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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022114595
(43)【公開日】2022-08-08
(54)【発明の名称】包材
(51)【国際特許分類】
   B65D 73/00 20060101AFI20220801BHJP
【FI】
B65D73/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021010932
(22)【出願日】2021-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000238005
【氏名又は名称】株式会社フジシールインターナショナル
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田 奈央子
(72)【発明者】
【氏名】綿世 真弓
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA22
3E067AC04
3E067AC11
3E067BA15A
3E067BA18A
3E067BB01A
3E067BB14A
3E067BB15A
3E067BB16A
3E067CA01
3E067DA01
3E067EB03
3E067EC28
3E067EC30
3E067FA01
3E067FB01
3E067FC02
(57)【要約】
【課題】熱収縮性フィルムの剥離を抑制する。
【解決手段】包材1は、複数の被包装物10を包装する。包材1は、筒状の熱収縮性フィルム100と、縫合糸部150とを備える。熱収縮性フィルム100は、複数の被包装物10の各々の少なくとも一部を覆う。縫合糸部150は、熱収縮性フィルム100を縫合により複数の被包装物10が収容される複数の筒状部に区画する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の被包装物を包装する包材であって、
前記複数の被包装物の各々の少なくとも一部を覆う筒状の熱収縮性フィルムと、
前記熱収縮性フィルムを縫合により前記複数の被包装物が収容される複数の筒状部に区画する縫合糸部とを備える、包材。
【請求項2】
台紙をさらに備え、
前記熱収縮性フィルムおよび前記台紙は、前記縫合糸部によってともに縫合されることにより、互いに固定されている、請求項1に記載の包材。
【請求項3】
前記複数の筒状部において隣り合う筒状部同士の間にて、前記縫合糸部が複数列またはジグザグ状に設けられている、請求項1または請求項2に記載の包材。
【請求項4】
前記縫合糸部によって前記熱収縮性フィルムとともに縫合された補強用部材をさらに備える、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の包材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包材に関する。
【背景技術】
【0002】
シュリンクフィルム付台紙の構成を開示した先行文献として、特開2017-52523号公報(特許文献1)がある。特許文献1に記載されたシュリンクフィルム付台紙は、シュリンクフィルム、およびシュリンクフィルムが接着部によって貼着された台紙を含む。シュリンクフィルムは、複数の筒状部と、接続部とを有する。複数の筒状部の各々は、被包装物を収容する。筒状部同士は、接続部によって接続されている。接続部は、シュリンクフィルムを溶着、もしくは接着剤にて接着することにより形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-52523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
熱収縮性フィルム同士を互いに溶着または接着して複数の筒状部を形成する場合、熱収縮性フィルムの端縁同士を接着して1つの筒状部を形成する場合と比較して工程が煩雑で生産性も悪く、熱収縮時の熱および収縮力または被包装物の重量などの影響によって熱収縮性フィルム同士が剥離することがある。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、熱収縮性フィルムの剥離を抑制することができる、包材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に基づく包材は、複数の被包装物を包装する。包材は、筒状の熱収縮性フィルムと、縫合糸部とを備える。熱収縮性フィルムは、複数の被包装物の各々の少なくとも一部を覆う。縫合糸部は、熱収縮性フィルムを縫合により複数の被包装物が収容される複数の筒状部に区画する。
【0007】
本発明の一形態における包材は、台紙をさらに備える。熱収縮性フィルムおよび台紙は、縫合糸部によってともに縫合されることにより、互いに固定されている。
【0008】
本発明の一形態においては、複数の筒状部において隣り合う筒状部同士の間にて、縫合糸部が複数列またはジグザグ状に設けられている。
【0009】
本発明の一形態における包材は、縫合糸部によって熱収縮性フィルムとともに縫合された補強用部材をさらに備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、熱収縮性フィルムの剥離を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態1に係る包材の構成を示す斜視図である。
図2図1の包材をII-II線矢印方向から見た断面図である。
図3】本発明の実施の形態1に係る包材において被包装物を透視して示す斜視図である。
図4】本発明の実施の形態1に係る包材において熱収縮性フィルムが縫合糸部によって台紙に縫合された状態を示す断面図である。
図5】本発明の実施の形態1に係る包材において熱収縮される前の熱収縮性フィルムに被包装物が挿入された状態を示す上面図である。
図6図5の包材をVI-VI線矢印方向から見た断面図である。
図7】本発明の実施の形態2に係る包材の構成を示す斜視図である。
図8】本発明の実施の形態3に係る包材の構成を示す斜視図である。
図9】本発明の実施の形態4に係る包材の構成を示す斜視図である。
図10】本発明の実施の形態5に係る包材の構成を示す斜視図である。
図11図10の包材を矢印XI方向から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の各実施の形態に係る包材について図面を参照して説明する。以下の実施の形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0013】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る包材の構成を示す斜視図である。図2は、図1の包材をII-II線矢印方向から見た断面図である。図3は、本発明の実施の形態1に係る包材において被包装物を透視して示す斜視図である。
【0014】
図1図3に示すように、本発明の実施の形態1に係る包材1は、複数の被包装物を包装している。本実施の形態においては、包材1は、複数の被包装物10として第1被包装物11および第2被包装物12を包装している。
【0015】
包材1は、熱収縮性フィルム100と、縫合糸部150とを備えている。本実施の形態における包材1は、台紙110と、補強用部材160とをさらに備えている。
【0016】
熱収縮性フィルム100は、第1被包装物11および第2被包装物12の各々の少なくとも一部を覆う筒状の形状を有している。なお、熱収縮性フィルム100は、筒状に成形されたフィルムで構成されていてもよいし、シート状のフィルムが溶着などによって接合されて筒状に形成されていてもよい。後述するように、筒状の熱収縮性フィルム100が縫合糸部150によって縫合されることにより、第1被包装物11および第2被包装物12の各々を1つずつ収容する複数の筒状部に区画される。なお、複数の筒状部の各々に、複数の被包装物10が収容されていてもよい。
【0017】
熱収縮性フィルム100は、被包装物10の周面の周方向に熱収縮する一軸延伸フィルムであることが好ましい。なお、熱収縮性フィルム100は、一軸延伸フィルムに限られず、上記周方向と上記周面の軸方向との2つの方向に熱収縮する二軸延伸フィルムであってもよい。
【0018】
なお、上述の一軸延伸フィルムとは、実質的に一軸延伸されているフィルムをいい、上記周方向と上記軸方向との収縮率が互いに大きく異なるフィルムのことを意味している。具体的には、一軸延伸フィルムとしては、上記周方向および上記軸方向のいずれか一方向に収縮しないフィルムのみに限られず、たとえば、90℃で10秒間行なう温水処理において上記周方向の熱収縮率が35%以上80%以下、かつ、上記軸方向の熱収縮率が-5%以上20%以下のフィルムが挙げられる。
【0019】
熱収縮性を有する熱収縮性フィルム100の具体例としては、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)若しくはポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレート(PET)若しくはポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル系、スチレンブタジエン共重合体などのポリスチレン系(PS)、または、ポリ乳酸(PLA)、ポリアミド若しくはポリ塩化ビニルなどのビニル系の、樹脂から構成されるフィルムが挙げられる。なお、熱収縮性フィルム100は、これらの樹脂を2種類以上混合した樹脂混合物を含むフィルムであってもよいし、2種以上のフィルムを積層した積層フィルムであってもよい。特に、熱収縮性フィルム100は、適切な収縮応力と高い透明性を有することから、ポリエステル系またはポリスチレン系の一軸延伸フィルムが好ましい。
【0020】
熱収縮性フィルム100の厚みは、特に限定されないが、8μm以上100μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以上80μm以下、特に好ましくは15μm以上60μm以下である。
【0021】
なお、熱収縮性フィルム100としては、上述の熱収縮性フィルムの構成に限られず、着色された熱収縮性フィルム若しくは商品名およびデザインなどを表示するための印刷層が形成された熱収縮性フィルムであってもよい。たとえば、熱収縮性フィルム100の印刷層に、第1被包装物11および第2被包装物12の各々に付されたデザインとは異なるデザインが表示されていてもよい。これにより、包材1に包装された状態と、包材1から取り出された状態とによって、第1被包装物11および第2被包装物12の各々の外観のデザインを変化させることが可能となる。
【0022】
図1に示すように、台紙110は、略矩形形状を有している。ただし、台紙110の形状は、矩形に限られない。台紙110の表面に対して、被包装物10の周面の軸方向は平行である。なお、被包装物10が、たとえば瓢箪形状などを有する場合、台紙110の表面に対して被包装物10の周面の軸方向は平行にならない。このように、被包装物10の形状によって、台紙110の表面と被包装物10の周面の軸方向とは必ずしも平行でなくてもよい。台紙110の表面および裏面の少なくとも一方に、被包装物10の製品情報が記載されていてもよい。台紙110は、たとえば、ボール紙で構成されている。
【0023】
図2および図3に示すように、熱収縮性フィルム100および台紙110は、縫合糸部150によってともに縫合されることにより、互いに固定されている。具体的には、熱収縮性フィルム100は、縫合糸部150によって、固定部140において台紙110と固定されている。
【0024】
縫合糸部150は、熱収縮性フィルム100を縫合により複数の被包装物10の各々が1つずつ収容される複数の筒状部に区画している。本実施の形態においては、縫合糸部150は、熱収縮性フィルム100を第1筒状部120および第2筒状部130に区画している。なお、筒状部の数は、2つに限られず、3つ以上であってもよい。
【0025】
第1筒状部120は、第1被包装物11の少なくとも一部を外形に沿って被覆して第1被包装物11を支持している。第2筒状部130は、第2被包装物12の少なくとも一部を外形に沿って被覆して第2被包装物12を支持している。
【0026】
第1筒状部120は、第1被包装物11の周面を被覆する周面被覆部121と、上記周面の軸方向の両側から第1被包装物11を被覆する狭窄部122とを含んでいる。熱収縮性フィルム100は、熱収縮された状態で、第1被包装物11の周面を被覆するとともに、第1被包装物11の軸方向の両側の少なくとも一部を覆いつつ、上記周面の軸方向の両側から第1被包装物11を被覆している。なお、熱収縮性フィルム100は、必ずしも狭窄部122を含んでいなくてもよい。
【0027】
本実施の形態においては、第2筒状部130は、第1筒状部120との間に位置して台紙110に垂直な仮想面を対称面として、第1筒状部120に対称な形状を有している。第2筒状部130は、第1筒状部120と同様に、周面被覆部131および狭窄部132を含んでいる。なお、第2筒状部130は、第1筒状部120と異なる形状を有していてもよい。
【0028】
本実施の形態における熱収縮性フィルム100は、第1筒状部120または第2筒状部130の包材1の上下方向に亘って切り取り線としてのミシン目状の断続孔が設けられていてもよい。熱収縮性フィルム100にミシン目状の断続孔が設けられている場合、第1筒状部120または第2筒状部130を容易に切断して被包装物10を取り出すことができる。
【0029】
縫合糸部150は、複数の筒状部において隣り合う筒状部同士の間にて、複数列またはジグザグ状に設けられている。本実施の形態における縫合糸部150は、第1筒状部120および第2筒状部130の各々の軸方向に平行に、かつ、直線状に2列設けられている。なお、縫合糸部150は、ジグザグ状に1列のみ設けられていてもよいし、ジグザグ状に複数列設けられていてもよい。
【0030】
縫合糸部150は、複数列またはジグザグ状に設けられることによって、台紙110に対する隣り合う筒状部同士の固定位置を離間させることができる。これにより、筒状部同士の固定位置を調整することができるため、筒状部に被覆された被包装物10同士が接触しないようにすることができ、または、熱収縮性フィルム100の熱収縮時に第1筒状部120および第2筒状部130が強く接触した状態で熱収縮性フィルム100が収縮することによって縫合糸部150付近で熱収縮性フィルム100が破断する、若しくは、台紙110が湾曲することを防止できる。
【0031】
縫合糸部150が複数列設けられる場合、複数列の縫合糸部150の各々は、互いに平行に限定されず、互いに非平行であってもよい。複数列の縫合糸部150の各々が互いに非平行である具体例としては、たとえば、2本の縫合糸部150を設ける場合、2本の縫合糸部150のうち一方を他方に対して斜めにすることによって、包材1の上方または下方に向けて2本の縫合糸部150の互いの間隔を広くしてもよい。これにより、包材1の上方または下方において被包装物10の収容容積が互いに異なる筒状部が形成されるため、包材1の上方または下方において被包装物10の大きさまたは形状が異なる場合であっても、好適に熱収縮性フィルム100で被覆することができる。
【0032】
本実施の形態における縫合糸部150は、被包装物10の周面の軸方向において、熱収縮性フィルム100の配置範囲内に設けられている。なお、縫合糸部150は、包材1の上下方向における熱収縮性フィルム100の上端または下端を超えた台紙110上の位置まで形成されていてもよい。縫合糸部150を熱収縮性フィルム100の端縁を超えた位置まで縫合することによって、熱収縮性フィルム100の上端または下端を台紙110に固定することができる。なお、縫合糸部150の上記軸方向の端部は、折り返して縫合するなどにより縫合が解れないように端部処理がされていてもよい。
【0033】
本実施の形態においては、縫合糸部150は、2本の糸で構成されている。縫合糸部150は、たとえば、二重環縫などの2本の糸のうち一方の糸を他方の糸から容易に引き抜くことができる縫い目にすることにより、被包装物10を筒状部から抜き取ることが可能となる。具体的には、縫合糸部150の両端に端部処理がされている場合、一方の端部処理を外した後、他方側から縫い糸を引き抜くことにより熱収縮された筒状部が緩められて熱収縮性フィルム100が広がるため、被包装物10を筒状部から抜き取ることができる。なお、縫合糸部150は、1本の糸で構成されていてもよい。縫合糸部150を構成する糸は、化学繊維で構成されていてもよいし、天然繊維で構成されていてもよい。
【0034】
縫合糸部150を構成する糸の恒長式の繊度は、たとえば50デニール以上200デニール以下である。ただし、縫合糸部150の繊度は、50デニール以上200デニール以下に限定されず、被包装物10の重量および熱収縮性フィルム100の熱収縮により生ずる荷重に応じて適宜設定される。
【0035】
図2および図3に示すように、補強用部材160は、縫合糸部150によって熱収縮性フィルム100とともに台紙110に縫合されて固定されている。本実施の形態における補強用部材160は、2重に重なった熱収縮性フィルム100の台紙110側とは反対側に配置されている。なお、補強用部材160は、2重に重なった熱収縮性フィルム100同士の間に配置されていてもよい。
【0036】
補強用部材160は、熱収縮性フィルム100の固定部140を覆うように配置されている。なお、補強用部材160は、固定部140の全体を覆う必要はなく、固定部140の少なくとも一部を覆っていればよい。さらに、補強用部材160は、設けられていなくてもよい。
【0037】
本実施の形態においては、補強用部材160は、被包装物10の周面の軸方向において、熱収縮性フィルム100の配置範囲内に設けられている。ただし、補強用部材160は、被包装物10の周面の軸方向において、熱収縮性フィルム100の配置範囲外まで延在していてもよい。
【0038】
補強用部材160は、たとえば、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、紙または布などのシート材料により構成されている。補強用部材160は、熱収縮性フィルム100より破断強度(特に、縦方向(軸方向)の破断強度)が高い材料で構成されることが好ましい。補強用部材160は、単層で構成されていてもよいし、複数層が積層されて構成されていてもよい。
【0039】
以下、本発明の実施の形態1に係る包材1の製造方法について説明する。図4は、本発明の実施の形態1に係る包材において熱収縮性フィルムが縫合糸部によって台紙に縫合された状態を示す断面図である。図5は、本発明の実施の形態1に係る包材において熱収縮される前の熱収縮性フィルムに被包装物が挿入された状態を示す上面図である。図6は、図5の包材をVI-VI線矢印方向から見た断面図である。
【0040】
図4に示すように、筒状に形成された熱収縮性フィルム100が2重に重ねられた状態で縫合糸部150によって縫合されることにより、熱収縮性フィルム100が固定部140において台紙110に固定される。これにより、第1筒状部120および第2筒状部130が区画される。このとき、補強用部材160は、熱収縮性フィルム100の台紙110側とは反対側に配置されて熱収縮性フィルム100とともに台紙110に縫合される。なお、台紙110に縫合される前の熱収縮性フィルム100は、シート状のフィルムを巻いて両端部分を重ね合わせて溶着などにより接合(所謂センターシール)して筒状にしたフィルムであってもよいし、筒状の周方向に継ぎ目が無いフィルム(熱収縮性チューブ)であってもよい。
【0041】
熱収縮性フィルム100が、両端部分を重ね合わせて接合することにより筒状にしたフィルムで構成される場合、重ね合わせ部分を縫合糸部150の位置に合わせることが好ましく、重ね合わせ部分の幅を固定部140の幅より10%~30%程度大きくして縫合糸部150の位置に合わせることがより好ましい。これにより、熱収縮性フィルム100の接合強度を高め、かつ、接合部分である重ね合わせ部分が被包装物10の周面に露出しないため被包装物10の外観を損ねることがない。
【0042】
図5および図6に示すように、熱収縮される前の第1筒状部120は、第1被包装物11の周面の外径に対して大きい周長を有している。これにより、第1被包装物11が第1筒状部120に挿入可能となっている。その後、熱収縮性フィルム100を熱収縮させることにより、図1に示すように、第1被包装物11の周面を周面被覆部121が支持しつつ、狭窄部122が第1被包装物11の周面の軸方向の両側から第1被包装物11を支持する。第2被包装物12も、第1被包装物11と同様に第2筒状部130に支持される。
【0043】
第1筒状部120および第2筒状部130の各々は、熱収縮しつつ互いに接近する。本実施の形態においては、第1筒状部120および第2筒状部130が熱収縮によって互いに接触している。なお、熱収縮性フィルム100の熱収縮時に第1筒状部120および第2筒状部130が接触した状態で熱収縮性フィルム100が収縮することによって縫合糸部150付近で熱収縮性フィルム100が破断しない、または、台紙110が湾曲しない程度の上記軸方向に垂直な方向の幅を固定部140が有するように、2列の縫合糸部150の間隔が設定されている。縫合糸部150によって固定部140が台紙110に固定されているため、固定部140における熱収縮性フィルム100は加熱されても収縮しない。
【0044】
本発明の実施の形態1に係る包材1においては、熱収縮性フィルム100を縫合糸部150の縫合により複数の被包装物10の各々が1つずつ収容される複数の筒状部に区画することによって、熱収縮性フィルム100同士を接着剤などにより接合して複数の筒状部に区画した場合と比較して、熱収縮性フィルム100が熱または被包装物10の重量などの影響によって剥離することを抑制でき、かつ、台紙110に対してホットメルト接着剤により熱収縮性フィルム100を接着させる場合の接着剤を固形化させる時間が不要となるため、包材1の生産性を向上することができる。
【0045】
本発明の実施の形態1に係る包材1においては、熱収縮性フィルム100と台紙110とを縫合糸部150の縫合により互いに固定することによって、台紙110と熱収縮性フィルム100とを強固に固定することができるため、熱収縮性フィルム100と台紙110との固定強度を向上することができる。
【0046】
本発明の実施の形態1に係る包材1は、縫合糸部150によって熱収縮性フィルム100とともに台紙110に縫合されて固定された補強用部材160をさらに備えることにより、熱収縮性フィルム100と台紙110との固定強度を向上させることができる。具体的には、補強用部材160は、熱収縮性フィルム100より破断強度が高いことにより、熱収縮性フィルム100に外力が負荷された際に熱収縮性フィルム100が縫合糸部150から引きちぎられて台紙110から引き剥がされることを抑制することができる。2重に重なった熱収縮性フィルム100の台紙110側とは反対側に補強用部材160が配置されていることにより、熱収縮性フィルム100と台紙110との固定強度を効果的に向上させることができる。
【0047】
本発明の実施の形態1に係る包材1においては、第1筒状部120および第2筒状部130の間にて、縫合糸部150が複数列設けられていることによって、筒状部同士の固定位置を調整することができるため、熱収縮性フィルム100の熱収縮時に第1筒状部120および第2筒状部130が接触した状態で熱収縮性フィルム100が収縮することによって縫合糸部150付近で熱収縮性フィルム100が破断する、若しくは、台紙110が湾曲することを防止することができる。縫合糸部150の複数列の間隔(3列以上の場合は両外側の間隔)を、被包装物10の周面の軸方向に直交する方向における複数の被包装物10の各々の幅寸法の2分の1の和に対して100%~110%にすることによって、第1筒状部120および第2筒状部130が互いに接触することを抑制することができる。
【0048】
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2に係る包材について説明する。本発明の実施の形態2に係る包材1Aは、台紙を含まない構成が本発明の実施の形態1に係る包材1と異なるため、本発明の実施の形態1に係る包材1と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0049】
図7は、本発明の実施の形態2に係る包材の構成を示す斜視図である。図7に示すように、本発明の実施の形態2に係る包材1Aは、熱収縮性フィルム200と、縫合糸部250と、補強用部材260とを備えている。
【0050】
縫合糸部250によって、固定部240において熱収縮性フィルム200同士が互いに固定されている。固定部240は、熱収縮性フィルム200と補強用部材260とが縫合糸部250により縫合されることによって構成されている。
【0051】
補強用部材260は、2重に重なった熱収縮性フィルム200同士の間に配置されている。なお、補強用部材260は、熱収縮性フィルム200同士の間に配置される構成に限られず、縫合糸部250により固定される熱収縮性フィルム200の一方の外面側に配置されてもよいし、熱収縮性フィルム200の両外面側に配置されてもよい。また、補強用部材260が薄肉である、または、柔軟な材質である場合は、固定部240が熱収縮することにより第1被包装物11および第2被包装物12の間隔を狭めることができる。熱収縮後に第1被包装物11および第2被包装物12の間隔を保持する場合は、補強用部材260として剛性を有する紙または樹脂のシート材を使用することができる。このシート材には、印刷表示などをすることができる。
【0052】
縫合糸部250は、熱収縮性フィルム200を第1筒状部220および第2筒状部230に区画している。第1筒状部220は、第1被包装物11の少なくとも一部を被覆して第1被包装物11を支持している。第2筒状部230は、第2被包装物12の少なくとも一部を被覆して第2被包装物12を支持している。
【0053】
本発明の実施の形態2に係る包材1Aにおいては、熱収縮性フィルム200を縫合糸部250の縫合により複数の被包装物10の各々が1つずつ収容される複数の筒状部に区画することによって、熱収縮性フィルム200同士を接着剤などにより接合して複数の筒状部に区画した場合と比較して、熱収縮性フィルム200が熱または被包装物10の重量などの影響によって剥離することを抑制でき、かつ、熱収縮性フィルム200同士を接着剤で接合する煩雑な工程が不要となるため、包材1Aの生産性を向上することができる。
【0054】
(実施の形態3)
以下、本発明の実施の形態3に係る包材について説明する。本発明の実施の形態3に係る包材1Bは、熱収縮性フィルムの構成および台紙を含まない構成が本発明の実施の形態1に係る包材1と異なるため、本発明の実施の形態1に係る包材1と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0055】
図8は、本発明の実施の形態3に係る包材の構成を示す斜視図である。図8に示すように、本発明の実施の形態3に係る包材1Bは、熱収縮性フィルム300と、縫合糸部350と、補強用部材360とを備えている。縫合糸部350は、熱収縮性フィルム300を第1筒状部320および第2筒状部330に区画している。
【0056】
熱収縮性フィルム300は、第1筒状部320に連続した上蓋部371を有し、第2筒状部330に連続した上蓋部372を有している。上蓋部371,372は、熱収縮性フィルム300の上記軸方向の上端部が第1被包装物11Bおよび第2被包装物12Bを包装可能な形状に曲線状に溶断されるとともにヒートシールされることにより形成される。これにより、第1筒状部320および上蓋部371、ならびに、第2筒状部330および上蓋部372の各々が、袋状に形成されている。
【0057】
第1筒状部320および上蓋部371は、第1被包装物11Bの少なくとも一部を被覆して第1被包装物11Bを支持している。第2筒状部330および上蓋部372は、第2被包装物12Bの少なくとも一部を被覆して第2被包装物12Bを支持している。なお、熱収縮性フィルム300は、第1被包装物11Bと第2被包装物12Bとの形状が互いに異なる場合、各被包装物の形状に合わせて一方の筒状部のみ上蓋部を有する袋状に形成されていてもよい。また、包材1Bは、実施の形態1のように台紙を有する形態でもよい。
【0058】
本発明の実施の形態3に係る包材1Bにおいては、熱収縮性フィルム300を縫合糸部350の縫合により複数の被包装物10Bの各々が1つずつ収容される複数の筒状部に区画することによって、熱収縮性フィルム300同士を接着剤などにより接合して複数の筒状部に区画した場合と比較して、熱収縮性フィルム300が熱または被包装物10の重量などの影響によって剥離することを抑制でき、かつ、熱収縮性フィルム300同士を接着剤で接合する煩雑な工程が不要となるため、包材1Bの生産性を向上することができる。また、第1筒状部320および上蓋部371、ならびに、第2筒状部330および上蓋部372の各々が、袋状に形成されていることにより、被包装物10Bの周面および上記軸方向における端面を覆いつつ被包装物10Bを支持することができる。
【0059】
(実施の形態4)
以下、本発明の実施の形態4に係る包材について説明する。本発明の実施の形態4に係る包材1Cは、熱収縮性フィルムと台紙との位置関係が本発明の実施の形態1に係る包材1と異なるため、本発明の実施の形態1に係る包材1と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0060】
図9は、本発明の実施の形態4に係る包材の構成を示す斜視図である。図9に示すように、本発明の実施の形態4に係る包材1Cは、熱収縮性フィルム400と、台紙410と、縫合糸部450と、補強用部材460とを備えている。
【0061】
熱収縮性フィルム400は、被包装物10の周面の軸方向において、台紙410から下方の一部がはみ出した状態で、縫合糸部450によって台紙410に縫合されている。縫合糸部450は、熱収縮性フィルム400および補強用部材460とともに台紙410を縫合している部分と、熱収縮性フィルム400および補強用部材460のみを縫合している部分とに分かれている。このため、被包装物10によって包材1Cが自立することができる。
【0062】
本発明の実施の形態4に係る包材1Cにおいては、熱収縮性フィルム400を縫合糸部450の縫合により複数の被包装物10の各々が1つずつ収容される複数の筒状部に区画することによって、熱収縮性フィルム400同士を接着剤などにより接合して複数の筒状部に区画した場合と比較して、熱収縮性フィルム400が熱または被包装物10の重量などの影響によって剥離することを抑制でき、かつ、熱収縮性フィルム400同士を接着剤で接合する煩雑な工程が不要となるため、包材1Cの生産性を向上することができる。また、縫合糸部450が、熱収縮性フィルム400および補強用部材460とともに台紙410を縫合している部分と、熱収縮性フィルム400および補強用部材460のみを縫合している部分とに分かれていることにより、台紙410と熱収縮性フィルム400とを強固に固定しつつ、台紙410に対する被包装物10の配置の自由度を確保することができる。
【0063】
(実施の形態5)
以下、本発明の実施の形態5に係る包材について説明する。本発明の実施の形態5に係る包材1Dは、主に被包装物の数量および台紙の構成が本発明の実施の形態1に係る包材1と異なるため、本発明の実施の形態1に係る包材1と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0064】
図10は、本発明の実施の形態5に係る包材の構成を示す斜視図である。図11は、図10の包材を矢印XI方向から見た斜視図である。図10および図11に示すように、本発明の実施の形態5に係る包材1Dは、円柱状の第1被包装物11D、第2被包装物12Dおよび第3被包装物13Dならびに板状の第4被包装物14Dを包装している。第4被包装物14Dは、たとえば、第1被包装物11D、第2被包装物12Dおよび第3被包装物13Dの各々の製品情報が記載された厚紙である。
【0065】
包材1Dは、熱収縮性フィルム500と、台紙510と、縫合糸部550と、補強用部材560とを備えている。
【0066】
熱収縮性フィルム500は、縫合糸部550によって、固定部540において台紙510と固定されている。固定部540は、熱収縮性フィルム500と補強用部材560と台紙510とが縫合糸部550により縫合されることによって構成されている。
【0067】
縫合糸部550は、熱収縮性フィルム500を第1筒状部520および第2筒状部530に区画している。第1筒状部520は、第1被包装物11D、第2被包装物12Dおよび第3被包装物13Dの各々の少なくとも一部を被覆して第1被包装物11D、第2被包装物12Dおよび第3被包装物13Dを支持している。本実施の形態においては、第1筒状部520は、第1被包装物11D、第2被包装物12Dおよび第3被包装物13Dの各々の周面の軸方向と直交する方向の両端に開口している。第2筒状部530は、第4被包装物14Dの少なくとも一部を被覆して第4被包装物14Dを支持している。
【0068】
台紙510の中央に、開口部511が設けられている。開口部511が設けられていることにより、台紙510の裏側から開口部511を通じて、第1被包装物11D、第2被包装物12Dおよび第3被包装物13Dの各々の背面側を視認することができる。これにより、第1被包装物11D、第2被包装物12Dおよび第3被包装物13Dが包材1Dに包装された状態のまま、第1被包装物11D、第2被包装物12Dおよび第3被包装物13Dの各々の背面側に記載されている製品情報を確認することができる。
【0069】
本発明の実施の形態5に係る包材1Dにおいては、熱収縮性フィルム500を縫合糸部550の縫合により複数の被包装物が収容される複数の筒状部に区画することによって、熱収縮性フィルム500同士を接着剤などにより接合して複数の筒状部に区画した場合と比較して、熱収縮性フィルム500が熱または被包装物の重量などの影響によって剥離することを抑制でき、かつ、熱収縮性フィルム500同士を接着剤で接合する煩雑な工程が不要となるため、包材1Dの生産性を向上することができる。また、複数の被包装物として、製品、および、当該製品の製品情報が記載された説明書などを包装可能な複数の筒状部を、縫合糸部550の縫合により形成することができる。
【0070】
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本開示の技術的範囲は、上記した実施の形態のみによって解釈されるものではない。また、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。上述した実施の形態の説明において、組み合わせ可能な構成を相互に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1,1A,1B,1C,1D 包材、10,10B 被包装物、11,11B,11D 第1被包装物、12,12B,12D 第2被包装物、13D 第3被包装物、14D 第4被包装物、100,200,300,400,500 熱収縮性フィルム、110,410,510 台紙、120,220,320,520 第1筒状部、121,131 周面被覆部、122,132 狭窄部、130,230,330,530 第2筒状部、140,240,540 固定部、150,250,350,450,550 縫合糸部、160,260,360,460,560 補強用部材、371,372 上蓋部、511 開口部。
図1
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図11