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特開2022-114460デジタル制御ループの高速収束および挙動制御のための方法および装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022114460
(43)【公開日】2022-08-05
(54)【発明の名称】デジタル制御ループの高速収束および挙動制御のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   H03G 3/20 20060101AFI20220729BHJP
【FI】
H03G3/20 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022009418
(22)【出願日】2022-01-25
(31)【優先権主張番号】17/158,974
(32)【優先日】2021-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516132747
【氏名又は名称】メイコム テクノロジー ソリューションズ ホールディングス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バシリス・パパニコラウ
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ・エル・バリア
【テーマコード(参考)】
5J100
【Fターム(参考)】
5J100JA01
5J100LA09
5J100LA11
5J100LA12
5J100LA13
5J100QA01
5J100SA02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】動的ステップサイズ又は可変カウンタサイズを使用して制御ループ収束の速度を増大させる自動利得制御システム及び方法を提供する。
【解決手段】システムは、増幅器出力を基準値と比較し、比較に応答して誤差信号を出力する誤差検出器と、経時的な誤差検出器出力を反映するカウンタ値を維持し、カウンタ値がカウンタサイズに達したことに応答して、利得制御信号を出力するカウンタサイズを有するカウンタと、を有し、誤差検出器信号を経時的に追跡し、誤差検出器信号が所定のパターンを満たしたことに応答して、カウンタサイズ制御信号をカウンタに提供してカウンタサイズを低減し、増幅器出力が基準値に達するのに必要な時間を低減する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可変増幅器の利得を制御するためのシステムであって、
増幅器出力を基準値と比較し、比較に応答して誤差信号を出力するように構成された誤差検出器と、
経時的な前記誤差検出器出力を反映するカウンタ値を維持し、前記カウンタ値が前記カウンタサイズに達したことに応答して、利得制御信号を出力するように構成された、カウンタサイズを有するカウンタと、
前記誤差検出器信号を経時的に追跡し、前記誤差検出器信号が所定のパターンを満たしたことに応答して、カウンタサイズ制御信号を前記カウンタに提供して前記カウンタサイズを低減し、前記増幅器出力が前記基準値に達するのに必要な時間を低減するように構成された誤差検出器信号モニタと
を備える、システム。
【請求項2】
前記基準値は、理想的な増幅器出力の大きさを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
ループステートマシンおよびデジタル-アナログ変換器をさらに備え、前記ループステートマシンは、前記利得制御信号を、前記デジタル-アナログ変換器に提供されるデジタル利得制御値に変換するように構成され、前記デジタル-アナログ変換器は、前記デジタル利得制御値を、前記可変増幅器に提供されるアナログ利得制御信号に変換する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記誤差検出器信号が前記所定のパターンを満たさないことに応答して、前記誤差検出器信号モニタは、前記カウンタサイズを増大させるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記カウンタサイズを増大させることは、前記カウンタサイズを最大カウンタサイズにリセットすることを含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
可変利得増幅器の利得を制御するための方法であって、
可変利得増幅器出力信号を基準値と比較して、前記可変利得増幅器出力信号が前記基準値よりも大きいかまたは小さいかを判定するステップと、
前記可変利得増幅器出力信号が前記基準値よりも大きいことに応答して、アップ信号を生成するステップと、
前記可変利得増幅器出力信号が前記基準値よりも小さいことに応答して、ダウン信号を生成するステップと、
アップ信号に応答し、および、ダウン信号に応答して、カウンタを更新するステップと、
所定のパターンに関連する複数のアップ信号およびダウン信号を追跡するステップと、
前記カウンタが最大カウンタ値または最小カウンタ値に達したことに応答して、前記可変利得増幅器の前記利得を調整するためにカウンタ出力信号を出力するステップと、
前記所定のパターンに関連する前記複数のアップ信号およびダウン信号が前記所定のパターンを満たすのに応答して、前記カウンタのサイズを変更するステップと
を含む、方法。
【請求項7】
前記基準値は、理想的な増幅器出力の大きさを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
アップ信号およびダウン信号に応答してカウンタを更新するステップは、アップ信号に応答してカウンタ値をインクリメントするステップと、ダウン信号に応答して前記カウンタ値をデクリメントするステップとを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記追跡するステップは、前記誤差検出器からの一連の先行信号を監視するステップと、前記誤差検出器からの前記一連の先行信号が前記所定のパターンと一致する場合に前記カウンタサイズを低減するように、前記一連の先行信号を前記所定のパターンと比較するステップとを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記カウンタサイズは、前記カウンタがカウンタ出力を出力する前に到達しなければならない最大カウンタ値である、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記パターンは、所定の連続する複数のアップ信号または所定の連続する複数のダウン信号である、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
前記パターンは、所定数のアップ信号およびダウン信号に関連する、所定数のアップ信号または所定の連続する複数のダウン信号である、請求項6に記載の方法。
【請求項13】
前記カウンタ値が前記カウンタサイズ値または所定のカウンタ最小値に達したことに応答して、前記カウンタをカウンタ中間値にリセットするステップをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項14】
制御ループの基準値への収束を制御するシステムであって、
前記制御ループの制御下で、出力信号を生成するように構成されたデバイスと、
比較器であって、
前記出力信号を基準値と比較し、
前記出力信号が前記基準値よりも小さいことに応答して、アップ信号を出力し、
前記出力信号が前記基準値よりも大きいことに応答して、ダウン信号を出力するように構成されている、比較器と、
カウンタ最大値およびカウンタ最小値を定義するカウンタサイズを有するカウンタであって、前記カウンタが利得制御値を出力するように、アップ信号に応答してインクリメントされ、ダウン信号に応答してデクリメントされるカウンタ値を維持するように構成されている、カウンタと、
アップ/ダウン信号追跡器であって、
アップ信号およびダウン信号のパターンを追跡し、前記パターンを1つ以上の所定のパターンと比較し、
前記アップ信号および前記ダウン信号が前記1つ以上の所定のパターンのうちの1つに一致することに応答して、前記カウンタサイズを変更するように構成されている、アップ/ダウン信号追跡器と
を備える、システム。
【請求項15】
前記アップ/ダウン信号追跡器は、メモリと、1つ以上の比較器とを備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記カウンタサイズを変更することが、前記カウンタのサイズを低減するために制御信号を前記カウンタに送信することを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記制御ループの制御下にある前記デバイスが可変利得増幅器である、請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
前記カウンタからの前記利得制御値に応答して、デジタル利得制御値を増大または低減するように構成されたループステートマシンを備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
前記アップ信号および前記ダウン信号が前記1つ以上の所定のパターンのうちの1つと一致しないことに応答して、前記カウンタサイズを増大させることをさらに含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項20】
動的ステップサイズ調整を実行するためのシステムをさらに備える、請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.発明の分野
本発明は、制御ループ収束に関し、特に、動的ステップサイズまたは可変カウンタサイズを使用して制御ループ収束の速度を増大させるためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2.関連技術
遠隔地間の通信の一部として、受信信号をデータまたは他の有用な形態に変換するために、信号がチャネルを通過した後に受信信号を処理することが必要とされる。理解されるように、信号が光学信号であるか電気信号であるかにかかわらず、チャネルを通過すると信号が劣化し、電力を失う可能性がある。しかしながら、通信システム内の他の構成要素による下流処理には、指定された既知の電力レベルの信号が必要である。これは、受信信号を受信および処理するときにいくつかの課題を提示する。
【0003】
そのような課題の1つは、受信信号の電力レベルの可変性が非常に高い場合があることである。例えば、チャネルが不十分であるかもしくは長い場合、または信号が低電力レベルで送信される場合、受信信号の大きさは小さくなる。あるいは、チャネルが短いか、高品質である場合があり、または信号は高電力レベルで送信される場合があり、その場合、受信信号の大きさは高くなる。当然ながら、高と低との間の任意の範囲の受信信号の大きさも受信され得、これは、チャネルの変化、供給電圧の変化、(異なるチャネルに接続された)設備の変化、または他のいくつかの要因を含むがこれらに限定されない任意の数の異なる要因に応じて経時的な変化し得る。受信信号の電力にかかわらず、好ましい電力レベル(大きさ)の信号を下流の処理要素に提示することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
従来技術の欠点を克服し、さらなる利点を提供するために、自動利得制御システムの収束を制御するための方法が開示される。この例示的な方法は、可変利得増幅器(VGA)を用いてVGA出力信号を生成することによって、入力信号の大きさを調整する。この実施形態では、大きさ調整は、VGAに提供される制御ベクトルに基づいて行われる。この方法はまた、検出器を用いてVGA出力信号を処理してVGA出力信号の大きさ値を決定するステップと、大きさ値を目標値と比較するステップとを含む。
【0005】
比較に応答して、この方法は、大きさ値が目標値よりも小さいか否かを判定する。そうである場合、この方法は、大きさ値と目標値との間の差を決定するために、目標値に対して大きさ値を評価する。その後、この方法は、目標値に対する大きさ値の評価に基づいて、制御ベクトルを第1の量だけ、第2の量だけ、または直接的に最小制御ベクトル量まで低減する。あるいは、比較が、大きさ値が目標値よりも大きいと判定したことに応答して、大きさ値と目標値との間の差を決定するために目標値に対して大きさ値を評価する。その後、目標値に対する大きさ値の評価に基づいて、制御ベクトルを第1の量だけ、第2の量だけ、または直接的に最大制御ベクトル量まで増大させる。
【0006】
一実施形態では、第1の量は単一ステップのステップサイズであり、第2の量は単一ステップよりも大きいステップサイズである。1つの構成では、大きさ値は、VGA出力信号のピーク値である。この方法は、制御ベクトルをアナログ制御信号に、アナログ制御信号がVGAの利得を制御するための制御信号であるように変換するステップをさらに含むことができる。
【0007】
可変利得増幅器出力の大きさ値を決定するように構成された検出器モジュールを備える、可変利得増幅器の利得を制御するためのシステムも開示される。また、この実施形態の一部は、大きさ値を目標値と比較し、比較に応答して、up_dn(アップ/ダウン)信号を生成するように構成された比較器モジュールである。デジタル制御モジュールが、up_dn信号を受信し、up_dn信号を処理して制御ベクトルを生成するように構成される。1つ以上のデジタル-アナログ変換器は、制御ベクトルをアナログ制御信号に、アナログ制御信号が可変利得増幅器の利得を制御するように変換するように構成される。
【0008】
一実施形態では、比較器モジュールは3つの比較器からなる。検出器モジュールは、可変利得増幅器出力のピーク値を検出するように構成されたピーク検出器として構成されてもよい。一構成では、デジタル制御モジュールは、制御論理、ユーザインターフェース、メモリまたはレジスタ、および1つ以上の比較器を備える。デジタル制御モジュールが、閾値に関連してup_dn信号を評価し、評価に応答して、制御ベクトルをステップ最大値だけ増大または低減するか、または制御ベクトルを小さいステップサイズだけ上下に調整するように構成することができることが企図される。別の変形例では、デジタル制御モジュールは、ステップサイズ信号が制御ベクトルの変化速度を制御するようにステップサイズ値を調整するためにup_dn信号の過去の値を評価し、up_dn信号に基づいて制御ベクトルをステップサイズ値だけ増大または低減する。
【0009】
また、制御ベクトル値に基づいて可変利得増幅器の利得を制御するための方法であって、可変利得増幅器出力信号を監視してモニタ信号を作成するステップと、モニタ信号を目標値と比較してup_dn値を作成するステップとを含み、up_dn値は、モニタ信号が目標値よりも大きいかまたは小さいかを示す、方法が開示される。次に、所定数のup_time値にわたるup_dn値の変化についてup_dn値を評価する。所定数のup_time値にわたるup_dn値の変化に応答して、ステップサイズ値を低減する。所定数のup_dn値にわたるup_dn値の0または一定数未満の変化に応答して、ステップサイズ値を増大させる。次いで、モニタ信号が目標値より大きい場合には、制御ベクトル値をステップサイズ値だけ増大させ、または、モニタ信号が目標値より大きい場合には、制御ベクトル値をステップサイズ値だけ増大させるか?その後、制御ベクトル値に基づいて可変利得増幅器の利得を調整する。この実施形態では、制御ベクトル値を低減すると利得が増大し、制御ベクトル値を増大させると利得が低減する。しかしながら、他の実施形態では、制御ベクトル値と利得との間に他の関係が確立されてもよく、したがって、特許請求の範囲および本開示は特定の設定された関係に限定されない。
【0010】
一実施形態では、この方法は、制御ベクトル値をアナログ制御信号に変換するステップと、アナログ制御信号を可変利得増幅器に提供するステップとをさらに含む。可変利得増幅器出力信号を監視するステップは、可変利得増幅器出力信号のピーク値を決定するステップを含むことができる。1つの構成では、up_dn信号は、可変利得増幅器出力信号が目標値よりも小さいことを示す論理「0」値、または、可変利得増幅器出力信号が目標値よりも大きいことを示す論理「1」値のいずれかである。ステップサイズ値は、制御ベクトル値の最大変化速度を決定する最大値を有する。例示的な一実施形態では、所定数のup_dn値は10であり、ステップサイズ値を低減するとステップサイズ値が半分に低減し、ステップサイズ値を増大させるとステップサイズ値が倍増する。
【0011】
また、自動利得制御ユニットの収束を制御するための方法であって、入力信号を受信するステップと、制御ベクトルに基づいて可変利得増幅器(VGA)を用いて入力信号のピーク間振幅を調整するステップとを含む、方法も開示される。この方法では、VGAはVGA出力信号を生成する。次いで、ピーク検出器を用いてVGA出力信号を処理してVGA出力信号のピーク値を決定し、ピーク値を目標値と比較する。比較に応答して、ピーク値が目標値よりも大きいかまたは小さいか否かを判定し、比較に応答して、ピーク値が目標値よりも小さいか否かを判定し、次いで以下を実行する。ピーク値を目標値と比較して、ピーク値が目標値よりも閾値だけ小さいか否かを判定し、ピーク値が目標値よりも閾値だけ大きくないことに応答して、制御ベクトルが最小値にあるか否かを判定する。制御ベクトルが最小値にあることに応答して、制御ベクトルを変更しない。あるいは、制御ベクトルが最小値にないことに応答して、制御ベクトルを第1の量だけ低減する。
【0012】
閾値は、アナログ回路によって制御され、デジタル制御下にない。一実施形態では、閾値はプログラム可能であるが、他の実施形態では、値は固定されている。閾値は、出力信号振幅が著しく誤っているときにup_maxおよびdn_maxをアサートするようにプログラムされるべきである。「up_max」は、制御ベクトルが大幅に増大されるべきであるときにアサートされるべきである。「dn_max」は、制御ベクトルが大幅に低減されるべきであるときにアサートされるべきである。
【0013】
この方法はまた、ピーク値が目標値よりも閾値だけ大きいか否かを比較判定するステップに応答して、制御ベクトルが最小制御ベクトル値のステップ最大値内にあるか否かを判定するステップを含む。制御ベクトルが最小制御ベクトル値のステップ最大値内にあることに応答して、制御ベクトルを最小制御ベクトル値に低減する。そうではなく、制御ベクトルが最小制御ベクトル値からステップ最大値よりも大きいことに応答して、制御ベクトルをステップ最大値だけ低減する。
【0014】
この方法では、比較が、ピーク値が目標値よりも大きいか否かを判定することに応答して、ピーク値を目標値と比較して、ピーク値が目標値よりも第2の閾値だけ小さいか否かを判定する。そして、ピーク値が目標値よりも第2の閾値だけ大きくないことに応答して、制御ベクトルが最大値にあるか否かを判定する。制御ベクトルが最小値にあることに応答して、制御ベクトルを変更せず、制御ベクトルが最大値以上であることに応答して、制御ベクトルを第1の量だけ増大させる。
【0015】
この方法はまた、ピーク値が目標値よりも第2の閾値だけ大きいか否かを比較判定するステップに応答して、制御ベクトルが最大制御ベクトル値のステップ最大値内にあるか否かを判定するステップを含む。次に、制御ベクトルが最大制御ベクトル値のステップ最大値内にあることに応答して、制御ベクトルを最大制御ベクトル値まで増大させるか、または制御ベクトルが最大制御ベクトル値からのステップ最大値より大きいことに応答して、制御ベクトルをステップ最大値だけ増大させる。
【0016】
一実施形態では、第2の量は2ステップよりも大きい。1つの構成では、制御ベクトルはVGAの利得を制御する。ステップ最大値は、制御ベクトルを一度に変更することができる最大量である。
【0017】
従来技術の欠点を克服するために、可変増幅器の利得を制御するためのシステムが開示される。一実施形態では、システムは、増幅器出力を基準値と比較し、それに応答して誤差信号を出力するように構成された誤差検出器を含む。また、このシステムの一部は、経時的な誤差検出器出力を反映するカウンタ値を維持し、カウンタ値がカウンタサイズに達したことに応答して利得制御信号を出力するように構成された、カウンタサイズを有するカウンタである。誤差検出器信号モニタが、経時的な誤差検出器信号を追跡し、誤差検出器信号が所定のパターンを満たすことに応答して、カウンタサイズ制御信号をカウンタに提供してカウンタサイズを低減し、増幅器出力が基準値に達するのに必要な時間を低減するように構成される。
【0018】
一実施形態では、基準値は、意図されたまたは所望の増幅器出力の大きさ(ピーク、平均、または他の指定)を含む。このシステムは、ループステートマシンおよびデジタル-アナログ変換器であって、ループステートマシンが、利得制御信号を、デジタル-アナログ変換器に提供されるデジタル利得制御値に変換するように構成され、デジタル-アナログ変換器が、デジタル利得制御値を、可変増幅器に提供されるアナログ利得制御信号に変換するような、ループステートマシンおよびデジタル-アナログ変換器をさらに備えることができる。1つの構成では、誤差検出器信号モニタは、誤差検出器信号が所定のパターンを満たさないことに応答して、カウンタサイズを増大させるように構成される。カウンタサイズを増大させるステップは、カウンタサイズを最大カウンタサイズにリセットするステップを含むことができる。
【0019】
可変利得増幅器の利得を制御するための方法も開示される。一実施形態では、この方法は、可変利得増幅器出力信号を基準値と比較して、可変利得増幅器出力信号が基準値よりも大きいかまたは小さいかを判定するステップを含む。次に、可変利得増幅器出力信号が基準値よりも大きいことに応答して、アップ信号を生成する。可変利得増幅器出力信号が基準値よりも小さいことに応答して、ダウン信号を生成し、アップ信号に応答して、および、ダウン信号に応答してカウンタを更新する。この動作方法は、所定のパターンに関連する複数のアップ信号およびダウン信号を追跡する。カウンタが最大カウンタ値または最小カウンタ値に達したことに応答して、可変利得増幅器の利得を調整するためにカウンタ出力信号を出力する。所定のパターンに関連する複数のアップ信号およびダウン信号が所定のパターンを満たすに応答して、カウンタのサイズを変更する。
【0020】
一実施形態では、基準値は、意図されたまたは所望の増幅器出力の大きさ(ピーク、平均、または他の指定)を含む。この方法はまた、アップ信号およびダウン信号に応答してカウンタを更新するステップを含むことができる。追跡するステップは、アップ信号およびダウン信号の所定のまたは事前に定義されたパターンと比較して、アップ信号および/またはダウン信号の作動している全体的なまたは以前のパターンを維持するステップを含むことができる。カウンタサイズは、カウンタが出力を生成しリセットする前に到達しなければならないカウンタ値である。
【0021】
パターンは、所定の連続する複数のアップ信号または所定の連続する複数のダウン信号であってもよい。別の実施形態では、パターンは、所定数のアップ信号およびダウン信号に関連する、所定数のアップ信号または所定の連続する複数のダウン信号である。この方法は、カウンタ値がカウンタサイズ値または所定のカウンタ最小値に達したことに応答して、カウンタをカウンタ中間値にリセットするステップをさらに含むことができる。
【0022】
制御ループの基準値への収束を制御するシステムであって、制御ループの制御下で、出力信号を生成するように構成されたデバイスと、比較器であって、出力信号を基準値と比較し、出力信号が基準値よりも小さいことに応答して、アップ信号を出力し、出力信号が基準値よりも大きいことに応答して、ダウン信号を出力するように構成された比較器とを備える、システムも開示される。また、このシステムの一部は、カウンタ最大値およびカウンタ最小値を定義するカウンタサイズを有するカウンタである。カウンタは、カウンタが利得制御値を出力するように、アップ信号に応答してインクリメントされ、ダウン信号に応答してデクリメントされるカウンタ値を維持するように構成される。アップ/ダウン信号追跡器が提供され、アップ信号およびダウン信号のパターンを追跡し、そのパターンを1つ以上の所定のパターンと比較し、アップ信号およびダウン信号が1つ以上の所定のパターンのうちの1つと一致したことに応答して、カウンタサイズを変更するように構成される。
【0023】
一実施形態では、アップ/ダウン信号追跡器は、メモリと、1つ以上の比較器とを備える。カウンタサイズを変更することが、カウンタのサイズを低減するために制御信号をカウンタに送信することを含むことができることが企図される。制御ループの制御下にあるデバイスは、可変利得増幅器であってもよい。システムは、カウンタからの利得制御値に応答して、利得制御信号を表すデジタル値を増大または低減するように構成されたループステートマシンをさらに備えることができる。システムは、アップ信号およびダウン信号が1つ以上の所定のパターンのうちの1つと一致しないことに応答して、カウンタサイズを増大させることをさらに含むことができる。
【0024】
本発明の他のシステム、方法、特徴および利点は、添付の図面および詳細な説明を検討することにより、当業者に明らかになるであろう。すべてのそのような追加のシステム、方法、特徴および利点が、この説明内に含まれ、本発明の範囲内にあり、添付の特許請求の範囲によって保護されることが企図されている。
【0025】
図面の簡単な説明
図面内の構成要素は必ずしも原寸に比例せず、代わりに、本発明の原理を例示することに重点が置かれている。図面において、同様の参照符号は、異なる図を通して対応する部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】例示的な光ファイバ通信リンクを示す図である。
図2A】例示的な可変利得増幅器制御システムのブロック図である。
図2B】例示的なデジタル制御ユニットのブロック図である。
図3】制御ベクトル調整のための従来技術の方法を示す図である。
図4】制御ベクトルを調整する従来技術のプロセスのより詳細なバージョンを示す図である。
図5図4の方法の制御ベクトル値対時間の例示的なプロットを示す図である。
図6】VGA制御方法の動作フロー図である。
図7図6の方法の経時的な制御ベクトル値のプロットを示す図である。
図8A図8B図8Cとの関係を示すインデックス図である。
図8B】制御ベクトル調整の代替的な方法の動作フローチャートの第1の部分を示す図である。
図8C図8に示す制御ベクトル調整の代替的な方法の動作フローチャートの第2の部分を示す図である。
図9図8Bおよび図8Cの方法に基づく制御ベクトル調整の例示的なプロットを示す図である。
図10】調整可能なカウンタサイズを有する例示的なシステムのブロック図である。
図11】親出願に記載されている動的ステップサイズのプロットを示す図である。
図12図10に示すシステムに基づく信号プロットを示す図である。
図13】従来技術のループ制御の信号プロットを示す図である。
図14】本明細書に開示された技術革新に基づくループ制御の信号プロットを示す図である。
図15】動的ステップサイズと可変カウンタサイズとを組み合わせたループ制御システムの例示的な信号プロットを示す図である。
図16A】可変カウンタサイズを有するループ制御システムの1つの例示的な実施形態の例示的な動作方法を示す図である。
図16B】可変カウンタサイズを有するループ制御システムの1つの例示的な実施形態の例示的な動作方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
詳細な説明
使用環境の一例は、光ファイバリンクおよびレーザまたは何らかの他の形態の光信号発生器(光源)を利用する光通信システムである。光通信システムにおいて示されているが、システムが電気的であってもよく、導電性チャネルとして利用されてもよいことも企図される。図1は、例示的な光ファイバ通信リンクを示す。リモートネットワーキング機器104A、104B間の通信を可能にするために、光ファイバ送信機および受信機が提供される。送信機108の一部であるレーザドライバ112は、レーザからの変調光出力を生成する変調電流でレーザ116を駆動する。この光出力は、信号伝送のために光ファイバ120に結合される。光ファイバリンクの受信側には受信機128がある。光エネルギーは、フォトダイオード132によって電気信号に変換され、増幅器136によってさらに処理されて、信号の大きさが下流の処理要素に適したレベルに設定される。本明細書に開示された技術革新は、他の環境で使用されてもよく、またはこの使用環境は図示されたものとは異なってもよいことが企図されている。
【0028】
図2Aは、例示的な可変利得増幅器制御システムのブロック図を示す。これは1つの可能な構成にすぎず、本発明の範囲から逸脱することなく他の実施形態が可能であることがと企図される。この実施形態では、制御システム204は、アナログ制御信号をVGA(可変利得増幅器)208に提供して、VGAの利得を制御する。VGA208には、入力端子212から入力信号が与えられる。入力信号は、これに限定されないが、光検出器などの任意のデバイスまたはシステムから提供されてもよい。入力信号は増幅(または逆増幅)され、出力信号として出力端子216上に提示される。利得とも呼ばれる、増幅される(または逆増幅される)量は、制御信号によって決定される。
【0029】
VGA制御システム204は、図示のように出力端子216から出力信号を受信するピーク検出器220を備えて構成される。本明細書ではピーク検出器として示され説明されているが、限定ではなく大きさ、平均、ピーク値などの信号の任意の態様が検出されてもよい。検出されるピークは、任意のタイプのモニタまたは検出器であってもよい。ピーク検出器220は、出力信号を分析し、出力信号のピークop振幅(信号の大きさ)を表す値を生成する。他の実施形態では、ピーク検出器以外のデバイスが使用されてもよい。ピーク検出器220は、当該技術分野で一般的に知られており、したがって、本明細書では詳細に説明しない。この実施形態では、ピーク検出器220はまた、信号をデジタル形式に変換することもでき、したがって、1つ以上のアナログ-デジタル変換器を含むことができる。いくつかの実施形態では、ピーク検出器は比較器224を含まないか、またはその一部でない。
【0030】
ピーク検出器220の出力は比較器224に供給される。1つの比較器224として示されているが、比較器は1つ以上の比較器であってもよい。比較器224は、検出器220からの信号の大きさを目標値228と比較する。目標値228は、出力信号の下流処理に最も適した所望の信号の大きさを表す値である。目標値は、ユーザがユーザインターフェースを用いてプログラムおよび変更されてもよく、または固定されてもよい。目標値は、メモリに記憶されてもよい。この例示的な実施形態では、比較器228は、「0」または「1」論理値の論理レベル出力を提供する。本明細書の説明では、比較器228の出力は、比較の結果を示す比較器出力信号を提供する。説明の便宜上、この信号は、論理「0」値が出力信号が目標値よりも小さいことを示し、論理レベル「1」値が出力信号が目標値よりも大きいことを示すような、up_dn信号として参照される。出力信号が目標の大きさよりも小さいとき、VGA制御システム204の機能は、VGA208の利得を増大させることであり、これにより、出力の大きさが目標値に向かって増大する。VGAの利得は、制御ベクトル(デジタル制御値)を低減することによって増大する。逆に、出力信号が目標の大きさよりも大きいとき、VGA制御システム204の機能は、VGA208の利得を低減することであり、これにより、出力の大きさが目標値に向かって低減する。時間が経つにつれて、出力信号の大きさは目標値に近づき、目標値に至る。比較器224の出力は、利得を上げるべきかまたは下げるべきかを示すup_dn信号として定義される。
【0031】
比較器出力はデジタル制御ユニット232に供給される。デジタル制御ユニット232は、比較器224からのup_dn信号を処理して制御ベクトルを生成するように構成された1つ以上の論理要素、レジスタ、メモリ、または他の要素を含む。制御ベクトルは、制御ベクトルを増大させると利得が低減し、制御ベクトルを増大させると利得が低減するような利得を表すデジタル値である。他の実施形態または構成では、利得と制御ベクトルとの間の異なる関係が確立されてもよい。各クロックサイクルまたはサンプル期間中、利得は、単一ステップなどの小さい量だけ、または多数のステップなどの大きい量だけ増大させることができる。サイクルまたは反復期間の間、出力信号は検出器によってサンプリングされ、したがって新たなup_dn信号が経時的に生成されることが企図される。
【0032】
デジタル制御ユニット232からの制御ベクトルは、1つ以上のデジタル-アナログ変換器(DAC)236に提供される。DAC236は、制御ベクトルをデジタル形式から、利得を制御するためにアナログVGA208への注入に適したアナログ形式に変換する。デジタル制御ベクトルおよびDACは、最小制御ベクトル値と最大制御ベクトル値との間のステップ数によって決定される高分解能で構成される。例えば、最小制御ベクトル値と最大制御ベクトル値との間に1000以上のステップがあってもよい。分解能、すなわち、最大制御ベクトル値と最小制御ベクトル値との間のデジタルステップの数が大きいほど、VGAの利得および出力信号の大きさを制御する能力が大きくなる。正確度のために出力信号の大きさを高度に制御することが一般的に好ましく、したがって、デジタル制御ベクトルおよびDAC236において多数のステップが必要である。しかしながら、多数のステップが利用可能である場合、高利得状態から低利得状態に変化するのにより多くのサイクルを要する。
【0033】
図2Bは、図2Aに示すデジタル制御ユニットの例示的な実施形態を示す。これは、本発明から逸脱することなく使用することができる要素および他の要素または配置構成の1つの可能な構成にすぎない。デジタル制御ユニット232は、本明細書に記載のように受信信号を処理し、デジタル制御ユニットの1つ以上の他の要素とインタラクトするように構成された制御論理を含む。様々な実施形態では、図2Bに示されるすべての要素が含まれるわけではない。また、デジタル制御ユニット232の一部は、データ記憶レジスタおよび/またはメモリ254である。データ記憶レジスタおよび/またはメモリ254は、up_dn信号、max_step(最大ステップ)、step_size(ステップサイズ)値、もしくは任意の他のデータ、またはソフトウェアなどの機械可読コードを記憶することができる。プロセッサはまた、本明細書に記載の機能を実行するために、メモリ254に非一時的状態で記憶された機械可読コードを実行するように構成されたデジタル制御ユニット232の一部であってもよい。機能は、代替的にまたは部分的に、制御論理250によって実行されてもよい。
【0034】
ユーザがレジスタ/メモリ254に記憶された値のうちの1つ以上を設定または変更するため、またはソフトウェア/機械可読コードを更新するため、またはシステムの動作または適応を達成するための任意の他の機能を実行するためのアクセスを提供するために、ユーザインターフェース258がデジタル制御ユニット232に設けられる。本明細書に記載された機能が、制御論理およびレジスタを使用するハードウェア、プロセッサ266内で実行されるソフトウェア、または両方の組み合わせで実行されてもよいことが企図される。様々な値を比較するために、本明細書で説明するように、1つ以上の比較器262も提供される。いくつかの実施形態では、比較器262は、図2Aに示す比較器224に置き換えられてもよく、またはソフトウェア機能であってもよい。
【0035】
利得を調整するシステムによって提示される1つの課題は、経時的な利得変化の変化速度に関する。クロックサイクル中に利得を大量に増大または低減することが可能であるが、利得の大きな突然の変化は信号を破壊し、それによって下流の信号処理および復号を擾乱し、それによってエラーを導入し、したがってビットエラーレートをピークにするため、そうすることは一般に望ましくない。
【0036】
同時に、利得をあまりにも低速に変化させることも、いくつかの欠点を呈する。そのような欠点の1つは、訓練中にそれ自体を提示する。訓練中、システムは未知のチャネルに適応しており、したがって、利得を大量に増大させる必要があり得る。最小値と最大値との間のデジタル制御ベクトルのステップ数が多いことなどに起因して、利得の変化速度が遅い場合、VGAは、目標値と一致する大きさの出力信号を提示するのに過剰な時間を要する可能性がある。これが発生すると、システムは設定された訓練期間中に訓練を完了せず、下流のシステム訓練も遅延または失敗する。以下の説明は、従来技術の欠点を克服する制御ベクトル生成および適応のための様々なルーチンを可能にするための比較器224およびデジタル制御ユニット232の動作に焦点を当てる。
【0037】
別の言い方をすれば、デジタルコントローラ232は、小さいデジタル-アナログ(DAC)回路236のアレイへの複数の出力信号を駆動する。他の実施形態では、単一の出力が単一のDACに提供されてもよい。この例示的な実施形態では、DAC236は、(VGA)208の利得を規定するために協働する6ビットDAC回路である。デジタル制御ユニット232は、より広い11ビットループ制御ベクトルの値に基づいて、複数のDAC236がシステム内でどのように協働するかを決定する。この実施形態では、自動利得制御(AGC)ループは、ループ制御ベクトルの2018個(0~2017)の固有の値を有する。他の実施形態では、制御ベクトルは異なる数の固有の値を有してもよい。この数は、DAC236の数および各DACの固有の値の数の関数である。制御ループは、その動きによってデータ経路を擾乱する可能性を低減するために、意図的に、比較的遅い速度で更新される。結果として、従来技術のシステムでは、制御ベクトルをその収束点まで上昇させるのに多くの時間が消費され得る。
【0038】
図6の実施形態では、制御ベクトルをどのように調整するかをデジタル制御ループに指示する3つの入力信号(「up_max(アップ/最大)」、「dn_max(ダウン/最大)」、「up_dn」)がある。これらの信号は、実際の信号強度(ピークなど)を所定の目標と比較する比較器によって生成される。ピーク検出器は、出力波形の信号強度を測定するために使用される(可能性が最も高い)。閉ループシステムの目的は、入力信号がどれだけ強くても弱くても(無論限度内で)出力信号強度が予測可能であることを保証することである。
【0039】
図6を説明する前に、図3および図4を説明する。図3は、制御ベクトル調整のための従来技術の方法を示す。図3の方法は、ステップ304においてサンプルを収集することによって開始するが、次にステップ308において、過渡的であるかまたは平均範囲外であるいくつかのサンプルを破棄する。ステップ312において、システムは有効サンプルの平均数を計算する。次に、決定ステップ316において、この動作方法は、時定数または期間が満了したか否かを評価する。そうでない場合、動作は戻ってより多くのサンプルを収集し、平均値を計算し続ける。期間が満了すると、ステップ320において、サンプルは目標値と比較され、制御信号は制御ベクトルを調整し、それによってVGAの利得が調整される。ホストコントローラが自動ループを無効にし、代わりに利得を手動で設定してもよいことも企図される。本実施形態では、デジタル制御ユニットは利得を自動的に変更しない。任意の自動調整が、ホストコントローラから行われることが仮定される。この動作方法は機能的であるが、リアルタイム追跡および利得調整の利点がない。
【0040】
図4は、制御ベクトルを調整する従来技術のプロセスのより詳細なバージョンを示す。ステップ404において開始して、デジタルコントローラは、up_dn信号が論理0であるかまたは1であるか、すなわち出力信号が目標値よりも小さいかまたは大きいかを判定する。up_dn信号が0値である場合、制御ベクトルは低減されるべきであり、動作は決定ステップ408に進む。決定ステップ408において、デジタルコントローラは、制御ベクトルが最小値にあるか否かを決定する。制御ベクトルが最小値にある場合、動作は終了に進み、制御ベクトルは変更されない。あるいは、ステップ408において制御ベクトルが最小値にない場合、制御ベクトルは、1単位または1増分だけ低減される。制御ベクトルおよび制御コードという用語は互換的に使用され得る。
【0041】
あるいは、ステップ404において、up_dn信号が、制御ベクトルを増大させるべきであることを示す論理1値である場合、動作は決定ステップ420に進む。決定ステップ420において、制御論理は、制御ベクトルが最大制御ベクトル値にあるか否かを決定する。そうである場合、制御ベクトルはすでにその最大値にあるため、制御ベクトルにいかなる変更も加えることなく動作が終了する。あるいは、ステップ420において制御ベクトルがその最大値にない場合、動作はステップ424に進む。ステップ424において、デジタルコントローラは、制御ベクトルを1ステップだけ増大させる。この例示的な実施形態では、アナログシステムは、最大制御ベクトルコードが最低利得に対応し、最小制御ベクトルコードが最高利得に対応するように設計される。他の実施形態では、特許請求の範囲から逸脱することなく、他の関係が確立されてもよい。up_dn信号が論理レベル0にあるとき、これは、信号強度が目標よりも小さいことを示し、したがって、システムは(制御ベクトルコードを下げることによって)利得を増大させるべきである。
【0042】
この例示的な動作方法では、制御ベクトルは、ループのアナログ部分からのup_dnフィードバック信号に基づいて自動的に調整される。制御ベクトルは、単一ステップを使用して一度に1単位または1増分のみ変化し、データ経路を擾乱する可能性を低減する。データ経路が入力信号の突然の変化によってすでに擾乱されている場合、低速制御ループは新しい平衡に調整するのに長時間かかる可能性があり、それによって理想的な利得収束が達成される前に訓練段階がタイムアウトする。単一ステップを使用すると、この擾乱が長くなる。
【0043】
図5は、図4の方法の制御ベクトル値対時間の例示的なプロットを示す。垂直軸は制御ベクトル値を表し、一方、水平軸は時間を表す。このプロット504に見られるように、制御信号は、所望の利得レベルに達するために、第1の時間508から第2の時間512まで経時的に増大する。図示のように単一ステップを使用すると、この例では平衡を再取得するために1009回のループ反復が必要である。制御ベクトルが新しい平衡点に到達するために多くのステップを越える必要があるため、整定時間は非常に長い。このステップ数およびこの時間は、訓練期間中に完了するには長すぎる。
【0044】
図4で説明した従来技術の方法は従来技術の環境に適していたが、利得制御の分解能が高く、および/または出力信号を低速に目標値にすること以外を必要とするVGA制御システムにおいては、いくつかの欠点がある。
【0045】
図6は、VGA制御方法の動作フロー図を示す。これは1つの可能な動作方法にすぎず、本明細書に開示された技術革新から逸脱しない、この正確な方法からの逸脱が企図される。一般に、この動作方法は、3つの比較器を有する制御ループを利用する。比較器は、出力信号を目標値と比較して、出力信号が目標値よりも大きいかまたは小さいかを判定し、その結果得られる比較は、up_dn信号をもたらす。第2の比較器が、出力信号を目標値と比較して、出力信号が目標値よりも第1の閾値だけ大きいか否かを判定する。第2の比較器は、比較に応答してDn_max信号を出力する。Dn_max信号は、0または1の論理値出力である。論理値0は、出力信号が目標よりも第1の閾値だけ大きくないことを示す。第3の比較器が、出力信号を目標値と比較して、出力信号が目標値よりも第2の閾値だけ小さいか否かを判定する。第3の比較器は、比較に応答してUp_max信号を出力する。Up_max信号は、0または1の論理値出力である。論理値0は、出力信号が目標よりも第2の閾値だけ小さくないことを示す。第1の閾値および第2の閾値は、同じまたは異なる値であってもよいが、1よりも大きいと仮定される。第2の比較器は、比較に応答してDn_max信号を出力する。したがって、動作中、3つの制御信号、すなわち、up_dn信号、Dn_max信号、およびUp_max信号が生成される。
【0046】
これらの値を使用して、制御ベクトルは、特定の状況において、一度に2ステップ以上調整することができる。特に、出力信号の大きさと目標値との比較によって、出力信号の大きさが目標値から第1の閾値または第2の閾値よりも大きい量だけ異なることが明らかにされた場合、これは、出力信号が目標値から閾値よりも大きい量だけ離れていることの指示である。これが発生すると、それは制御ベクトルを2以上の増分だけ動かすべきであり、その結果、制御値がmax_step値として定義された増分の数だけ増大または低減されることの指示である。max_step値は、メモリまたはレジスタに記憶されるユーザが設定可能な値である。max_step値は、出力信号が閾値量から目標値よりも大きいまたは小さい場合に、制御値が増大または低減される単位数または増分数を規定する値である。図6は、この動作方法のより詳細な説明を提供する。
【0047】
この動作方法は、出力信号(VGA出力のピーク値)と目標値との間で比較が行われるステップ604において開始する。決定ステップ608は、比較器からの比較器出力信号(up_dn信号)がデジタル制御ユニットによって検出および分析されるように行われる。up_dn信号が論理0値(ピーク値が目標値よりも小さいことを意味する)である場合、動作は決定ステップ612に進む。これは、一般に、制御ベクトルを低減する経路として定義することができる。判定ステップ612において、比較器は、出力信号が目標値よりも閾値だけ大きいか否かを判定する。決定ステップ612において、出力信号が目標値よりも閾値だけ大きくない場合、Dn_max信号は論理レベル0に設定され、動作は決定ステップ616に進む。
【0048】
決定ステップ616において、制御ベクトルがすでにその最小値にあり、したがってこれ以上低減することができないか否かが決定される。制御ベクトルがその最小値にある場合、プロセスはステップ622に進み、終了するが、出力信号の目標値に対する監視および比較は、リアルタイムかつ動的な利得制御を提供するために経時的に継続する。
【0049】
あるいは、ステップ616において制御ベクトルが最小値よりも大きい場合、動作はステップ620に進む。ステップ620において、制御システムは、制御ベクトルを1だけ調整(低減)し、VGA利得は、1単位または増分だけ下方に調整される。
【0050】
あるいは、ステップ612において、出力信号が目標値よりも閾値だけ大きくないと比較器が判定する場合、Dn_max信号は論理レベル1に設定され、動作は決定ステップ624に進む。決定ステップ624において、制御ベクトルが最小制御ベクトル値の増分のmax_step数内にある場合、動作はステップ632に進み、制御ベクトルは最小値まで低減し、その後動作はステップ622において終了するが、監視は継続する。
【0051】
あるいは、決定ステップ624において、デジタル制御ユニットが、制御ベクトル値が最小値からstep_max値よりも大きいと判定した場合、制御ベクトルはstep_max値だけ低減する。これはステップ628において行われる。したがって、step_max値は、例えば10または20ステップ、または1より大きい任意の値など、1よりもはるかに大きいため、制御ベクトルは、複数単位または増分だけ低減する。これにより、制御ループのサイクル中に1単位のみの増分を提供する従来技術のシステムよりも速く出力信号が目標値に達することが可能になる。ステップ最大値は、利得を最大ステップ量だけ動かしてもシステム動作に支障が生じないように選択される。一実施形態では、これは、最小制御ベクトル値から最大制御ベクトル値までのステップの総数の1%~7%である。別の実施形態では、それは全体の15%未満である。その後、プロセスは終了ステップ622に進み、監視および処理の別のループサイクルが発生する。
【0052】
あるいは、ステップ608において、出力信号と目標値との比較が、出力信号の大きさ(ピークまたはピーク間値など)が目標値よりも大きいと判定した場合、動作は決定ステップ636に進む。この動作経路は、制御ベクトルを増大させる。決定ステップ636において、Up_max信号に関連する出力信号と目標信号との間の差に関して決定が行われる。上述したように、Up_max信号は、出力信号と目標信号との差が大きすぎて、制御ベクトルの変化が1単位またはステップよりも大きくなるべきか否かを判定する値である。出力信号と目標信号との間の差(差分)がup_max値(閾値)未満である場合、この比較を実行する比較器の論理出力は論理0であり、動作は決定ステップ640に進む。
【0053】
決定ステップ640において、制御ベクトルがその最大値にあるか否か、または制御ベクトルが最大値未満であるか否かの判定が行われる。制御ベクトルが最大値にある場合、動作は終了ステップ622に進み、制御ベクトルは変更されない。これは、制御ベクトルをさらに増大させることができず、すでにその最大値にあるためである。
【0054】
あるいは、ステップ640において、制御ベクトルが最大制御ベクトル値未満である場合、動作はステップ644に進み、制御ベクトルは1単位またはステップだけ増大される。増大後、動作はステップ622に進み、ループ処理が反復する。したがって、制御出力信号値(ピーク間の大きさ)は目標値よりもUp_max値を超えて大きくないため、利得は正確に近く、したがって制御ベクトルは1単位またはステップのみだけ増大されるべきである。
【0055】
ステップ636に戻って、出力信号と目標信号との間の差(差分)の間の比較がUp_max値(閾値)よりも大きい場合、この比較を実行する比較器の論理出力は論理1であり、動作は決定ステップ648に進む。決定ステップ648において、step_max値および制御電流ベクトル値の値に関して決定が行われる。決定ステップ648において、制御ベクトルが最大値からstep_max値よりも大きい場合、動作はステップ652に進み、その時点で、出力信号の大きさが目標値から離れていると判定されているため、制御ベクトルはmax_step値だけ増大し、したがって、収束速度を増大させるために制御ベクトルを大きく増大させる必要がある。ステップ652後、動作はステップ622に進み、ループが反復する。
【0056】
あるいは、ステップ648において、制御ベクトルが最大制御ベクトル値のstep_max値内にあると動作が判定した場合、動作はステップ656に進み、制御ベクトルは最大値まで増大し、これによりステップ622においてループ反復が完了する。
【0057】
制御ベクトルは、制御ループのアナログ部分からの「up_max」、「dn_max」、および「up_dn」フィードバックに基づいて自動的に調整される。2つの追加の信号は、制御ベクトルが平衡から「離れている」場合をデジタルブロックに通知する方法を提供する。「up_max」がアサートされると、ループは、制御レジスタ「step_max」によって定義されるステップ数だけ移動する。「dn_max」がアサートされると、制御ベクトルは「step_max」のステップ数だけ低減される。そうでない場合、ループは、「up_dn」入力信号に従って単一ステップだけ上または下に移動する。これは、制御ベクトルが著しく目標から外れている場合をアナログブロックが決定することを必要とする。一実施形態では、この拡張制御オプションは、「step_mode(ステップモード)」レジスタを「01」に設定することによって有効にされる。
【0058】
図7は、図6の方法の経時的な制御ベクトル値のプロットを示す。制御ベクトル値は垂直軸730上で表され、一方、時間は水平軸734上で表される。ループ開始時間708において、ループは目標値に関連する出力信号の検出および分析を開始する。信号プロット712に対応する期間中、システムは、出力信号が目標値からUp_maxまたはDn_max値よりも大きく異なると判定し、したがって、各ループ反復によって制御ベクトルにstep_maxを加算することによって制御ベクトルを迅速に増大する。時間714において、検出システムは、出力信号と目標値との間の差が、制御ベクトルのmax_step増大を保証するほどには異ならないと判定し、そのため、信号プロット部分716の期間中、ループは、利得の小さいステップをもたらす、制御ベクトルの単一単位または増分の増大を実行する。時間720において、出力信号が目標値に達し、ループが平衡に達した。
【0059】
図6の複数ステップサイズモードを使用すると、この例では平衡を再取得するために65回のループ反復のみが必要である。これは、図4および図5の単一ステップの使用を上回る93.6%の改善である。
【0060】
図8Aは、図8B図8Cとの関係を示すインデックスである。図8Bおよび図8Cは、制御ベクトル調整の代替的な方法の動作フローチャートを示す。これは1つの可能な動作方法にすぎず、本発明の範囲から逸脱することなく他の動作方法を可能にすることができることが企図される。この実施形態では、制御ベクトルは、ループのアナログ部分からの「up_dn」フィードバック信号に基づいて自動的に調整される。デジタルブロックは、「up_dn」の履歴を経時的に監視して、up_dn信号の履歴値に基づいて制御ベクトルが著しく目標から外れているか否かを判定する。この実施形態では、シフトレジスタまたは他のメモリタイプは、制御ループが更新されるたびに「up_dn」の値を記憶する。最も古い値がスタックの最後から破棄され、最も新しい値が最初に挿入される。これは、先入れ先出しプロセスとして参照される場合がある。他の実施形態と同様に、up_dn値(信号)は論理値0または1である。
【0061】
図8Bに示すように、この動作方法は、出力信号(VGA出力のピーク値)と目標値との間で比較が行われるように開始する。この比較により、up_dn信号が生成される。このプロセスは、up_dn値がメモリ/レジスタに記憶されるように、数回反復することができる。「up_dn」の値が連続してN回同じでない場合(Nは数の範囲内でユーザによって設定された値である)、制御ループは最近収束点を通過しており、ステップサイズは半分に低減される。これは、up_dn値の経時的な変化が、出力信号が最近目標値になったかまたは目標値を通過したことを示すために行われる。この制御ベクトルの半分の低減は、ステップサイズが「step_min」(デフォルトでは1)になるまで、制御ループが更新されるたびに行われる。デジタル制御ユニット出力から「up_dn」入力に戻るまでの時間遅延は相対的に小さく、したがって、複数回の通過を検出するには8回のループ反復で十分である。他の実施形態では、異なる反復回数が使用されてもよい。出力信号が目標信号に収束するとき、ステップサイズは常に最小サイズになる。up_dn信号が所定数(N)のサンプルにわたって変化しない場合、これはステップサイズが増減され得ることを示す。ループ反復ごとにステップサイズを半分に低減すると、ステップサイズ、したがって制御ベクトルは経時的に低速に変化する。例えば、ステップサイズが128である場合、それを半分にすると、ステップサイズは64になり、次の反復中には32になり、次の反復中にステップサイズは16に低下する。したがって、わずか3サイクルで、ステップサイズは128から16に低下している。これにより、制御ベクトルの変化速度は速くなるが、動作を擾乱するほど速くはならない。これらの数は例示にすぎず、特許請求の範囲はこれらの数値によって限定されない。ステップサイズは、制御ベクトルが変化する量であり、これによって利得が制御され、出力信号の大きさが制御される。
【0062】
ステップサイズの増大に関しても同じ原理が適用され、これはN個のup_dn信号が同じ、すなわち論理1の値である場合に倍増する。up_dn信号のN個の最新の値が同じである場合、ステップサイズは倍増する。up_dn信号が変化しない場合、最大ステップサイズに達するまで、または「up_dn」の値が変化するまで、制御ループが更新されるたびにステップサイズが増大する。最大ステップサイズは、ステップサイズが大きくなりすぎて、1ステップでの利得の変化が大きくなりすぎ得ることを防止する。「up_dn」が「1」である間に制御ベクトルが上限に達すると、ステップサイズは直ちに最小ステップサイズ「step_min」に低減される。「up_dn」が‘0’の間に制御ベクトルが下限に達すると、ステップサイズは直ちに「step_min」に低減される。「step_mode」レジスタを「10」(デフォルト値)に設定することによって、動的なステップサイズを選択することができる。
【0063】
図8Bに戻ると、動作は、デジタル制御ユニット、特にデータ記憶レジスタにおいて新しいup_dn値を展開する。この動作方法は、出力信号(VGA出力のピーク値)と目標値との間で比較が行われるステップ604において開始する。この比較は、メモリ/レジスタに記憶されるup_dn値を決定する。ステップ808において、デジタル制御ユニットは、最新のup_dn値をレジスタにシフトさせ、それによって他の値が左にシフトし、新しい値が右に挿入される。次に、決定ステップ812において、デジタル制御ユニットは、レジスタに記憶されたup_dnの最後のN個の連続する値が同じであるか否か、またはN個の値が異なるか否かを判定する。up_dn値の最後のN個の値が同じでない場合、動作は決定ステップ816に進む。決定ステップ816において、ステップサイズに関する判定、および、ステップサイズが最小値にあるかまたは最小値よりも大きいかに関する判定が行われる。決定ステップ816においてステップサイズが最小ステップサイズ値よりも大きい場合、動作はステップ820に進む。ステップ820において、ステップサイズが半分に低減される。他の実施形態では、ステップサイズは、半分以外の速度または量で低減(または増大)されてもよい。ステップ820の後、動作は決定ステップ832に進み、これについては図8Cで下記により詳細に説明する。
【0064】
ここでステップ816に戻ると、ステップサイズが最小値にある場合、それ以上低減することはできないことになり、したがって、動作は下記に説明する決定ステップ832に進む。ステップ812に戻って、up_dn履歴が、履歴(レジスタ)が同じであるN個の連続するup_dn値を示すようなものである場合、動作は決定ステップ824に進む。決定ステップ824において、ステップサイズをステップサイズ最大値と比較することによって判定が行われる。ステップサイズが最大値にある場合、動作はステップ832に進み、すでに最大値にあるためにステップサイズは変更されない。あるいは、ステップサイズが最大値未満である場合、動作はステップ828に進み、ステップサイズが倍増されるか、または上述のようにされるか、または何らかの値、比、もしくは係数だけ増大される。ステップ828の後、動作はステップ832に進む。
【0065】
決定ステップ832(図8C)において、デジタル制御ユニットは、出力信号と目標値との比較の結果、up_dn信号が論理レベル0または論理レベル1になったか否かを決定する。up_dnが0であり、出力信号が目標値未満であることを意味する場合、動作はステップ決定ステップ836に進む(最終的に制御ベクトルを低減するため)。決定ステップ836において、制御ベクトルが最小制御ベクトル値のstep_size値内にあるか否か、または制御ベクトルがstep_sizeよりも最小値だけ大きいか否かの判定が行われる。
【0066】
制御ベクトルが最小制御ベクトル値のstep_size値内にある場合、動作はステップ840に進む。ステップ840において、デジタルコントローラユニットは、制御ベクトルを最小値まで低減し、step_size値も最小値まで低減される。その後、値調整はステップ858において終了し、ループはステップ804に戻ることによって繰り返される。
【0067】
あるいは、ステップ836において、制御ベクトル値が最小値の上方のstep_size値よりも大きい場合、動作はステップ842に進む。ステップ842において、デジタル制御ユニットは、制御ベクトルをstep_size値(コード)だけ低減する。ステップ842の後、動作はステップ858において終了し、ステップ804に戻ることによって新しいループ反復が行われる。
【0068】
ステップ832に戻って、up_dn値が1である場合、すなわち出力信号が目標値より大きい場合、動作は決定ステップ846に進む。決定ステップ846において、制御ベクトルが最大値の下方のstep_sizeよりも小さいか否か、または制御ベクトルが最大値のstep_size内にあるか否かに関する判定が行われる。決定ステップ846において制御ベクトルが最大値のstep_size内にある場合、動作はステップ850に進み、デジタル制御ユニットは制御ベクトルを最大値まで増大させ、またstep_size値を最小値まで低減する。その後、動作はステップ858において終了し、ループはステップ804に戻ることによって繰り返される。
【0069】
あるいは、制御ベクトルが最大値の下方のstep_size値よりも小さい場合、動作はステップ854に進み、デジタル制御ユニットは、値、増分またはコードとしても参照されるstep_sizeサイズ単位数だけ制御ベクトルを増大させる。ステップ812~828においてステップサイズを上記で計算した。その後、動作はステップ858において終了し、ループはステップ804に戻ることによって繰り返す。
【0070】
別の言い方をすれば、この例示的な実施形態では、制御ベクトルは、ループのアナログ部分からのup_dnフィードバック信号に基づいて自動的に調整される。デジタル制御ユニットは、経時的にup_dn信号の履歴を監視して、制御ベクトルが著しく目標から外れているか否かを判定し、これは、この実施形態では、up_dn信号が、シフトレジスタ内のN個の連続したup_dn値によって決定されるN回の連続したループ反復にわたって変化しないことによって決定される。シフトレジスタには、制御ループが更新されるたびにup_dn信号の値が記憶される。各反復中、up_dn信号の記憶されている最も古い値がスタックの最後から破棄され、最新の値が最初に挿入される。Nは、どのような値であってもよいが、高い値であるほど、制御値の変化が遅くなる。
【0071】
up_dn信号の値が連続してN回同じでない場合、制御ループは最近収束点を通過しており、ステップサイズは半分に低減される。これは、ステップサイズがstep_min(デフォルトでは1)になるまで、制御ループが更新されるたびに行われる。デジタル出力からup_dn信号入力に戻るまでの時間遅延は相対的に小さく、したがって、複数回の収束点通過を検出するには8回のループ反復で十分である。他の実施形態では、異なる反復回数が規定(使用)されてもよい。収束時には、ステップサイズは常に最小サイズであるべきであるが、その前には、制御ベクトルおよびさらには利得も、所望の利得レベルが見つかるときに目標値の上下に及び得る。
【0072】
「up_dn」のN個の最新の値が同じである場合、ステップサイズは1だけ増大する。制御ループが、最大ステップサイズに達するまで、またはup_dn信号の値が変化するまで更新されると、ステップサイズは倍増する(または他の実施形態では他の何らかの増分または係数だけ増大する)。この実施形態では、ステップサイズは2に等しく、Sは増分または減分されるステップサイズレジスタである。Sが1だけ増大すると、ステップサイズは2倍になる。Sが1つ低減すると、ステップサイズは半分にされる。他の実施形態では、他の数学的アルゴリズムが実装されてもよい。up_dnが依然として論理レベル1である間に制御ベクトルが上限に達すると、ステップサイズは直ちに最小ステップサイズstep_min値に低減される。「up_dn」が論理レベル0である間に制御ベクトルが下限に達すると、ステップサイズは直ちにstep_min値に低減される。一実施態様において、step_modeレジスタを「10」(デフォルト値)に設定することによって、動的なステップサイズを選択することができる。
【0073】
ステップサイズを増大させる前のN回のループ反復の遅延は、不安定性が回避されるような貴重なヒステリシスを与える。本明細書に記載の実施形態では、ステップサイズは、up_dn信号が1に等しい状態で8回のループ反復が経過するまで小さいままである。この間、制御ベクトルは小さいステップで増大されている。up_dn信号が論理レベル0になると、ステップサイズは、他の何らかの値の半分など、直ちに低減される。この非対称な挙動は、制御ベクトルが収束時に最小ステップサイズ(デフォルト1)を超えるだけ交互になる可能性を低減する。シミュレーション中、図8A図8Bに記載されているような動的ステップサイズモードを使用すると、この例では平衡を再取得するために35回のループ反復のみが必要であることが明らかになった。これは、単一ステップの使用を上回る96.5%の改善である。
【0074】
図9は、図8Bおよび図8Cの方法に基づく制御ベクトル調整の例示的なプロットを示す図である。垂直軸は制御ベクトルを表し、水平軸は時間を表す。時刻904において、制御ベクトル信号調整処理が開始される。初期段階中、信号はN回の反復にわたって低速に増大している。信号点908において、N個のサイクルが発生しており、step_sizeが倍増する。図9では、ステップサイズはプロットの上方に示されており、左から右に1、2、1、2、1、2、4、8、16、32、64、32、16、8、4、2、1の値で示されている。数は、64ステップの最大ステップサイズに達するまで、1-2-4-8など、2倍になる。この進行は、マーカ908のすぐ近くで始まる。最大ステップサイズに達すると(マーカ912)、制御ベクトルは、収束点を通過するまで最大ステップサイズに基づいてこの一定の速度で増大する。プロット912の部分は、ステップサイズが最大(64)である期間を特定する。他の実施形態では、他の最大ステップサイズを利用することができる。
【0075】
次いで、信号点916において、出力信号の大きさが目標値を超えており、それによって制御ベクトルが低減し始める。次に、信号点920の間に平衡に近い状態が発生しており、時間924において到達する。
【0076】
上述の動的ステップサイズは良好に機能するが、望ましくないループ収束挙動をもたらす可能性がある。例えば、より大きいステップサイズ(例えば、32倍)が選択された場合、ループはより大きいステップサイズモードに留まる可能性があり、ディザー、したがってBERに悪影響を及ぼす。この挙動は、ループが動作することができる速度を制限する。動的ステップサイズによる最悪の収束時間の概略式を以下に示す。
【0077】
収束時間=クロック周期×デジタルループ状態の数×平均化動的ステップサイズ(2)
この式は1次近似である。
【0078】
動的平均化
ループ収束時間を低減する別の方法は、UP/DN信号に適用される平均化を動的に変更することである。動作中に使用される平均化は、主にパターン依存性を回避し、良好な温度サイクル挙動を有するためのものである。実験室での測定に基づいて、ループ平均化(カウンタ値)を128に設定することができ、パターン依存性があまり問題にならない場合でも起動時に十分に動作する。これは、32倍(4096/128)の収束速度のおおよその増大を快適に達成することができることを示している。他の利点は、システムがより速い収束時間を達成できるだけでなく、良好なループ挙動を維持することもできることである。「動的平均化」を利用するループの代表的な収束挙動については、図4を参照されたい。動的平均化が行われると、収束時間はおおよそ以下のようになる。
【0079】
収束時間=クロック周期×デジタルループ状態の数×平均化/動的ステップサイズ×動的平均加速(3)
図10は、調整可能なカウンタサイズを有する例示的なシステムのブロック図を示す。これは可能な一実施形態にすぎず、したがって、同様の制御機能を達成する他の構成も可能である。この実施形態では、入力1004は、増幅器1008などの制御下のデバイスに入力信号を搬送する。この説明のための便宜上、理解を助けるために、増幅器として示され説明されているが、フィードバックループの制御下にある任意のデバイスまたは要素を使用することができ、本明細書に記載のループ制御システムおよび方法から受益することが開示されている。
【0080】
この実施形態では、増幅器1008は、ループフィードバックが制御信号を提供して増幅器に利得を増減させるように、その出力信号の大きさを基準値に維持するように構成される。本明細書で説明するように、始動時またはリセット時に、増幅器の出力値は、増幅信号があるべき基準値から遠く離れている可能性がある。下記に説明するように、増幅された信号を基準値に迅速に収束させることが望ましい。
【0081】
増幅された信号である増幅器の出力は、出力経路1012上の出力として誤差検出器1016に提供される。誤差検出器1016はまた、入力1020から基準信号も受信する。誤差検出器1016は、増幅された信号と基準値とを比較する。この比較に基づいて、誤差検出器1016は、アップ信号またはダウン信号をデジタル平均カウンタ1024およびアップ/ダウン検出器(追跡器)に出力する。誤差検出器は、比較器、または、信号を基準値と比較することができる任意の他のデバイスを含むことができる。基準値は、製造時、始動時に誤差検出器1016に提供されてもよく、または動作中にもしくはユーザインターフェース(図示せず)を介した入力に基づいて動的に調整されてもよい。メモリまたはレジスタは、基準値を記憶することができる。
【0082】
デジタル平均1024は、動作中に調整することができるカウンタサイズを有するカウンタとして構成することができる。カウンタサイズは、0から最大カウンタサイズに及ぶ。カウンタサイズは、出力、典型的には論理1値または論理0値を生成し、その後リセットする前にカウンタが到達しなければならない値である。一実施形態では、リセット時に、カウンタは、0と最大カウンタサイズとの間の中間値にリセットされる。アップ/ダウン検出器(追跡器)1028からの制御入力に基づいて、カウンタサイズを調整することができる。例えば、カウンタサイズは、0~4096、または0~265、または任意の範囲に及び得る。カウンタサイズが大きい場合、カウンタ値を最大カウンタ値に進めるか、またはカウンタ値を0カウンタ値に低減するために、より多くの入力が必要となる。カウンタサイズが小さい場合、カウンタ値を最大カウンタ値に進めるか、またはカウンタ値を0に低減するために、より少ない入力が必要となる。デジタル平均器カウンタ1024は、誤差検出器1016から出力されるアップ信号ごとに上方にインクリメントされ、誤差検出器1016から出力されるダウン信号ごとに下方にデクリメントされる。デジタル平均器カウンタ1024は、最大カウンタ値に達すると論理1値を出力し、0カウンタ値に達すると論理0値を出力する。最大カウンタ値または0に達した後、カウンタ値は0と最大カウンタ値との間の中間値にリセットされ、処理が繰り返される。
【0083】
アップ/ダウン検出器1028は、誤差検出器1020からのアップ/ダウン出力を監視し、追跡する。アップ/ダウン検出器1028は、メモリ、レジスタ、制御論理、ソフトウェア、または本明細書で説明するように実行するように構成された任意の他の要素もしくはそれらの組み合わせを含むことができる。アップ/ダウン信号の所定のパターンを受信すると、アップ/ダウン検出器は、デジタル平均器カウンタ1024のカウンタサイズを調整する。別の実施形態では、所定のパターンは、8つの連続する同一の信号などであるが、これに限定されない、連続する複数のアップ信号または連続する複数のダウン信号であってもよい。一実施形態では、所定のパターンは、限定はしないが、誤差検出器からの最後の8つの信号のうちの6つのアップ信号など、より大きい信号群のうちの特定の数のアップ信号またはダウン信号であってもよい。
【0084】
この所定のパターンが満たされるとき、それは、増幅された信号が基準値から離れているという指示である。増幅された信号は、基準値よりもはるかに大きくてもよく、または、基準値をはるかに下回ってもよい。したがって、増幅された信号値が基準値になるかまたは基準値付近になる時間を低減することは、カウンタサイズを低減することによって達成することができる。カウンタサイズを低減すると、デジタル平均器カウンタ1024が最大カウント値に達するために必要とされる、誤差検出器1020からのアップ出力の数が低減し、最大カウント値は、後述するように、増幅器1008の利得を増大させるために必要とされる。同様に、カウンタサイズを低減すると、デジタル平均器カウンタ1024が0カウント値に達するために必要とされる、誤差検出器1020からのダウン出力の数が低減し、0カウント値は、同じく後述するように、増幅器1008の利得を低減するために必要とされる。一実施形態では、カウンタサイズは、4096において開始し、経時的に、誤差検出器が所定のパターンの値(信号)を出力することに応答して、サイズが2048、1024、512、256に低減される。誤差検出器出力が所定のパターンと一致しない場合はいつでも、カウンタを4096などのその最大サイズにリセットすることができる。
【0085】
アップ/ダウン検出器1028からデジタル平均器カウンタ1024への制御信号は、デジタル平均器カウンタのカウンタ値を制御する。所定のパターンが連続して数回発生する場合、カウンタサイズは、4096から2048、1024など、256までずっと連続して数回低減され得る。これらの数は、理解のみを目的として提供されており、したがって、他の実施形態は異なるカウンタサイズ値を有してもよい。しかしながら、一実施形態では、アップ/ダウン検出器1028が所定の基準を満たさない入力のパターンを受信した場合、これは、増幅された信号が基準値にあるかまたは基準値付近にあることの指示であり、そのようなアップ/ダウン検出器は、デジタル平均器カウンタ1024のカウンタサイズを、この例示的な実施形態では4096などの最大値にリセットする。
【0086】
デジタル平均器カウンタ1024の出力は、現在の利得状態を表すデジタル制御値を増減するループステートマシンに提供される。ループステートマシンは、誤差検出器1016からの一連のアップ/ダウン信号を監視および追跡し、一連のアップ/ダウン信号を所定のパターンと比較するように構成されたメモリ、制御論理、ソフトウェア、プロセッサ、比較器、レジスタ、またはこれらの要素の任意の組み合わせのうちの1つ以上を含むことができる。現在の利得状態を表すデジタル制御値を増減させた後、デジタル値はデジタル-アナログ変換器1036に供給され、デジタル-アナログ変換器はデジタル制御値をアナログ信号に変換し、アナログ信号は、次いで利得を調整するための利得制御信号として増幅器に供給される。利得は、上下に調整されてもよい。
【0087】
図11は、親出願に記載されている動的ステップサイズのプロットを示す。水平軸1108は時間を表し、一方、垂直軸1108はループ状態を表す。ループ状態は、利得制御信号を表す。第1の信号部分1118の間、ステップサイズは通常のステップサイズに固定されている。この小さいステップサイズが一定期間発生した後、ステップサイズは、第2の信号部分1122の大きいステップサイズ1126に変更される。第1の信号部分1118と第2の信号部分1122の両方について、期間1130によって示される利得を調整するのにかかる時間は同じであることに留意されたい。これにより、ステップサイズが増大しても、ステップサイズ変更の間の時間は固定される。
【0088】
このプロセスは、点1134まで繰り返される。しかしながら、点1134において、利得値は所望の定常状態レベル1114を行き過ぎている。その後、信号部分1138およびそれに関連する余分な時間が、定常状態に近づくのにかかる。その後、ループ制御は、信号部分1140において利得値を定常状態に維持する。ステップサイズの変化と行き過ぎとの間の一定の時間は、図10に示すシステムおよび結果として生じる動作方法によって克服される。
【0089】
図12は、図10に示すシステムに基づく信号プロットを示す。このプロットは例示的なものにすぎず、説明の目的および理解を助けるために提供されている。水平軸1208は時間を表し、一方、垂直軸1204はループ状態を表す。図11と比較して分かるように、信号プロット部分1212の間、利得値の変化(ステップ)間の時間1216は、信号プロット部分1230のステップ変化間の時間よりも小さい。これにより、実際の利得レベルが定常状態値1114にあるかまたはそれに近い理想的な利得レベルに達するのにかかる時間が低減され、従来技術の方法および親出願の動的ステップサイズに関連する行き過ぎが低減または排除される。
【0090】
図10に示すシステムは、実装および試験されている。以下の図13図14、および図15は、実際の信号プロットによって証明される改善を示す。図13は、従来技術のループ制御の信号プロットを示す。水平軸1304は時間を表し、一方、垂直軸1308はボルト単位のループ状態を表す。図示のように、信号プロット1312は、定常状態レベル1316まで低速に上昇する。この従来技術のシステムでは、約90マイクロ秒かかる。この時間の間、増幅器、または制御下の任意の他のデバイスの利得レベルは適切なレベルになく、それによって所望のシステム動作が阻害され、場合によっては後続のシステムが訓練手順などの動作を開始することが妨げられる。
【0091】
図14は、本明細書に開示された技術革新に基づくループ制御の信号プロットを示す。水平軸1404は時間を表し、一方、垂直軸1408はボルト単位のループ状態を表す。図示のように、信号プロット1412は、定常状態レベル1416まで迅速に上昇する。このシステムでは、収束は、図13の従来技術のプロットよりも約33倍速く起こる。これにより、システム動作が高速化され、後続のシステムが訓練手順などの動作を開始することが可能になる。
【0092】
また、親出願の方法および装置と、本明細書に開示される可変カウンタサイズ方法とを組み合わせて、より大きな改善を可能にし得ることも企図される。ループは、動的ステップサイズを可能にするとともに可変カウンタサイズを有するように、別個に動作するか、または単一のループに構成されてもよい。したがって、カウンタステップサイズは、定常状態への収束を加速するために低減することができるが、ステップサイズ(利得の増大または低減するステップサイズ)は増大することができ、これによってまた定常状態への収束が加速する。
【0093】
図15は、動的ステップサイズと可変カウンタサイズとを組み合わせたループ制御システムの例示的な信号プロットを示す。水平軸1504は時間を表し、一方、垂直軸1508はボルト単位のループ状態を表す。図示のように、信号プロット1512は、定常状態レベル1516まで迅速に上昇する。このシステムでは、収束は、図13の従来技術のプロットよりも約100倍速く起こる。これにより、システム動作が高速化され、後続のシステムが訓練手順などの動作を開始することが可能になる。
【0094】
図16Aおよび図16Bは、可変カウンタサイズを有するループ制御システムの1つの例示的な実施形態の例示的な動作方法を示す。これは1つの可能な動作方法にすぎず、したがって、可変カウンタサイズを実装する他の方法が企図され、可能である。ステップ1604において、この動作方法は、デジタル平均器カウンタの初期デジタル平均器カウンタサイズを設定する。デジタル平均器カウンタサイズは、デジタル平均器カウンタが1または0の出力を出力する前に受信しなければならない、対向するアップまたはダウン入力の数を超えるアップ入力またはダウン入力の数を決定するカウンタまたは他の要素のサイズである。例えば、カウンタサイズは4096であってもよく、カウンタの開始値が2048の中間点である場合、デジタル平均器カウンタから出力される論理1を出力するために、受信される任意のダウン信号の量を超えて、2048個のアップ信号が必要とされる。同様に、カウンタサイズは2048であり、カウンタの開始値が1024の中間点であり、このとき、デジタル平均器カウンタから出力される論理0を出力するために、受信される任意のアップ信号の量を超えて、1024個のダウン信号が必要とされる。下記に説明するように、動作中に、カウンタサイズを変更して、制御下のデバイスがその所望のレベルまたは値に収束する速度を調整することができる。
【0095】
ステップ1608において、連続アップ/ダウン信号パターン追跡器に対して、デジタル平均器カウンタのサイズを変更するために必要な閾値が設定される。例えば、アップ/ダウン信号パターンは、アップ/ダウン信号の様々なパターンに設定されてもよい。そして、アップ/ダウン信号の定義されたパターンを受信すると、カウンタサイズを変更することができる。
【0096】
ステップ1612において、増幅器(制御下のデバイス)は、基準値まで増幅されるか、基準値にあるかまたは基準値に近くなる入来信号を受信する。増幅レベルに関連して説明したが、制御下のデバイスは、ループによる制御である任意のデバイスとすることができ、これによってループ収束時間の改善から受益する。ステップ1616において、増幅器は、受信信号を増幅して増幅された信号を生成する。次に、ステップ1620において、増幅された信号は、誤差検出器または任意のタイプの比較器を用いて基準値と比較される。基準値は、受信信号が増幅後にあるべき値である。基準値は、メモリまたはレジスタに記憶されてもよく、製造時に、後にユーザによって設定されてもよく、または動作中に動的に調整されてもよい。図示されていないユーザインターフェースが、基準値を設定または変更する手段を提供することができる。
【0097】
ステップ1624において、ステップ1620における比較に基づいて、誤差検出器はアップ信号またはダウン信号を生成して出力する。アップ信号は、増幅された信号が基準値よりも小さいことを示し、ダウン信号は、増幅された信号が基準値よりも大きいことを示す。誤差検出器から出力されるアップ信号またはダウン信号は、ステップ1628においてデジタル平均器カウンタに供給される。ステップ1632において、アップ信号を受信すると、デジタル平均器カウンタはそのカウントをインクリメントし、一方、ダウン信号を受信すると、デジタル平均器カウンタはそのカウントを1だけデクリメントする。次に、ステップ1636において、デジタル平均器カウンタ値の現在のカウントとデジタル平均器カウンタサイズとの間の比較が行われる。
【0098】
図16Bを参照すると、決定ステップにおいて、デジタル平均器カウンタ値がカウンタサイズまたは0に等しい場合、動作はステップ1644に進む。ステップ1644において、カウンタがその最大サイズまたは最小サイズに達したため、出力が生成され、その結果、ループ状態を増分または減分する出力が得られる。ループ状態は、増幅器の利得値を表すデジタル値であってもよい。カウンタから論理1が出力される結果として、ループ状態がインクリメントされることになり、一方、カウンタから論理0値によって、ループ状態がデクリメントされることになる。ループ状態を増大させると増幅器の利得が増大し、一方、ループ状態をデクリメントすると増幅器利得が低減する。他の実施形態では、他の表記が確立されてもよい。
【0099】
ステップ1644から、動作はステップ1648に進み、ループ状態の変化に基づいて利得が調整される。図10を参照すると、利得は、ループ状態がデジタル値としてDACに提供されることに起因して調整され、DACはその後、増幅器にアナログ制御信号を提供する。ステップ1648において、デジタル平均器カウンタはその中間点に再設定され、この中間点は、この実施形態では、0と最大カウンタサイズとの間である。あるいは、このステップは、後にこの動作方法において行われてもよい。ステップ1648の後、動作は決定ステップ1652に進む。
【0100】
あるいは、決定ステップ1640においてデジタル平均器カウンタサイズがカウンタ最大値または最小値に等しくないと判定された場合、動作は決定ステップ1652に進む。決定ステップ1652において、誤差カウンタからの現在のアップ/ダウン信号が最後のアップ/ダウン信号と同じであるか否かの判定が行われる。この実施形態では、パターンは、一定数の連続するアップ信号またはダウン信号である。他の実施形態では、満たされなければならない前のアップ/ダウン信号のパターンは、最新の受信信号のグループ内の特定の数のアップ/ダウン信号など、連続以外であってもよい。アップ/ダウン検出器のパターンが満たされていない場合、動作はステップ1672に進む。ステップ1672において、現在のデジタル平均カウンタサイズが最大カウンタサイズよりも小さいか否かの判定が行われる。そうである場合、動作はステップ1676に進み、システムはデジタル平均カウンタサイズを最大サイズに設定する。その後、動作はステップ1680に進み、最近のアップ/ダウン信号が最後のアップ/ダウン信号と同じではないため、アップ/ダウン検出器がリセットされる。ステップ1680の後、動作はステップ1668に進み、動作はステップ1612に戻る。ステップ1672において、デジタル平均カウンタサイズが最大値以上である場合、動作はステップ1680に進む。ステップ1680において、アップ/ダウン検出器がリセットされ、その後、動作はステップ1668に進む。
【0101】
あるいは、ステップ1652において、現在のアップ/ダウン信号が前のアップ/ダウン信号と同じである場合、動作はステップ1656に進み、アップ/ダウン検出器内のパターンは、誤差検出器からの前の信号と同一であった別のアップ信号またはダウン信号を反映するように更新される。次に、決定ステップ1660において、連続するアップ信号または連続するダウン信号の数(またはパターン)が閾値(またはパターン)を満たすか否かが判定される。例えば、閾値は、8つの連続するアップ信号または8つの連続するダウン信号であってもよい。他の実施形態では、所定の数またはパターンは変化してもよい。
【0102】
ステップ1660においてアップ信号またはダウン信号の連続する数が閾値を満たさない場合、動作はステップ1668に進み、システム動作はステップ1612に戻る。あるいは、ステップ1660においてアップ信号またはダウン信号の連続する数が閾値を満たす場合、動作はステップ1664に進み、カウンタがまだ最小値になっていない場合、システムはデジタル平均器カウンタサイズを低減する。この動作方法では、カウンタサイズを半分、または他の何らかの倍数または量だけ低減することができる。一実施形態では、カウンタサイズは4096において始まるが、時間が経つにつれて、設定単位で256に低減する。ステップ1668の後、動作はステップ1668に戻り、次いでステップ1612に戻る。
【0103】
本発明の他のシステム、方法、特徴および利点は、添付の図面および詳細な説明を検討することにより、当業者に明らかになるであろう。すべてのそのような追加のシステム、方法、特徴および利点が、この説明内に含まれ、本発明の範囲内にあり、添付の特許請求の範囲によって保護されることが企図されている。
【0104】
本発明の様々な実施形態を説明したが、本発明の範囲内にあるより多くの実施形態および実施態様が可能であることは当業者には明らかであろう。さらに、本明細書に記載の様々な特徴、要素、および実施形態は、任意の組み合わせまたは構成で特許請求され、または組み合わされてもよい。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
【手続補正書】
【提出日】2022-07-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
図1】例示的な光ファイバ通信リンクを示す図である。
図2A】例示的な可変利得増幅器制御システムのブロック図である。
図2B】例示的なデジタル制御ユニットのブロック図である。
図3】制御ベクトル調整のための従来技術の方法を示す図である。
図4】制御ベクトルを調整する従来技術のプロセスのより詳細なバージョンを示す図である。
図5図4の方法の制御ベクトル値対時間の例示的なプロットを示す図である。
図6】VGA制御方法の動作フロー図である。
図7図6の方法の経時的な制御ベクトル値のプロットを示す図である。
図8A図8B図8Cとの関係を示すインデックス図である。
図8B】制御ベクトル調整の代替的な方法の動作フローチャートの第1の部分を示す図である
図98Bおよび図8Cの方法に基づく制御ベクトル調整の例示的なプロットを示す図である。
図10】調整可能なカウンタサイズを有する例示的なシステムのブロック図である。
図11】親出願に記載されている動的ステップサイズのプロットを示す図である。
図12図10に示すシステムに基づく信号プロットを示す図である。
図13】従来技術のループ制御の信号プロットを示す図である。
図14】本明細書に開示された技術革新に基づくループ制御の信号プロットを示す図である。
図15】動的ステップサイズと可変カウンタサイズとを組み合わせたループ制御システムの例示的な信号プロットを示す図である。
図16A】可変カウンタサイズを有するループ制御システムの1つの例示的な実施形態の例示的な動作方法を示す図である。
図16B】可変カウンタサイズを有するループ制御システムの1つの例示的な実施形態の例示的な動作方法を示す図である。
【手続補正書】
【提出日】2022-07-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
図1】例示的な光ファイバ通信リンクを示す図である。
図2A】例示的な可変利得増幅器制御システムのブロック図である。
図2B】例示的なデジタル制御ユニットのブロック図である。
図3】制御ベクトル調整のための従来技術の方法を示す図である。
図4】制御ベクトルを調整する従来技術のプロセスのより詳細なバージョンを示す図である。
図5図4の方法の制御ベクトル値対時間の例示的なプロットを示す図である。
図6】VGA制御方法の動作フロー図である。
図7図6の方法の経時的な制御ベクトル値のプロットを示す図である。
図8A図8B図8Cとの関係を示すインデックス図である。
図8B】制御ベクトル調整の代替的な方法の動作フローチャートの第1の部分を示す図である。
図8C図8に示す制御ベクトル調整の代替的な方法の動作フローチャートの第2 の部分を示す図である。
図9図8Bおよび図8Cの方法に基づく制御ベクトル調整の例示的なプロットを示す図である。
図10】調整可能なカウンタサイズを有する例示的なシステムのブロック図である。
図11】親出願に記載されている動的ステップサイズのプロットを示す図である。
図12図10に示すシステムに基づく信号プロットを示す図である。
図13】従来技術のループ制御の信号プロットを示す図である。
図14】本明細書に開示された技術革新に基づくループ制御の信号プロットを示す図である。
図15】動的ステップサイズと可変カウンタサイズとを組み合わせたループ制御システムの例示的な信号プロットを示す図である。
図16A】可変カウンタサイズを有するループ制御システムの1つの例示的な実施形態の例示的な動作方法を示す図である。
図16B】可変カウンタサイズを有するループ制御システムの1つの例示的な実施形態の例示的な動作方法を示す図である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
【外国語明細書】