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特開2022-114654車両用外装部品及び車両用外装部品の製造方法
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  • 特開-車両用外装部品及び車両用外装部品の製造方法 図1
  • 特開-車両用外装部品及び車両用外装部品の製造方法 図2
  • 特開-車両用外装部品及び車両用外装部品の製造方法 図3
  • 特開-車両用外装部品及び車両用外装部品の製造方法 図4
  • 特開-車両用外装部品及び車両用外装部品の製造方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022114654
(43)【公開日】2022-08-08
(54)【発明の名称】車両用外装部品及び車両用外装部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 19/04 20060101AFI20220801BHJP
【FI】
B60R19/04 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021011033
(22)【出願日】2021-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】504136889
【氏名又は名称】株式会社ファルテック
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】小築 裕介
(72)【発明者】
【氏名】駒塚 知美
(57)【要約】
【課題】シボ形成領域と塗装領域とが意匠面に設けられた車両用外装部品において、塗装を行う場合のマスクの設置作業の負担を軽減すると共に、シボ形成領域と塗装領域とを近づけて配置可能とする。
【解決手段】シボが設けられたシボ形成領域Rsと、塗装が施された塗装領域Rtと、シボ形成領域Rsと塗装領域Rtとの間に配置されると共にシボ形成領域Rsよりも平坦な平坦領域Rhと、が意匠面に設けられたフロントバンパフィニッシャアウタ1であって、平坦領域Rhに隣接する塗装領域Rtの縁部に設けられた境界溝1eを有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シボが設けられたシボ形成領域と、塗装が施された塗装領域と、前記シボ形成領域と前記塗装領域との間に配置されると共に前記シボ形成領域よりも平坦な平坦領域と、が意匠面に設けられた車両用外装部品であって、
前記平坦領域に隣接する前記塗装領域の縁部に設けられた境界溝を有することを特徴とする車両用外装部品。
【請求項2】
前記境界溝の内壁面が前記平坦領域に対して屈曲して接続されていることを特徴とする請求項1記載の車両用外装部品。
【請求項3】
前記シボ形成領域の下方に前記平坦領域が設けられ、前記平坦領域の下方に前記境界溝が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の車両用外装部品。
【請求項4】
シボが設けられたシボ形成領域と、塗装が施された塗装領域と、前記シボ形成領域と前記塗装領域との間に配置されると共に前記シボ形成領域よりも平坦な平坦領域と、が意匠面に設けられた車両用外装部品の製造方法であって、
前記シボ形成領域及び前記平坦領域が形成されると共に、前記平坦領域に隣接する境界溝が設けられた成形体を形成する成形体形成工程と、
前記シボ形成領域及び前記平坦領域を覆うマスクを配置するマスク配置工程と、
前記マスクが配置された状態で前記境界溝の内壁面を含む領域に塗装を施して前記塗装領域を形成する塗装工程と、
前記マスクを除去するマスク除去工程と
を有することを特徴とする車両用外装部品の製造方法。
【請求項5】
前記成形体形成工程にて、前記境界溝の内壁面が前記平坦領域に対して屈曲して接続されるように前記境界溝を形成することを特徴とする請求項4記載の車両用外装部品の製造方法。
【請求項6】
前記成形体形成工程にて、前記シボ形成領域の下方に前記平坦領域を設け、前記平坦領域の下方に前記境界溝を設けることを特徴とする請求項4または5記載の車両用外装部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用外装部品及び車両用外装部品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に車両に対しては、様々な外装部品が設置されている。例えば、特許文献1においては、バンパフェイシアが外装部品として車両の前部に設置されている。このような車両用外装部品は、車両の外観印象を形成するものであることから、塗装やめっき処理等による様々な表面処理が施された意匠面を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-89402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、上述のような意匠面を有する車両用外装部品では、シボが形成されたシボ形成領域と、塗装が施された塗装領域との両方を意匠面に有する場合がある。このような車両用外装部品を形成する場合には、樹脂の射出成形等によってシボが形成された成形体を形成し、この成形体の表面に塗装を施す。塗装を施す場合には、シボ形成領域への塗料の付着を防止するために、シボ形成領域をマスキングテープ等のマスクで覆い、マスクでシボ形成領域が覆われた状態で塗装を行う。
【0005】
ところで、マスキングテープ等のマスクは、凹凸が大きなシボ形成領域に貼付することが困難である。このため、例えば、シボ形成領域と塗装領域との間に平坦な平坦領域を設け、この平坦領域にマスクを貼付している。このようなマスクは、一般的に、作業者が貼付する。
【0006】
しかしながら、塗装が施される前の塗布領域は、平坦領域と同様に平坦である。このため、作業者がマスクを貼付する場合の目印が明確になっておらず、マスクの設置作業が作業者の負担となる。また、注視して作業を行った場合であっても、マスクの位置にばらつきが生じることを防ぐことは難しい。このため、上記ばらつきを考慮した上で平坦領域を広く確保する必要がある。この結果、シボ形成領域と塗装領域とが大きく離れてしてしまうこととなり、車両用外装部品のデザイン性を低下させることになる。
【0007】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、シボ形成領域と塗装領域とが意匠面に設けられた車両用外装部品において、塗装を行う場合のマスクの設置作業の負担を軽減すると共に、シボ形成領域と塗装領域とを近づけて配置可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0009】
本発明の第1の態様は、シボが設けられたシボ形成領域と、塗装が施された塗装領域と、上記シボ形成領域と上記塗装領域との間に配置されると共に上記シボ形成領域よりも平坦な平坦領域と、が意匠面に設けられた車両用外装部品であって、上記平坦領域に隣接する上記塗装領域の縁部に設けられた境界溝を有するという構成を採用する。
【0010】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様において、上記境界溝の内壁面が上記平坦領域に対して屈曲して接続されているという構成を採用する。
【0011】
本発明の第3の態様は、上記第1または第2の態様において、上記シボ形成領域の下方に上記平坦領域が設けられ、上記平坦領域の下方に上記境界溝が設けられているという構成を採用する。
【0012】
本発明の第4の態様は、シボが設けられたシボ形成領域と、塗装が施された塗装領域と、上記シボ形成領域と上記塗装領域との間に配置されると共に上記シボ形成領域よりも平坦な平坦領域と、が意匠面に設けられた車両用外装部品の製造方法であって、上記シボ形成領域及び上記平坦領域が形成されると共に、上記平坦領域に隣接する境界溝が設けられた成形体を形成する成形体形成工程と、上記シボ形成領域及び上記平坦領域を覆うマスクを配置するマスク配置工程と、上記マスクが配置された状態で上記境界溝の内壁面を含む領域に塗装を施して上記塗装領域を形成する塗装工程と、上記マスクを除去するマスク除去工程とを有するという構成を採用する。
【0013】
本発明の第5の態様は、上記第4の態様において、上記成形体形成工程にて、上記境界溝の内壁面が上記平坦領域に対して屈曲して接続されるように上記境界溝を形成するという構成を採用する。
【0014】
本発明の第6の態様は、上記第4または第5の態様において、上記成形体形成工程にて、上記シボ形成領域の下方に上記平坦領域を設け、上記平坦領域の下方に上記境界溝を設けるという構成を採用する。
【発明の効果】
【0015】
本発明においては、塗装領域の縁部に境界溝が設けられている。このため、マスクを配置する際に、作業者は境界溝を目印とすることが可能となる。このため、本発明によれば、塗装を行う場合のマスクの設置作業の負担を軽減することが可能となる。また、境界溝を目印としてマスクが設置可能であることから、マスクの位置にばらつきが生じることを抑制することができ、平坦領域を広く確保する必要がなくなる。このため、本発明によれば、シボ形成領域と塗装領域とを近づけて配置することが可能となる。このように、本発明によれば、シボ形成領域と塗装領域とが意匠面に設けられた車両用外装部品において、塗装を行う場合のマスクの設置作業の負担を軽減すると共に、シボ形成領域と塗装領域とを近づけて配置することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態におけるフロントバンパフィニッシャアウタを備える車両を前方から見た模式的な正面図である。
図2】本発明の一実施形態におけるフロントバンパフィニッシャアウタの拡大正面図である。
図3図2のA-A断面の拡大図である。
図4】本発明の一実施形態におけるフロントバンパフィニッシャアウタの製造方法を説明するための模式図である。
図5】本発明の一実施形態におけるフロントバンパフィニッシャアウタの形状と、境界溝が設けられていない形状とを比較する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明に係る車両用外装部品及び車両用外装部品の製造方法の一実施形態について説明する。なお、以下の説明においては、本発明の車両用外装部品を、フロントバンパフィニッシャのアウタ(以下のフロントバンパフィニッシャアウタと称する)に適用した例について説明する。ただし、本発明の車両用外装部品は、フロントバンパフィニッシャアウタに限定されるものではない。
【0018】
図1は、本実施形態のフロントバンパフィニッシャアウタ1を備える車両100を前方から見た模式的な正面図である。図1に示すように、車両の前部の下部位置には、フロントバンパフィニッシャ10が設けられている。本実施形態においてフロントバンパフィニッシャ10は、樹脂の射出成形品であり、フロントバンパフィニッシャアウタ1と、フロントバンパフィニッシャインナ2とを備えている。
【0019】
フロントバンパフィニッシャアウタ1は、フロントバンパフィニッシャインナ2の外側に配置された部品である。フロントバンパフィニッシャアウタ1の表面は、車両100の外部に向けられた意匠面である。また、フロントバンパフィニッシャアウタ1の背面は、フロントバンパフィニッシャインナ2に対する取付面である。つまり、フロントバンパフィニッシャアウタ1は、意匠面が外部に露出された状態でフロントバンパフィニッシャインナ2に固定されている。フロントバンパフィニッシャインナ2は、車体に対して固定されており、フロントバンパフィニッシャアウタ1を背面側から支持している。
【0020】
図2は、フロントバンパフィニッシャアウタ1の拡大正面図である。この図に示すように、本実施形態のフロントバンパフィニッシャアウタ1は、中央部にフロントバンパフィニッシャインナ2の一部を露出するための矩形状の開口1aが設けられた枠形状に形成されている。このような本実施形態のフロントバンパフィニッシャアウタ1は、外枠部1bと、フォグランプ設置部1cとを有している。
【0021】
外枠部1bは、開口1aを囲うように環状に設けられた部位である。この外枠部1bの表面は、塗装が施されており、フロントバンパフィニッシャアウタ1の意匠面の一部を形成している。フォグランプ設置部1cは、開口1aを間に挟むように、開口1aの左右に配置されている部位であり、フォグランプを露出させるための露出開口1dが設けられている。このフォグランプ設置部1cの表面は、主としてシボ(微小な凹凸)が形成されており、フロントバンパフィニッシャアウタ1の意匠面の一部を形成している。
【0022】
このように、外枠部1bの表面は、塗装が施された塗装領域Rtである。また、フォグランプ設置部1cの表面は、主としてシボが形成されたシボ形成領域Rsである。つまり、本実施形態のフロントバンパフィニッシャアウタ1の意匠面には、シボ形成領域Rsと、塗装領域Rtとが含まれている。
【0023】
図3は、図2のA-A断面の拡大図である。この図に示すように、フォグランプ設置部1cの下縁と接続される外枠部1bの縁部には、境界溝1eが設けられている。図3に示すように、フォグランプ設置部1cの表面には、シボ形成領域Rsと塗装領域Rtとの間に配置される平坦領域Rhが設けられている。平坦領域Rhは、シボ形成領域Rsと比較してフォグランプ設置部1cの表面が平坦な領域であり、外枠部1bの表面に塗装を施す場合に、マスキングテープM(図4参照)が固着される。
【0024】
このような平坦領域Rhは、フォグランプ設置部1cの表面、すなわちフロントバンパフィニッシャアウタ1の意匠面の一部に設けられている。つまり、本実施形態のフロントバンパフィニッシャアウタ1は、シボが設けられたシボ形成領域Rsと、塗装が施された塗装領域Rtと、シボ形成領域Rsと塗装領域Rtとの間に配置されると共にシボ形成領域Rsよりも平坦な平坦領域Rhと、が意匠面に設けられている。
【0025】
境界溝1eは、図3に示すように、マスキングテープMを平坦領域Rhに貼付する際の目標とされる部位である。図3に示すように、外枠部1bのフォグランプ設置部1cと接続される縁部には、フロントバンパフィニッシャアウタ1の後方に向けて膨出するように突出した角壁部1fが設けられている。この角壁部1fに囲まれることによって、境界溝1eが形成されている。
【0026】
境界溝1eの内壁面は、図3に示すように、断面形状が円弧状と底面1e1と、底面1e1とフォグランプ設置部1cの表面に設けられた平坦領域Rhとを接続するフォグランプ設置部接続面1e2と、外枠部1bの境界溝1eと隣接する表面とを接続する隣接表面接続面1e3とを有している。フォグランプ設置部接続面1e2は、図3に示すように、平坦領域Rhと屈曲して接続して接続されている。この結果、平坦領域Rhと境界溝1eとの境界には、屈曲して接続された2つの面によって屈曲角部1gが形成される。このような屈曲角部1gは、フォグランプ設置部1cの下縁に沿って直線状に延伸されている。
【0027】
なお、底面1e1とフォグランプ設置部接続面1e2、底面1e1と隣接表面接続面1e3、及び、隣接表面接続面1e3と外枠部1bの境界溝1eと隣接する表面は、いずれも屈曲することなく、円滑な湾曲面を形成するように接続されている。つまり、境界溝1eが形成された部位においては、屈曲角部1gが1箇所のみに形成されている。
【0028】
このような境界溝1eの内壁面は、外枠部1bの表面の一部であることから、塗装領域Rtの一部を形成している。つまり、境界溝1eの内壁面に対しても塗装が施されている。なお、境界溝1eの内部には、外光が進入し難い。このため、境界溝1eの内壁面は、他のフロントバンパフィニッシャアウタ1の表面と比較して、外部から視認され難い。したがって、このような境界溝1eの内壁面は、塗装を行う際に、塗装ボケが生じることを許容する領域として用いることが可能である。
【0029】
また、本実施形態のフロントバンパフィニッシャアウタ1においては、上述のように、フォグランプ設置部1cの下縁と接続される外枠部1bの部位に対して境界溝1eが形成されている。後に説明するが、境界溝1eを設けることによって、境界溝1eに隣接する位置における平坦領域Rhの幅寸法(シボ形成領域Rsから塗装領域Rtに至る寸法)を小さくすることができる。このため、フォグランプ設置部1cの下縁に位置する平坦領域Rhの幅寸法は、フォグランプ設置部1cの他の縁に位置する平坦領域よりも幅寸法が小さい。
【0030】
続いて、このような本実施形態のフロントバンパフィニッシャアウタ1の製造方法について、図4を参照して説明する。図4は、本実施形態のフロントバンパフィニッシャアウタ1の製造方法を説明するための模式図である。
【0031】
まず、図4(a)に示すように、シボ形成領域Rs及び平坦領域Rhが形成されると共に、平坦領域Rhに隣接する境界溝1eが設けられた成形体20を形成する成形体形成工程を行う。ここでは、樹脂の射出成形によって、フォグランプ設置部1cと塗装前の外枠部である塗装前外枠部1hとを有する成形体20を形成する。
【0032】
続いて、図4(b)に示すように、シボ形成領域Rs及び平坦領域Rhを覆うマスキングテープM(マスク)を配置するマスク配置工程を行う。マスキングテープMは、作業者によって成形体20に貼付される。このとき、作業者は、フォグランプ設置部1cの下縁では、境界溝1eあるいは境界溝1eによって形成された屈曲角部1gを目印として、マスキングテープMを貼付する。
【0033】
続いて、図4(c)に示すように、マスキングテープMが貼付された状態で、境界溝1eの内壁面を含む成形体20の表面に塗装を施す塗装工程が行われる。この結果、塗装前外枠部1hの表面とマスキングテープMの表面とに塗料Xが付着される。このように塗装前外枠部1hの表面に塗装が施されることによって、上述の外枠部1bが形成される。
【0034】
続いて、図4(d)に示すように、マスキングテープMを除去するマスク除去工程が行われる。ここでは、マスキングテープMを成形体20から取り外すことによって、マスキングテープMごと、マスキングテープMの表面に付着した塗料を除去する。これによって、残った成形体20は、本実施形態のフロントバンパフィニッシャアウタ1である。
【0035】
以上のような 本実施形態のフロントバンパフィニッシャアウタ1は、シボが設けられたシボ形成領域Rsと、塗装が施された塗装領域Rtと、シボ形成領域Rsと塗装領域Rtとの間に配置されると共にシボ形成領域Rsよりも平坦な平坦領域Rhと、が意匠面に設けられている。さらに、本実施形態のフロントバンパフィニッシャアウタ1は、平坦領域Rhに隣接する塗装領域Rtの縁部に設けられた境界溝1eを有している。
【0036】
このような本実施形態のフロントバンパフィニッシャアウタ1においては、塗装領域Rtの縁部に境界溝1eが設けられている。このため、マスキングテープMを配置する際に、作業者は境界溝1eを目印とすることが可能となる。したがって、本実施形態のフロントバンパフィニッシャアウタ1によれば、塗装を行う場合のマスキングテープMの設置作業の負担を軽減することが可能となる。
【0037】
また、境界溝1eを目印としてマスキングテープMが設置可能であることから、マスキングテープMの位置にばらつきが生じることを抑制することができ、平坦領域Rhを広く確保する必要がなくなる。このため、本実施形態のフロントバンパフィニッシャアウタ1によれば、シボ形成領域Rsと塗装領域Rtとを近づけて配置することが可能となる。
【0038】
このように、本実施形態のフロントバンパフィニッシャアウタ1によれば、シボ形成領域Rsと塗装領域Rtとが意匠面に設けられたフロントバンパフィニッシャアウタ1において、塗装を行う場合のマスキングテープMの設置作業の負担を軽減すると共に、シボ形成領域Rsと塗装領域Rtとを近づけて配置することが可能となる。
【0039】
図5は、本実施形態のフロントバンパフィニッシャアウタ1の形状と、境界溝1eが設けられていない形状とを比較する模式図である。この図に示すように、境界溝1eが設けられていない場合には、外枠部1bの表面とフォグランプ設置部1cの表面とが湾曲面Wによって接続される。このような場合には、湾曲面Wや湾曲面と平坦領域Rhとの境界にマスキングテープMを貼付する際の目印となる形状がない。このため、マスキングテープMを貼付位置がばらつくことを想定して平坦領域Rhを広く確保する必要がある。一方で、本実施形態のフロントバンパフィニッシャアウタ1によれば、上述のように、マスキングテープMを貼付する際の目印となる形状があるため、平坦領域Rhを広く確保する必要がない。
【0040】
また、本実施形態のフロントバンパフィニッシャアウタ1においては、境界溝1eの内壁面が平坦領域に対して屈曲して接続されている。このため、境界溝1eとフォグランプ設置部1cとの境界に屈曲角部1gが形成される。したがって、作業者は、屈曲角部1gを目印として、容易かつ正確にマスキングテープMを貼付することが可能となる。
【0041】
また、本実施形態のフロントバンパフィニッシャアウタ1においては、シボ形成領域Rsの下方に平坦領域Rhが設けられ、平坦領域Rhの下方に境界溝1eが設けられている。車両に搭載される本実施形態のフロントバンパフィニッシャアウタ1では、外部の者から見下ろされる位置に配置されるため、シボ形成領域Rsの下方の平坦領域Rhが広いと、外観印象への影響が大きい。これに対して、本実施形態のフロントバンパフィニッシャアウタ1によれば、上述のように、シボ形成領域Rsの下方に平坦領域Rhが設けられ、平坦領域Rhの下方に境界溝1eが設けられているため、シボ形成領域Rsの下方の平坦領域Rhを小さくすることが可能となる。
【0042】
また、本実施形態のフロントバンパフィニッシャアウタ1の製造方法は、シボが設けられたシボ形成領域Rsと、塗装が施された塗装領域Rtと、シボ形成領域Rsと塗装領域Rtとの間に配置されると共にシボ形成領域Rsよりも平坦な平坦領域Rhと、が意匠面に設けられたフロントバンパフィニッシャアウタ1の製造方法である。また、本実施形態のフロントバンパフィニッシャアウタ1の製造方法は、シボ形成領域Rs及び平坦領域Rhが形成されると共に、平坦領域Rhに隣接する境界溝1eが設けられた成形体を形成する成形体形成工程と、シボ形成領域Rs及び平坦領域Rhを覆うマスキングテープMを配置するマスク配置工程と、マスキングテープMが配置された状態で境界溝1eの内壁面を含む領域に塗装を施して塗装領域Rtを形成する塗装工程と、マスキングテープMを除去するマスク除去工程とを有する。このような本実施形態のフロントバンパフィニッシャアウタ1の製造方法によれば、上述のように、塗装を行う場合のマスキングテープMの設置作業の負担を軽減すると共に、シボ形成領域Rsと塗装領域Rtとを近づけて配置することが可能となる。
【0043】
また、本実施形態のフロントバンパフィニッシャアウタ1の製造方法においては、成形体形成工程にて、境界溝1eの内壁面が平坦領域に対して屈曲して接続されるように境界溝1eを形成する。このため、成形体形成工程にて、屈曲角部1gを有する成形体20を形成することが可能となる。
【0044】
本実施形態のフロントバンパフィニッシャアウタ1の製造方法においては、成形体形成工程にて、シボ形成領域Rsの下方に平坦領域Rhを設け、平坦領域Rhの下方に境界溝1eを設ける。このため、成形体形成工程にて、シボ形成領域Rsの下方の平坦領域Rhを小さい成形体20を形成することが可能となる。
【0045】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0046】
例えば、上記実施形態においては、本発明の車両用外装部品を、フロントバンパフィニッシャアウタ1に適用した例について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明の車両用外装部品は、リアバンパ等に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0047】
1……フロントバンパフィニッシャアウタ(車両用外装部品)、1b……外枠部、1c……フォグランプ設置部、1e……境界溝、1g……屈曲角部、20……成形体、100……車両、M……マスキングテープ(マスク)、Rh……平坦領域、Rs……シボ形成領域、Rt……塗装領域
図1
図2
図3
図4
図5