(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022114689
(43)【公開日】2022-08-08
(54)【発明の名称】作業支援システムのセットアップ方法、作業支援システムのセットアッププログラム、情報収集システムのセットアップ方法
(51)【国際特許分類】
E02F 9/26 20060101AFI20220801BHJP
E02F 3/43 20060101ALI20220801BHJP
【FI】
E02F9/26 A
E02F3/43 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021011079
(22)【出願日】2021-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 正倫
【テーマコード(参考)】
2D003
2D015
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003BA01
2D003DB04
2D003DB05
2D015GA03
2D015HA03
2D015HB04
2D015HB05
(57)【要約】
【課題】 センサの後付け、取り付け位置の修正をユーザ側にて簡易に実行することができるようにする。
【解決手段】 マシンガイダンスの機能によりオペレータの作業を支援する作業支援システムのセットアップ方法において、作業支援システムは、作業機械の可動部に検出装置を配置し、検出装置に設けられたセンサによる検出結果に基づいて作業機械のオペレータの操作を支援する情報をオペレータに通知する。セットアップ方法は、可動部の撮像結果を取得する撮像結果取得ステップSP2と、検出装置の理想取り付け位置を撮像結果上で表示する理想取り付け位置表示ステップSP3と、撮像結果を画像処理して、理想取り付け位置に対する検出装置の取り付け誤差を検出して判定する判定ステップSP7と、判定結果を通知する通知ステップSP8、SP10とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マシンガイダンスの機能によりオペレータの作業を支援する作業支援システムのセットアップ方法において、
前記作業支援システムは、
作業機械の可動部に検出装置を配置し、前記検出装置に設けられたセンサによる検出結果に基づいて前記作業機械のオペレータの操作を支援する情報を前記オペレータに通知し、
前記セットアップ方法は、
前記可動部の撮像結果を取得する撮像結果取得ステップと、
前記検出装置の理想取り付け位置を前記撮像結果上で表示する理想取り付け位置表示ステップと、
前記撮像結果を画像処理して、前記理想取り付け位置に対する前記検出装置の取り付け誤差を検出して判定する判定ステップと、
前記判定ステップによる判定結果を通知する通知ステップとを備える
作業支援システムのセットアップ方法。
【請求項2】
前記取り付け誤差が、前記可動部の前記検出装置を保持する保持面を鉛直方向より見た前記理想取り付け位置に対する前記検出装置の傾きである
請求項1に記載の作業支援システムのセットアップ方法。
【請求項3】
前記取り付け誤差が、前記理想取り付け位置までの前記検出装置の距離である
請求項1又は請求項2に記載の作業支援システムのセットアップ方法。
【請求項4】
前記取り付け誤差を表示する誤差表示ステップを備える
請求項1、請求項2、請求項3の何れかに記載の作業支援システムのセットアップ方法。
【請求項5】
演算処理回路による実行により所定の処理手順を実行させる作業支援システムのセットアッププログラムであって、
前記作業支援システムは、
作業機械の可動部に検出装置を配置し、前記検出装置に設けられたセンサによる検出結果に基づいて前記作業機械のオペレータの操作を支援する情報を前記オペレータに通知し、
前記処理手順は、
前記可動部の撮像結果を取得する撮像結果取得ステップと、
前記検出装置の理想取り付け位置を前記撮像結果上で表示する理想取り付け位置表示ステップと、
前記撮像結果を画像処理して、前記理想取り付け位置に対する前記検出装置の取り付け誤差を検出して判定する判定ステップと、
前記判定ステップによる判定結果を通知する通知ステップとを備える
作業支援システムのセットアッププログラム。
【請求項6】
情報収集対象の可動部に検出装置を配置し、前記検出装置に設けられたセンサによる検出結果を収集する情報収集システムのセットアップ方法であって、
前記可動部の撮像結果を取得する撮像結果取得ステップと、
前記検出装置の理想取り付け位置を前記撮像結果上で表示する理想取り付け位置表示ステップと、
前記撮像結果を画像処理して、前記理想取り付け位置に対する前記検出装置の取り付け誤差を検出して判定する判定ステップと、
前記判定ステップによる判定結果を通知する通知ステップとを備える
情報収集システムのセットアップ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業支援システムのセットアップ方法、作業支援システムのセットアッププログラム、情報収集システムのセットアップ方法に関し、例えば油圧ショベル等の作業機械に適用することができる。
【背景技術】
【0002】
従来、マシンガイダンスの機能を組み込んだ作業機械(作業支援システムを適用した作業機械であり、いわゆるICT建機である)が提供されている。
ここでマシンガイダンスは、トータルステーション(TS:Total Station)、GNSS(Global Navigation Satellite System)等の計測技術を利用して作業機械の操作をサポートする技術である。このマシンガイダンスによれば、オペレータの作業を適切に支援して、作業効率、安全性、作業精度を向上することができる。
【0003】
このようなICT建機は、作業機械の可動部にセンサを配置し、このセンサによる検出結果を収集して可動部の姿勢を検出している(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところでこの種の作業機械においては、ユーザ側にて既存の作業機械にマシンガイダンスの機能を導入することも予測される。このような場合には、センサの後付け、取り付け位置の修正をユーザ側にて簡易に実行できることが望まれる。
【0006】
本発明は以上の点を考慮してなされたものであり、センサの後付け、取り付け位置の修正をユーザ側にて簡易に実行することができる作業支援システムのセットアップ方法、作業支援システムのセットアッププログラム、情報収集システムのセットアップ方法を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
係る課題を解決するため、請求項1の発明は、マシンガイダンスの機能によりオペレータの作業を支援する作業支援システムのセットアップ方法において、
前記作業支援システムは、
作業機械の可動部に検出装置を配置し、前記検出装置に設けられたセンサによる検出結果に基づいて前記作業機械のオペレータの操作を支援する情報を前記オペレータに通知し、
前記セットアップ方法は、
前記可動部の撮像結果を取得する撮像結果取得ステップと、
前記検出装置の理想取り付け位置を前記撮像結果上で表示する理想取り付け位置表示ステップと、
前記撮像結果を画像処理して、前記理想取り付け位置に対する前記検出装置の取り付け誤差を検出して判定する判定ステップと、
前記判定ステップによる判定結果を通知する通知ステップとを備える。
【0008】
請求項1の構成によれば、検出装置の取り付け位置を簡易に判断して必要に応じて取り付け位置を修正することができ、これによりセンサの後付け、取り付け位置の修正をユーザ側にて簡易に実行することができる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の構成において、
前記取り付け誤差が、前記可動部の前記検出装置を保持する保持面を鉛直方向より見た前記理想取り付け位置に対する前記検出装置の傾きである。
【0010】
請求項2の構成によれば、検出装置を正しい傾きにより簡易に配置し、さらには検出装置の傾きを簡易に修正することができる。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の構成において、
前記取り付け誤差が、前記理想取り付け位置までの前記検出装置の距離である。
【0012】
請求項3の構成によれば、検出装置を正しい取り付け位置に簡易に配置し、さらには検出装置の取り付け位置を簡易に修正することができる。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1、請求項2、請求項3の何れかの構成において、
前記取り付け誤差を表示する誤差表示ステップを備える。
【0014】
請求項4の構成によれば、取り付け位置の必要修正量を定量的に判断することができ、一段と簡易に、センサを後付けし、さらには取り付け位置を修正することができる。
【0015】
請求項5の発明は、演算処理回路による実行により所定の処理手順を実行させる作業支援システムのセットアッププログラムであって、
前記作業支援システムは、
作業機械の可動部に検出装置を配置し、前記検出装置に設けられたセンサによる検出結果に基づいて前記作業機械のオペレータの操作を支援する情報を前記オペレータに通知し、
前記処理手順は、
前記可動部の撮像結果を取得する撮像結果取得ステップと、
前記検出装置の理想取り付け位置を前記撮像結果上で表示する理想取り付け位置表示ステップと、
前記撮像結果を画像処理して、前記理想取り付け位置に対する前記検出装置の取り付け誤差を検出して判定する判定ステップと、
前記判定ステップによる判定結果を通知する通知ステップとを備える。
【0016】
請求項5の構成によれば、検出装置の取り付け位置を簡易に判断して必要に応じて取り付け位置を修正することができ、これによりセンサの後付け、取り付け位置の修正をユーザ側にて簡易に実行することができる。
【0017】
請求項6の発明は、情報収集対象の可動部に検出装置を配置し、前記検出装置に設けられたセンサによる検出結果を収集する情報収集システムのセットアップ方法であって、
前記可動部の撮像結果を取得する撮像結果取得ステップと、
前記検出装置の理想取り付け位置を前記撮像結果上で表示する理想取り付け位置表示ステップと、
前記撮像結果を画像処理して、前記理想取り付け位置に対する前記検出装置の取り付け誤差を検出して判定する判定ステップと、
前記判定ステップによる判定結果を通知する通知ステップとを備える。
【0018】
請求項6の構成によれば、検出装置の取り付け位置を簡易に判断して必要に応じて取り付け位置を修正することができ、これによりセンサの後付け、取り付け位置の修正をユーザ側にて簡易に実行することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、センサの後付け、取り付け位置の修正をユーザ側にて簡易に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る作業支援システムを示す図である。
【
図2】
図1の作業支援システムのブロック図である。
【
図3】セットアップの処理手順を示すフローチャートである。
【
図7】理想取り付け位置に正しく取り付けられていない場合の表示例を示す平面図である。
【
図8】理想取り付け位置に正しく取り付けられている場合の表示例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る作業支援システム1を示す図であり、
図2は、ブロック図である。
この作業支援システム1は、作業機械(建設機械)である油圧ショベル2において、マシンガイダンスの機能によりこの油圧ショベル2を操作するオペレータの作業を支援する。
ここで油圧ショベル2は、無限軌道により自走する本体3にブーム4、アーム5、バケット6が順次設けられる。なお作業支援システム1は、油圧ショベルに限らず、例えば地盤改良に使用する作業機械等、土木、建築の作業に使用される各種作業機械を広く適用することができる。
【0022】
作業支援システム1は、検出装置11、通信部12、携帯情報端末装置13、通知部14を備え、油圧ショベル2の可動部の1つであるアーム5に検出装置11が配置され、この検出装置11に設けられたセンサによる検出結果に基づいてオペレータの操作を支援する情報を生成してオペレータに通知する。
なお検出装置11は、ブーム4、アーム5、バケット6にそれぞれ設けるようにしてもよく、ブーム4又はバケット6に設けるようにしてもよく、必要に応じて種々の部位に設けることができる。
ここでこの実施形態において、このセンサによる検出結果は、対応する可動部の姿勢を検出可能な情報であり、3次元の加速度情報、角速度情報が適用される。
【0023】
これにより
図2に示すように、検出装置11は、図示しないバッテリの電力により動作して、センサを備えた検出部21により3次元の加速度情報、角速度情報を取得する。また検出装置11は、検出部21で検出した情報を演算部22で処理することにより可動部の姿勢を示す姿勢情報を検出し、通信部23による無線通信のデータ通信により通信部12に送出する。このようにバッテリの電力により動作して無線通信により姿勢情報を送出することにより、検出装置11は、電源供給用、データ通信用のケーブルをわざわざ設けることなく、所望する取り付け箇所に簡易に設置することができる。これにより作業支援システム1は、簡易に既存の作業機械にマシンガイダンスの機能を導入することができ、さらにはマシンガイダンスの機能を向上することができる。
【0024】
より具体的に、センサには、IMU(INERTIAL MEASUREMENT UNIT)センサが適用され、通信部23における無線通信には、BLUETOOTH(登録商標)が適用される。なおセンサは、IMUセンサに限らず、3軸以外のセンサを適用するようにしてもよく、姿勢情報を検出可能な種々の構成を広く適用することができる。またセンサは、直接、可動部の姿勢を検出する情報を取得可能な構成に限らず、例えば地表までの距離を測距する測距用センサのように、間接的に可動部の姿勢を検出可能な構成を広く適用することができる。また無線通信は、データ通信可能な種々の構成を広く適用することができる。
【0025】
通信部12は、この油圧ショベル2の本体に設けられ、検出装置11とのデータ通信により検出装置11から送出された姿勢情報を取得して携帯情報端末装置13に出力する。またこれとは逆に携帯情報端末装置13から出力されるデータを取得して通知部14に出力する。
【0026】
通知部14は、油圧ショベル2の運転席において、オペレータの操作を支援する情報をオペレータに通知する構成であり、この実施形態では、画像表示装置により形成される。このオペレータの操作を支援する情報には、施工目標に対する現在の施工位置等、オペレータの操作を支援可能な種々の情報を適用することができるものの、この実施形態では、基準方向(例えば油圧ショベル2の接地面の前後方向LH(以下適宜、基準線と呼ぶ:
図1参照)に対するアーム5の角度が適用され、これによりアーム5の傾きを簡易かつ精度良く確認できるように構成される。なお通知部14は、音声、警報音によりオペレータの操作を支援する情報を通知するようにしてもよく、携帯情報端末装置13により兼用するようにしてもよい。
【0027】
携帯情報端末装置13は、いわゆるスマートフォンやタブレット端末であり、通信部12を介して得られる検出装置11による姿勢情報により、オペレータの操作を支援する情報を検出する。
【0028】
より具体的に、携帯情報端末装置13は、表示部31、撮像部32、操作部33、演算部34、通信部35を備える。
ここで表示部31は、液晶表示パネル等の画像表示パネルにより形成され、この携帯情報端末装置13に係る各種の画像情報を表示し、操作部33は、この表示部31に配置されたタッチパネル等により形成され、オペレータの各種の操作を検出する。撮像部32は、演算部34の制御により操作部33によるオペレータの操作に応動して撮像結果を取得する。
通信部35は、無線通信によるデータ通信により通信部12との間で姿勢情報、オペレータの操作を支援する情報等を入出力する。
【0029】
演算部34は、この作業支援システム1に係るアプリケーションソフトウェアを実行する演算処理回路であり、表示部31に各種の画像情報を表示し、さらに操作部33の操作によりこの携帯情報端末装置13の動作を切り替え、さらには作業支援システム1の動作を切り替えてオペレータの操作を支援する情報を生成して出力する。
演算部34は、このようにして各部の動作を制御してオペレータによりセットアップの処理が指示されると、
図3に示す処理手順を実行し、理想取り付け位置に対する検出装置11の取り付け誤差を検出して判定し、判定結果を通知部14によりオペレータに通知する。
【0030】
具体的に演算部34は、このセットアップの処理を開始すると、表示部31の表示によりオペレータに検出装置11の取り付け対象である可動部(アーム5)の撮像開始を指示し(撮像結果取得ステップ)(SP1-SP2)、撮像部32を介して得られる撮像結果の表示部31による表示を開始する(SP3)。
ここで演算部34は、表示部31の表示により例えば
図4に示すように、撮像対象である検出装置11の取り付け誤差を十分に検出可能に、検出装置11が設けられている可動部であるアーム5の両端回動軸5A、6Aを含む一定の大きさにより撮像結果の取得を指示する。
【0031】
続いて演算部34は、理想取り付け位置の条件指定を受け付ける(SP4)。ここで理想取り付け位置は、検出装置11の取り付け基準位置であり、検出装置11を正しく位置決めして取り付ける取り付け位置である。演算部34は、例えば選択可能な理想取り付け位置を表示部31で表示して、検出装置11に応じたオペレータの選択によりこの条件の指定を受け付ける。
【0032】
図4は、この条件の指定により回動軸5A、6Aの回動中心5B、6Bを結ぶ直線L1が理想取り付け位置の基準に選択された場合の例である。なおこの
図4において、基準線LHに並行な回動中心5Bを通る仮想線による基準線を符号LHAにより示す。
この実施形態において、検出装置11は、平面視(可動部の検出装置を保持する保持面を鉛直方向より見た場合である)、長方形形状により形成され、この長方形形状に係る長辺L2が直線L1と並行になる配置が基準線LHに対する正しい検出装置11の向き(取り付け角度θ1)とされる。
また回動中心5B、6Bを結ぶ直線L1をX軸として、また保持面上でこの直線L1と直交する直線をY軸として、このXY軸による座標軸により2次元座標を定義し、この座標軸上で理想取り付け位置の中心座標(例えば原点)を定義する。
この理想取り付け位置は、ユーザにより事前に組み込むようにしても良く、撮像結果の表示上で作図を受け付けて設定するようにしても良く、種々の設定手法を適用することができる。
【0033】
このようにして理想取り付け位置を決定して、演算部34は、表示部31で表示している撮像結果上で、この理想取り付け位置41を表示する(理想取り付け位置表示ステップ)。
この理想取り付け位置の表示は、種々の手法を適用することができ、例えば検出装置11の本体形状、外形形状を、実際の検出装置とは異なる色彩により表示する場合、理想取り付け位置41の中心座標41Oにより表示する場合等、種々の手法を適用することができ、オペレータの操作により表示を切り替えるようにしてもよい。
また理想取り付け位置は、この携帯情報端末装置13に記録して保持するようにして、検出装置11のメンテナンス等に利用するようにしてもよい。
【0034】
続いて演算部34は、オペレータに検出装置11の取り付けを指示し(SP5)、これによりそれまで表示している理想取り付け位置を表示している撮像結果上で、実際の検出装置11を確認することができ(撮像結果の表示ステップ)、撮像結果上で理想取り付け位置と検出装置11との位置関係を表示部31による表示により確認しながら検出装置11を取り付けることができる。これにより一段と簡易に、センサを後付けし、さらには取り付け位置を修正することができる。
【0035】
続いて演算部34は、撮像結果の画像処理により検出装置11を検出し(SP6)、この検出結果に基づいて、理想取り付け位置に対する検出装置11の取り付け誤差を検出して判定し(判定ステップ)(SP7)、検出装置11が理想取り付け位置に十分に配置されているか否か判断する。
【0036】
具体的に、
図5に示すように、演算部34は、検出装置11の長辺L2と基準線LHAとの成す角度θ3を検出し、理想取り付け位置41に係る対応する角度θ1との差分Δθを検出し、これにより可動部の検出装置11を保持する保持面を鉛直方向より見た理想取り付け位置41に対する検出装置11の傾きを検出して傾きに係る取り付け誤差を検出する。
このように傾きに係る取り付け誤差を検出することにより、検出装置を正しい傾きにより簡易に配置し、さらには検出装置の傾きを簡易に修正することができる。
【0037】
また
図6に示すように、演算部34は、X軸方向及びY軸方向における理想取り付け位置41の中心座標41Oと検出装置11の中心座標11Oとの差分値Δx、Δyを検出し、これにより理想取り付け位置41までの検出装置11の距離により位置ずれに係る取り付け誤差を検出する。
このように理想取り付け位置までの検出装置の距離を検出することにより、検出装置を正しい取り付け位置に簡易に配置し、さらには検出装置の取り付け位置を簡易に修正することができる。
【0038】
さらに演算部34は、傾きに係る取り付け誤差を判定基準値により判定して傾きに係る判定結果を取得し、また差分値Δx、Δyの二乗和又はこの二乗和の平方根を判定基準値により判定して位置ずれに係る判定結果を取得する。なお位置ずれに係る判定結果は、理想取り付け位置41の中心座標41Oと検出装置11の中心座標11Oとの距離を判定すればよく、実際の長さを単位に判定してもよく、撮像結果上の距離により判定するようにしてもよい。
またこれらの判定に供する判定基準値は、実用上、充分な精度によりオペレータの操作を支援する情報を提供可能な取り付け誤差の誤差範囲に設定される。
また実用上十分な場合には、傾きに係る判定結果、位置ずれに係る判定結果の何れかのみを適用するようにしても良い。
【0039】
演算部34は、このようにして取得した判定結果により、検出装置11が十分な精度により理想取り付け位置に配置されていないと判断される場合、判定結果を表示し(SP8)(通知ステップ)、取り付け位置の修正を受け付け(SP9)、改めて修正された取り付け位置により検出装置11の取り付け位置を判定する(SP6-SP7)。
演算部34は、検出装置11が十分な精度により理想取り付け位置に配置されていると判断される場合、判定結果を表示し(SP10)(通知ステップ)、セットアップの終了を、位置ずれの情報等と共に通信部12に通知して記録する。この記録した情報にあっては、位置ずれの確認等に利用することができる。
このように撮像結果により位置ずれを判定して通知することにより、作業支援システム1では、検出装置11の取り付け位置を簡易に判断して必要に応じて取り付け位置を修正することができ、これによりセンサの後付け、取り付け位置の修正をユーザ側にて簡易に実行することができる。
【0040】
図7は、上述のステップSP8の表示例を示す平面図である。この例では、検出装置11を配置した部位の撮像結果を表示し、表示画面の上方に検出装置11の取り付け位置が不十分であることを示す「NG」の表示が設けられる。
なお「NG」の表示に代えて、又は加えて「検出装置を移動させてください。」「理想位置からずれています。」等のメッセージを表示しても良く、音声により案内するようにしてもよい。
また表示画面の下方に取り付け誤差が、X座標成分ΔxとY座標成分Δyとに分離して表示される。なお理想取り付け位置に対して検出装置11が傾いて配置されている場合、中心座標誤差に代えて、検出された角度Δθが表示される。
このように取り付け誤差を表示することにより、取り付け位置の必要修正量を定量的に判断することができ、一段と簡易に、センサを後付けし、さらには取り付け位置を修正することができる。
【0041】
図8は、上述のステップSP10の表示例を示す平面図である。この例では、検出装置11を配置した部位の撮像結果を表示し、表示画面の上方に検出装置11の取り付け位置が十分であることを示す「OK」の表示が設けられる。
なお「OK」の表示に代えて、又は加えて「理想位置に配置されています。」等のメッセージを表示しても良く、音声により案内するようにしてもよい。
また表示画面の下方に取り付け誤差が、X座標成分ΔxとY座標成分Δyとに分離して表示される。
【0042】
以上の構成によれば、可動部の撮像結果を画像処理して、理想取り付け位置に対する検出装置の取り付け誤差を検出して判定し、判定結果を通知することにより、検出装置の取り付け位置を簡易に判断して必要に応じて取り付け位置を修正することができ、これによりセンサの後付け、取り付け位置の修正をユーザ側にて簡易に実行することができる。
【0043】
またさらに、この取り付け誤差が、可動部の検出装置を保持する保持面を鉛直方向より見た理想取り付け位置に対する検出装置の傾きであることにより、検出装置を正しい傾きにより簡易に配置し、さらには検出装置の傾きを簡易に修正することができる。
【0044】
またさらに、この取り付け誤差が、理想取り付け位置までの検出装置の距離であることにより、検出装置を正しい取り付け位置に簡易に配置し、さらには検出装置の取り付け位置を簡易に修正することができる。
【0045】
またさらに取り付け誤差を表示することにより、取り付け位置の必要修正量を定量的に判断することができ、一段と簡易に、センサを後付けし、さらには取り付け位置を修正することができる。
【0046】
〔第2実施形態〕
ところで上述した構成にあっては、本発明を作業支援システムに適用して姿勢情報を検出する検出装置を理想取り付け位置に配置する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、可動部に検出装置を配置して、この可動部の可動、姿勢等の情報を収集して種々に利用する構成に広く適用することができる。
具体的に、例えば背もたれの角度が可変する車いすを情報収集対象として、この背もたれに検出装置を取り付けて背もたれの姿勢を検出する場合が考えられる。
このように可動部に係る種々の情報を収集する情報収集システムに適用して、検出装置の取り付け位置を簡易に判断して必要に応じて取り付け位置を修正することができ、これによりセンサの後付け、取り付け位置の修正をユーザ側にて簡易に実行することができる。
【0047】
〔他の実施形態〕
以上、本発明の実施に好適な具体的な構成を詳述したが、本発明は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述の実施形態の構成を種々に変更することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 作業支援システム
2 油圧ショベル
3 本体
4 ブーム
5 アーム
6 バケット
11 検出装置
11O、41O 中心座標
12、23、35 通信部
13 携帯情報端末装置
14 通知部
21 検出部
22、34 演算部
31 表示部
32 撮像部
33 操作部