(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022114920
(43)【公開日】2022-08-08
(54)【発明の名称】搬送システム検査装置及び搬送システムの検査方法
(51)【国際特許分類】
G01N 25/72 20060101AFI20220801BHJP
B65G 43/02 20060101ALI20220801BHJP
B65G 43/08 20060101ALI20220801BHJP
【FI】
G01N25/72 A
B65G43/02 Z
B65G43/08 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021011401
(22)【出願日】2021-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115738
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲頭 光宏
(74)【代理人】
【識別番号】100121681
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 和文
(72)【発明者】
【氏名】浅妻 裕己
【テーマコード(参考)】
2G040
3F027
【Fターム(参考)】
2G040AA05
2G040AB08
2G040BA14
2G040BA25
2G040CA02
2G040DA15
2G040GA01
2G040GA07
2G040HA01
2G040HA05
3F027AA03
3F027CA05
3F027DA22
3F027DA33
3F027EA04
(57)【要約】
【課題】モーターローラーの異常を高精度に検知する。
【解決手段】搬送システム検査装置10は、搬送路1によって搬送可能な搬送体11と、搬送体11に設けられ、搬送体11が通過した後のモーターローラー2の温度を検知する温度センサ12と、温度センサ12の出力値を解析する情報処理部13とを備える。このように、搬送体11が通過した後のモーターローラー2の温度を検知していることから、負荷によってモーターローラー2が十分に温度上昇した状態を評価することができる。これにより、モーターローラー2の異常を高精度に検知することが可能となる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のモーターローラーを有する搬送路の異常を検知するための搬送システム検査装置であって、
前記搬送路によって搬送可能な搬送体と、
前記搬送体に設けられ、前記搬送体が通過した後の前記モーターローラーの温度を検知する第1の温度センサと、
前記第1の温度センサの出力値を解析する情報処理部と、を備えることを特徴とする搬送システム検査装置。
【請求項2】
前記搬送体は、前記搬送路に負荷を加えるための着脱自在な重りを有することを特徴とする請求項1に記載の搬送システム検査装置。
【請求項3】
前記搬送体に設けられ、前記搬送体が通過する前の前記モーターローラーの温度を検知する第2の温度センサをさらに備え、
前記情報処理部は、前記第1の温度センサの出力値と前記第2の温度センサの出力値を比較することを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送システム検査装置。
【請求項4】
温度センサを有する搬送体を複数のモーターローラーを有する搬送路によって搬送し、前記搬送体が通過した後の前記モーターローラーの温度を前記温度センサによって検知し、前記温度センサの出力値を解析することによって前記モーターローラーの異常を検知することを特徴とする搬送システムの検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は搬送システム検査装置及び搬送システムの検査方法に関し、特に、複数のモーターローラーを有する搬送路の異常を検知するための搬送システム検査装置及び搬送システムの検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のモーターローラーを有する搬送路の異常を検知する方法としては、特許文献1に記載されているように、カメラや温度センサを有する検査装置を実際に搬送しながら各種データを取得する方法が知られている。特許文献1に記載された方法では、検査装置と接しているモーターローラーの温度を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、異常のあるモーターローラーの温度は、負荷がかかってもすぐには上昇しないことから、特許文献1に記載された方法では、モーターローラーの異常を高精度に検知することは困難であった。
【0005】
したがって、本発明は、モーターローラーの異常を高精度に検知することが可能な搬送システム検査装置及び搬送システムの検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による搬送システム検査装置は、複数のモーターローラーを有する搬送路の異常を検知するための搬送システム検査装置であって、搬送路によって搬送可能な搬送体と、搬送体に設けられ、搬送体が通過した後のモーターローラーの温度を検知する第1の温度センサと、第1の温度センサの出力値を解析する情報処理部とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明による搬送システム検査方法は、温度センサを有する搬送体を複数のモーターローラーを有する搬送路によって搬送し、搬送体が通過した後のモーターローラーの温度を温度センサによって検知し、温度センサの出力値を解析することによってモーターローラーの異常を検知することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、搬送体が通過した後のモーターローラーの温度を検知していることから、負荷によってモーターローラーが十分に温度上昇した状態を評価することができる。これにより、モーターローラーの異常を高精度に検知することが可能となる。
【0009】
本発明において、搬送体は、搬送路に負荷を加えるための着脱自在な重りを有していても構わない。これによれば、モーターローラーに印加される負荷を自在に変更することが可能となる。
【0010】
本発明による搬送システム検査装置は、搬送体に設けられ、搬送体が通過する前のモーターローラーの温度を検知する第2の温度センサをさらに備え、情報処理部は、第1の温度センサの出力値と第2の温度センサの出力値を比較するものであっても構わない。これによれば、モーターローラーの異常をより高精度に検知することが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
このように、本発明によれば、モーターローラーの異常を高精度に検知することが可能な搬送システム検査装置及び搬送システムの検査方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、搬送システム検査装置10の外観を示す略斜視図である。
【
図2】
図2は、情報処理部13の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3はモーターローラー2に流れる電流の波形であり、(a)は異常がない場合の波形、(b)は異常が発生している場合の波形を示している。
【
図4】
図4は、搬送システム検査装置10の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図5】
図5は、変形例による搬送システム検査装置10aの外観を示す略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0014】
図1は、搬送システム検査装置10の外観を示す略斜視図である。
【0015】
本実施形態による搬送システム検査装置10は、複数のモーターローラー2を有する搬送路1の異常を検知するものであり、搬送路1によって搬送可能な搬送体11と、搬送体11に設けられた温度センサ12、情報処理部13及び重り14を備えている。モーターローラー2は、内蔵されたモーターによって自転する回転ローラーであり、y方向の回転軸を有している。このようなモーターローラー2がx方向に複数配列されており、これにより各モーターローラー2を一方向に回転させることによって搬送路1上の荷物コンテナが矢印Aで示す方向に搬送される。但し、一部のモーターローラー2についてはフリーローラーに置き換えても構わない。
【0016】
搬送システム検査装置10は、荷物コンテナと同様に搬送路1によって搬送されながら、個々のモーターローラー2の異常を検知するものである。搬送体11はコンテナ状であり、その内部に情報処理部13及び重り14が収容されている。温度センサ12は、搬送体11の後方に取り付けられており、搬送体11が通過した後のモーターローラー2の温度を検知する。
図1に示す例では、モーターローラー2aの温度が温度センサ12によって検知される。温度センサ12の検知対象となるモーターローラー2aは、搬送体11が通過したできるだけ直後のモーターローラーであることが好ましい。温度センサ12の種類については特に限定されないが、赤外線カメラなどの非接触式の温度センサを用いることが好ましい。
【0017】
情報処理部13は、
図2に示すように、温度センサ12の出力値を記憶するメモリ21と、メモリ21に記憶された出力値を解析するコントローラ22と、コントローラ22に接続されたI/O回路23と、メモリ21、コントローラ22及びI/O回路23に電力を供給するバッテリー24とを備えている。本実施形態においては、情報処理部13が搬送体11に収容されているが、情報処理部13の一部又は全部を搬送体11の外部に設けても構わない。例えば、温度センサ12の出力値を無線送信する送信機を搬送体11に設け、送信機から送信される出力値を外部の受信機が受信し、外部のコントローラによって解析を行っても構わない。
【0018】
重り14は、搬送体11全体の重さを調整するものであり、搬送路1によって搬送可能な範囲で搬送体11全体の重さをできるだけ重くする。搬送路1によって搬送可能な重量は搬送路ごとに異なることから、重り14は搬送体11に対して着脱自在であることが好ましい。このように、本実施形態においては搬送体11に重り14が搭載されることから、搬送体11と接するモーターローラー2には大きな負荷が加わる。本実施形態による搬送システム検査装置10は、重り14によって搬送路1に大きな負荷を加えるとともに、搬送体11が通過した後のモーターローラー2の温度を温度センサ12によって検知する。
【0019】
図3はモーターローラー2に流れる電流の波形であり、(a)は異常がない場合の波形、(b)は異常が発生している場合の波形を示している。
【0020】
図3に示すように、50Hzの商用電源を用いてモーターローラー2を駆動した場合、50Hz及びその整数倍の周波数に電流値のピークが現れる。ここで、モーターローラー2に異常がない場合には、その他の周波数に電流値のピークが現れないが、モーターローラー2に異常が生じている場合には、その他の周波数に複数の電流値のピークが生じる。このため、異常が生じているモーターローラー2は、異常のないモーターローラー2と比べて消費電力が増加し、その結果、発熱も大きくなる。このような発熱量の違いは僅かであるが、モーターローラー2の消費電力はトルクに比例するため、搬送体11の重量が重ければ重いほど発熱量の差が大きくなる。
【0021】
そして、本実施形態においては、搬送体11に重り14を搭載するとともに、搬送体11が通過した後のモーターローラー2の温度を温度センサ12によって検知していることから、消費電力の違いによる異常の発生を高感度に検知することができる。つまり、搬送体11の搬送方向の前方に温度センサ12を設ける方法では、モーターローラー2にほとんど負荷がかかっておらず、また、搬送体11と接するモーターローラー2の温度を測定する方法では、モーターローラー2が十分に昇温していないため、いずれの方法でも異常の有無による発熱量の違いを判別することは容易ではない。これに対し、本実施形態においては、重り14を搭載した搬送体11が通過した直後のモーターローラー2の温度を測定していることから、異常の有無による発熱量の違いが大きく、これにより異常の発生を高感度に検知することが可能となる。
【0022】
図4は、本実施形態による搬送システム検査装置10の動作を説明するためのフローチャートである。
【0023】
まず、コントローラ22に故障判定値Tmaxを読み込ませた後(ステップS1)、重り14を搭載した搬送体11を搬送路1によって搬送する。そして、搬送体11が通過した直後のモーターローラー2の温度Tを温度センサ12によって測定する(ステップS2)。そして、モーターローラー2の温度Tと故障判定値Tmaxを比較し、モーターローラー2の温度Tが故障判定値Tmax以下であれば(ステップS3:No)、停止指示があるまでステップS2,S3を繰り返す(ステップS4:No)。これに対し、モーターローラー2の温度Tが故障判定値Tmaxを超えていれば(ステップS3:Yes)、故障判定を行い(ステップS5)、判定結果をモーターローラー2と関連付けてメモリ21に記録する(ステップS6)。メモリ21に記録された判定結果は、I/O回路23を介して取り出すことが可能である。このように、本実施形態においては、搬送体11を搬送路1によって搬送するだけでモーターローラー2が順次検査され、どのモーターローラー2に異常が生じるのか判別することが可能となる。
【0024】
図5は、変形例による搬送システム検査装置10aの外観を示す略斜視図である。
【0025】
図5に示す搬送システム検査装置10aは、搬送体11の進行方向の前方に別の温度センサ15が取り付けられている点において、上述した搬送システム検査装置10と相違している。温度センサ15は、搬送体11と接する前のモーターローラー2の温度を検知する。このような温度センサ15を追加すれば、情報処理部13によって温度センサ15の出力値と温度センサ12の出力値を比較することにより、搬送体11が通過する前後における各モーターローラー2の温度変化を評価することができるため、モーターローラー2の異常をより高精度に検知することが可能となる。
【0026】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0027】
1 搬送路
2,2a モーターローラー
10,10a 搬送システム検査装置
11 搬送体
12 温度センサ
13 情報処理部
14 重り
15 温度センサ
21 メモリ
22 コントローラ
23 I/O回路
24 バッテリー