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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022114887
(43)【公開日】2022-08-08
(54)【発明の名称】組み立て式椅子
(51)【国際特許分類】
   A47C 4/03 20060101AFI20220801BHJP
【FI】
A47C4/03
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021011352
(22)【出願日】2021-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】500560129
【氏名又は名称】株式会社ニトリホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100210790
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大策
(72)【発明者】
【氏名】長田 琢也
(72)【発明者】
【氏名】玉井 啓介
(57)【要約】      (修正有)
【課題】携帯性に優れ、安定的に設置することができる組み立て式椅子を提供する。
【解決手段】組み立て式椅子1は、展開状態と収納状態とをとることが可能となっている。各々が中央脚22を有する一対の背部フレーム21を含むとともに、第1停止板23を有する背部2と、各々が後方脚32を有する、一対の座部フレーム31を含む、座部3と、を備えている。展開状態において座部が背部に差し込まれ、収納状態において座部が背部に重ねられ、各座部フレームの前方に前方脚が揺動自在に取り付けられる。座部は、展開状態において背部の第1停止板に第1係合位置で係合するストッパ板を有し、前方脚41は、一対の座部フレーム内に配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
展開状態と収納状態とをとることが可能な組み立て式椅子において、
各々が中央脚を有する一対の背部フレームを含むとともに、第1停止板を有する背部と、
各々が後方脚を有する、一対の座部フレームを含む、座部と、を備え、
前記展開状態において前記座部が前記背部に差し込まれ、前記収納状態において前記座部が前記背部に重ねられ、
各座部フレームの前方に前方脚が揺動自在に取り付けられ、
前記座部は、前記展開状態において前記背部の前記第1停止板に第1係合位置で係合するストッパ板を有し、
前記前方脚は、一対の座部フレーム内に配置されている、組み立て式椅子。
【請求項2】
各前方脚に、前記展開状態において前記座部フレームと当接して前記前方脚の前方への揺動を停止させる停止部材が設けられ、
前記座部フレームに、前記収納状態において、前記停止部材が収納される凹部を設けた、請求項1に記載の組み立て式椅子。
【請求項3】
前記背部は、第2停止板をさらに有し、
前記座部は、前記展開状態において、前記背部のうち前記第1停止板と前記第2停止板との間に差し込まれ、
前記第2停止板は、前記展開状態において、前記座部フレームと当接する、請求項1又は2に記載の組み立て式椅子。
【請求項4】
一方の座部フレーム外面と他方の座部フレーム外面との間の距離は、一方の背部フレーム内面と他方の背部フレーム内面との間の距離より小さい、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の組み立て式椅子。
【請求項5】
前記収納状態において、前記座部の前記ストッパ板が第2係合位置で前記背部の前記第1停止板に係合する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の組み立て式椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、組み立て式椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、収納や持ち運びなどを容易にするために、複数の部材に分解することを可能とした椅子が知られている。例えば特許文献1には、背もたれ部材と座部材とに分解可能な組み立て式椅子が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭60-27747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
他方、携帯性に優れるとともに、使用される際に、より安定的に設置することができる組み立て式椅子が求められていた。
【0005】
本開示は、このような事情を考慮してなされたもので、より安定的に設置することができる組み立て式椅子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示による組み立て式椅子は、
展開状態と収納状態とをとることが可能な組み立て式椅子において、
各々が中央脚を有する一対の背部フレームを含むとともに、第1停止板を有する背部と、
各々が後方脚を有する、一対の座部フレームを含む、座部と、を備え、
前記展開状態において前記座部が前記背部に差し込まれ、前記収納状態において前記座部が前記背部に重ねられ、
各座部フレームの前方に前方脚が揺動自在に取り付けられ、
前記座部は、前記展開状態において前記背部の前記第1停止板に第1係合位置で係合するストッパ板を有し、
前記前方脚は、一対の座部フレーム内に配置されている。
【0007】
本開示による組み立て式椅子において、
各前方脚に、前記展開状態において前記座部フレームと当接して前記前方脚の前方への揺動を停止させる停止部材が設けられ、
前記座部フレームに、前記収納状態において、前記停止部材が収納される凹部を設けてもよい。
【0008】
本開示による組み立て式椅子において、
前記背部は、第2停止板をさらに有し、
前記座部は、前記展開状態において、前記背部のうち前記第1停止板と前記第2停止板との間に差し込まれ、
前記第2停止板は、前記展開状態において、前記座部フレームと当接してもよい。
【0009】
本開示による組み立て式椅子において、
一方の座部フレーム外面と他方の座部フレーム外面との間の距離は、一方の背部フレーム内面と他方の背部フレーム内面との間の距離より小さくてもよい。
【0010】
本開示による組み立て式椅子において、
前記収納状態において、前記座部の前記ストッパ板が第2係合位置で前記背部の前記第1停止板に係合してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、携帯性に優れ、安定的に設置することができる組み立て式椅子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施の形態による展開状態の組み立て式椅子の一例を示す斜視図。
図2】本実施の形態による展開状態の組み立て式椅子の一例を示す斜視図。
図3】本実施の形態による組み立て式椅子の、図1の線A-Aに沿った断面図。
図4A】本実施の形態による背部の一例を示す斜視図。
図4B】本実施の形態による組み立て式椅子を収納状態とする作用を示す斜視図。
図5】本実施の形態による座部の一例を示す側面図。
図6】本実施の形態による前方脚が揺動可能な範囲の一例を示す側面図。
図7】本実施の形態による前方脚が揺動可能な範囲の一例を示す側面図。
図8】本実施の形態による収納状態の組み立て式椅子の一例を示す斜視図。
図9】本実施の形態による収納状態の組み立て式椅子の一例を示す斜視図。
図10】本実施の形態による組み立て式椅子の、図8の線B-Bに沿った断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図1乃至10を参照し、本開示に係る組み立て式椅子の実施形態の一例について詳細に説明する。
【0014】
なお、本明細書において、「前方脚」、「中央脚」、「後方脚」、「前面」、「後面」、「上面」、「下面」などの、部材および部材の面の名称は、特にことわりがない限り、後述する展開状態の組み立て式椅子1が設置面に設置されている場合を基準として付されている(例えば図3参照)。また、本明細書において、「前方」、「後方」、「上方」、「下方」などの方向に関する表現は、特にことわりがない限り、後述する展開状態の組み立て式椅子1が設置面に設置されている場合を基準として記載されている(例えば図3参照)。
【0015】
ここで、図1は、展開状態の組み立て式椅子1を示す斜視図である。図2は、図1に示す組み立て式椅子1を、図1において見ている方向とは反対側の方向から見た様子を示す斜視図である。図3は、図1の線A-Aに沿った、展開状態の組み立て式椅子1の断面図であり、図3において座部3のうち後述する座部フレーム31が手前側、背部2のうち後述する背部フレーム21が奥側に示されている。本発明に係る組み立て式椅子1は、図1~3に示すような使用者が座ることができる展開状態と、図8~10に示すような収納に適した後述する収納状態と、をとることが可能である。組み立て式椅子1は、特に、後述するように座部3と背部2とを備え、座部3を背部2から取り外し、また座部3を背部2に取り付けることによって、展開状態と収納状態とを自在に切り替えることができる。
【0016】
このような組み立て式椅子1は、各々が中央脚22を有する一対の背部フレーム21を含む背部2と、各々が後方脚32を有する一対の座部フレーム31を含む座部3とを備えている。
【0017】
そして、上述のように展開状態において座部3が背部2に差し込まれ、収納状態において座部3が背部2に重ねられる。
【0018】
次に、組み立て式椅子1の各構成要素について更に説明する。
【0019】
まず、背部2について図4Aにより述べる。図4Aは、背部2を示す斜視図である。図4Aに示すように、背部2は、一対の背部フレーム21を含むとともに、一対の背部フレーム21間に渡された第1停止板23を有する。
【0020】
図4Aに示す例において、一対の背部フレーム21は、所定の間隔を空けて平行に配置された一対の棒状の部材を含む。一例として、背部フレーム21は木製の角材を含む。また、一対の背部フレーム21の面のうち互いに向き合う面を、背部フレーム内面21aと称する。
【0021】
また、背部2の一対の背部フレーム21の、図4Aにおいて奥側に位置する一側面(前面)21bには、背部フレーム21の上方全域にわたって背もたれ部材26が設けられ、さらに一対の背部フレーム21の前面21bには、背もたれ部材26の下方に、一対の背部フレーム21間に渡された第2停止板24が設けられている。
【0022】
さらに背部2の一対の背部フレーム21の、図4Aにおいて手前側に位置する他側面(後面)21cには、上述する第1停止板23と、第1停止板23の上方に位置する持ち手部材25とが、一対の背部フレーム21間に渡されて取り付けられている。
【0023】
図4Aに示すように、一対の背部フレーム21の各々は、上述のように中央脚22を有する。本実施の形態に係る中央脚22は、一対の背部フレーム21の端部のうち、組み立て式椅子1を図1~3に示すように展開状態とした場合に、下方に位置する端部からなる。
【0024】
背部2の背もたれ部材26の形態は、組み立て式椅子1の使用者の背中を支持することが可能であれば、特に限られない。図4Aに示す例において、背もたれ部材26は、一対の背部フレーム21の間に張られた布を含む。図示はしないが、背もたれ部材26は、布の代わりに一対の背部フレーム21の間に掛けられた単数または複数の木製の板を含んでいてもよい。背もたれ部材26は、背部フレーム21のうち、展開状態において背部フレーム21の前方に位置する面である背部フレーム前面21b側に取り付けられる。
【0025】
上述のように、背部フレーム21の前面21bには、背もたれ部材26と、第2停止板24とが設けられ、背部フレーム21の後面21cには、第1停止板23と、持ち手部材25とが設けられている。
【0026】
次に、図4Aにより背部フレーム21の前面21bに設けられた背もたれ部材26および第2停止板24と、背部フレーム21の後面21cに設けられた第1停止板23および持ち手部材25との間の、背部フレーム21の延伸方向d1における位置関係について述べる。
【0027】
まず、第1停止板23は、背もたれ部材26と中央脚22の先端22aとの間に位置している。
【0028】
また、第2停止板24は、一対の背部フレーム21の間に掛けられた板状の部材を含み、第1停止板23と中央脚22の先端22aとの間に位置している。
【0029】
また、持ち手部材25は、一対の背部フレーム21の間に掛けられた板状の部材を含み、第1停止板23より上方に、具体的には一対の背部フレーム21の上方位置に設けられている。
【0030】
次に、座部3について図5により述べる。図5は、座部3を示す斜視図である。図5に示すように、座部3は、一対の座部フレーム31を含むとともに、一対の座部フレーム31間に渡されたストッパ板33を有する。
【0031】
図5に示す例において、一対の座部フレーム31は、所定の間隔を空けて平行に配置された一対の棒状の部材を含み、一例として、座部フレーム31は木製の角材を含む。また一対の座部フレーム31の面のうち、内側に位置する面を座部フレーム内面31aと称し、外側に位置する面を座部フレーム外面31bと称する。さらに展開状態において一対の座部フレーム31の下方に位置する面を座部フレーム下面31cと称し、一対の座部フレーム31の上方に位置する面を座部フレーム上面31dと称する。
【0032】
座部3のストッパ板33は、一対の座部フレーム31の、図5において手前側に位置する座部フレーム上面31d側に設けられている。また、座部フレーム31の座部フレーム上面31d側には、ストッパ板33の前方に位置する座板、例えば5個の座面部材35が設けられている。そして、これら5個の座面部材35は、各々一対の座部フレーム31間に渡されている。
【0033】
一対の座部フレーム31の各々は、上述のように、後方脚32を有する。本実施の形態に係る後方脚32は、一対の座部フレーム31の端部のうち、展開状態において後方に位置する端部を含む。また、図5に示す例において、後方脚32は、一対の座部フレーム31が延伸する方向d2に対して傾斜した傾斜面32bを有する。この傾斜面32bは、後方脚32が先端32aに向かうにつれて細くなるように形成されている。また、傾斜面32bは、展開状態において水平方向を向く。このように、後方脚32が展開状態において水平方向を向く傾斜面32bを有することによって、展開状態の組み立て式椅子1を、この傾斜面32bを介してより安定的に設置面G(図3参照)に設置することができる。
【0034】
座面部材35の形態は、組み立て式椅子1の使用者が腰掛けることが可能であれば、特に限られない。図5に示す例において、各座面部材35は、一対の座部フレーム31の間に掛けられた木製の板を含む。なお、図5において一対の座部フレーム31間に5個の座面部材35を設ける例を示したが、これに限られることはなく、一対の座部フレーム31間に一枚の大きな木製の座面部材35を設けてもよく、一対の座部フレーム31間に一枚の布製の座面部材35を設けてもよい。
【0035】
また、ストッパ板33は、一対の座部フレーム31の間に掛けられた板状の部材を含む。ストッパ板33は、一対の座部フレーム31が延伸する方向d2において、座部フレーム31のうち、5個の座面部材35が取り付けられた座面領域35Aと、後方脚32の先端32aとの間に取り付けられている。
【0036】
また、各座部フレーム31の前方には、前方脚41が揺動自在に取り付けられている。具体的には前方脚41は、座部フレーム31の前方に、回転軸43を中心として座部フレーム31に対して揺動可能に取り付けられている。ここで、座部フレーム31の前方とは、例えば、組み立て式椅子1を図1~3に示すように展開状態とした場合における、ストッパ板33よりも前方である。
【0037】
一対の前方脚41は、所定の間隔を空けて平行に配置された一対の棒状の部材を含み、一例として、各前方脚41は木製の角材を含む。
【0038】
ところで、各々の前方脚41は、一対の座部フレーム31内に配置されている。すなわち、各前方脚41は、図1に示すように、一対の座部フレーム31における一方の座部フレーム内面31a1と他方の座部フレーム内面31a2との間の領域である第1領域36に位置している。
【0039】
また、一対の前方脚41間には、展開状態において、前方脚41の前方への揺動を停止させる停止部材42が、一対の前方脚41間に渡されるように設けられている。図1に示す例において、停止部材42は、一対の前方脚41間に渡された一枚の板状の部材を含み、停止部材42は、少なくとも一部が第1領域36の外方へはみ出している。ただし、停止部材42は、上述した一対の座部フレーム31における一方の座部フレーム外面31b1と他方の座部フレーム外面31b2との間の領域である第2領域37内に収まっている。
【0040】
本実施の形態において、一対の前方脚41には、組み立て式椅子1を展開状態とした場合における前方の面である前方脚前面41aに、嵌合凹部41bが設けられている。そして、嵌合凹部41b内に停止部材42が嵌合されているために、停止部材42は、前方脚41の前方脚前面41aから前方へ突出することはない。
【0041】
図6および図7は、前方脚41が揺動可能な範囲を示す側面図である。図6および図7における破線は、座部フレーム31に隠れて見えなくなる部分を示す。前方脚41を、座部フレーム31の延伸する方向d2を向いた折り畳み状態(図6参照)から、座部フレーム31に対して前方側へ回転させていくと、やがて停止部材42が座部フレーム31に当接して、前方脚41は座部フレーム31に対して拡げられる(図7参照)。このように、停止部材42が座部フレーム31に当接することによって、前方脚41の更なる回転が阻止される。停止部材42は、図1~3に示すような展開状態において、座部フレーム31と当接することにより、前方脚41の前方への揺動を停止させる。
【0042】
本実施の形態において、座部フレーム31には、図8~10に示す収納状態において、停止部材42を収納する凹部34が設けられている。この凹部34は、図6に示すように、一対の座部フレーム31間に延びる停止部材42のうち第1領域36から外方にはみ出す部分を収納するものである。また、凹部34によって、図6に示すように、停止部材42が座部フレーム31に当接して前方脚41の回転が阻止されることなく、前方脚41を一対の座部フレーム31の間まで回転させることができる。
【0043】
(作用)
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0044】
(展開状態の作用)
まず、背部2と座部3とが分離した状態の組み立て式椅子1を図1~3に示す展開状態とする作用について述べる。はじめに、図4Aに示す背部2を準備し、同時に図5に示す前方脚41が座部フレーム31に取り付けられた座部3を準備する。
【0045】
このとき、前方脚41は座部3の座部フレーム31に対して折りたたまれた状態にある(図6参照)。次に、前方脚41が座部3の座部フレーム31に対して回転して拡げられる(図7参照)。
【0046】
次に、図3に示すように、背部2を、中央脚22を介して設置面G上に立て、この状態で背部2に座部3を差し込む。このとき、座部3は、背部フレーム前面21b側から(図3の右側から)、座部フレーム31の後方脚32の先端32aの側から先に、背部2のうち第1停止板23と第2停止板24との間に差し込まれる。このとき、背部2のうち背部フレーム21の延伸する方向d1と座部3のうち座部フレーム31の延伸する方向d2とが、組み立て式椅子1の側方から見て交差する。
【0047】
次に、背部2に対して座部3の後方脚32側をわずかに持ち上げ、座部3のストッパ板33を、背部2の第1停止板23に係合させる。このように、展開状態を形成する際にストッパ板33が第1停止板23に係合する位置を、ストッパ板33の第1係合位置と称する。本実施の形態においては、ストッパ板33が第1停止板23の後方位置で係合するため、ストッパ板33と第1停止板23との係合によって、背部2の後方への移動が阻止される。
【0048】
このようにストッパ板33が第1係合位置で第1停止板23に係合する際、第1停止板23および第2停止板24が座部フレーム31に当接して、座部フレーム31が第1停止板23と第2停止板24との間で挟み込まれる。このとき、第2停止板24が座部フレーム31に当接する位置は、第1停止板23が座部フレーム31に当接する位置よりも前方(図3において右側)となる。上述のように第1停止板23および第2停止板24が座部フレーム31に当接することによって、背もたれ部材26が後方に倒れるような背部2の回転も阻止される。
【0049】
以上の手順によって、組み立て式椅子1を展開状態とすることができる。このとき、展開状態にある組み立て式椅子1は、前方脚41と、中央脚22と、後方脚32と、を介して設置面G上に設置される。
【0050】
組み立て式椅子1を展開状態とすることによって、使用者が組み立て式椅子1に座ることができるようになる。すなわち、使用者が座面部材35に腰掛け、背もたれ部材26に背中を預けることができるようになる。
【0051】
(収納状態の作用)
次に、図1に示す展開状態の組み立て式椅子1を収納状態とする作用について述べる。収納状態の作用は、基本的に上述した展開状態の作用と逆の手順をとる。図8は、収納状態の組み立て式椅子1を示す斜視図である。図9は、図8に示す組み立て式椅子1を、図8において見ている方向とは異なる方向から見た様子を示す斜視図である。図10は、図8の線B-Bに沿った、収納状態の組み立て式椅子1の断面図である。
【0052】
まず、図3に示す展開状態の組み立て式椅子1において、背部2に対して座部3の後方脚32側を下げるように、座部3をわずかに回転させて、座部3のストッパ板33と背部2の第1停止板23との係合を外す。ストッパ板33と第1停止板23との係合を外した後、座部3を背部2から図3の右側へ抜き取る。
【0053】
次に、前方脚41を座部フレーム31に対して回転させて、図6に示すように、前方脚41を一対の座部フレーム31に対して折り畳み、同時に凹部34内に停止部材42を収納する。
【0054】
座部フレーム31に対して前方脚41を折り畳んだ後、座部3の一対の座部フレーム31を、背部2の一対の背部フレーム21の間に挿入する。
【0055】
具体的には、まず、図4Aに示すように、背部2を、中央脚22の先端22aを下方に向けた状態で保持する。次に、図4Bに示すように、座部3を、座面部材35が背部2とは反対側に位置するような向きで、背部2に対して傾け、この状態で座部3を背部2に接近させる。
【0056】
次に、座部3を背部2に対して傾けた状態で、座部3の一対の座部フレーム31を、背部2の一対の背部フレーム21の間に挿入する。この際、一対の座部フレーム31は、後方脚32の先端32aの側から、背部2のうち第1停止板23と背もたれ部材26との間の隙間27を通って、一対の背部フレーム21の間に進入する。
【0057】
この場合に、一対の座部フレーム31の後方脚32は傾斜面32bを有するため、一対の座部フレーム31は、後方脚32の先端32aに向かうにつれて細くなっている。このため、一対の座部フレーム31を一対の背部フレーム21の間に挿入する作業が、より容易となる。
【0058】
一対の座部フレーム31を一対の背部フレーム21の間にある程度挿入した後に、一対の座部フレーム31と一対の背部フレーム21とが平行になるように、座部3を背部2側へ押し付ける。このことにより、背部2と座部3とが略平行に重なる。
【0059】
次に背部2と座部3とを重ねた後に、座部3を、背部2の中央脚22の先端22aの側(図4Bの下方)に向かって移動させる。これによって、図8~10に示すように、座部3のストッパ板33が背部2の第1停止板23に当接し、ストッパ板33が第1停止板23に係合する。このように、収容状態を形成する際にストッパ板33が第1停止板23に係合する位置を、ストッパ板33の第2係合位置と称する。ストッパ板33の第2係合位置は、上述したストッパ板33の第1係合位置とは異なる位置であり、このとき、第1停止板23の上方にストッパ板33が載るような位置関係で、ストッパ板33が第1停止板23に係合する。
【0060】
座部3のストッパ板33が第2係合位置において背部2の第1停止板23に係合することによって、座部3の下方への移動が阻止される。また、図8~10に示すように、座部3の一対の座部フレーム31が、背部2の背もたれ部材26および第2停止板24と、第1停止板23とによって、収納状態における前後方向から挟持される。このように、一対の座部フレーム31が背もたれ部材26および第2停止板24と、第1停止板23とによって挟持されるため、背部2に対して座部3は前後方向に規制される。また、座部3の一対の座部フレーム31は背部2の一対の背部フレーム21内に挿入され、この際に一対の座部フレーム31は一対の背部フレーム21により側方から挟持されるため、背部2に対して座部3は横方向についても規制される。
【0061】
以上の手順によって、背部2のうち一対の背部フレーム21の間に、座部3のうち一対の座部フレーム31を収納して、組み立て式椅子1を図8~10に示す収納状態とすることができる。
【0062】
このように、組み立て式椅子1を収納状態とすることによって、組み立て式椅子1の収納および持ち運びが容易となる。このとき、収納状態の組み立て式椅子1は、特に以下のように使用することもできる。使用者は、背部2の、特に持ち手部材25を把持して持ち上げることによって、座部3及び座部3に取り付けられている部材も含めて、収納状態の組み立て式椅子1を一体的に持ち上げることができる。このため、例えば収納状態の組み立て式椅子1を片手で持ち上げることも容易となり、収納状態の組み立て式椅子1の持ち運びが容易となる。
【0063】
なお、一対の座部フレーム31を一対の背部フレーム21の間にスムースに挿入できるように、図9に示す一対の座部フレーム31における一方の座部フレーム外面31b1と他方の座部フレーム外面31b2との間の距離w1は、一対の背部フレーム21における一方の背部フレーム内面21a1と他方の背部フレーム内面21a2との間の距離w2より、例えば2mm以上10mm以下だけ、小さくなっている。この場合、距離w2から距離w1を引いた値が2mmより小さいと、一対の背部フレーム21間に一対の座部フレーム31を挿入する作業が難しくなり、距離w2から距離w1を引いた値が10mmより大きいと、一対の背部フレーム21間で一対の座部フレーム31が横方向に移動し易くなってしまう。
【0064】
本実施の形態に係る組み立て式椅子1は、展開状態において、前方脚41、中央脚22および後方脚32の脚を有し、前方脚41、中央脚22および後方脚32を介して組み立て式椅子1は設置面G上に設置される。このため、例えば中央脚22および後方脚32を有するが前方脚41を有しない椅子と比較して、より安定的に設置することができる。また、本実施の形態に係る組み立て式椅子1において、前方脚41は一対の座部フレーム31の間に配置され、且つ一対の座部フレーム31は一対の背部フレーム21の間に配置される。また、停止部材42は一対の座部フレーム31の第1領域36外方へはみ出すが、一対の座部フレーム31の第2領域37内に収まる。このため、一対の座部フレーム31、前方脚41および停止部材42の全てを、一対の背部フレーム21間に収めることができ、とりわけ収納状態の組み立て式椅子1をコンパクトに構成することができる。
【0065】
本発明の態様は、上述した実施形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本発明の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 組み立て式椅子
2 背部
21 背部フレーム
21a 背部フレーム内面
22 中央脚
23 第1停止板
24 第2停止板
25 持ち手部材
26 背もたれ部材
3 座部
31 座部フレーム
31a 座部フレーム内面
31b 座部フレーム外面
32 後方脚
33 ストッパ板
34 凹部
35 座面部材
41 前方脚
42 停止部材
43 回転軸
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10