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特開2022-114783画像判定装置、画像判定方法、および、画像判定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022114783
(43)【公開日】2022-08-08
(54)【発明の名称】画像判定装置、画像判定方法、および、画像判定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/62 20170101AFI20220801BHJP
   E04G 21/12 20060101ALI20220801BHJP
【FI】
G06T7/62
E04G21/12 105Z
E04G21/12 ESW
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021011214
(22)【出願日】2021-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】有田 真一
(72)【発明者】
【氏名】徳井 圭
(72)【発明者】
【氏名】北浦 竜二
(72)【発明者】
【氏名】吉武 謙二
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096BA03
5L096CA02
5L096DA02
5L096FA64
(57)【要約】
【課題】鉄筋規格判定の精度を向上する。
【解決手段】画像判定装置(1)は、鉄筋の撮影画像から鉄筋の径を算出する画像処理部(131)と、鉄筋のメーカを示すメーカ情報を取得する取得部(132)と、メーカごとに、鉄筋の規格を示す規格データと規格の鉄筋径の範囲を示す鉄筋範囲データとを対応付けた鉄筋規格情報を参照し、算出した鉄筋の径と取得したメーカ情報とから鉄筋の規格を判定する規格判定部(133)とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄筋を撮影した撮影画像から当該鉄筋の径を算出する画像処理部と、
前記鉄筋のメーカを示すメーカ情報を取得する取得部と、
鉄筋のメーカごとに、当該鉄筋の規格を示す規格データと、当該規格の鉄筋径の範囲を示す鉄筋範囲データとを対応付けた鉄筋規格情報を参照して、前記算出した鉄筋の径と、前記取得したメーカ情報とから、当該鉄筋の規格を判定する規格判定部と、
を備えることを特徴とする画像判定装置。
【請求項2】
鉄筋を撮影した撮影画像から当該鉄筋の径を算出する画像処理部と、
前記鉄筋が使用される現場を示す現場情報を取得する取得部と、
鉄筋が使用される現場ごとに、当該鉄筋の規格を示す規格データと、当該規格の鉄筋径の範囲を示す鉄筋範囲データとを対応付けた鉄筋規格情報を参照して、前記算出した鉄筋の径と、前記取得した現場情報とから、当該鉄筋の規格を判定する規格判定部と、
を備えることを特徴とする画像判定装置。
【請求項3】
前記鉄筋規格情報に前記規格データおよび前記鉄筋範囲データが追加された場合、
前記規格判定部は、前記追加された前記規格データおよび前記鉄筋範囲データを優先して参照する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像判定装置。
【請求項4】
前記算出した鉄筋の径を用いて、前記鉄筋規格情報に前記規格データおよび前記鉄筋範囲データが追加される
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像判定装置。
【請求項5】
鉄筋を撮影した撮影画像から当該鉄筋の径を算出する画像処理ステップと、
前記鉄筋のメーカを示すメーカ情報を取得する取得ステップと、
鉄筋のメーカごとに、当該鉄筋の規格を示す規格データと、当該規格の鉄筋径の範囲を示す鉄筋範囲データとを対応付けた鉄筋規格情報を参照して、前記算出した鉄筋の径と、前記取得したメーカ情報とから、当該鉄筋の規格を判定する規格判定ステップと、
を含むことを特徴とする画像判定方法。
【請求項6】
鉄筋を撮影した撮影画像から当該鉄筋の径を算出する画像処理ステップと、
前記鉄筋が使用される現場を示す現場情報を取得する取得ステップと、
鉄筋が使用される現場ごとに、当該鉄筋の規格を示す規格データと、当該規格の鉄筋径の範囲を示す鉄筋範囲データとを対応付けた鉄筋規格情報を参照して、前記算出した鉄筋の径と、前記取得した現場情報とから、当該鉄筋の規格を判定する規格判定ステップと、
を含むことを特徴とする画像判定方法。
【請求項7】
請求項1から4の何れか1項に記載の画像判定装置としてコンピュータを機能させるための画像判定プログラムであって、前記画像処理部、前記取得部、および、前記規格判定部としてコンピュータを機能させるための画像判定プログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像判定装置、画像判定方法、および、画像判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、デジタル画像を撮影して画像処理により三次元位置を算出する装置の開発が進められている。このような装置を配筋検査に適用し、鉄筋径、鉄筋間隔等を検査する技術が検討されている。例えば、特許文献1には、撮影画像から取得した鉄筋の最大径と、規格ごとに最大径の範囲を示す鉄筋規格情報とに基づいて、当該鉄筋の規格を判定する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-40549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、撮影画像から鉄筋の最大径を算出するのは困難であることが多い。これは、表面に節、リブ等の凹凸が存在する異形鉄筋には、鉄筋外形のうち最大径を示す領域が少ないためである。さらに、実際に鉄筋を計測する現場では、照明光の影響、汚れ、錆等、背景の鉄筋、リブの位置等の様々な誤差要因が存在し、最大径を示す領域から径を算出するのは難しくなる。また、鉄筋の最小径を算出するためには、最小径を示す領域から算出する必要があり、鉄筋のエッジ全体から算出することができない。
【0005】
一方、鉄筋エッジ全体から鉄筋径を算出する場合には、最大径を示す領域、最小径を示す領域、節の中間等、多くのエッジを利用するため、鉄筋径を安定して算出することができる。この場合、鉄筋径は、最小径と、最大径との間の範囲に含まれる。
【0006】
しかし、鉄筋エッジ全体から算出した鉄筋径が規格の最大径または最小径の近傍である場合、隣接する規格の何れであるかを判定する必要が生じる。まず、図8左図に示すように、規格ごとの(例えば、Daの)鉄筋径の範囲は、各メーカの鉄筋径の範囲を合わせたものになる。その場合、図8右図に示すように、隣接する鉄筋規格Daと、Dbとの間には、鉄筋径の範囲が重なる部分Hが存在し得る。
【0007】
これは、個体差だけでなく、鉄筋メーカによっても、規格ごとの鉄筋径の範囲が異なるためである。すなわち、例えば、各鉄筋規格の最小径から最大径までの範囲を、各鉄筋メーカの最小径から最大径までの範囲を含むようにした場合、鉄筋規格Daに該当するメーカAの最大径よりもメーカBの最大径が大きく、鉄筋規格Dbに該当するメーカBの最小径よりもメーカAの最小径が小さいため、隣接する鉄筋規格Daと鉄筋規格Db間で最小径から最大径までの範囲が重なる部分Hが広くなる。
【0008】
そして、算出した鉄筋径が部分Hの範囲に含まれると、鉄筋規格DaおよびDbの何れなのかを判定するのが難しいので、重なる部分Hが広くなるほど、鉄筋規格判定の精度が低下する可能性がある。
【0009】
本発明の一態様は、鉄筋規格判定の精度を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る画像判定装置は、鉄筋を撮影した撮影画像から当該鉄筋の径を算出する画像処理部と、前記鉄筋のメーカを示すメーカ情報を取得する取得部と、鉄筋のメーカごとに、当該鉄筋の規格を示す規格データと、当該規格の鉄筋径の範囲を示す鉄筋範囲データとを対応付けた鉄筋規格情報を参照して、前記算出した鉄筋の径と、前記取得したメーカ情報とから、当該鉄筋の規格を判定する規格判定部と、を備える。
【0011】
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る画像判定装置は、鉄筋を撮影した撮影画像から当該鉄筋の径を算出する画像処理部と、前記鉄筋が使用される現場を示す現場情報を取得する取得部と、鉄筋が使用される現場ごとに、当該鉄筋の規格を示す規格データと、当該規格の鉄筋径の範囲を示す鉄筋範囲データとを対応付けた鉄筋規格情報を参照して、前記算出した鉄筋の径と、前記取得した現場情報とから、当該鉄筋の規格を判定する規格判定部と、を備える。
【0012】
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る画像判定方法は、鉄筋を撮影した撮影画像から当該鉄筋の径を算出する画像処理ステップと、前記鉄筋のメーカを示すメーカ情報を取得する取得ステップと、鉄筋のメーカごとに、当該鉄筋の規格を示す規格データと、当該規格の鉄筋径の範囲を示す鉄筋範囲データとを対応付けた鉄筋規格情報を参照して、前記算出した鉄筋の径と、前記取得したメーカ情報とから、当該鉄筋の規格を判定する規格判定ステップと、を含む。
【0013】
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る画像判定方法は、鉄筋を撮影した撮影画像から当該鉄筋の径を算出する画像処理ステップと、前記鉄筋が使用される現場を示す現場情報を取得する取得ステップと、鉄筋が使用される現場ごとに、当該鉄筋の規格を示す規格データと、当該規格の鉄筋径の範囲を示す鉄筋範囲データとを対応付けた鉄筋規格情報を参照して、前記算出した鉄筋の径と、前記取得した現場情報とから、当該鉄筋の規格を判定する規格判定ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、鉄筋規格判定の精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態1に係る画像判定装置の使用態様の一例を示す模式図である。
図2】本発明の実施形態1に係る画像判定装置の構成を示す図である。
図3】本発明の実施形態1に係る鉄筋規格情報の構成を示す図である。
図4】本発明の実施形態1に係る画像判定装置の処理を示すフローチャートである。
図5】本発明の実施形態2に係る画像判定装置の構成を示す図である。
図6】本発明の実施形態2に係る鉄筋規格情報の構成を示す図である。
図7】本発明の実施形態2に係る画像判定装置の処理を示すフローチャートである。
図8】従来技術に係る鉄筋規格の範囲を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
〔実施形態1〕
以下、本発明の実施形態1について、図1から図4に基づいて説明する。
【0017】
(画像判定装置1の使用例)
図1は、本実施形態に係る画像判定装置1の使用態様の一例を示す模式図である。画像判定装置1は、対象である異形鉄筋を撮影することによって、撮影画像から異形鉄筋の径(以下、鉄筋径と称す)を算出し、当該鉄筋径から規格(「呼び名」ともいう)を判定する。なお、異形鉄筋とは、鉄筋表面において突起部である節、リブ等を有する鉄筋のことである。一態様において、節は、鉄筋の軸方向に直交または斜めに交差する方向に沿って設けられる。リブは、鉄筋の軸方向に連続して設けられる。
【0018】
図1に示すように、画像判定装置1は、異形鉄筋BAを撮影して撮影画像102を取得し、撮影画像102から異形鉄筋BAの鉄筋径を算出し、当該鉄筋径から規格を判定する。そして、画像判定装置1は、表示部14において、撮影画像102と、異形鉄筋BAの鉄筋径の算出結果103、および、鉄筋規格の判定結果104とを表示させる。
【0019】
図1に示す例において、画像判定装置1は、以下のように動作する。まず、画像判定装置1は、具備する撮像部11および12によって異形鉄筋BAを撮影する。続いて、画像判定装置1は、撮像部11および12により取得した撮影画像を用いて、異形鉄筋BAの鉄筋径を算出し、鉄筋規格を判定する。最後に、画像判定装置1は、撮像部11および12により取得した撮影画像102と、算出結果103と、判定結果104とを、表示部14に送信する。
【0020】
なお、本実施形態では、異形鉄筋BAの撮影と、異形鉄筋BAの鉄筋径の算出と、鉄筋規格の判定とを画像判定装置1によって処理し、撮影画像102と、算出結果103と、判定結果104との表示を表示部14で行う場合について説明する。しかしながら、本発明の一形態としてはこれに限定されず、これらの処理を全て同一の端末において行ってもよく、または、これらの処理の一部をサーバにおいて行ってもよい。
【0021】
また、図1に示す例では、鉄筋径の算出を行う異形鉄筋の数は1本となっているが、鉄筋径の算出を行う異形鉄筋の本数は1本である必要はなく、2本以上の異形鉄筋の鉄筋径を同時に算出し、算出結果を表示してもよい。
【0022】
(画像判定装置1の構成)
図2は、本実施形態に係る画像判定装置1の構成を示す図である。画像判定装置1は、撮像部11および12と、制御部13と、表示部14と、入力部15と、記憶部16とを備えている。
【0023】
撮像部11および12は、設定された露出、フォーカス位置等の撮影条件により画像を取得する。撮像部11および12は、CCD(Charge Coupled Device)センサ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等の固体撮像素子、レンズ等から構成される。
【0024】
制御部13は、画像処理により鉄筋径(継ぎ手長さ)を算出し、当該鉄筋径から規格を判定する。制御部13は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等によるソフトウェア処理によって実現されてもよいし、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等によるハードウェア処理によって実現されてもよい。
【0025】
表示部14は、撮像部11および12で取得した画像、算出結果、判定結果等を表示する。表示部14は、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等から構成される。入力部15は、ユーザの操作に応じてデータを画像判定装置1内に取り込む。入力部15は、例えば、マウス、キーボード、表示部14のタッチパネル等から構成される。記憶部16は、画像、算出結果、判定結果等を記憶する。記憶部16は、例えば、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)等から構成される。
【0026】
(制御部13の構成)
図2に示すように、制御部13は、画像処理部131と、取得部132と、規格判定部133とを備えている。画像処理部131は、鉄筋を撮影した撮影画像から当該鉄筋の径を算出する。取得部132は、鉄筋のメーカを示すメーカ情報を取得する。規格判定部133は、鉄筋のメーカごとに、当該鉄筋の規格を示す規格データと、当該規格の鉄筋径の範囲を示す鉄筋範囲データとを対応付けた鉄筋規格情報20を参照して、算出した鉄筋の径と、取得したメーカ情報とから、当該鉄筋の規格を判定する。
【0027】
(画像処理部131の処理)
画像処理部131は、撮像部11および12で撮影された2つの画像から視差を算出し、当該画像内の被写体の三次元情報を算出する。視差は、2つの画像間の被写体のずれ量であり、ブロックマッチング等により算出可能である。ブロックマッチングでは、基準となる画像の注目画素に基準窓を設定し、参照する画像に参照窓を順次設定し、基準窓と、参照窓との間における、画素の類似度または相違度を評価する。画素の評価には、SAD(Sum of Absolute Difference)、SSD(Sum of Squared Difference)等が使用される。
【0028】
撮影された被写体までの距離Zと、視差Dとの関係は、D=f×B/Zである。fは撮像部11および12の焦点距離であり、Bは2つの撮像部11、12間の距離である。また、画像上の座標(x、y)における距離Zの被写体の三次元座標(X、Y、Z)は、X=x×Z/f、Y=y×Z/fにより算出される。
【0029】
ここで、本実施形態に係る画像判定装置1では、2つの撮像部11および12が撮影した画像から三次元情報を算出する方法で説明するが、3つ以上の撮像部が撮影した画像から算出してもよいし、TOF(Time Of Flight)により取得してもよい。
【0030】
画像処理部131は、撮影された画像と、算出された三次元情報とに基づいて、鉄筋径を算出する。鉄筋径の算出方法には様々な方法があり、それらの方法を、本実施形態に係る画像判定装置1に適用することができる。
【0031】
画像処理部131は、例えば、画像情報からエッジを検出し、検出されたエッジに対してハフ変換を行って直線情報を抽出し、傾き、組み合わせ等を考慮して、鉄筋の位置を特定する。そして、画像処理部131は、特定された鉄筋の位置周辺のエッジの三次元座標を視差から算出し、特定された鉄筋の軸方向と平行な三次元直線を鉄筋周辺のエッジにフィッティングし、フィッティングされた2つの三次元直線の距離から算出する方法がある。
【0032】
(規格判定部133の処理)
規格判定部133は、予め設定された鉄筋規格情報20を参照して、算出された鉄筋径から鉄筋規格を判定する。鉄筋規格情報20は、記憶部16が記憶しておいてもよいし、制御部13で実行されるプログラムに組み込まれてもよいし、記憶部16とは異なる記憶デバイス、ネットワークを介して接続されたサーバ等から読み込まれてもよい。
【0033】
図3は、本実施形態に係る鉄筋規格情報20の構成を示す図である。図3に示すように、鉄筋規格情報20には、鉄筋規格(規格データ)ごとに鉄筋の最小径、最大径(鉄筋径の最小値、最大値)による径の範囲(鉄筋範囲データ)が含まれている。ここで、鉄筋規格情報20に含まれる鉄筋規格ごとの鉄筋径の範囲は、鉄筋メーカを示すメーカ情報(A社、B社等)ごとに規定される。例えば、図3に示すように、鉄筋メーカと、鉄筋規格との関係が規定される。
【0034】
一方、一つの現場で使用される鉄筋は、複数の規格に亘ることがあるが、鉄筋メーカが同じであることが多い。そこで、本実施形態に係る画像判定装置1には、現場で使用されている鉄筋のメーカが事前に設定される。詳細には、取得部132が、入力部15から鉄筋のメーカを示すメーカ情報を取得し、記憶部16に記憶させる。
【0035】
そして、規格判定部133は、鉄筋規格情報20の中から、事前に設定されているメーカ情報と合致する鉄筋径の範囲を読み出して、算出された鉄筋径と比較することにより、鉄筋規格を判定する。これにより、鉄筋メーカによる鉄筋径の範囲に違いがあっても、鉄筋規格判定の精度を向上することができる。
【0036】
例えば、図3において、設定されている鉄筋メーカがA社であり、算出された鉄筋径がDAであり、A19_min<DA<A19_maxであった場合、制御部13は、鉄筋規格をD19と判定して出力する。詳細には、制御部13は、鉄筋規格の判定結果を、格納したテキストデータ、または、鉄筋の撮影画像に重畳した画像データとして、記憶部16に記憶させたり、表示部14に表示させたりする。
【0037】
ここで、図3では、各メーカの鉄筋規格および鉄筋径の範囲を全て規定した例を示したが、存在しない鉄筋規格がある場合には規定しなくてもよい。規格判定部133は、必要に応じて、類似したメーカの値を使用してもよいし、全メーカの平均値を使用してもよい。また、鉄筋径の範囲を最小径および最大径で示したが、中心値と幅で表してもよく、例えば、50mm±2mm、50mm±4%等と規定してもよい。
【0038】
さらに、メーカごとの鉄筋規格情報20において、隣接する鉄筋規格の最小径と、最大径とは同じ値とする必要はなく、最小径および最大径の中間値を、鉄筋規格を判定するときの閾値としてもよい。例えば、図3に示すA社の鉄筋規格情報20において、A16_maxと、A19_minとは、同じ値ではなく、A16_max<A19_minと規定する。そして、規格判定部133は、算出して得られた鉄筋径と、(A16_max+A19_min)/2とを比較し、より小さければD16と判定し、より大きければD19と判定する。また、竹節、ネジ節等鉄筋の形状ごとに、鉄筋規格と、鉄筋径の範囲とを規定してもよい。
【0039】
(画像判定装置1の処理)
図4は、本実施形態に係る画像判定装置1の処理を示すフローチャートである。
【0040】
(ステップS401)
画像判定装置1において、まず、撮像部11および12が鉄筋を撮影し、その撮影画像のデータをメモリに格納する。
【0041】
(ステップS402:画像処理ステップ)
次に、画像処理部131は、撮影画像から鉄筋径を算出する。
【0042】
(ステップS403:取得ステップ)
続いて、規格判定部133は、予め設定されている鉄筋メーカを示すメーカ情報を、例えば、記憶部16から読み出す。
【0043】
(ステップS404)
そして、規格判定部133は、ステップS403で読み出されたメーカ情報に基づいて、鉄筋規格情報20から鉄筋規格の鉄筋径範囲を読み出す。
【0044】
(ステップS405:規格判定ステップ)
次に、規格判定部133は、ステップS402で算出された鉄筋径と、ステップS404で読み出された鉄筋径範囲とを比較することにより、鉄筋規格を判定する。
【0045】
(ステップS406)
制御部13は、ステップS402で算出された鉄筋径と、ステップS405で判定された鉄筋規格とを表示部14に表示させる。
【0046】
なお、鉄筋規格情報20に規格データおよび鉄筋範囲データが追加された場合、規格判定部133は、追加された規格データおよび鉄筋範囲データを優先して参照してもよい。
【0047】
また、算出した鉄筋の径を用いて、鉄筋規格情報20に規格データおよび鉄筋範囲データが追加されてもよい。
【0048】
以上で説明したように、本実施形態に係る画像判定装置1は、鉄筋規格を判定するときの鉄筋規格情報20に、鉄筋メーカを示すメーカ情報ごとに鉄筋規格の鉄筋径の範囲を規定し、ユーザから設定された鉄筋メーカの鉄筋径の範囲と、算出された鉄筋径を比較して鉄筋規格を判定する。これにより、鉄筋メーカ間の鉄筋径の差の影響をなくし、鉄筋規格判定の精度を向上することができる。
【0049】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0050】
本実施形態に係る画像判定装置1aは、鉄筋規格情報20aで規定する鉄筋の径の範囲を、現場で使用される鉄筋に基づいて規定する。
【0051】
(画像判定装置1aの構成)
図5は、本実施形態に係る画像判定装置1の構成を示す図である。画像判定装置1aは、撮像部11、12と、制御部13aと、表示部14と、入力部15と、記憶部16とを備えている。
【0052】
(制御部13aの構成)
図5に示すように、本実施形態に係る制御部13aは、画像処理部131aと、取得部132aと、規格判定部133aとを備えている。画像処理部131aは、鉄筋を撮影した撮影画像から当該鉄筋の径を算出する。取得部132aは、鉄筋が使用される現場を示す現場情報を取得する。規格判定部133aは、鉄筋が使用される現場ごとに、当該鉄筋の規格を示す規格データと、当該規格の鉄筋径の範囲を示す鉄筋範囲データとを対応付けた鉄筋規格情報20aを参照して、算出した鉄筋の径と、取得した現場情報とから、当該鉄筋の規格を判定する。
【0053】
(規格判定部133aの処理)
規格判定部133aは、予め設定された鉄筋規格情報20aを参照して、算出された鉄筋径から鉄筋規格を判定する。鉄筋規格情報20aは、記憶部16が記憶しておいてもよいし、制御部13aで実行されるプログラムに組み込まれてもよいし、記憶部16とは異なる記憶デバイス、ネットワークを介して接続されたサーバ等から読み込まれてもよい。
【0054】
図6は、本実施形態に係る鉄筋規格情報20aの構成を示す図である。図6に示すように、鉄筋規格情報20aには、鉄筋規格(規格データ)ごとに鉄筋の最小径、最大径(鉄筋径の最小値、最大値)による径の範囲(鉄筋範囲データ)が含まれている。ここで、鉄筋規格情報20aに含まれる鉄筋規格ごとの鉄筋径の範囲は、鉄筋が使用される現場を示す現場情報(E現場、F現場等)ごとに規定される。例えば、図6に示すように、現場と、鉄筋規格との関係が規定される。
【0055】
現場で使用される鉄筋のメーカおよび規格は、鉄筋メーカへの発注情報、設計情報等により判別できる。そのため、鉄筋規格情報20aは、鉄筋を使用する現場ごとに規定可能である。鉄筋規格情報20aは、場所が異なる建設現場ごとに規定されてもよいし、同一の建設現場の異なる建屋、トンネル等ごとに規定してもよい。
【0056】
これにより、同一現場での鉄筋規格判定であれば、当該現場を示す現場情報に対応する鉄筋規格情報20aを一度設定するだけで、鉄筋規格を判定する度に鉄筋規格および鉄筋径の範囲を追加することなく、鉄筋規格判定の精度を向上することができる。
【0057】
現場ごとの鉄筋規格および鉄筋径の範囲は、本社、支社等、工事を管理する部門が作成したり、現場の担当者が作成したりしてもよい。作成された鉄筋規格情報20aをサーバ等で共有化することにより、現場情報を設定するだけで、複数の端末で現場ごとの鉄筋規格および鉄筋径の範囲に基づいて、鉄筋規格を判定することができる。
【0058】
これにより、現場で使用される鉄筋に合わせて、鉄筋規格および鉄筋径の範囲が規定されるため、鉄筋メーカ間の鉄筋径の差による影響をなくし、鉄筋規格判定の精度を向上することができる。
【0059】
ここで、現場ごとの鉄筋規格情報20aに鉄筋規格および鉄筋径の範囲を追加する場合には、現場で使用する鉄筋規格に該当する情報のみでよい。追加されなかった情報には、同一の鉄筋メーカの値を使用したり、最小径、最大径の平均値を使用したりする。
【0060】
また、設計された鉄筋規格が使用されているか否かの判定であれば、設計情報に含まれる鉄筋規格以外の鉄筋が使用されていないか否かを判定すればよい。設計された鉄筋規格が使用されていなければ、鉄筋径の判定結果が規定外である旨を通知するようにしてもよい。
【0061】
さらに、現場ごとの鉄筋規格および鉄筋径の範囲を、撮影した画像の算出結果を用いて追加することにより、ユーザが鉄筋規格情報20aを入力する手間が減り、作業時間を短縮することができる。例えば、画像判定装置1aが、現場で使用される鉄筋を撮影し、鉄筋径の算出結果に対して鉄筋規格を割り当てることにより、鉄筋規格情報20aに追加することが可能である。鉄筋径の範囲は、鉄筋規格ごとに予め設定された範囲を追加する。例えば、鉄筋径の算出結果が50mmで、鉄筋規格がD51として割り当てられた場合、D51に対応する鉄筋径の範囲を、例えば、50mm±2mm、50mm±4%等に設定する。この場合、ユーザが鉄筋径の範囲を個別に設定してもよい。
【0062】
(画像判定装置1aの処理)
図7は、本実施形態に係る画像判定装置1aの処理を示すフローチャートである。
【0063】
(ステップS701)
画像判定装置1aにおいて、まず、撮像部11および12が鉄筋を撮影し、その撮影画像のデータをメモリに格納する。
【0064】
(ステップS702:画像処理ステップ)
次に、画像処理部131aは、撮影画像から鉄筋径を算出する。
【0065】
(ステップS703:取得ステップ)
続いて、規格判定部133aは、予め設定されている、鉄筋が使用される現場を示す現場情報を、例えば、記憶部16から読み出す。
【0066】
(ステップS704)
そして、規格判定部133aは、ステップS703で読み出された現場情報に基づいて、鉄筋規格情報20aから鉄筋規格の鉄筋径範囲を読み出す。
【0067】
(ステップS705:規格判定ステップ)
次に、規格判定部133は、ステップS702で算出された鉄筋径と、ステップS704で読み出された鉄筋径範囲とを比較することにより、鉄筋規格を判定する。
【0068】
(ステップS706)
制御部13は、ステップS702で算出された鉄筋径と、ステップS705で判定された鉄筋規格とを表示部14に表示させる。
【0069】
なお、鉄筋規格情報20aに規格データおよび鉄筋範囲データが追加された場合、規格判定部133aは、追加された規格データおよび鉄筋範囲データを優先して参照してもよい。
【0070】
また、算出した鉄筋の径を用いて、鉄筋規格情報20aに規格データおよび鉄筋範囲データが追加されてもよい。
【0071】
上記によれば、本実施形態に係る画像判定装置1aは、現場ごとに規定された、鉄筋規格と、鉄筋径の範囲とを使用して、鉄筋規格の判定をするため、鉄筋規格判定の精度を向上することができる。
【0072】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る画像判定装置は、鉄筋を撮影した撮影画像から当該鉄筋の径を算出する画像処理部と、前記鉄筋のメーカを示すメーカ情報を取得する取得部と、鉄筋のメーカごとに、当該鉄筋の規格を示す規格データと、当該規格の鉄筋径の範囲を示す鉄筋範囲データとを対応付けた鉄筋規格情報を参照して、前記算出した鉄筋の径と、前記取得したメーカ情報とから、当該鉄筋の規格を判定する規格判定部と、を備える。
【0073】
本発明の態様2に係る画像判定装置は、鉄筋を撮影した撮影画像から当該鉄筋の径を算出する画像処理部と、前記鉄筋が使用される現場を示す現場情報を取得する取得部と、鉄筋が使用される現場ごとに、当該鉄筋の規格を示す規格データと、当該規格の鉄筋径の範囲を示す鉄筋範囲データとを対応付けた鉄筋規格情報を参照して、前記算出した鉄筋の径と、前記取得した現場情報とから、当該鉄筋の規格を判定する規格判定部と、を備える。
【0074】
本発明の態様3に係る画像判定装置は、上記態様1または2において、前記鉄筋規格情報に前記規格データおよび前記鉄筋範囲データが追加された場合、前記規格判定部は、前記追加された前記規格データおよび前記鉄筋範囲データを優先して参照してもよい。
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像判定装置。
【0075】
本発明の態様4に係る画像判定装置は、上記態様1または2において、前記算出した鉄筋の径を用いて、前記鉄筋規格情報に前記規格データおよび前記鉄筋範囲データが追加されてもよい。
【0076】
本発明の態様5に係る画像判定方法は、鉄筋を撮影した撮影画像から当該鉄筋の径を算出する画像処理ステップと、前記鉄筋のメーカを示すメーカ情報を取得する取得ステップと、鉄筋のメーカごとに、当該鉄筋の規格を示す規格データと、当該規格の鉄筋径の範囲を示す鉄筋範囲データとを対応付けた鉄筋規格情報を参照して、前記算出した鉄筋の径と、前記取得したメーカ情報とから、当該鉄筋の規格を判定する規格判定ステップと、を含む。
【0077】
本発明の態様6に係る画像判定方法は、鉄筋を撮影した撮影画像から当該鉄筋の径を算出する画像処理ステップと、前記鉄筋が使用される現場を示す現場情報を取得する取得ステップと、鉄筋が使用される現場ごとに、当該鉄筋の規格を示す規格データと、当該規格の鉄筋径の範囲を示す鉄筋範囲データとを対応付けた鉄筋規格情報を参照して、前記算出した鉄筋の径と、前記取得した現場情報とから、当該鉄筋の規格を判定する規格判定ステップと、を含む。
【0078】
本発明の各態様に係る画像判定装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記画像判定装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより上記画像判定装置をコンピュータにて実現させる画像判定装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【0079】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0080】
1、1a 画像判定装置
11、12 撮像部
13、13a 制御部
14 表示部
15 入力部
16 記憶部
20、20a 鉄筋規格情報
131、131a 画像処理部
132、132a 取得部
133、133a 規格判定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8