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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022114902
(43)【公開日】2022-08-08
(54)【発明の名称】はんだ付け装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 3/06 20060101AFI20220801BHJP
   B23K 3/00 20060101ALI20220801BHJP
【FI】
B23K3/06 K
B23K3/00 310B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021011377
(22)【出願日】2021-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000101606
【氏名又は名称】アポロ精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120259
【弁理士】
【氏名又は名称】桂田 健志
(72)【発明者】
【氏名】広崎 貢市
(72)【発明者】
【氏名】小野 真
(57)【要約】      (修正有)
【課題】はんだコテ機構部の下降距離に対する糸はんだ供給機構部の下降距離の差を、簡易迅速かつ高精度に制御可能なはんだ付け装置を提供する。
【解決手段】はんだコテ機構部と糸はんだ供給機構部8とを有するはんだ付け装置であって、フレームに対して前記はんだコテ機構部を相対的に上下動させる上下動部と、一端が前記はんだコテ機構部に接し、他端が前記糸はんだ供給機構部に接し、前記はんだコテ機構部が上下動すると、前記糸はんだ供給機構部も同方向に上下動するように、前記糸はんだ供給機構部を付勢する弾性部材と、前記はんだコテ機構部に対して固定され、かつ水平方向に延び、かつリンクアーム2に設けられた長孔に挿入されるスライディングブロックロッド31と、前記糸はんだ供給機構部に対して固定され、ブロックロッドの軸方向及び前記スライディングブロックロッドの軸方向に垂直な方向に摺動可能であるスライディングロッド4とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームとはんだコテ機構部と糸はんだ供給機構部とを有するはんだ付け装置であって、
前記フレームに対して前記はんだコテ機構部を相対的に上下動させる上下動部と、
一端が前記はんだコテ機構部に接し、他端が前記糸はんだ供給機構部に接し、前記はんだコテ機構部が上下動すると、前記糸はんだ供給機構部も同方向に上下動するように、前記糸はんだ供給機構部を付勢する弾性部材と、
前記フレームに対して固定され、水平方向に延びる支点ブロックロッドと、
前記支点ブロックロッドを支点として回転可能に支持されるリンクアームと、
前記はんだコテ機構部に対して固定され、かつ水平方向に延び、かつ前記リンクアームに設けられた長孔に挿入されるスライディングブロックロッドと、
前記糸はんだ供給機構部に対して固定され、かつ垂直方向に延び、かつ前記リンクアームの上部を、前記支点ブロックロッドの軸方向及び前記スライディングブロックロッドの軸方向に垂直な方向に摺動可能であるスライディングロッドと、を有し、
前記スライディングブロックロッドは、前記はんだコテ機構部と共に同距離を同方向に上下動し、
前記スライディングロッドは、前記糸はんだ供給機構部と共に同距離を同方向に上下動し、
前記リンクアームは、前記スライディングブロックロッドの上下動に従動して回動し、
前記支点ブロックロッドと前記スライディングロッドとの水平方向の距離と前記支点ブロックロッドと前記スライディングブロックロッドとの水平方向の距離との関係によって、前記はんだコテ機構部の下降距離に対する前記糸はんだ供給機構部の下降距離の差が定められることを特徴とするはんだ付け装置。
【請求項2】
前記支点ブロックロッドと前記スライディングロッドとの水平方向の距離が、前記支点ブロックロッドと前記スライディングブロックロッドとの水平方向の距離に等しいとき、前記糸はんだ供給機構部の下降距離は前記はんだコテ機構部の下降距離と略等しく、
前記支点ブロックロッドと前記スライディングロッドとの水平方向の距離が、前記支点ブロックロッドと前記スライディングブロックロッドとの水平方向の距離よりも短いとき、前記糸はんだ供給機構部の下降距離は前記はんだコテ機構部の下降距離よりも短く、
前記支点ブロックロッドと前記スライディングロッドとの水平方向の距離が、前記支点ブロックロッドと前記スライディングブロックロッドとの水平方向の距離よりも長いとき、前記糸はんだ供給機構部の下降距離は前記はんだコテ機構部の下降距離よりも長い、ことを特徴とする請求項1に記載のはんだ付け装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、はんだ付けロボット等の自動機械に取り付けて使用するはんだ付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
はんだ付けロボット等の自動機械に取り付けて使用するはんだ付け装置のはんだ付けヘッドとして、はんだ鏝と、該はんだ鏝の鏝先に線状はんだ(糸はんだ)を供給するはんだノズルなどを有する糸はんだ供給機構とを有し、該はんだノズルから供給される線状はんだを前記鏝先で溶融させて電子部品等のはんだ付け対象物(ワーク)をはんだ付けるものが、従来から知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6062875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来のはんだ付けヘッドにおいては、はんだコテ機構部と糸はんだ供給機構部とを上下動させる際、はんだコテ先の最下点の高さに対して糸はんだ供給ノズルの最下点の高さを調整するために、コテ駆動手段とノズル駆動手段という2つの駆動手段を用いている。
【0005】
しかし、従来の方法では、駆動手段を2つ使う為には、2つの駆動源(2つのエアーシリンダー等)が必要であった。1個の駆動源で2つの駆動手段を制御するのは難しく、従来の方法では、ノズル駆動手段によるノズル先端は、最下点でコテ駆動手段によるコテ先に対して、上側にしか変更できない。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、2つの駆動手段等を用いることなく、はんだコテ機構部と糸はんだ供給機構部とを上下動させる際、はんだコテ先の最下点の高さに対して糸はんだ供給ノズルの最下点の高さを、簡易迅速かつ高精度に制御可能なはんだ付け装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係るはんだ付け装置は、
フレームとはんだコテ機構部と糸はんだ供給機構部とを有するはんだ付け装置であって、
前記フレームに対して前記はんだコテ機構部を相対的に上下動させる上下動部と、
一端が前記はんだコテ機構部に接し、他端が前記糸はんだ供給機構部に接し、前記はんだコテ機構部が上下動すると、前記糸はんだ供給機構部も同方向に上下動するように、前記糸はんだ供給機構部を付勢する弾性部材と、
前記フレームに対して固定され、水平方向に延びる支点ブロックロッドと、
前記支点ブロックロッドを支点として回転可能に支持されるリンクアームと、
前記はんだコテ機構部に対して固定され、かつ水平方向に延び、かつ前記リンクアームに設けられた長孔に挿入されるスライディングブロックロッドと、
前記糸はんだ供給機構部に対して固定され、かつ垂直方向に延び、かつ前記リンクアームの上部を、前記支点ブロックロッドの軸方向及び前記スライディングブロックロッドの軸方向に垂直な方向に摺動可能であるスライディングロッドと、を有し、
前記スライディングブロックロッドは、前記はんだコテ機構部と共に同距離を同方向に上下動し、
前記スライディングロッドは、前記糸はんだ供給機構部と共に同距離を同方向に上下動し、
前記リンクアームは、前記スライディングブロックロッドの上下動に従動して回動し、
前記支点ブロックロッドと前記スライディングロッドとの水平方向の距離と前記支点ブロックロッドと前記スライディングブロックロッドとの水平方向の距離との関係によって、前記はんだコテ機構部の下降距離に対する前記糸はんだ供給機構部の下降距離の差が定められることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、2つの駆動手段を用いることなく、はんだコテ機構部の下降距離に対する糸はんだ供給機構部の下降距離を、簡易迅速かつ高精度に制御可能なはんだ付け装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係るはんだ付け装置の概略構成を示す斜視図である。
図2図1に示すはんだ付け装置の糸はんだ供給機構部の六面図(正面図、背面図、左側面図、右側面図、平面(上面)図及び底面図)である。
図3図1に示すはんだ付け装置のはんだコテ機構部の六面図である。
図4図1に示すはんだ付け装置のリンクアームの六面図である。
図5図1に示すはんだ付け装置のスライディングブロックの六面図である。
図6図1に示すはんだ付け装置のスライディングロッドの六面図である。
図7図2に示す糸はんだ供給機構部のアジャスターボルトが挿入されるブロック及び上部ブロックの六面図である。
図8】支点ブロックロッドからスライディングロッドまでの距離が、支点ブロックロッドからスライディングブロックロッドまでの距離と等しい場合における、はんだコテ機構部及び糸はんだ供給機構部の下降開始前の状態及び最下点に達した状態を示す図である。
図9】支点ブロックロッドからスライディングロッドまでの距離が、支点ブロックロッドからスライディングブロックロッドまでの距離より短い場合における、はんだコテ機構部及び糸はんだ供給機構部の下降開始前の状態及び最下点に達した状態を示す図である。
図10】支点ブロックロッドからスライディングロッドまでの距離が、支点ブロックロッドからスライディングブロックロッドまでの距離より長い場合における、はんだコテ機構部及び糸はんだ供給機構部の下降開始前の状態及び最下点に達した状態を示す図である。
図11図8図10に示した、はんだコテ機構部及び糸はんだ供給機構部が最下点に達した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係るはんだ付け装置の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。ただし、以下の実施形態は本発明の技術的範囲を制限しない。
図1は、本発明の実施形態に係るはんだ付け装置の概略構成を示す斜視図である。
図1に示すように、本実施の形態に係るはんだ付け装置は、支点ブロック1、リンクアーム2、スライディングブロック3、スライディングロッド4、バネ6、リニアガイド7、糸はんだ供給機構部8、はんだコテ機構部9、及びエアーシリンダー12を有する。
本実施の形態に係るはんだ付け装置においては、弾性部材としてバネ6(コイルバネ)を使用するが、弾性部材はコイルバネに限定されず、板バネ、伸縮性ゴム、伸縮性樹脂などでもよい。弾性部材は、はんだコテ機構部の上下動に応じて、糸はんだ供給機構部が同方向に上下動するように、糸はんだ供給機構部を付勢するものであれば良い。
リニアガイド7は、ガイドレール71、及びスライドブロック72を有する。
エアーシリンダー12は、シリンダーボディ121及びシリンダーロッド122を有する。なお、図1においてエアーシリンダーの内部構造が見えるようにシリンダーボディ121を縦方向に切断した状態を示す。
【0011】
図2は、糸はんだ供給機構部の六面図(正面図、背面図、左側面図、右側面図、平面(上面)図及び底面図)である。
図2に示すように、糸はんだ供給機構部8は、上部ブロック81、ロッド82、糸はんだ供給部83、アジャスターボルトが挿入されるブロック86、下部ブロック87及び供給ノズル88を有する。上部ブロック81は、上部ブロック81を上下方向に貫通する貫通孔84を有する。糸はんだ供給部83及び下部ブロック87も、糸はんだ供給部83及び下部ブロック87を上下方向に貫通する貫通孔85を有する。
【0012】
図3は、はんだコテ機構部の六面図である。
図3に示すように、はんだコテ機構部9は、ロッド91、はんだコテ92、下部ブロック93及び、スライドブラケット94を有する。下部ブロック93は下部ブロック93を上下方向に貫通する貫通孔95を有する。
糸はんだ供給機構部8のロッド82は、はんだコテ機構部9の貫通孔95に挿入される。
はんだコテ機構部9のロッド91は、糸はんだ供給機構部8の貫通孔84に挿入される。
はんだコテ92は、糸はんだ供給機構部8の貫通孔85に挿入される。
【0013】
図4は、リンクアームの六面図である。
図4に示すように、リンクアーム2は、リンクアーム2を背面から正面に貫通する貫通孔21及び貫通孔22を有し、上面に凹部23をする。
リンクアーム2の背面及び正面に設けられた貫通孔22の開口部は水平方向に長い。貫通孔21には支点ブロックロッド11が挿入され、貫通孔22にはスライディングブロックロッド31が挿入される。
リンクアーム2の上面に設けられた凹部23は水平方向に長い。スライディングロッド4は、スライディングロッド4の先端(下端)が凹部23に触れた状態を維持したまま、凹部23の上を、凹部23の長軸方向に水平移動することができる。
凹部23の横幅W1は、貫通孔22の横幅W2よりも大きい。
【0014】
図5は、スライディングブロックの六面図である。
図5に示すように、スライディングブロック3は、スライディングブロックロッド31、貫通孔32及びスライディングブロックU溝33を有する。
スライディングブロック3は、はんだコテロッド91とリンクアーム2の側面によって保持され、重力によって下部ブロック93の上にある。
貫通孔32はスライディングブロック3を上下方向に貫通する。貫通孔32にははんだコテのロッド91が挿入される。
スライディングブロックU溝33もスライディングブロック3を上下方向に貫通する。スライディングブロックU溝33には糸はんだ供給機構部8のロッド82が挿入される。
【0015】
図6は、スライディングロッドの六面図である。
図6に示すように、スライディングロッド4は、頭部に貫通孔41を有する。
貫通孔41は、スライディングロッド4の頭部を水平方向に貫通する。貫通孔41の内周面にはネジが切られている。
【0016】
図7は、アジャスターボルトが挿入されるブロック及び糸はんだ供給機構部の上部ブロックの六面図である。
図7に示すように、上部ブロック81の前面には、アジャスターボルト5が水平方向に挿入されるブロック86が固定されている。
ブロック86は、左側面にアジャスターボルト5が水平方向に貫通可能な貫通孔52を有し、右側面の内面にアジャスターボルト5の先端を支持可能な凹部53を有する。
ブロック86は、底面にスライディングロッド4の上方部分42を下方向から挿入可能な貫通孔54を有する。貫通孔54の形状は両端が丸みを帯びた長方形である。
【0017】
貫通孔54からブロック86内に挿入されたスライディングロッド4の頭部の貫通孔41は、貫通孔52から挿入されたアジャスターボルト5によって螺嵌され、アジャスターボルト5の先端は凹部53によって回転可能に支持される。その結果、アジャスターボルト5を回転させることによって、スライディングロッド4を水平方向に移動させることができる。
【0018】
支点ブロック1は、図示しないフレームに対して固定されている。
糸はんだ供給機構部8は従動部であり、はんだコテ機構部9が下方に動くと、バネ6によって下方に押され、はんだコテ機構部9と同時に下方に動く。
スライディングロッド4は、糸はんだ供給機構部8に対して固定され、糸はんだ供給機構部8と共に同距離を同方向に上下動する。リンクアーム2は支点ブロック1の支点ブロックロッド11を支点として回動自在に支持されている。
【0019】
<支点ブロックロッドからスライディングロッドまでの距離が、支点ブロックロッドからスライディングブロックロッドまでの距離と等しい場合>
図8に、支点ブロックロッドからスライディングロッドまでの距離が、支点ブロックロッドからスライディングブロックロッドまでの距離と等しい場合を示し、
(a)は、はんだコテ機構部及び糸はんだ供給機構部の下降開始前の状態を示し、
(b)は、はんだコテ先がワーク(はんだ付け対象物)に接した状態を示す。
A1:上部ストッパーブロック101は解除位置にあり、下部ストッパーブロック102はロック位置にあり、スライディングロッド4は中央位置(スライディングブロックロッド31の真上)にある。
【0020】
A2:エアーシリンダー12のシリンダーロッド122が下降すると、はんだコテ機構部9のスライドブラケット94も下方に押され、コテ機構部9が下降する。
A3:下降するコテ機構部9は下部ストッパーブロック102によって中間位置で止められる。下降量は約10mmである。
【0021】
A4:はんだコテ機構部9が下降し、ロッド91が下降すると、バネ6によって上部ブロック81が下方に押され、糸はんだ供給機構部8も下降する。上記A1のとき(スライディングロッド4がスライディングブロックロッド31の真上にあるとき)、スライディングロッド4とアジャスターボルト5と上部ブロック81は、スライディングブロックロッド31とスライディングブロック3と下部ブロック93と、略同時に略同距離を下降する。その結果、上記A1のとき、糸はんだ供給機構部8とはんだコテ機構部9は略同時に略同距離を下降する。下降量は約10mmである。
【0022】
<支点ブロックロッドからスライディングロッドまでの距離が、支点ブロックロッドからスライディングブロックロッドまでの距離より短い場合>
図9に、支点ブロックロッドからスライディングロッドまでの距離が、支点ブロックロッドからスライディングブロックロッドまでの距離より短い場合を示し、
(a)は、はんだコテ機構部及び糸はんだ供給機構部の下降開始前の状態を示し、
(b)は、はんだコテ先がワーク(はんだ付け対象物)に接した状態を示す。
B1:上部ストッパーブロック101は解除位置にあり、下部ストッパーブロック102はロック位置にあり、スライディングロッド4は支点ブロック側(スライディングブロックロッド31の真上よりも左側)にある。
【0023】
B2:エアーシリンダー12のシリンダーロッド122が下降すると、はんだコテ機構部9のスライドブラケット94も下方に押され、コテ機構部9が下降する。
B3:下降するコテ機構部9は下部ストッパーブロック102によって中間位置で止められる。下降量は約10mmである。
【0024】
B4:はんだコテ機構部9が下降し、ロッド91が下降すると、バネ6によって上部ブロック81が下方に押され、糸はんだ供給機構部8も下降する。
上記A1のとき(スライディングロッド4がスライディングブロックロッド31の真上にあるとき)、糸はんだ供給機構部8とはんだコテ機構部9は略同時に略同距離を下降する。
しかし、図9及び図11(a)に示すように、スライディングロッド4が支点ブロックロッド11に近い位置にあるため、スライディングロッド4が下降する距離はスライディングブロックロッド31が下降する距離と比較して数mm程度短くなる。
その結果、上記B1のとき、糸はんだ供給機構部8が下降する距離は、はんだコテ機構部9が下降する距離より数mm程度短くなる。
つまり、図8に示した状態と比べて、図9に示した状態は、はんだ付け時に糸はんだ供給位置が上側に移動し、狭いパッドはんだ付けに適するはんだ付け(以下、はさみ込みはんだ付け、とも記載する。)が可能となる。
【0025】
例えば、スライディングブロックロッド31の高さが支点ブロックロッド11の高さと同じとき(つまり、リンクアーム2が水平状態のとき)に
支点ブロックロッド11とスライディングブロックロッド31との水平方向の距離Hc(図11(b))が26mmであり、
支点ブロックロッド11とスライディングロッド4との水平方向の距離H図11(a))が19.5mmであるとする。
その場合、スライディングブロックロッド31の下降距離Vc(図11(b))が10mmであると、
スライディングロッド4の下降距離V図11(a))は7.18mmである。
その結果、糸はんだ供給機構部8が下降する距離は、はんだコテ機構部9が下降する距離より2.82mm程度短くなる。つまり、D-Dc=2.82mm程度となる(図11(a)及び(b))。
なお、スライディングロッド4の下降距離は、後述する交点Pの下降距離Vに略等しい(図11(a))。
【0026】
<支点ブロックロッドからスライディングロッドまでの距離が、支点ブロックロッドからスライディングブロックロッドまでの距離より長い場合>
図10に、支点ブロックロッドからスライディングロッドまでの距離が、支点ブロックロッドからスライディングブロックロッドまでの距離より長い場合を示し、
(a)は、はんだコテ機構部及び糸はんだ供給機構部の下降開始前の状態を示し、
(b)は、はんだコテ先がワーク(はんだ付け対象物)に接した状態を示す。
C1:上部ストッパーブロック101は解除位置にあり、下部ストッパーブロック102はロック位置にあり、スライディングロッド4は支点ブロック側(スライディングブロックロッド31の真上よりも右側)にある。
【0027】
C2:エアーシリンダー12のシリンダーロッド122が下降すると、はんだコテ機構部9のスライドブラケット94も下方に押され、コテ機構部9が下降する。
C3:下降するコテ機構部9は下部ストッパーブロック102によって中間位置で止められる。下降量は約10mmである。
【0028】
C4:はんだコテ機構部9が下降し、ロッド91が下降すると、バネ6によって上部ブロック81が下方に押され、糸はんだ供給機構部8も下降する。
上記A1のとき(スライディングロッド4がスライディングブロックロッド31の真上にあるとき)、糸はんだ供給機構部8とはんだコテ機構部9は略同時に略同距離を下降する。
しかし、図10及び図11(c)に示すように、スライディングロッド4が支点ブロックロッド11から遠い位置にあるため、スライディングロッド4が下降する距離はスライディングブロックロッド31が下降する距離と比較して数mm程度長くなる。
その結果、上記C1のとき、糸はんだ供給機構部8が下降する距離は、はんだコテ機構部9が下降する距離より数mm程度長くなる。
つまり、図8に示した状態と比べて、図10に示した状態は、はんだ付け時に糸はんだ供給位置が下側に移動し、広いパッドはんだ付けに適するはんだ付けが可能となる。
【0029】
例えば、スライディングブロックロッド31の高さが支点ブロックロッド11の高さと同じとき(つまり、リンクアーム2が水平状態のとき)に
支点ブロックロッド11とスライディングブロックロッド31との水平方向の距離Hc(図11(b))が26mmであり、
支点ブロックロッド11とスライディングロッド4との水平方向の距離H図11(c))が32.5mmであるとする。
その場合、スライディングブロックロッド31の下降距離Vc(図11(b))が10mmであると、
スライディングロッド4の下降距離V図11(c))は12.18mmである。
その結果、糸はんだ供給機構部8が下降する距離は、はんだコテ機構部9が下降する距離より2.18程度長くなる。つまり、Dc-D=2.18mm程度となる(図11(b)及び(c))。
なお、スライディングロッド4の下降距離は、後述する交点Pの下降距離Vに略等しい(図11(c))。
【0030】
図11(b)は、スライディングロッド4が中央位置(スライディングブロックロッド31の真上)にあって、はんだコテ機構部9が下降した状態を示す。
図11(b)中の、
Hcは、支点ブロックロッド11とスライディングロッド4との水平方向の距離を示し、
Vcは、支点ブロックロッド11とスライディングブロックロッド31との垂直方向の距離を示し、
Dcは、糸はんだ供給機構部8の下部ブロック87の下端面とワーク載置面との距離を示す。
【0031】
図11(a)は、スライディングロッド4が中央位置(スライディングブロックロッド31の真上)よりも支点ブロックロッド11に近い位置にあって、はんだコテ機構部9が下降した状態を示す。
図11(a)中の、
は、支点ブロックロッド11とスライディングロッド4との水平方向の距離を示し、
は、「支点ブロックロッド11とスライディングブロックロッド31とを結ぶ直線」と、「スライディングロッド4の軸線の延長線」との交点を示し、
は、支点ブロックロッド11と交点PLとの垂直方向の距離を示し、
は、糸はんだ供給機構部8の下部ブロック87の下端面とワーク載置面との距離を示す。
【0032】
図11(c)は、スライディングロッド4が中央位置(スライディングブロックロッド31の真上)よりも支点ブロックロッド11から遠い位置にあって、はんだコテ機構部9が下降した状態を示す。
図11(c)中の、
は、支点ブロックロッド11とスライディングロッド4との水平方向の距離を示し、
は、「支点ブロックロッド11とスライディングブロックロッド31とを結ぶ直線の延長線」と、「スライディングロッド4の軸線の延長線」との交点を示し、
は、支点ブロックロッド11と交点PRとの垂直方向の距離を示し、
は、糸はんだ供給機構部8の下部ブロック87の下端面とワーク載置面との距離を示す。
【0033】
,V,Hc,Vc,H,V,D,Dc及びDは以下の関係式(1)~(3)を満たす。
/H=Vc/Hc=V/H ・・・(1)
Vc-V=D-Dc ・・・(2)
-Vc=Dc-D ・・・(3)
【0034】
以上のように、スライディングロッドの水平方向の位置を変えることによって、はんだコテ機構部の下降距離に対する糸はんだ供給機構部の下降距離を、簡易迅速かつ高精度に制御することができ、狭いパッドはんだ付けに適するはんだ付けや広いパッドはんだ付けに適するはんだ付けを実施することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 支点ブロック
2 リンクアーム
3 スライディングブロック
33 スライディングブロックU溝
4 スライディングロッド
5 アジャスターボルト
6 上側ブロック押付バネ
7 リニアガイド
71 ガイドレール
72 スライドブロック
8 糸はんだ供給機構部
81 上部ブロック
82 ロッド
83 糸はんだ供給
86 アジャスターボルトが挿入されるブロック
87 下部ブロック
88 供給ノズル
9 はんだコテ機構部
91 ロッド(はんだコテロッド)
92 はんだコテ
93 下部ブロック
94 スライドブラケット
101 上部ストッパーブロック
102 下部ストッパーブロック
12 エアーシリンダー
121 シリンダーボディ
122 シリンダーロッド

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11