る側肩ベルトと支持シートは、一体式構造を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明に係るベビーキャリアの第1実施例の正面構造を示す模式図である。
【
図2】本発明に係るベビーキャリアの第1実施例の裏面構造を示す模式図である。
【
図3】本発明に係るベビーキャリアの第1実施例の側面構造を示す模式図である。
【
図4】本発明に係るベビーキャリアの調整固定バックルのロック解除状態を示す模式図である。
【
図5】本発明に係るベビーキャリアの調整固定バックルのロック状態を示す模式図である。
【
図6】本発明に係るベビーキャリアの第1実施例の裏面の展開状態を示す模式図である。
【
図7】本発明に係る肩ベルト固定部材の正面構造を示す模式図である。
【
図8】本発明に係る肩ベルト固定部材の裏面構造を示す模式図である。
【
図9】本発明に係るベビーキャリアの第2実施例の正面構造を示す模式図である。
【
図10】本発明に係るベビーキャリアの第2実施例の裏面構造を示す模式図である。
【
図11】本発明に係るベビーキャリアの第2実施例の側面構造を示す模式図である。
【
図12】本発明に係るベビーキャリアの第3実施例の側面構造を示す模式図である。
【
図13】本発明に係るベビーキャリアの第3実施例の裏面構造を示す模式図である。
【
図14】
図13における遷移バックルとスライディングバックルとの接続の部分拡大模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の技術内容及び構造的特徴を詳細に説明するために、実施形態を組み合わせて図面を参照しながらさらに説明する。
【0032】
図1~
図3及び
図6に示すように、本発明に係るベビーキャリア100は、使用者の体に装着可能な背負アセンブリ1と、背負アセンブリ1に接続されるとともに、赤ちゃんを載せるための支持シート2と、を含む。背負アセンブリ1は、腰部材13及び2つの肩ベルト部材11を含む。肩ベルト部材11の前端は、支持シート2の上部に接続される。肩ベルト部材11の後端は、支持シート2の中間部に接続される。2つの肩ベルト部材11は、交差状を形成するように肩ベルト固定部材12をスライド可能に通過する。肩ベルト部材11は、肩ベルト固定部材12によって使用者の背部において交差状に設置される。肩ベルト固定部材12のスライドによって、2つの肩ベルト部材11の交差位置を調整するとともに、2つの肩ベルト部材11の間の距離を調整することができる。腰部材13は、支持シート2の下部に接続される。本発明は、交差状構造を有する肩ベルト部材11を設置することによって、使用者の肩部にかかる荷重を背部にうまく分散させるだけでなく、肩ベルト部材11のずり落ちの発生を効果的に防止し、安全性及び信頼性を向上させる。また、肩ベルト固定部材12のスライドによって、2つの肩ベルト部材11の交差位置をリアルタイムで調整することができる。肩幅や身長の異なる使用者は、自身の実際の状況に応じて2つの肩ベルト部材11の交差位置に対して適切に調整することによって、2つの肩ベルト部材11の交差位置を調整可能になるとともに、使用者自身の条件に適した耐荷重位置に固定させる。これにより、使用者の肩部、背部及び腰部に同時にかかる力を均等化し、使用者の肩部への負担を軽減し、使用者の疲労感が出る時間を遅延させることができる。
【0033】
図2及び
図6に示すように、具体的に、肩ベルト固定部材12は、互いに交差状を形成するとともに、2つの肩ベルト部材11が対応してスライド可能に通過される2つの通路を有する。2つの肩ベルト部材11は、対応して通路を通過して交差状を形成する。好ましくは、肩ベルト固定部材12は、中空構造を形成する。肩ベルト固定部材12には、交差する2つの方向において、それぞれ中空構造を貫通する4つの貫通口が設置される。前記4つの貫通口は、それぞれ第1貫通口121、第2貫通口122、第3貫通口123及び第4貫通口124を備える。ここで、第1貫通口121は、第2貫通口122に対向し、第3貫通口123は、第4貫通口124に対向する。対向する2つの貫通口は、同じ1つの肩ベルト部材11を通過させるためのものである。
【0034】
図7及び
図8に示すように、具体的に、本発明に係る肩ベルト固定部材12は、菱形構造を形成する。より具体的に、本発明に係る肩ベルト固定部材12の菱形構造の大きな内角は、105°である。肩ベルト固定部材12は、使用者の快適性及び構造の安定性を兼ね備えるように、可撓性及び剛性を両立する材質を選択することができる。具体的に、肩ベルト固定部材12は、肩ベルト部材11が交差する箇所に近接する部位での剛性を補強する必要がある。例えば、本発明に係る肩ベルト固定部材12は、TPE(熱可塑性エラストマー)材質を使用することができる。肩ベルト固定部材12の内側面にABS材料層125を被覆させることによって、肩ベルト固定部材12の構造の硬度を向上させるので、ベビーキャリア100の強固性及び耐久性を向上させる。
【0035】
図1及び
図6に示すように、具体的に、肩ベルト部材11は、長さ調整可能な構造を形成する。異なる肩幅や身長を有する使用者は、自身の実際の状況に応じて肩ベルト部材11の長さを適切に調整することによって、最適な使用姿勢を実現することができる。具体的に、支持シート2の上部と2つの肩ベルト部材11の前端は、着脱可能な構造を形成することができる。より具体的に、肩ベルト部材11の前端は、長さ調整可能で且つスナップフィット接続可能な第1固定バックル111によって支持シート2の上部に着脱可能に接続される。具体的に、第1固定バックル111は、オスバックル111aと、オスバックル111aにスナップフィット接続可能なメスバックル111bと、を含む。支持シート2の上部の両端は、それぞれオスバックル111aに接続される。オスバックル111aの底部には、日字状のバックル113(当該日字状のバックル113は、一般的に使用されるウェビングの長さ調整バックルである。)が接続される。オスバックル111aにスナップフィット接続されるメスバックル111bは、2つの肩ベルト部材11の前端に固定される。オスバックル111aとメスバックル111bのスナップフィット接続によって、支持シート2の上部が2つの肩ベルト部材11の前端に着脱可能に接続されることを実現することができる。より具体的に、日字状のバックル113には、ウェビング構造114が接続される。日字状のバックル113がウェビング構造114においてスライドすることによって、支持シート2の上部と肩ベルト部材11の前端との間の接続長さを調整することができる。勿論、第1固定バックル111は、プラグバックル、スナップ、ベルクロ(登録商標)、固定バックル及び固定孔などの便利で実用性が高いバックルであってもよい。前記第1固定バックル111は、使用者が支持シート2の上部を2つの肩ベルト部材11の前端から迅速に取り外して分離させることが便利になるように、使用時に、赤ちゃんを体の前に抱っこしてから、支持シート2で赤ちゃんを被覆して、第1固定バックル111を閉合すればよいので、一人で赤ちゃんに対する背負う操作の全過程を完了させることができる。
【0036】
図3及び
図4に示すように、肩ベルト部材11の後端及び腰部材13の一端は、ウェビング構造114を形成する。肩ベルト部材11の後端は、長さ調整可能で且つスナップフィット接続可能な第2固定バックル112によって支持シート2の中間部に着脱可能に接続される。腰部材13の両端は、長さ調整可能で且つスナップフィット接続可能な第3固定バックル131によって着脱可能に接続される。具体的に、第2固定バックル112は、オスバックル112aと、オスバックル112aにスナップフィット接続可能なメスバックル112bと、を含む。2つの肩ベルト部材11の後端は、それぞれ日字状のバックル113を介してオスバックル112aに接続される。日字状のバックル113がウェビング構造114においてスライドすることによって、肩ベルト部材11の長さを調整することができる。オスバックル112aにスナップフィット接続されるメスバックル112bは、支持シート2の中間部の両側に固定される。オスバックル112aとメスバックル112bとの間のスナップフィット接続によって、肩ベルト部材11の後端と支持シート2の中間部との間の着脱可能な接続を実現することができる。第3固定バックル131は、オスバックル131aと、オスバックル131aにスナップフィット接続されるメスバックル131bと、を含む。腰部材13の一端は、日字状のバックル113を介してオスバックル131aに接続される。日字状のバックル113がウェビング構造114においてスライドすることによって、腰部材13の長さを調整することができる。オスバックル131aにスナップフィット接続されるメスバックル131bは、腰部材13の他端に固定される。オスバックル131aとメスバックル131bとの間のスナップフィット接続によって、腰部材13の両端が着脱可能に接続されることを実現することができる。勿論、第2固定バックル112及び第3固定バックル131は、プラグバックル、スナップ、ベルクロ(登録商標)、固定バックル及び固定孔などの便利で実用性が高いバックルであってもよい。
【0037】
図4及び
図5に示すように、本発明に係る腰部材13と支持シート2の下部との接続部位には、支持シート2の幅及び高さを調整するための調整固定バックル132が設けられる。調整固定バックル132は、ロック状態及びロック解除状態を有する。調整固定バックル132がロック状態になる場合の支持シート2の幅及び高さは、調整固定バックル132がロック解除状態になる場合よりも小さく形成されることができる。
図4に示すように、調整固定バックル132は、ロック解除状態になり、支持シート2の下部の幅及び高さは、いずれも大きいので、体型が大きい赤ちゃんを被覆することができる。
図5に示すように、調整固定バックル132は、ロック状態になると、支持シート2の下部の幅及び高さは、いずれも小さくなるので、体型が小さい赤ちゃんにも適用されることができる。より具体的に、調整固定バックル132は、引き紐1321と、互いに嵌合するボタン1322及び固定リング1323と、を含むことができる。ボタン1322が固定リング1323内にロックされた場合、引き紐1321を引くことにより支持シート2を折り畳ませることで、前記支持シート2の幅及び高さを小さくすることができる。ボタン1322が固定リング1323から離脱してそのロックが解除される場合、支持シート2は、元の幅及び高さに復帰される。勿論、調整固定バックル132は、プラグバックル、スナップ又はベルクロ(登録商標)などの便利で実用性が高いバックルであってもよい。前記調整固定バックル132によって、異なる年齢帯の赤ちゃんの体型の変化に合わせて支持シート2の幅及び高さを適切に調整することで、赤ちゃんの体型によりフィットさせ、特に、赤ちゃんの臀部及び腿部に対する支持をより強固にし、赤ちゃんへより安全且つ快適な乗り心地を提供することができる。
【0038】
本発明に係るベビーキャリア100の肩ベルト部材11は、肩ベルト固定部材12によって使用者の背部において交差状を形成する。前記交差状の構造は、使用者の肩部にかかる荷重を背部にうまく分散させるだけでなく、肩ベルト部材11のずり落ちの発生を効果的に防止し、前向きベビーキャリアの使用の安定性及び強固性を向上させることができる。これにより、赤ちゃんをより安定な位置に維持することを確保することで、赤ちゃんの安全を確保することができる。一方、本発明に係るベビーキャリア100は、肩ベルト固定部材12のスライドによって2つの肩ベルト部材11の交差位置を調整することができるので、肩幅や身長の異なる使用者が自身の実際の状況に応じて2つの肩ベルト部材11の交差位置を適切に調整することによって、2つの肩ベルト部材11の交差位置を調整可能にするとともに、使用者自身の条件に適した耐荷重位置に固定させることができる。これにより、使用者の肩部、背部及び腰部に同時にかかる力が均等化され、使用者の肩部への負担を軽減し、使用者の疲労感が出る時間を遅延させることができる。
【0039】
図9~
図11に示すように、本発明の第2実施例に係る支持シート2の上部と2つの肩ベルト部材11’の前端は、一体式構造を形成する。支持シート2の上部の両端は、それぞれ独立的に延びることによって2つの肩ベルト部材11’を構成する。使用時に、2つの肩ベルト部材11’は、前方に巻き掛けられるとともに、長さ調整可能で且つスナップフィット接続可能な第2固定バックル112によって支持シート2の中間部に着脱可能に接続される。勿論、支持シート2の上部及び2つの肩ベルト部材11’の前端は、縫製により固定的に接続されることで、一体式構造を形成することもできるが、支持シート2の上部と2つの肩ベルト部材11’の前端が一体式構造を形成することを実現するための方式は、これに限定されない。前記一体式構造によって、バックルアセンブリの使用を低減することで、ベビーキャリア100全体の構造をより簡単にし、収納及び携帯を容易にすることができる。
【0040】
図12~
図14に示すように、本発明の第3実施例に係る背負アセンブリ1は、遷移バックル133と、スライディングバックル15と、側肩ベルト14と、をさらに含む。遷移バックル133は、腰部材13に接続される。肩ベルト部材11の後端は、遷移バックル133をスライド可能に通過してその延長方向を変えた後、支持シート2の中間部に接続される。スライディングバックル15は、肩ベルト部材11の後端にスライド可能に通過するように設置される。スライディングバックル15は、側肩ベルト14の後端に接続される。側肩ベルト14の前端は、支持シート2の上部に接続される。側肩ベルト14の後端は、スライディングバックル15を介して肩ベルト部材11の後端にスライド可能に接続される。具体的に、側肩ベルト14と支持シート2は、一体式構造を形成する。肩ベルト部材11の後端は、遷移バックル133を介して腰部材13に過渡的に接続されることによって、使用者の背部に覆われる肩ベルト部材11における力を受ける面積をより大きくすることができる。これにより、使用者の肩部及び腰部への負担をさらに軽減することで、使用者の肩部、背部及び腰部に同時にかかる力をさらに均等化させることができる。側肩ベルト14は、支持シート2と肩ベルト部材11との接続をさらに補強することによって、赤ちゃんがベビーキャリア100の側面からずり落ちることを効果的に防止することができる。これにより、赤ちゃんの安全をさらに確保することができる。具体的に、肩ベルト部材11の後端は、ウェビング構造114を形成する。ウェビング構造114は、腰部材13をスライド可能に通過する。
【0041】
図1~
図14に示すように、本発明に係るベビーキャリア100の肩ベルト部材11は、肩ベルト固定部材12によって使用者の背部において交差状を形成するので、使用者の肩部にかかる荷重を背部にうまく分散させるだけでなく、肩ベルト部材11のずり落ちの発生を効果的に防止し、前向きベビーキャリアの使用の安定性及び強固性を向上させることができる。これにより、赤ちゃんをより安定な位置に維持することを確保することで、赤ちゃんの安全を確保することができる。一方で、本発明に係るベビーキャリア100は、肩ベルト固定部材12のスライドによって2つの肩ベルト部材11の交差位置を調整することができるので、肩幅や身長の異なる使用者が自身の実際の状況に応じて2つの肩ベルト部材11の交差位置を適切に調整することによって、使用者の肩部、背部及び腰部に同時にかかる力を均等化させ、使用者の肩部への負担を軽減し、使用者の疲労感が出る時間を遅延させることができる。第1固定バックル111、第2固定バックル112及び第3固定バックル131におけるオスバックルとメスバックルとの間のスナップフィット接続によって、各部材の間を便利且つ迅速に取り外して分離させることを実現することができる。これにより、前記ベビーキャリア100を利用して赤ちゃんを背負う操作及び抱っこする操作をより容易且つ迅速に行うことができ、また、調整固定バックル132によって、異なる年齢帯の赤ちゃんの体型の変化に合わせて支持シート2の幅及び高さを適切に調整することができるので、ベビーキャリア100の汎用性がより高くなる。
【0042】
以上は、本発明の好ましい実施例に過ぎず、これによって本発明の範囲を限定するためのものではない。したがって、本発明の特許請求の範囲に基づく均等な変更は、すべて本発明の範囲に属する。