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  • 特開-車両用表示装置 図1
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  • 特開-車両用表示装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022114592
(43)【公開日】2022-08-08
(54)【発明の名称】車両用表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 5/00 20060101AFI20220801BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20220801BHJP
【FI】
G09G5/00 555D
B60K35/00 Z
G09G5/00 510V
G09G5/00 550X
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021010926
(22)【出願日】2021-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】金子 千冬
(72)【発明者】
【氏名】角 大輔
【テーマコード(参考)】
3D344
5C182
【Fターム(参考)】
3D344AA19
3D344AB01
3D344AD01
3D344AD13
5C182AA02
5C182AA03
5C182AB25
5C182AB26
5C182AB31
5C182BB12
5C182BB26
5C182BC01
5C182DA62
(57)【要約】
【課題】 搭載するデバイスの変更を容易にできる車両用表示装置を提供する。
【解決手段】 画像を表示する表示器21を含む複数のデバイス21~25と、マスターシステムDからの駆動信号を入力し、各デバイス21~25へ送信する通信インターフェース10と、デバイス21~25のそれぞれを特定する第1のアドレス情報と、マスターシステムDのプログラムに対応し前記第1のアドレス情報と異なる値の第2のアドレス情報と、を関連付けて格納する不揮発性メモリ20と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示器を含む複数のデバイスと、
マスターシステムからの駆動信号を入力し、各デバイスへ送信する通信インターフェースと、
前記デバイスのそれぞれを特定する第1のアドレス情報と、前記マスターシステムのプログラムに対応し前記第1のアドレス情報と異なる値の第2のアドレス情報と、を関連付けて格納する不揮発性メモリと、
を備える車両用表示装置。
【請求項2】
前記通信インターフェースは、前記不揮発性メモリに格納された前記第1のアドレス情報を前記マスターシステム側に出力する請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記不揮発性メモリは、前記第1,第2のアドレス情報と、対応するデバイスの機能パラメータ情報とを、更に関連付けて格納する請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記マスターシステムから画像データと前記表示器用の第1のアドレスとを含む駆動信号を入力し、前記表示器に前記画像データを出力する請求項1に記載の車両用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用表示装置に関し、例えば、別ユニットからの信号に基づいて表示出力を行う車両用表示装置として好適である。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数のシステム間での通信を伴う表示装置にあっては、種々の通信インターフェース方式が提案、標準化されており、特に、マスターシステムとスレーブシステムから構成された通信インターフェースがある。例えば、特許文献1に開示される。
【0003】
この通信インターフェースにおけるスレーブシステムで構成された表示装置にあっては、表示装置内の各デバイスのアドレスを用いて、マスターシステム側から該デバイスを制御できる。例えば、画像表示パネルを搭載する車両用表示装置を駆動する際、マスターシステム側から、画像表示パネルのデバイスに割り当てられたアドレス情報、映像情報、表示タイミング情報とをスレーブシステムとなる車両用表示装置に転送することで、実現できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-35289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述構成によれば、マスターシステム側が、スレーブシステム側の各デバイスのアドレスを予め格納しておく必要がある。しかしながら、特定デバイスが製造中止で廃番になるなどして、デバイスを変更する場合、マスターシステム側のアドレス情報(プログラムデータ)も更新する必要が生じてしまうため、変更が容易でなかった。
【0006】
そこで本発明の目的は、上述した課題に着目し、デバイス変更を容易にできる車両用表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の車両用表示装置は、
画像を表示する表示器を含む複数のデバイスと、
マスターシステムからの駆動信号を入力し、各デバイスへ送信する通信インターフェースと、
前記デバイスのそれぞれを特定する第1のアドレス情報と、前記マスターシステムのプログラムに対応し前記第1のアドレス情報と異なる値の第2のアドレス情報と、を関連付けて格納する不揮発性メモリと、を備える。
【0008】
また、前記通信インターフェースは、前記不揮発性メモリに格納された前記第1のアドレス情報を前記マスターシステム側に出力する。
【0009】
また、前記不揮発性メモリは、前記第1,第2のアドレス情報と、対応するデバイスの機能パラメータ情報とを、更に関連付けて格納する。
【0010】
また、前記マスターシステムから画像データと前記表示器用の第1のアドレスとを含む駆動信号を入力し、前記表示器に前記画像データを出力する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の車両用表示装置は、デバイス変更を容易にできる車両用表示装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態の車両用計器の車載例を示す図。
図2】同実施形態の車両用計器の構成を示すブロック図。
図3】同実施形態の不揮発性メモリ20の格納内容を表す図。
図4】同実施形態のマスターシステムと車両用計器との通信例を表す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面に基づいて、本発明の車両用表示装置を適用した一実施形態を説明する。
【0014】
車両用表示装置は、画像を表示するための表示デバイスであり、図1に示す車両用計器Aを適用したものを例に挙げて説明する。なお、車両用表示装置として、この他、図示しないヘッドアップディスプレイ、ナビゲーションシステムや空気調和器用を兼ねるセンターディスプレイB、車外映像表示用のモニタCなど車両Vのインストルメントパネルやダッシュボードに搭載される表示装置を適用することもできる。
【0015】
車両用計器(車両用表示装置)Aは、図2に示すように、車載されるマスターシステムDと接続されている。マスターシステムDには、不揮発性メモリD1に格納された各種プログラムを用いて、演算部D2によって演算処理を行い、通信インターフェースD3を用いて、スレーブシステムのひとつである車両用計器Aに通信信号を送受信する。
【0016】
車両用計器Aは、マスターシステムDの通信インターフェースD3と同様の通信インターフェース10を備えており、シリアルデータをコード/デコードしてデータをやりとりしており、双方向の通信を行うことができる。この場合、マスターシステムDとスレーブシステム間は、所謂I2C通信を行うための接続がなされている。
【0017】
車両用計器Aは、不揮発性メモリ20の他に、液晶表示素子や有機EL表示素子等を用いた画像を表示する表示器21と、この表示器21の調光機能付きのバックライト用LED22と、シンボルマークが印刷された意匠板を透過照明することで表示するインジケータ用LED23と、警報時等の鳴動や音声案内等を行うためのスピーカ24と、表示器21のバックライト輝度を最適に調整するため外部環境の照度を測定する照度センサ25などの各種デバイスを同一の筐体に備えている。この場合、これらデバイスは、各種駆動ドライバや、オンオフスイッチ用のトランジスタなどの駆動に必要な構成を含むものである。
【0018】
各種デバイス20~25は、I2C用の第1のアドレス情報が割り当てられており、この第1のアドレス情報に基づいて、マスターシステムDは、駆動対象を特定して駆動信号を送信したり、送信デバイスを特定して信号を受信したりできる。
【0019】
一方、不揮発性メモリ20は、例えば、EEPROMを適用でき、図3に示すように、第1のアドレス情報(デバイスアドレス)を不揮発性メモリ20の各アドレスにデータ値として格納している。また、不揮発性メモリ20は、各第1のアドレス情報とは異なる値でデバイス(複数のデバイス)21~25毎に設定した第2のアドレス情報をデバイスIDとして、第1のアドレス情報と関連付けて格納している。
【0020】
なお、第2のアドレス情報は、マスターシステムDのプログラムによってデバイス種を判断できる値が予め設定されており、この場合、不揮発性メモリ20のアドレスに対応させている。これらデータテーブルによって、車両用計器Aのうちマスターシステムと通信するデバイス21~25のIDを管理できる。
【0021】
また、不揮発性メモリ20は、デバイス特有のパラメータを第2のアドレス情報と関連付けて格納している。例えば、表示器のサイズ情報や、照度センサの固有特性値などを、パラメータ情報としてデータ格納できる。
【0022】
マスターシステムDは、不揮発性メモリ20にアクセスすることによって、第2のアドレス情報に基づいて、実際に車両用計器Aに実装されたデバイスにアクセスするための第1のアドレス情報を読み取ることができる。
【0023】
マスターシステムDからのデバイス1(表示器)への駆動制御を行う一例について図4を用いて説明する。マスターシステムDは、通信インターフェースD3,10を介して、EEPROM(不揮発性メモリ20)にアクセスし、予め把握しているデバイス1を示す第2のアドレス情報(所定のアドレス「0x0001」)を用いて、これに対応する第1のアドレス情報を読み取り、マスターシステムD内の記憶部に格納する。この後、第1のアドレス情報を用いてデバイス1を駆動制御するための駆動信号を発し、デバイス1は駆動信号に基づく駆動を行うとともに、応答信号をマスターシステムDへ送信する。
【0024】
以上のマスターシステムDと車両用計器Aとの通信によって、マスターシステムDが予め第1のアドレス情報を把握していなくても、第2のアドレス情報を用いて第1のアドレス情報を確認できる。
【0025】
このため、車両用計器A内のデバイスが変更する場合であっても、不揮発性メモリ20内のテーブルデータを含む車両用計器A内の構成を変更するだけでよいため、マスターシステムDのプログラムデータを変更する必要がない。したがって、車両用計器A内のデバイス21~25が変更される場合、車両用計器A内の変更だけで対応できる。この場合、不揮発性メモリ20の第2のアドレス情報は変更せず、これに対応する第1のアドレス情報やパラメータデータを変更することになる。
【0026】
また、デバイスの変更(第1のアドレス情報の変更)に伴って、プログラムを変更する必要があることが予め判断できる場合には、デバイス特有のパラメータデータも併せて確認することによって、マスターシステムDがデバイスに対応したプログラム演算を行うことができる。
【0027】
なお、マスターシステムDが車両用計器A内の複数のデバイス21~25に対応する第1のアドレス情報を確認する通信処理を、事前にまとめて行うこともでき、例えば、バッテリーの脱着タイミングや、車両Vの起動スイッチV1が作動したタイミングによって、各第1のアドレス情報をまとめて不揮発性メモリ20から読み取り、マスターシステムDの記憶部(例えば、不揮発性メモリD1)に格納できる。車両Vの走行時などの通常稼働よりも前にこれら第2のアドレス情報の確認処理を行うことによって、車両用計器Aの各デバイス21~25を駆動するための通信負荷や演算負荷を低減できる作用がある。
【0028】
また、上述したデバイスの変更は、車両や車両用計器の仕向け地域によって部品を変える場合や、計器仕様のバリエーション対応、部品の廃番対応などによって生じるものを想定できる。
【0029】
斯かる車両用計器Aは、画像を表示する表示器21を含む複数のデバイス21~25と、マスターシステムDからの駆動信号を入力し、各デバイス21~25へ送信する通信インターフェース10と、デバイス21~25のそれぞれを特定する第1のアドレス情報と、マスターシステムDのプログラムに対応し前記第1のアドレス情報と異なる値の第2のアドレス情報と、を関連付けて格納する不揮発性メモリ20と、を備える。
【0030】
したがって、マスターシステムDに対応したデバイスの変更を容易にできる車両用計器Aとなる。
【0031】
また、通信インターフェース10は、不揮発性メモリ20に格納された前記第1のアドレス情報をマスターシステムD側に出力すること、不揮発性メモリ20は、前記第1,第2のアドレス情報と、対応するデバイスの機能パラメータ情報とを、更に関連付けて格納することによって、デバイスの変更の自由度が高まる車両用計器Aとなる。
【0032】
また、マスターシステムDから画像データと表示器21用の第1のアドレスとを含む駆動信号を入力し、表示器21に前記画像データを出力する構成であっても、上述と同様の効果がある。
【0033】
なお、本発明の車両用表示装置を上述した車両用計器Aに適用した実施形態の構成にて例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の構成においても、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の改良、並びに表示の変更が可能なことは勿論である。例えば、上述実施形態にあっては、表示器として液晶表示素子や有機EL表示素子等を用いた表示パネル型のものを示したが、表示器としてDMD(デジタルミラーデバイス)や、電磁駆動式のレーザ光走査型MEMSミラーを用いるなどして、画像を含む表示光を生成し投影表示する所謂プロジェクタ形式のものであってもよく、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0034】
本発明は、車両用表示装置に関して、例えば、自動車やオートバイ、あるいは農業機械や建設機械を備えた移動体に搭載され、車両情報や経路案内、道路情報などを表示する表示装置として好適である。
【符号の説明】
【0035】
A 車両用計器(車両用表示装置)
10 通信インターフェース
20 不揮発性メモリ
21 表示器
22 バックライト用LED
23 インジケータ用LED
24 スピーカ
25 照度センサ

D マスターシステム
D1 不揮発性メモリ
D2 演算部
D3 通信インターフェース
図1
図2
図3
図4