(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022114862
(43)【公開日】2022-08-08
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/475 20060101AFI20220801BHJP
A61F 13/49 20060101ALI20220801BHJP
【FI】
A61F13/475 112
A61F13/49 315A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021011321
(22)【出願日】2021-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金子 由美子
(72)【発明者】
【氏名】花生 裕之
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200BA01
3B200BA12
3B200BB11
3B200BB20
3B200CA11
3B200DA03
3B200DB12
(57)【要約】
【課題】吸収体を効率よく使用する吸収性物品を提供する。
【解決手段】装着状態において着用者の腹部側に位置する前身頃領域、股下に位置する股下領域、及び背部側に位置する後身頃領域が長手方向にこの順に設けられた吸収性物品であって、前記股下領域を含み、股下領域がくびれとなる瓢箪型に配置された吸収体と、前記吸収体の肌面側に配置されたトップシートと、前記吸収体の非肌面側に配置され、前記トップシートよりも幅広に形成されたカバーシートと、前記吸収性物品の幅方向における前記トップシートの両側であって前記バックシートの前記肌面側に配置された、長手方向に延在する第1の弾性体を組み込んだ一対のサイドシートと、を備え、前記トップシートと前記一対のサイドシートは、前記股下領域における前記吸収体の側面では前記カバーシートと接着されていない、吸収性物品を提供する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着状態において着用者の腹部側に位置する前身頃領域、股下に位置する股下領域、及び背部側に位置する後身頃領域が長手方向にこの順に設けられた吸収性物品であって、
前記股下領域を含み、股下領域がくびれとなる瓢箪型に配置された吸収体と、
前記吸収体の肌面側に配置されたトップシートと、
前記吸収体の非肌面側に配置され、前記トップシートよりも幅広に形成されたカバーシートと、
前記吸収性物品の幅方向における前記トップシートの両側であって前記バックシートの前記肌面側に配置された、長手方向に延在する第1の弾性体を組み込んだ一対のサイドシートと、
を備え、
前記トップシートと前記一対のサイドシートは、前記股下領域における前記吸収体の側面では前記カバーシートと接着されていない、
吸収性物品。
【請求項2】
前記吸収体の股下領域側面では、前記サイドシートに加えて前記カバーシートと積層されて立ち上がり、
前記吸収体の肌面側端部で前記吸収体と相互に接着される、
請求項1記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記吸収体の長手方向端部では、前記サイドシート全体がトップシートに接着される、
請求項1または2記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記カバーシートの前記股下領域部分における幅方向端部に、
長手方向に延在する第2の弾性体を備える、
請求項1ないし3のうちいずれか1項記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記第1の弾性体と、前記第2の弾性体の伸縮力は互いに異なる、
請求項4記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記一対のサイドシートにおいて、前記第1の弾性体が存在する部分近傍では、
前記カバーシートと積層されていない、
請求項2ないし5のうちいずれか1項記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記カバーシートは、前記吸収体の幅方向両端部を肌面側から覆うように、幅方向両端部が肌面側へ折り返される、
請求項1ないし6のうちいずれか1項記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
吸収性物品であるおむつには吸収体が用いられる。吸収体は、放出された体液を吸収することで、体液がおむつの外部に漏出するのを防ぐとともに、着用者の履き心地を改善する(特許文献1)。吸収体は、複数枚の不織布に包まれており、吸収体の近傍にある不織布同士を接着することで、おむつ内での位置を固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
体液放出位置は吸収体中央部である。このため放出された体液は吸収体中央部周辺にとどまり、場合によっては中央部の吸収体がその容量を超えて体液を吸収することもある。この状態でおむつに強い圧力がかかると体液が肌に逆流し、付け心地が悪化することがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明では、装着すると吸収体のクロッチ部端部に空間が形成され、当該空間がおむつの耳部に連通するおむつを提供する。
【0006】
具体的には、装着状態において着用者の腹部側に位置する前身頃領域、股下に位置する股下領域、及び背部側に位置する後身頃領域が長手方向にこの順に設けられた吸収性物品であって、前記股下領域を含み、股下領域がくびれとなる瓢箪型に配置された吸収体と、前記吸収体の肌面側に配置されたトップシートと、前記吸収体の非肌面側に配置され、前記トップシートよりも幅広に形成されたカバーシートと、前記吸収性物品の幅方向における前記トップシートの両側であって前記バックシートの前記肌面側に配置された、長手方向に延在する第1の弾性体を組み込んだ一対のサイドシートと、を備え、前記トップシートと前記一対のサイドシートは、前記股下領域における前記吸収体の側面では前記カバーシートと接着されていない、吸収性物品を提供する。
【0007】
前記吸収体の側面では、前記サイドシートに加えて前記カバーシートと積層されて立ち上がり、前記吸収体の肌面側端部で前記吸収体と相互に接着される吸収性物品としてよい。
【0008】
また、前記吸収体の長手方向端部では、前記サイドシート全体がトップシートに接着される、吸収性物品とすることもできる。
【0009】
更に、前記カバーシートのクロッチ部分における幅方向端部に、長手方向に延在する第2の弾性体を備える吸収性物品とすることもできる。
【0010】
加えて、前記第1の弾性体と、前記第2の弾性体の伸縮力は互いに異なる吸収性物品としてよい。
【0011】
前記一対のサイドシートにおいて、前記第1の弾性体が存在する部分近傍では、前記カバーシートと積層されていない吸収性物品としてよい。
【0012】
なお、カバーシートは、前記吸収体の幅方向両端部を肌面側から覆うように、幅方向両端部が肌面側へ折り返されていてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、吸収体がより広範囲で体液を受け止めて吸収できるので、容量を超える部分を出すことなく、より幅広い箇所で効率的に体液を吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、実施形態に係るインナーパッドの平面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るインナーパッドの斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るインナーパッドの断面図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る体液の流れを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、図面を参照して本発明の実施形態に係るおむつの製造装置について説明する。なお、以下の実施形態の構成は例示であり、本発明はこれらの実施の形態の構成に限定されるものではない。
【0016】
本実施形態では、交換式のインナーパッド(本願でいう「吸収性物品」の一例である)について、着用者の腹部に対向して配置される前身頃と背部に対向して配置される後身頃とを結ぶ方向を長手方向とする。これらの前身頃(長手方向の一側)と後身頃(長手方向の他側)との間(長手方向の中央)には、着用者の股下に配置(股間に対向して配置)される股下部が位置する。また、インナーパッドが着用者に装着された状態(以下、「装着状態」と略称する)において、着用者の肌に向かう側(装着された状態で内側)を肌面側とし、肌面側の反対側(装着された状態で外側)を非肌面側とする。さらに、肌面側と非肌面側とを結ぶ方向を厚み方向とし、長手方向と厚み方向の何れにも直交する方向を幅方向とする。そのほか、厚み方向から視ることを平面視とする。
【0017】
図1は、実施形態に係るインナーパッドの平面図である。また、
図2は、実施形態に係るインナーパッドの斜視図である。インナーパッド1は、装着状態において着用者の陰部を覆う股下に対応する股下領域1Bと、股下領域1Bの前側に位置し、着用者の前身頃に対応する部位である前身頃領域1Fと、股下領域1Bの後ろ側に位置し、着用者の後身頃に対応する部位である後身頃領域1Rとを有する。前身頃領域1F、後身頃領域1R、股下領域1Bには、股下領域1Bを中心に、クロッチ部分が絞られた瓢箪型の吸収体6が組み込まれている。前身頃領域1Fと後身頃領域1Rの先、おむつの短手方向と長手方向の吸収体のない部分では、吸収体6を覆う全てのシートがホットメルト接着剤等で溶着されており、非溶着部分からの体液流入を防ぎ、吸収体6の位置を規制する。このインナーパッド1をテープ型おむつやパンツ型おむつの内側に装着すれば、インナーパッド1が体液を吸収するので、例え体液の放出があったとしても、おむつ自体は再利用することができる。
【0018】
また、インナーパッド1には、インナーパッド1と着用者の肌との間に液体の流出経路となる隙間が形成されるのを抑制するべく、着用者の脚周り部(大腿部)を取り巻く部位(クロッチ部分における幅方向端部)に、レグギャザー2が設けられている。レグギャザー2は、インナーパッド1の長手方向に延在する。また、レグギャザーよりもインナーパッド1の幅方向内側に立体ギャザー3が設けられている。インナーパッド1は、レグギャザー2に含まれる弾性部材の弾性力で着用者の体形に追従し、立体ギャザー3に含まれる
弾性部材の弾性力で、着用者の肌に密着する。着用者から排出される液体は、インナーパッド1から漏出することなくインナーパッド1の吸収体に吸収される。なお、弾性部材としては糸状や帯状のゴム等を適宜選択できる。
【0019】
インナーパッド1は、立体ギャザー3を形成するサイドシート8と、センターシート7と、クロッチ部分が瓢箪型の吸収体6と、レグギャザー2を備えるカバーシート4とを備え、肌面側から非肌面側まで順に積層されている。吸収体6は、図示しないコアラップシート5で包まれている。インナーパッドの前身頃端部と後身頃端部には吸収体6は存在せず、全てのシートが接着されている。
【0020】
サイドシート8は、透湿性を備えるが、非親水性の不織布である。前述の通りサイドシート8は立体ギャザー3として肌に密着するため、サイドシート8に当接した体液はインナーパッド1の幅方向には漏洩せず、吸収体6に順次吸収される。センターシート7は、肌触りが良く、親水性の不織布である。肌に当接して体液を直接受け止め、順次吸収体6に吸収させる役割をする。また、吸収体6が既に吸収した体液の逆流を防ぐ。
【0021】
吸収体6は、綿状に構成されたパルプ繊維、レーヨン繊維、またはコットン繊維のようなセルロース繊維や、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリエチレンテフタレート等の合成繊維に親水性処理を施した繊維の隙間に、液体を吸収し保持することのできる架橋構造を持つ高分子吸水材であるSAP(高吸収性重合体:Super Absorbent Polymer)等の粒状の吸収性樹脂を保持させた構造を有している。
【0022】
繊維は、急速に体液を吸収することができる一方で保持力が低く、強い圧力を与えると、吸収した体液が体表に逆流してしまう。逆に、体液を吸収してゲル化した高分子吸水材は、強力に体液を保持できる一方で、体液吸収とゲル化には一定程度の時間が必要となる。吸収体6を、綿状に構成されたパルプ等の繊維と、粒状の高分子吸水材の組み合わせとすることで、繊維部分が迅速に吸水した体液を、高分子吸水材が順次吸収してゲル化して固定することができる。この構成により、吸収体6は体液を即座に吸収することができ、かつ外圧によって肌面に染み出して使用者に不快感を与えない。
【0023】
吸収体6は、薄いコアラップシート5(吸収紙)に包まれている。コアラップシート5は、親水性を有し水分を透過させやすい不織布またはティッシュペーパーであり、製造工程において吸収体6を包み込んで固定する機能を持つ。コアラップシート5で吸収体6を包み込んでおくことで、インナーパッド1製造中に吸収体6の内容物(特に粒状の高分子吸水材)が漏洩して製造ラインが汚染されるのを防ぐことができる。また、製造中に吸収体6の内容物が移動して、例えば体液を効率よく分散させるために敢えて高分子吸水材を配置していない場所に高分子吸水材が入り込むなどして、吸収体6が想定通りの機能を果たさなくなる事態を防ぐことができる。
【0024】
カバーシート4は、インナーパッド1からの体液の漏れを抑え、インナーパッド1全体の補強や取り扱いの向上をするために設けられる。例えば、体液の漏れを抑制するために、熱可塑性樹脂からなる液不透過性の不織布をその材料として用いることができる。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等が例示できる。カバーシート4は、単層構造に限らず、インナーカバーシートおよびアウターカバーシートを有する多層構造であってもよい。カバーシート4の非肌面側には、インナーパッド1の種類や装着方向などの情報が印刷されていてもよい。カバーシート4の上には、レグギャザー2が組み込まれている。レグギャザー2により、インナーパッド1の股下部分が股の形に添うように付勢される。カバーシート4は、吸収体6の幅方向両端部を肌面側から覆うように、幅方向両端部が肌面側へ折り返されている。よって、
図1では、カバーシート4で覆われる吸収体6の幅方向両端部を破線で示している。
【0025】
レグギャザー2と立体ギャザー3に用いられる伸縮部材の伸縮力は異ならせることができる。例えば、レグギャザー2はインナーパッド1が股の形に添うよう、インナーパッド1を強く付勢する。一方で、立体ギャザー3は、体液を股の外に逃さないように、肌に密着するよう付勢されてはいるものの、あまり強く付勢すれば着用者に不快感を与えてしまうため、付勢の度合いは比較的緩く設定されていてよい。なお、インナーパッド1は、おむつやパンツなどと併用する吸収性物品であって、それ自体の力のみで股の形に添う必要はないことから、レグギャザー2の付勢度合いを最低限とし、立体ギャザー3よりも付勢度合いを下げることもできる。
【0026】
図3は、実施形態に係るインナーパッドの断面図である。具体的には、インナーパッド1を
図1に示すA-A線で切断した図である。インナーパッド1は、非肌面側から、バックシート4、吸収体6、センターシート7の順に肌面側に積層されている。吸収体6は、コアラップシート5で保護されている。本図の例では、具体的には、吸収体6は2枚のコアラップシート5Aと5Bで保護されている。
【0027】
コアラップシート5で保護された吸収体6の側面には、サイドシート8が配置されている。サイドシート8の先端部には弾性体が組み込まれており、肌に密着する立体ギャザー3として機能する。サイドシート8とカバーシート4は、吸収体6の側面で立ち上がり、センターシートと共に吸収体6の幅方向端部肌面側で接着されている。このように構成することで、サイドシート8まで流れた体液は、サイドシート8とカバーシート4とで漏洩を抑えられている間に、その直下にある吸収体6に吸収される。このため、体液はサイドシート8に長時間液体のまま留まることがなく、インナーパッド1の付け心地が向上する。
【0028】
なお、接着されたサイドシート8とカバーシート4は、吸収体の幅方向両端と一定程度重畳するように接着されているものの、立体ギャザー3の端部までは重畳しておらず、立体ギャザー3の端部は、サイドシート8のみから構成される。このように、立体ギャザー3の一部をサイドシート8のみから構成することで、立体ギャザー3からの体液漏洩防止を図りつつも、カバーシート4の存在により犠牲になる通気性を確保することができる。
【0029】
吸収体6と、コアラップシート5とは、ホットメルト接着剤で接着されており、コアラップシートとセンターシート7も、ホットメルト接着剤で接着されている。一般的に接着には他の接着剤を用いてもよい。また、コアラップシート5が不織布の場合には、他のシートとの接着に熱溶着を用いてもよい。
【0030】
吸収体は、単純に繊維と高分子吸水材を混合してなるものではなく、吸収性物品の機能を適切に果たすように設計されて配置される。本実施形態における吸収体6は、複数層に分かれて形成されている。具体的には、本実施形態における吸収体6は、非肌面側に存在する、SAP粒子と繊維からなる第1吸収体6Aと、肌面側に存在する、SAP粒子と繊維からなる第2吸収体6Bの2層になっている。第1吸収体は、第2吸収体よりも幅方向に広い。更に、吸収体6は、第1吸収体6Aと第2吸収体6Bとの間にSAP粒子を配置した、層間SAP6Cを有している。このように、吸収体を2層構造にすることで、吸収体6は柔軟になり、肌面に追従しやすくなる。
【0031】
吸収体6を構成する第1吸収体6Aと第2吸収体6Bは、第1吸収体6Aのほうが幅方向に広い。前述のように構成されたインナーパッド1を使用者が実際に装着すると、吸収体6の側面で立ち上がるサイドシート8とバックシート4とが幅方向に広がるように圧力を受ける。サイドシート8と吸収体6は肌面側の幅方向端部で接着されており、吸収体6にも幅方向への圧力が加えられる。吸収体6を幅方向に広げると、吸収体6の幅方向の両
端部肌面側には、空間部6Dが形成される。勿論、必ずしも吸収体を層構造にする必要はなく、シート間の圧力により一定程度の空間は生成可能である。
【0032】
前述のように、立体ギャザー3と、レグギャザー2に配置される伸縮部材の伸縮力は相違させることもできる。伸縮力の相違により、吸収体6は伸縮力の強い方向に引き寄せられる。その結果、空間部6Dの大きさを確保することができる。また、センターシート7と、カバーシート4とサイドシート8は、吸収体6の幅方向端部肌面側で接着されており、カバーシート4とサイドシート8の端部は接着されていない。このため、幅方向端部において、センターシート7とカバーシート4との間には空間が生じる。
【0033】
図4は、実施形態に係る体液の流れを示した図である。人体から放出された体液は股下部1Bに放出され、吸収体6に吸収されながらも幅方向、またサイドシート8の方向に流れる。サイドシート8および吸収体6の幅方向端部に到達した体液は空間部6Dに導入される。カバーシート4が、吸収体6の幅方向両端部を肌面側から覆うように、幅方向両端部が肌面側へ折り返されているため、空間部6Dに導入された体液は、空間部6Dからカバーシート4の外側へは漏れ出さない。よって、空間部6Dに導入された体液は、空間部6Dを伝ってクロッチの耳部分に流れ、クロッチの耳部分で吸収される。このように、空間部6Dは吸収体6の端部にスロットが設けられたのと同等の効果を発生させる。一般的に、クロッチの耳部分にまで体液が到達することは少なく、クロッチの耳部分の吸収体は役割を果たすことがない。しかし、本実施形態では、空間部6Dの効果により、本実施形態のインナーパッド1では吸収体を効率的に使用することができ、より多くの体液を吸収することができる。
【0034】
以上、本発明の特徴について説明したが、本発明の内容は上記実施の形態に限られるものではない。インナーパッドは折り畳まれて流通する関係上、長手方向には複数の折り目がついている。例えば、この折り目部分で層間の接着を行わないこととすることで、長手方向のみならず幅方向にも体液の流路を作り出すことができ、空間部6Dの効果をより大きく発揮することができる。
【0035】
また、本願では、インナーパッドを例として用いて発明の内容を説明したが、本発明は、同様の吸収体を備えるパンツタイプのおむつや、テープ型のおむつについても、積層されるシートの構成や付勢体を調整することにより、用いることもできる。
【符号の説明】
【0036】
1・・インナーパッド
2・・レグギャザー
3・・立体ギャザー
4・・カバーシート
5,5A,5B・・コアラップシート
6・・吸収体
6A・・第1吸収体
6B・・第2吸収体
6C・・層間SAP
6D・・空間部
7・・センターシート
HM・・ホットメルト