(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022114808
(43)【公開日】2022-08-08
(54)【発明の名称】トイレットロール
(51)【国際特許分類】
A47K 10/16 20060101AFI20220801BHJP
【FI】
A47K10/16 B
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021011248
(22)【出願日】2021-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】服部 真悟
(72)【発明者】
【氏名】伊神 雅
【テーマコード(参考)】
2D135
【Fターム(参考)】
2D135AA02
2D135AB02
2D135AB14
2D135AC11
2D135BA03
2D135DA06
2D135DA13
(57)【要約】
【課題】意図しないミシン目における破断の防止と、所望のミシン目における綺麗な切り裂きとが両立されたトイレットロールの提供。
【解決手段】切り離し用のミシン目を有する単プライのトイレットペーパーがロール状に巻き取られたトイレットロールであって、トイレットロールの巻長は、130m以上240m以下であり、トイレットペーパーの坪量は、13.0g/m
2以上16.0g/m
2以下であり、ミシン目のタイカット比は、0.3以上0.7以下であり、およびミシン目の密度は、50個/100mm以上80個/100mm以下である、トイレットロール。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切り離し用のミシン目を有する単プライのトイレットペーパーがロール状に巻き取られたトイレットロールであって、
前記トイレットロールの巻長は、130m以上240m以下であり、
前記トイレットペーパーの坪量は、13.0g/m2以上16.0g/m2以下であり、
前記ミシン目のタイカット比は、0.3以上0.7以下であり、および
前記ミシン目の密度は、50個/100mm以上80個/100mm以下であることを特徴とするトイレットロール。
【請求項2】
前記トイレットペーパーは、無エンボスであることを特徴とする請求項1に記載のトイレットロール。
【請求項3】
前記トイレットペーパーは、そのパルプ成分として木材パルプ成分および古紙パルプ成分の少なくとも一方を含み、
前記木材パルプ成分を含む場合の前記木材パルプ成分中の針葉樹パルプと広葉樹パルプとの配合割合(質量比)を示すL/N比は、80/20~60/40であり、
前記古紙パルプ成分を含む場合の前記パルプ成分中の前記古紙パルプ成分の含有率は50質量%以上であって且つ前記パルプ成分中の針葉樹由来のパルプ成分の含有率は50質量%超であることを特徴とする請求項1または2に記載のトイレットロール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1枚のシートで構成されるいわゆる単プライのトイレットペーパーがロール状に巻き取られたトイレットロールに関する。
【背景技術】
【0002】
トイレットロールの形態に巻き取られた長尺のトイレットペーパーには、一般に、トイレットペーパーの幅方向に延びる切り離し用のミシン目が、トイレットペーパーの長手方向に沿って所定間隔毎に形成されている。そのようなミシン目付きトイレットペーパーは、トイレットロールから所望の長さだけ引き出される際の引張力によって、または所望の長さだけ引き出された後にミシン目に沿って引き裂かれることによって、ミシン目に沿って破断されて使用に供される。
【0003】
ところで、近年、トイレットロールにおけるトイレットペーパーの巻長(以下、トイレットロールの巻長ともいう)を長くすることによる、トイレットロールの持ち運びや保管時の省スペース化が図られている(特許文献1)。また、トイレットペーパーの坪量を低減することによって、トイレットロールの巻径を所定の寸法内に維持しつつ、トイレットロールの巻長を長くすることが知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6712491号公報
【特許文献2】特開2006-87703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、トイレットペーパーの坪量を低減すると、それに伴って、より小さな引張力でミシン目における破断が生じるようになる。1枚のシートで構成されるいわゆる単プライのトイレットペーパーが巻き取られたトイレットロール(以下、単プライのトイレットロールともいう)にあっては、トイレットペーパーの低坪量化により、トイレットペーパーを引き出したときにその引張力により意図しないミシン目で不用意に破断するという、ミシン目強度の低下の問題があった。
【0006】
そこで、ミシン目の繋ぎ部分の長さTと切り込み線部分の長さCの比率を示すタイカット比T/Cを大きくすることによってミシン目強度を向上させることが考えられる。しかしながら、そうすると、トイレットペーパーをミシン目に沿って綺麗に引き裂くことが困難になるという問題がある。詳細には、トイレットペーパーを構成する繊維は、製造時の流れ方向(MD方向)であるトイレットペーパーの長手方向に沿って配向する傾向にあるため、ミシン目のタイカット比を大きくすると、それに相まって、繊維配向方向と交差する方向に延びるミシン目に沿ってトイレットペーパーを綺麗に引き裂くことが困難になる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために鋭意検討を行い、本発明者らは、低坪量で長尺の切り離し用のミシン目付きトイレットペーパーが巻き回された単プライのトイレットロールにおいて、ミシン目の繋ぎ部分の長さTと切り込み線部分の長さCとの比率を示すタイカット比T/Cと、所定の長さのミシン目に含まれる切り込み線部分の数として示されるミシン目の密度Dと、の両方を好適な範囲内に制御することを見出した。これによると、トイレットロールからトイレットペーパーを引き出したときにその引張力によりトイレットペーパーが意図しないミシン目で不用意に破断するという問題と、トイレットペーパーをミシン目に沿って綺麗に引き裂くことが困難であるという問題と、の両方を解消し得る。
【0008】
その結果、本発明者らは、切り離し用のミシン目を有する単プライのトイレットペーパーがロール状に巻き取られたトイレットロールであって、
トイレットロールの巻長は、130m以上240m以下であり、
トイレットペーパーの坪量は、13.0g/m2以上16.0g/m2以下であり、
ミシン目のタイカット比は、0.3以上0.7以下であり、および
ミシン目の密度は、50個/100mm以上80個/100mm以下であるトイレットロールにより、上記課題を解決し得ることを見出した。
【0009】
具体的には、本発明は、以下の構成を有する。
[1] 切り離し用のミシン目を有する単プライのトイレットペーパーがロール状に巻き取られたトイレットロールであって、
トイレットロールの巻長は、130m以上240m以下であり、
トイレットペーパーの坪量は、13.0g/m2以上16.0g/m2以下であり、
ミシン目のタイカット比は、0.3以上0.7以下であり、および
ミシン目の密度は、50個/100mm以上80個/100mm以下であることを特徴とするトイレットロール。
[2] トイレットペーパーは、無エンボスであることを特徴とする[1]に記載のトイレットロール。
[3] トイレットペーパーは、そのパルプ成分として木材パルプ成分および古紙パルプ成分の少なくとも一方を含み、
木材パルプ成分を含む場合の木材パルプ成分中の針葉樹パルプと広葉樹パルプとの配合割合(質量比)を示すL/N比は、80/20~60/40であり、
古紙パルプ成分を含む場合のパルプ成分中の古紙パルプ成分の含有率は50質量%以上であって且つパルプ成分中の針葉樹由来のパルプ成分の含有率は50質量%超であることを特徴とする[1]または[2]に記載のトイレットロール。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、トイレットロールからトイレットペーパーを引き出す際の意図しないミシン目におけるトイレットペーパーの破断と、トイレットペーパーの使用時における所望のミシン目に沿ったトイレットペーパーの綺麗な引き裂きと、の両立が図られた、単プライで低坪量のトイレットペーパーがロール状に巻き取られた、巻長の長いトイレットロールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係るトイレットロールの構成例を示す概略斜視図である。
【
図2】ミシン目の形状パターン例と、タイカット比を説明するための図である。
【
図3】トイレットロール製造設備の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。以下の実施形態および図面は例示の目的で記載したものであり、本発明を限定するものではない。
【0013】
(第1の実施形態)
(トイレットロール)
図1は、本発明の実施形態に係るトイレットロールを説明するための概略斜視図である。
【0014】
図1を参照して、本発明の実施形態に係るトイレットロール10は、1枚のシート11で構成されるいわゆる単プライのトイレットペーパー13が、円筒状の巻芯である紙管14に、所定長だけロール状に巻き回された、単プライのトイレットロールである。
【0015】
(シート)
トイレットペーパー13の構成要素であるシート11は、繊維原料であるパルプ成分を含むスラリーを抄紙することによって得られる。
【0016】
(パルプ成分)
パルプ成分としては、木材パルプ、非木材パルプ、古紙パルプを挙げることができる。
【0017】
木材を原料として製造される木材パルプとしては、例えば、広葉樹パルプ(広葉樹クラフトパルプ(LKP))、針葉樹パルプ(針葉樹クラフトパルプ(NKP))、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)、ソーダパルプ(AP)、未晒しクラフトパルプ(UKP)、酸素漂白クラフトパルプ(OKP)等の化学パルプ等が挙げられる。また、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)等の機械パルプが挙げられるが、特に限定されない。
【0018】
木材以外の植物・動物を原料として製造される非木材パルプとしては、コットンリンターやコットンリント等の綿系パルプ、麻、麦わら、バガス等の非木材系パルプ、ホヤや海草等から単離されるセルロース、キチン、キトサン等が挙げられるが、特に限定されない。
【0019】
古紙パルプとは、古紙、すなわちいったん抄紙されたパルプを原料として製造されるパルプである。古紙パルプとしては、例えば、牛乳パックのような液体を充填包装するための紙パックを原料とする、いわゆるミルクカートンパルプ、新聞や雑誌等を原料とする脱墨パルプが挙げられるが、特に限定されない。
【0020】
パルプ成分は上記の1種を単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。これらパルプ成分はトイレットペーパー13の品質に大きく影響するので、要求品質に合わせて所定の種類および配合割合で適宜配合される。例えば、パルプ成分として、木材パルプのみを(100質量%で)用いることができる。
【0021】
木材パルプとしては、針葉樹パルプおよび広葉樹パルプから選択される少なくとも1種を好ましく用いることができる。針葉樹パルプは、繊維が長く強度があり、抄造されるシートに強度を付与することができる。また、広葉樹パルプは、繊維が短く、しなやかであり、抄造されるシートに均一性、地合いのよさ、柔らかさなどを提供することができる。本発明の実施形態において、針葉樹パルプと広葉樹パルプを併用することが好ましく、針葉樹クラフトパルプ(NKP)と広葉樹クラフトパルプ(LKP)を併用することがより好ましい。
【0022】
針葉樹パルプと広葉樹パルプとを併用する場合、針葉樹パルプと広葉樹パルプとの配合割合(質量比)を示すL/N比は、例えば、10/90~90/10とすることが好ましく、20/80以上とすることがより好ましく、30/70以上とすることがさらに好ましく、60/40以上とすることがさらになお好ましく、また、80/20以下とすることがより好ましく、70/30以下とすることがさらに好ましい。
【0023】
(任意成分)
シート11には、要求品質および操業の安定のために、任意成分として様々な薬品が添加されていてもよい。任意成分としては、例えば、乾燥紙力剤、湿潤紙力剤、柔軟剤、嵩高剤、染料、香料、分散剤、濾水向上剤、ピッチコントロール剤、歩留向上剤、サイズ剤等を挙げることができる。乾燥紙力剤としては、例えば、カチオン化澱粉、ポリアクリルアミド(PAM)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等を挙げることができる。湿潤紙力剤としては、ポリアミドエピクロロヒドリン、尿素、メラミン、熱架橋性ポリアクリルアミド等を挙げることができる。柔軟剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、および両性イオン界面活性剤等を挙げることができる。上記の任意成分は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0024】
(トイレットペーパー)
本発明の実施形態において、トイレットペーパー13は、単プライのトイレットペーパーであり、1枚のシート11で構成される。
【0025】
本例では、トイレットペーパー13の一端(始端)は、ピックアップ糊(接着剤)によって紙管14の外周に対して接着固定されている(不図示)。始端部の接着によって、トイレットペーパー13が紙管14から剥がれて離脱することが防止されている。
【0026】
(紙管)
紙管14は、円筒形状を有しており、その周りにトイレットペーパー13が巻き回されてトイレットロール10となる。紙管14の外径であるコア径DCは、トイレットロール10を回転支持するためのトイレットロールホルダーの部材(コア芯やフック等)のサイズに応じて設定され、一般には、38mm~40mm程度である。
【0027】
(トイレットロールの巻径)
図1を参照して、トイレットロール10の巻径とは、トイレットロール10の形態にロール状に巻き取られたトイレットペーパー13のロール径(直径)DRをいう。本発明の実施形態において、トイレットロール10の巻径DRは、一般的なトイレットロールホルダー内に収まり、その中で回転自在に支持され得るサイズに設定される。トイレットロール10の巻径DRは、例えば、100mm~134mmであってもよく、110mm~120mmであってもよい。巻径DRは、例えば、ノギスなどを用いて測定することができる。
【0028】
(トイレットロールの巻長)
トイレットロール10の巻長とは、トイレットロール10において紙管14に巻き回されたトイレットペーパー13の長さをいう。本発明の実施形態において、トイレットロール10の巻長は、130m以上240m以下であり、好ましくは、130m以上210m以下であり、さらに好ましくは130m以上180m以下である。
【0029】
トイレットロール10の巻長が130m以上であると、1ロール当りのトイレットペーパー13の長さが長く、トイレットロール10の持ち運びや保管時の省スペース化を効果的に図ることができる。トイレットロール10の巻長が長くなると、概して、トイレットロール10の巻径は大きくなり、240mを超えると、トイレットロール10は、一般的なトイレットロールホルダーに収まり難くなる。また、トイレットロール10の巻長が130mm未満であると、1ロール当りの巻長が短く、トイレットロール10の巻径を所定の大きさとした場合に、トイレットロール10の持ち運びや保管時の省スペース化の効果が小さい。
【0030】
トイレットロールの巻長は、例えば、トイレットロール10からトイレットペーパー13を巻き解きながらその長さを実測することによって求めることができる。
【0031】
(トイレットロールの幅/トイレットペーパーの幅)
トイレットロール10の幅Wとは、トイレットロール10に巻き取られたトイレットペーパー13の幅方向(CD)におけるトイレットロールの長さをいう。トイレットロール10の幅Wは、一般に、幅広のトイレットロールの断裁によって製品幅のトイレットロールを得る工程を含む製法に起因して、当該トイレットロールに巻き取られているトイレットペーパー13の幅と長さが等しい。本発明の実施形態において、トイレットロール10の幅Wは、一般的なトイレットロールホルダー内に収まり、その中で回転自在に支持され得る長さに設定される。トイレットロール10の幅W、すなわちトイレットペーパー13の幅は、例えば、110mm~120mmであってもよく、114mm程度であることが多い。幅は、例えば、ノギスやメジャーなどを用いて測定することができる。
【0032】
(トイレットペーパーの坪量)
トイレットペーパー13の坪量は、すなわち当該単プライのトイレットペーパー13を構成する1枚のシート11の坪量である。本明細書中でトイレットペーパー13の坪量は、シート11の坪量と同義に解釈され得る。トイレットペーパー13の坪量は、日本工業規格JIS P8124の規定に従ってシート11の坪量を測定することにより得ることができる。
【0033】
本発明の実施形態おいて、トイレットペーパー13の坪量は、13.0g/m2以上16.0g/m2以下であり、好ましくは14.0g/m2以上16.0g/m2以下である。
【0034】
トイレットペーパー13の坪量がこの範囲内であると、トイレットロール10の軽量化がなされている。これに伴って、トイレットロール10からトイレットペーパー13を引き出すときのトイレットロール10の回転抵抗が小さくなる。これによって、特に、トイレットロール10の使い始め時においてトイレットロール10からトイレットペーパー13を引き出したときの意図しないミシン目での不用意な破断を防止することができる。
【0035】
坪量が13.0g/m2より低くなると、概して、トイレットペーパー13の強度が低く、意図しないミシン目での破断、特には、トイレットロール10の使い始め時においてトイレットロール10からトイレットペーパー13を引き出す際の意図しないミシン目15での破断が発生しやすくなる。また、含有パルプ量の減少などによる吸水量の低下等により使用感が悪くなり得る。
【0036】
坪量が16.0g/m2より高くなると、トイレットロール10の重量が増大し、これに伴って、特に、トイレットロール10の使い始め時においてトイレットロール10からトイレットペーパー13を引き出すときのトイレットロール10の回転抵抗が大きくなる。これによって、トイレットロール10の使い始め時においてトイレットロール10からトイレットペーパー13を引き出すときの意図しないミシン目での不用意な破断を防止することが困難となる。
【0037】
(ミシン目)
図1を参照して、トイレットペーパー13には、トイレットロール10から引き出されたトイレットペーパー13のトイレットロール10からの切り離しを容易にするために、トイレットペーパー13の幅方向に延びる連続した小穴からなる切り離し用のミシン目15が、トイレットペーパー13の長手方向に沿って一定の間隔で形成されている。
【0038】
トイレットペーパー13の長手方向における、切り離し用のミシン目15の当該一定の間隔は、トイレを使用する際に必要とされる紙量や使いやすさを考慮して、例えば100~300mmとされるが、これに限定されず、任意に設定することができる。
【0039】
トイレットペーパー13の幅方向に延びる1本のミシン目15は、ミシン目の小穴に相当する切り込み線部分と、繋ぎ部分と、を交互に含んで成る。
【0040】
ミシン目15の切り込み線部分は、カッターの刃先などのミシン目形成部材によって設けられた空間である。トイレットペーパー13の破断の容易さの観点から、ミシン目15の切り込み線部分は、トイレットペーパー13の厚さ方向を貫通していることが好ましい。ミシン目15の切り込み線部分において、トイレットペーパー13の構成繊維は切断または分断されている。ミシン目15の切り込み線部分は、任意の形状を取り得るが、トイレットペーパー13の意図しないミシン目における不用意な破断等を防止するためには、開口が小さく破断しにくい寸法や形状であることが好ましく、例えば、スリットのような線状であってもよく、点状であってもよい。
【0041】
ミシン目15の繋ぎ部分は、ミシン目15のライン上において切り込み線部分に隣接する部分である。ミシン目15の繋ぎ部分は、切断または分断されていないトイレットペーパー13の構成繊維を含んでおり、これによって、繋ぎ部分に関してトイレットペーパー13の長手方向における上流側の部分と下流側の部分とが繋がっている。
【0042】
トイレットロール10からトイレットペーパー13を引き出すときにトイレットペーパー13に引張力が加えられると、トイレットペーパー13には引張応力が生じる。このとき、トイレットペーパー13のミシン目15の切り込み線部分の縁付近に、他の部分と比べて大きな応力が掛かることとなる。トイレットペーパー13は、他の部分と比べて大きな引張応力が掛かった切り込み線部分の縁付近から破断しやすい。
【0043】
本発明者らは、意図していないミシン目15でトイレットペーパー13が破断しないように、また一方で、トイレットペーパー13に剪断力を加えた際にトイレットペーパー13がミシン目15に沿って綺麗に破断するように、切り離し用のミシン目15の切り込み線部分の数、寸法、配置などの分布状況を検討した。その結果、本発明者らは、本発明の実施形態において、ミシン目15のタイカット比T/C、およびミシン目15の密度Dを、以下の要件を満たすように規定することにより、意図しないミシン目における不用意な破断の防止と、剪断力を加えた際のミシン目に沿った綺麗な破断と、を両立し得ることを見出した。
【0044】
(ミシン目のタイカット比)
本発明の実施形態において、ミシン目のタイカット比T/Cは、0.3以上0.7以下である。
【0045】
本明細書において、ミシン目15のタイカット比T/Cとは、トイレットペーパー13の幅方向における、ミシン目15の繋ぎ部分の長さTと、ミシン目15の切り込み線部分の長さCと、の比率を示す値である。ミシン目15のタイカット比T/Cは、下式(I)によって求めることができる。
(タイカット比T/C)=(繋ぎ部分の長さT)÷(切り込み線部分の長さC)・・・式(I)
【0046】
ミシン目15の「繋ぎ部分の長さT」は、トイレットペーパー13の幅方向に延びるミシン目15の全長(トイレットロール10の全幅、本例では114mm)に含まれる全ての繋ぎ部分の長さの合計値として得ることができる。同様に、ミシン目15の「切り込み線部分の長さC」は、トイレットペーパー13の幅方向に延びるミシン目15の全長(本例では114mm)に含まれる全ての切り込み線部分の長さの合計値として得ることができる。
【0047】
図2は、本発明の実施形態に適用可能なトイレットペーパー13における切り離し用のミシン目15の形状パターンの非限定的な例を示す。
図2の(a)から(c)は、それぞれ、トイレットペーパー13に形成された1本のミシン目15の例を示す部分拡大図である。
【0048】
図2の(a)において、ミシン目15の切り込み線部分は、いわゆる点線または破線を形成している。
図2の(b)において、ミシン目15の切り込み線部分は、いわゆる一点鎖線を形成している。
図2の(c)において、ミシン目15の切り込み線部分は、いわゆる二点鎖線を形成している。このようなミシン目15の形状パターンは、後述する製造設備におけるミシン目形成部のカッターの刃先の形状やその配置パターンなどの設定条件によって決定され得る。
【0049】
図2の(a)から(c)の例のそれぞれにおいて、ミシン目15は、トイレットペーパー13の幅方向において、切り込み線部分および繋ぎ部分を含む所定のパターンSの繰り返しにより形成されている。このような例において、ミシン目15のタイカット比T/Cは、簡便には、図中に具体的な式を示すように、ミシン目15の形状パターンの繰り返し単位を構成するパターンSに含まれるミシン目の繋ぎ部分の長さTn(n=1以上の整数)の合計を、当該パターンSに含まれるミシン目の切り込み線部分の長さCn(n=1以上の整数)の合計で割ったものとして求めることもできる。これらの長さTn,Cnは、実測してもよく、製造設備におけるミシン目形成部のカッターの刃先の設定条件等によって計算で求めてもよい。
【0050】
なお、所定のパターンSが複数の切り込み線部分および繋ぎ部分を含む場合は、複数の切り込み線部分どうしの寸法および配置、複数の繋ぎ部分どうしの寸法および配置、および全体の分布状況等は、できるだけ一様であって偏りがないことが望ましい。これらが一様でなく不均一であればあるほど、トイレットペーパー13に引張力が加えられたときにトイレットペーパー13のミシン目15に作用する引張応力に、場所による偏りが生じ、弱い場所で破断が生じやすくなるためである。この観点からは、ミシン目15は、
図2の(a)に示されるような、所定の長さT1の切り出し線部分と所定の長さC1の繋ぎ部分とが交互に均等に並ぶ、単純なパターンの繰り返しによる破線であることが好ましい。
【0051】
他の条件が同等である場合、タイカット比T/Cの値が相対的に小さいほど、すなわち、ミシン目の切り込み線部分の長さCに対するミシン目の繋ぎ部分の長さTの比率が小さいほど、ミシン目は切り離しやすくなる。タイカット比T/Cの値が相対的に大きいほど、すなわち、ミシン目の切り込み線部分の長さCに対するミシン目の繋ぎ部分の長さTの比率が大きいほど、ミシン目は切り離しにくくなる。
【0052】
(ミシン目の密度)
本明細書において、ミシン目の密度Dとは、長さ100mmあたりのミシン目15に含まれる切り込み線部分の数(単位:個/100mm)である。
【0053】
本発明の実施形態において、ミシン目の密度Dは、50個/100mm以上80個/100mm以下であり、好ましくは、50個/100mm以上70個/100mm以下である。
【0054】
トイレットペーパー13の幅方向に延びるミシン目15の所定の測定長L(mm)にわたってミシン目15に含まれる切り込み線部分の数N(個)を測定し、個数Nを測定長Lで割って必要な単位換算をすることによって、ミシン目の密度を求めることができる。切り込み線部分の数N(個)の測定は、実測であってもよく、製造設備におけるミシン目形成部のカッターの刃先の設定条件等によって計算上の数値として求めてもよい。
【0055】
例えば、ミシン目15の全長にわたって切り込み線部分の数N(個)を測定する場合、本例ではミシン目の測定長はその全長の114mmであるので、ミシン目の密度Dは下式(II)によって求めることができる。
(ミシン目の密度D)=(測定長L(mm)にわたってミシン目に含まれる切り込み線部分の数N(個))÷(ミシン目の測定長L(本例では114mm))×(ミシン目の単位長(100mm))・・・式(II)
【0056】
ミシン目の密度Dが大きいほど、所定の長さのミシン目に含まれる切り込み線部分の数Nが多いことを示す。ミシン目の密度Dが小さいほど、所定の長さのミシン目に含まれる切り込み線部分の数Nが少ないことを示す。
【0057】
本出願人らは、ミシン目の密度Dとタイカット比T/Cとの関係を鋭意検討し、次のことを見出した。
【0058】
例えば、ミシン目のタイカット比T/Cが同等レベルである場合は、ミシン目の密度Dが大きいほど、所定の長さのミシン目に含まれる切り込み線部分の数Nが多くなる。このとき、トイレットペーパー13の幅方向における各切り込み線部分の長さTnおよび各繋ぎ部分の長さCnはともに小さくなる。これによると、トイレットペーパー13の幅方向において、長さが相対的に短い(幅が相対的に狭い)切り込み線部分が、数多く分布することとなる。
【0059】
つまり、トイレットロール10からトイレットペーパー13を引き出すときに加えられる引張力によってトイレットペーパー13に生じる引張応力は、概して、ミシン目15の切り込み線部分の縁付近において大きくなる。ミシン目15のタイカット比T/Cを同等レベルとしたままミシン目の密度Dを大きくした場合、トイレットペーパー13の幅方向には、ミシン目15の切り込み線部分の縁が数多く分布することとなる。トイレットペーパー13に生じた引張応力は、ミシン目の状態(切り込み線部分の分布状態)に対応して分散され得る。分散の結果、各切り込み線部分の縁付近に作用する引張応力の大きさが小さくなり得る。これによって、トイレットロール10からトイレットペーパー13を引き出した時の意図しないミシン目での不用意な破断を防止することができる。
【0060】
また、例えば、ミシン目15の密度Dが同等レベルである場合は、ミシン目におけるタイカット比T/Cが大きいほど、ミシン目に沿った切り込み線部分の配置が疎らになり、換言すると、隣接する切り込み線部分間の距離、すなわち、繋ぎ部分の長さが増大する。したがって、タイカット比T/Cが大きいと、意図しないミシン目での破断が防止される傾向となる。一方、タイカット比T/Cが大きすぎると、ミシン目に沿った綺麗な引き裂きが困難になる。
【0061】
反対に、ミシン目15の密度Dが同等レベルであって、ミシン目におけるタイカット比T/Cが小さい場合は、ミシン目に沿った切り込み線部分の配置が密になり、換言すると、隣接する切り込み線部分間の距離、すなわち、繋ぎ部分の長さが低減する。したがって、タイカット比T/Cが小さいと、ミシン目に沿った綺麗な引き裂きが容易になる傾向となる。一方、タイカット比T/Cが小さすぎると、意図しないミシン目での破断が発生しやすくなる。
【0062】
したがって、本実施形態では、ミシン目15の密度Dを、50個/100mm以上80個/100mm以下とし、且つ、タイカット比T/Cを0.3以上0.7以下とすることで、意図しないミシン目でのトイレットペーパーの不用意な破断を防止するとともに、使用時におけるミシン目に沿った綺麗な引き裂きと、を可能にするものである。
【0063】
(製造方法)
本発明の実施形態に係るトイレットロール10は、例えば、非限定的に、
・ トイレットロール10を構成するトイレットペーパー13(シート11)となる長尺のシート11Lを、不図示の抄紙機によって抄造しつつ巻き取って、シート11Lが巻き取られた原反ロール11Rを製造する、「原反ロール製造工程」、
・ シート11Lが巻き取られた原反ロール11Rからシート11Lを繰り出し、ミシン目を形成するミシン目形成工程を経て、所定の長さだけ紙管14に巻き取り、必要に応じて所定の幅寸法(製品の幅寸法)に裁断する、「トイレットロール製造工程」、
といった工程を経て製造され得る。
【0064】
上述の原反ロール製造工程において、シート11Lには、必要に応じて、クレーピングおよび/またはカレンダー加工等の加工を行ってもよい。
【0065】
クレーピングは、主に、シートに柔らかさ、嵩高さ(バルク感)、吸収性、美観(クレープの形状)、手触り感などを付与するために行われる加工である。原反ロール製造工程において、パルプ成分を含むスラリーから抄造されたシート11Lを乾燥させる乾燥工程において、シート11Lに対して非常に細かい波状の皺を付与することで行われる。
【0066】
カレンダー加工は、原反ロール製造工程および/またはトイレットロール製造工程など、製造工程における任意の段階で行うことができる。図示しない1対のカレンダーロールにより上下からシート11Lを挟み込み、押圧することによって、シート11Lを圧縮して、紙厚の調整および均一化、ならびに表面の平滑化などがなされる。
【0067】
あるいはまた、原反ロール製造工程によって製造された原反ロール11Rから繰り出したシート11Lに、エンボス加工、スリット加工等の必要に応じた加工をあらかじめ施してから巻き取って2次原反ロールを製造し、これをトイレットロール製造工程に用いる原反ロールとして用いて、トイレットロールを製造してもよい。
【0068】
(トイレットロール製造工程)
図3を参照して、不図示の抄紙機により抄造された長尺のシート11Lが巻き取られた原反ロール11Rからトイレットロールを製造する、トイレットロール製造工程について説明する。
【0069】
[トイレットロール製造設備]
図3に、本発明の実施形態に係る単プライのトイレットロール10を製造するために用いることのできる製造設備の例を模式的に示す。
図3は例示目的であって本発明を限定するものではない。
【0070】
図3に示される製造設備は、原反ロール11Rから原紙シート11Lを繰り出すシート繰出機能20と、繰り出された原紙シート11Lを給送する給送手段Fと、原紙シート11Lにミシン目15を形成するミシン目形成機能27と、原紙シート11Lをロール状に巻き取るシート巻取機能30と、をこの順に備える、巻取ロール形成装置である。
【0071】
本実施形態において、シート11Lには、必要に応じて、表面にエンボス凹凸を形成するエンボス加工等が施されていてもよい。エンボス加工は、概して、トイレットペーパー13となるシート11Lに柔らかさや良好な手触り感を付与するために行われる。そのために、
図3に示される巻取ロール形成装置は、シート11Lにエンボス凹凸を付与するためのエンボスロールを備えるエンボス加工部(不図示)を備えていてもよい。エンボス加工は、好ましくは、原反ロール11Rと給送手段Fとの間で行われる。
【0072】
図3において、原反ロールスタンド20は、原反ロール11Rを搭載可能に構成されており、単プライのトイレットロールを製造することができる。
【0073】
(原反ロール)
原反ロール11Rは、当技術分野において知られている製紙技術により製造することができる。例えば、原反ロール11Rは、抄紙機を用いて原紙シート11Lを形成しつつ、形成された原紙シート11Lを巻芯に巻き取る工程によって得ることができる。抄紙機には、ツインワイヤフォーマ方式、円網フォーマ方式、サクションプレストフォーマ方式、クレセントフォーマ方式等の知られている抄紙機が用いられてもよい。
【0074】
本例において、原反ロールスタンド20には、帯状をなす長尺の原紙シート11Lが巻き取られた原反ロール11Rが配されている。原反ロール11Rは、トイレットロール10の幅(製品幅)の数倍から二十数倍の幅を有する。
【0075】
原反ロール11Rは、原反ロールスタンド20に対して回転可能に取り付けられており、原紙シート繰出装置(不図示)によって回転駆動されつつ原紙シート11Lを繰り出すことができる。
【0076】
原反ロール11Rから繰り出された原紙シート11Lは、原反ロールスタンド20の下流側に配された給送手段Fを介して、ミシン目形成部27に送り込まれる。このミシン目形成部27の下流側には、さらに巻取部30が配されている。
【0077】
(給送手段)
給送手段Fとは、送り込まれてきた長尺の原紙シート11Lを駆動力をもって送り出すことが可能に構成された手段をいう。
【0078】
給送手段Fの例には、例えば、フィードロールが挙げられる。フィードロールは、原紙シート11Lとの間に滑りが生じないような構造を有する少なくとも一本の駆動ロール(送りロールとも称される)を含む構成を有する。フィードロールは、非限定的に、原紙シート11Lを2本のロールで挟み込み上下から一定の圧力で押し合ってその給送を規制するロールの形態(ピンチロールとも称される)であってもよく、また、送りロールとニップロールとを含み、ニップロールにより原紙シート11Lを送りロールに対して圧を掛けて押し付けて送りロールの駆動力により給送を行う形態であってもよく、また、この他、知られている任意の形態をとっていてもよい。
【0079】
(ミシン目形成部)
ミシン目形成部27は、端的には、送り込まれてきた原紙シートに対してミシン目を形成するミシン目形成を施すユニットである。
【0080】
ミシン目形成部27は、原紙シート11Lを幅方向に横切るミシン目15を、原紙シート11Lの長手方向(MD方向)に沿って一定間隔毎に形成するようにしている。切り離し用ミシン目の形成には、知られている任意のミシン目形成手段を用いることができる。
【0081】
本例では、ミシン目形成手段は、駆動回転される回転刃ホルダー28hであって、この回転刃ホルダーの回転軸線と平行な方向に沿って一直線状をなす刃先が不連続となった櫛歯状カッター28cが取り付けられた回転刃ホルダー28hと、この回転刃ホルダー28hと対向して固定状態に保持される固定刃ホルダー29hであって、刃先が回転刃ホルダー28hの回転軸線と平行な方向に沿って一直線状に連続する直線状カッター29cが取り付けられた固定刃ホルダー29hと、を備えている。
【0082】
ミシン目形成手段は、長尺の原紙シート11Lを、これら回転刃ホルダー28hの櫛歯状カッター28cと固定刃ホルダー29hの直線状カッター29cとの間を通過させる。これにより原紙シート11Lの幅方向に沿って櫛歯状カッター28cの刃先に対応した切り離し用ミシン目が、原紙シート11Lの幅方向両側端縁に跨がって形成される。
【0083】
より詳細には、原紙シート11Lは、固定刃ホルダー29hに取り付けられた直線状カッター29cの刃先を横切るように通過し、この原紙シート11Lの通過速度に応じた周速で回転刃ホルダー28hの櫛歯状カッター28cが回転する。櫛歯状カッター28cが直線状カッター29cを通過する際にミシン目が原紙シート11Lに形成される。櫛歯状カッター28cと直線状カッター29cとで形成されるミシン目は、原紙シート11Lの幅方向両側端縁に跨がって延在し、かつ原紙シート11Lをその幅方向に沿って切り離すための切り離し用ミシン目となる。
【0084】
ミシン目形成部27におけるミシン目形成手段の櫛歯状カッター28cや直線状カッター29c等の設定(例えば、櫛歯の形状、間隔、配列パターン、刃先の寸法、切り込み深さ等)により、トイレットペーパー13となるシート11Lに形成されるミシン目の密度D、およびタイトカット比T/C等を適宜設定することができる。
【0085】
ミシン目形成部27においてミシン目15が形成された原紙シート11Lは、その下流側に配された巻取部30に送出される。
【0086】
(巻取部)
巻取部30は、ミシン目形成部27から送出される原紙シート11Lの先端部を、軸方向に長尺の巻芯(紙管14L)に接着剤を介して巻き付けて原紙シート11Lを紙管14Lに所定長さだけ巻き取り、その後、不図示の切断手段により原紙シート11Lの後端部を切断して、幅広の、すなわちCD方向の寸法が大きいトイレットロール10Lを形成する。この幅広トイレットロール10Lを、「巻取ロール」と称すこともある。
【0087】
このようにして形成された幅広トイレットロール10L、すなわち巻取ロール10Lは、次いで、不図示の切断部により、製品スペック等に応じた所定幅(例えば114mm)に切断されて個々のトイレットロール10となる。
【0088】
(作用効果)
本実施形態では、低坪量で単プライのトイレットロールにおいて、トイレットペーパーのミシン目15のタイカット比T/Cを、0.3以上0.7以下とし、且つ、ミシン目15の密度Dを、50個/100mm以上80個/100mm以下とする。本実施形態によれば、トイレットロールの長い巻長が可能になるとともに、トイレットロールからトイレットペーパーを引き出す際の意図しないミシン目における不用意な破断の防止と、所望のミシン目に剪断力を加えた際のミシン目に沿った綺麗な破断と、の両立が可能になる。
【0089】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。特段の記載のない限り、第1の実施形態に適用可能な構成は、本実施形態に適用可能である。
【0090】
(無エンボス)
第2の実施形態に係るトイレットロールは、第1の実施形態で説明したトイレットロール10において、トイレットペーパー13を、エンボス加工が施されていない無エンボスとすることを特徴とする。
【0091】
第2の実施形態において、トイレットペーパー13は、無エンボスであって何らエンボス加工が施されていないため、表面にエンボス凹凸を有さない。第2の実施形態において、トイレットペーパー13を無エンボスとするのは、次の理由によるものである。
【0092】
エンボス加工は、一般に、シートの柔らかさを向上させるために有効な手段である。しかしながら、エンボス加工によって、シートを構成するパルプの繊維間結合が緩んだり切れたりする傾向がある。シートは、概して、最も弱い部分を起点に破断する。トイレットペーパー13にエンボス加工を施すと、トイレットペーパー13に弱い部分が生じ、引っ張られた際に、より弱い引張力で、エンボス加工により弱くなった部分から破断しやすくなる。
【0093】
本発明の実施形態では、トイレットペーパー13にはミシン目15が形成されている。トイレットペーパー13のミシン目15を境にして、トイレットペーパー13の長手方向の両側の部分(ミシン目15に関してMD方向における上流側の部分および下流側の部分)は、ミシン目の繋ぎ部分のみによって繋がっている。この繋ぎ部分に関して、トイレットペーパー13の幅方向の両側には切り込み線部分が存在し、切り込み線部分では、トイレットペーパー13を構成するパルプ繊維は、切断または分断によって途切れている。そのため、トイレットペーパー13の幅方向におけるミシン目15の繋ぎ部分の合計長さTは、トイレットペーパーの全幅Wの長さよりも短い。
【0094】
トイレットロール10からトイレットペーパー13を引き出す方向にトイレットペーパー13に引張力を加えると、トイレットペーパーの全幅Wの長さよりもトイレットペーパー13の幅方向における合計長さTの短いミシン目15の繋ぎ部分に引張応力がかかることとなり、ミシン目15の繋ぎ部分は、ミシン目以外の部分と比べて破断しやすい。
【0095】
このように、もともと他の部分と比べて破断しやすいミシン目の繋ぎ部分の強度(いわゆる、ミシン目強度)が、トイレットペーパーにエンボス加工を施すことによって、より弱くなり、これによって意図しない破断が発生する可能性が高まることとなる。
【0096】
(作用効果)
第2の実施形態において、トイレットペーパー13は無エンボスである。エンボス加工によるダメージを受けないため、エンボスありの場合と比較して、トイレットペーパー13の強度が向上し、特にはミシン目強度が向上して、ミシン目15における意図しない破断がより確実に防止されるという効果が奏される。
【0097】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。特段の記載のない限り、上述の実施形態に適用可能な構成は、本実施形態に適用可能である。
【0098】
第3の実施形態に係るトイレットロールは、上述の実施形態に係るトイレットロール10において、トイレットペーパー13が、そのパルプ成分として、木材パルプ成分および古紙パルプ成分の少なくとも一方を含み、
・ 木材パルプ成分を含む場合の木材パルプ成分中の針葉樹パルプと広葉樹パルプとの配合割合(質量比)を示すL/N比は、80/20~60/40であり、
・ 古紙パルプ成分を含む場合のパルプ成分中の古紙パルプ成分の含有率は50質量%以上であって且つパルプ成分中の針葉樹由来のパルプ成分の含有率は50質量%超であることを特徴とする。
【0099】
(第3の実施形態における第1の態様)
本実施形態の1つの態様では、トイレットペーパー13は、そのパルプ成分として少なくとも木材パルプ成分を含み、木材パルプ成分として針葉樹パルプ(N材)と広葉樹パルプ(L材)を併用し、その配合割合(質量比)L/N比を80/20~60/40の範囲とするものである。
【0100】
一般に、針葉樹パルプは、繊維が長く強度があり、これに対して、広葉樹パルプは、繊維が短く、しなやかである。そのため、木材パルプを原料としてシートを抄造した場合に、針葉樹パルプの配合割合が多いと、広葉樹パルプの配合割合が多い場合と比べて、製造されたシートは強くなる傾向がある。また、木材パルプを原料としてシートを抄造した場合に、広葉樹パルプの配合割合が多いと、針葉樹パルプの配合割合が多い場合と比べて、製造されたシートはしなやかになる傾向がある。
【0101】
パルプ成分を用いてトイレットペーパー13となるシート11Lを抄紙機により抄造すると、シート11L中にパルプ成分の繊維配向が生じる。パルプ繊維は、主にMD方向であるシート11Lの長手方向に配向する。
【0102】
トイレットペーパー13の幅方向(CD方向)に延びるミシン目15の繋ぎ部分に、長手方向に配向した針葉樹パルプの繊維が多く位置していると、その繋ぎ部分の強度は強くなる(すなわちミシン目強度が強くなる)。その結果、トイレットロールからトイレットペーパーを引き出す際の引張力により意図しないミシン目で破断する現象は生じにくくなるが、ミシン目に沿ったトイレットペーパーの綺麗な切り裂きが困難となる。
【0103】
ミシン目に沿った綺麗な切り裂きを容易にするためには、パルプ成分中における、針葉樹パルプよりも低い強度を概して与える広葉樹パルプの配合比率を増やすことが有効となり得るが、増やしすぎると、意図しないミシン目での破断が生じやすくなる。
【0104】
本発明者らは、本実施形態の第1の態様において、針葉樹パルプ(N材)と広葉樹パルプ(L材)を併用する場合、その配合割合(質量比)L/N比を80/20~60/40の範囲とすることで、意図しないミシン目での破断の防止と、ミシン目に沿った綺麗な切り裂きとを両立し得ることを見出した。
【0105】
(第3の実施形態における第2の態様)
本実施形態の別の態様では、トイレットペーパー13が古紙パルプを含む場合に、全パルプ成分中の古紙パルプの含有率を50質量%以上とし、且つ、全パルプ成分中の針葉樹由来のパルプ成分の含有率を50質量%超とするものである。
【0106】
持続可能性(サステナビリティ)等の観点から、製紙製品における古紙パルプの利用が進んでおり、古紙パルプ100%を用いたトイレットロールも世の中に存在する。
【0107】
しかしながら、古紙パルプは、いったん抄造されたパルプ(古紙)を原料とし、これに対して物理的および/または化学的処理を行うことによって製造されるパルプである。古紙から古紙パルプを製造する工程において、古紙パルプには機械的および/または化学的な処理がなされるため、それによるダメージを受ける。そのため、製造された古紙パルプは、概して、木材を材料にして製造した新しいパルプ(いわゆるバージンパルプ)と比較して、繊維が傷んでおり、強度に劣る傾向がある。
【0108】
したがって、古紙パルプを配合割合100%またはそれに近い高い割合で本発明の実施形態のトイレットペーパーのパルプ成分として用いたとすると、トイレットロールからトイレットペーパーを引き出す際に、意図しないミシン目での破断が容易に生じ得る。これを回避するために、本実施形態の第2の態様では、古紙パルプを配合する際に、強度を付与するために、パルプ成分の中でも強度の高い針葉樹パルプの配合率を増やすものである。
【0109】
本発明者らは、本実施形態の第2の態様において、トイレットペーパー13のパルプ成分として古紙パルプを配合する場合、パルプ成分中の古紙パルプ成分の含有率を50質量%以上とするとともに、パルプ成分中の針葉樹由来のパルプ成分の含有率を50質量%超とすることで、意図しないミシン目での破断の防止と、ミシン目に沿った綺麗な切り裂きと、を両立し得ることを見出した。
【0110】
(針葉樹由来のパルプ成分)
本発明の実施形態に適用可能な「針葉樹由来のパルプ成分」の例には、木材を原料として製造された木材パルプであって、当該木材が針葉樹である木材パルプはもちろん、古紙パルプであって、その原料である古紙が針葉樹パルプを含んで抄造された場合の当該針葉樹パルプに相当する古紙パルプも含まれる。
【0111】
例えば、針葉樹パルプ100%からなるミルクカートンを原料とする古紙パルプをパルプ成分として用いる場合は、この古紙パルプの含有率は、「パルプ成分中の古紙パルプ成分の含有率」としてカウントされるとともに、「パルプ成分中の針葉樹由来のパルプ成分の含有率」としてもカウントされることは理解されよう。
【0112】
(作用効果)
本実施形態によれば、パルプ成分中のパルプの配合割合を好適に制御することによって、意図しないミシン目での破断の防止と、ミシン目に沿った綺麗な切り裂きと、を両立することができる。本実施形態によれば、ミシン目強度と、ミシン目に沿う引裂強度と、をバランスよくコントロールすることができる。
【実施例0113】
(実施例1~7)
以下の製造工程を経て、本発明の実施形態に係るトイレットロールを製造した。
(a)不図示のツインワイヤフォーマ方式の抄紙機により、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)と針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)との比率(L/N比)が65質量%:35質量%のパルプ組成を有する抄紙用スラリー(紙料)を用いて幅広のシート11Lを抄造し、シート11Lが巻き取られた原反ロール11Rを得た。
(b)原反ロール11Rを、
図3に示される巻取ロール形成装置のシート繰出機能20に搭載し、原反ロール11Rからシート11Lを引き出しつつミシン目15を形成し、シート11Lの始端部を、ピックアップ糊を塗布した幅広の紙管14Lに押し当てて接着固定し、紙管14Lの周りにロール状に巻き取った。
実施例7については、シート11Lに、ミシン目を形成する前に、エンボス加工を施して、エンボス凹凸を付与した。
(c)巻取長さが所定長に達した段階で、シート11Lの巻き取り終端を切断するとともに、シートの終端部をテールシール糊によりロール外周に接着固定して、幅広のトイレットロール10Lを得た。
(d)幅広のトイレットロール10Lを所定の幅寸法(114mm)に裁断して、シート11で構成される単プライのトイレットペーパー13がロール状に巻き取られたトイレットロール10を製造した。
【0114】
(比較例1~6)
第2表に示される比較例1~6のトイレットロールを製造した。
【0115】
製造された実施例および比較例のトイレットロールについて、以下の測定および評価を行った。なお、測定は、日本工業規格JIS P8111に準じた環境下(温度23±1°、湿度50±2%RH)で試料を調湿して行った。
【0116】
<測定>
〔坪量[g/m2]〕
トイレットロールからトイレットペーパーを巻き解いて、日本工業規格JIS P8124の規定に従って、トイレットペーパーの1枚当たりの坪量を測定した。
【0117】
〔トイレットロールの巻長[m]〕
トイレットロールからトイレットペーパーを巻き解きつつ、トイレットペーパーの終端部から始端部までの紙管への巻き回しの長さを測定した。測定は0.5m刻みで行い端数は切り捨てた。
【0118】
〔トイレットロールの巻径[mm]〕
トイレットロールのロール外径をノギスにより測定し、小数点以下を四捨五入した。
【0119】
〔紙管のコア径[mm]〕
製造されたトイレットロールの紙管の外径をノギスにより測定し、小数点以下を四捨五入した。
【0120】
〔ロール重量[g]〕
製造されたトイレットロールの質量(紙管質量5gを含む)を測定し、小数点以下を四捨五入して、ロール重量とした。
【0121】
〔切り込み線の長さC[mm]〕
トイレットペーパーの幅方向に延びるミシン目の全長(トイレットロールの全幅114mm)に含まれる全ての切り込み線の長さを測定して合計し、小数点以下を四捨五入した。
【0122】
〔繋ぎ部分の長さT[mm]〕
トイレットペーパーの幅方向に延びるミシン目の全長(トイレットロールの全幅114mm)に含まれる複数の繋ぎ部分の長さを測定して合計し、小数点以下を四捨五入した。
【0123】
〔タイカット比T/C〕
上述の方法で求めた切り込み線の長さC[mm]と繋ぎ部分の長さT[mm]とから、下式(I)に従って、トイレットペーパーの幅方向における、ミシン目の繋ぎ部分の長さTと、ミシン目15の切り込み線部分の長さCと、の比率を示す値である、タイカット比T/Cを求めた。
(タイカット比T/C)=(繋ぎ部分の長さT)÷(切り込み線部分の長さC)・・・式(I)
【0124】
〔ミシン目の密度[個/100mm]〕
長さ100mmあたりのミシン目に含まれる切り込み線部分の数(単位:個/100mm)として、ミシン目の密度を求めた。具体的には、トイレットペーパーの幅方向に延びるミシン目の全長(トイレットロールの全幅114mm)に含まれる切り込み線の数Nを数えて、114mmあたりの切り込み線の数を計算し、次いで、単位換算を行って、100mmあたりの切り込み線の数としてミシン目の密度を求めた。
【0125】
<評価>
以下の項目について官能評価を行い、結果を5段階の数値で示した。評価の数値が大きいほど優れていることを示す(5:優~1:劣)。
【0126】
〔使い始め時における意図しないミシン目での破断のしにくさ〕
10人の被験者により、トイレットロールの使い始め時においてトイレットロールからトイレットペーパーを普段の使用量に相当する量だけ引き出す際に、意図しないミシン目で破断が発生するか否かの評価を受けた。意図しないミシン目での破断が発生しにくいほど、すなわち、破断なく所望の量だけ引き出すことができた場合に、優れているとし、評価5とした。普段の使用量に相当する量だけ引き出す以前に意図しないミシン目で破断が発生した場合、破断せずに引き出すことができた量が少ないほど、劣っているとした。
【0127】
〔使用時におけるミシン目での引き裂きやすさ〕
10人の被験者により、トイレットロールから、普段の使用量に相当する長さだけトイレットペーパーを引き出してミシン目で引き裂く際に、トイレットペーパーが意図するミシン目に沿って綺麗に引き裂けるか否かの判断を受けた。トイレットペーパーが意図するミシン目に沿って綺麗に引き裂ける場合を、評価5とした。ミシン目に沿って綺麗に引き裂くことができず、破断部分がギザギザとなった場合に評価を下げ、引き裂くことができない場合を最低評価(評価1)とした。
【0128】
表1および表2に、試験結果を示した。
【0129】
【0130】
【0131】
表1および表2に示されるように、実施例1から比較例6(全試料)はいずれも、単プライのトイレットペーパーがロール状に巻き取られた単プライのトイレットロールであった。
【0132】
実施例1から実施例6のトイレットペーパーは無エンボスであったが、実施例7と比較例1から6(全比較例)のトイレットペーパーにはエンボスが付されていた。
【0133】
実施例1から実施例7(全実施例)は、坪量が14.0~16.0g/m2の範囲内であったが、比較例1~比較例6(全比較例)は、坪量がそれに比べて高く、19.0~19.4g/m2の範囲内であった。
【0134】
実施例1から実施例7(全実施例)は、木材パルプをパルプ組成に含み、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)と針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)の比率(L/N比)は、65質量%:35質量%であった。
【0135】
本発明の実施形態に係る実施例1から6の無エンボスの単プライのトイレットロールは、いずれも、坪量が14.0~16.0g/m2の範囲内であり、巻長130m、150m、180m、210mといった長い巻長で115~118mmの巻径が達成されていた。また、ミシン目のタイカット比は0.3以上0.7以下の範囲内であり、且つ、ミシン目密度は50個/100mm以上80個/100mm以下であり、「使い始め時における意図しないミシン目での破断のしにくさ」および「使用時におけるミシン目での引き裂きやすさ」の両方において、評価が4以上であり、優れていた。
【0136】
本発明の実施形態に係る実施例7のエンボスを有する単プライのトイレットロールは、坪量が14.0~16.0g/m2の範囲内であり、巻長130mといった長い巻長で115mmの巻径が達成されていた。また、ミシン目のタイカット比は0.3以上0.7以下の範囲内であり、且つ、ミシン目密度は50個/100mm以上80個/100mm以下であり、「使用時におけるミシン目での引き裂きやすさ」は、評価が5であり、優れていた。「使い始め時における意図しないミシン目での破断のしにくさ」は、評価が3であり、無エンボスの他の実施例と比較してやや破断しやすかったが、問題のないレベルだった。
【0137】
一方、本発明の実施形態に係るトイレットロールと比較して、坪量およびタイカット比が高く、ミシン目密度が低い、(比較例1)のトイレットロールは、「使い始め時における意図しないミシン目での破断のしにくさ」については、評価5で良好であった。一方、「使用時におけるミシン目での引き裂きやすさ」については、評価が2であり、トイレットペーパーを綺麗に引き裂くことが困難であった。
【0138】
本発明の実施形態に係るトイレットロールと比較して、坪量およびタイカット比が高く、ミシン目密度が本発明の実施形態に係るトイレットロールと同等である、(比較例2)のトイレットロールは、「使い始め時における意図しないミシン目での破断のしにくさ」については、評価5で良好であった。一方、「使用時におけるミシン目での引き裂きやすさ」については、評価が2であり、トイレットペーパーを綺麗に引き裂くことが困難であった。
【0139】
本発明の実施形態に係るトイレットロールと比較して、坪量が高く、タイカット比が同等であり、ミシン目密度が低い、(比較例3)および(比較例4)のトイレットロールは、「使い始め時における意図しないミシン目での破断のしにくさ」については、評価2であり、破断しやすかった。一方、「使用時におけるミシン目での引き裂きやすさ」については、評価が4であり、トイレットペーパーを引き裂くことが容易であった。
【0140】
本発明の実施形態に係るトイレットロールと比較して、坪量が高く、タイカット比が極めて高く、ミシン目密度が同等レベルである、(比較例5)のトイレットロールは、「使い始め時における意図しないミシン目での破断のしにくさ」については、評価5であり、破断しにくく良好であったが、一方、「使用時におけるミシン目での引き裂きやすさ」については、評価が2であり、トイレットペーパーを綺麗に引き裂くことが困難であった。
【0141】
本発明の実施形態に係るトイレットロールと比較して、坪量が高く、タイカット比が低く、ミシン目密度が高い、(比較例6)のトイレットロールは、「使い始め時における意図しないミシン目での破断のしにくさ」については、評価2であり、破断しやすく劣っていたが、一方、「使用時におけるミシン目での引き裂きやすさ」については、評価が5であり、トイレットペーパーを綺麗に引き裂くことがで、良好であった。
【0142】
(発明の用途)
上述の実施形態においてトイレットロール10は紙管14を有するものとして、本発明を説明した。しかしながら、本発明は、それに限定されず、紙管14を有さない無芯トイレットロールにも適用可能である。