IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 積水ハウス株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-足場取付金具 図1
  • 特開-足場取付金具 図2
  • 特開-足場取付金具 図3
  • 特開-足場取付金具 図4
  • 特開-足場取付金具 図5
  • 特開-足場取付金具 図6
  • 特開-足場取付金具 図7
  • 特開-足場取付金具 図8
  • 特開-足場取付金具 図9
  • 特開-足場取付金具 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022114750
(43)【公開日】2022-08-08
(54)【発明の名称】足場取付金具
(51)【国際特許分類】
   E04G 3/00 20060101AFI20220801BHJP
【FI】
E04G3/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021011171
(22)【出願日】2021-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(72)【発明者】
【氏名】林 譲治
(57)【要約】
【課題】足場取付金具を取り外すことなく開口部を解放でき、足場取付金具を取り付けた状態で、防火被覆工事及び界壁工事を行うことができる、開口部を形成する梁と、足場取付金具と、の接続構造を提供すること。
【解決手段】H形鋼からなる梁2により形成される開口部7に足場を仮設する金具であって、梁2に固定する取付穴111を有する取付部11と、取付部11の一端から直角に折れ曲がる下垂部12と、下垂部12の下端から開口部7側に直角に折れ曲がる支持部13と、支持部13の両側に設ける側板部14と、を有する足場取付金具1を、梁2の下フランジ21の下面に取付部11の上面が面するように、下フランジ21に設けた金具取付穴211と、取付穴111と、を重ね、金具取付穴211と、取付穴111と、にボルト3を挿入して一点を連結固定したことを特徴とする梁2と、足場取付金具1と、の接続構造。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物を構成する2つの平行するH形鋼からなる梁の間に形成される開口部に足場を仮設するための金具であって、前記梁に固定する取付穴を有する取付部と、前記取付部の一端から直角に折れ曲がる下垂部と、前記下垂部の下端から前記開口部側に直角に折れ曲がる支持部と、前記支持部の両側に設ける側板部と、を有する足場取付金具を、前記梁の下フランジの下面に前記取付部の上面が面するように、前記下フランジに設けた金具取付穴と、前記取付穴と、を一致させてから、前記足場取付金具が前記梁に対して回転自在となるように、前記金具取付穴と、前記取付穴と、にボルトを挿入して連結固定したことを特徴とする前記梁と、前記足場取付金具と、の接続構造。
【請求項2】
前記取付部の端縁から前記取付穴の中心までの長さが、前記梁の前記下フランジの前記開口部側縁から前記金具取付穴の中心までの長さよりも短いことを特徴とする請求項1に記載の足場取付金具。
【請求項3】
前記下垂部の長さが、前記支持部に載せる仮設梁の高さと、該仮設梁の上面に載せる仮設床板の厚さと、の合計長さよりも長いことを特徴とする請求項1又は2に記載の足場取付金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の開口部を形成する梁であるH形鋼と、開口部に仮設足場を設けるための足場取付金具と、の接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物の組立工事の際に、エレベーターシャフトなどの開口部は、単管パイプ及び板材を組み立て、足場を設けているが、組立て作業及び撤去作業に時間と手間が掛かるため、非特許文献1及び非特許文献2に記載される足場取付金具を用いている。非特許文献1及び非特許文献2に記載される足場取付金具は、開口部に向かい合わせになるように2個の足場取付金具を開口部の縁の上面に引っ掛けるように載置固定され、一定間隔で横並びになるように多数取り付けられる。そして、仮設足場の梁となる仮設梁の両端を向かい合う足場取付金具に載せ、仮設梁の上面に、仮設足場となる仮設床板を載置固定することで仮設足場が設けられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】登録実用新案第3061448号公報
【非特許文献2】実開平2-27460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、緊急時、開口部を形成する梁であるH形鋼の防火被覆工事時及び開口部内の界壁工事時には、開口部を開放する必要があり、仮設床板と、仮設梁と、開口部に向かい合うようにして多数取り付けられている非特許文献1又は非特許文献2に記載される足場取付金具と、を撤去する必要がある。多数取り付けられている非特許文献1又は非特許文献2に記載される足場取付金具を撤去するためには時間と手間が掛かり、撤去作業時には上階の開口部から足場取付金具を落下させるリスクを伴う。また、非特許文献1又は非特許文献2に記載の足場取付金具を撤去した後に、仮設足場が必要になった場合には、再度、足場取付金具の取り付けを行う必要がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、足場取付金具を取り外すことなく開口部を解放でき、足場取付金具を取り付けた状態で、開口部内の防火被覆工事及び開口部内の界壁工事を行うことができるようになされた、開口部を形成する梁と、足場取付金具と、の接続構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明に掛かる梁と、足場取付金具と、の接続構造は、建築物を構成する2つの平行するH形鋼からなる梁の間に形成される開口部に足場を仮設するための金具であって、前記梁に固定する取付穴を有する取付部と、前記取付部の一端から直角に折れ曲がる下垂部と、前記下垂部の下端から前記開口部側に直角に折れ曲がる支持部と、前記支持部の両側に設ける側板部と、を有する足場取付金具を、前記梁の下フランジの下面に前記取付部の上面が面するように、前記下フランジに設けた金具取付穴と、前記取付穴と、を一致させてから、前記足場取付金具が前記梁に対して回転自在となるように、前記金具取付穴と、前記取付穴と、にボルトを挿入して連結固定したことを特徴とする。
【0007】
さらに、前記足場取付金具は、前記取付部の端縁から前記取付穴の中心までの長さが、前記梁の前記下フランジの前記開口部側縁から前記金具取付穴の中心までの長さよりも短いことを特徴とする。
【0008】
さらに、前記足場取付金具は、前記下垂部の長さが、前記支持部に載せる仮設梁の高さと、該仮設梁の上面に載せる仮設床板の厚さと、の合計長さよりも長いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る梁と、足場取付金具と、の接続構造によると、開口部を形成する梁であるH形鋼の下フランジの下面に足場取付金具がボルト及びナットによって一点で取り付け固定されるため、ナットを緩めることで足場取付金具は、取付穴を中心として水平に回転することが可能であり、開口部に足場を仮設した後に、開口部を開放する必要があるときは、足場取付金具の支持部に載せる仮設梁と、仮設梁の上面に載せる仮設床板と、を撤去し、H形鋼の下フランジに足場取付金具を固定するナットを緩め、取付穴を中心として、足場取付金具を水平に180度回転させることで、足場取付金具をH形鋼から取り外すことなく開口部を開放することができる。
【0010】
さらに、開口部を形成する梁であるH形鋼の下フランジに足場取付金具を固定するナットを緩めて、H形鋼に取り付けた足場取付金具を水平に180度回転させた状態のとき、足場取付金具がH形鋼の下フランジより開口部側にはみ出すことがないため、足場取付金具をH形鋼から取り外すことなく開口部内の界壁工事を行うことができる。
【0011】
さらに、足場取付金具に仮設梁と、仮設床板を載置したときに、開口部を形成する梁であるH形鋼の下フランジと、仮設足場である仮設床板の上面と、に隙間が形成される。H形鋼と、仮設足場の上面と、の隙間に防火被覆材及び腕を通すことができ、足場取付金具を用いて仮設した足場を撤去することなくH形鋼の防火被覆工事を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る足場取付金具を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る足場取付金具を用いて仮設足場を設ける様子を示す斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る足場取付金具を用いて各階に貫通するエレベータシャフト開口部に仮設足場を設ける様子を示す一部断面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る梁と足場取付金具の接続構造及び取付穴の位置を示す一部断面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る足場取付金具をH形鋼に取り付けた状態で、足場取付金具を水平に180度回転させる様子を示す一部断面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る下フランジの下面と、仮設床板の上面と、の隙間の様子を示す一部断面図である。
図7】本発明の一実施形態に係るH形鋼に防火被覆工事を実施する様子を示す斜視図である。
図8】本発明の一実施形態に係るH形鋼に防火被覆工事を実施した後の様子を示す一部断面図である。
図9】本発明の一実施形態に係るH形鋼に防火被覆工事を実施した後に、H形鋼に取り付けた足場取付金具を水平に180度回転した様子を示す一部断面図である。
図10】本発明の一実施形態に係る界壁工事の様子を示す一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る足場取付金具の一実施形態について、以下、図面を参照しつつ説明する。本実施形態に係る足場取付金具1は、図1に示すように、取付穴111を1つ備える板状部材である取付部11と、取付部11の一端から垂直下方向へ折れ曲がる下垂部12と、下垂部12の下端から開口部側に向かって直角に折れ曲がる支持部13と、支持部13の両側に垂直に設けられる板状部材の側板部14と、を有し、取付部11、下垂部12及び支持部13は、一枚の長尺な鉄板に折り曲げ加工を施すことで形成される。また、側板部14は、支持部13の両側に溶接によって取り付けられる。一実施形態では側板部14を溶接によって支持部13の両側に取り付けているが、一枚の鉄板に折り曲げ加工を施すことで取付部11、下垂部12、支持部13及び側板部14を形成しても良い。
【0014】
図2に示すように、足場取付金具1は、2個の足場取付金具1を開口部7を挟んで一直線上に向き合うように、開口部7を形成する梁である2つの平行するH形鋼2に取り付け固定される。また、400mmから500mmピッチで横に並ぶように取り付けられ固定される。開口部7を挟んで一直線上に向き合う2個の足場取付金具1の図1に示す支持部13に、仮設足場の梁となる仮設梁5の両端を載置させる。支持部13の上に載置された仮設梁5は、図1に示す側板部14によって挟まれるため、仮設梁5の両端を支持部13に載置するだけで、仮設梁5は支持部13から滑り落ちることはない。そして、仮設梁5の上に仮設足場となる仮設床板6を載置し、仮設床板6と、仮設梁5と、にビス65を打つことで仮設床板6を固定し、仮設足場が設けられる。仮設床板6は必ず2本以上の仮設梁5に跨ぐように載置される。
【0015】
本発明に係る足場取付金具の一実施形態では、図3に示すように、足場取付金具1は、複数階に施工されるエレベータシャフト開口部7に仮設足場を設けるために用いられ、まず、1階床71から脚立7aを用いて、2階開口部7を形成する梁であるH形鋼72aに足場取付金具1を取り付け固定し、仮設梁5及び仮設床板6を用いて2階仮設足場72bを設ける。次に、2階仮設足場72bから脚立7aを用いて、3階仮設足場73bを設ける。同様に下階から上階に向かって仮設足場を設けていく。下階から上階の仮設足場を設けることができるのは、図6に示すように、足場取付金具1がH形鋼2の下フランジ21の下面に取り付け固定するためであって、仮設足場を設けるために開口部7まわりの床を足場として、下を向いて作業することがないため、開口部7から落下するリスクを軽減できる。
【0016】
図4が示すように、H形鋼2は、下フランジ21の開口部7側に金具取付穴211を有しており、金具取付穴211は、450±50mmピッチでH形鋼の長尺方向に備えられている。金具取付穴211の下に取付穴111を重ね、金具取付穴211及び取付穴111に1本のボルト3を挿通させ、取付穴111から飛び出したボルト3の先端からナット4を締め付けることで、H形鋼2の下フランジ21の下面に足場取付金具1を取り付け固定している。また、取付穴111は、取付部11の端縁112から取付穴111の中心までの長さ111dは、下フランジ21の開口部側縁212から金具取付穴211の中心までの長さ211dより短くなる位置に設けられている。取付部11の端縁112とは、取付金具1を用いて仮設足場を設けたとき、取付部11の開口部7の外側に位置する一端である。一実施形態ではボルト3を下フランジ21の上面から金具取付穴211及び取付穴111に挿通させ、取付部11の下面からナット4で締め付けているが、状況に応じてボルト3を取付部11の下面から上方に向かって金具取付穴211及び取付穴111に挿通させ、下フランジ21の上面からナット4で締め付けても良い。また、一実施形態では、金具取付穴211は、450±50mmピッチでH形鋼の長尺方向に備えられているが、想定される仮設足場に掛かる荷重に対して、仮設足場の耐荷重が上回るように一定間隔で設けられる。
【0017】
図5が示すように、足場取付金具1は、H形鋼2の下フランジ21の金具取付穴211と、取付部11の取付穴111と、を取付部11の上面が下フランジ21の下面に面するように重ね、一組のボルト3及びナット4によって取り付け固定されるため、ナット4を緩めることで、取付穴111を中心として、足場取付金具1を水平に回転させることが可能である。よって、開口部7に仮設足場を設けた後に、開口部7を開放する必要があれば、仮設床板6及び仮設梁5を撤去し、ナット4を緩め、取付穴111を中心として、足場取付金具1を水平に180度回転させることで、開口部7を開放でき、足場取付金具1を撤去する必要がないため、足場取付金具を撤去する時間を短縮できる。
そして、ふたたび仮設足場が必要となったときは、取付穴111を中心として、足場取付金具1を180度回転させ、ナット4を締め、仮設梁5及び仮設床板6を設置することで、仮設足場を復旧させることができるため、足場取付金具を取り付ける時間を短縮できる。また、取付穴111は、取付部11の端縁112から取付穴111の中心までの長さ111dは、下フランジ21の開口部側縁212から金具取付穴211の中心までの長さ211dより短くなる位置に設けられているため、取付穴111を中心として、足場取付金具1を水平に180度回転させたときに、取付部11が下フランジ21より開口部7側に飛び出すことがない。よって、足場取付金具1をH形鋼2に取り付けた状態で、開口部7内の界壁工事が施工可能である。
【0018】
図6に示すように、足場取付金具1の支持部13に載せる仮設梁5の高さと、仮設梁5に載せる仮設床板6の厚みの合計高さより、下垂部12は長尺である。そのため、仮設床板6の上面の高さが、下フランジ21の下面より低くなり、下フランジ21の下面と、仮設床板6の上面と、の隙間216ができる。一実施形態では仮設梁5の高さは90mmであり、仮設床板6の厚さは10mmであり、下フランジ21の下面と、仮設床板6の上面と、の隙間216が100mmから200mmになるように下垂部12を形成している。下フランジ21の下面と、仮設床板6の上面と、の隙間216は、防火被覆材を通すことができ、防火被覆工事時に作業できるように腕が通る100mmから200mmとしている。これにより、下フランジ21の下面と、仮設床板6の上面と、の隙間216に防火被覆材及び腕を通すことができ、仮設足場を設けた状態で、H形鋼2の界壁工事が施工可能である。用いる仮設梁の高さ、仮設床板の厚み及び防火被覆材の厚みによって、下フランジの下面と、仮設床板の上面と、の隙間の長さと、下垂部の長さと、は考慮しておく必要があり、必要に応じて下垂部の長さを変更する。
【0019】
次に、防火被覆工事の施工について、図3図7及び図8を参照し、3階開口部の防火被覆工事を代表例として説明する。図7に示すように、防火被覆工事は、ロックウール素材で柔軟性があり厚みがある布状の1枚の防火被覆8を梁である3階床H形鋼73aの上フランジ上面以外を包み込むように巻き付ける工事であって、3階床H形鋼73aが露出しないように防火被覆8に覆われるように、3階床H形鋼73aの長尺方向に複数枚の防火被覆8を巻き付けるように施工される。まず、図3に示すように、2階床72に立てた脚立7bを用いて、3階床H形鋼73aの開口部外側24の防火被覆工事を施工する。図8に示すように、3階床73の下面に防火被覆材8が掛かるようにし、図7に示すように防火被覆材8の半分を3階床H形鋼73aの開口部外側24に巻き付け、図示しない固定ピンを防火被覆材8の上から電気溶接することによって、防火被覆材8を3階床H形鋼73aの開口部外側24に固定する。次に、図3に示すように、3階仮設足場73bを足場として、3階床H形鋼73aの開口部内側23の防火被覆工事を施工する。図7に示すように、防火被覆材8の固定されていない半分を、3階仮設足場73bと、3階床H形鋼73aと、の隙間216に通し、3階床H形鋼73aの開口部内側23に巻き付け、図示しない固定ピンを防火被覆材8の上から電気溶接することによって、防火被覆材8を3階床H形鋼73aの開口部内側23に固定する。このとき、足場取付金具1が取り付けられている箇所は、足場取付金具1に干渉する防火被覆材8を防火被覆材パーツ8aとして切り取り、防火被覆材8を3階床H形鋼73aの開口部内側23から被せる。そして、図8に示すように、防火被覆材パーツ8aを足場取付金具1の下垂部12を挟み込むようにして図示しない固定ピンを防火被覆材8の上から電気溶接し固定する。よって、仮設足場を設けた状態で、H形鋼2の界壁工事が施工可能であり、仮設足場の撤去による作業時間を短縮でき、開口部7から落下するリスクを無くすことができる。他階についても同様に施工される。
【0020】
図9に示すように、防火被覆工事の施工後に開口部7を開放する必要があっても、防火被覆材8は柔軟性が有り、防火被覆材パーツ8aと、防火被覆材8と、の間から手を入れることが可能であるため、仮設床板6及び仮設梁5を撤去し、ナット4を緩めることが可能で、取付穴111を中心として、足場取付金具1を水平に180度回転させることで、足場取付金具1を撤去することなく開口部7を開放でき、足場取付金具を撤去する時間を短縮できる。そして、ふたたび仮設足場が必要となったときは、取付穴111を中心として、足場取付金具1を水平に180度回転させ、ナット4を締め、仮設梁5及び仮設床板6を設置することで、仮設足場を復旧させることができるため、足場取付金具を取り付ける時間を短縮できる。
【0021】
次に、界壁工事の施工について、図10を参照し説明する。界壁工事は防火被覆工事後に開口部7まわりに壁を設ける工事であって、まず、開口部7に設けた仮設足場の仮設床板6及び仮設梁5を撤去し、ナット4を緩め、取付穴111を中心として、足場取付金具1を180度回転させる。次に、梁であるH形鋼2の上面であって、床90の開口部内側23に接するようにモルタル91を養生し、モルタル91及び床90の上面に、長尺部材である界壁ランナー921をH形鋼2と平行に、開口部7を囲うように固定する。そして、長尺部材であるスタッド93を垂直に立つように、スタッド93の下端を界壁ランナー921に固定し、スタッド93の上端を、既に界壁工事が施工なされている上階のH形鋼の下方に取り付けられた界壁ランナー922に固定し、スタッド93に界壁材である石膏ボード94を固定する。次に、H形鋼2の下面に図示しないランナー取り付け金具を取り付け、ランナー取り付け金具に界壁ランナー921を固定する。界壁工事は上階から下階に向かって同様に行われ、H形鋼2の開口部内側23及び開口部外側24に、石膏ボード95を石膏ボード94及び界壁ランナー922に固定する。このとき、足場取付金具1の取付部11はH形鋼2の下フランジ21より開口部内側23に飛び出さないため、石膏ボード95が足場取付金具1に干渉することはない。また、界壁ランナー922が足場取付金具1に干渉する場合は、干渉する部分の界壁ランナー922を切り落とし、界壁ランナー922の切断された端にスタッド93を立てる。そして、スタッド93は足場取り付け金具1に干渉しないように間隔をあけて界壁ランナー921及び界壁ランナー922に固定することで、足場取付金具1との干渉を避け、足場取付金具1を撤去する必要なく、界壁工事が施工でき、足場取付金具を撤去する時間を短縮できる。
【0022】
上記はあくまで本発明に係る足場取付金具1の一実施形態を示したものであるため、本発明の思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0023】
1 足場取付金具
11 取付部
12 下垂部
13 支持部
14 側板部
111 取付穴
111d 取付部の端縁から取付穴の中心までの長さ
112 取付部の端縁
2 H形鋼(梁)
21 下フランジ
211 金具取付穴
211d 下フランジの開口部側縁から金具取付穴の中心までの長さ
212 下フランジの開口部側縁
216 下フランジの下面と、仮設床板の上面と、の隙間
3 ボルト
4 ナット
5 仮設梁
6 仮設床板
7 開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10