(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022114657
(43)【公開日】2022-08-08
(54)【発明の名称】圧力センサ
(51)【国際特許分類】
G01L 1/16 20060101AFI20220801BHJP
【FI】
G01L1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021011039
(22)【出願日】2021-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】304020498
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】望月 規之
(72)【発明者】
【氏名】福田 昌士
(72)【発明者】
【氏名】大村 皇治
(57)【要約】
【課題】圧力センサが損傷しても圧電体を挟む2つの電極が短絡して故障することを低減させる。
【解決手段】基板と、基板の上に形成されている下部電極と、前記下部電極の上に圧電体が形成されている圧電体層と、前記圧電体層の上に形成されている上部電極と、前記下部電極、前記圧電体層、及び前記上部電極を覆う保護膜とを備え、前記下部電極、前記圧電体層、及び前記上部電極の積層方向における平面視において、前記下部電極及び前記上部電極が重ならないように形成されている、圧力センサ。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
基板の上に形成されている下部電極と、
前記下部電極の上に圧電体が形成されている圧電体層と、
前記圧電体層の上に形成されている上部電極と、
前記下部電極、前記圧電体層、及び前記上部電極を覆う保護膜と
を備え、
前記下部電極、前記圧電体層、及び前記上部電極の積層方向における平面視において、前記下部電極及び前記上部電極が重ならないように形成されている、圧力センサ。
【請求項2】
前記下部電極は、複数の第1電極を有し、
複数の前記第1電極は、第1接続配線で電気的に接続されており、
前記積層方向における平面視において、前記第1接続配線及び前記上部電極は、重ならないように形成されている、請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項3】
前記上部電極は、複数の第2電極を有し、
複数の前記第2電極は、第2接続配線で電気的に接続されており、
前記積層方向における平面視において、前記第2接続配線及び前記下部電極は、重ならないように形成されている、請求項1又は2に記載の圧力センサ。
【請求項4】
前記積層方向における平面視において、前記第1接続配線及び前記第2接続配線は、重ならないように形成されている、請求項2に従属する請求項3に記載の圧力センサ。
【請求項5】
前記下部電極及び前記上部電極は、少なくとも一部が櫛歯形状を有し、
前記積層方向における平面視において、前記下部電極及び前記上部電極のうち一方の電極の櫛歯形状における櫛部の間の領域の少なくとも一部には、前記下部電極及び前記上部電極のうち他方の電極の少なくとも一部が位置する、請求項1から4のいずれか一項に記載の圧力センサ。
【請求項6】
前記保護膜に外力が印加された場合に、圧電効果によって前記下部電極及び前記上部電極の間に発生する電圧が基準値よりも小さくなる前記圧電体層の領域は、少なくとも一部が圧電体を有さないように形成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の圧力センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧電体を2つの電極で挟み、圧電体を歪ませるように外力を印加することで、2つの電極間に電圧を発生させる圧電効果を用いた圧力センサが知られている。特に、圧力センサをシート状に形成して、圧力センサの上に人、物等が載ったことを検出するシートセンサ、マットセンサ等が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような圧力センサは、物体の尖っている部分、突起状の部分、角の部分に強く押圧された場合、重量物等が落下した場合等に、損傷してしまい圧電体に穴が空いてしまうことがある。この場合、圧電体を挟む2つの電極が短絡して故障してしまうことがあった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、圧力センサが損傷しても圧電体を挟む2つの電極が短絡して故障することを低減させるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様においては、基板と、基板の上に形成されている下部電極と、前記下部電極の上に圧電体が形成されている圧電体層と、前記圧電体層の上に形成されている上部電極と、前記下部電極、前記圧電体層、及び前記上部電極を覆う保護膜とを備え、前記下部電極、前記圧電体層、及び前記上部電極の積層方向における平面視において、前記下部電極及び前記上部電極が重ならないように形成されている、圧力センサを提供する。
【0007】
前記下部電極は、複数の第1電極を有し、複数の前記第1電極は、第1接続配線で電気的に接続されており、前記積層方向における平面視において、前記第1接続配線及び前記上部電極は、重ならないように形成されていてもよい。
【0008】
前記上部電極は、複数の第2電極を有し、複数の前記第2電極は、第2接続配線で電気的に接続されており、前記積層方向における平面視において、前記第2接続配線及び前記下部電極は、重ならないように形成されていてもよい。
【0009】
前記積層方向における平面視において、前記第1接続配線及び前記第2接続配線は、重ならないように形成されていてもよい。
【0010】
前記下部電極及び前記上部電極は、少なくとも一部が櫛歯形状を有し、前記積層方向における平面視において、前記下部電極及び前記上部電極のうち一方の電極の櫛歯形状における櫛部の間の領域の少なくとも一部には、前記下部電極及び前記上部電極のうち他方の電極の少なくとも一部が位置してもよい。
【0011】
前記保護膜に外力が印加された場合に、圧電効果によって前記下部電極及び前記上部電極の間に発生する電圧が基準値よりも小さくなる前記圧電体層の領域は、少なくとも一部が圧電体を有さないように形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、圧力センサが損傷しても圧電体を挟む2つの電極が短絡して故障することを低減できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態に係る圧力センサ100の第1構成例を示す。
【
図2】本実施形態に係る圧力センサ100の第2構成例を示す。
【
図3】本実施形態に係る圧力センサ100の第3構成例を示す。
【
図4】本実施形態に係る圧力センサ100の第4構成例を示す。
【
図5】本実施形態に係る圧力センサ100の第5構成例を示す。
【
図6】本実施形態に係る圧力センサ100の第6構成例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<圧力センサ100の第1構成例>
図1は、本実施形態に係るセンサ装置10の第1構成例を示す。本実施形態において、直交する3つの軸をX軸、Y軸、Z軸として示す。センサ装置10は、圧力センサ100と信号処理部200とを備える。
図1Aは、圧力センサ100と信号処理部200の概略構成を示す。
図1Bは、
図1Aの圧力センサ100の直線A-A’における断面図を示す。圧力センサ100は、基板110と、下部電極120と、圧電体層130と、上部電極140と、保護膜150と、配線160とを有する。
【0015】
基板110は、XY面と略平行な面を有し、当該面上に圧力センサ100を構成する部材の少なくとも一部が形成されている。基板110は、圧力センサ100の強度を保つための部材であることが望ましい。基板110は、例えば、屈曲させることが可能な材料で形成されている。この場合、基板110は、PEN(ポリエチレンナフタレート)フィルム、PET(ポリエチレンテレフタラート)フィルム、フレキシブル基板等である。
【0016】
下部電極120は、基板110の上に形成されている。下部電極120は、導電性の材料で形成されている。
図1Aにおいて、下部電極120を点線で示す。下部電極120は、基板110の上面に形成されていてもよく、これに代えて、下地層または保護膜等を介して基板110の上に形成されていてもよい。
図1は、下地層112が基板110の上に形成されている例を示す。下地層112は、一例として、架橋PVP(ポリビニルピロリドン)膜である。
【0017】
圧電体層130は、下部電極120の上に圧電体が形成されている部位である。圧電体層130は、下部電極120の上面に形成されていてもよく、これに代えて、絶縁層等を介して下部電極120の上に形成されていてもよい。圧電体は、圧電効果を有する強誘電体性を有する材料である。圧電体は、例えば、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)等のポリマー、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等の圧電セラミックスである。
【0018】
上部電極140は、圧電体層130の上に形成されている。上部電極140は、導電性の材料で形成されている。
図1Aにおいて、上部電極140を実線で示す。上部電極140は、圧電体層130の上面に形成されていてもよく、これに代えて、絶縁層等を介して圧電体層130の上に形成されていてもよい。
【0019】
保護膜150は、下部電極120、圧電体層130、及び上部電極140を覆うように形成されている。保護膜150は、樹脂等である。保護膜150は、例えば、パリレン等のポリマーである。なお、
図1Aは、下部電極120、圧電体層130、及び上部電極140の配置の理解のため、基板110、下地層112、保護膜150を省略している。配線160は、圧力センサ100の下部電極120及び上部電極140と信号処理部200とを電気的に接続する。圧力センサ100は、更にカバー部等によって一部又は全体が覆われていてもよい。
【0020】
信号処理部200は、圧力センサ100から生じた電圧を検出して、圧力センサ100に人、物等が載ったことを特定する。信号処理部200は、信号受信部210と、特定部220と、記憶部230とを有する。
【0021】
信号受信部210は、下部電極120及び上部電極140から出力される検出信号を受け取る。信号受信部210は、例えば、増幅回路、A/D変換回路等を含み、受信した検出信号をデジタル信号に変換する。信号受信部210は、変換したデジタル信号を特定部220に供給する。なお、信号受信部210は、予め定められた電圧値と検出信号の電圧値とを比較するコンパレータを更に含んでもよい。
【0022】
特定部220は、信号受信部210が受信した検出信号の電圧値と閾値とに基づいて、圧力センサ100に人、物等が載ったことを特定する。特定部220は、例えば、検出信号の電圧値の最大値が閾値を超えたことにより、人、物等が載ったことを特定する。また、特定部220は、検出信号の電圧値が最大となってから予め定められた期間の間の電圧値の平均値が閾値を超えたことにより、人、物等が載ったことを特定してもよい。なお、信号受信部210がコンパレータを含む場合、特定部220は、コンパレータの出力結果に応じて、人、物等が載ったことを特定する。このような特定部220は、例えば、CPU等である。
【0023】
記憶部230は、閾値、予め定められた期間等のデータを記憶する。記憶部230は、特定部220が動作に用いる設定値、閾値、及びパラメータ等を記憶してもよい。記憶部230は、CPU等が少なくとも特定部220の一部として動作する場合、CPU等が実行するプログラムの情報を格納してもよい。また、記憶部230は、当該プログラムの実行時に参照されるデータベースを含む種々の情報を格納してもよい。
【0024】
記憶部230は、一例として、BIOS(Basic Input Output System)等を格納するROM(Read Only Memory)、及び作業領域となるRAM(Random Access Memory)を含む。これにより、CPU等は、記憶部230に記憶されたプログラムを実行することによって特定部220として機能する。
【0025】
以上の本実施形態に係るセンサ装置10は、圧力センサ100に圧力が加わったことに応じて、圧電効果で発生する電圧値を検出することにより、圧力センサ100の上に人、物等が載ったことを特定する。このような圧力センサ100は、物体の尖っている部分、突起状の部分、角の部分に強く押圧されること、重量物等が落下して極端に強い衝撃、圧力等が加わることがある。この場合、圧力センサ100は、圧電体層130を貫通する穴等が形成されるほど損傷することがある。
【0026】
また、圧力センサ100を形成する過程において、圧電体層130を貫通する穴が空いた不良品が製造されてしまうこともある。この場合、下部電極120及び上部電極140が短絡してしまい、圧力センサ100の故障、発火等が発生してしまうことがある。
【0027】
そこで、本実施形態に係る圧力センサ100は、下部電極120、圧電体層130、及び上部電極140の積層方向における平面視において、下部電極120及び上部電極140が重ならないように形成されている。
図1において、下部電極120、圧電体層130、及び上部電極140の積層方向は、Z方向と略平行な方向である。
【0028】
圧力センサ100は、積層方向の平面視において、下部電極120及び上部電極140の少なくとも80%以上、又は90%以上の領域が重ならないように形成されていることが望ましい。圧力センサ100は、積層方向の平面視において、下部電極120及び上部電極140の全てが重ならないように形成されていることがより望ましい。なお、圧力センサ100は、積層方向の平面視において、配線160も重ならないように形成されていることが望ましい。
【0029】
下部電極120及び上部電極140の少なくとも一部は、積層方向の平面視において近接して圧電体層130を挟むように形成されている。言い換えると、下部電極120及び上部電極140の少なくとも一部は、圧電体層130を挟むように形成され、圧力センサ100の上に力が加わると圧電体層130に圧電効果を発生させる程度に近接している。したがって、このような圧力センサ100は、積層方向の平面視において下部電極120及び上部電極140が重ならないように形成されていても、従来のシートセンサ、マットセンサ等と同様に、人、物等が載ったことを特定するための検出信号を出力できる。
【0030】
そして、圧力センサ100は、圧電体層130に穴等が形成されるほどの損傷が生じても、上部電極140の直下には下部電極120が形成されていないので、下部電極120及び上部電極140が短絡する確率を低減させることができる。したがって、このような圧力センサ100を用いることで、故障等の発生を低減させて耐久性を向上させ、より安全で製品寿命の長いセンサ装置10を提供できる。
【0031】
以上のように、圧力センサ100の下部電極120及び上部電極140は、積層方向の平面視において、重ならないように形成されつつ、一部が近接していればよい。
図1の例は、圧力センサ100が1つの下部電極120と1つの上部電極140の組み合わせを有する例を説明したが、これに限定されることはない。例えば、下部電極120及び/又は上部電極140は、複数の電極を有してもよい。
【0032】
<圧力センサ100の第2構成例>
図2は、本実施形態に係る圧力センサ100の第2構成例を示す。
図2は、圧力センサ100の概略構成を示す。第2構成例の圧力センサ100において、
図1に示された第1構成例の圧力センサ100と略同一のものには同一の符号を付け、説明を省略する。また、第2構成例の圧力センサ100は、
図1に示された第1構成例の圧力センサ100の基板110、下地層112、保護膜150と略同一のものを備えるが、これらの動作は略同一であるため、説明と記載を省略する。第2構成例の圧力センサ100は、下部電極120が複数の第1電極122を有する例を示す。
図2において、第1電極122を点線で示し、上部電極140を実線で示す。
【0033】
複数の第1電極122は、第1接続配線124で電気的に接続されている。なお、圧力センサ100は、積層方向における平面視において、第1接続配線124及び上部電極140は、重ならないように形成されていることが望ましい。このように、第2構成例の圧力センサ100は、下部電極120が複数の第1電極122を有するので、積層方向の平面視において、下部電極120及び上部電極140が近接する部分を増加させることができる。
【0034】
図2に示す圧力センサ100の第2構成例は、下部電極120が複数の第1電極122を有する例を説明したが、これに限定されることはない。これに代えて、上部電極140が複数の電極を有してもよい。また、下部電極120及び上部電極140がそれぞれ複数の電極を有してもよい。
【0035】
<圧力センサ100の第3構成例>
図3は、本実施形態に係る圧力センサ100の第3構成例を示す。
図3は、圧力センサ100の概略構成を示す。第3構成例の圧力センサ100において、
図1及び
図2に示された第1構成例及び第2構成例の圧力センサ100の動作と略同一のものには同一の符号を付け、説明を省略する。また、第3構成例の圧力センサ100は、
図1に示された第1構成例の圧力センサ100の基板110、下地層112、保護膜150と略同一のものを備えるが、これらの動作は略同一であるため、説明と記載を省略する。
【0036】
第3構成例の圧力センサ100は、下部電極120が複数の第1電極122を有し、上部電極140が複数の第2電極142を有する例を示す。
図3において、第1電極122を点線で示し、第2電極142を実線で示す。また、第2電極142で隠れている圧電体層130の形状の一部を一点鎖線で示す。
【0037】
複数の第2電極142は、第2接続配線144で電気的に接続されている。なお、圧力センサ100は、積層方向における平面視において、第2接続配線144及び下部電極120が重ならないように形成されていることが望ましい。また、圧力センサ100は、積層方向における平面視において、第1接続配線124及び第2接続配線144が重ならないように形成されていることが望ましい。
【0038】
このように、第3構成例の圧力センサ100は、下部電極120及び上部電極140が複数の電極を有するので、積層方向の平面視において、下部電極120及び上部電極140が近接する部分をより増加させることができる。また、下部電極120及び上部電極140の設計の自由度を向上させることができる。例えば、下部電極120及び上部電極140の少なくとも一方は、下部電極120及び上部電極140が近接する部分をより増加させるような形状を有していてもよい。
【0039】
<圧力センサ100の第4構成例>
図4は、本実施形態に係る圧力センサ100の第4構成例を示す。
図4は、圧力センサ100の概略構成を示す。第4構成例の圧力センサ100において、
図1に示された第1構成例の圧力センサ100の動作と略同一のものには同一の符号を付け、説明を省略する。また、第4構成例の圧力センサ100は、
図1に示された第1構成例の圧力センサ100の基板110、下地層112、保護膜150と略同一のものを備えるが、これらの動作は略同一であるため、説明と記載を省略する。第4構成例の圧力センサ100は、下部電極120及び上部電極140の少なくとも一部が櫛歯形状を有する。
【0040】
図4は、下部電極120及び上部電極140の両方が櫛歯形状を有する例を示す。そして、積層方向における平面視において、下部電極120及び上部電極140のうち一方の電極の櫛歯形状における櫛部の間の領域の少なくとも一部には、下部電極120及び上部電極140のうち他方の電極の少なくとも一部が位置する。
図4において、下部電極120を点線で示し、上部電極140を実線で示す。
図4は、積層方向における平面視において、下部電極120の櫛歯形状と上部電極140の櫛歯形状とが、重ならずにかみ合うように形成されている例を示す。
【0041】
このような第4構成例の圧力センサ100は、下部電極120及び上部電極140が複数の電極を有さなくても、下部電極120及び上部電極140が近接する部分を増加させることができる。なお、下部電極120及び上部電極140は、櫛歯形状と複数の電極とを有し、下部電極120及び上部電極140が近接する部分をより増加させるように形成されていてもよい。
【0042】
以上の本実施形態の圧力センサ100において、下部電極120及び上部電極140は圧電体層130に圧電効果を発生させるように近接するように形成させた例を説明した。このような圧力センサ100の下部電極120及び上部電極140の一部は、圧電体層130に圧電効果を発生させる程度に近接していない部分が形成されることがある。言い換えると、圧電体層130の一部に、下部電極120及び上部電極140の一方だけが形成されてしまうことがある。
【0043】
このような圧電体層130の一部は、圧力センサ100に力が加わっても、圧電効果が発生しないか、発生しても検出信号としては不十分な信号レベルしか出力できない。そこで、圧電体層130の圧電効果が十分に発生しない部分は、圧電体を形成しなくてもよい。
【0044】
<圧力センサ100の第5構成例>
図5は、本実施形態に係る圧力センサ100の第5構成例を示す。第5構成例の圧力センサ100は、
図3に示された第3構成例の圧力センサ100の圧電体層130の形状を変形したものである。第5構成例の圧電体層130の形状は、第3構成例の圧電体層130のうち圧電効果がほとんど発生しない部分を除去した形状である。言い換えると、保護膜150に外力が印加された場合に、圧電効果によって下部電極120及び上部電極140の間に発生する電圧が基準値よりも小さくなる圧電体層130の領域は、少なくとも一部が圧電体を有さないように形成されている。ここで、基準値は、信号処理部200の動作によって予め定められていてよい。
【0045】
例えば、圧電体層130の圧電体は、強誘電体の材料を下部電極120及び上部電極140の間に挟み、強電界を印加することによって分極が発生して形成される。したがって、圧電体として働くように強電界をかけられる程度の下部電極120及び上部電極140の間に強誘電体の材料を挟み、強電界をかけられない領域には強誘電体の材料は配置しないことで、
図5に示すような圧力センサ100を形成することができる。なお、強誘電体の材料は、印刷等によって下部電極120の上に配置してよい。
【0046】
このように、圧電体層130の圧電体が形成されていない領域は、
図5において切り欠きが形成されている切り欠き部132として示している。これにより、より少ない圧電体の材料を用いて、圧力センサ100を形成することができる。なお、切り欠き部132に代えて、又は、切り欠き部132に加えて、圧電体層130の圧電体が形成されていない領域は、穴、空隙等が形成されていてもよい。
【0047】
以上の本実施形態に係る圧力センサ100は、例えば、シートセンサ、マットセンサ等のセンサ部として機能する。この場合、圧力センサ100は、より広い面積において、人、物等が載ったことを検出できることが要求されることがある。このようなシートセンサ、マットセンサ等は、例えば、
図1から
図5で説明した圧力センサ100を1つのシート等に複数設けることで形成することができる。
【0048】
また、1つの圧力センサ100は、
図1から
図5で説明した下部電極120、圧電体層130、及び上部電極140の構成が基板110に複数設けられてもよい。これにより、検出可能な面積を増加させた圧力センサ100を容易に形成することができる。なお、圧力センサ100は、第1構成例から第5構成例のうち、下部電極120、圧電体層130、及び上部電極140の同一の構成が複数設けられていてもよく、これに代えて、異なる種類の下部電極120、圧電体層130、及び上部電極140の構成が複数設けられていてもよい。圧力センサ100に複数の構成が設けられる場合、複数の構成の下部電極120同士と、上部電極140同士は、それぞれ電気的に連結されることが望ましい。
【0049】
<圧力センサ100の第6構成例>
図6は、本実施形態に係る圧力センサ100の第6構成例を示す。第6構成例の圧力センサ100は、
図3に示す第3構成例の圧力センサ100の下部電極120、圧電体層130、及び上部電極140の構成が複数連結された例を示す。このように、下部電極120、圧電体層130、及び上部電極140を全体として一様に配置することにより、圧力センサ100は、印加された外力を検出可能な面においてほぼ一様な検出特性を全体に分布させることができる。
【0050】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0051】
10 センサ装置
100 圧力センサ
110 基板
112 下地層
120 下部電極
122 第1電極
124 第1接続配線
130 圧電体層
132 切り欠き部
140 上部電極
142 第2電極
144 第2接続配線
150 保護膜
160 配線
200 信号処理部
210 信号受信部
220 特定部
230 記憶部