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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022114627
(43)【公開日】2022-08-08
(54)【発明の名称】高周波回路
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/065 20060101AFI20220801BHJP
【FI】
H01L25/08 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021010994
(22)【出願日】2021-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000232483
【氏名又は名称】日本電波工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】特許業務法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】恩塚 辰典
(57)【要約】
【課題】高周波回路の高周波特性を改善する。
【解決手段】パッケージ20a,20cは、誘電体基板11の表面の上に電極面を上に向けて配置される。パッケージ20bは、電極面を下に向けて配置され、アノード電極パッド21が、パッケージ20aのカソード電極パッド22と接触し、カソード電極パッド22が、パッケージ20cのアノード電極パッド21と接触している。マイクロストリップ線路13は、第一の端部が、ワイヤ31を介して、フリップチップ半導体パッケージ20aのアノード電極パッド21と電気接続され、マイクロストリップ線路14は、第一の端部が、ワイヤ32を介して、パッケージ20cのカソード電極パッド22と電気接続されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体基板と、
前記誘電体基板の表面に形成された第一及び第二のマイクロストリップ線路と、
ダイオード素子とアノード電極パッドとカソード電極パッドとを有し、直列に接続された三つ以上のフリップチップ半導体パッケージと
を備え、
前記フリップチップ半導体パッケージのうち少なくとも二つは、前記誘電体基板の前記表面の上に電極面を上に向けて配置され、
前記フリップチップ半導体パッケージのうち少なくとも一つは、電極面を下に向けて配置され、それぞれ、前記アノード電極パッドが、電極面を上に向けて配置された前記フリップチップ半導体パッケージのうちの一つの前記カソード電極パッドと接触し、前記カソード電極パッドが、電極面を上に向けて配置された前記フリップチップ半導体パッケージのうちの一つの前記アノード電極パッドと接触し、
第一の前記マイクロストリップ線路は、第一の端部が、ワイヤを介して、電極面を上に向けて配置された前記フリップチップ半導体パッケージのうちの一つの前記アノード電極パッドと電気接続され、
第二の前記マイクロストリップ線路は、第一の端部が、ワイヤを介して、電極面を上に向けて配置された前記フリップチップ半導体パッケージのうちの一つの前記カソード電極パッドと電気接続されている、
高周波回路。
【請求項2】
前記高周波回路は、検波器又はミキサ回路である、請求項1の高周波回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロストリップ線路によって構成され、ダイオード素子が実装された高周波回路に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップのパッケージとして、フリップチップ接続方式のものが知られている。これは、ワイヤボンディングやリードフレームを用いず、ダイの底面にあらかじめ形成しておいた接点を外部接続用の電極パッドに直接はんだ付けしたものである。このようなパッケージを基板に表面実装することにより、回路を小型化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-270975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ミリ波などの高い周波数において使用されるショットキーバリアダイオードには、前述したようなパッケージで、電極パッドが例えば一辺200μm(マイクロメートル)程度の略正方形状であり、電極パッド間の間隔が例えば200μm程度のものが広く流通している。
しかし、このようなパッケージのダイオード素子を、マイクロストリップ線路によって構成された回路に実装する場合、浮遊容量の影響により、高周波化することが難しい。
本発明は、例えばこのような課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
高周波回路は、誘電体基板と、前記誘電体基板の表面に形成された第一及び第二のマイクロストリップ線路と、ダイオード素子とアノード電極とカソード電極とを有し、直列に接続された奇数個のフリップチップ半導体パッケージとを備える。前記フリップチップ半導体パッケージのうち少なくとも二つは、前記誘電体基板の前記表面の上に電極面を上に向けて配置されている。前記フリップチップ半導体パッケージのうち少なくとも一つは、電極面を下に向けて配置され、それぞれ、前記アノード電極が、電極面を上に向けて配置された前記フリップチップ半導体パッケージのうちの一つの前記カソード電極と接触し、前記カソード電極が、電極面を上に向けて配置された前記フリップチップ半導体パッケージのうちの一つの前記アノード電極と接触している。第一の前記マイクロストリップ線路は、第一の端部が、ワイヤを介して、電極面を上に向けて配置された前記フリップチップ半導体パッケージのうちの一つの前記アノード電極と電気接続されている。第二の前記マイクロストリップ線路は、第一の端部が、ワイヤを介して、電極面を上に向けて配置された前記フリップチップ半導体パッケージのうちの一つの前記カソード電極と電気接続されている。
前記高周波回路は、検波器又はミキサ回路であってもよい。
【発明の効果】
【0006】
前記高周波回路によれば、浮遊容量が小さくなるので、高周波特性が改善する。
また、ランドを設ける必要がないので、高周波特性が改善する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】高周波回路の一例を示す平面図。
図2】高周波回路の一例を示す側面視断面図。
図3】高周波回路の一例を示す側面視断面図。
図4】導電体パターンの一例を示す平面図。
図5】高周波回路の等価回路の一例を示す図。
図6】高周波回路の等価回路の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1及び2に示す高周波回路10は、例えば誘電体基板11の一方の面(実装面)にエッチングなどによって形成された導電体パターン(例えばマイクロストリップ線路13,14)と、誘電体基板11の実装面の上に実装されたパッケージ20a~20cとを備える。誘電体基板11の他方の面には、例えば全面に導電体層12が形成されている。
【0009】
それぞれのパッケージ20a~20cは、フリップチップ接続方式の半導体パッケージであり、一方の面(電極面)に、電極パッド21,22が設けられている。内部には、半導体チップ(ベアチップ;不図示)を有し、前記半導体チップの上にダイオード素子(不図示)が形成されている。ダイオード素子のアノードは、アノード電極パッド21に直接電気接続され、ダイオード素子のカソードは、カソード電極パッド22に直接電気接続されている。
【0010】
パッケージ20a及び20cは、誘電体基板11の実装面の上に固定されている。パッケージ20a及び20cが配置されているのは、導電体パターンが形成されず、誘電体基板11が露出している部分の上である。パッケージ20a及び20cは、電極面を上へ向けて設置され、電極面とは反対側の面が誘電体基板11に接触している。
【0011】
パッケージ20aのアノード電極パッド21は、マイクロストリップ線路13の解放された端部に、ワイヤ31を介して電気接続されている。
パッケージ20cのカソード電極パッド22は、マイクロストリップ線路14の解放された端部に、ワイヤ32を介して電気接続されている。
ワイヤ31,32は、例えばワイヤボンディングやリボンワイヤなどであり、マイクロストリップ線路13,14とインピーダンス整合が取られている。
【0012】
パッケージ20bは、パッケージ20a及び20cの上に固定され、電極面を下へ向けて配置されている。パッケージ20bのアノード電極パッド21は、パッケージ20aのカソード電極パッド22に接触した状態で、例えばはんだ付けなどによって固定されている。パッケージ20bのカソード電極パッド22は、パッケージ20cのアノード電極パッド21に接触した状態で、例えばはんだ付けなどによって固定されている。
【0013】
このようにして、三つのダイオード素子が直列に電気接続されている。
【0014】
図3に示す高周波回路10Zは、パッケージ20が一つだけであり、通常どおり、電極面を下へ向けて配置され、電極パッド21がマイクロストリップ線路13の端部に設けられたランド15に直接接触して例えばはんだ付けなどによって固定され、電極パッド22がマイクロストリップ線路14の端部に設けられたランド16に直接接触して例えばはんだ付けなどによって固定されている。
【0015】
図4に示すように、ランド15,16は、電極パッド21,22とほぼ同じかそれよりも大きく、したがって、ランド15,16の幅は、マイクロストリップ線路13,14の幅よりも大きい。このため、ランド15,16と導電体層12との間に静電容量が発生する。
【0016】
図5に示すように、高周波回路10Zは、電極パッド21と導電体層12との間に浮遊容量81が形成され、電極パッド21と電極パッド22との間にダイオード素子23に並列に浮遊容量82が形成され、電極パッド22と導電体層12との間に浮遊容量83が形成される。
浮遊容量81~83は、非常に小さいので、低周波であれば無視できるが、ミリ波などの高周波では無視することができず、高周波回路10Zの動作に悪影響を与える。
【0017】
図6に示すように、高周波回路10でも同様に、それぞれのパッケージ20a~20cにおいて、電極パッド21と導電体層12との間に浮遊容量81a~81cが形成され、電極パッド21と電極パッド22との間に浮遊容量82a~82cが形成され、電極パッド22と導電体層12との間に浮遊容量83a~83cが形成される。
しかし、高周波回路10Zと比較すると、電極パッド21,22と導電体層12との間の距離が大きい分だけ、浮遊容量81a~81c,83a~83cは小さくなる。
また、浮遊容量82a~82c自体の容量は、浮遊容量82と同じだが、三つの浮遊容量82a~82cが直列に接続されているので、合成容量は三分の一になる。
これにより、浮遊容量の影響が小さくなるので、高周波回路10Zよりも高い周波数に対応することができる。
また、電極パッド21,22をはんだ付けするためのランド15,16を設ける必要がないので、ランド15,16による静電容量が発生しなくなり、高周波特性が改善する。
【0018】
なお、パッケージの数は、三つに限らず、もっと多くてもよい。パッケージの数をn個にすれば、浮遊容量82の合成容量は、n分の一になる。
【0019】
このようにして構成された回路を、ダイオードとして、例えば高周波検波器や高周波ミキサ回路などの高周波回路のなかで使用してよい。
【0020】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例である。本発明は、これに限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって定義される範囲から逸脱することなく様々に修正し、変更し、追加し、又は除去したものを含む。これは、以上の説明から当業者に容易に理解することができる。
【符号の説明】
【0021】
10,10Z 高周波回路、11 誘電体基板、12 導電体層、13,14 マイクロストリップ線路、15,16 ランド、20,20a~20c パッケージ、21,22 電極パッド、23,23a~23c ダイオード素子、31,32 ワイヤ、81~83,81a~83c 浮遊容量。
図1
図2
図3
図4
図5
図6