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特開2022-114741採血管理システムおよび採血確認装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022114741
(43)【公開日】2022-08-08
(54)【発明の名称】採血管理システムおよび採血確認装置
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/40 20180101AFI20220801BHJP
【FI】
G16H10/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021011156
(22)【出願日】2021-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000186566
【氏名又は名称】小林クリエイト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135460
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 康利
(74)【代理人】
【識別番号】100084043
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 喜多男
(74)【代理人】
【識別番号】100142240
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 優
(72)【発明者】
【氏名】美根 眞一
(72)【発明者】
【氏名】新山 圭
(72)【発明者】
【氏名】小尾 孝秀
(72)【発明者】
【氏名】佐野 工起
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA03
(57)【要約】
【課題】採血作業の際に、採血量が下限量に達しているかを確認でき、採血量不足による問題の発生を抑制し得る採血管理システムおよび採血確認装置を提案する。
【解決手段】採血管に貼付されたラベルのバーコードから識別情報を読み取る情報読取手段と採血管内の採血重量を計測する採血重量計測手段とを備えた採血確認装置と、該採血確認装置と情報を送受信可能に設けられた採血管理装置とを備え、該採血管理装置は、該採血確認装置から受信した前記採血重量が所定の閾重量値に達しているか否かを判定し、この判定結果を含む採血評価情報を該採血確認装置へ送信するものであり、該採血確認装置は、該採血評価情報を受信すると、該採血評価情報を示す報知を実行するものである。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
識別情報を記憶した情報記憶手段を有するラベルが貼付された採血管の該情報記憶手段から、該識別情報を読み取る情報読取手段と、
前記採血管に収められた血液の重量を計測する採血重量計測手段と、
前記情報読取手段により読み取った識別情報と前記採血重量計測手段により計測した重量の情報とを送信する取得情報送信手段と
を具備する採血確認装置と、
前記採血確認装置と情報を送受信可能に設けられ、識別情報を管理する採血管理装置と
を備え、
前記採血管理装置は、
前記採血確認装置から前記識別情報と重量の情報とを受信すると、当該重量の情報から取得される採血重量が、所定の閾重量値に達しているか否かを判定する採血量判定手段と、
前記採血量判定手段による判定結果を含む採血評価情報を、前記採血確認装置へ送信する評価情報送信手段と
を備えたものであり、
前記採血確認装置は、
前記採血管理装置から前記採血評価情報を受信すると、当該採血評価情報を示す報知を実行する評価情報報知手段を備えたものであることを特徴とする採血管理システム。
【請求項2】
識別情報を記憶した情報記憶手段を有するラベルが貼付された採血管の該情報記憶手段から、該識別情報を読み取る情報読取手段と、
前記採血管に収められた血液の重量を計測する採血重量計測手段と
を具備する採血確認装置と、
前記採血確認装置と情報を送受信可能に設けられ、識別情報を管理する採血管理装置と
を備え、
前記採血管理装置は、
予め設定された閾値情報取得条件の成立を契機として、採血量の判定に用いられる閾重量値を含む判定用情報を、前記採血確認装置へ送信する判定用情報送信手段を備えたものであり、
前記採血確認装置は、
前記採血重量計測手段により計測した血液の重量が、前記採血管理装置から受信した前記判定用情報の前記閾重量値に達しているか否かを判定する採血量判定手段と、
前記採血量判定手段による判定結果を示す報知を実行する評価情報報知手段と
を備えたものであることを特徴とする採血管理システム。
【請求項3】
識別情報を記憶した情報記憶手段を有するラベルが貼付された採血管を、投入可能な採血管投入口と、
前記採血管投入口から投入された採血管の前記情報記憶手段から、該情報記憶手段に記憶された識別情報を読み取る情報読取手段と、
前記情報読取手段により識別情報が読み取られる採血管の内部に収められた血液の重量を計測する採血重量計測手段と、
前記情報読取手段により読み取った識別情報と前記採血重量計測手段により計測した重量の情報とを、識別情報を管理する採血管理装置へ送信する取得情報送信手段と、
前記採血管理装置から、前記取得情報送信手段により送信された識別情報と重量の情報とに基づいて評価された採血評価情報を受信すると、当該採血評価情報を示す報知を実行する評価情報報知手段と
を備えたものであることを特徴とする採血確認装置。
【請求項4】
識別情報を記憶した情報記憶手段を有するラベルが貼付された採血管を、投入可能な採血管投入口と、
前記採血管投入口から投入された採血管の前記情報記憶手段から、該情報記憶手段に記憶された識別情報を読み取る情報読取手段と、
前記情報読取手段により識別情報が読み取られる採血管の内部に収められた血液の重量を計測する採血重量計測手段と、
前記採血重量計測手段により計測した血液の重量が、識別情報を管理する採血管理装置から送信された閾重量値に達しているか否かを判定する採血量判定手段と、
前記採血量判定手段による判定結果を示す報知を実行する評価情報報知手段と
を備えたものであることを特徴とする採血確認装置。
【請求項5】
ラベルの情報記憶手段が光学的に読取可能な光学コードである採血管を用いるものであって、
情報読取手段は、
採血管投入口から投入された採血管を、所定の検知位置で支持し且つ該検知位置で周方向に変動させる支持変動手段と、
前記支持変動手段により前記検知位置で支持された採血管の前記光学コードから、該光学コードに記憶された識別情報を読み取る光学コード読取手段と
を備えたものであることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の採血確認装置。
【請求項6】
情報読取手段の支持変動手段は、
採血管投入口から投入された採血管を横臥させた状態で検知位置に周方向へ遊転可能に支持する支持状態と、該採血管を下方へ移動させる降下状態とに変換可能、かつ採血管の長手方向と略直交する左右方向へ揺動可能に設けられた採血管支持部材と、
前記採血管支持部材を、前記支持状態で保ちつつ左右方向に揺動させる作動、および該支持状態と降下状態とに変換させる作動を実行する駆動手段と
を備えたものであり、
採血重量計測手段は、
前記採血管支持部材の下方に設けられ、該採血管支持部材から移動された採血管を収容するトレイが乗載されるテーブルと、
前記テーブル上のトレイに収容された前記採血管の重量または該採血管内の採血重量を測定する重量測定手段と
を備えたものであることを特徴とする請求項5に記載の採血確認装置。
【請求項7】
情報読取手段は、
予め定められた検出開始条件の成立に伴って、採血管支持部材を支持状態で保ちつつ揺動させる揺動制御処理と、
前記揺動制御処理による揺動開始後に、光学コード読取手段が、検知位置で支持された採血管の光学コードから識別情報を読み取ると、前記採血管支持部材を前記支持状態から降下状態に変換作動させる降下作動処理と
を具備する作動制御手段を備えたものであることを特徴とする請求項6に記載の採血確認装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院や健診機関等における採血業務で採取した採血を管理するための採血管理システムおよび採血確認装置に関する。
【背景技術】
【0002】
病院や健診機関等で実施される採血業務では、光学コードを記したラベルが貼付された採血管が用いられ、該光学コードに記憶された情報に従って、被採血者の識別情報や採血作業者の情報などが管理される。また、例えば特許文献1には、採血管に貼付されるラベルとして、RFIDタグ付きラベルが提案されている。こうしたRFIDタグ付きラベルを用いれば、複数の採血管をトレイに保管した状態で、各採血管に夫々貼付されたラベルのRFIDタグから情報をまとめて読み取ることができるため、前記光学コードのラベルに比して、採血業務を効率化できるという利点がある。
さらに、例えば特許文献2には、前記RFIDタグ付きラベルが貼付された採血管の挙動を追跡管理するシステムが提案されている。かかる構成は、ラベルのRFIDタグと信号(情報)を送受信する送受信装置を、採血管の移動経路に設置し、該送受信装置を介して採血管の位置情報を確認することによって、該採血管の挙動を追跡管理できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-49095号公報
【特許文献2】特開2016-75565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した採血作業では、一般的に、被採血者毎に複数の採血管が用いられ、採血管毎に所定量の血液が採取される。そして、採血管に採取する採血量には、臨床検査に必要な下限量が定められている。こうした採血作業には、一般的に真空採血管が用いられている。この真空採血管は、内部の陰圧により適切な量(前記下限量以上の量)の血液を流入可能なものであるが、血が出にくい被採血者もいるため、前記真空採血管の機能(陰圧)のみでは適量の血液を採取し難い場合があった。こうした場合には、採血量が前記下限量に達したか否かを、採血作業者が目視で判断し、採血作業を一旦終了した後に、採血量が前記下限量に足りているか否かを判断するための作業を実施していた。そして、採血量が前記下限量に満たない場合には、再び被採血者を呼び出して採血作業を実施することになっていた。しかし、こうした作業工程では、採血作業者と被採血者との両方に負担がかかると共に、採血に要する時間が増大する。そのため、外来採血が混雑する要因の一つとなっていた。
また、採血量が前記下限量に満たず且つ再採血を実施できない場合には、必要な臨床検査を実施できないこともあり、この場合には先の採血作業自体が無駄になってしまう。こうしたことは、被採血者に、採血作業や医療機関に対する不信感を生じさせたり、医療機関のイメージを低下させたりする虞があった。
【0005】
一方、前述したように一般的な採血作業では、被採血者毎に複数の採血管に血液が採取される。この採血管の本数は、被採血者に応じて異なる場合があり、採血作業者は、被採血者毎に必要な数の採血管を確認して、採血作業を実施することが求められる。ところが、採血作業では、採血開始時に採血管の本数を確認するものの、採血後の採血管を誤って廃棄BOXへ投入してしまうという問題が発生することがあった。そして、採血管を誤って廃棄してしまうと、採血管を探す手間と時間がかかるため、採血作業者や病院の職員に負担がかかる。
尚、こうした誤廃棄の問題は、前記従来構成のRFID付きラベルによって解決することが難しい。すなわち、RFID付きラベルは、当該ラベルを貼付した採血管と信号(情報)の送受信を可能とするのみであり、前記誤廃棄を検出することはできない。また、採血管の挙動を管理する前記従来のシステムであれば、廃棄BOXに廃棄した採血管をある程度追跡可能であるが、該廃棄BOXを探す手間と時間とを要することに加えて、廃棄BOXに触れるために感染リスクがあるという問題も生ずる。
【0006】
本発明は、採血作業の際に、採血量が前記下限量に達しているかを確認でき、該採血量不足による問題の発生を抑制し得る採血管理システムおよび採血確認装置を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一発明は、識別情報を記憶した情報記憶手段を有するラベルが貼付された採血管の該情報記憶手段から、該識別情報を読み取る情報読取手段と、前記採血管に収められた血液の重量を計測する採血重量計測手段と、前記情報読取手段により読み取った識別情報と前記採血重量計測手段により計測した重量の情報とを送信する取得情報送信手段とを具備する採血確認装置と、前記採血確認装置と情報を送受信可能に設けられ、識別情報を管理する採血管理装置とを備え、前記採血管理装置は、前記採血確認装置から前記識別情報と重量の情報とを受信すると、当該重量の情報から取得される採血重量が、所定の閾重量値に達しているか否かを判定する採血量判定手段と、前記採血量判定手段による判定結果を含む採血評価情報を、前記採血確認装置へ送信する評価情報送信手段とを備えたものであり、前記採血確認装置は、前記採血管理装置から前記採血評価情報を受信すると、当該採血評価情報を示す報知を実行する評価情報報知手段を備えたものであることを特徴とする採血管理システムである。
【0008】
ここで、識別情報は、被採血者を特定するために必要な情報(氏名、住所、性別、ID番号など)、採血作業者を特定するために必要な情報(氏名、住所、性別、ID番号など)、被採血者の臨床検査を示す情報、被採血者から採取する血液量の情報などが好適に用いられ、これらのいずれか一又は複数であっても良いし、これら全てであっても良い。
情報記憶手段は、RFIDタグや光学コードが好適に用いられる。光学コードとしては、例えば、バーコードやQRコード(登録商標)などが好適に用いられる。
採血重量計測手段は、採血管に採取された血液の重量(以下、採血重量という)を実質的に計測できるものであれば良い。例えば、採血重量を直接的に測定する機能と、採血後の採血管(血液の入った状態の採血管)の重量を測定する機能と、採血管を計測する前後の重量変化を測定する機能とのいずれかを備えたものとできる。ここで、採血後の採血管の重量を測定する機能を備えた構成では、採血管のみの重量を予め確認しておくことによって、該採血管内の採血重量を得ることができる。一方、採血管を計測する前後の重量変化を計測する機能を備えた構成では、この重量変化と前記採血管のみの重量とから、該採血管内の採血重量を得ることができる。
取得情報送信手段は、前記採血重量計測手段により計測された重量の情報をそのまま送信する構成に限らず、該計測された重量を演算処理して送信する構成であっても良い。すなわち、前述したように、採血重量計測手段が、採血後の採血管の重量を計測するものである場合には、当該重量の情報を送信する構成であっても良いし、当該重量から採血重量を算出して送信する構成であっても良い。同様に、採血重量計測手段が、採血管を計測する前後の重量変化を計測するものである場合には、この重量変化の情報を送信する構成であっても良いし、該重量変化から採血重量を算出して送信する構成であっても良い。
【0009】
かかる構成によれば、採血作業の直後に、採血確認装置で採血管の識別情報と採血重量の情報とを取得することにより、当該識別情報と採血重量の情報とに基づいて採血管理装置で評価された採血評価情報を示す報知が行われることから、採血作業者は、該報知によって採血重量が閾重量値に達しているか否かを正確に知得できる。これにより、採血量が不足している場合には、直ちに再採血を行うことができる。このように本発明の構成では、採血実施後の比較的短時間で前記採血評価情報が報知されることから、採血実施から終了までの一連の採血作業中に、採血量が不足しているか否かを採血作業者が知得できる。そのため、採血量が不足していた場合に被採血者を呼び出す必要が無く、再採血に要する時間と負担とを著しく軽減できる。そして、採血量不足により実施される再採血に対する被採血者の負担を軽減できると共に、再採血を要因とするトラブルも抑制することができる。
さらに、採血量を正確かつ安定して判定できることから、前述した従来の目視に比して判定精度が飛躍的に向上し、採血量不足により臨床検査を実施できないという事態の発生を抑制できる。そのため、前述した採血作業に対する不信感や医療機関に対するイメージ低下を抑制することができる。
【0010】
また、本構成では、採血実施後に採血確認装置で識別情報と採血重量の情報を取得することが、採血評価情報の報知に必須である。すなわち、採血評価情報を得るためには、採血管を、採血確認装置により識別情報と採血重量の情報とを取得する対象としなければならない。このように採血作業工程に採血確認装置の運用を含めることにより、採血管を廃棄BOXに誤廃棄してしまうことを抑制できる。そして、採血管の誤廃棄により生ずる捜索作業の手間や時間を抑制できると共に、廃棄BOXに触れることで生ずる感染リスクを抑制することもできる。
【0011】
本発明の第二発明は、識別情報を記憶した情報記憶手段を有するラベルが貼付された採血管の該情報記憶手段から、該識別情報を読み取る情報読取手段と、前記採血管に収められた血液の重量を計測する採血重量計測手段とを具備する採血確認装置と、前記採血確認装置と情報を送受信可能に設けられ、識別情報を管理する採血管理装置とを備え、前記採血管理装置は、予め設定された閾値情報取得条件の成立を契機として、採血量の判定に用いられる閾重量値を含む判定用情報を、前記採血確認装置へ送信する判定用情報送信手段を備えたものであり、前記採血確認装置は、前記採血重量計測手段により計測した血液の重量が、前記採血管理装置から受信した前記判定用情報の前記閾重量値に達しているか否かを判定する採血量判定手段と、前記採血量判定手段による判定結果を示す報知を実行する評価情報報知手段とを備えたものであることを特徴とする採血管理システムである。
【0012】
ここで、識別情報、情報記憶手段、および採血重量計測手段は、前記した第一発明と同様である。
閾値情報取得条件としては、例えば、予定された採血日時に基づいて設定された所定タイミングとなること、又は、採血管理装置や被採血者を確認する装置等から該被採血者の識別情報を受信すること等が好適に用いられる。後者の場合における具体例としては、採血管理装置が、病院や健診機関における受付に設置された受付装置から、被採血者の識別情報を受信すること、採血場所に設置された読取装置から、採血前に採血管の情報記憶手段から読み取られた識別情報を受信すること、採血確認装置の情報読取手段によって採血管の情報記憶手段から読み取られた識別情報を、該採血確認装置から受信すること等とすることができる。
【0013】
かかる構成にあっては、採血確認装置が、採血管理装置から得た閾重量値を用いて、採血重量計測手段により計測した血液の重量を判定し、該判定結果を報知するようにしたものであり、前記した第一発明と同様に、採血作業の直後に、採血確認装置で採血管の識別情報と採血重量の情報とを取得することによって、採血作業者は、該報知によって採血重量が閾重量値に達しているか否かを正確に知得できる。したがって、第二発明の構成にあっても、前述した第一発明と同様の作用効果を奏する。
【0014】
本発明の第三発明は、識別情報を記憶した情報記憶手段を有するラベルが貼付された採血管を、投入可能な採血管投入口と、前記採血管投入口から投入された採血管の前記情報記憶手段から、該情報記憶手段に記憶された識別情報を読み取る情報読取手段と、前記情報読取手段により識別情報が読み取られる採血管の内部に収められた血液の重量を計測する採血重量計測手段と、前記情報読取手段により読み取った識別情報と前記採血重量計測手段により計測した重量の情報とを、識別情報を管理する採血管理装置へ送信する取得情報送信手段と、前記採血管理装置から、前記取得情報送信手段により送信された識別情報と重量の情報とに基づいて評価された採血評価情報を受信すると、当該採血評価情報を示す報知を実行する評価情報報知手段とを備えたものであることを特徴とする採血確認装置である。ここで、識別情報、情報記憶手段、採血重量計測手段、および取得情報送信手段は、前述した第一発明の採血管理システムと同様である。
【0015】
かかる構成にあっては、前述した第一発明の採血管理システムを構成する採血確認装置に適用されるものであるから、該採血管理システムと同様の作用効果を奏し得る。
【0016】
すなわち、採血管が採血確認装置の採血管投入口から投入されることに基づいて、採血評価情報の報知が行われることから、採血作業者は、採血実施後に採血管を投入することにより、採血評価情報の報知を介して、採血重量が閾重量値に達しているか否かを正確に知得できる。このように、採血実施後の比較的短時間で、採血量が不足しているか否かを採血作業者が知得できることから、再採血に要する時間と負担とを著しく軽減できると共に、被採血者の負担を軽減できる。そのため、再採血を要因とするトラブルも抑制できる。さらに、前述した従来の目視に比して判定制度が飛躍的に向上することから、採血量不足により臨床検査を実施できないという事態の発生を抑制でき、採血作業に対する不信感や医療機関に対するイメージ低下を抑制することができる。
また、本構成では、採血実施後に採血確認装置の採血管投入口に採血管を投入することが、採血評価情報の報知に必須である。これにより、採血管を廃棄BOXに誤廃棄してしまうことを抑制できることから、採血管の誤廃棄により生ずる捜索作業の手間や時間を抑制できると共に、廃棄BOXに触れることで生ずる感染リスクを抑制することもできる。
【0017】
本発明の第四発明は、識別情報を記憶した情報記憶手段を有するラベルが貼付された採血管を、投入可能な採血管投入口と、前記採血管投入口から投入された採血管の前記情報記憶手段から、該情報記憶手段に記憶された識別情報を読み取る情報読取手段と、前記情報読取手段により識別情報が読み取られる採血管の内部に収められた血液の重量を計測する採血重量計測手段と、前記採血重量計測手段により計測した血液の重量が、識別情報を管理する採血管理装置から送信された閾重量値に達しているか否かを判定する採血量判定手段と、前記採血量判定手段による判定結果を示す報知を実行する評価情報報知手段とを備えたものであることを特徴とする採血確認装置である。
【0018】
ここで、識別情報、情報記憶手段、および採血重量計測手段は、前述した第二発明の採血管理システムと同様である。
閾重量値は、前述した第二発明と同様、採血量の判定に用いられるものである。そして、第四発明の構成にあっては、採血管理装置から、閾重量値を含む判定用情報を受信し、該受信した判定用情報から閾重量値を取得する判定用情報取得手段を備えた構成が好適である。
【0019】
かかる構成にあっては、前述した第二発明の採血管理システムを構成する採血確認装置に適用されるものであるから、該採血管理システムと同様の作用効果を奏し得る。換言すれば、前述した第三発明の採血確認装置と同様の作用効果を奏する。
【0020】
前述した本三発明または第四発明の採血確認装置にあって、ラベルの情報記憶手段が光学的に読取可能な光学コードである採血管を用いるものであって、情報読取手段は、採血管投入口から投入された採血管を、所定の検知位置で支持し且つ該検知位置で周方向に変動させる支持変動手段と、前記支持変動手段により前記検知位置で支持された採血管の前記光学コードから、該光学コードに記憶された識別情報を読み取る光学コード読取手段とを備えたものである構成が提案される。
【0021】
ここで、検知位置とは、当該検知位置にある採血管のラベルの光学コードを、光学コード読取手段により読取可能である位置を示し、該光学コード読取手段により読取できる範囲に設定される。すなわち、検知位置は、採血管が横臥した状態で、光学コード読取手段により読取できる範囲を示し、該範囲内で採血管を移動可能とするように設定されていても良い。
【0022】
かかる構成にあっては、支持変動手段により、検知位置で採血管を周方向に変動させることで、該採血管に貼付されたラベルの光学コードを、光学コード読取手段で読み取り可能な周方向位置に変位させることができるため、該光学コード読取手段によって該ラベルの光学コードを正確かつ安定して読み取りできる。このように本構成によれば、光学コード付きラベルを貼付した採血管が採血管投入口から投入されることによって、検知位置で支持された採血管の光学コードを読み取ることができ、光学コードを読み取れないという不具合の発生を抑制できる。したがって、前述した本発明(第三発明および第四発明)の作用効果を一層安定して発揮できる。
【0023】
また、本構成は、光学コードを有するラベルを貼付した採血管を用いるものであることから、前記したRFIDタグを有する場合に比して、コストを低減できるという優れた利点もある。
【0024】
前述した本発明の採血確認装置にあって、情報読取手段の支持変動手段は、採血管投入口から投入された採血管を横臥させた状態で検知位置に周方向へ遊転可能に支持する支持状態と、該採血管を下方へ移動させる降下状態とに変換可能、かつ採血管の長手方向と略直交する左右方向へ揺動可能に設けられた採血管支持部材と、前記採血管支持部材を、前記支持状態で保ちつつ左右方向に揺動させる作動、および該支持状態と降下状態とに変換させる作動を実行する駆動手段とを備えたものであり、採血重量計測手段は、前記採血管支持部材の下方に設けられ、該採血管支持部材から移動された採血管を収容するトレイが乗載されるテーブルと、前記テーブル上のトレイに収容された前記採血管の重量または該採血管内の採血重量を測定する重量測定手段とを備えたものである構成が提案される。
【0025】
ここで、重量測定手段は、採血管(採血後の、血液を収容した採血管)の重量、または該採血管内の採血重量を直接的に計測するものであっても良いし、採血管がトレイに収容される前後の重量変化を測定するものであっても良い。そして、重量測定手段が採血後の採血管の重量またはトレイ収容前後の重量変化を測定するものである構成の場合には、採血重量計測手段を、測定した重量または重量変化から、採血管に収容された採血重量を取得する機能を備えたものとすることが好適である。
【0026】
かかる構成にあっては、採血管支持部材の支持状態で左右に揺動させることにより、検知位置に支持された採血管を、その周方向に変動させることができることから、該採血管に貼付されたラベルの光学コードを、光学コード読取手段に対向させることができ、光学コード読取手段が該ラベルの光学コードを正確かつ安定して読み取りできる。さらに、本構成は、採血管支持部材を降下位置へ位置変換することによって、該採血管支持部材で支持した採血管を、トレイに収容できると共に、該採血管の重量または該採血管内の採血重量を測定することができる。このように本構成は、採血管支持部材の揺動という比較的単調な作動のみで、光学コードの読み取りができると共に、該採血管支持部材の降下位置への変換作動のみで、採血管をトレイに収納でき且つ重量の測定を行うことができる。
【0027】
前述した本発明の採血確認装置にあって、情報読取手段は、予め定められた検出開始条件の成立に伴って、採血管支持部材を支持状態で保ちつつ揺動させる揺動制御処理と、前記揺動制御処理による揺動開始後に、光学コード読取手段が、検知位置で支持された採血管の光学コードから識別情報を読み取ると、前記採血管支持部材を前記支持状態から降下状態に変換作動させる降下作動処理とを具備する作動制御手段を備えたものである構成が提案される。
【0028】
ここで、検出開始条件としては、採血作業者の操作により成立すること、採血管の検出により成立すること等を好適に用い得る。具体的には、前者の場合、採血作業者により操作可能なスイッチやボタンなどが操作されることが設定できる。一方、後者の場合には、採血管投入口に投入された採血管を検出するセンサやカメラ、又は採血管支持部材に支持された採血管を検出するセンサやカメラを備え、該センサやカメラにより採血管が検出されることが設定できる。
【0029】
かかる構成によれば、検出開始条件の成立により、採血管の光学コードを読み取って、当該採血管をテーブル上のトレイに収容させることができる。このように光学コードの読み取りとトレイの収容とを自動的に実行でき、該読み取りとトレイ収容とに要する採血作業者の負担を軽減できる。
【0030】
尚、本構成にあって、降下作動処理は、光学コード読取手段が光学コードを読み取れない場合に、採血管支持部材の揺動を停止して支持状態で維持する構成が提案される。この構成によれば、採血管支持部材の検知位置で採血管を支持できない場合、採血管が周方向に変動できない場合、または採血管のラベルが不備の場合などで、当該採血管がトレイに収容されてしまうことを防止できる。
【0031】
また、前記第三発明に従属する本構成にあって、採血重量計測手段は、採血支持部材の降下状態への変換に伴って、該採血支持部材から移動された採血管内の採血重量を計測する重量計測処理を備えたものである構成が好適である。さらに、取得情報送信手段は、前記採血重量計測手段により採血管内の採血重量を計測すると、該採血重量の情報と当該採血管の光学コードから読み取った識別情報とを、採血管理装置へ送信する取得情報処理を備えたものである構成が好適である。
こうした構成によれば、検出開始条件の成立に伴って、採血支持部材の揺動から識別情報と採血重量の情報との送信までの一連の作動を自動的に実行することから、採血作業者は、採血管投入口へ採血管を投入するのみで、採血評価情報の報知を得ることができる。したがって、採血作業者の負担増加を一層抑制することができる。
【0032】
一方、前記第四発明に従属する本構成にあって、採血重量計測手段は、採血支持部材の降下状態への変換に伴って、該採血支持部材から移動された採血管内の採血重量を計測する重量計測処理を備えたものである構成が好適であり、さらに、採血量判定手段は、前記採血重量計測手段により計測した血液の重量と、採血管理装置から送信された閾重量値との両方が揃うと、当該血液の重量が当該閾重量値に達しているか否かの判定を実行するようにした構成が好適である。
こうした構成によれば、検出開始条件の成立に伴って、採血支持部材の揺動から採血重量の判定結果の報知までの一連の作動が自動的に実行されることから、採血作業者は、採血管投入口へ採血管を投入するのみで、採血評価情報の報知を得ることができる。したがって、採血作業者の負担増加を一層抑制することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明の採血管理システムによれば、採血作業者が採血実施後の比較的短時間で採血量の不足か否かを知得できることから、採血量が不足していた場合に、再採血に要する時間と負担とを著しく軽減できる。そして、採血量不足により臨床検査を実施できないという事態の発生を抑制できるため、被採血者の、採血作業に対する不信感や医療機関に対するイメージ低下を抑制することができる。また、採血管の誤廃棄を抑制できることから、該誤廃棄に伴う負担を抑制できる。
【0034】
本発明の採血確認装置は、前述した採血管理システムに適用されるものであるから、該採血管理システムと同様の作用効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】実施例の採血管理システム1を示すシステム構成図である。
図2】採血確認装置5の正面図である。
図3】採血確認装置5の平面図である。
図4】採血確認装置5の正面側の斜視図である。
図5】採血確認装置5の背面側の斜視図である。
図6】採血管支持部材31を示す斜視図である。
図7】採血管81を投入した状態を示す説明図である。
図8】採血確認装置5の制御回路を示すブロック図である。
図9】実施例の採血確認装置5に適用される採血管81を示す斜視図である。
図10】採血管支持部材31の基準位置を示す説明図である。
図11】採血管支持部材31の揺動態様を示す説明図である。
図12】採血管支持部材31を降下位置とした状態を示す説明図である。
図13】実施例1における、採血確認装置5で実行される採血読取処理を示すフローチャートである。
図14】実施例1における、採血管理サーバ2で実行される採血評価処理を示すフローチャートである。
図15】実施例2における、採血確認装置5で実行される採血読取判定処理を示すフローチャートである。
図16】実施例2における、採血管理サーバ2で実行される情報取得送信処理を示すフローチャートである。
図17】実施例3における、採血確認装置5で実行される採血読取判定処理を示すフローチャートである。
図18】実施例3における、採血管理サーバ2で実行される情報取得送信処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明にかかる実施形態を、以下の実施例1~3により説明する。
【実施例0037】
本実施例の採血管理システム1は、病院や健診機関等の医療機関において採血作業者(看護師など)による採血業務を支援するためのものである。採血管理システム1は、図1に示すように、採血管理サーバ2と、データベース3と、一又は複数の採血確認装置5とを備える。ここで、採血確認装置5は、採血室に設置され、採血管理サーバ2とデータベース3とは、特に限定されないが、採血室の近辺が好適である。
【0038】
採血管理サーバ2は、採血管理システム1の根幹をなすものであり、院内LANを介して上位システム(電子カルテシステム)と接続されると共に、通信ケーブルを介してデータベース3および採血確認装置5と夫々通信可能に接続されている。尚、採血管理サーバ2は、モニタとキーボードなどの操作手段とを備え、管理者が各種プログラムやデータ(情報)の更新および修正などを随時実施できるようになっている。さらに、図示しないプリンタが接続されており、データベース3に記憶された各種データを印字できるようになっている。
【0039】
データベース3は、採血業務にかかる各種データ(情報)を蓄積記憶する。データベース3に記憶されるデータは、採血管理サーバ2等によって参照・登録・更新される。本実施例にあっては、前記採血管理サーバ2とデータベース3とにより、本発明にかかる採血管理装置が構成されている。
【0040】
また、本実施例に用いられる採血管81は、所謂真空採血管であり、図9に示すように、透明なガラス製またはプラスチック製の有底円筒状の主管体82と、該主管体82の上部開口を密閉するキャップ体83とから構成され、該主管体82の外表面に、バーコード86が印刷されたラベル85が貼付される。ここで、ラベル85は、横幅が主管体82の外周長よりも短い略矩形状であり、該横幅方向を該主管体82の周方向に沿って貼付される。そのため、後述する光学コード読取装置25によりラベル85のバーコード86を読み取るには、該光学コード読取装置で読取り可能な範囲に該バーコード86が入るように、採血管81を周方向に回転(変動)させて、該バーコード86を該光学コード読取装置25に臨む位置とすることを要する。尚、本実施例にあって、バーコード86には、採血の対象である被採血者を識別するための識別情報(氏名、性別、ID等)が記憶されている。
【0041】
一方、採血確認装置5は、図2~5に示すように、上方開口する採血管投入口12と前方開口するトレイ入出口13とが設けられた筐体11を備え、該筐体11の内部に、前記トレイ入出口13から挿入されたトレイ80を乗載させるテーブル15と、該テーブル15上の重量を測定するロードセル装置16(図8参照)とが配設されている。さらに、テーブル15の上方に、前記採血管投入口12から投入された採血管81を支持する採血管支持部材31が配設されている。
【0042】
尚、本実施例では、前記したトレイ入出口13を介してトレイ80を入出する方向を前後方向とし、該前後方向と直交する横方向を左右方向として説明する。そして、採血確認装置5のトレイ入出口13側を前方としている。
【0043】
前記筐体11は、その上部に正面視で逆ハ字状に対向状に配設された左右一対の案内板21a,21bを備え、左右の案内板21a,21bの下端が左右方向に所定間隔をおいて離間されており、両案内板21a,21bの下端間によって、前記した採血管投入口12が構成されている。この採血管投入口12の間隔は、前記採血管81を落下可能であると共に、後述するように、採血管支持部材31の揺動中に、該採血管支持部材31に支持された該採血管81のバーコード86を光学コード読取装置が読み取りできる幅寸法に設定されている。また、左右の案内板21a,21bは、採血管投入口12に採血管81を投入する際に、該採血管81を採血管投入口12に案内する作用を有する。
【0044】
前記採血管支持部材31は、図6に示すように、上方へ隆起する左右の隆起部33,33と、該隆起部33,33の間で下方に窪む支持溝部32とを備え、該左右の隆起部33,33と支持溝部32とが左右方向に連成されている。そして、隆起部33,33と支持溝部32とは、夫々前後方向に沿って形成されており、各前後方向の長さが前記採血管81の全長よりも長く設定されている。ここで、支持溝部32は、採血管支持部材31の左右方向の略中央部に設けられており、前記採血管81に比して曲率半径の大きい断面略円弧状の湾曲面により構成されている。さらに、本実施例にあっては、支持溝部32の深さ(隆起部33,33の頂点との高さ寸法差)が、前記採血管81の半径よりも若干小さく設定されている(該半径の約半分)。こうした採血管支持部材31は、採血管81を前後方向に沿って横臥させた状態で、前記支持溝部32内で支持できると共に、該採血管81を、支持したまま、該支持溝部32の湾曲面上で左右方向へ遊転させることができる。
【0045】
こうした採血管支持部材31は、その後端部に、回動軸42を備えた略扇状の連結部材46が連結されており、該回動軸42の回動に従って左右方向へ円弧状に移動可能となっている。回動軸42は、前記筐体11に回動可能に支持され、該筐体11に配設された駆動装置41により回動制御される。駆動装置41は、図2~5に示すように、正逆回転可能なステッピングモータ43と、タイミングベルト(図示せず)により該ステッピングモータ43の回転を前記回動軸42に伝えるベルト機構44と備え、該ステッピングモータ43の回動に従って該回動軸42を回動させる。すなわち、駆動装置41のステッピングモータ43を回動制御することにより、前記回動軸42を中心として前記採血管支持部材31を左右方向へ円弧状に移動させることができる(図11,12参照)。
【0046】
採血管支持部材31は、左右方向に平衡な状態で、前記支持溝部32が前記採血管投入口12の直下に位置するように、前記連結部材46と回動軸42とを介して筐体11に配設されている。そして、支持溝部32が採血管投入口12の直下となる位置が、基準位置(図10参照)として設定されている。さらに、採血管支持部材31は、前記基準位置から、前記回動軸42を中心として左右方向へ円弧状に移動されることによって、左右へ揺動される。本実施例では、採血管支持部材31が前記基準位置の左右に夫々設定された揺動位置(図11参照)の間で揺動するように設定されている。ここで、筐体11には、前記基準位置を検出する基準位置センサ65(図8参照)と、左右の揺動位置を夫々検出する揺動位置センサ66,67(図8参照)とが設けられており、これらセンサの検出に従ってステッピングモータ43を駆動制御することにより、採血管支持部材31を基準位置で停止させる作動と、左右の揺動位置の間で揺動させる作動とを実行できる。
【0047】
図11(A)に、前記基準位置の右側の揺動位置を示し、図11(B)に、前記基準位置の左側の揺動位置を示す。こうした左右の揺動位置は、採血管支持部材31の支持溝部32上で採血管81を支持した状態で保ちつつ、当該採血管81が採血管投入口12の左右方向幅内に保持されるように設定されている。これにより、採血管支持部材31が左右の揺動位置間で揺動中に、支持溝部32上で支持する採血管81が、採血管投入口12を介して上方へ露出した状態で保たれる。すなわち、採血管81は、前記揺動中に、採血管投入口12の左右方向幅内で支持溝部32上を左右方向に遊転できる。ここで、採血管支持部材31が基準位置で停止中および前記揺動中に、採血管81を採血管投入口12の左右方向幅内で保つ範囲が、本発明の検知位置である。そして、採血管支持部材31の停止中と移動中とに関わらず、採血管81を支持溝部32上で支持している状態が、本発明にかかる採血管支持部材31の支持状態である。そのため、本実施例にあって、少なくとも左右の揺動位置の間は、採血管支持部材31が支持状態である。
【0048】
さらに、採血管支持部材31は、前記右方の揺動位置よりも高い降下位置(図12参照)まで、前記回動軸42を中心として移動される。ここで、降下位置は、採血管支持部材31の支持溝部32に支持された採血管81を該採血管支持部材31の下方へ落下させる位置であり、該支持溝部32内の採血管81を安定かつ確実に下方へ落下させるができる位置に設定されている。ここで、筐体11には、この降下位置を検出する降下位置センサ68(図8参照)が設けられており、該降下位置センサ68の検出に従ってステッピングモータ43を駆動制御することにより、採血管支持部材31を降下位置まで移動させる作動を実行できる。尚、本実施例にあっては、採血管支持部材31を降下位置へ移動させる際に、支持溝部32で支持された採血管81が、前記した右側の案内板21aの下縁に当接して、これ以上の右方へ移動不能となることから、該採血管支持部材31の左側の隆起部33を乗り越えて下方へ落下し易くなっている。
【0049】
また、前記採血管投入口12を構成する左側の案内板21bには、図2~4および図9~11に示すように、該案内板21bの上部に、バーコードを非接触で読取可能な光学コード読取装置25が配設されている。本実施例にあって、光学コード読取装置25は、前記採血管投入口12に向かって配設されており、該採血管投入口12を介して、前記採血管支持部材31により前記検知位置にある採血管81のバーコード86を読取可能となっている。すなわち、採血管支持部材31が前記左右の揺動位置の間にある状態(図9,10参照)で、該採血管支持部材31の支持溝部32上で支持された採血管81のバーコード86が、光学コード読取装置25に臨む位置にある場合に、該光学コード読取装置25が、該採血管81のバーコード86を読み取ることができる。換言すると、前記左右の揺動位置間で採血管81を保持する前記検知位置は、該採血管81のバーコード86を光学コード読取装置25に臨む周方向位置とすることによって、該光学コード読取装置25により読み取りされる位置として設定されている。
【0050】
また、左側の案内板21bの下端部には、図9~11に示すように、前記基準位置にある採血管支持部材31の支持溝部32で支持された採血管81を検出するための在管検出センサ26(図8参照)が配設されている。
【0051】
一方、前記したテーブル15は、前記採血管支持部材31との間に、採血管81を収容するトレイ80を配することができるように、該採血管支持部材31の下方に該トレイ80の収納スペースをおいて配設されている。そして、このテーブル15上にトレイ80が乗載された状態(前記収納スペースに収納された状態)で、当該トレイ80に、前記降下位置とした採血管支持部材31から落下した採血管81が入るようになっている。さらに、このテーブル15の下方には、前記したロードセル装置16(図8参照)が配設されている。このロードセル装置16は、前記テーブル15上の重量を測定するものであり、従前から公知のものを適用できることから、その詳細を省略する。また、トレイ80についても、複数の採血管81を収容できるものであり、病院等の医療機関で従前から使用されているものを適用できることから、その詳細を省略する。
【0052】
また、筐体11には、図2~4に示すように、その正面に、電源スイッチ51、再作動ボタン52、緑ランプ53、第一赤ランプ54、および第二赤ランプ55が配設されている。ここで、電源スイッチ51は、採血確認装置5の電源をON/OFFするものであり、採血作業者が操作可能である。再作動ボタン52は、ON操作により前記採血管支持部材31を揺動させるためのものであり、採血作業者が操作可能である。緑ランプ53は、前記トレイ80がテーブル15上に乗載されて、ロードセル装置16による重量測定可能な状態となると、点灯して、採血管81を採血管投入口12から投入可能であることを報知する。第一赤ランプ54は、採血管81のバーコード86の読取りエラーと前記採血管支持部材31の作動エラーとの場合に点灯して、これらエラーを報知する。第二赤ランプ55は、採血管81に採取された採血量が不足している場合に点灯して、採血量不足であることを報知する。
【0053】
こうした採血確認装置5には、図8に示すように、該採血確認装置5を統括的に制御する制御装置61が配設されている。この制御装置61は、図示しないCPU、ROM、およびRAM等により構成された基板を備え、前記した採血管理サーバ2とデータや信号等の情報を送受信する機能を有するものである。制御装置61には、前記した光学コード読取装置25およびロードセル装置16とデータや信号を入出力可能に夫々接続されていると共に、前記電源スイッチ51を備えた電源ユニット63と接続されている。この電源ユニット63は、外部電源から供給された電力を、採血確認装置5を構成する各装置に供給するものであり、電力供給用のコード(図示せず)により各装置と接続されている。また、制御装置61には、前記ステッピングモータ43、再作動ボタン52、緑ランプ53、第一赤ランプ54、および第二赤ランプ55が接続されており、これを駆動制御する。さらに、制御装置61には、センサ基板62を介して、在管検出センサ26、左揺動位置センサ66、右揺動位置センサ67、降下位置センサ68、およびトレイ検出センサ69が接続されており、これら各センサの検出した信号が該センサ基板62を介して入力される。尚、トレイ検出センサ69は、前記テーブル15に乗載されたトレイ80を検出するセンサである。
【0054】
次に、本実施例の採血管理システム1による、採血管81内の採血量を確認する一連の動作について説明する。この一連の動作は、前記採血確認装置5で実行される採血読取処理と、前記採血管理サーバ2で実行される採血評価処理とにより実行される。
【0055】
図13に、採血確認装置5で実行される採血読取処理を示す。前記電源スイッチ51のON作動により電力が供給されると、初期作動処理(S100)により前記各機器の初期作動が実行される。具体的には、ロードセル装置16でゼロバランスを確認する初期作動が実行され、正常であれば、その信号が制御装置61に入力される。制御装置61は、正常信号を入力すると、前記緑ランプ53を点灯させて、テーブル15にトレイ80を乗載可能であることを報知する。さらに、制御装置61は、前記した基準位置センサから信号入力によって、採血管支持部材31が基準位置にあることを確認する(図10参照)。ここで、採血管支持部材31が基準位置にない場合には、制御装置61がステッピングモータ43を駆動制御して、該採血管支持部材31を基準位置まで移動させて停止させる。尚、本実施例にあって、前記初期作動処理は、電源スイッチ51のON作動時以外でスキップされる。
【0056】
テーブル15にトレイ80が乗載されて、前記トレイ検出センサ69が当該トレイ80を検出すると、読込準備処理が実行される(S105~S110)。この読込準備処理(S110)では、トレイ80が乗載された状態で、ロードセル装置16でゼロバランスを取る作動が実行される。そして、前記ゼロバランスが安定すると、その信号を入力した制御装置61は、前記緑ランプ53を点灯させて、採血管81の読取り準備が完了したことを報知する。ここで、制御装置61は、トレイ検出センサ69からトレイ80の検出信号を入力すると、緑ランプ53を一旦消灯させ、その後、前記ゼロバランスの安定により点灯させる。一方、ゼロバランスを安定できない場合などのエラーが発生した場合には、緑ランプ53を点灯させない。
【0057】
採血管81が採血管投入口12から投入されると、前記在管検出センサ26が当該採血管81を検出し、その信号が制御装置61へ出力される(S115)。制御装置61は、この信号の入力に伴って、揺動処理(S120)を実行し、ステッピングモータ43を駆動制御して、採血管支持部材31を前記左右の揺動位置の間で揺動させる(図11参照)。ここで、制御装置61は、前記した左右の揺動位置センサからの検出信号を入力する毎に、ステッピングモータ43を正逆反転させて回動させることによって、採血管支持部材31を揺動させる。この揺動によって、採血管81が、採血管支持部材31の支持溝部32上で左右へ転動し、該転動に伴って周方向に回転(変動)する。そして、前記した光学コード読取装置25は、採血管支持部材31の支持溝部32に支持された採血管81のバーコード86を読み取ると、その読み取った前記識別情報を含む信号を制御装置61に出力する。
【0058】
前記識別情報を含む信号を前記光学コード読取装置25から入力すると、降下作動処理を実行する(S125~S130)。この降下作動処理(S130)により、ステッピングモータ43を駆動制御し、採血管支持部材31を前記降下位置まで移動させて、該降下位置で一時的に停止させる(図12参照)。このように光学コード読取装置25から前記信号を入力すると、揺動を中断して降下位置へ移動させる。これにより、採血管支持部材31で支持された採血管81が落下して、テーブル15上のトレイ80に入る。
一方、制御装置61は、前記基準位置センサ65と左右の揺動位置センサ66,67とからの信号入力により、左右への揺動回数をカウントし、前記光学コード読取装置25から前記信号を入力すること無く、該揺動回数が所定回数(例えば、5回)に達すると、ステッピングモータ43を駆動制御して、採血管支持部材31を基準位置で停止させる(S150~S155)。これに伴って、前記第一赤ランプ54を点灯させることにより、バーコード86の読取不可を報知する。この状態で、前記再作動ボタン52が操作されると(S160)、制御装置61は、第一赤ランプ54を消灯させると共に、再びステッピングモータ43を駆動制御して採血管支持部材31を揺動させる。
尚、本実施例にあっては、前記揺動を、採血管支持部材31を基準位置から右方(前記降下位置側)への移動から開始させる。これにより、基準位置から右の揺動位置までの移動中に、光学コード読取装置25が採血管81のバーコード86を読み取ると、採血管支持部材31を右の揺動位置を通過して降下位置まで移動させるようにしている。
【0059】
前記採血管支持部材31の降下位置への移動後に、ロードセル装置16から重量情報の信号を入力すると、重量検出処理(S140)を実行する。尚ここで、前記ロードセル装置16は、採血管81がトレイ80に入ることにより重量変化を検出すると、重量を検出して、検出した重量情報の信号を制御装置61に出力する。本実施例では、ロードセル装置16は、重量変化を検出すると、所定時間間隔(例えば、0.2秒間隔)で重量を測定して、測定毎に重量情報の信号を制御装置61に出力する。
【0060】
前記重量検出処理(S140)では、ロードセル装置16から前記信号を入力する毎に、各信号に含まれる重量情報を確認し、該重量が安定(例えば、±1g以内)するまで待機する。そして、重量が安定すると、ロードセル装置16へ信号の出力停止を指示するコマンドを出力すると共に、ステッピングモータ43を駆動制御して、採血管支持部材31を降下位置から基準位置へ移動させて停止させる。さらに、この重量検出処理では、前記安定した重量情報から、前記採血管支持部材31の降下位置への移動によりトレイ80に入った採血管81内の採血重量を算出する。すなわち、ロードセル装置16から入力する重量情報は、トレイ80内の、採血実施後の採血管81の重量であることから、予め記憶されている採血管81のみの重量を差し引くことによって、該採血管81内の採血重量(血液の重量)を算出する。尚、本実施例にあっては、ロードセル装置16により、前記重量変化の前後で変化した重量を測定していることから、該ロードセル装置16から入力される重量情報が、採血実施した一本の採血管81の重量に相当する。
【0061】
前記重量検出処理により採血重量を取得すると、当該採血重量の情報と、前記光学コード読取装置25から入力した識別情報とを含む採血管取得情報を、前記した採血管理サーバ2へ送信する(S170)。そして、制御装置61は、採血管理サーバ2から後述の採血評価情報を受信するまで待機する(S175)。
【0062】
前記採血管理サーバ2から採血評価情報を受信すると、採血評価報知処理を実行する(S180)。この採血評価報知処理では、該採血評価情報から識別情報の照合結果と採血量の判定情報(採血量が充足しているか否かの判定結果を示す情報)とを確認する。そして、識別情報の照合結果が正判定を示し且つ採血量の判定情報が該採血量の充足を示すものであった場合には、前記緑ランプ53を点灯させて、採血管81の採血が正しく実施されたものであることを報知する。一方、前記識別情報の判定結果が否判定を示すものであった場合には、第一赤ランプ54を点滅させて、被採血者の情報が誤っていることを報知する。また、前記採血量の判定情報が該採血量の不足を示すものであった場合には、第二赤ランプ55を点滅させて、採血量不足を報知する。尚、識別情報の照合結果と採血量の判定情報とについては、後述の採血評価処理で説明する。
【0063】
一方、図14に、前記採血管理サーバ2で実行される採血評価処理を示す。この採血評価処理では、採血確認装置5から前記採血管取得情報を受信すると、該採血管取得情報に含まれる識別情報と重量情報とを確認し、当該識別情報に従って、データベース3に登録された被採血者の採血マスタ情報を読み込む(S200~S205)。ここで、データベース3には、医師や看護師などによりオーダーされた被採血者の識別情報(被採血者の氏名やID等)と採血検査情報(採血の内容を示す情報)とが被採血者毎に採血マスタ情報として記憶されている。こうした識別情報や採血検査情報は、予め病院の上位システム(図示せず)に登録されており、採血管理サーバ2より該上位システムから取得されて、前記データベース3に採血マスタ情報として記憶される。前記採血検査情報は、採血により実施される臨床検査の情報と、各臨床検査に夫々用いられる採血管81の本数情報と、各採血管81に採取すべき採血量の下限量を示す情報とを含むものである。本実施例にあって、この採血量の下限量情報は、各採血管81に採取すべき採血量の下限重量値を示すものであり、臨床検査の内容や被採血者に応じて設定される。尚、この下限重量値が、本発明の閾重量値に相当する。
【0064】
データベース3から採血マスタ情報を読み込むと、識別情報判定処理(S210)と採血量判定処理(S215)とを実行する。識別情報判定処理では、前記採血管取得情報の識別情報を、該採血マスタ情報の識別情報と照合し、一致するか否かを判定する。採血量判定処理では、前記採血管取得情報の重量情報が、該採血マスタ情報の採血検査情報に含まれる前記下限重量値(採血量の下限量情報)に達しているか否かを判定する。ここで、採血管取得情報の重量情報が前記下限重量値に達しているか否かの判定とは、換言すれば、採血管81に採取された採血量が、充足している(前記下限量に達している)か不足している(前記下限量に達していない)かの判定である。そのため、前記重量情報が下限重量値に達していないという判定結果は、採血管81内の採血量不足を示す。
【0065】
この後、データ記憶処理(S220)を実行し、前記識別情報判定処理により識別情報の照合を一致判定し、かつ前記採血量判定処理により重量情報の下限重量値への到達を判定した場合に、正しく採血されたことを示す情報を、前記データベース3の採血マスタ情報に記憶する。
【0066】
さらに、評価情報送信処理(S225)を実行し、前記識別情報判定処理による判定結果(識別情報の照合結果)と前記採血量判定処理による判定結果(採血量の判定情報)とを含む採血評価情報を、前記採血確認装置5へ送信する。
【0067】
次に、前記した採血確認装置5の使用態様について説明する。
採血作業者は、採血作業の開始前に、採血確認装置5の電源スイッチ51をON操作する。その後、採血確認装置5の緑ランプ53が点灯したことを確認すると、被採血者毎に採血管81を収容するためのトレイ80を、採血確認装置5のトレイ入出口13から差し入れて、テーブル15上に置く。この後に、採血作業者は、緑ランプ53の点灯状態で、被採血者から採血を実施した採血管81を、該採血確認装置5の採血管投入口12から投入する。ここで、採血管81は、前後方向に横臥した状態で前記採血管投入口12から落下して、図10に示すように、採血管支持部材31の支持溝部32内に、該横臥状態で支持される。
【0068】
採血管支持部材31に支持された採血管81が前記在管検出センサ26により検出されると、図11に示すように、該採血管支持部材31が左右方向へ揺動し、この揺動によって、当該採血管81を前記検知位置に保ちつつ支持溝部32内で左右方向へ遊転させて周方向へ回転(変動)させ得る。そして、採血管81の回転によって、該採血管81に貼付されたラベル85のバーコード86を、前記光学コード読取装置25に臨む周方向位置に移動させることができる。これにより、光学コード読取装置25が採血管81のバーコード86を読み取りできる。
ここで、実施例の採血確認装置5は、採血管支持部材31の支持溝部32が採血管81を周方向に遊転可能に支持する構造であることと、該採血管81の長手方向と直交する左右方向に揺動させることとによって、該揺動中に該採血管81を周方向に回転(変動)させるものである。すなわち、支持溝部32の構造と採血管支持部材31を揺動させる機能とにより、光学コード読取装置25が採血管81のバーコード86を読み取るために必要な該採血管81の回転を発生させている。尚、揺動中に生じさせる採血管81の回転とは、該採血管81を周方向へ一周以上回すことだけでなく、一周未満に回すことも含む。
【0069】
前記採血管支持部材31の揺動により光学コード読取装置25が採血管81のバーコード86を読み取ると、図12に示すように、該採血管支持部材31が前記降下位置へ移動して、支持溝部32に支持されている採血管81が下方へ落下する。これにより、採血管81がテーブル15上のトレイ80内に入ると、該採血管81の重量が計測される。
一方、採血管支持部材31の揺動中に光学コード読取装置25が採血管81のバーコード86を読み取れない場合には、採血管支持部材31が前記基準位置で停止して、第一赤ランプ54が点灯する。採血作業者が第一赤ランプ54の点灯を確認すると、採血管81を取り出して再投入する等の作業を行って、再作動ボタン52を操作する。これにより、採血管支持部材31が再び揺動し、光学コード読取装置25が採血管81のバーコード86を読み取ると、前述と同様に、該採血管支持部材31が前記降下位置へ移動して該採血管81が落下する。
【0070】
採血管支持部材31の降下位置への移動に伴って、トレイ80に入った採血管81の重量をロードセル装置16が検出すると、該採血管81内の採血重量の情報と前記光学コード読取装置25により読み取った識別情報とが、前記採血管理サーバ2へ送信される。その後に、採血確認装置5では、採血管理サーバ2から採血評価情報を受信すると、該採血評価情報に応じて緑ランプ53、第一赤ランプ54、または第二赤ラップ55が点灯する。ここで、緑ランプ53が点灯した場合には、採血確認装置5に投入した採血管81が、正常な採血を実施したものと分かるため、採血作業者は、引き続き同一の被採血者に対して採血作業を実施して、必要な本数分の採血管81を同様に採血確認装置5に投入して、各採血管81が正常か否かを確認する。そして、被採血者に必要な本数の採血管81が全て正常となると、トレイ80を取り出す。一方、第一赤ランプ54または第二赤ランプ55が点灯した場合には、採血管81を取り出して、採血管81のラベル85を確認する作業や、不足分の血液を採血する作業を実施する。こうした一連の流れが、被採血者毎に実施される。
【0071】
このように本実施例の採血確認装置5によれば、採血管81を支持する採血管支持部材31を揺動させることで、該採血管81に貼付されたラベル85のバーコード86を正確かつ安定して読み取ることができる。そして、バーコード86から識別情報を読み取った後に、該ロードセル装置16へ移動させて採血重量を計測することにより、採血作業により得た採血管81に係る正確な情報(前記識別情報と採血重量の情報)を採血管理サーバ2へ送信できる。一方、採血管理サーバ2では、採血確認装置5から受信した前記情報に基づいて、識別情報の照合と採血量(採血重量)が必要な下限量に達しているか否かの判定とを正確に実施することができ、この結果を示す採血評価情報を採血確認装置5へ送信する。そして、採血確認装置5では、前記採血管理サーバ2から前記採血評価情報を受信すると、該採血評価情報を報知され、この報知によって、採血作業者は、採血確認装置5に投入した採血管81の識別情報が正しいか否かと、該採血管81の採血量が充足しているか否かとを、容易かつ正確に知得できる。
こうした本実施例の採血管理システム1にあって、採血した採血管81を採血確認装置5に投入することによって、比較的短時間で、前記識別情報の照合結果と採血量の判定情報(前記下限量に達しているか否か)とを正確に知得できる。そのため、採血量が不足していた場合には、当該被採血者に対して直ちに採血を追加したり再採血したりできる。このように本実施例の構成によれば、採血開始から終了までの一連の採血作業中に、前記採血評価情報を得ることができるから、従来のように採血作業を一旦終了した後に再採血のために被採血者を呼び出す必要が無く、再採血作業に要する時間と負担とを著しく軽減できる。そして、採血量不足により実施される再採血作業に対する被採血者の負担を軽減できると共に、再採血作業を要因とするトラブルも抑制することができる。
【0072】
さらに、採血確認装置5は、ロードセル装置16により採血実施後の採血管81の重量を測定して、この重量から該採血管81内の採血重量を取得するものであるから、該採血重量を正確かつ安定して計測できる。そして、採血管理サーバ2は、この採血重量が予め設定された前記下限重量値に達しているか否かを判定する。こうした本実施例の構成によれば、前述した従来の採血作業者による目視に比して、採血量が臨床検査に必要な量に達しているか否かを、高精度で判定できる。したがって、採血量の不足により臨床検査を実施できないという事態の発生を抑制でき、採血作業に対する不信感や医療機関に対するイメージ低下が生ずることを抑制できる。
【0073】
本実施例は、採血確認装置5の採血管投入口12から採血管81を投入することにより採血評価情報を取得できるものであることから、採血作業の流れとして、採血管81を前記採血管投入口12へ投入することが必須となる。そのため、採血管81を誤って廃棄BOXに廃棄してしまうヒューマンエラーの発生を抑制でき、この廃棄BOXへの誤廃棄により生ずる捜索作業の手間や時間を抑制できると共に、廃棄BOXに触れることで生ずる感染リスクを抑制することもできる。
【0074】
本実施例の採血確認装置5は、採血管81を周方向へ遊転可能に支持する採血管支持部材31を、該採血管81を支持した状態で左右方向へ揺動させることにより、該採血管81を検知位置に保ちつつ周方向へ回転(変動)させることができ、該採血管81のバーコード86を光学コード読取装置25によって読み取りできるようにしたものである。このように採血管支持部材31の揺動という比較的単純な動作で、該採血管支持部材31で支持した採血管81のバーコード86を読み取りできることから、前記光学コード読取装置25による該バーコード86の読み取りを正確かつ安定して実行できる。
また、採血確認装置5は、採血管支持部材31の揺動中に光学コード読取装置25がバーコード86を読み取りできない場合に、該揺動を中断して該読取不可を報知するようにしていることから、該報知によって採血作業者が読取不可を知ることができ、採血管81の再投入などの作業を行うことができる。これにより、バーコード86を読取できない採血管81がトレイ80に収容されてしまうことを防止できる。
また、採血確認装置5は、採血管投入口12から投入された採血管81の検出から、当該採血管81をトレイ80に収容して採血重量の計測に至る一連の作動を自動的に実行するものであるから、採血評価結果(採血量が充足しているか否か)を得るために要する採血作業者の負担を軽減できる。
【0075】
さらに、本実施例の採血確認装置5は、バーコード86を印刷したラベル85が貼付された採血管81を用いるものであることから、例えばRFIDタグを有するラベルに比して、採血管に要するコストを低減できるという利点がある。
【実施例0076】
実施例2の採血管理システム1は、採血確認装置5で、採血管81内の採血重量が採血管理サーバ2から取得した前記下限重量値(採血量の下限量情報)に達しているか否かの判定を実行するようにしたものである。
【0077】
この実施例2の採血確認装置5では、光学コード読取装置25が、採血管投入口12から投入された採血管81のバーコード86を読み取ると、該バーコード86から読み取った識別情報を、採血管理サーバ2へ送信する。採血管理サーバ2では、採血確認装置5から前記識別情報を受信すると、当該識別情報に基づいて、データベース3から前記採血検査情報を取得して、当該採血検査情報を含む判定用情報を採血確認装置5へ送信する。採血確認装置5では、採血管理サーバ2から前記判定用情報を受信すると、ロードセル装置16で測定した重量から算出した採血重量が、当該判定用情報に含まれる前記下限重量値に達しているか否かを判定し、その判定結果を前記ランプ53~55の点灯・点滅により報知する。
【0078】
尚、実施例2の構成にあっては、採血管理サーバ2が、採血確認装置5から受信した識別情報に基づいて判定用情報(下限重量値)を取得して、該判定用情報を該採血確認装置5へ送信する処理と、採血確認装置5が、採血管理サーバ2から受信した判定用情報の下限重量値を用いて採血重量の判定を実行する処理との他は前述の実施例1と同じであることから、同じ構成要素には同じ符号を記し、同じ構成要素と同じ処理内容とについては適宜説明を省略した。
【0079】
実施例2にあって、採血管81内の採血量を確認する一連の動作は、前記採血確認装置5による採血読取判定処理と、前記採血管理サーバ2による情報取得送信処理とにより実行される。これら採血読取判定処理と情報取得送信処理とを以下に説明する。
【0080】
図15に、採血確認装置5で実行される採血読取判定処理を示す。採血読取判定処理におけるS300~S325の各処理は、前述した実施例1の採血読取処理におけるS100~S125の各処理と夫々同じである。また、採血読取判定処理におけるS350~S360の各処理は、前述した実施例1の採血読取処理におけるS150~S160の各処理と夫々同じである。
【0081】
採血読取判定処理にあって、制御装置61は、採血管81のバーコード86から読み取った識別情報を含む信号を、光学コード読取装置25から入力すると(S325の肯定判定)、取得情報送信処理(S330)を実行する。この取得情報送信処理では、光学コード読取装置25から入力した識別情報を含む採血管取得情報を、前記した採血管理サーバ2へ送信する。
【0082】
さらに、制御装置61は、前記識別情報を含む信号を入力すると、降下作動処理を実行する(S340)。この降下作動処理は、前記した実施例1の降下作動処理(S130)と同じ処理である。
【0083】
前記降下作動処理による採血管支持部材31の降下位置への移動後に、ロードセル装置16から重量情報の信号を入力すると、重量検出処理(S370)を実行する。この重量検出処理は、前記した実施例1の重量検出処理(S140)と同じ処理である。
【0084】
制御装置61は、前記重量検出処理を実行すると、採血管理サーバ2から後述の判定用情報を受信したか否かを確認し(S375)、該判定用情報を受信している場合に採血量判定処理(S380)を実行する一方、該判定用情報を受信していない場合には該判定用情報を受信するまで待機する(S375)。
【0085】
前記した採血量判定処理(S380)では、採血管理サーバ2から受信した判定用情報に含まれる識別情報と前記下限重量値とを確認し、前記重量検出処理(S370)により算出した採血管81内の採血重量が、当該下限重量値に達しているか否かを判定する。ここで、採血管取得情報の重量情報が前記下限重量値に達しているか否かの判定とは、前述した実施例1と同様に、採血管81に採取された採血量が、充足している(前記下限量に達している)か不足している(前記下限量に達していない)かの判定である。そのため、前記重量情報が下限重量値に達していないという判定結果は、採血管81内の採血量不足を示す。
さらに、実施例2の採血量判定処理では、採血管81内の採血重量が前記下限重量値に達していた場合に、この判定結果を示す情報と前記識別情報とを含む情報を、採血管理サーバ2へ送信する。尚、採血管理サーバ2では、この情報を受信すると、正しく採血されたことを示す情報を、前記データベース3の採血マスタ情報に記憶する処理を行う(図示せず)。
【0086】
前記採血量判定処理により採血重量の判定後に、採血評価報知処理を実行する(S390)。この採血評価報知処理では、前記採血量判定処理(S380)による採血重量の判定結果と、前記判定用情報に含まれる識別情報の照合結果とを確認し、これら結果に応じて、ランプ53~55を点灯・点滅させる。具体的には、前述の実施例1と同様に、識別情報の照合結果が正判定を示し且つ採血量の判定情報が該採血量の充足を示すものであった場合には、前記緑ランプ53を点灯させ、前記識別情報の判定結果が否判定を示すものであった場合には、第一赤ランプ54を点滅させ、前記採血量の判定情報が該採血量の不足を示すものであった場合には、第二赤ランプ55を点滅させる。
【0087】
一方、図16に、前記採血管理サーバ2で実行される情報取得送信処理を示す。この情報取得送信処理では、採血確認装置5から前記採血管取得情報を受信すると、該採血管取得情報に含まれる識別情報を確認し、当該識別情報に従って、データベース3に登録された被採血者の採血マスタ情報を読み込む(S400~S405)。ここで、データベース3には、前述した実施例1と同様に、医師や看護師などによりオーダーされた被採血者の識別情報と採血検査情報とが被採血者毎に採血マスタ情報として記憶されている。そして、採血検査情報には、採血により実施される臨床検査の情報と、各臨床検査に夫々用いられる採血管81の本数情報と、各採血管81に採取すべき採血量の下限量を示す情報(前記した下限重量値)とが含まれる。
【0088】
データベース3から採血マスタ情報を読み込むと、識別情報判定処理(S410)を実行する。この識別情報判定処理は、前記した実施例1の識別情報判定処理(S210)と同じ処理である。
【0089】
この後、判定用情報送信処理(S420)を実行し、前記識別情報判定処理による判定結果(識別情報の照合結果)と前記採血マスタ情報の採血検査情報(採血量の下限重量値)とを含む判定用情報を、前記採血確認装置5へ送信する。
【0090】
こうした実施例2の採血管理システム1にあって、採血確認装置5の使用態様は、前述した実施例1と同様である。したがって、実施例2の採血確認装置5にあっても、前述した実施例1と同様の作用効果を奏し得る。そして、実施例2の採血管理システムにあっても、前述した実施例1と同様の作用効果を奏し得る。
【実施例0091】
実施例3の採血管理システム1は、採血確認装置5で採血管81内の採血重量が前記下限重量値(採血量の下限量情報)に達しているか否かの判定を実行するようにしたものであり、該下限重量値が、採血作業の直前に所定の採血作業準備装置(図示せず)により取得された識別情報に基づいて、採血管理サーバ2から採血確認装置5へ送信されるものである。
【0092】
採血室には、採血作業の直前に、採血管81のラベル85から被採血者の識別情報を読み取ると共に、採血作業者の名札等から該採血作業者の識別情報を読み取るための採血作業準備装置(図示せず)が設置されている。この採血作業準備装置は、前記採血管理サーバ2と通信ケーブルを介して通信可能に接続されている。この採血作業準備装置は、前記採血管81のラベル85に印刷されたバーコード86を読取可能な光学コード読取装置と、該光学コード読取装置により読み取った識別情報を採血管理サーバ2へ送信する情報送信装置とを備える。ここで、採血作業者の名札には、該採血作業者の識別情報を記憶したバーコードが印刷されており、採血作業準備装置の光学コード読取装置は、採血作業者の名札から該採血作業者の識別情報を読取可能である。そして、採血作業準備装置は、採血管81から読み取った被採血者の識別情報と採血作業者の名札から読み取った該採血作業者の識別情報とを含む採血実施情報を、前記情報送信装置により採血管理サーバ2へ送信する。尚、こうした採血作業準備装置は、従前から公知の構成を適用できることから、詳細を省略する。
【0093】
実施例3の採血管理サーバ2では、採血作業の直前に前記採血作業準備装置から送信された前記採血実施情報を受信すると、該採血実施情報の識別情報に基づいて、データベース3から前記採血検査情報を取得して、当該採血検査情報を含む判定用情報を採血確認装置5へ送信する。採血確認装置5では、採血管理サーバ2から判定用情報を受信すると、当該判定用情報に含まれる識別情報と下限重量値(採血量の下限量情報)とを取得して記憶する。ここで、採血管理サーバ2が、採血作業の直前に採血作業準備装置で読み取られた識別情報(採血実施情報)に基づいて、判定用情報を採血確認装置5へ送信することから、通常、採血確認装置5では、採血管81が投入される前に、該判定用情報を受信できる。さらに、採血確認装置5は、ロードセル装置16により採血管81の重量を測定すると、当該から算出した採血重量が、前記採血管理サーバ2から受信した前記判定用情報の前記下限重量値に達しているか否かを判定し、その判定結果を前記ランプ53~55の点灯・点滅により報知する。
【0094】
尚、実施例3の構成にあっては、採血管理サーバ2が、採血作業準備装置から受信した採血実施情報に基づいて判定用情報(下限重量値)を取得して、該判定用情報を採血確認装置5へ送信する処理と、該採血確認装置5が、採血管理サーバ2から受信した判定用情報の下限重量値を用いて採血重量の判定を実行する処理との他は前述した実施例1,2と同じであることから、同じ構成要素には同じ符号を記し、同じ構成要素と同じ処理内容とについては適宜説明を省略した。
【0095】
実施例3にあって、採血管81内の採血量を確認する一連の動作は、前記採血確認装置5による採血読取判定処理と、前記採血管理サーバ2による情報取得送信処理とにより実行される。これら採血読取判定処理と情報取得送信処理とを以下に説明する。
尚、採血確認装置5は、前記採血作業準備装置から送信された前記採血実施情報を受信して、該採血実施情報から識別情報と下限重量値とを取得する処理を備える構成である。この採血実施情報を受信する処理は、情報受信用の一般的な処理を適用できることから、その詳細は省略する。
【0096】
図17に、採血確認装置5で実行される採血読取判定処理を示す。採血読取判定処理におけるS500~S560の各処理は、前述した実施例1の採血読取処理におけるS100~S160の各処理と夫々同じである。
【0097】
制御装置61は、前記S540(重量検出処理)の次に、採血量判定処理(S570)を実行する。この採血量判定処理(S570)では、採血管理サーバ2から受信した判定用情報に含まれる識別情報を確認し、当該識別情報と、光学コード読取装置25から入力した識別情報とを照合し、一致するか否かを判定する。そして、識別情報を一致判定した場合に、前記判定用情報に含まれる前記下限重量値を確認し、前記重量検出処理(S540)により算出した採血管81内の採血重量が、当該下限重量値に達しているか否かを判定する。こうした判定と該判定により得られる結果とは、前述した実施例1,2と同じである。
さらに、実施例3の採血量判定処理では、前述した実施例2の採血量判定処理と同様に、採血管81内の採血重量が前記下限重量値に達していた場合に、この判定結果を示す情報と前記識別情報とを含む情報を、採血管理サーバ2へ送信する。尚、採血管理サーバ2では、この情報を受信すると、正しく採血されたことを示す情報を、前記データベース3の採血マスタ情報に記憶する処理を行う(図示せず)。
【0098】
前記採血量判定処理による採血重量の判定後に、採血評価報知処理を実行する(S580)。この採血評価報知処理では、前記採血量判定処理(S570)による採血重量の判定結果と識別情報の照合結果とを確認し、これら結果に応じて、ランプ53~55を点灯・点滅させる。具体的には、前述の実施例1,2と同様に、識別情報の照合結果が正判定を示し且つ採血量の判定情報が該採血量の充足を示すものであった場合には、前記緑ランプ53を点灯させ、前記識別情報の判定結果が否判定を示すものであった場合には、第一赤ランプ54を点滅させ、前記採血量の判定情報が該採血量の不足を示すものであった場合には、第二赤ランプ55を点滅させる。
【0099】
一方、図18に、前記採血管理サーバ2で実行される情報取得送信処理を示す。この情報取得送信処理では、前記した採血作業準備装置(図示せず)から前記採血実施情報を受信すると、該採血実施情報に含まれる識別情報を確認し、当該識別情報に従って、データベース3に登録された被採血者の採血マスタ情報を読み込む(S600~S605)。ここで、データベース3には、前述した実施例1,2と同様に、医師や看護師などによりオーダーされた被採血者の識別情報と採血検査情報とが被採血者毎に採血マスタ情報として記憶されている。そして、採血検査情報には、採血により実施される臨床検査の情報と、各臨床検査に夫々用いられる採血管81の本数情報と、各採血管81に採取すべき採血量の下限量を示す情報(前記した下限重量値)とが含まれる。
【0100】
データベース3から採血マスタ情報を読み込むと、マスタ情報更新処理(S610)を実行する。このマスタ情報更新処理では、データベース3から読み込んだ採血マスタ情報に、前記採血作業準備装置から受信した採血実施情報に含まれる採血作業者の識別情報を追加して、該データベース3の採血マスタ情報を更新する。
【0101】
この後、判定用情報送信処理(S620)を実行し、前記S605で取得した採血マスタ情報の被採血者の識別情報と採血検査情報(採血量の下限重量値)とを含む判定用情報を、前記採血確認装置5へ送信する。
【0102】
こうした実施例3の採血管理システム1にあって、採血確認装置5の使用態様は、前述した実施例1,2と同様である。したがって、実施例3の採血確認装置5にあっても、前述した実施例1,2と同様の作用効果を奏し得る。そして、実施例3の採血管理システムにあっても、前述した実施例1,2と同様の作用効果を奏し得る。
【0103】
前述した実施例1~3にあって、採血管81にラベル85のバーコード86が、本発明にかかる情報記憶手段に相当する。
実施例1~3の採血管理サーバ2とデータベース3とにより、本発明にかかる採血管理装置が構成されている。
実施例1にあって、採血管理サーバ2で実行される採血評価処理のS205およびS210により、第一発明にかかる採血量判定手段が構成され、該採血管理サーバ2で実行される採血評価処理のS225により、第一発明にかかる評価情報送信手段が構成されている。
実施例2にあって、採血管理サーバ2が採血確認装置5から採血管取得情報を受信すること(情報取得送信処理におけるS400の肯定判定)が、第二発明にかかる閾値情報取得条件に相当し、実施例3にあって、採血管理サーバ2が採血作業準備装置から採血実施情報を受信すること(情報取得送信処理におけるS600の肯定判定)が、第二発明にかかる閾値情報取得条件に相当する。
実施例2にあって、採血管理サーバ2で実行される情報取得送信処理のS420が、第二発明にかかる判定用情報送信手段に相当し、実施例3にあって、採血管理サーバ2で実行される情報取得送信処理のS620が、第二発明にかかる判定用情報送信手段に相当する。
実施例2にあって、採血確認装置5で実行される採血読取判定処理のS380が、第二発明にかかる採血量判定手段に相当し、実施例3にあって、採血確認装置5で実行される採血読取判定処理のS570が、第二発明にかかる採血量判定手段に相当する。
実施例1~3の下限重量値が、本発明にかかる閾重量値に相当する。
実施例1にあって、制御装置61(採血読取処理のS140)、ロードセル装置16、およびテーブル15により、第一発明にかかる採血重量計測手段が構成されている。また、実施例2にあって、制御装置61(採血読取判定処理のS370)、ロードセル装置16、およびテーブル15により、第二発明にかかる採血重量計測手段が構成されている。
実施例3にあって、制御装置61(採血読取判定処理のS540)、ロードセル装置16、およびテーブル15により、第二発明にかかる採血重量計測手段が構成されている。
実施例1~3の制御装置61により、本発明にかかる取得情報送信手段が構成されている。
実施例1~3の制御装置61、緑ランプ53、第一赤ランプ54、および第二赤ランプ55により、本発明にかかる評価情報報知手段が構成されている。
実施例1~3の光学コード読取装置25、制御装置61、採血管支持部材31(回動軸42と連結部材46とを含む)、および駆動装置41とより、本発明にかかる情報読取手段が構成されている。
実施例1~3の制御装置61、採血管支持部材31(回動軸42と連結部材46とを含む)、および駆動装置41とより、本発明にかかる支持変動手段が構成されている。
実施例1~3の光学コード読取装置25が、本発明にかかる光学コード読取手段に相当する。
実施例1~3にあって、採血管支持部材31を基準位置とする状態と左右の揺動位置間で揺動させる状態とが、本発明にかかる支持状態に相当し、該採血管支持部材31を降下位置とする状態が、本発明にかかる降下状態に相当する。
実施例1の制御装置61(採血読取処理のS120およびS130)および駆動装置41と、実施例2の制御装置61(採血読取処理のS320およびS340)および駆動装置41と、実施例3の制御装置61(採血読取処理のS520およびS530)および駆動装置41とが、本発明にかかる駆動手段に相当する。
実施例1~3のロードセル装置16が、本発明にかかる重量測定手段に相当する。
実施例1にあって、制御装置61で実行される採血読取処理のS115~S120が、本発明の揺動制御処理に相当し、実施例2にあって、制御装置61で実行される採血読取判定処理のS315~S320が、本発明の揺動制御処理に相当し、実施例3にあって、制御装置61で実行される採血読取判定処理のS515~S520が、本発明の揺動制御処理に相当する。
実施例1~3にあって、在管検出センサ26による採血管81の検出が、本発明にかかる検出開始条件に相当する。
実施例1にあって、制御装置61で実行される採血読取処理のS125~S130が、本発明の降下作動処理に相当し、実施例2にあって、制御装置61で実行される採血読取処理のS325およびS340が、本発明の降下作動処理に相当し、実施例3にあって、制御装置61で実行される採血読取処理のS525およびS530が、本発明の降下作動処理に相当する。
実施例1にあって、制御装置61で実行される採血読取処理が、本発明にかかる作動制御手段に相当し、実施例2にあって、制御装置61で実行される採血読取判定処理が、本発明にかかる作動制御手段に相当し、実施例3にあって、制御装置61で実行される採血読取判定処理が、本発明にかかる作動制御手段に相当する。
【0104】
本発明にあっては、前述した実施例に限定されるものではなく、上述の実施例1~3以外の構成についても本発明の趣旨の範囲内で適宜変更して実施可能である。
例えば、実施例1~3では、採血確認装置5に制御装置61が配設された構成であるが、これに限らず、この制御装置を採血確認装置5と別体として、情報(データや信号)を送るケーブルを介して接続された構成としても良い。ここで、別体の制御装置は、採血確認装置5を専用に制御するものであっても良いし、他の機器の制御も実施できるものであっても良い。
【0105】
実施例1~3では、採血確認装置5が、採血管支持部材31(回動軸42と連結部材46とを含む)を駆動装置41(ステッピングモータ43とベルト機構44)により揺動させる構成であるが、これに限らず、該揺動させる機構は適宜変更して適用することも可能である。例えば、採血管支持部材31を左右方向に進退移動する機構を用いることができる。
また、実施例1~3では、採血管支持部材31を降下位置へ移動させることにより採血管81をトレイ80に落下させる構成であるが、これに限らず、例えば、左右に分割された採血管支持部材を用いて、左右に離間させることにより採血管81を落下させる構成が適用できる。
【0106】
実施例1~3では、採血管支持部材31を揺動させることにより採血管81を周方向に回転(変動)させるようにした構成であるが、これに限らず、該採血管81を周方向に変動させる機構は適宜変更することが可能である。例えば、採血管81の外表面に当接するローラを配設し、該ローラの回動によって採血管81を周方向に回転させる構成が適用できる。
【0107】
実施例1では、採血確認装置5の制御装置61が、ロードセル装置16により測定した重量(採血実施後の採血管81の重量)から、採血管81内の血液のみの採血重量を算出して、採血管理サーバ2へ送信するようにした構成であるが、これに限らず、例えば、制御装置61が、ロードセル装置16により測定した重量(採血実施後の採血管81の重量)をそのまま送信する構成であっても良い。この構成では、採血管理サーバ2が、データベース3に予め記憶された採血管81のみの重量データを用いて、採血確認装置5から受信した重量情報から採血重量を算出する機能を有するものとする。又は、データベース3に、採血管81の重量と採血量の下限重量値とを加算した値が、閾重量値として設定されている構成としても良い。
また、ロードセル装置16が採血管81内の採血重量を測定できる構成とし、制御装置61が、該ロードセル装置16で測定した該採血重量の情報を採血管理サーバ2へ送信する構成としても良い。この構成では、ロードセル装置16を、前記採血重量を直接測定できるように制御する機能を要する。例えば、採血重量の測定後に、ゼロバランスを取る制御を実行するようにする。
【0108】
同様に、実施例2,3にあっても、データベース3に、採血管81の重量と採血量の下限重量値とを加算した値が、閾重量値として設定されている構成とし、採血確認装置5の制御装置61が、採血管理サーバ2から受信した該閾重量値によって、ロードセル装置16により測定した重量(採血実施後の採血管81の重量)を判定する構成とすることもできる。
また、実施例2,3にあって、ロードセル装置16が採血管81内の採血重量を測定できる構成とし、制御装置61は、該ロードセル装置16で測定した該採血重量が、採血管理サーバ2から受信した下限重量値に達したか否かを判定する構成としても良い。
【0109】
実施例1では、採血管理サーバ2から受信した採血評価情報に応じて緑ランプ53、第一赤ランプ54、または第二赤ランプ55を点灯させることによって、該採血評価情報を報知する構成であるが、これに限らず、ランプの配設個数やランプの種類は適宜変更することが可能である。例えば、相互に異なる発光態様(発光色、点滅など)を実行可能な一又は複数のランプを備え、該ランプの発光態様に応じて、採血評価情報を報知するようにしても良い。また、ランプと異なる報知手段により採血評価情報を報知する構成とすることもできる。例えば、採血評価情報を表示するモニタを備えた構成、該採血評価情報を音声により発生するスピーカを備えた構成、該採血評価情報を印刷するプリンタを備えた構成とすることが可能である。
同様に、実施例2,3にあっても、ランプの配設個数やランプの種類は適宜変更可能であると共に、ランプと異なる報知手段により採血評価情報を報知する構成とすることもできる。
【0110】
実施例1~3では、採血確認装置5が、バーコード86を印刷したラベルが貼付された採血管81を、対象とした構成であるが、これに限らず、QRコード(登録商標)などの二次元コードを印刷したラベルが貼付された採血管を、対象とする構成であっても良い。この構成では、前記二次元コードを読み取り可能な光学コード読取装置を備えることによって、実現できる。また、RFIDタグを有するラベルが貼付された採血管を、対象とする構成とすることも可能である。この構成の採血確認装置は、RFIDタグから情報を読み取り可能な読取装置を備える一方、採血管支持部材を揺動する機能を必要としない(基準位置から降下位置へ変動させる機能は必要)。こうしたいずれの構成にあっても、二次元コートまたはRFIDタグに記憶された識別情報を読み取りできることから、前述した実施例と同様の作用効果を奏し得る。
【0111】
実施例3では、採血管理サーバ2が、採血作業の直前に採血作業準備装置から送信された採血管81の識別情報に基づいて、採血確認装置5へ判定用情報(採血量の下限重量値)の情報を送信するようにしたものであるが、これに限らず、例えば、病院や健診機関の受付窓口で被採血者の識別情報を取得すると、該受付窓口に設置した装置から採血管理サーバ2へ該識別情報を送信し、これに伴って該採血管理サーバ2から採血確認装置5へ判定用情報を送信する構成とすることもできる。又は、採血が予約された場合に、予約した日時に基づいて、採血作業前の所定タイミング(例えば、予約日の採血作業開始時間前)で採血管理サーバ2が自動で判定用情報を送信する構成としても良い。
【0112】
実施例1~3では、主に外来採血に適した運用について説明したが、これに限らず、入院採血での運用も可能である。例えば、入院採血では、一般的に、各病室で採血を実施して、その採血管が中央検査室へ移送されることから、該中央検査室の受付窓口に、本実施例の採血確認装置5を設置する。そして、中央検査室の受付窓口で各病室から移送された採血管を対象とする識別情報および採血量の確認を、採血確認装置5(採血管理システム1)を用いて実施する。尚、実施例3の構成を入院採血に適用する場合には、採血作業者が携帯用の採血作業準備装置を用いて採血管81から識別情報を読み込むようにすることで実現できる。
このように実施例実施例1~3の構成は、入院採血に適した運用も可能であり、臨床検査前に採血量が充足しているか否かを正確かつ容易を知得できる。
【符号の説明】
【0113】
1 採血管理システム
2 採血管理サーバ
3 データベース
5 採血確認装置
12 採血管投入口
15 テーブル
16 ロードセル装置
31 採血管支持部材
80 トレイ
81 採血管
85 ラベル
86 バーコード
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