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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022114768
(43)【公開日】2022-08-08
(54)【発明の名称】転がり軸受
(51)【国際特許分類】
   F16C 33/58 20060101AFI20220801BHJP
   F16C 19/36 20060101ALI20220801BHJP
   F16C 35/07 20060101ALI20220801BHJP
   B25J 15/08 20060101ALI20220801BHJP
【FI】
F16C33/58
F16C19/36
F16C35/07
B25J15/08 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021011191
(22)【出願日】2021-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000229335
【氏名又は名称】日本トムソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136098
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勝也
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 都至
【テーマコード(参考)】
3C707
3J117
3J701
【Fターム(参考)】
3C707ES07
3J117AA01
3J117DA01
3J117DA02
3J117DB01
3J701AA02
3J701AA26
3J701AA32
3J701AA33
3J701AA42
3J701AA54
3J701AA62
3J701BA53
3J701BA54
3J701BA57
3J701EA02
3J701EA31
3J701FA53
3J701GA32
(57)【要約】
【課題】小さなスペースに組み込むことが可能で、取り付け容易な転がり軸受を提供すること。
【解決手段】内周面に軌道溝が形成された外輪と、前記外輪と共通の中心軸を有し、外周面に軌道溝が形成された内輪と、前記外輪の軌道溝と前記内輪の軌道溝とから構成される軌道内に配置される複数の転動体と、を備える転がり軸受である。前記転がり軸受は、前記外輪または前記内輪と連続する突出部を有する。前記突出部は、前記外輪及び前記内輪から軸方向に外方に突出するとともに、径方向においては、前記外輪の外周と同じまたは内側に、かつ、前記内輪の内周と同じまたは外側に形成されている。前記突出部には、前記外輪または前記内輪を外部部品に対して固定するための取付穴が形成され、前記取付穴は、前記転がり軸受の軸と直交する面に平行に延在するよう形成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周面に軌道溝が形成された外輪と、
前記外輪と共通の中心軸を有し、外周面に軌道溝が形成された内輪と、
前記外輪の軌道溝と前記内輪の軌道溝とから構成される軌道内に配置される複数の転動体と、を備える転がり軸受であって、
前記転がり軸受は、
前記外輪または前記内輪と連続する突出部を有し、
前記突出部は、
前記外輪及び前記内輪から軸方向に外方に突出するとともに、径方向においては、前記外輪の外周と同じまたは内側に、かつ、前記内輪の内周と同じまたは外側に形成されており、
前記突出部には、前記外輪または前記内輪を外部部品に対して固定するための取付穴が形成され、
前記取付穴は、前記転がり軸受の軸と直交する面に平行に延在するよう形成されている、転がり軸受。
【請求項2】
前記取付け穴は、前記外輪及び前記内輪の接線方向に延在するよう形成されている、請求項1に記載の転がり軸受。
【請求項3】
前記突出部は前記外輪と連続し、前記突出部の径方向における外側面は、前記外輪の外周面の一部が軸方向に延びてなる面である、請求項1または請求項2に記載の転がり軸受。
【請求項4】
前記突出部は前記内輪と連続し、前記突出部の径方向における内側面は、前記内輪の内周面の一部が延びてなる面である、請求項1または請求項2に記載の転がり軸受。
【請求項5】
前記突出部は、
前記外輪と連続し、前記外輪から軸方向に外方に突出する第1突出部と、
前記内輪と連続し、前記内輪から軸方向に外方に突出する第2突出部と、
を含み、
前記第1突出部には、前記外輪を外部部品に対して固定するための第1取付穴が形成され、
前記第2突出部には、前記内輪を外部部品に対して固定するための第2取付穴が形成されている、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の転がり軸受。
【請求項6】
前記第1取付穴および第2取付穴は、それぞれ2つ形成されており、
2つの前記第1取付穴は互いに平行であり、
2つの前記第2取付穴は互いに平行である、
請求項5に記載の転がり軸受。
【請求項7】
前記2つの前記第1取付穴の間隔と、
前記2つの前記第2取付穴の間隔と、が等しい、
請求項6に記載の転がり軸受。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の転がり軸受と、
前記転がり軸受が固定される取付部を有するフレームと、
を含む組立体。
【請求項9】
前記フレームが2つの取付部を有し、2つの前記転がり軸受が固定される、請求項8に記載の組立体。
【請求項10】
請求項8または請求項9に記載の組立体が複数連結された、ロボットの指関節。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転がり軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
外輪、内輪のそれぞれがワンピースの一体構造である転がり軸受が知られている(例えば特許文献1)。外輪、内輪のそれぞれに相手部材を取付るための取付穴が形成された転がり軸受が知られている(例えば特許文献2,3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許5451988号
【特許文献2】特開2016-019447号公報
【特許文献3】特開2019-039464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
小さなスペースに転がり軸受を組み込むことが望まれることがある。また、転がり軸受は、取付が容易であることが望ましい。そこで、小さなスペースに組み込むことが可能で、取付容易な転がり軸受を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に従った転がり軸受は、内周面に軌道溝が形成された外輪と、前記外輪と共通の中心軸を有し、外周面に軌道溝が形成された内輪と、前記外輪の軌道溝と前記内輪の軌道溝とから構成される軌道内に配置される複数の転動体と、を備える転がり軸受である。前記転がり軸受は、前記外輪または前記内輪と連続する突出部を有する。前記突出部は、前記外輪及び前記内輪から軸方向に外方に突出するとともに、径方向においては、前記外輪の外周と同じまたは内側に、かつ、前記内輪の内周と同じまたは外側に形成されている。前記突出部には、前記外輪または前記内輪を外部部品に対して固定するための取付穴が形成されている。前記取付穴は、前記転がり軸受の軸と直交する面に平行に延在するよう形成されている。
【発明の効果】
【0006】
上記転がり軸受によれば、小さなスペースに組み込むことが可能で、取付容易な転がり軸受を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A図1Aは、実施の形態1における転がり軸受を示す斜視図である。
図1B図1Bは、実施の形態1における転がり軸受を示す斜視図である。
図1C図1Cは、実施の形態1における転がり軸受を示す斜視図である。
図2図2は、実施の形態1における転がり軸受の断面斜視図である。
図3A図3Aは、実施の形態1における転がり軸受の外輪を示す平面図である。
図3B図3Bは、実施の形態1における転がり軸受の外輪を示す平面図である。
図3C図3Cは、実施の形態1における転がり軸受の外輪を示す斜視図である。
図4図4は、実施の形態1における転がり軸受の外輪の断面図である。
図5図5は、実施の形態1における転がり軸受の外輪の断面図である。
図6A図6Aは、実施の形態1における転がり軸受の内輪を示す平面図である。
図6B図6Bは、実施の形態1における転がり軸受の内輪を示す平面図である。
図6C図6Cは、実施の形態1における転がり軸受の内輪を示す斜視図である。
図7図7は、実施の形態1における転がり軸受の内輪の断面図である。
図8図8は、実施の形態1における転がり軸受の内輪の断面図である。
図9A図9Aは、実施の形態2における転がり軸受を示す斜視図である。
図9B図9Bは、実施の形態2における転がり軸受を示す平面図である。
図9C図9Cは、実施の形態2における転がり軸受を示す平面図である。
図10A図10Aは、実施の形態3における転がり軸受を示す斜視図である。
図10B図10Bは、実施の形態3における転がり軸受を示す斜視図である。
図10C図10Cは、実施の形態3における転がり軸受を示す平面図である。
図11A図11Aは、実施の形態4における転がり軸受を示す斜視図である。
図11B図11Bは、実施の形態4における転がり軸受を示す斜視図である。
図11C図11Cは、実施の形態4における転がり軸受を示す平面図である。
図11D図11Dは、実施の形態4における転がり軸受を示す断面図である。
図12A図12Aは、実施の形態5における転がり軸受を示す斜視図である。
図12B図12Bは、実施の形態5における転がり軸受を示す斜視図である。
図12C図12Cは、実施の形態5における転がり軸受を示す平面図である。
図13A図13Aは、実施の形態6における転がり軸受を示す斜視図である。
図13B図13Bは、実施の形態6における転がり軸受を示す斜視図である。
図13C図13Cは、実施の形態6における転がり軸受を示す平面図である。
図14図14は、本開示に従う指関節を示す斜視図である。
図15A図15Aは、本開示に従う組立体のフレームを示す斜視図である。
図15B図15Bは、本開示に従う組立体を示す斜視図である。
図16A図16Aは、本開示に従う組立体を示す平面図である。
図16B図16Bは、本開示に従う組立体を示す斜視図である。
図17図17は、本開示に従う組立体のフレームを示す斜視図である。
図18A図18Aは、本開示に従う組立体を示す平面図である。
図18B図18Bは、本開示に従う組立体を示す斜視図である。
図19図19は、本開示に従う組立体のフレームを示す斜視図である。
図20図20は、本開示に従う組立体のフレームの断面図である。
図21A図21Aは、本開示に従う組立体を示す斜視図である。
図21B図21Bは、本開示に従う組立体を示す平面図である。
図21C図21Cは、本開示に従う組立体を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[実施形態の概要]
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。本開示に従った転がり軸受は、内周面に軌道溝が形成された外輪と、前記外輪と共通の中心軸を有し、外周面に軌道溝が形成された内輪と、前記外輪の軌道溝と前記内輪の軌道溝とから構成される軌道内に配置される複数の転動体と、を備える転がり軸受である。前記転がり軸受は、前記外輪または前記内輪と連続する突出部を有する。前記突出部は、前記外輪及び前記内輪から軸方向に外方に突出するとともに、径方向においては、前記外輪の外周と同じまたは内側に、かつ、前記内輪の内周と同じまたは外側に形成されている。前記突出部には、前記外輪または前記内輪を外部部品に対して固定するための取付穴が形成されている。前記取付穴は、前記転がり軸受の軸と直交する面に平行に延在するよう形成されている。
【0009】
従来、転がり軸受として、例えば特許文献1に開示されるものが公知である。特許文献1に開示される転がり軸受は、クロスローラ軸受であり、転動体であるローラ間に配設されるセパレータを特定の形状とすることによって、薄型の転がり軸受を提供する。ただし、この転がり軸受は、外部部品に対して転がり軸受を固定するための取付穴を有していない。そのため、外部部品に対して転がり軸受を固定する時には、ハウジングや押さえ板等の別の部材が必要となる。一方、特許文献2の転がり軸受は、外輪における軌道面の外側および内輪における軌道面の内側に、軸方向に貫通する取付穴を有する。また、特許文献3の転がり軸受は、外輪および内輪においてそれぞれ、軌道面から軸方向に離隔した位置に、軸方向に延在する取付穴が設けられている。
【0010】
他方、例えば人間の手指の大きさに準じたロボットの関節構造において用いられる軸受としては、外径が20mm程度である等、小径のものが望まれる。またこのような軸受は、軸方向における寸法も小さいことが好ましい。また同時に、外部部品に対する取付や組み立てが容易であることが望まれる。この状況に鑑みて、転がり軸受の検討が重ねられた。そして、転がり軸受の外輪あるいは内輪と連続し、軸方向に外方に突出する突出部を設けること、かかる突出部に取付穴を設けることが構想された。さらに、この突出部の径方向の寸法においては、外輪よりも外側に張り出すことがなく、かつ、内輪の内周よりも内側に張り出すことのないように形成されたものとすることが想到された。さらに加えて、転がり軸受の軸と直交する面に平行に延在するように取付穴を形成することが想到された。
【0011】
本開示の転がり軸受によれば、転がり軸受の外輪および内輪よりも径方向に外方に突出する部分を作ることなく、転がり軸受を外部部品に対して取り付けることができる。また、取付穴が軸と直交する面に平行に延在するという構成によって、取付穴を設けることに起因する軸方向における寸法の増大を抑制できる。本開示の転がり軸受は、コンパクトに取付が可能である。本開示の転がり軸受によれば、上記の構成によって、小さなスペースに複数の軸受を配置することが可能となる。特に、ロボットハンドの指関節構造に用いると、取付や組み立てが容易で、かつ、人間の手指サイズから逸脱することのないコンパクトな関節構造を実現できる。
【0012】
上記転がり軸受において、取付穴は、外輪及び前記内輪の接線方向に延在するよう形成されているものとできる。取付穴を接線方向に延在するものとすることによって、接線方向から、ねじやボルトである固定部材を挿入し、固定できる。この構成によって、フレームなどの外部部品に対する固定が一層容易となる。
【0013】
上記転がり軸受において、突出部が外輪と連続し、突出部の径方向における外側面は外輪の外周面の一部が軸方向に延びてなる面であるものとできる。また、上記転がり軸受において、突出部が内輪と連続し、突出部の径方向における内側面は、前記内輪の内周面の一部が延びてなる面であるものとできる。突出部を規定する面のうち1面を、外輪の外周面、あるいは内輪の内周面から延びてなる面とすることによって、別部品によって突出部を構成する場合よりも、突出部の強度を十分なものとできる。また、製造において、外輪や内輪の加工と同時に突出部を加工することにより、製造工程の増大を抑制し、さらに軸受機能上の精度も向上可能である。
【0014】
上記転がり軸受において、突出部は、外輪と連続し、前記外輪から軸方向に外方に突出する第1突出部と、前記内輪と連続し、前記内輪から軸方向に外方に突出する第2突出部と、を含んでもよい。また、前記第1突出部には、前記外輪を外部部品に対して固定するための第1取付穴が形成され、前記第2突出部には、前記内輪を外部部品に対して固定するための第2取付穴が形成されてもよい。外輪および内輪の両方に前記の構成の取付穴を設ける場合、取付部である突出部を径方向の寸法内に収めるとともに、取付部を設けることによる軸受の寸法増大を一層抑制できる。
【0015】
前記転がり軸受において、第1取付穴および第2取付穴はそれぞれ2つ形成されており、2つの前記第1取付穴は互いに平行であり、2つの前記第2取付穴は互いに平行であるものとできる。2つの取付穴を平行に設けることによって、取付穴の加工がより容易であるとともに、外部部材に対する取付がより容易になる。
【0016】
前記転がり軸受において、前記2つの前記第1取付穴の間隔と、前記2つの前記第2取付穴の間隔とを、等しいものとできる。この構成によって、ねじやボルトの取付ピッチを共通にでき、部品の共通化が可能になる。
【0017】
また本開示は、前記の転がり軸受と、前記転がり軸受が固定される取付部を有するフレームと、を含む組立体であってもよい。本開示の組立体は、径方向の寸法および軸方向の寸法の両方がコンパクトで、小さなスペースに組み込むことが可能である。
【0018】
上記の組立体は、フレームが2つの取付部を有し、フレームに対して2つの前記転がり軸受が固定されていてもよい。このような組立体を複数連結することによって、組み立てが容易で小型の多関節構造を提供できる。
【0019】
また本開示は、前記組立体が複数連結された、ロボットの指関節に関する。本開示のロボットの指関節は、人間の指の大きさに準ずる小型の関節となりえる。また、軸受の取り付けや関節の組み立てが容易であるとともにシンプルな構成を有するため、電線等のケーブルを内部に挿通するほか、所望の用途に応じた幅広い設計に対応できる。
【0020】
[実施形態の具体例]
次に、本開示の転がり軸受の具体的な実施の形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
【0021】
(実施の形態1)
図1A図1Cは、本開示の一実施の形態(実施の形態1)における転がり軸受の構造を示す斜視図である。図1A図1Cは、同一の転がり軸受を異なる角度から見る斜視図である。図2は、図1A中のA-Aで切断した場合の断面図である。図3A図5は、実施の形態1の転がり軸受の外輪を取り出して示す図である。図6A図8は、実施の形態1の転がり軸受の内輪を取り出して示す図である。
【0022】
図1A図1Cを参照して、転がり軸受1は、外輪10と、内輪50と、複数の転動体としてのころ80と、を備える。外輪10と内輪50とは、共通する中心軸Rを有する。中心軸Rは転がり軸受1の回転軸である。内輪50は、外輪10の内周側に配置される。図2を参照して、外輪10および内輪50のそれぞれはワンピースの一体構造に形成されている。外輪10の内周面10bには、断面がV字状の第1軌道溝11が形成されている。第1軌道溝11は、第1軌道面11aおよび第2軌道面11bを含む。第1軌道面11aと第2軌道面11bとの間には、逃げ溝である溝11cが形成されている。内輪50の外周面50aには、第1軌道溝11に対向するように、第2軌道溝51が形成されている。第2軌道溝51は、第1軌道面51aおよび第2軌道面51bを含む。第2軌道面51aと第2軌道面51bとの間には、逃げ溝である溝51cが形成されている。
【0023】
第1軌道溝11と第2軌道溝51とによって、環状の軌道101が構成されている。ころ80は、軌道101内を転走する。外輪10と内輪50とは、ころ80を介して互いに相対回転自在である。
【0024】
図1A図2を参照して、外輪10には、貫通孔12が形成されている。貫通孔12は、外輪10の外周面10aから内周面10bの第1軌道溝11へと径方向に貫通した円形孔である。貫通孔12を通じて、ころ80及びセパレータ83を軌道101内に組み込むことができる。ころ80を及びセパレータ83を組み込んだ後に、貫通孔12は、蓋13によって封鎖される。また、蓋13は、外輪10の軸方向に平行に延びる固定用のピン15が外輪10のピン固定用の貫通孔16と蓋13のピン固定用の貫通孔17とに挿通されることによって、外輪10に固定されている。また、外輪10のピン固定用の貫通孔16と、貫通孔16に連通する貫通孔16より拡径の嵌脱用の貫通孔14とが形成されている。蓋13には、第1軌道溝11と整合する溝が形成されている。
【0025】
ころ80は、互いに直交する方向に組み込まれた複数の第1ころ81と、複数の第2ころ82と、を含む。第1ころ81と第2ころ82は、交互に位置するように配列されている。さらに、第1ころ81と第2ころ82との間には、1ないし複数のセパレータ83が組み込まれている。第1ころ81および第2ころ82は、円筒状の形状を有する。第1ころ81および第2ころ82は、組み込まれる方向が異なるのみで、互いに同一の形状を有する。第1ころ81および第2ころ82の円筒形状において、長さと直径とは略同一の寸法である。第1ころ81および第2ころ82は、鋼製であってよい。セパレータ83は樹脂製であってよい。
【0026】
(外輪および突出部の構造)
図3図5は、転がり軸受1の外輪10を取り出して示す図である。具体的に、図3A図3Cは外輪10の平面図、側面図および斜視図である。図4は、図3A中のB-Bで切断した場合の断面図である。ただし、図4ではB-B断面を回転させて示している。図5図3B中のC-Cで切断した場合の断面図である。
【0027】
図3A図3Cを参照して、外輪10に連続して、第1突出部110が設けられている。第1突出部110は、転がり軸受1の中心軸Rの延びる方向に、転がり軸受1の外方に突出する。第1突出部110は、転がり軸受1の軸方向に突出するとともに、外輪10の周に沿って延びる円弧状の突出部である。第1突出部110の外周面110aは、外輪10の外周面10aと継ぎ目なく連続している。すなわち、第1突出部110の外周面110aは、外輪10の外周面10aが延びてなる面である。第1突出部110の内周面110bは、中心軸Rを中心とする円筒の周面の一部である。外輪10の内周面10bと第1突出部110の内周面110bとの間は、外輪10の内周面10bから立ち上がって中心軸Rに向かって延びる斜面110fによって接続されている。第1突出部110の内周面110bの径は、内輪50の内周面50bの径よりもわずかに大きい(図2)。すなわち、第1突出部110は、径方向において、内輪50の内周よりも外側に、かつ外輪10の外周面10aと面一に形成されている。
【0028】
図3A図3Cおよび図5を参照して、第1突出部110は、外部部品との取付面である、第1面110cおよび第2面110dを有する。第1面110cおよび第2面110dは、互いに同一面上にあり、中心軸Rと平行に伸びる面である。第1面110c、第2面110dにはそれぞれ、外輪10を外部部品に取付るためのねじ穴である、第1取付穴としての取付穴121、122が形成されている。取付穴121、122は、第1面110c、第2面110dと直交するよう形成されている。取付穴121、122は互いに平行である。取付穴121、122は、転がり軸受1の中心軸Rと直交する面に平行に延在している。取付穴121、122は、外輪10の接線方向に形成されている。
【0029】
図3Bを参照して、第1突出部110の軸方向の寸法、すなわち第1突出部110の厚みdは、取付穴121、122の径dに対して、約2倍とされている。すなわち、第1突出部110を設けることによる軸方向の寸法の増加は、取付部品であるボルトの径の2倍程度に抑えられる。また前述のとおり、第1突出部110は、径方向の寸法においては内輪10の内周よりも外側かつ外輪10の外周と面一に設けられているので、第1突出部110を設けることによる径方向の寸法の増加は生じない。
【0030】
図4を参照して、第1外輪10にピン15を固定するための貫通孔16は、第1突出部110のピン嵌脱用の貫通孔14と連通し、第1突出部110の外側面110eから外輪10まで貫通する貫通孔である。第1突出部110内でのピン嵌脱用の貫通孔14の径は、外輪10におけるピンを固定するための貫通孔16の径よりも大きい。この構成によって、ピン15の挿抜がより容易に、確実に行える。
【0031】
(内輪および突出部の構造)
図6図8は、転がり軸受1の内輪50を取り出して示す図である。具体的に、図6A図6Cは内輪50の平面図、側面図および斜視図である。図7は、図6A中のD-Dで切断した場合の断面図である。図8図6B中のE-Eで切断した場合の断面図である。
【0032】
図6A図6Cを参照して、内輪50に連続して、第2突出部150が設けられている。第2突出部150は、転がり軸受1の中心軸Rの延びる方向に、第1突出部110とは反対方向に、転がり軸受1の外方に突出する。第2突出部150は、転がり軸受1の軸方向に突出するとともに、内輪50の周に沿って延びる円弧状の突出部である。第2突出部150の内周面150bは、内輪50の内周面50bと継ぎ目なく連続している。すなわち、第2突出部150の内周面150bは、内輪50の内周面50bが延びてなる面である。第2突出部150の外周面150aは、中心軸Rを中心とする円筒の周面の一部である。内輪50の外周面50aと第2突出部150の外周面150aとの間は、内輪50の外周面50aから立ち上がって中心軸Rから離れる方向に延びる斜面150fによって接続されている。第2突出部150の外周面150aの径は、外輪10の外周面10aの径よりもわずかに小さい(図2)。すなわち、第2突出部150は、径方向において、外輪10の外周よりも内側に、かつ内輪50の内周面50bと面一に形成されている。
【0033】
図6B図6Cおよび図8を参照して、第2突出部150は、外部部品との取付面である、第1面150cおよび第2面150dを有する。第1面150cおよび第2面150dは、互いに同一面上にあり、中心軸Rと平行に伸びる面である。第1面150c、第2面150dにはそれぞれ、内輪50を外部部品に取付るためのねじ穴である、第2取付穴としての取付穴161、162が形成されている。取付穴161、162は、第1面150c、第2面150dと直交するよう形成されている。取付穴161、162は互いに平行である。取付穴161、162は、転がり軸受1の中心軸Rと直交する面に平行に延在している。取付穴161、162は、内輪50の接線方向に形成されている。
【0034】
図6Bを参照して、第2突出部150の軸方向の寸法、すなわち第2突出部150の厚みdは、取付穴161、162の径dに対して、約2倍とされている。すなわち、第2突出部150を設けることによる軸方向の寸法の増加は、取付部品であるボルトの径の2倍程度に抑えられる。また前述のとおり、第2突出部150は、径方向の寸法においては内輪の内周面と面一に、かつ外輪10の外周よりも内側に設けられているので、第2突出部150を設けることによる転がり軸受1の径方向の寸法の増加は生じない。ここで、第1突出部110における2つの取付穴121、122の間のピッチW図3B)と、第2突出部150における2つの取付穴161、162の間のピッチWは、互いに等しい。ピッチを等しくすることによって、部品の共通化が可能になり、製造や組み立てにおける合理性が向上する。
【0035】
図1B図2を参照して、転がり軸受1は、外輪10および内輪50のそれぞれに2つの取付穴が設けられていながら、径方向の寸法においては外輪10および内輪50の寸法の範囲内に収められており、取付部を設けることによる径方向の寸法の増大がない。また、軸方向の寸法においては、取付穴の径の2倍程度の厚みである突出部が、外輪10および内輪50の外方にそれぞれ設けられる。この構成によれば、例えばボルトである取付部材を軸方向に貫通させる形態よりも、軸方向の寸法増大が抑制される。転がり軸受1の具体的な寸法は、用途および目的によって適宜設定しうるため制限されるものではないが、例えば、外径がφ21~φ540mm程度、内径がφ10~φ400mm程度、突出部を含む軸方向寸法が15~100mm程度の転がり軸受とできる。
【0036】
(変形例)
実施の形態1において、転動体はころであるが、転動体はボールであってもよい。また、転動体とともにセパレータやリテーナが備えられるものでもよく、セパレータやリテーナは無くてもよい。また、突出部の具体的な形状も、取付相手の形状等に応じて幅広く変更が可能である。
【0037】
(実施の形態2)
本開示にかかる転がり軸受の実施の形態2について説明する。図9A図9Cは、実施の形態2にかかる転がり軸受2を示す。図9Aは、実施の形態2における転がり軸受2を示す斜視図である。図9Bは、図9Aの矢印Fの側から転がり軸受2を見る平面図である。図9Cは、図9Aにおける矢印Gの側から転がり軸受2を見る平面図である。実施の形態2における転がり軸受2において、軸受の外輪10、内輪50およびころ80の構造は、実施の形態1と同様である。実施の形態2は、外輪10および内輪50から連続する突出部の形態において、実施の形態1と異なる。以下、実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
【0038】
図9Aおよび図9Bを参照して、外輪10に連続して、軸方向に外方に突出する2つの突出部211、212が設けられている。2つの突出部211、212のそれぞれには、取付穴221、222が形成されている。取付穴221、222は互いに平行であり、中心軸Rに直交する平面に延在する。突出部211、212は互いに同一の形状であり、中心軸Rを中心として対称に設けられている。突出部の外周面211a、212aは、外輪10の外周面10aが延びてなる面である。突出部の内周面211b、212bは、内輪50の内周面50bよりも径方向における外側に位置する。実施の形態2において、取付穴221、222は突出部211、212を貫通していてもよい。実施の形態1においては、弧状に延在する1つの突出部(第1突出部110)に2つの取付穴が形成されていたが、実施の形態2では、突出部が2つに分かれており、それぞれに取付穴が形成されている。また、外輪10に軸方向に貫通する貫通孔16が形成されている。
【0039】
図9Aおよび図9Cを参照して、内輪50に連続して、軸方向に外方に、突出部211、212とは反対方向に突出する2つの突出部511、512が設けられている。2つの突出部511、512のそれぞれには、取付穴521、522が形成されている。取付穴521、522は互いに平行であり、中心軸Rに直交する平面に延在する。突出部511、512は互いに同一の形状であり、中心軸Rを中心として対称に設けられている。突出部の内周面511b、512bは、内輪50の内周面50bが延びてなる面である。突出部の外周面511a、512aは、外輪10の外周面10aよりも径方向における内側に位置する。取付穴521、522は突出部511、512を貫通していてもよい。回転速度の高速化により、片側切り落とし構造では困難な振動発生防止を目的とした回転バランスを取付部品の設計で調整する場合、または回転軸を貫通して取付るT形状取付部品や、点対称形状部品に取付ける場合には、実施の形態2に示すものがより好ましい。
【0040】
(実施の形態3)
本開示にかかる転がり軸受の実施の形態3について説明する。図10A図10Cは、実施の形態3にかかる転がり軸受3を示す。図10Aは、実施の形態3における転がり軸受3を示す斜視図である。図10Bは、図10Aの矢印Hの側から転がり軸受3を見る斜視図である。図10Cは、図10Bの矢印Iの側から転がり軸受3を見る転がり軸受3の平面図である。実施の形態3における転がり軸受3において、軸受の外輪10、内輪50およびころ80の構造は、実施の形態1と同様である。また、外輪10から突出する第1突出部110の構造は、実施の形態1と同様である。転がり軸受3は、内輪50から連続する突出部650の構造において、転がり軸受1と相違する。以下、実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
【0041】
図10A図10Cを参照して、転がり軸受3の内輪50と連続して、軸方向に外方に突出する突出部650が設けられている。突出部650の内周面650bは、内輪50の内周面50bが延びてなる面である。突出部650の外周面650aは、外輪10の外周面10aよりも内側に位置する。すなわち、突出部650の径方向における寸法は、内輪50の内周面と面一であるとともに、外輪10の外周よりも小さい。突出部650は、転がり軸受3の中心軸Rを中心とする円環状の突出部である。突出部650の外周面650aには溝681が形成されている。溝681は、外輪10の貫通孔16にピン15(図1A)を挿抜する際に利用される。
【0042】
突出部650には、中心軸Rと平行に延在する取付用のねじ穴である穴621、622、623、624が形成されている。すなわち、内輪50は、転がり軸受3の軸方向に延在する取付穴を利用して外部部材に固定されうる。転がり軸受3は、径方向の寸法において、外輪10の外周より外側に張り出す部分がなく、内輪50の内周よりも内方に張り出す部分がない。例えば、取付強度や剛性が要求される場合、転がり軸受3が好適に使用できる。
【0043】
(実施の形態4)
本開示にかかる転がり軸受の実施の形態4について説明する。図11A図11Dは、実施の形態4にかかる転がり軸受4を示す。図11Aは、実施の形態4における転がり軸受4を示す斜視図である。図11Bは、図11Aの矢印Jの側から転がり軸受4を見る斜視図である。図11Cは、図11Bの矢印Kの側から転がり軸受4を見る転がり軸受4の平面図である。図11Dは、図11A中のL-Lで切断した場合の断面図である。ただし、図11DではL-L断面を回転させて示している。実施の形態4における転がり軸受4において、軸受の外輪10、外輪10から突出する第1突出部110、ころ80の構造は、実施の形態1と同様である。転がり軸受4は、内輪60の内周面が取付部とされている点において、転がり軸受1と相違する。以下、実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
【0044】
図11A図11Dを参照して、転がり軸受4において、内輪60の内周面60bには、ねじ溝が形成されている。すなわち内周面60bが、内輪60の取付部として利用されうる。内輪60は、内輪60と連続し、中心軸Rの方向に延びる突出部61を有する。突出部61の外周面61aは、内輪60の外周面60aが延びてなる面である。突出部61の内周面61bは、内輪60の内周面60bが延びてなる面である。内周面60bおよび内周面61bには、内周面60bおよび内周面61bにわたって連続するねじ溝が形成されている。図11Bを参照して、突出部61の外周には、外周が一部切り欠かれた切り欠き部63が、互いに対向する位置に2箇所形成されている。切り欠き部63は、組み立て時や別部品の取付に利用しうる。
【0045】
図11B図11Cを参照して、転がり軸受4は、径方向の寸法において、内輪の内周よりも内側に張り出す部分がなく、かつ、外輪の外周よりも外側に張り出す部分がない。さらに、軸方向の寸法において、外輪10における取付部は、取付穴121、122を中心軸Rと直交方向に延在させることによって、軸方向の寸法増大を抑制している。さらに、内輪60を外方に延長するように突出部61を設け、内周面60b、61bを取付穴とすることによって、軸方向の寸法増大をさらに抑制できる。また、内輪60から周方向に外方に張り出す部分がないため、貫通孔16が常に露出した状態となり、組み立てがより容易となる。
【0046】
(実施の形態5)
本開示にかかる転がり軸受の実施の形態5について説明する。図12A図12Cは、実施の形態5にかかる転がり軸受5を示す。図12Aは、実施の形態5における転がり軸受5を示す斜視図である。図12Bは、図12Aの矢印Mの側から転がり軸受5を見る斜視図である。図12Cは、図12Bの矢印Nの側から転がり軸受5を見る転がり軸受5の平面図である。実施の形態5における転がり軸受5において、軸受の内輪50、内輪50から突出する第2突出部150、ころ80の構造は、実施の形態1と同様である。転がり軸受5は、外輪10から連続する突出部130の構造において、転がり軸受1と相違する。以下、実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
【0047】
図12A図12Cを参照して、転がり軸受5の外輪10と連続して、軸方向に外方に突出する突出部130が設けられている。突出部130の外周面130aは、外輪10の外周面10aが延びてなる面である。突出部130の内周面130bは、内輪50の内周面50bよりも径方向の外側に位置する。すなわち、突出部130の径方向における寸法は、内輪50の内周面よりも外側にあり、外輪10の外周と同じである。突出部130は、転がり軸受5の中心軸Rを中心とする円環状の突出部である。突出部130には、外輪10を軸方向に貫通する貫通孔16及び貫通孔16より拡径の貫通孔14が形成されている。
【0048】
突出部130には、中心軸Rと平行に延在する取付用のねじ穴である穴131、132、133、134が形成されている。すなわち、外輪10は、転がり軸受5の軸方向に延在する取付穴を利用して外部部材に固定されうる。転がり軸受5は、径方向の寸法において、外輪10の外周より外側に張り出す部分がなく、内輪50の内周よりも内方に張り出す部分がない。例えば、ハウジング穴を構成するための取付面と肉厚が確保でき、かつ大きなモーメント負荷が予想される、または取付位置の精度を要求される場合、転がり軸受5が好適に使用できる。
【0049】
(実施の形態6)
本開示にかかる転がり軸受の実施の形態6について説明する。図13A図13Cは、実施の形態6にかかる転がり軸受6を示す。図13Aは、実施の形態6における転がり軸受6を示す斜視図である。図13Bは、図13Aと反対側から転がり軸受6を見る斜視図である。図13Cは、図13A中の矢印Oの側から転がり軸受6を見る転がり軸受6の平面図である。実施の形態6における転がり軸受6において、軸受の内輪50、内輪50から突出する第2突出部150、ころ80の構造は、実施の形態1と同様である。転がり軸受6は、外輪10から径方向に外方に張り出す拡張部710が設けられている点で、転がり軸受1と相違する。以下、実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
【0050】
図13A図13Cを参照して、転がり軸受6の外輪10と連続して、径方向に外方に張り出す拡張部710が設けられている。拡張部710の軸方向の厚みは、外輪10の厚みと同じである。拡張部710の外周面には、外輪10まで貫通する組み込み用の穴712が形成されている。拡張部710には、中心軸Rと平行に延在するザグリ穴である取付用の穴721、722、723、724が形成されている。すなわち、外輪10は、転がり軸受6の軸方向に延在する取付穴を利用して外部部材に固定されうる。転がり軸受6は、軸方向の寸法において、外輪10および内輪50よりも外方に突出する部分が内輪50の取付部である第2突出部150のみであるため、取付部を設けることによる軸方向の寸法の増加が少ない。外輪10には、外輪10を軸方向に貫通する貫通孔16が形成されている。例えば、取付面の広さと、ネジ穴を構成できる肉厚を確保できる場合、転がり軸受6が好適に使用できる。
【0051】
(関節構造)
本開示はまた、前述の転がり軸受とフレームとが組み合わされた組立体に関する。さらに本開示は、転がり軸受とフレームとの組立体が複数組み合わされたロボットの指関節に関する。図14は、本開示の実施の形態の一例である指関節9を示す斜視図である。図14を参照して、指関節9は、実施の形態1の転がり軸受1が4つと、第1フレーム91、第2フレーム92、第3フレーム93、および第4フレーム94とを含む。指関節9は、3つのラジアル関節と、1つのスラスト関節とを含む。第1フレーム91には1つの転がり軸受1が取付られている。第2フレーム92、第3フレーム93、第4フレーム94にはそれぞれ2つの転がり軸受1が取付られている。指関節9は、第1フレーム91が指先側、第4フレーム94が手首側に相当する。
【0052】
図15Aは、第1フレーム91を取り出して示す斜視図である。図15Bは、第1フレーム91に転がり軸受1を取り付けた組立体931を示す斜視図である。図15Aを参照して、第1フレーム91は、指先部911と、転がり軸受1の取付部である肉厚部912と、プレート914と、を含む。指先部911の先端には穴913が形成されている。穴913は配線や配管に供されてもよく、センサ、治具、キャップ等の任意の部材が設置されてもよく、閉塞されてもよい。目的や用途に応じて穴913はさらに加工されても良い。肉厚部912は、転がり軸受の取付面となる面915、916と、取付面915、916にそれぞれ形成された穴917、918と、穴913に連通するスリット919と、を含む。穴917、918は外部と連通するよう構成されており、穴917、918を通じて取付用のボルトを挿入できる。
【0053】
図15Bを参照して、転がり軸受1の内輪50が、第1フレーム91に対して固定されている。内輪50に連続する第2突出部150の取付面150c、150d(図1B参照)と第1フレーム91の取付面915、916とがそれぞれ対面するように配置される。ボルト950が、穴917と穴161(図1B参照)にわたるよう挿入されて、固定される。同様に、穴918と穴162(図1B参照)にわたるようボルトが挿入されて、固定される。穴913からスリット919を経て転がり軸受1の内径に至る一連の連通部が形成され、その連通部を利用してケーブル等を挿通できる。
【0054】
図16Aは、第2フレーム92に2個の転がり軸受1が取付られた組立体932を取り出して示す平面図である。図16Bは組立体932を示す斜視図である。図17は第2フレーム92を取り出して示す斜視図である。図16Aを参照して、第2フレーム92には、2つの転がり軸受1が並列して配置される。2つの軸受の間隔Lは、特に制限されないが、少なくとも0.04mm程度であればよい。転がり軸受1は、軸受の外方に突出する取付部がないため、軸受同士の干渉が生じにくく、複数の軸受を近い位置に並べて配置することが可能である。
【0055】
図17を参照して、第2フレーム92は、2つの軸受に対応する形状のプレート921と、第1の取付部である第1肉厚部922と、第2の取付部である第2肉厚部923と、を含む。第1肉厚部922は、取付面922c、922dを含む。取付面922c、922dには、取付穴である穴924、925がそれぞれ形成されている。穴924、925は外部から固定用のボルトを挿入できるよう、外部と連通している。穴924、925の間には、スリット928が形成されている。第2肉厚部923における取付面923c、923dには、取付穴である穴926、927がそれぞれ形成されている。穴926、927は外部から固定用のボルトを挿入できるよう、外部と連通している。穴926、927の間には、スリット929が形成されている。スリット928とスリット929とは連通している。
【0056】
図16B図17を参照して、第2フレーム92の第1肉厚部922の側では、取付面922c、922dと、転がり軸受1の外輪10から突出する第1突出部110の面110c、110d(図1B参照)とがそれぞれ対面するように配置される。取付穴121(図1B参照)と穴924、また、取付穴122(図1B参照)と穴925とにそれぞれボルトが挿入されて、固定される。すなわち、第1肉厚部922の側では、第2フレーム92と転がり軸受1の外輪10とが固定される。また、第2肉厚部923の側では、取付面923c、923dと、転がり軸受1の内輪50から突出する第2突出部150の面150c、150d(図1B参照)とがそれぞれ対面するように配置される。取付穴161(図1B参照)と穴926、また、取付穴162(図1B参照)と穴927とにそれぞれボルトが挿入されて、固定される。すなわち、第2肉厚部923の側では、第2フレーム92と転がり軸受1の内輪50とが固定される。一方の転がり軸受1の内径から、スリット928、スリット929を経て他方の転がり軸受の内径に至る連通部が形成される。この連通部を利用してケーブル等を挿通できる。
【0057】
図18Aは、第3フレーム93に2個の転がり軸受1が取付られた組立体933を取り出して示す平面図である。図18Bは組立体933を示す斜視図である。図19は第3フレーム93と取付部材であるボルト950の一部を取り出して示す斜視図である。図20は、図19中のP-Pで切断した場合の断面図である。組立体932と組立体933とは、フレームの輪郭形状が異なる以外は基本的に同様の構成である。図18Aを参照して、第3フレーム93には、2つの転がり軸受1が並列して配置される。
【0058】
図19を参照して、第3フレーム93は、2つの軸受に対応する形状のプレート931と、第1の取付部である第1肉厚部932と、第2の取付部である第2肉厚部933と、を含む。第1肉厚部932は、取付面932c、932dを含む。取付面932c、932dには、取付穴である穴934、935がそれぞれ形成されている。図19図20を参照して、穴934、935は外部から固定用のボルトを挿入できるよう、外部と連通している。穴934、935の間には、スリット938が形成されている。第2肉厚部933における取付面933c、933dには、取付穴である穴936、937がそれぞれ形成されている。穴936、937の間には、スリット939が形成されている。穴936、937は外部から固定用のボルト950を挿入できるよう、外部と連通している。第3フレーム93において、取付面932c、932dと、取付面933c、933dとは、約60°の角度で向かい合うように構成されている。穴935と穴937とは、互いに交差することにより連通している。そのため、スリット938とスリット939は、穴935、937を介して連通している。
【0059】
図18B図19を参照して、第3フレーム93の第1肉厚部932の側では、取付面932c、932dと、転がり軸受1の内輪50から突出する第2突出部150の面150c、150d(図1B参照)とがそれぞれ対面するように配置される。取付穴161(図1B参照)と穴934、また、取付穴162(図1B参照)と穴935とにそれぞれボルトが挿入されて、固定される。すなわち、第1肉厚部932の側では、第3フレーム93と転がり軸受1の内輪50とが固定される。また、第2肉厚部933の側では、取付面933c、933dと、転がり軸受1の外輪10から突出する第1突出部110の面110c、110d(図1B参照)とがそれぞれ対面するように配置される。取付穴121(図1B参照)と穴936、また、取付穴122(図1B参照)と穴937とにそれぞれボルト950が挿入されて、固定される。すなわち、第2肉厚部933の側では、第3フレーム93と転がり軸受1の外輪10とが固定される。一方の転がり軸受1の内径から、スリット939、穴937、935を介してスリット938を経て、他方の転がり軸受の内径に至る連通部が形成される。この連通部を利用してケーブル等を挿通できる。
【0060】
図21Aは、第4フレーム94に2個の転がり軸受1が取付られた組立体934を示す斜視図である。図21B図21Cは組立体934を別の角度から見る平面図および斜視図である。図21A図21Cを参照して、第4フレーム94には、2つの転がり軸受1が互いに直交する方向に取付られる。第4フレーム94は、2つの軸受に対応する形状のプレート941と、第1の取付部である第1肉厚部942と、第2の取付部である第2肉厚部943と、を含む。第1肉厚部942と第2肉厚部943とは、互いに直交する方向に設けられている。図に現われていないが第1肉厚部942は、取付面を含み、取付面には、外部と連通する取付穴である穴944、945がそれぞれ形成されている。穴944、945の間には、スリット948が形成されている。第2肉厚部943における取付面には、外部と連通する取付穴である穴946、947がそれぞれ形成されている。穴946、947に固定用のボルト950が挿入されている。穴946、947の間には、スリット949が形成されている。図21Aを参照して、穴945、穴947、スリット948、スリット949は互いに連通している。
【0061】
図21A~21Cを参照して、第4フレーム94の第1肉厚部942の側では、第1肉厚部942と、転がり軸受1の第2突出部150とが固定される。すなわち、第4フレーム94と転がり軸受1の内輪50とが固定される。また、第2肉厚部943の側では、第2肉厚部943と、転がり軸受1の第1突出部110とが固定される。すなわち、第4フレーム94と転がり軸受1の外輪10とが固定される。一方の転がり軸受1の内径から、スリット949、穴947、945を介してスリット948を経て他方の転がり軸受の内径に至る連通部が形成される。この連通部を利用してケーブル等を挿通できる。
【0062】
図14を参照して、転がり軸受1を含む指関節9は、径方向寸法、軸方向寸法ともにコンパクトに収められる。また、指関節9は、第1フレーム91の穴913から第4フレームの末端に取付られる転がり軸受1に一連に連通する連通部を有する。この構成によって、ケーブル等を外部に露出させることなく配線が可能である。また、変形例として、スリットを複数の円形穴としてもよい。その場合、空気圧や油圧接続のねじ穴として利用することもできる。
【0063】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、請求の範囲によって規定され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0064】
1、2、3、4、5、6 転がり軸受、
10 外輪 101 軌道、10a 外周面、10b 内周面、11 軌道溝、11a、11b 軌道面、11c 溝、12、14、16、17 貫通孔、13 蓋、15 ピン、110 第1突出部、110a 外周面、110b 内周面、110c 第1面、110d 第2面、121 取付穴、122 取付穴、130 突出部、130a 外周面、130b 内周面、131、132、133、134 穴、
211、212、511、512 突出部、211a、212a、511a、512a 外周面、211b、212b、511b、512b 内周面、221、222、521、522 取付穴、
50 内輪、50a 外周面、50b 内周面、51 軌道溝、51a、51b 軌道面、51c 溝、150 第2突出部、150a 外周面、150b 内周面、150c 第1面、150d 第2面、161 取付穴、162 取付穴、
60 内輪、60a 外周面、60b 内周面、61 突出部、61a 外周面、61b 内周面、63 切り欠き部、650 突出部、650a 外周面、650b 内周面、681 溝、621、622、623、624 穴、
710 拡張部、712、721、722、723、724 穴、
80 ころ、81 第1ころ、82 第2ころ、83 セパレータ、
9 指関節、91、92、93、94 フレーム、931、932、933、934 組立体、911 指先部、912、922、923、932、933、942、943 肉厚部、922c、922d、923c、923d、932c、932d、933c、933d 取付面、913、917、918、924、925、926、927、934、935、936、937、944、945、946、947 穴、914、921、931、941 プレート、915、916 面、919、928、929、938、939、948、949 スリット、950 ボルト。
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図11C
図11D
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図13C
図14
図15A
図15B
図16A
図16B
図17
図18A
図18B
図19
図20
図21A
図21B
図21C