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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022114865
(43)【公開日】2022-08-08
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20220801BHJP
【FI】
E02F9/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021011324
(22)【出願日】2021-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】390036504
【氏名又は名称】日特建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】303051396
【氏名又は名称】オノデラ製作所株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】特許業務法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 博
【テーマコード(参考)】
2D015
【Fターム(参考)】
2D015AA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】現場で作業フロントの組み付けや交換を実現することができる建設機械を提供する。
【解決手段】建設機械は、走行体と、鉛直軸線回りで旋回自在に走行体に支持されて、運転席17を有する旋回体19と、旋回体に連結される連結部材41を有し、構成要素42の動作に応じて決められた作業を実施する作業フロント21と、旋回体に固定されて、吊り下げられる作業フロントが鉛直方向に下降する際に旋回体に対して決められた位置まで連結部材を案内するガイドと、連結部材が決められた位置に位置すると連結部材に形成される貫通孔に挿入されて旋回体に連結部材を結合する連結具とを備える。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行体と、
鉛直軸線回りで旋回自在に前記走行体に支持されて、運転席を有する旋回体と、
前記旋回体に連結される連結部材を有し、構成要素の動作に応じて決められた作業を実施する作業フロントと、
前記旋回体に固定されて、吊り下げられる前記作業フロントが鉛直方向に下降する際に前記旋回体に対して決められた位置まで前記連結部材を案内するガイドと、
前記連結部材が決められた位置に位置すると前記連結部材に形成される貫通孔に挿入されて前記旋回体に前記連結部材を結合する連結具と、
を備えることを特徴とする建設機械。
【請求項2】
走行体と、
鉛直軸線回りで旋回自在に前記走行体に支持されて、運転席を有する旋回体と、
構成要素の動作に応じて決められた作業を実施する作業フロントと、
前記旋回体に固定されて横方向に延びる水平バーと、
前記構成要素のいずれかに結合されて、前記作業フロントが吊り下げられる際に下向きに開放され前記水平バーに引っかかるフックを有する連結部材と、
前記フックから下方に連続し、吊り下げられた前記作業フロントが鉛直方向に下降する際に前記水平バーに接触して前記フックに前記水平バーを案内するガイド壁と、
前記作業フロントの下降に応じて、前記フックの働きで前記水平バー回りに前記連結部材が回転すると前記ガイド壁を受け止めて前記旋回体に対して決められた位置に前記連結部材を位置決めするストッパーと、
前記連結部材が決められた位置に位置すると前記連結部材に形成される貫通孔に挿入されて前記旋回体に前記連結部材を結合する連結具と、
を備えることを特徴とする建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行体と、鉛直軸線回りで旋回自在に走行体に支持されて、運転席を有する旋回体と、旋回体に結合され、構成要素の動作に応じて決められた作業を実施する作業フロントとを備える建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、上部旋回体から分離される作業フロント(作業装置)を備える建設機械を開示する。上部旋回体には抜き差し自在に2つの水平ピンが固定される。水平ピンの固定にあたって上部旋回体には個々の水平ピンごとに2つの固定孔が穿たれる。作業フロントの結合にあたって水平ピンは作業フロントの貫通孔および2つの固定孔に挿入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-17166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業フロントは重量物であって空中に吊り下げられることから、固定孔に対して貫通孔の位置合わせは難しい。固定孔の中心軸線や貫通孔の中心軸線の少なくとも一方が水平からずれるだけで水平ピンは固定孔および貫通孔に挿入されることはできない。作業フロントの吊り上げ時に作業フロントの姿勢は高い精度で調整されなければならず、旋回体の姿勢も高い精度で調整されなければならない。
【0005】
本発明は、現場で作業フロントの組み付けや交換を実現することができる建設機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1側面によれば、走行体と、鉛直軸線回りで旋回自在に前記走行体に支持されて、運転席を有する旋回体と、前記旋回体に連結される連結部材を有し、構成要素の動作に応じて決められた作業を実施する作業フロントと、前記旋回体に固定されて、吊り下げられる前記作業フロントが鉛直方向に下降する際に前記旋回体に対して決められた位置まで前記連結部材を案内するガイドと、前記連結部材が決められた位置に位置すると前記連結部材に形成される貫通孔に挿入されて前記旋回体に前記連結部材を結合する連結具とを備える建設機械は提供される。
【0007】
建設機械の組み立てにあたって作業フロントは吊り下げられる。作業フロントは例えばクレーンで吊り上げられればよい。作業フロントが鉛直方向に下降すると、ガイドに案内されて作業フロントの連結部材は決められた位置に位置決めされる。連結部材の貫通孔は旋回体に対して位置決めされることができる。連結具は貫通孔に挿入されることができる。こうして旋回体に作業フロントは組み付けられることができる。重量物である作業フロントの下降だけで旋回体に対して貫通孔の位置決めは実現されることができる。現場で作業フロントの組み付けや交換は実現されることができる。
【0008】
本発明の第2側面によれば、走行体と、鉛直軸線回りで旋回自在に前記走行体に支持されて、運転席を有する旋回体と、構成要素の動作に応じて決められた作業を実施する作業フロントと、前記旋回体に固定されて横方向に延びる水平バーと、前記構成要素のいずれかに結合されて、前記作業フロントが吊り下げられる際に下向きに開放され前記水平バーに引っかかるフックを有する連結部材と、前記フックから下方に連続し、吊り下げられた前記作業フロントが鉛直方向に下降する際に前記水平バーに接触して前記フックに前記水平バーを案内するガイド壁と、前記作業フロントの下降に応じて、前記フックの働きで前記水平バー回りに前記連結部材が回転すると前記ガイド壁を受け止めて前記旋回体に対して決められた位置に前記連結部材を位置決めするストッパーと、前記連結部材が決められた位置に位置すると前記連結部材に形成される貫通孔に挿入されて前記旋回体に前記連結部材を結合する連結具とを備える建設機械は提供される。
【0009】
建設機械の組み立てにあたって作業フロントは吊り下げられる。作業フロントは例えばクレーンで吊り上げられればよい。作業フロントが鉛直方向に下降すると、ガイド壁は水平バーに接触し連結部材のフックに水平バーは案内される。フックが水平バーに引っかかると、水平バー回りに作業フロントは回転する。こうしてストッパーの働きで連結部材の貫通孔は旋回体に対して位置決めされることができる。連結具は貫通孔に挿入されることができる。こうして旋回体に作業フロントは組み付けられることができる。重量物である作業フロントの下降だけで旋回体に対して貫通孔の位置決めは実現されることができる。現場で作業フロントの組み付けや交換は実現されることができる。
【発明の効果】
【0010】
以上のように開示の建設機械によれば、現場で作業フロントの組み付けや交換は実現されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る杭打ち機の構造を概略的に示す(a)側面図および(b)上面図である。
図2】シャーシの構造を概略的に示す平面図である。
図3】傾斜機構の動作を概略的に示す杭打ち機の正面図である。
図4】連結部材の拡大側面図である。
図5図4の5-5線に沿った断面図である。
図6】後退位置に位置する旋回体を概略的に示す杭打ち機の側面図である。
図7】前開きの状態の左クローラーおよび右クローラーを概略的に示す平面図である。
図8】杭打ち機の組み立て作業を示す概念図である。
図9】作業フロントの組み付けにあたって連結部材の動作を示す概念図である。
図10】本発明の一実施形態に係る掘削機の構造を概略的に示す側面図である。
図11】掘削機の組み立て作業を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態を説明する。
【0013】
図1は本発明の一実施形態に係る杭打ち機(建設機械)の構造を概略的に示す。杭打ち機11は、左クローラー12aおよび右クローラー12bの動作に応じて地面GLを走行する走行体13と、走行体13上で前後方向にスライダー14を移動させるスライド機構15と、鉛直軸線16回りで旋回自在にスライダー14に支持されて、運転席17および動力源18を有する旋回体19と、旋回体19に結合されて、組み合わせられる構成要素の動作に応じて決められた作業を実施する作業フロント21とを備える。ここでは、左クローラー12aおよび右クローラー12bは鉛直面LRに対して左右対称に構築される。動力源18には例えばディーゼルエンジンや電動モーターが用いられることができる。
【0014】
走行体13は、左クローラー12aおよび右クローラー12bを支持するシャーシ22を備える。左クローラー12aおよび右クローラー12bは、それぞれ、シャーシ22に水平軸線23a回りで回転自在に支持されて、動力源18から供給される動力に応じて駆動される起動輪23と、起動輪23の回転軸線(水平軸線23a)に平行な水平軸線24a回りに回転自在にシャーシ22に支持される転輪24と、起動輪23および転輪24に巻きかけられて、起動輪23および転輪24の間で地面GLに受け止められ起動輪23の駆動力を地面GLに伝達する履帯(シュー)25とを有する。左右の履帯25が等しい速度で移動すると、走行体13は前進または後退を実現することができる。左右の履帯25の速度差に応じて走行体13は左折または右折を実現することができる。左クローラー12aおよび右クローラー12bは既存のクローラーと同様な構造を有すればよいことから、ここでは左クローラー12aおよび右クローラー12bの詳述は割愛される。
【0015】
図2に示されるように、シャーシ22は、基礎体27と、第1垂直軸線28a回りで回転自在に基礎体27に連結され、左クローラー12aを支持する第1可動体28と、第1垂直軸線28aに平行な第2垂直軸線29a回りで回転自在に基礎体27に連結され、右クローラー12bを支持する第2可動体29とを備える。第1可動体28および第2可動体29には油圧シリンダー31が連結される。油圧シリンダー31は、シリンダー体31aに収容されて、シリンダー体31a内で2つの油圧室を区画しながら軸方向に変位するピストンと、ピストンに連結されてピストンの変位に応じてシリンダー体31aから出入りするロッド31bとを有する。油圧シリンダー31の軸方向一端でシリンダー体31aは垂直軸線回りに回転自在に第1可動体28に連結される。連結にあたってシリンダー体31aには第1可動体28で直立するピンを受け入れる軸受が形成されればよい。油圧シリンダー31の軸方向他端でロッド31bは垂直軸線回りに回転自在に第2可動体29に連結される。連結にあたってロッド31bには第2可動体29で直立するピンを受け入れる軸受が形成されればよい。
【0016】
第1可動体28および第2可動体29にはリンク部材32が連結される。リンク部材32は例えば鉄鋼から成形されることができる。リンク部材32はその軸方向に予め決められた長さを維持する。リンク部材32の一端は第1垂直軸線28aよりも前方で第1垂直軸線28aに平行な軸線回りに回転自在に第1可動体28に連結される。連結にあたってリンク部材32の一端には第1可動体28で直立するピンを受け入れる軸受が形成されればよい。リンク部材32の他端は第2垂直軸線29aよりも後方で第2垂直軸線29aに平行な軸線回りに回転自在に第2可動体29に連結される。連結にあたってリンク部材32の他端には第2可動体29で直立するピンを受け入れる軸受が形成されればよい。油圧シリンダー31が規定長さに設定されると、図2(a)に示されるように、左クローラー12aおよび右クローラー12bは並列位置に配置される。左クローラー12aの起動輪23の回転軸線は右クローラー12bの起動輪23の回転軸線に平行に(ここでは同軸に)設定される。このとき、油圧シリンダー31の中心軸は起動輪23の回転軸線に平行に左右方向に配置される。すなわち、油圧シリンダー31の中心軸は鉛直面LRに直交する。
【0017】
図2(b)に示されるように、油圧シリンダー31が規定長さから伸張すると、左クローラー12aおよび右クローラー12bは並列位置から前開きに駆動される。リンク部材32の働きで左クローラー12aおよび右クローラー12bの開き角は調整されることができる。ここでは、左クローラー12aおよび右クローラー12bは左右方向外側に向かって等しい開き角で姿勢を変化させる。前開きの駆動にあたって油圧シリンダー31の中心軸は左右方向に維持される。基礎体27、第1可動体28、第2可動体29、油圧シリンダー31およびリンク部材32は協働で並列位置から前開きに左クローラー12aおよび右クローラー12bを駆動する前開き機構を形成する。
【0018】
シャーシ22の後方にはドーザーブレード34が配置される。ドーザーブレード34は基礎体27から後方に延びる。ドーザーブレード34は、地面GLに接触する作動位置と、地面GLから上方に離れる不作動位置との間で水平軸回りに変位することができる。変位にあたって油圧シリンダー(図示されず)の駆動力は用いられることができる。ドーザーブレード34が作動位置に設定されると、杭打ち機11の後退(あるいは前進)に応じてドーザーブレード34は地面GLを整地することができる。非作動位置のドーザーブレード34は杭打ち機11の走行を妨げずに済む。ドーザーブレード34は既存のドーザーブレードと同様な構造を有すればよいことから、ここではドーザーブレード34の詳述は割愛される。
【0019】
スライド機構15は、シャーシ22の基礎体27に固定されて相互に平行に線形に延び、スライダー14の前後方向移動を案内する左右のレール35と、基礎体27およびスライダー14に連結される油圧シリンダー37とを備える。左右のレール35は前後方向に水平に延びる。油圧シリンダー37の伸縮に応じてスライダー14は前後方向に水平に変位する。
【0020】
旋回体19は、鉛直軸線16回りに旋回自在にスライダー14に連結されて、運転席17および動力源18を支持する基礎台38を備える。動力源18には油圧ポンプ(図示されず)が接続される。油圧ポンプは、動力源18から供給される動力に応じて油圧を生成する。個々の油圧シリンダー31、37+には油圧ポンプから油圧が供給される。油圧シリンダー37が規定長さに設定されると、シャーシ22上で旋回体19は前後方向に基準位置に配置される。ここでは、基準位置はスライダー14の最前位置に相当する。油圧シリンダー37が規定長さから伸張すると、シャーシ22上で旋回体19は後退位置に配置される。ここでは、後退位置はスライダー14の最後位置に相当する。このとき、旋回体19から走行体13に作用する重量の重心が起動輪23の回転軸線よりも後方にずれても、左クローラー12aおよび右クローラー12bの後方に作用する重量は作動位置のドーザーブレード34で支えられることができる。
【0021】
作業フロント21は、旋回体19に固定される連結部材41と、左右方向に延びる水平軸線42a回りで起伏自在に連結部材に連結されるブーム42と、ブーム42に結合されて、リーダー43の変位を案内するガイド部材44と、リーダー43に対して変位自在にリーダー43に支持されるオーガー45と、ブーム42および連結部材41に連結される油圧シリンダー46とを備える。作業フロント21は、組み合わせられた構成要素(ブーム42、リーダー43、ガイド部材44、オーガー45および油圧シリンダー46)の動作に応じて杭打ちの作業を実現する。連結部材41は構成要素であるブーム42および油圧シリンダー46に結合される。
【0022】
オーガー45は、動力源18から伝達される動力に基づき杭材PLに打ち込み力を付与する。オーガー45にはリーダー43に沿って下方に駆動力が付与されることができる。駆動力の付与にあたって、オーガー45には、例えば、リーダー43に支持されてスプロケットに巻きかけられるチェーンが連結されることができる。チェーンは油圧ポンプから供給される油圧に応じて決められた軌道に沿って移動することができる。オーガー45は杭材(あるいはドリル)PLに結合されて軸心回りに杭材PLに回転力を作用することができる。回転力の生成にあたってオーガー45には例えば油圧ポンプから油圧は供給されることができる。オーガー45は既存のオーガーと同様な構造を有すればよいことから、ここではオーガー45の詳述は割愛される。
【0023】
リーダー43には、例えば、ガイド部材44に支持されてスプロケットに巻きかけられるチェーン48が連結されることができる。チェーン48は油圧ポンプから供給される油圧に応じて決められた軌道に沿って移動することができる。チェーン48の移動に応じてリーダー43はガイド部材44に対して上下方向に相対変位することができる。リーダー43の変位に応じて上下方向にオーガー45の位置は調整されることができる。リーダー43は左右方向中央位置に配置される。
【0024】
ブーム42には、油圧シリンダー46が規定長さに設定されると前後方向に水平に延びる前後方向軸線49に直交する固定面51が規定される。このとき、固定面51は鉛直面を形成する。ガイド部材44は前後方向軸線49回りに回転可能に固定面51に重ねられる。油圧シリンダー46が規定長さから伸張すると、ブーム42は前方に倒れていく。固定面51は前後方向に傾斜する。リーダー43は地面GLから遠ざかるにつれて旋回体19から遠ざかる。
【0025】
ガイド部材44には、前後方向軸線49回りでオーガー45の打ち込み方向を傾斜させる傾斜機構52が連結される。傾斜機構52は、ブーム42およびガイド部材44に連結される油圧シリンダー53を備える。油圧シリンダー53が規定長さに設定されると、図3に示されるように、前後方向軸線49回りでリーダー43は鉛直姿勢に設定される。このとき、オーガー45は鉛直方向に上下に移動することができる。油圧シリンダー53が規定長さから縮小すると、前後方向軸線49回りでリーダー43(43a)は左向きに傾く。リーダー43aは正面から見て時計回りに傾斜する。オーガー45は傾斜するリーダー43aに沿って傾斜方向に移動することができる。油圧シリンダー53が規定長さから伸張すると、前後方向軸線49回りでリーダー43(43b)は右向きに傾く。リーダー43bは正面から見て反時計回りに傾斜する。オーガー45は傾斜するリーダー43bに沿って傾斜方向に移動することができる。油圧シリンダー53には油圧ポンプから油圧が供給されることができる。
【0026】
図4に示されるように、連結部材41は、旋回体19の基礎台38に向き合わせられる位置で形成され、作業フロント21が吊り下げられる際に下向きに開放されるフック55と、フック55から下方に連続し、旋回体19の基礎台38に向き合わせられるガイド壁56とを有する。基礎台38には横方向に水平に延びる水平バー57が固定される。フック55は水平バー57に引っかかる。水平バー57の働きで連結部材41の下向きの変位は制限される。ガイド壁56は、吊り下げられた作業フロント21が鉛直方向に下降する際に水平バー57に接触してフック55に水平バー57を案内する。ここでは、水平バー57は水平に中心軸線を配置する円柱体に形成される。
【0027】
基礎台38には、旋回体19に対して決められた位置に連結部材41を位置決めするストッパー58が固定される。ストッパー58は例えば基礎台38に一体に形成されることができる。ストッパー58は、作業フロント21の下降に応じて、フック55の働きで水平バー57回りに連結部材41が回転するとガイド壁56を受け止める。
【0028】
水平バー57の下方で基礎台38には連結具59が固定される。連結具59は円柱体のピンに形成される。ピンの中心軸は水平バー57の中心軸線に平行に配置される。図5に示されるように、連結具59は連結部材41に形成される貫通孔61に挿入される。こうして連結具59は旋回体19に連結部材41を結合する。連結部材41はフック55および貫通孔61の働きで旋回体19に対して決められた位置に保持される。貫通孔61の左右で基礎台38には固定孔62が穿たれる。連結具59は2つの固定孔62に挿入されて基礎台38に固定される。左右の固定孔62および貫通孔61は同軸に配置される。
【0029】
図1に示されるように、作業フロント21は、オーガー45に固定される第1吊りカン63と、ガイド部材44に固定される第2吊りカン64とを備える。第1吊りカン63および第2吊りカン64には、それぞれ、例えばクレーンのフックから吊り下げられるワイヤーの先端が結合されることができる。第1吊りカン63は例えばオーガー45の直立軸線上でオーガー45の上端に配置されることができる。第1吊りカン63はブラケットとしてオーガー45の金属製外郭に一体に形成されることができる。第2吊りカン64は例えば左右方向中央位置でガイド部材44の最上端に配置されることができる。第2吊りカン64はブラケットとしてガイド部材44の金属製本体に一体に形成されることができる。
【0030】
次に杭打ち機11の動作を説明する。作業フロント21に杭材PLはセットされる。図6に示されるように、杭材PLの長さに応じてオーガー45の高さは調整される。高さの調整にあたってガイド部材44に対してリーダー43の上下動は引き起こされる。地面GLに対して杭材PLの傾斜角は調整される。杭打ち機11の走行方向に対して前後方向の傾斜はブーム42の起伏で調整されることができる。起伏の調整にあたって油圧シリンダー46には油圧ポンプから油圧が供給される。杭打ち機11の走行方向に対して左右方向の傾斜は前後方向軸線49回りにリーダー43の回転で調整されることができる。回転の調整にあたって油圧シリンダー53には油圧ポンプから油圧が供給される。
【0031】
地面GLの決められた位置に杭材PLは位置決めされる。位置決めにあたって左クローラー12aおよび右クローラー12bは操作される。このとき、スライド機構15の働きで走行体13上では旋回体19は後方に移動する。旋回体19の移動に応じて杭材PLの下端は左クローラー12aおよび右クローラー12bで挟まれる空間に引き込まれる。こうして旋回体19が後退位置に位置すると、杭材PLは左クローラー12aおよび右クローラー12bの間で地面GLに突き立てられることができる。杭材PLの位置決めにあたってドーザーブレード34は非作動位置に維持されればよい。
【0032】
図7に示されるように、打ち込み力の付与に先立って杭打ち機11では左クローラー12aおよび右クローラー12bは並列位置から前開きに駆動される。左クローラー12aおよび右クローラー12bの駆動にあたって油圧シリンダー31には油圧ポンプから油圧が供給される。ドーザーブレード34は作動位置に駆動される。その後、杭材PLにはオーガー45から打ち込み力が付与される。こうして杭材PLは地中に打ち込まれていく。オーガー45の動作や地面GLからの反力に応じて杭材PLに左右方向に倒れる力が作用しても、前開きの左クローラー12aおよび右クローラー12bは地面GLに踏ん張って杭材PLの倒れを支えることができる。
【0033】
本実施形態では、杭打ち機11は、前後方向軸線49回りで、オーガー45の打ち込み方向を傾斜させる傾斜機構52を備える。左右方向に傾斜する杭材PLにその長手方向軸線に沿ってオーガー45から打ち込み力が付与されると、杭材PLには左右方向に倒れる力が生じやすい。この場合でも、前開きの左クローラー12aおよび右クローラー12bは地面GLに踏ん張って杭材PLの倒れを支えることができる。
【0034】
本実施形態では、杭材PLの打ち込みにあたってドーザーブレード34はシャーシ22から後方に延び地面GLに接触する。旋回体19が後退位置に向かって後退した際に重心が左クローラー12aおよび右クローラー12bの後方にずれても、左クローラー12aおよび右クローラー12bの後方に作用する重量はドーザーブレード34で支持されることから、後方に杭打ち機11の倒れは回避されることができる。左クローラー12aおよび右クローラー12bの作動に応じて杭打ち機11が後退すると、ドーザーブレード34は地面GLを整地することができる。
【0035】
本実施形態に係る杭打ち機11は山中で送電線の鉄塔を建設する際に用いられることができる。山中の現場まで杭打ち機11は例えばヘリコプターで運搬される。運搬にあたって作業フロント21は旋回体19から分離される。油圧シリンダー46、53やオーガー45その他は油圧ポンプから切り離される。例えば、油圧シリンダー46、53やオーガー45から油圧経路の配管は取り外される。油圧経路には油漏れを防ぐ開閉弁が設置される。
【0036】
作業フロント21はクレーンで吊り上げられる。その結果、連結具59は、作業フロント21から作用する重量から解放される。連結具59は固定孔62および貫通孔61から引き抜かれる。作業フロント21がさらに吊り上げられると、作業フロント21は旋回体19から分離される。作業フロント21と、旋回体19および走行体13とは個別に現場まで運搬される。運搬にあたって旋回体19および走行体13は結合されたままでもよく相互に分離されてもよい。
【0037】
山中の現場で杭打ち機11は組み立てられる。組み立てにあたって例えばかにクレーンは用いられることができる。図8に示されるように、作業フロント21はかにクレーンで吊り上げられる。重量物の作業フロント21は空中に吊り下げられる。このとき、フック65には、第1吊りカン63に連結される第1ワイヤー66と、第2吊りカン64に連結される第2ワイヤー67とが吊り下げられる。第1ワイヤー66および第2ワイヤー67の長さが調整されることで作業フロント21の姿勢は制御されることができる。ここでは、第1吊りカン63および第2吊りカン64はそれぞれオーガー45およびガイド部材44に固定されることから、リーダー43およびオーガー45の相対移動に拘わらずリーダー43に対してオーガー45は容易に最上位置に保持されることができ、リーダー43およびガイド部材44の相対移動に拘わらずリーダー43に対してガイド部材44は容易に最上位置に保持されることができる。
【0038】
図9に示されるように、作業フロント21が鉛直方向に下降すると、連結部材41のガイド壁56は水平バー57に接触する。作業フロント21の下降に応じてガイド壁56は水平バー57上をスライドする。こうして連結部材41のフック55に水平バー57は案内される。フック55は水平バー57に引っかかる。フック55は水平バー57に接触することで姿勢を調整することができる。姿勢の調整にあたってフック55は水平バー57に沿って左右方向に十分な広がりを有すればよい。その他、水平バー57の長さに応じて左右に間隔を空けて2つのフック55が連結部材41に形成されてもよい。
【0039】
フック55が水平バー57に引っかかると、水平バー57回りに作業フロント21は回転することができる。作業フロント21の回転にあたって第1ワイヤー66および第2ワイヤー67は緩められればよい。作業フロント21の自重に基づき回転モーメントは生じることができる。作業フロント21の回転はストッパー58で受け止められる。こうして旋回体19に対して決められた位置に連結部材41は位置決めされることができる。貫通孔61は2つの固定孔62に同軸に位置合わせされることができる。固定孔62および貫通孔61には連結具59が挿入される。作業フロント21は旋回体19に結合される。その後、油圧シリンダー46、53やオーガー45その他は油圧ポンプに接続される。例えば、油圧シリンダー46、53やオーガー45に油圧経路の配管は結合される。油圧経路の開閉弁は開かれる。
【0040】
図10は他の実施形態に係る作業フロント71の構造を概略的に示す。作業フロント71は、旋回体19に固定される連結部材41と、左右方向に延びる第1水平軸線72回りで起伏自在に連結部材41に連結されるブーム73と、ブーム73および連結部材41に連結されて、ブーム73の起伏を実現する駆動力を生成するブーム油圧シリンダー74と、第1水平軸線72に平行な第2水平軸線75回りで回転自在にブーム73に結合されるアーム76と、アーム76およびブーム73に連結されて、ブーム73に対してアーム76の回転を実現する駆動力を生成するアーム油圧シリンダー77と、第2水平軸線75に平行な第3水平軸線78回りで回転自在にアーム76に連結されるバケット79と、バケット79およびアーム76に連結されて、アーム76に対してバケット79の回転を実現する駆動力を生成するバケット油圧シリンダー81とを備える。作業フロント71は、組み合わせられた構成要素(ブーム73、ブーム油圧シリンダー74、アーム76、アーム油圧シリンダー77、バケット79およびバケット油圧シリンダー81)の動作に応じて掘削の作業を実現する。連結部材41は構成要素であるブーム73およびブーム油圧シリンダー74に結合される。こうして作業フロント71はバックホーとして構成される。バックホーは連結部材41以外で既存のバックホーと同様な構造を有すればよいことから、ここではバックホーの詳述は割愛される。
【0041】
作業フロント71は、アーム76に固定される第3吊りカン82と、ブームに固定される第4吊りカン83とを備える。第3吊りカン82および第4吊りカン83には、それぞれ、例えばクレーンのフックから吊り下げられるワイヤーの先端が結合されることができる。第3吊りカン82は、例えば、第2水平軸線75よりもバケット79から遠ざかる位置でアーム76上に配置されることができる。第3吊りカン82はブラケットとしてアーム76の金属製本体に一体に形成されることができる。第4吊りカン83は、例えば、できる限り第3吊りカン82から離れながら、第3吊りカン82との間から干渉物を排除することができる位置でブーム73上に配置されることができる。第4吊りカン83はブラケットとしてブーム73の金属製本体に一体に形成されることができる。
【0042】
図11に示されるように、作業フロント71は前述の作業フロント21に代えて旋回体19に結合されることができる。こうして作業フロント21、71の交換は実現されることができる。作業フロント21、71の交換に応じて杭打ち機11は油圧ショベル(建設機械)に変更されることができる。このとき、作業フロント71はかにクレーンで吊り上げられる。フック65には、第3吊りカン82に連結される第3ワイヤー84と、第4吊りカン83に連結される第4ワイヤー85とが吊り下げられる。第3ワイヤー84および第4ワイヤー85の長さが調整されることで作業フロント71の姿勢は制御されることができる。ここでは、アーム油圧シリンダー77およびバケット油圧シリンダー81では油圧経路の開閉弁の働きで油圧は一定に維持されることから、ブーム73およびアーム76の相対位置は維持されることができる。第3吊りカン82は第2水平軸線75よりもバケット79から遠ざかる位置でアーム76上に配置され、第3吊りカン82および第4吊りカン83はできるだけ遠ざけられることから、作業フロント71の姿勢は良好に保持されることができる。
【符号の説明】
【0043】
11…杭打ち機(建設機械)、13…走行体、16…鉛直軸線、17…運転席、19…旋回体、21…作業フロント、41…連結部材、42…構成要素(ブーム)、43…構成要素(リーダー)、45…構成要素(オーガー)、55…フック、56…ガイド壁、57…ガイド(水平バー)、58…ストッパー、59…連結具、61…貫通孔、71…作業フロント、73…構成要素(ブーム)、74…構成要素(ブーム油圧シリンダー)、76…構成要素(アーム)、77…構成要素(アーム油圧シリンダー)、79…構成要素(バケット)、81…構成要素(バケット油圧シリンダー)。
図1
図2
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図7
図8
図9
図10
図11