(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022114700
(43)【公開日】2022-08-08
(54)【発明の名称】アンケート配信装置及びアンケート配信方法
(51)【国際特許分類】
G06F 13/00 20060101AFI20220801BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20220801BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20220801BHJP
【FI】
G06F13/00 540A
G06Q50/10
H04M11/00 302
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021011096
(22)【出願日】2021-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】311012169
【氏名又は名称】NECパーソナルコンピュータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】白川 貴久
【テーマコード(参考)】
5B084
5K201
5L049
【Fターム(参考)】
5B084AA01
5B084AA12
5B084AB50
5B084BA05
5B084BB19
5B084CA13
5B084CD22
5B084DC02
5B084DC03
5K201BA05
5K201BA07
5K201BA12
5K201DC04
5K201EC06
5L049CC20
(57)【要約】
【課題】アンケート集計結果の信頼性を向上させることを目的とする。
【解決手段】アンケート配信装置1は、設問と該設問に対するデフォルト回答とが示されたアンケート情報を複数のユーザに対して提供する。アンケート配信装置1は、設問に対する比較調査結果の確率分布に基づいて、設問に対する異なるデフォルト回答を確率的に発生させるデフォルト回答発生部23と、設問と確率的に発生されたデフォルト回答とが示されたアンケート情報を作成するアンケート作成部24と、アンケート情報を配信するアンケート配信部25とを備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設問と該設問に対するデフォルト回答とが示されたアンケート情報を複数のユーザに対して提供するアンケート配信装置であって、
前記設問に対する比較調査結果の確率分布に基づいて、前記設問に対する異なるデフォルト回答を確率的に発生させるデフォルト回答発生部と、
前記設問と確率的に発生された前記デフォルト回答とが示されたアンケート情報を作成するアンケート作成部と、
前記アンケート情報を配信するアンケート配信部と
を具備するアンケート配信装置。
【請求項2】
前記デフォルト回答発生部は、前記設問に対する回答の確率分布と同じ分布になるように、デフォルト回答を確率的に発生させる請求項1に記載のアンケート配信装置。
【請求項3】
前記設問に対する比較調査結果は、前記設問に対する過去のアンケート結果または業界標準に基づいて作成された回答である請求項1または2に記載のアンケート配信装置。
【請求項4】
前記ユーザから受信した前記アンケート情報に対する回答のうち、回答がデフォルト回答に対して変更された割合の情報を用いて、アンケート結果を分析する集計分析部を備える請求項1から3のいずれかに記載のアンケート配信装置。
【請求項5】
設問と該設問に対する回答のデフォルト回答とが示されたアンケート情報を複数のユーザに対して提供するアンケート配信装置であって、
一部のユーザに対して、前記設問に対して異なるデフォルト回答が示されたアンケート情報を配信するアンケート配信装置。
【請求項6】
設問と該設問に対するデフォルト回答とが示されたアンケート情報を複数のユーザに対して提供するアンケート配信方法であって、
前記設問に対する比較調査結果の分布に基づいて、前記設問に対する異なるデフォルト回答を確率的に発生させる工程と、
前記設問と確率的に発生された前記デフォルト回答とが示されたアンケート情報を作成する工程と、
前記アンケート情報を配信する工程と
をコンピュータが実行するアンケート配信方法。
【請求項7】
設問と該設問に対する回答のデフォルト回答とが示されたアンケート情報を複数のユーザに対して提供するアンケート配信方法であって、
コンピュータが、一部のユーザに対して、前記設問に対して異なるデフォルト回答が示されたアンケート情報を配信するアンケート配信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンケート配信装置及びアンケート配信方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、インターネットを通じて商品やサービスなどのアンケートを実施する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、特許文献2には、アンケートを実施する際に、過去に回答を得ている設問については、その設問に対する過去の回答を初期値(以下「デフォルト回答」という。)として表示させたアンケート情報をユーザに提示することが記載されている。このようなアンケート方法では、ユーザがデフォルト回答と同じ意見を持つ場合には、その設問に対する入力操作を行う必要がないため、入力操作の煩わしさを低減することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-224085号公報
【特許文献2】特開2016-161593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、設問とともにデフォルト回答を表示させるような従来のアンケート方法では、ユーザがデフォルト回答と同じ意見を持つ場合だけでなく、ユーザがアンケートに回答するのが面倒な場合もデフォルト回答のまま集計される。
このため、デフォルト回答の回答数には、デフォルト回答と同じ意見を持つ人と、無関心のため回答が面倒でデフォルト回答のまま回答した人の両方が含まれることとなり、信頼性の高いアンケート集計結果を得ることが難しかった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、アンケート集計結果の信頼性を向上させることのできるアンケート配信装置及びアンケート配信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様は、設問と該設問に対するデフォルト回答とが示されたアンケート情報を複数のユーザに対して提供するアンケート配信装置であって、前記設問に対する比較調査結果の確率分布に基づいて、前記設問に対する異なるデフォルト回答を確率的に発生させるデフォルト回答発生部と、前記設問と確率的に発生された前記デフォルト回答とが示されたアンケート情報を作成するアンケート作成部と、前記アンケート情報を配信するアンケート配信部とを具備するアンケート配信装置である。
【0007】
本発明の第2態様は、設問と該設問に対する回答のデフォルト回答とが示されたアンケート情報を複数のユーザに対して提供するアンケート配信装置であって、一部のユーザに対して、前記設問に対して異なるデフォルト回答が示されたアンケート情報を配信するアンケート配信装置である。
【0008】
本発明の第3態様は、設問と該設問に対するデフォルト回答とが示されたアンケート情報を複数のユーザに対して提供するアンケート配信方法であって、前記設問に対する比較調査結果の分布に基づいて、前記設問に対する異なるデフォルト回答を確率的に発生させる工程と、前記設問と確率的に発生された前記デフォルト回答とが示されたアンケート情報を作成する工程と、前記アンケート情報を配信する工程とをコンピュータが実行するアンケート配信方法である。
【0009】
本発明の第4態様は、設問と該設問に対する回答のデフォルト回答とが示されたアンケート情報を複数のユーザに対して提供するアンケート配信方法であって、コンピュータが、一部のユーザに対して、前記設問に対して異なるデフォルト回答が示されたアンケート情報を配信するアンケート配信方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、アンケート集計結果の信頼性を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係るアンケート配信装置のネットワーク構成の一例を示した図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るアンケート配信装置によって作成されるアンケート情報の一例を示した図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るアンケート配信装置のハードウェア構成の一例を示した概略構成図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るアンケート配信装置が有する機能の一例を抽出して示した機能ブロック図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るアンケート配信装置において、設問Xに関する比較調査結果の一例を示した図である。
【
図6】
図5に示した比較調査結果に基づいてデフォルト回答を確率的に発生させた場合のアンケート結果の一例を示した図である。
【
図7】
図5に示した比較調査結果に基づいて一様なデフォルト回答を発生させた場合のアンケート結果の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係るアンケート配信装置及びアンケート配信方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るアンケート配信装置1のネットワーク構成の一例を示した図である。アンケート配信装置1は、ネットワーク3を介して複数のユーザ端末2に接続されている。なお、
図1においては、ユーザ端末2は、3台示されているが、ユーザ端末2の台数はこの例に限定されない。
【0013】
アンケート配信装置1は、
図2に一例を示すように、設問とその設問に対するデフォルト回答(回答の初期値)とが示されたアンケート情報を作成する。
図2において、デフォルト回答は、例えば、丸で囲まれている。アンケート配信装置1は、作成したアンケート情報をネットワーク3を介して複数のユーザ端末2に対して配信する。また、アンケート配信装置1は、ネットワーク3を介して各ユーザ端末2から回答済みアンケート情報を受信し、これらに基づいてアンケートの集計を行う。
【0014】
ユーザ端末2は、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等のいわゆる情報処理装置であり、インターネット等の通信を行うための通信部と、ユーザが入力操作を入力するための入力部と、情報を表示させる表示部を有する。
また、ネットワーク3は、情報の授受を可能とする通信網であればよく、特に限定されないが、例えば、インターネット回線が一例として挙げられる。
【0015】
図3は、本実施形態に係るアンケート配信装置1のハードウェア構成の一例を示した概略構成図である。
図3に示すように、アンケート配信装置1は、例えば、CPU11、CPU11が実行するプログラム及びこのプログラムにより参照されるデータ等を記憶するための補助記憶装置12、各プログラム実行時のワーク領域として機能する主記憶装置13、ネットワークに接続するための通信装置14、入力装置15、表示装置16等を備えている。これら各部は、例えば、バス18を介して接続されている。補助記憶装置12は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)などの磁気ディスク、光磁気ディスク、SSD(Solid State Drive)等の半導体メモリ等が一例として挙げられる。
【0016】
後述する各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラム(例えば、アンケート配信プログラム)の形式で補助記憶装置12に記憶されており、このプログラムをCPU11が主記憶装置13に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、補助記憶装置12に予めインストールされている形態や、他のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0017】
図3において、通信装置14は、インターネットに代表されるネットワーク3(
図1参照)に接続され、ネットワーク3とのインターフェースを図るものである。例えば、通信装置14は、ネットワーク3を介してアンケート情報を複数のユーザ端末2に配信するとともに、複数のユーザ端末2から送信された回答済みアンケート情報を受信する。
【0018】
入力装置15は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル等、管理者がアンケート配信装置1に対して指示を与えるためのユーザインタフェースである。
表示装置16は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等で構成される表示画面を有し、アンケート配信装置1によって実行された処理の結果等を表示するものである。
なお、入力装置15及び表示装置16は、アンケート配信装置1とネットワークを介して接続され、遠隔からの操作が可能な構成とされていてもよい。
【0019】
図4は、本実施形態に係るアンケート配信装置1が有する機能の一例を抽出して示した機能ブロック図である。
図4に示すように、アンケート配信装置1は、例えば、設問記憶部21、比較調査結果記憶部22、デフォルト回答発生部23、アンケート作成部24、アンケート配信部25を備えている。また、アンケート配信装置1は、アンケート回答受信部31及び集計分析部32を備えている。
【0020】
設問記憶部21には、アンケート情報を作成するために使用される複数の設問が記憶されている。
比較調査結果記憶部22には、例えば、各設問に対する比較調査結果が格納されている。比較調査結果は、例えば、過去に行われたアンケート結果であり、そのときの設問とその設問に対する回答の集計結果が関連付けて格納されている。また、比較調査結果は、必ずしも実際に行われたアンケート結果に基づくものでなくてもよく、例えば、業界の標準に基づいて作成された回答群でもよい。
【0021】
デフォルト回答発生部23は、設問記憶部21から設問を取得するとともに、その設問に対する比較調査結果を比較調査結果記憶部22から取得し、取得した比較調査結果の確率分布に基づいて、該設問に対する異なるデフォルト回答を確率的に発生させる。具体的には、デフォルト回答発生部23は、設問に対する比較調査結果と同じ分布になるように、デフォルト回答を確率的に発生させる。確率分布は、正規分布等の公知の統計手法によって得られる各種分布に基づいて算出することが可能である。
【0022】
例えば、ある設問に対する回答が0~10までと設定されており、比較調査結果の確率分布において、回答「4」の回答数が12/20の割合であり、回答「8」の回答数が1/20の割合であった場合、デフォルト回答発生部23は、この設問のデフォルト回答として、12/20の確率で「4」を、1/20の確率で「8」を発生させる。
【0023】
アンケート作成部24は、デフォルト回答発生部23によって発生されたデフォルト回答と設問とを関連付けたアンケート情報を作成する。これにより、アンケート作成部24が作成するアンケートは、ユーザによって同じ設問に対するデフォルト回答が確率的に異なるものとなる。すなわち、一部のユーザに対しては、同一の設問に対して異なる回答のデフォルト回答が示されたアンケートが配信されることとなる。
アンケート配信部25は、作成された各アンケート情報を各ユーザ端末2に送信する。
【0024】
ユーザ端末2は、アンケート情報をアンケート配信部25から受信すると、受信したアンケート情報を表示部に表示させる。これにより、表示部には設問とそのデフォルト回答とが示されたアンケートの入力フォームが表示される。ユーザ端末2のユーザは、表示された設問を確認し、デフォルト回答と異なる回答を行いたい場合には、デフォルト回答を変更することにより、アンケートを進めていく。そして、全て回答し終わると、表示部に表示されている送信ボタンを押下する等の入力操作を行う。これにより、回答済みのアンケート情報がネットワーク3を介してアンケート配信装置1へ送信される。
【0025】
回答済みのアンケート情報は、アンケート配信装置1のアンケート回答受信部31によって受信され、集計分析部32に出力される。
集計分析部32は、複数のユーザ端末2から受信した複数の回答済みアンケート情報に基づいて各設問に対する回答を集計する。
【0026】
次に、本実施形態に係るアンケート配信装置1によるアンケート配信方法について、具体例を挙げて説明する。以下、説明の便宜上、アンケートに含まれる複数の設問のうち、設問Xを例示して説明する。また、以下の例では、簡単のため、設問Xの回答を「YES/NO」の二択として説明する。なお、二択はあくまでも例示であり、例えば、それ以上の選択肢が設けられていてもよい(例えば、
図2参照)。なお、複数の設問からなるアンケートを作成する場合には、各設問について同様の処理を繰り返し行えばよい。
【0027】
まず、デフォルト回答発生部23は、設問記憶部21から設問Xを取得し、比較調査結果記憶部22から設問Xの比較調査結果を取得する。このとき、例えば、
図5に示すように、「YES:75%」、「NO:25%」の比較調査結果が得られていたとする。
この場合、デフォルト回答発生部23は、設問Xに対し、75%の確率で「YES」のデフォルト回答を発生させ、25%の確率で「NO」のデフォルト回答を発生させる。これにより、4回に1回は、設問Xに対する回答のデフォルト回答として「NO」が示されたアンケート情報がアンケート作成部24によって作成される。
【0028】
作成されたアンケート情報は、ユーザ端末2に送信される。この結果、例えば、4人に3人は、設問Xに対するデフォルト回答として「YES」が、4人に1人は、設問Xに対するデフォルト回答として「NO」が示されたアンケート情報を受信することとなる。
【0029】
ユーザは、設問Xとデフォルト回答とを確認し、自身が異なる意見を持つ場合には、デフォルト回答を変更する。このようにして、デフォルト回答が変更された場合には、設問Xに紐づけてデフォルト回答変更フラグが付加される。ユーザは設問Xを含むアンケートに全て回答し、送信操作を行う。これにより、回答済みのアンケート情報がネットワーク3を介してアンケート配信装置1へ送信される。
【0030】
アンケート配信装置1のアンケート回答受信部31は、受信した回答済みアンケート情報を集計分析部32に出力する。
集計分析部32は、入力された回答済みアンケート情報及びこのアンケート情報に付加されているデフォルト回答変更フラグに基づいて今回のアンケート結果を集計分析する。
【0031】
以下、集計分析部32による集計分析処理について詳しく説明する。
例えば、今、設問Xのアンケート集計結果が「YES」77.5%、「NO」22.5%であり、このうち、デフォルト回答が「YES」から「NO」に変更された割合が15%、デフォルト回答が「NO」から「YES」に変更された割合が17.5%であった場合を想定する。
【0032】
集計分析部32は、上記アンケート集計結果から、真の分布、すなわち、「YES」の意思をもって「YES」と答えたユーザの割合、「NO」の意思をもって「NO」と答えたユーザの割合、及び興味がなくてデフォルト回答を変更しなかった人の割合を推定する。
【0033】
まず、(YES,NO,興味なし)の真の分布を(α,β,γ)とする。ここで、α+β+γ=1とする。
次に、興味なしのユーザについては、設問Xのデフォルト回答のまま回答しているとみなすことができる。今回のアンケートでは、設問Xのデフォルト回答として、75%の確率で「YES」を発生させ、25%の確率で「NO」を発生させているため、デフォルト回答として「YES」が表示されており、かつ、回答興味なしの人は「γ*0.75」、デフォルト回答として「NO」が表示されており、かつ、回答興味なしの人は「γ*0.25」で表すことができる。
【0034】
続いて、デフォルト回答として表示された「YES」を「NO」に変更した人の確率を考える。まず、デフォルトで「YES」が表示されるのは全体の75%であり、そこから上述した回答興味なしの人を除くと、以下の(1)式で表される。
【0035】
(1-γ)*0.75=(α+β)*0.75 (1)
【0036】
そして、このうち回答を「No」に変更する人は、αとβの比率を勘案すると、以下の(2)式で表される。
【0037】
(α+β)*0.75*β/(α+β)=0.75β (2)
【0038】
同様に、デフォルト回答として表示された「NO」を「YES」に変更した人の確率を考えると、以下の(3)式で表される。
【0039】
(α+β)*0.25*α/(α+β)=0.25α (3)
【0040】
そして、上述したように、デフォルト回答として表示された「YES」を「NO」に変更した人の実際の割合は15%であり、デフォルト回答として表示された「NO」を「YES」に変更した人の割合は17.5%であるから、上記(1)~(3)に基づいてα,β,γを解くと、α=0.7、β=0.2,γ=0.1となる。
【0041】
集計分析部32によって集計、分析されたアンケート結果は、例えば、アンケート配信装置1が備える表示部に表示されたり、アンケートの対象商品やサービスを提供している各種企業の所定の端末に送信される。
また、今回のアンケート集計結果を新たな比較調査結果として、比較調査結果記憶部22に格納することとしてもよい。これにより、次回行われるアンケートにおいて、今回のアンケート結果が比較調査結果として用いられ、この結果に基づいてデフォルト回答が確率的に発生されることとなる。
【0042】
以上、説明してきたように、本実施形態に係るアンケート配信装置1及びアンケート配信方法によれば、設問に対する比較調査結果の確率分布に基づいて、設問に対して異なるデフォルト回答を確率的に発生させるデフォルト回答発生部23と、設問とデフォルト回答発生部23によって生成されたデフォルト回答とが示されたアンケート情報を作成するアンケート作成部24と、作成されたアンケート情報をユーザ端末に配信するアンケート配信部25とを備える。具体的には、デフォルト回答発生部23は、設問に対する比較調査結果の分布と一致するように、デフォルト回答を確率的に発生させる。
【0043】
このように、設問に対する比較調査結果の分布に応じて、設問に対するデフォルト回答を異ならせたアンケート情報をユーザに配信するので、一部のユーザには比較調査結果において多数意見ではない回答や少数意見がデフォルト回答として示される。ユーザは、自身の意見と異なるデフォルト回答が示されている場合、そのデフォルト回答を修正しようとする意欲が生じる。このように、全てのユーザに対して一様のデフォルト回答を示すのではなく、一部のユーザに対しては異なるデフォルト回答を示すことにより、ユーザの意見に近い、より正確な回答を得ることが可能となる。
【0044】
また、アンケート情報において、デフォルト回答が変更されたか否かの情報を用いて、アンケートの集計分析を行うことにより、アンケート結果に興味がないユーザの数も推定することが可能となる。これにより、アンケート集計結果の信頼性を高めることが可能となる。
【0045】
上述したように、本実施形態に係るアンケート配信装置1によれば、より信頼性の高いアンケート集計結果を得ることができるが、この効果と比較するために、例えば、全てのユーザに対して一様のデフォルト回答を示した場合におけるアンケートの集計分析結果について、以下説明する。
【0046】
例えば、
図5に示したように、設問Xに対して「YES:75%」、「NO:25%」の比較調査結果が得られていたとする。この場合、一様にデフォルト回答を生成する方法では、最も割合の多い「YES」がデフォルト回答として選ばれ、全てのユーザに対して設問Xのデフォルト回答として「YES」が示されたアンケート情報が配信される。
【0047】
この場合、例えば、本実施形態に係るアンケート配信装置1との効果を比較するために、真の割合が先ほどと同じ「YES:70%」、「NO:20%」、「興味なし:10%」である場合を想定する。
この場合、設問に対して「YES」の意見を持っている人は、デフォルト回答を変えることなく「YES」のまま回答し、一方、「NO」の意見を持っている人は、アンケート結果として「YES」を「NO」に変更して回答する。また、「回答興味なし」の人は、特にデフォルト回答を変更することはしないから、デフォルト回答である「YES」のまま回答することとなる。
【0048】
そうすると、アンケート集計結果としては、
図7に示すように、表面上「YES:80%」、「NO:20%」が得られることとなる。
この結果において、「NO」の回答を行った「20%」の人は、実際にデフォルト回答である「YES」を「NO」に変更した人であるため、この回答は信頼性の高い回答であると考えることができる。ただし、従来はデフォルト回答を勘案して、デフォルト回答を変更したので、信頼性が高いという分析もなされていなかった。
【0049】
一方、「YES」の回答結果である「80%」の中には、「YES」の意見を実際に持っている人と、回答興味なしの人が含まれることとなる。そうすると、表面上表れている今回値「YES:80%」と前回値「YES:75%」とを比較した場合に、「YES」の意見を持っている人が増えたから、「YES」の回答が増えているのか、それとも、回答興味なしの人が増えたから、表面上「YES」の回答が増えているように見えるのかを判別できなくなり、信頼性の高い回答を得ることができない。
【0050】
これに対し、本実施形態に係るアンケート配信装置1によれば、上述したように、デフォルト値から変更した情報についても考慮してアンケート集計及び分析を行うので、「YES」、「NO」の意見を持つ人の割合を高い精度で推定できるとともに、「興味なし」の割合についても把握することができる。
【0051】
また、このような分析を行わない場合でも、
図6に示すように、「YES:77.5%」、「NO:22.5%」との単純な集計結果自体も、上述した
図7に示した比較例と比べて、より真値に近い結果となっている。例えば、「NO」に対する「YES」の比率でみると、従来手法が4倍なのに対し、本実施形態に係るアンケート配信装置1では、単純な集計結果が3.44倍、真の割合の比率は3.5倍(=α/β=0.7/0.2)となっている。このことからも、より信頼性の高い結果が得られていることがわかる。
なお、上述したように、真の割合は、デフォルト回答の表示確率と、デフォルト回答からの変更割合に基づいて算出することが可能である。
【0052】
以上、本発明について実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上記実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【0053】
例えば、アンケート配信装置1が、
図4で示したようにデフォルト回答発生部23やアンケート作成部24を備えていたが、ユーザ端末2がこれらを備えていても良い。すなわち、アンケート配信装置1において、設問記憶部21と比較調査結果記憶部22に基づくデータをアンケート配信部25からユーザ端末2に送付し、ユーザ端末2が備えるデフォルト回答発生部23とアンケート作成部24が、アンケート配信装置1から受信したデータに基づいてアンケートを表示するようにしても良い。
【0054】
また、上記実施形態で説明したアンケート配信方法の処理の流れも一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 :アンケート配信装置
2 :ユーザ端末
3 :ネットワーク
11 :CPU
12 :補助記憶装置
13 :主記憶装置
14 :通信装置
15 :入力装置
16 :表示装置
21 :設問記憶部
22 :比較調査結果記憶部
23 :デフォルト回答発生部
24 :アンケート作成部
25 :アンケート配信部
31 :アンケート回答受信部
32 :集計分析部