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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022114772
(43)【公開日】2022-08-08
(54)【発明の名称】マイク用吸引装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/12 20060101AFI20220801BHJP
【FI】
H04R1/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021011200
(22)【出願日】2021-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】514280802
【氏名又は名称】株式会社ウイングレット
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】羽中田 英治
(57)【要約】
【課題】マイクに向かって発声する場合に人の口から発せられる飛沫およびエアロゾルが周囲に飛散してしまうことを抑制することができる。
【解決手段】本発明のマイク用吸引装置100は、マイク10に着脱部を介して着脱可能に取り付けられるケース部110と、マイク10の周囲に飛散するエアロゾルを含む空気を、ケース部110内に吸気させるように動作する駆動部180と、駆動部180の動作により吸気されるエアロゾルを含む空気を清浄化するフィルタ154、170と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクに着脱部を介して着脱可能に取り付けられるケース部と、
前記マイクの周囲に飛散するエアロゾルを含む空気を、前記ケース部内に吸気させるように動作する駆動部と、
前記駆動部の動作により吸気されるエアロゾルを含む空気を清浄化するフィルタと、
を備えることを特徴とするマイク用吸引装置。
【請求項2】
前記ケース部は、前記ケース部内と連通する吸気口を有し、
前記吸気口は、該マイク用吸引装置が前記マイクに取り付けられた状態では前記マイクのヘッド部に近接して位置することを特徴とする請求項1に記載のマイク用吸引装置。
【請求項3】
前記フィルタは、前記吸気口の上流側の位置に交換可能に配置されることを特徴とする請求項2に記載のマイク用吸引装置。
【請求項4】
前記ケース部は、前記ケース部内と連通する排気口を有し、
前記排気口は、該マイク用吸引装置が前記マイクに取り付けられ、前記マイクが正立した状態では前記マイクのヘッド部よりも下側に位置することを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載のマイク用吸引装置。
【請求項5】
前記フィルタは、前記ケース部内に交換可能に配置されることを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載のマイク用吸引装置。
【請求項6】
前記フィルタは、前記排気口の下流側の位置に交換可能に配置されることを特徴とする請求項4に記載のマイク用吸引装置。
【請求項7】
前記駆動部は、前記ケース部に収容されるファンと、前記ファンを回転させるモータと、を有することを特徴とする請求項1ないし6の何れか1項に記載のマイク用吸引装置。
【請求項8】
前記着脱部は、前記マイクのボディ部に対して前記ボディ部の外周面を取り囲むように取り付けられ、前記ボディ部の直径の大きさに応じて調整可能な調整手段を有することを特徴とする請求項1ないし7の何れか1項に記載のマイク用吸引装置。
【請求項9】
前記ケース部は、内部に空気が流動する通路が形成され、
前記通路の少なくとも一部は、前記マイクのボディ部の長手方向に沿って平行に形成されていることを特徴とする請求項1ないし8の何れか1項に記載のマイク用吸引装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイク用吸引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、音や声を集音するためにマイクが広く用いられている。例えば、カラオケ等でマイクを用いる場合には、手でマイクのボディ部を持ちながら、口をマイクのヘッド部に近づけて歌唱する。人が歌唱する場合には口から飛沫およびエアロゾルが飛散してしまうことから、近年の飛沫感染およびエアロゾル感染が疑われる感染症においては、マイクを用いて声を発声することによる感染リスクを低減することができないという問題がある。
【0003】
特許文献1には、マイクのヘッドに装着する装着手段を設けたマイク用抗菌消臭カバーが開示されている。このようなマイク用抗菌消臭カバーを定期的に交換してマイクのヘッドに装着することで、マイクを衛生的に保持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-262295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のマイク用抗菌消臭カバーでは、口から発せられた飛散がマイクのヘッドに付着することを防止することができるものの、エアロゾルが周囲に飛散してしまうことを抑制することができないという問題がある。
本発明は、上述したような問題点に鑑みてなされたものであり、マイクに向かって発声する場合に人の口から発せられる飛沫およびエアロゾルが周囲に飛散してしまうことを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のマイク用吸引装置は、マイクに着脱部を介して着脱可能に取り付けられるケース部と、前記マイクの周囲に飛散するエアロゾルを含む空気を、前記ケース部内に吸気させるように動作する駆動部と、前記駆動部の動作により吸気されるエアロゾルを含む空気を清浄化するフィルタと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、マイクに向かって発声する場合に人の口から発せられる飛沫およびエアロゾルが周囲に飛散してしまうことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】マイクおよびマイク用吸引装置の構成の一例を示す斜視図である。
図2】マイクおよびマイク用吸引装置の構成の一例を示す斜視図である。
図3】マイクおよびマイク用吸引装置の構成の一例を示す平面図である。
図4】マイクおよびマイク用吸引装置の構成の一例を示す正面図である。
図5】マイクおよびマイク用吸引装置の構成の一例を示す背面図である。
図6】マイク用吸引装置の分解斜視図である。
図7】マイク用吸引装置のI-I線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本実施形態に係るマイク用吸引装置について図面を参照して説明する。なお、説明を容易にするために、各図には必要に応じて、マイクを正立させた状態を基準として「上」および「下」を記載している。
【0010】
図1および図2は、マイク10およびマイク用吸引装置100の構成を示す斜視図である。図3図5は、マイク10およびマイク用吸引装置100の構成を示す平面図、正面図、背面図である。図6は、マイク用吸引装置100の分解斜視図である。
本実施形態に係るマイク用吸引装置100は、マイク10に着脱可能に取り付けられる。
【0011】
まず、マイク10について図6を参照して説明する。
マイク10は、ヘッド部11と、ボディ部12とを有する。
ヘッド部11は、内部に配置された振動板を保護すると共に空気の振動を振動板に伝達しやすくするように、例えば金属製メッシュにより構成される。ヘッド部11は、2つの略円錐台形状の一方を反転させて上下に結合させた形状であってもよく、略球形状であってもよく、その他の形状であってもよい。ヘッド部11の直径D1は、上下方向のうち中央側が最も大きく、上側および下側に向かうようにしたがって小さくなる。
【0012】
ボディ部12は、ヘッド部11を支持する。ボディ部12は、使用者がマイク10を持つときに、主に手で把持するための把持部として機能する。ボディ部12は、上下方向に沿って長い略円柱状であるが、その他の形状であってもよい。ボディ部12は、直径D2が、上側から下側まで一定であってもよく、上側から下側に向かうほど徐々に小さくなっていてもよい。ボディ部12は、最大の直径が、ヘッド部11の最大の直径よりも小さい。また、ボディ部12の外周面には、マイク10の電源をオンオフするための電源スイッチ13が設けられている。
【0013】
次に、マイク用吸引装置100について説明する。本実施形態のマイク用吸引装置100は、マイク10に着脱可能に取り付けられ、マイク10のヘッド部11の周囲に飛散したエアロゾルを含む空気を吸気して、清浄化した空気を排気する。
マイク用吸引装置100は、ケース部110と、シールド部160と、1次フィルタ170と、駆動部180とを有する。
【0014】
まず、ケース部110について説明する。
ケース部110は、マイク用吸引装置100の各構成部品を支持する支持体として機能する。また、ケース部110の内部は少なくとも一部が中空状であり、空気を流動させるための通路として機能する。ケース部110は、例えば、射出成形により形成された合成樹脂製である。
ケース部110は、吸気部120と、吸排連結部130と、排気部150とを有する。
【0015】
吸気部120は、ケース部110の上部に位置し、吸排連結部130に連結される。吸気部120は、マイク10にマイク用吸引装置100が取り付けられた状態では側面視において、主にヘッド部11と重なり合うように位置する。図6に示すように、吸気部120は、中央に上下方向に沿った貫通孔121を有する。貫通孔121は、マイク10が上方から挿入されることでヘッド部11との間で嵌まり合い、マイク10にマイク用吸引装置100を取り付けることができる。貫通孔121の内径は、マイク10のボディ部12の最大の直径よりも大きく、ヘッド部11の最大の直径よりも小さい。貫通孔121は、マイク用吸引装置100(あるいはケース部110)をマイク10に着脱可能に取り付けるときの第1の着脱部として機能する。
【0016】
図7は、図3のI-I線を鉛直方向に沿って切断して矢印方向から見た断面図である。
吸気部120は、貫通孔121を取り囲む環状部122を有する。環状部122は、内部が周方向に沿った中空状であり、吸気部120に吸気された空気が周方向に沿って流動するための吸気通路123が形成される。また、図6に示すように、環状部122は、上面および側面(外周面)に亘って切り欠くように形成された複数の吸気口124を有する。吸気口124は、ケース部110の内部、具体的には吸気部120の吸気通路123と連通している。吸気口124は、マイク10にマイク用吸引装置100が取り付けられた状態では、ヘッド部11に近接して位置する。したがって、ヘッド部11に向かって飛散するエアロゾルを含む空気を、吸気口124から効率よく吸気することができる。また、吸気口124は、周方向に間隔を空けて複数(ここでは20個)、形成されていることからヘッド部11周辺の空気を満遍なく吸気することができる。なお、吸気口124は、環状部122の上面および側面に亘って形成される場合に限られず、上面または側面の何れか一方に形成されていてもよい。
【0017】
また、吸気部120は、環状部122の外周面から水平方向に貫通孔121を中心として外側に向かって円形状に広がる拡張部125と、拡張部125の外周縁から上側に向かって立設される外周壁126と、外周壁126の上端から上側かつ外側に斜めに向かって略ラッパ状に広がる拡開部127とを有する。
吸気部120は、環状部122と、拡張部125と、外周壁126とによって囲まれる空間128が形成される。拡張部125は、底面から立設され、空間128を区画する複数(ここでは20個)のリブ129が形成される。複数のリブ129は、互いに周方向に間隔を空け、貫通孔121の中心軸Cを中心とした放射状に形成される。なお、複数のリブ129は、外周壁126の内周面に結合されている一方で、環状部122の外周面とは結合されておらず離れている。拡張部125には、空間128を上側から覆うように1次フィルタ170が取り付けられる。また、拡開部127には、上側かつ外側に広がるようにシールド部160が取り付けられる。
【0018】
吸排連結部130は、ケース部110の上下方向の略中央に位置し、吸気部120および排気部150に連結される。吸排連結部130は、マイク10にマイク用吸引装置100が取り付けられた状態では正面視あるいは背面視において、主にボディ部12と重なり合うように位置する。吸排連結部130は、側面視において略コ字状あるいは略C字状に形成される。
吸排連結部130は、吸気部120と連結される吸気連結部131と、モータ181を収容するモータ収容部132と、モータ181を駆動するための電源を供給する電源供給部133と、ブロアファン182を収容するファン収容部134と、排気部150と連結される排気連結部135とを有する。
【0019】
吸気連結部131は、吸気部120の環状部122の外周面の一部から外側に水平方向に沿って直線的に延出した後に鉛直方向に垂下して形成される。図7に示すように、吸気連結部131は、内部が中空状であり、吸気部120の吸気通路123と連通する第1の連通通路136が形成される。
モータ収容部132は、吸気連結部131から鉛直方向に連続して垂下して形成される。図7に示すように、モータ収容部132は、モータ181の出力軸が水平方向、かつ貫通孔121の中心線Cを指向するようにモータ181を支持する。また、モータ収容部132は、支持しているモータ181の周囲が中空状であり、吸気連結部131の第1の連通通路136と連通する。
【0020】
電源供給部133は、モータ収容部132から鉛直方向に連続して垂下して形成される。電源供給部133は、複数の電池143を収容する。なお、電源供給部133は、一次電池を収容する場合に限られず、内蔵された二次電池あるいは着脱可能な二次電池を収容してもよく、外部電源(例えばコンセント)から電源の供給を受けるように構成してもよい。また、図7に示すように、電源供給部133の内部は、モータ収容部132の内部と連通しておらず仕切り壁137によって独立している。
【0021】
ファン収容部134は、吸気連結部131、モータ収容部132および排気連結部135により囲まれた空間に位置し、モータ収容部132の内側面および排気連結部135の上面に連結されている。ファン収容部134は、上部が略円形であり、下部が略円柱状に形成される。図7に示すように、ファン収容部134は、モータ181の出力軸に結合されたブロアファン182を回転可能に収容する。また、ファン収容部134は、モータ収容部132からファン収容部134側に張り出したモータ181の一部を支持する。また、ファン収容部134とモータ収容部132は、対面する壁に開口部138が形成されており、モータ収容部132の内部とファン収容部134の内部とが開口部138を通して連通している。また、ファン収容部134は、ブロアファン182から下側に向かう第2の連通通路139が形成される。第2の連通通路139は、マイク10のボディ部12の長手方向に沿って平行に形成される。
【0022】
排気連結部135は、電源供給部133の下部の内側面から貫通孔121の中心線Cに向かって水平方向に沿って直線的に延出して形成される。図6に示すように、排気連結部135の先端の内側面には、半円状に切り欠かれた切欠部140を有する。また、排気連結部135の先端の切欠部140を挟んだ一方には伸張可能なゴム製のバンド部141の一端が結合され、他方にはバンド部141の他端を係合させるための係合部142が形成される。切欠部140は、マイク10のボディ部12との間で嵌め合わせた状態で、バンド部141をボディ部12の外周面を取り囲むように巻き付けて係合部142に係合することで、マイク10をマイク用吸引装置100に取り付けることができる。切欠部140およびバンド部141は、マイク用吸引装置100(あるいはケース部110)をマイク10に着脱可能に取り付けるときの第2の着脱部として機能する。バンド部141は、ボディ部12の直径の大きさに合わせて伸縮することから、ボディ部12の直径に応じて調整可能である。バンド部141は調整手段の一例に対応する。したがって、マイク用吸引装置100は、ボディ部12の直径が異なる各メーカのマイクにガタつくことなく取り付けることができる。なお、マイク10にマイク用吸引装置100が取り付けられた状態では、使用者がボディ部12を手で把持する場合に手の指や甲が吸排連結部130と干渉しないように、吸排連結部130とマイク10のボディ部12との間には手を差し込むことができる隙間が形成される。
【0023】
排気部150は、ケース部110の下部に位置し、吸排連結部130に連結される。排気部150は、マイク10にマイク用吸引装置100が取り付けられた状態では正面視および背面視において、マイク10のヘッド部11あるいは電源スイッチ13よりも下側であって、ボディ部12の下端と重なり合うように位置する。排気部150は、略円柱状に形成される。
排気部150は、交換可能な2次フィルタ部151と、2次フィルタ部151を保護するフィルタカバー部152とを有する。
【0024】
2次フィルタ部151は、略筒状に形成される。2次フィルタ部151は、中央に上下方向に沿った有底孔153を有し、有底孔153を取り囲む態様で2次フィルタ154が配置される。2次フィルタ154は、排気部150から排気される空気を清浄化する機能を有する。2次フィルタ154は、主に周方向に沿って配置されながら、内側と外側とで交互に折り返して蛇腹状に形成されていることから、空気が2次フィルタ154を通過するときの表面積を増大させることができる。2次フィルタ154は、例えばHEPAフィルタ等のエアフィルタを用いることができるが、他のフィルタであってもよい。2次フィルタ部151は、上端を排気連結部135の下端に結合することで吸排連結部130に連結することができる。2次フィルタ部151を排気連結部135に結合した状態では、ファン収容部134の第2の連通通路139と2次フィルタ部151の有底孔153とを隙間なく連通させることができる。
【0025】
フィルタカバー部152は、略筒状に形成される。フィルタカバー部152は、内部に2次フィルタ部151を側方および下側から覆うことで、内部に2次フィルタ部151が収容される。換言すると、2次フィルタ部151は、フィルタカバー部152を含むケース部110内に配置される。また、フィルタカバー部152は、側面(外周面)および下面に亘って切り欠くように形成された複数の排気口155を有する。排気口155は、ケース部110の内部、具体的にはフィルタカバー部152の内部と連通している。また、排気口155は、周方向に間隔を空けて複数(ここでは15個)、形成されていることから2次フィルタ部151を通過した空気の圧力を分散させて排気することができる。また、フィルタカバー部152は、上端を2次フィルタ部151の上端あるいは排気連結部135の下端に結合することで、フィルタカバー部152の内部に2次フィルタ部151を収容することができる。なお、排気口155は、側面および下面に亘って形成される場合に限られず、側面または下面の何れか一方に形成されていてもよい。例えば、排気口155を下面のみに形成することで排気される空気の向きを下側に指向させることができる。
【0026】
次に、シールド部160について説明する。
シールド部160は、人の口から発せられた飛沫およびエアロゾルが周囲に広く飛散しないように遮蔽する機能を有する。シールド部160は、円錐台の側面と同様な形状に形成される。シールド部160は、透明なシートであり、例えばポリプロピレン等の合成樹脂製である。シールド部160は、下端がケース部110の吸気部120のうち拡開部127に着脱可能に取り付けられる。拡開部127に取り付けられたシールド部160は、吸気部120の貫通孔121の中心軸Cを中心として上側かつ外側に広がるように位置する。したがって、マイク10のヘッド部11に向かって発せられた飛沫およびエアロゾルが周囲に広く飛散しないように遮蔽することができる。
【0027】
次に、1次フィルタ170について説明する。
1次フィルタ170は、ケース部110の吸気部120から吸気される空気を清浄化する機能を有する。図6に示すように、1次フィルタ170は、中央に孔を有する略円形状のシート状である。1次フィルタ170は、外周縁に上側に向かって折返された外側折返し部171と、内周縁に下側に向かって折返された内側折返し部172とを有する。1次フィルタ170は、例えば不織布を用いることができるが、他のフィルタであってもよい。なお、1次フィルタ170は、2次フィルタ154と比べてろ過効率が小さいフィルタを用いることができる。1次フィルタ170は、吸気部120の拡張部125の空間128を上側から覆うようにして、外側折返し部171を拡開部127とシールド部160との間に挟持させることでケース部110に取り付けられる。1次フィルタ170をケース部110に取り付けた状態では、1次フィルタ170はリブ129の上端および環状部122の上端に載置され、内側折返し部172が吸気部120の貫通孔121の内側に位置する。
【0028】
次に、駆動部180について説明する。
駆動部180は、マイク10の周囲に飛散するエアロゾルを含む空気をケース部110内に吸気させる機能を有する。図7に示すように、駆動部180は、モータ181と、モータ181によって回転するブロアファン182と、吸気部120の吸気通路123に配置される音センサ部183とを有する。モータ181は、ケース部110の吸排連結部130のうちモータ収容部132に収容される。モータ181は、電源供給部133から電源が供給されることにより出力軸が回転する。また、モータ181は、例えば直流モータを用いることができるが、他のモータであってもよい。ブロアファン182は、モータ181の出力軸に結合され、出力軸と同期して回転する。ブロアファン182は、ケース部110の吸排連結部130のうちモータ収容部132に収容される。ブロアファン182は複数のランナ184を有し、ブロアファン182が回転することで、モータ181側の周囲の空気をブロアファン182側に吸引して、ランナ184による遠心力によってブロアファン182の外側に向かって排出する。音センサ部183は、音を検出した場合に電源供給部133からモータ181に対して電源の供給を許容し、音を検出しない場合には電源供給部133からモータ181に対して電源の供給を遮断する。なお、音センサ部183は、例えば、制御部としてのリレー回路を有し、リレー回路が電源供給部133からモータ181に対して電源を供給するか遮断するかを切り替える。なお、音センサ部183は、吸気通路123とは異なる位置に配置されていてもよい。
【0029】
次に、上述するように構成されたマイク用吸引装置100をマイク10に取り付ける場合について説明する。
まず、予め、2次フィルタ部151の上端を排気連結部135の下端に結合することで2次フィルタ部151を吸排連結部130に取り付けると共に、フィルタカバー部152で2次フィルタ部151を保護する。また、ケース部110の吸気部120の拡開部127にシールド部160を取り付ける。更に、1次フィルタ170の外側折返し部171を拡開部127とシールド部160との間に挟持させることでケース部110に1次フィルタ170を取り付ける。
【0030】
次に、マイク10のボディ部12を上方からケース部110の吸気部120の貫通孔121に挿入することで、貫通孔121がヘッド部11との間で嵌まり合う。このとき、1次フィルタ170の内側折返し部172は貫通孔121の内側まで至っていることから、ボディ部12を貫通孔121に挿入したときに内側折返し部172が貫通孔121内で下側に向かって折返され、ヘッド部11と貫通孔121の内周面との間で挟持される。したがって、1次フィルタ170を外れないようにケース部110に取り付けることができる。また、マイク10のボディ部12が排気連結部135の切欠部140に対面することから、マイク10のボディ部12を切欠部140に嵌め合わせた状態で、バンド部141をボディ部12に巻き付けて係合部142で係合することで、マイク用吸引装置100をマイク10に取り付けることができる。
【0031】
次に、マイク10に取り付けたマイク用吸引装置100の動作について図7を参照して説明する。
使用者は、マイク10のヘッド部11に向かって発声することで、吸気部120に配置された音センサ部183が音を検出する。音センサ部183が音を検出することにより、モータ181およびブロアファン182がケース部110内に空気を吸気させるように動作する。具体的には、電源供給部133の電池143からモータ181に対して電源の供給が開始され、モータ181が回転する。モータ181が回転することによりブロアファン182が回転し、空気が吸気部120からケース部110内に吸気され排気部150から排気するという空気の流れが発生して、ヘッド部11の周囲に飛散した飛沫およびエアロゾルがケース部110の吸気部120に向かうように吸引される。
【0032】
具体的には、図7の矢印A1に示すように、マイク10のヘッド部11の周囲に発声することで飛散した飛沫およびエアロゾルを含む空気が、吸気部120の環状部122の複数の吸気口124を通って吸気通路123に流入しようとする。このとき、1次フィルタ170がリブ129の上端および環状部122の上端に載置された状態で取り付けられている。すなわち、1次フィルタ170は吸気口124の上流側の位置に取り付けられていることから、吸気部120から吸気される空気に含まれる飛沫および一部のエアロゾルは、吸気口124を通る前に1次フィルタ170によって捕捉され、清浄化される。
【0033】
次に、図7の矢印A2に示すように、吸気通路123に流入した空気は、吸気連結部131の第1の連通通路136からモータ181の周囲に流入し、モータ181側から開口部138を通してブロアファン182側に流入する。
次に、図7の矢印A3に示すように、ブロアファン182側に流入した空気は、ランナ184による遠心力によってブロアファン182側から第2の連通通路139を通って排気部150の2次フィルタ部151の有底孔153に流入する。
【0034】
最後に、図7の矢印A4に示すように、2次フィルタ部151の有底孔153に流入した空気は、2次フィルタ部151の2次フィルタ154を通過して、フィルタカバー部152の複数の排気口155から排気部150の外側に排気される。このとき、排気部150から排気される空気に含まるエアロゾルは、排気口155を通る前に2次フィルタ154によって捕捉され、清浄化される。また、排気部150はマイク10のヘッド部11よりも下側に位置することから、排気部150から排気された空気がマイク10の使用者の顔周辺に吹き付けられることを抑制することができる。
【0035】
使用者は発声を終了することで、音センサ部183が音を検出しなくなるために、電源供給部133からモータ181に対して電源の供給が遮断される。したがって、空気が吸気部120からケース部110内に吸気され排気部150から排気するという空気の流れが停止する。このように、音センサ部183が音を検出していない場合にモータ181に対して電源の供給を遮断することで、電源供給部133の電池143の消耗を抑制することができる。なお、駆動部180は図示しないタイマー部を有していてもよい。音センサ部183は、音を検出しなくなってからタイマー部が所定時間(例えば、15秒、30秒、60秒等)をカウントした後に、電源供給部133からモータ181に対して電源の供給を遮断するようにしてもよい。
【0036】
なお、マイク用吸引装置100を管理する管理者(例えばカラオケ業者の従業員)は、シールド部160、1次フィルタ170、2次フィルタ部151を定期的に交換する。このとき、シールド部160および1次フィルタ170は、2次フィルタ部151に比べて交換する頻度を多くしてもよい。例えば、管理者は歌唱する使用者ごとあるいは歌唱するグループごとにシールド部160および1次フィルタ170を交換する一方、1日あるいは数日ごとに2次フィルタ部151を交換する。また、例えば、管理者は、シールド部160、1次フィルタ170および2次フィルタ部151の少なくとも何れか一つを洗浄したり清掃したりすることで再利用してもよい。
【0037】
このように本実施形態のマイク用吸引装置100は、マイク10に着脱部を介して着脱可能に取り付けられるケース部110と、マイク10の周囲に飛散するエアロゾルを含む空気を、ケース部110内に吸気させるように動作する駆動部180と、駆動部180の動作により吸気されるエアロゾルを含む空気を清浄化する1次フィルタ170、2次フィルタ154とを備える。したがって、マイク10の使用者がマイク10に向かって発声する場合に人の口から発せられるエアロゾルを含む空気は、ケース部110内に吸気され、1次フィルタ170、2次フィルタ154によって清浄化されることから、人の口から発せられる飛沫およびエアロゾルが周囲に飛散してしまうことを抑制することができる。
【0038】
以上、本発明を上述した実施形態を用いて説明したが、本発明は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能である。
【0039】
上述した実施形態のマイク用吸引装置100は、エアロゾルを含む空気を清浄化するフィルタとして、1次フィルタ170および2次フィルタ154を備える場合について説明したが、この場合に限られない。例えば、マイク用吸引装置100は、1次フィルタ170および2次フィルタ154の何れか一方のフィルタを備えていてもよい。
【0040】
上述した実施形態のマイク用吸引装置100は、ケース部110内に吸気させるように動作する駆動部としてブロアファン182を備える場合について説明したが、この場合に限られない。例えば、マイク用吸引装置100は、軸流ファンや遠心ファン等のタイプが異なるファンを備えていてもよい。
【0041】
上述した実施形態では、2次フィルタ部151がケース部110の一部を構成するものとして説明したが、2次フィルタ部151はケース部110の構成に含めなくてもよい。
上述した実施形態のマイク用吸引装置100は、2次フィルタ部151がケース部110内に位置する場合について説明したが、この場合に限られない。例えば、マイク用吸引装置100は、ケース部110の排気口の下流側にフィルタを交換可能に配置してもよい。具体的には、まず、フィルタカバー部152をマイク用吸引装置100の構成から排除し、フィルタカバー部152の排気口155の代わりに第2の連通通路139の下端を排気口にする。この排気口に2次フィルタ部151を着脱可能に取り付けることで、ケース部110の排気口の下流側にフィルタを交換可能に配置することができる。
【0042】
上述した実施形態のマイク用吸引装置100は、駆動部180が音センサ部183を有する場合について説明したが、この場合に限られず、音センサ部183を有していなくてもよい。また、マイク用吸引装置100は、モータ181を駆動させるための電源スイッチを備えていてもよい。
【符号の説明】
【0043】
10:マイク 11:ヘッド部 12:ボディ部 13:電源スイッチ 100:マイク用吸引装置 110:ケース部 120:吸気部 130:吸排連結部 150:排気部 124:吸気口 154:2次フィルタ 155:排気口 170:1次フィルタ 180:駆動部 181:モータ 182:ブロアファン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7