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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022114806
(43)【公開日】2022-08-08
(54)【発明の名称】生体情報検出装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0245 20060101AFI20220801BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20220801BHJP
【FI】
A61B5/0245 100A
A61B5/0245 C
B60R11/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021011243
(22)【出願日】2021-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴田 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼須賀 直一
(72)【発明者】
【氏名】上田 吾朗
【テーマコード(参考)】
3D020
4C017
【Fターム(参考)】
3D020BA13
3D020BB01
3D020BC01
3D020BE03
4C017AA02
4C017AB04
4C017AC40
4C017BC11
4C017BC16
4C017BD01
4C017FF05
(57)【要約】
【課題】対象者の周囲の動きに起因する生体情報の検出精度の低下を抑制可能な生体情報検出装置を提供する。
【解決手段】生体情報検出装置1は、送信アンテナ12から放射されて対象者を透過した電波を受信する受信アンテナ13と、情報制御部20とを備える。処理部24は、送信アンテナ12から電波が放射された際に、受信アンテナ13が受けた電波に応じた受信信号を取得する入力部21と、入力部21が取得した受信信号に基づいて、対象者の生体情報を算出する処理部24と、を備える。処理部24は、対象者の周囲の動きに起因して生じる信号成分を受信信号に含まれるノイズとして特定し、当該信号成分を受信信号から除去したものから生体情報を算出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の生体情報を検出する生体情報検出装置であって、
送信アンテナ(12)から放射されて前記対象者を透過した電波を受信する受信アンテナ(13)と、
前記送信アンテナから電波が放射された際に、前記受信アンテナが受けた電波に応じた受信信号を取得する信号取得部(21)と、
前記信号取得部が取得した前記受信信号に基づいて、前記生体情報を算出する演算部(24)と、を備え、
前記演算部は、前記対象者の周囲の動きに起因して生じる信号成分を前記受信信号に含まれるノイズとして特定し、前記受信信号から前記信号成分を除去したものから前記生体情報を算出する、生体情報検出装置。
【請求項2】
前記対象者は、車両のシート(S)に着座した乗員の一人であり、
前記演算部は、車載機器(40、50、60)の出力信号に基づいて、前記対象者の周囲の動きに起因して生ずる信号成分を特定する、請求項1に記載の生体情報検出装置。
【請求項3】
前記車載機器は、前記対象者の周囲にあるウィンドを拭くワイパ(W)の駆動機器(40)であり、
前記演算部は、前記駆動機器の出力信号から前記ワイパの動作周波数を検出し、前記受信信号から前記動作周波数に対応する成分を前記ノイズとして除去する、請求項2に記載の生体情報検出装置。
【請求項4】
前記車載機器は、前記車内における前記対象者の周囲の動きを検知可能な車内検知機器(50)であり、
前記演算部は、前記受信信号から前記車内検知機器の検知結果に対応する周波数成分を前記ノイズとして除去する、請求項2または3に記載の生体情報検出装置。
【請求項5】
前記車載機器は、前記車外における前記対象者の周囲の動きを検知可能な車外検知機器(60)であり、
前記演算部は、前記受信信号から前記車外検知機器の検知結果に対応する周波数成分を前記ノイズとして除去する、請求項2ないし4のいずれか1つに記載の生体情報検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、生体情報を検出する生体情報検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、非接触かつ非拘束で対象者の心拍を検知可能な心拍検知装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この装置は、対象者の所定部位に無線周波信号を送信するとともに、対象者の体内を透過した無線周波信号を受信し、当該受信信号の位相または振幅に基づいて対象者の心拍を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-153783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本発明者らは、車両のシートに着座した乗員の一人を対象者とし、当該対象者の心拍等の生体情報を、特許文献1に開示された技術等を利用して検出することを検討した。
【0005】
しかしながら、対象者の周囲に何らかの動きがあると、生体情報の算出に用いる受信信号が変動することが判った。このことは、生体情報の検出精度の低下を招く要因となることから好ましくない。本課題は、車両のシートに着座した乗員を対象者とする場合に限らず、それ以外の人を対象者とする場合にも生じ得る。
【0006】
本開示は、対象者の周囲の動きに起因する生体情報の検出精度の低下を抑制可能な生体情報検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、
対象者の生体情報を検出する生体情報検出装置であって、
送信アンテナ(12)から放射されて対象者を透過した電波を受信する受信アンテナ(13)と、
送信アンテナから電波が放射された際に、受信アンテナが受けた電波に応じた受信信号を取得する信号取得部(21)と、
信号取得部が取得した受信信号に基づいて、生体情報を算出する演算部(24)と、を備え、
演算部は、対象者の周囲の動きに起因して生じる信号成分を受信信号に含まれるノイズとして特定し、受信信号から信号成分を除去したものから生体情報を算出する。
【0008】
これによると、対象者の周囲の動きに起因して生ずる信号成分を受信信号に含まれるノイズとして受信信号から除去したものから生体情報を算出するので、対象者の周囲の動きに起因する生体情報の検出精度の低下を抑制することができる。
【0009】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る生体情報検出装置の概略構成図である。
図2】第1実施形態に係る生体情報検出装置の情報制御部が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
図3】第1実施形態に係る生体情報検出装置の情報制御部が実行するノイズ除去処理の流れを示すフローチャートである。
図4】ワイパの非作動時の受信信号の処理の流れを説明するための説明図である。
図5】ワイパの非作動時の受信信号の周波数特性を説明するための説明図である。
図6】ワイパの作動時の受信信号を説明するための説明図である。
図7】ワイパの作動時の受信信号の周波数特性を説明するための説明図である。
図8】ワイパの作動時の受信信号の処理の一例を説明するための説明図である。
図9】ワイパの作動時の受信信号の処理の他の例を説明するための説明図である。
図10】第2実施形態に係る生体情報検出装置の情報制御部が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
図11】第2実施形態に係る生体情報検出装置の情報制御部が実行するノイズ除去処理の流れを示すフローチャートである。
図12】第3実施形態に係る生体情報検出装置の情報制御部が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
図13】第3実施形態に係る生体情報検出装置の情報制御部が実行するノイズ除去処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態において、先行する実施形態で説明した事項と同一もしくは均等である部分には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、実施形態において、構成要素の一部だけを説明している場合、構成要素の他の部分に関しては、先行する実施形態において説明した構成要素を適用することができる。以下の実施形態は、特に組み合わせに支障が生じない範囲であれば、特に明示していない場合であっても、各実施形態同士を部分的に組み合わせることができる。
【0012】
(第1実施形態)
本実施形態について、図1図9を参照して説明する。本実施形態では、本開示の生体情報検出装置1を用いて、車両VのシートSに着座した乗員Pの一人の心拍数を生体情報として算出する例について説明する。
【0013】
車両Vは、自動運転システムが搭載された自動運転車両である。自動運転システムは、所定の指標レベル以下(例えば、NHTSAの指標レベル3以下)では、運転手の監視下で作動し、運転責任は運転手が負うものとされている。一方、自動運転システムにより運転手を含む乗員Pの心理的負荷が減り、乗員Pの覚醒度が低下することが多くの学会で報告されている。そのため、近年、乗員Pの覚醒度を検出し、その結果に応じて警告表示等を行うシステムの開発が進められている。乗員Pの覚醒度を検出するために、乗員Pの心拍数や呼吸数といった生体情報を計測する場合、「運転の妨げとならないこと」および「常時計測が必要であること」といった制約から、乗員Pの身体に対して非接触、且つ、非拘束の手法による計測が望まれている。
【0014】
これらを加味して、生体情報検出装置1は、乗員Pを透過した電波信号に基づいて、乗員Pの生体情報を検出する電波透過式の装置で構成されている。生体情報検出装置1は、車両VのシートSのうち、運転席DSに着座した乗員Pを対象者とし、当該対象者の心拍数を生体情報として算出する。生体情報検出装置1は、発信機11、送信アンテナ12、受信アンテナ13、受信機14、情報制御部20を備えている。
【0015】
発信機11は、所定の周波数(例えば、900MHz帯の周波数)の送信信号を送信アンテナ12に出力する。送信アンテナ12は、車内のインストルメントパネルのうち、運転席DSに対して車両Vの進行方向の前方側に配置されている。送信アンテナ12は、発信機11からの送信信号に応じた電波信号を運転席DSに着座した乗員Pの上半身に向けて発信する。
【0016】
受信アンテナ13は、運転席DSに着座した乗員Pを挟んで送信アンテナ12と対向して配置されている。本実施形態の受信アンテナ13は、運転席DSのシートバックに配置されている。受信アンテナ13は、送信アンテナ12から送信された電波を受信可能に構成されている。受信アンテナ13は、送信アンテナ12から放射されて対象者である乗員Pを透過した電波を受信する。
【0017】
受信機14は、受信アンテナ13が受信した電波信号を増幅して出力する。具体的には、受信機14は、受信アンテナ13が受信した電波信号を増幅して生体信号P1として情報制御部20に出力する。
【0018】
情報制御部20は、受信機14から取得した生体信号P1に基づいて、乗員Pの心拍数を算出する。情報制御部20は、入力部21、記憶部22、出力部23、処理部24を含んでいる。
【0019】
入力部21は、送信アンテナ12から電波が放射された際に受信アンテナ13が受けた電波に応じた受信信号を取得する信号取得部である。入力部21は、受信機14から入力されたアナログ信号である生体信号P1をデジタル信号として処理部24に出力する。
【0020】
記憶部22は、RAM、ROM、書き込み可能な不揮発性記憶媒体等を含む。記憶部22を構成するRAM、ROM、書き込み可能な不揮発性記憶媒体は、いずれも非遷移的実体的記憶媒体である。
【0021】
出力部23は、処理部24から入力された信号を情報制御部20の外部の装置に出力する。出力先の外部の装置は、例えば、経路案内等を行う車載ナビゲーション装置でもよいし、車両Vの外部と通信を行う車載データ通信モジュールでもよいし、乗員が携帯する携帯通信端末でもよい。
【0022】
処理部24は、記憶部22のROMまたは書き込み可能な不揮発性記憶媒体に記録されたプログラムに従った処理を実行する装置である。本実施形態の処理部24は、記憶部22のRAMを作業領域として使用する。処理部24は、入力部21が取得した受信信号に基づいて生体情報を算出する演算部として機能する。
【0023】
ここで、情報制御部20は、CAN通信を介して車載ネットワークに接続されている。CANは、Controller Area Networkの略称である。情報制御部20は、通信バスであるCANバス30に接続されている。このCANバス30には、ワイパWの駆動機器40、車内検知機器50、車外検知機器60等の車載機器が接続されている。情報制御部20は、CANバス30を介して、ワイパWの駆動機器40の出力信号、車内検知機器50の検知結果、車外検知機器60の検知結果等を取得可能になっている。
【0024】
ワイパWは、乗員Pの周囲のウィンドFWを拭く装置である。ワイパWは、ウィンドFWの外面上の所定範囲を周期的に往復動することでウィンドFWを払拭する。駆動機器40は、ワイパWの往復動を制御するものである。図示しないが、駆動機器40は、ワイパスイッチ、ワイパモータ、モータ制御部等を備え、車両に搭載されたバッテリからの電源供給によって動作可能になっている。ワイパスイッチは、運転手が操作可能な位置に設けられ、「Lo」、「Hi」等の操作位置が設定されている。ワイパWは、ワイパスイッチが「Lo」に設定されると低速で往復動され、ワイパスイッチが「Hi」に設定されると高速で往復動される。駆動機器40は、CANバス30に接続されている。
【0025】
車内検知機器50は、車内における対象者の周囲の動きを検知可能な機器である。車内検知機器50は、例えば、車内監視用の撮像機器、車室内の温度変化を検出するIRセンサ等で構成される。車内検知機器50は、CANバス30に接続されている。
【0026】
車外検知機器60は、車外における対象者の周囲の動きを検知可能な機器である。車外検知機器60は、例えば、車両Vの周辺監視用の撮像機器、乗員の携帯機器からの信号に応じてドアの施錠または解除するエントリーシステム、電子ミラーの表示用のカメラ、車両Vの周辺にある物体との距離を計測するミリ波レーダ等で構成される。車外検知機器60は、CANバス30に接続されている。
【0027】
次に、生体情報検出装置1の作動について説明する。発信機11は、所定の周波数の送信信号を送信アンテナ12に出力する。送信アンテナ12は、発信機11からの送信信号に応じた電波を運転席DSに乗車した乗員Pに向けて送信する。送信アンテナ12から送信された電波の一部は、運転席DSに乗車した乗員Pを透過して受信アンテナ13に受信される。
【0028】
電波に対して乗員Pの身体は誘電体として機能する。このため、乗員Pの身体を電波が通過する際に、電波の電界強度に誘電体損失が生じる。乗員Pの身体のうち、心臓は、拡張、収縮に伴ってその形状が変化する。このため、心臓Hを透過して受信アンテナ13に至る電波において、電界強度に生じる誘電体損失は、心臓Hの心拍に応じて変化する。
【0029】
このように、受信アンテナ13が受信する受信信号の強度は、心臓Hの心拍に応じて周期的に変化する成分を含む。したがって、送信アンテナ12からの電波を受信アンテナ13が受信した際に受信アンテナ13から受信機14に出力される電気信号のレベルは、心臓Hの心拍に応じて変動する成分が含まれる。
【0030】
しかしながら、電波透過式の生体情報検出装置1では、電波の特性上、対象者となる乗員Pの周囲にある物体に反射した電波を受信機14で受信する。このため、対象者となる乗員Pの周囲に何らかの動きがあると、生体情報の算出に用いる受信信号が変動する。すなわち、生体情報の算出に用いる受信信号には、対象者の周囲の動きに起因して生ずる信号成分が含まれてしまうことがある。例えば、雨天時にワイパWを作動させている場合、受信信号には、心拍に応じた成分に加えて、ワイパWの動きに起因して生ずる信号成分も含まれてしまう。このことは、生体情報の検出精度の低下を招く要因となることから好ましくない。
【0031】
これ対して、本実施形態の生体情報検出装置1は、ワイパWの動きに起因して生ずる信号成分を受信アンテナ13が受信する受信信号に含まれるノイズとして特定し、特定した信号成分を受信信号から除去したものから生体情報を算出する。
【0032】
以下、情報制御部20の処理部24が実行する処理の流れについて図2図3等を参照しつつ説明する。図2に示す処理は、車両Vの運転席DSに乗員が着座した状態において、情報制御部20によって定期的または不定期に実行される。
【0033】
図2に示すように、処理部24は、ステップS100にて、送信アンテナ12から電波が送信された際に、受信アンテナ13で受信される受信信号の時間波形を、受信機14を介して取得する。受信信号の時間波形は、受信信号の信号強度の時間変化である。時間波形は、例えば、図4の上段に示すような波形となる。この時間波形には、心拍に相関性を有する成分だけでなく心拍とは無関係な成分が含まれる。
【0034】
続いて、処理部24は、ステップS110にて、受信信号に含まれるノイズ成分を除去するフィルタ処理を行う。例えば、処理部24は、心拍に相関性を有する成分の周波数帯を通すフィルタを用いて、受信信号に含まれるノイズ成分を除去する。これにより、例えば、図4の中段に示す時間波形が得られる。
【0035】
続いて、処理部24は、ステップS120にて、ステップS110で得られた時間波形をフーリエ変換して受信信号の周波数特性を算出する。周波数特性は、周波数と強度と関係を示す特性である。これにより、例えば、図4の下段に示す周波数特性が得られる。なお、図4の下段では、横軸が周波数を示し、縦軸が信号の強度を示している。
【0036】
続いて、処理部24は、ステップS130にて、ワイパWが作動しているか否かを判定する。この判定は、例えば、ワイパスイッチの操作信号やワイパモータへの通電状態等を含む駆動機器40の出力信号に基づいて実施される。
【0037】
ワイパWが停止している場合、処理部24は、ステップS140に移行し、周波数特性において、心拍に相関性を有するピーク強度SPを特定する。例えば、図5に示すように、周波数特性において強度が最も大きくなるピーク強度SPを心拍に相関性を有する強度として特定する。そして、処理部24は、特定したピーク強度SPおよびピーク強度SPに対応する周波数を、心拍に相関性を有する成分として抽出する。
【0038】
続いて、処理部24は、ステップS150に移行し、ステップS140で抽出した心拍に相関性を有する成分から心拍数を算出する。具体的には、処理部24は、受信信号の周波数特性においてピーク強度SPに対応する周波数をHz単位で表した値に60を乗算することで、bmp単位で表した心拍数を得る。bpmは、beat per minuteの略称であり、1分間当たりの心拍数を表す単位である。例えば、ピーク強度SPに対応する周波数Hzが1Hzであった場合、心拍数はそれに60を乗じた60bpmとなる。
【0039】
続いて、処理部24は、ステップS160にて、ステップS150で算出した心拍数を出力部23から生体情報検出装置1の外部の装置に出力する。処理部24は、例えば、乗員Pの心拍数に基づいて乗員Pの覚醒度等を検出するドライバステータスモニタDSMに対して心拍数を出力するようになっていてもよい。
【0040】
一方、ワイパWが作動している場合、受信信号には、例えば、図6に示すように、心拍の変動に起因する成分に加えて、ワイパWの変動に起因する成分が含まれる。そして、受信信号の周波数特性は、図7に示すように、心拍に相関性を有する成分に加えて、ワイパWの動きに相関性を有する成分が含まれる。因みに、ワイパWが作動している場合の受信信号の時間波形は、例えば、図8の1段目および2段目に示すように、心拍に相関性を有する成分だけでなく、ワイパWの動きに相関性を有する成分が含まれる。そして、受信信号の周波数特性には、例えば、図8の3段目に示すように、2つのピーク強度SP1、SP2が現れる。この2つのピーク強度SP1、SP2は、一方が心拍に相関性を有し、他方が心拍とは無関係なノイズである。
【0041】
これらを加味して、ワイパWが作動している場合、処理部24は、ステップS170に移行し、ノイズ除去処理を実行する。以下、ノイズ除去処理について図3のフローチャートを用いて説明する。
【0042】
図3に示すように、処理部24は、ステップS171にて、ワイパWの駆動機器40の出力信号からワイパWの動作周波数を特定する。処理部24は、ワイパスイッチの操作信号からワイパWが「Lo」、「Hi」のいずれで動作しているかを特定し、特定したワイパWの往復動のスピードからワイパWの動作周波数を特定する。
【0043】
続いて、処理部24は、ステップS172にて、受信信号に含まれるワイパWの動きに起因する信号成分を特定する。処理部24は、受信信号の周波数特性において、ステップS171にて特定したワイパWの動作周波数付近でピークとなる特徴点を抽出し、抽出した特徴点の強度および周波数をワイパWの動きに起因する信号成分として特定する。
【0044】
続いて、処理部24は、ステップS173にて、受信信号からワイパWの動きに起因する信号成分をノイズとして除去し、ノイズ除去処理を抜ける。具体的には、処理部24は、ステップS171で抽出した特徴点の周波数帯をカットするフィルタを用いて、受信信号の周波数特性から受信信号に含まれるワイパWの動きに起因する信号成分を除去する。例えば、処理部24は、図8の4段目に示すように、受信信号に含まれるワイパWの動きに起因する信号成分を除去する。これにより、図8の5段目に示す周波数特性が得られる。
【0045】
ここで、ワイパWの動作周波数が心拍と同様の周波数であると、例えば、心拍に相関性を有する成分とワイパWの動きに相関性を有する成分とが合成されて、図9の上段に示すように、受信信号の周波数特性に対して1つのピーク強度SPが現れる。
【0046】
このように、ワイパWが作動している場合に1つのピーク強度SPだけしか現れない場合、処理部24は、ピーク強度SPとなる際の周波数をワイパWの動きに起因する信号成分として特定する。そして、ワイパWの動きに起因する信号強度αを推定し、推定した信号強度αをピーク強度SPから除去する。これにより、例えば、図9の下段に示す周波数特性が得られる。なお、ワイパWの動きに起因する信号強度αは、実験やシミュレーションによって予め求めた推定値を用いてもよいし、事前に測定しておいた実測値を用いてもよい。
【0047】
ノイズ除去処理を抜けると、処理部24は、ステップS140に移行し、ステップS170でノイズを除去した周波数特性において、心拍に相関性を有するピーク強度SPを特定する。そして、処理部24は、特定したピーク強度SPおよびピーク強度SPに対応する周波数を、心拍に相関性を有する成分として抽出する。
【0048】
続いて、処理部24は、ステップS150に移行し、ステップS140で抽出した心拍に相関性を有する成分から心拍数を算出する。その後、処理部24は、ステップS160にて、ステップS150で算出した心拍数を出力部23から生体情報検出装置1の外部の装置に出力する。
【0049】
以上説明した生体情報検出装置1の処理部24は、対象者の周囲の動きに起因して生じる信号成分を特定し、当該信号成分を受信信号から除去したものから生体情報を算出する。これによると、対象者の周囲の動きに起因する生体情報の検出精度の低下を抑制することができる。
【0050】
(1)本実施形態の処理部24は、車載機器の出力信号から乗員の周囲の動きに起因して生ずる信号成分を特定し、当該信号成分を受信信号から除去する。これにより、乗員の周囲の動きに起因する生体情報の検出精度の低下を抑制することができる。
【0051】
(2)具体的には、処理部24は、ワイパWの駆動機器40の出力信号からワイパWの動作周波数を検出し、受信信号から動作周波数に対応する成分をノイズとして除去する。これによると、ワイパWの動きに起因して生ずる信号成分を受信信号から除去したものから生体情報を算出するので、ワイパWの動きに起因する生体情報の検出精度の低下を抑制することができる。
【0052】
(第1実施形態の変形例)
第1実施形態では、ノイズ除去処理において、ワイパWの駆動機器40の出力信号からワイパWの動作周波数を検出し、受信信号から動作周波数に対応する成分を除去するものを例示したが、ノイズ除去処理は、これに限定されない。ノイズ除去処理は、例えば、予めワイパWの動作周波数を予め定めておき、当該動作周波数に対応する成分を受信信号から除去するようになっていてもよい。
【0053】
処理部24が実行する処理は、受信信号の周波数特性に1つのピーク強度SPだけしか現れない場合、ノイズ除去処理をスキップして、ピーク強度SPとなる際の周波数を心拍に相関性を有する成分として特定するようになっていてもよい。すなわち、ステップS120で算出した受信信号の周波数特性に1つのピーク強度SPだけしか現れない場合、ステップS130、S170をスキップしてステップS140に移行するようになっていてもよい。なお、第1実施形態で説明した処理部24によって実行される処理は、以降の実施形態で説明する処理部24によって実行される処理と組み合わせることが可能である。このことは、以降の実施形態においても同様である。
【0054】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、図10図11を参照して説明する。本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明する。
【0055】
第1実施形態で説明したように、電波透過式の生体情報検出装置1では、対象者となる乗員Pの周囲に何らかの動きがあると、生体情報の算出に用いる受信信号が変動する。例えば、車内において対象者の周囲に乗車した同乗者が動くと、受信信号には、心拍に応じた成分に加えて、同乗者の動きに起因して生ずる信号成分も含まれてしまう。このことは、生体情報の検出精度の低下を招く要因となることから好ましくない。
【0056】
これに対して、本実施形態の生体情報検出装置1は、車内における対象者の周囲の動きに起因して生ずる信号成分を受信アンテナ13が受信する受信信号に含まれるノイズとして特定し、特定した信号成分を受信信号から除去したものから生体情報を算出する。
【0057】
以下、生体情報検出装置1の情報制御部20が実行する処理の流れについて図10図11を参照しつつ説明する。図10に示す処理は、第1実施形態で説明した図2に示す処理に対応している。図10に示す各処理のうち、ステップS200~S220の処理は、図2に示すステップS100~S120の処理と同様であるため、その説明を簡略化する。
【0058】
図10に示すように、処理部24は、ステップS200にて、送信アンテナ12から電波が送信された際に、受信機14を介して受信アンテナ13で受信される受信信号の時間波形を取得する。そして、処理部24は、ステップS210にて、受信信号に含まれるノイズ成分を除去するフィルタ処理を行う。さらに、処理部24は、ステップS220にて、ステップS210で得られた時間波形をフーリエ変換して受信信号の周波数特性を算出する。
【0059】
続いて、処理部24は、ステップS230にて、車内の動きが検知されたか否かを判定する。具体的には、処理部24は、車内検知機器50によって車内における対象者の周囲の動きが検知されたか否かを判定する。車内検知機器50が車内を撮影する撮像機器である場合、対象者の周囲の動きの検知は、例えば、オプティカルフローやフレーム間差分法によって行うことが可能である。
【0060】
車内検知機器50によって車内における対象者の周囲の動きが検知されなかった場合、処理部24は、ステップS240に移行し、周波数特性において、心拍に相関性を有するピーク強度SPを特定する。そして、処理部24は、特定したピーク強度SPおよびピーク強度SPに対応する周波数を、心拍に相関性を有する成分として抽出する。
【0061】
続いて、処理部24は、ステップS250に移行し、ステップS240で抽出した心拍に相関性を有する成分から心拍数を算出する。そして、処理部24は、ステップS260にて、ステップS250で算出した心拍数を出力部23から生体情報検出装置1の外部の装置に出力する。
【0062】
一方、車内検知機器50によって車内における対象者の周囲の動きが検知された場合、処理部24は、受信信号から車内検知機器50の検知結果に対応する周波数成分をノイズとして除去する。具体的には、処理部24は、ステップS270に移行し、ノイズ除去処理を実行する。以下、ノイズ除去処理について図11のフローチャートを用いて説明する。
【0063】
図11に示すように、処理部24は、ステップS271にて、車内における乗員周囲の動きの動作周波数を特定する。処理部24は、車内検知機器50の出力信号に含まれる乗員の周囲の動きに相関性を有する成分を抽出し、抽出した成分における特徴的な周波数成分を車内における乗員の周囲の動きの動作周波数として特定する。本処理では、1つ周波数に限らず、複数の周波数が動作周波数として特定されることがある。
【0064】
続いて、処理部24は、ステップS272にて、受信信号から車内における乗員の周囲の動きに起因する信号成分を特定する。処理部24は、受信信号の周波数特性において、ステップS271にて特定した乗員の周囲の動きの動作周波数付近でピークとなる特徴点を抽出し、抽出した特徴点の強度および周波数を車内における乗員の周囲の動きに起因する信号成分として特定する。
【0065】
続いて、処理部24は、ステップS273にて、受信信号から車内における乗員の周囲の動きに起因する信号成分をノイズとして除去し、ノイズ除去処理を抜ける。具体的には、処理部24は、ステップS271で抽出した特徴点の周波数帯をカットするフィルタを用いて、受信信号の周波数特性から受信信号に含まれる車内における乗員の周囲の動きに起因する信号成分を除去する。
【0066】
ここで、車内における乗員の周囲の動きの動作周波数が心拍と同様の周波数であると、心拍に相関性を有する成分と乗員の周囲の動きに相関性を有する成分とが合成されて、受信信号の周波数特性に対して1つのピーク強度SPが現れることがある。このような場合、処理部24は、ピーク強度SPとなる際の周波数を車内における乗員の周囲の動きに起因する信号成分として特定する。そして、車内における乗員の周囲の動きに起因する信号強度を推定し、推定した信号強度をピーク強度SPから除去する。なお、車内における乗員の周囲の動きに起因する信号強度は、実験やシミュレーションによって予め求めた推定値を用いてもよいし、事前に測定しておいた実測値を用いてもよい。
【0067】
ノイズ除去処理を抜けると、処理部24は、ステップS240に移行し、ステップS270でノイズを除去した周波数特性において、心拍に相関性を有するピーク強度SPを特定する。そして、処理部24は、特定したピーク強度SPおよびピーク強度SPに対応する周波数を、心拍に相関性を有する成分として抽出する。
【0068】
続いて、処理部24は、ステップS250に移行し、ステップS240で抽出した心拍に相関性を有する成分から心拍数を算出する。その後、処理部24は、ステップS260にて、ステップS250で算出した心拍数を出力部23から生体情報検出装置1の外部の装置に出力する。
【0069】
その他については、第1実施形態と同様である。本実施形態の生体情報検出装置1は、第1実施形態と共通の構成または均等な構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
【0070】
(1)本実施形態の生体情報検出装置1は、受信信号から車内検知機器50の検知結果に対応する周波数成分をノイズとして除去する。これによると、車内における対象者の周囲の動きに起因して生ずる信号成分を受信信号から除去したものから生体情報を算出するので、車内における対象者の周囲の動きに起因する生体情報の検出精度の低下を抑制することができる。
【0071】
(2)処理部24は、車内検知機器50の検知結果に応じて生体情報の出力を抑制するようになっていてもよい。例えば、車内において同乗者の乗り降り等の大きな動きがあると、車内検知機器50の検知結果に基づいて乗員周囲の動きを抽出することが困難となる虞がある。このため、処理部24は、車内検知機器50の出力信号に基づいて乗員周囲の動きを検出することが困難となる条件が成立すると、各処理をスキップし、生体情報の出力を一時的に停止するようになっていてもよい。
【0072】
ここで、生体情報の出力を抑制する条件は、車内において同乗者の乗り降り等の大きな動きがある場合に成立する条件に限定されない。当該条件は、例えば、車室内における動きが周期的でない場合に成立したり、車内検知機器50の検知範囲の大部分に動きのない物体が配置された場合に成立したりする条件であってもよい。
【0073】
(第2実施形態の変形例)
処理部24が実行する処理は、ステップS220で算出した受信信号の周波数特性に1つのピーク強度SPだけしか現れない場合、ステップS230、S270をスキップしてステップS240に移行するようになっていてもよい。
【0074】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について、図12図13を参照して説明する。本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明する。
【0075】
電波透過式の生体情報検出装置1では、例えば、車外における対象者の周囲に動きがあると、この動きに起因して生ずる信号成分が受信信号に含まれてしまう。このことは、生体情報の検出精度の低下を招く要因となることから好ましくない。なお、車外における対象者の周囲に動きは、車両周辺の歩行者や車両Vの近接物の動作等が挙げられる。
【0076】
これ対して、本実施形態の生体情報検出装置1は、車外の動きに起因して生ずる信号成分を受信アンテナ13が受信する受信信号に含まれるノイズとして特定し、特定した信号成分を受信信号から除去したものから生体情報を算出する。
【0077】
以下、生体情報検出装置1の情報制御部20が実行する処理の流れについて図12を参照しつつ説明する。図12に示す処理は、第1実施形態で説明した図2に示す処理に対応している。図12に示す各処理のうち、ステップS300~S320の処理は、図2に示すステップS100~S120の処理と同様であるため、その説明を簡略化する。
【0078】
図12に示すように、処理部24は、ステップS300にて、送信アンテナ12から電波が送信された際に、受信機14を介して受信アンテナ13で受信される受信信号の時間波形を取得する。そして、処理部24は、ステップS310にて、受信信号に含まれるノイズ成分を除去するフィルタ処理を行う。さらに、処理部24は、ステップS320にて、ステップS310で得られた時間波形をフーリエ変換して受信信号の周波数特性を算出する。
【0079】
続いて、処理部24は、ステップS330にて、車外の動きが検知されたか否かを判定する。具体的には、処理部24は、車外検知機器60によって車外における対象者の周囲の動きが検知されたか否かを判定する。車外検知機器60が車外を撮影する撮像機器である場合、対象者の周囲の動きの検知は、例えば、オプティカルフローやフレーム間差分法によって行うことが可能である。
【0080】
車外検知機器60によって車外における対象者の周囲の動きが検知されなかった場合、処理部24は、ステップS340に移行し、周波数特性において、心拍に相関性を有するピーク強度SPを特定する。そして、処理部24は、特定したピーク強度SPおよびピーク強度SPに対応する周波数を、心拍に相関性を有する成分として抽出する。
【0081】
続いて、処理部24は、ステップS350に移行し、ステップS340で抽出した心拍に相関性を有する成分から心拍数を算出する。そして、処理部24は、ステップS360にて、ステップS350で算出した心拍数を出力部23から生体情報検出装置1の外部の装置に出力する。
【0082】
一方、車外における対象者の周囲の動きが検知された場合、処理部24は、受信信号から車外検知機器60の検知結果に対応する周波数成分をノイズとして除去する。具体的には、処理部24は、ステップS370に移行し、ノイズ除去処理を実行する。以下、ノイズ除去処理について図13のフローチャートを用いて説明する。
【0083】
図13に示すように、処理部24は、ステップS371にて、車外における乗員周囲の動きの動作周波数を特定する。処理部24は、車外検知機器60の出力信号に含まれる乗員の周囲の動きに相関性を有する成分を抽出し、抽出した成分における特徴的な周波数成分を車外における乗員の周囲の動きの動作周波数として特定する。本処理では、1つ周波数に限らず、複数の周波数が動作周波数として特定されることがある。
【0084】
続いて、処理部24は、ステップS372にて、受信信号から車外における乗員の周囲の動きに起因する信号成分を特定する。処理部24は、受信信号の周波数特性において、ステップS371にて特定した乗員の周囲の動きの動作周波数付近でピークとなる特徴点を抽出し、抽出した特徴点の強度および周波数を車外における乗員の周囲の動きに起因する信号成分として特定する。
【0085】
続いて、処理部24は、ステップS373にて、受信信号から車外における乗員の周囲の動きに起因する信号成分をノイズとして除去し、ノイズ除去処理を抜ける。具体的には、処理部24は、受信信号の周波数特性から、ステップS371で抽出した動作周波数の周波数帯をカットするフィルタを用いて、受信信号に含まれる車外における乗員の周囲の動きに起因する信号成分を除去する。
【0086】
ここで、車外における乗員の周囲の動きの動作周波数が心拍と同様の周波数であると、心拍に相関性を有する成分と乗員の周囲の動きに相関性を有する成分とが合成されて、受信信号の周波数特性に対して1つのピーク強度SPが現れることがある。このような場合、処理部24は、ピーク強度SPとなる際の周波数を車外における乗員の周囲の動きに起因する信号成分として特定する。そして、車外における乗員の周囲の動きに起因する信号強度を推定し、推定した信号強度をピーク強度SPから除去する。なお、車外における乗員の周囲の動きに起因する信号強度は、実験やシミュレーションによって予め求めた推定値を用いてもよいし、事前に測定しておいた実測値を用いてもよい。
【0087】
ノイズ除去処理を抜けると、処理部24は、ステップS340に移行し、ステップS370でノイズを除去した周波数特性において、心拍に相関性を有する特徴点となる強度を特定する。そして、処理部24は、特定したピーク強度およびピーク強度に対応する周波数を、心拍に相関性を有する成分として抽出する。
【0088】
続いて、処理部24は、ステップS350に移行し、ステップS340で抽出した心拍に相関性を有する成分から心拍数を算出する。その後、処理部24は、ステップS360にて、ステップS350で算出した心拍数を出力部23から生体情報検出装置1の外部の装置に出力する。
【0089】
その他については、第1実施形態と同様である。本実施形態の生体情報検出装置1は、第1実施形態と共通の構成または均等な構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
【0090】
(1)本実施形態の生体情報検出装置1は、受信信号から車外検知機器60の検知結果に対応する周波数成分をノイズとして除去する。これによると、車外における対象者の周囲の動きに起因して生ずる信号成分を受信信号から除去したものから生体情報を算出するので、車外における対象者の周囲の動きに起因する生体情報の検出精度の低下を抑制することができる。
【0091】
(2)処理部24は、車外検知機器60の出力信号に応じて生体情報の出力を抑制するようになっていてもよい。例えば、車外において大きな動きがあると、車外検知機器60の出力信号に基づいて乗員周囲の動きを検出することが困難となる虞がある。このため、処理部24は、車外検知機器60の出力信号に基づいて乗員周囲の動きを検出することが困難となる条件が成立すると、各処理をスキップし、生体情報の出力を一時的に停止するようになっていてもよい。
【0092】
(第3実施形態の変形例)
処理部24が実行する処理は、ステップS320で算出した受信信号の周波数特性に1つのピーク強度SPだけしか現れない場合、ステップS330、S370をスキップしてステップS340に移行するようになっていてもよい。
【0093】
(他の実施形態)
以上、本開示の代表的な実施形態について説明したが、本開示は、上述の実施形態に限定されることなく、例えば、以下のように種々変形可能である。
【0094】
上述の実施形態では、受信信号の周波数特性から対象者の周囲の動きに起因する信号成分に対応する周波数帯をカットしたものから生体情報を算出する例について説明したが、生体情報検出装置1は、他の手法によって生体情報を算出するようになっていてもよい。例えば、生体情報検出装置1は、対象者の周囲の動きの周波数特性をフーリエ逆変換して得られる時間特性を用いて、受信信号から対象者の周囲の動きに起因する信号成分を除去ものから生体情報を算出するようになっていてもよい。
【0095】
上述の実施形態では、生体情報として心拍数を算出するものを例示したが、生体情報検出装置1は、心拍数以外の生体情報(例えば、呼吸数、脈拍数)を算出するようになっていてもよい。
【0096】
上述の実施形態では、本開示の生体情報検出装置1を自動運転システムが搭載された車両Vに適用した例を説明したが、生体情報検出装置1の適用対象は、これに限定されない。生体情報検出装置1は、例えば、自動運転システムが搭載されていない車両Vにも適用可能である。生体情報検出装置1は、例えば、送信アンテナ12および受信アンテナ13が乗員を挟んで車両Vの左右に並ぶように配置されていてもよい。生体情報検出装置1は、運転手だけでなく、他の乗員Pの生体情報を算出するように構成されていてもよい。また、生体情報検出装置1は、車両Vの乗員の生体情報を算出する用途だけでなく、車両の外部(例えば、建造物の内部)にいる人の生体情報を算出する用途に用いられていてもよい。
【0097】
上述の実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0098】
上述の実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されない。
【0099】
上述の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されない。
【0100】
上述の実施形態において、センサから車両の外部環境情報を取得することが記載されている場合、そのセンサを廃し、車両の外部のサーバまたはクラウドからその外部環境情報を受信することも可能である。あるいは、そのセンサを廃し、車両の外部のサーバまたはクラウドからその外部環境情報に関連する関連情報を取得し、取得した関連情報からその外部環境情報を推定することも可能である。
【0101】
本開示の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーを構成することによって提供された専用コンピュータで、実現されてもよい。本開示の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータで、実現されてもよい。本開示の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせで構成された一つ以上の専用コンピュータで、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【符号の説明】
【0102】
1 生体情報検出装置
12 送信アンテナ
13 受信アンテナ
21 入力部(信号取得部)
24 処理部(演算部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13