(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022114925
(43)【公開日】2022-08-08
(54)【発明の名称】変倍結像光学系
(51)【国際特許分類】
G02B 15/20 20060101AFI20220801BHJP
G02B 13/18 20060101ALI20220801BHJP
【FI】
G02B15/20
G02B13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021011410
(22)【出願日】2021-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000131326
【氏名又は名称】株式会社シグマ
(72)【発明者】
【氏名】荻野目 泰基
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA01
2H087KA02
2H087MA11
2H087MA17
2H087NA07
2H087RA04
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA32
2H087SA57
2H087SA71
2H087SA74
2H087SB04
2H087SB05
2H087SB13
2H087SB14
2H087SB15
2H087SB26
2H087SB34
2H087SB36
2H087SB37
2H087SB43
2H087SB44
2H087SB45
(57)【要約】
【課題】小型化と軽量化を実現しながら、変倍時の倍率色収差を抑え、合焦時の高速化と性能低下を抑えたフォーカシングを有し、ズーム全域にわたり良好な光学性能を備えた変倍結像光学系を提供する
【解決手段】物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と正の屈折力を有する第2レンズ群G2と負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、1つ以上のレンズ群からなり開口絞りSを含む中間群GMと、合焦群GFと、1つ以上のレンズ群からなる後続群GRとからなり、隣り合うレンズ群の間隔は変倍もしくはフォーカシング時に変化し、広角端から望遠端への変倍に際し、前記第1レンズ群G1は物体側に移動し、前記第2レンズ群G2は像側へ移動し、前記第1レンズ群G1と前記第2レンズ群G2の間隔は増大し、前記第2レンズ群G2と前記第3レンズ群G3との間隔は減少し、無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングに際して、前記合焦群GFが光軸に沿って移動することを特徴とする変倍結像光学系
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と正の屈折力を有する第2レンズ群G2と負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、1つ以上のレンズ群からなり開口絞りSを含む中間群GMと、合焦群GFと、1つ以上のレンズ群からなる後続群GRとからなり、隣り合うレンズ群の間隔は変倍もしくはフォーカシング時に変化し、広角端から望遠端への変倍に際し、前記第1レンズ群G1は物体側に移動し、前記第2レンズ群G2は像側へ移動し、前記第1レンズ群G1と前記第2レンズ群G2の間隔は増大し、前記第2レンズ群G2と前記第3レンズ群G3との間隔は減少し、無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングに際して、前記合焦群GFが光軸に沿って移動することを特徴とする変倍結像光学系。
【請求項2】
以下の条件式(1)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の変倍結像光学系。
(1)0.2<f1/fT<1.0
f1:前記第1レンズ群G1の焦点距離
fT:無限遠望遠端における全系の焦点距離
【請求項3】
以下の条件式(2)を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の変倍結像光学系。
(2)0.1<f2/fT<0.8
f2:前記第2レンズ群G2の焦点距離
fT:無限遠望遠端における全系の焦点距離
【請求項4】
以下の条件式(3)を満たすことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の変倍結像光学系。
(3)1.3<DG2Sw/DG2St<3.2
DG2Sw:広角端における前記第2レンズ群G2の最も物体側のレンズの面頂から前記開口絞りSまでの距離
DG2St:望遠端における前記第2レンズ群G2の最も物体側のレンズの面頂から前記開口絞りSまでの距離
【請求項5】
前記第2レンズ群G2は下記の条件式(4)および(5)を満たす凹レンズを含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の変倍結像光学系。
-0.3>(g2hrW/Wih)-(g2hrT/Tih)>-1.5
(5)ΔPgFLg2>0.013
g2hrW:無限遠広角端における前記第2レンズ群G2先頭の面における軸外主光線の高さ
g2hrT:無限遠望遠端における前記第2レンズ群G2先頭の面における軸外主光線の高さ
なお、前記軸外主光線の定義であるが、絞り位置と光軸が交わる点を通る光線である。
Wih:広角端における前記軸外主光線の像面上の光線高
Tih:望遠端における前記軸外主光線の像面上の光線高
ΔPgFLg2:前記第2レンズ群G2に含まれる前記凹レンズのうち最も異常分散性が大きい凹レンズの異常分散性
【請求項6】
以下の条件式(6)を満足することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の変倍結像光学系。
(6)1.0<f1/fW<2.5
f1:前記第1レンズ群G1の焦点距離
fW:無限遠広角端における全系の焦点距離
【請求項7】
前記第3レンズ群G3はズーミングに際し像面に対し固定であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の変倍結像光学系。
【請求項8】
物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と正の屈折力を有する第2レンズ群G2と負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、1つ以上のレンズ群からなり開口絞りSを含む中間群GMと、正の屈折力を有する合焦群GFと、1つ以上のレンズ群からなる後続群GRとからなり、前記合焦群GFは条件式(7)を満足する凹レンズを1枚以上有し、隣り合うレンズ群の間隔は変倍もしくはフォーカシング時に変化し、無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングに際して、前記合焦群GFが光軸に沿って移動することを特徴とする変倍結像光学系。
(7)ΔPgFLf>0.013
ΔPgFLf:前記合焦群GFを構成する前記凹レンズの異常分散性
【請求項9】
前記合焦群GFを構成する前記凹レンズのうち最も像側に配置された凹レンズが最も正の異常分散性が大きいことを特徴とする請求項8に記載の変倍結像光学系。
【請求項10】
前記合焦群GFは下記の条件式(8)を満足することを特徴とする請求項8または9に記載の変倍結像光学系。
(8)0.08<fF/fT<0.25
fF:前記合焦群GFの焦点距離
fT:無限遠望遠端における全系の焦点距離
【請求項11】
前記後続群GRを構成するレンズ群のうち最も像側のレンズ群には下記の条件式(9)を満足する凹レンズが少なくとも1枚以上含まれていることを特徴とする請求項8乃至10のいずれか一項に記載の変倍結像光学系。
(9)1.0<νdLr×ΔPgFLr
νdLr:前記後続群GRの凹レンズのアッベ数
ΔPgFLr:前記後続群GRの凹レンズの異常分散性
【請求項12】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項8乃至11のいずれか一項に記載の変倍結像光学系。
(10)ΔPgFprAVE<-0.0035
ΔPgFprAVE:前記後続群GRを構成する凸レンズのうち最も像側から2枚の異常分散性の平均値
【請求項13】
広角端から望遠端への変倍に際し、前記第1レンズ群G1は物体側に移動し、前記第2レンズ群G2は像側へ移動し、前記第1レンズ群G1と前記第2レンズ群G2の間隔は増大し、前記第2レンズ群G2と前記第3レンズ群G3との間隔は減少することを特徴とする請求項8乃至12のいずれか一項に記載の変倍結像光学系。
【請求項14】
前記後続群GRのうち最も像側のレンズ群は、ズーミングの際、像面に対し固定されていることを特徴とする請求項8乃至13のいずれか一項に記載の変倍結像光学系。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデジタルカメラやビデオカメラなど撮像装置に用いられる、撮像光学系に好適な変倍結像光学系に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラやビデオカメラ等のミラーレス化が進むと同時に、スマートフォンやモバイルデータ端末に高性能なカメラが搭載されるようになり、デジタルカメラやビデオカメラにはそれらのモバイル機器と差別化を図るため、超望遠域のズームレンズへの需要が高まっている。
【0003】
また近年のデジタルカメラやビデオカメラは撮像素子の高画素化が一段と進み、撮像光学系に対する高性能化の要求は一段と増している。
【0004】
特許文献1~3は望遠端の半画角がおおよそ3度以下の変倍結像光学系の例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-167749
【特許文献2】特開2016-080825
【特許文献3】特開2019-020450
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
望遠端の画角の狭い超望遠ズームレンズでは、ズームレンズとしての使い勝手を向上させるため、変倍比をなるべく大きく取ることと、携帯性を向上させるための小型化と、結像性能の3点を両立させる必要がある。
【0007】
変倍比を大きく取るためには最も物体側に正の屈折力を有するレンズ群を配置し、それを変倍によって物体側へ繰り出すことで、望遠端での望遠比(光学全長を焦点距離で割った値)をなるべく大きくし望遠時の結像性能を高めるのが一般的である。
【0008】
また望遠タイプのレンズでは、物体側に配置された収束系のレンズ群で発生した収差が、後方のレンズ群で拡大される。単焦点レンズであれば、この関係を基に単純に物体側の収束系で発生する収差を抑えることで結像性能の向上を図ることが出来るが、ズームレンズでは変倍によるパワー配置の変化によって諸収差が変動するため、単焦点レンズの様に単純化出来ない。特に画角の狭い超望遠域のレンズで課題となる倍率色収差は、変倍によって発生する方向が変わるので、ズーム全域にわたって倍率色収差の発生を抑えながら光学系の小型化を図るためには、変倍によるパワー配置の変化に応じた光学材料の選択が重要である。
【0009】
特許文献1に記載の光学系は全長固定の超望遠ズームレンズの例であるが、ズーム全域で諸収差が抑えられており結像性能は高いが、このように全長固定のタイプで結像性能を維持したまま変倍比を大きくしようとすると光学系が著しく肥大化してしまい好ましくない。
【0010】
特許文献2に記載の光学系は第1群が繰り出す全長可変タイプの超望遠ズームレンズの例であるが、光学全長に対するバックフォーカス(最終レンズから像面までの距離)が大きく、昨今のミラーレス化によるショートフランジバック化を鑑みると光学系の小型化という点では不十分である。また広角端から望遠端における倍率色収差の変動が大きく、補正が不十分である。
【0011】
特許文献3に記載の光学系はショートフランジバック化に対応した超望遠ズームレンズの例であるが、広角端から望遠端における倍率色収差の変動が大きく、補正が不十分であり、広角端における光学全長の抑制も不十分である。
【0012】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、小型化と軽量化を実現しながら、変倍時の倍率色収差を抑え、合焦時の高速化と性能低下を抑えたフォーカシングを有し、ズーム全域にわたり良好な光学性能を備えた変倍結像光学系を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記改題を解決するための手段である本発明を実施の変倍結像光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と正の屈折力を有する第2レンズ群G2と負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、1つ以上のレンズ群からなり開口絞りSを含む中間群GMと、合焦群GFと、1つ以上のレンズ群からなる後続群GRとからなり、隣り合うレンズ群の間隔は変倍もしくはフォーカシング時に変化し、広角端から望遠端への変倍に際し、前記第1レンズ群G1は物体側に移動し、前記第2レンズ群G2は像側へ移動し、前記第1レンズ群G1と前記第2レンズ群G2の間隔は増大し、前記第2レンズ群G2と前記第3レンズ群G3との間隔は減少し、無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングに際して、前記合焦群GFが光軸に沿って移動することを特徴とする変倍結像光学系。
【0014】
また、本発明を実施の変倍結像光学系は、さらに以下の条件式(1)を満たすことを特徴とする変倍結像光学系。
(1)0.2<f1/fT<1.0
f1:前記第1レンズ群G1の焦点距離
fT:無限遠望遠端における全系の焦点距離
【0015】
また、本発明を実施の変倍結像光学系は、さらに以下の条件式(2)を満たすことを特徴とする変倍結像光学系。
(2)0.1<f2/fT<0.8
f2:前記第2レンズ群G2の焦点距離
fT:無限遠望遠端における全系の焦点距離
【0016】
また、本発明を実施の変倍結像光学系は、さらに以下の条件式(3)を満たすことを特徴とする変倍結像光学系。
(3)1.3<DG2Sw/DG2St<3.2
DG2Sw:広角端における前記第2レンズ群G2の最も物体側のレンズの面頂から前記開口絞りSまでの距離
DG2St:望遠端における前記第2レンズ群G2の最も物体側のレンズの面頂から前記開口絞りSまでの距離
【0017】
また、本発明を実施の変倍結像光学系は、さらに前記第2レンズ群G2は下記の条件式(4)および(5)を満たす凹レンズを含むことを特徴とする変倍結像光学系。
(4)-0.3>(g2hrW/Wih)-(g2hrT/Tih)>-1.5
(5)ΔPgFLg2>0.013
g2hrW:無限遠広角端における前記第2レンズ群G2先頭の面における軸外主光線の高さ
g2hrT:無限遠望遠端における前記第2レンズ群G2先頭の面における軸外主光線の高さ
なお、前記軸外主光線の定義であるが、絞り位置と光軸が交わる点を通る光線である。
Wih:広角端における前記軸外主光線の像面上の光線高
Tih:望遠端における前記軸外主光線の像面上の光線高
ΔPgFLg2:前記第2レンズ群G2に含まれる前記凹レンズのうち最も異常分散性が大きい凹レンズの異常分散性
【0018】
また、本発明を実施の変倍結像光学系は、さらに以下の条件式(6)を満足することを特徴とする変倍結像光学系。
(6)1.0<f1/fW<2.5
f1:前記第1レンズ群G1の焦点距離
fW:無限遠広角端における全系の焦点距離
【0019】
また、本発明を実施の変倍結像光学系は、さらに前記第3レンズ群G3はズーミングに際し像面に対し固定であることを特徴とする変倍結像光学系。
【0020】
また、本発明を実施の変倍結像光学系は、さらに物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と正の屈折力を有する第2レンズ群G2と負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、1つ以上のレンズ群からなり開口絞りSを含む中間群GMと、正の屈折力を有する合焦群GFと、1つ以上のレンズ群からなる後続群GRとからなり、前記合焦群GFは条件式(7)を満足する凹レンズを1枚以上有し、隣り合うレンズ群の間隔は変倍もしくはフォーカシング時に変化し、無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングに際して、前記合焦群GFが光軸に沿って移動することを特徴とする変倍結像光学系。
(7)ΔPgFLf>0.013
ΔPgFLf:前記合焦群GFを構成する前記凹レンズの異常分散性
【0021】
また、本発明を実施の変倍結像光学系は、さらに前記合焦群GFを構成する前記凹レンズのうち最も像側に配置された凹レンズが最も正の異常分散性が大きいことを特徴とする変倍結像光学系。
【0022】
また、本発明を実施の変倍結像光学系は、さらに前記合焦群GFは下記の条件式(8)を満足することを特徴とする変倍結像光学系。
(8)0.08<fF/fT<0.25
fF:前記合焦群GFの焦点距離
fT:無限遠望遠端における全系の焦点距離
【0023】
また、本発明を実施の変倍結像光学系は、さらに前記後続群GRを構成するレンズ群のうち最も像側のレンズ群には下記の条件式(9)を満足する凹レンズが少なくとも1枚以上含まれていることを特徴とする変倍結像光学系。
(9)1.0<νdLr×ΔPgFLr
νdLr:前記後続群GRの凹レンズのアッベ数
ΔPgFLr:前記後続群GRの凹レンズの異常分散性
【0024】
また、本発明を実施の変倍結像光学系は、さらに以下の条件式を満足することを特徴とする変倍結像光学系。
(10)ΔPgFprAVE<-0.0035
ΔPgFprAVE:前記後続群GRを構成する凸レンズのうち最も像側から2枚の異常分散性の平均値
【0025】
また、本発明を実施の変倍結像光学系は、さらに広角端から望遠端への変倍に際し、前記第1レンズ群G1は物体側に移動し、前記第2レンズ群G2は像側へ移動し、前記第1レンズ群G1と前記第2レンズ群G2の間隔は増大し、前記第2レンズ群G2と前記第3レンズ群G3との間隔は減少することを特徴とする変倍結像光学系。
【0026】
また、本発明を実施の変倍結像光学系は、さらに前記後続群GRのうち最も像側のレンズ群は、ズーミングの際、像面に対し固定されていることを特徴とする変倍結像光学系。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、小型化と軽量化を実現しながら、変倍時の倍率色収差を抑え、合焦時の高速化と性能低下を抑えたフォーカシングを有し、ズーム全域にわたり良好な光学性能を備えた変倍結像光学系を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の変倍結像光学系の実施例1に係る広角端の無限遠合焦時のレンズ構成図である。
【
図2】本発明の変倍結像光学系の実施例1に係る広角端の無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図3】本発明の変倍結像光学系の実施例1に係る中間焦点距離の無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図4】本発明の変倍結像光学系の実施例1に係る望遠端の無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図5】本発明の変倍結像光学系の実施例1に係る広角端の無限遠合焦時の横収差図である。
【
図6】本発明の変倍結像光学系の実施例1に係る中間焦点距離の無限遠合焦時の横収差図である。
【
図7】本発明の変倍結像光学系の実施例1に係る望遠端の無限遠合焦時の横収差図である。
【
図8】本発明の変倍結像光学系の実施例2に係る広角端の無限遠合焦時のレンズ構成図である。
【
図9】本発明の変倍結像光学系の実施例2に係る広角端の無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図10】本発明の変倍結像光学系の実施例2に係る中間焦点距離の無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図11】本発明の変倍結像光学系の実施例2に係る望遠端の無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図12】本発明の変倍結像光学系の実施例2に係る広角端の無限遠合焦時の横収差図である。
【
図13】本発明の変倍結像光学系の実施例2に係る中間焦点距離の無限遠合焦時の横収差図である。
【
図14】本発明の変倍結像光学系の実施例2に係る望遠端の無限遠合焦時の横収差図である。
【
図15】本発明の変倍結像光学系の実施例3に係る広角端の無限遠合焦時のレンズ構成図である。
【
図16】本発明の変倍結像光学系の実施例3に係る広角端の無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図17】本発明の変倍結像光学系の実施例3に係る中間焦点距離の無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図18】本発明の変倍結像光学系の実施例3に係る望遠端の無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図19】本発明の変倍結像光学系の実施例3に係る広角端の無限遠合焦時の横収差図である。
【
図20】本発明の変倍結像光学系の実施例3に係る中間焦点距離の無限遠合焦時の横収差図である。
【
図21】本発明の変倍結像光学系の実施例3に係る望遠端の無限遠合焦時の横収差図である。
【
図22】本発明の変倍結像光学系の実施例4に係る広角端の無限遠合焦時のレンズ構成図である。
【
図23】本発明の変倍結像光学系の実施例4に係る広角端の無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図24】本発明の変倍結像光学系の実施例4に係る中間焦点距離の無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図25】本発明の変倍結像光学系の実施例4に係る望遠端の無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図26】本発明の変倍結像光学系の実施例4に係る広角端の無限遠合焦時の横収差図である。
【
図27】本発明の変倍結像光学系の実施例4に係る中間焦点距離の無限遠合焦時の横収差図である。
【
図28】本発明の変倍結像光学系の実施例4に係る望遠端の無限遠合焦時の横収差図である。
【
図29】本発明の変倍結像光学系の実施例5に係る広角端の無限遠合焦時のレンズ構成図である。
【
図30】本発明の変倍結像光学系の実施例5に係る広角端の無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図31】本発明の変倍結像光学系の実施例5に係る中間焦点距離の無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図32】本発明の変倍結像光学系の実施例5に係る望遠端の無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図33】本発明の変倍結像光学系の実施例5に係る広角端の無限遠合焦時の横収差図である。
【
図34】本発明の変倍結像光学系の実施例5に係る中間焦点距離の無限遠合焦時の横収差図である。
【
図35】本発明の変倍結像光学系の実施例5に係る望遠端の無限遠合焦時の横収差図である。
【
図36】本発明の変倍結像光学系の実施例6に係る広角端の無限遠合焦時のレンズ構成図である。
【
図37】本発明の変倍結像光学系の実施例6に係る広角端の無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図38】本発明の変倍結像光学系の実施例6に係る中間焦点距離の無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図39】本発明の変倍結像光学系の実施例6に係る望遠端の無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図40】本発明の変倍結像光学系の実施例6に係る広角端の無限遠合焦時の横収差図である。
【
図41】本発明の変倍結像光学系の実施例6に係る中間焦点距離の無限遠合焦時の横収差図である。
【
図42】本発明の変倍結像光学系の実施例6に係る望遠端の無限遠合焦時の横収差図である。
【
図43】本発明の変倍結像光学系の実施例7に係る広角端の無限遠合焦時のレンズ構成図である。
【
図44】本発明の変倍結像光学系の実施例7に係る広角端の無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図45】本発明の変倍結像光学系の実施例7に係る中間焦点距離の無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図46】本発明の変倍結像光学系の実施例7に係る望遠端の無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図47】本発明の変倍結像光学系の実施例7に係る広角端の無限遠合焦時の横収差図である。
【
図48】本発明の変倍結像光学系の実施例7に係る中間焦点距離の無限遠合焦時の横収差図である。
【
図49】本発明の変倍結像光学系の実施例7に係る望遠端の無限遠合焦時の横収差図である。
【
図50】本発明の変倍結像光学系の実施例8に係る広角端の無限遠合焦時のレンズ構成図である。
【
図51】本発明の変倍結像光学系の実施例8に係る広角端の無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図52】本発明の変倍結像光学系の実施例8に係る中間焦点距離の無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図53】本発明の変倍結像光学系の実施例8に係る望遠端の無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図54】本発明の変倍結像光学系の実施例8に係る広角端の無限遠合焦時の横収差図である。
【
図55】本発明の変倍結像光学系の実施例8に係る中間焦点距離の無限遠合焦時の横収差図である。
【
図56】本発明の変倍結像光学系の実施例8に係る望遠端の無限遠合焦時の横収差図である。
【
図57】本発明の変倍結像光学系の実施例9に係る広角端の無限遠合焦時のレンズ構成図である。
【
図58】本発明の変倍結像光学系の実施例9に係る広角端の無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図59】本発明の変倍結像光学系の実施例9に係る中間焦点距離の無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図60】本発明の変倍結像光学系の実施例9に係る望遠端の無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図61】本発明の変倍結像光学系の実施例9に係る広角端の無限遠合焦時の横収差図である。
【
図62】本発明の変倍結像光学系の実施例9に係る中間焦点距離の無限遠合焦時の横収差図である。
【
図63】本発明の変倍結像光学系の実施例9に係る望遠端の無限遠合焦時の横収差図である。
【
図64】本発明の変倍結像光学系の実施例10に係る広角端の無限遠合焦時のレンズ構成図である。
【
図65】本発明の変倍結像光学系の実施例10に係る広角端の無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図66】本発明の変倍結像光学系の実施例10に係る中間焦点距離の無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図67】本発明の変倍結像光学系の実施例10に係る望遠端の無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図68】本発明の変倍結像光学系の実施例10に係る広角端の無限遠合焦時の横収差図である。
【
図69】本発明の変倍結像光学系の実施例10に係る中間焦点距離の無限遠合焦時の横収差図である。
【
図70】本発明の変倍結像光学系の実施例10に係る望遠端の無限遠合焦時の横収差図である。
【
図71】本発明の変倍結像光学系の実施例11に係る広角端の無限遠合焦時のレンズ構成図である。
【
図72】本発明の変倍結像光学系の実施例11に係る広角端の無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図73】本発明の変倍結像光学系の実施例11に係る中間焦点距離の無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図74】本発明の変倍結像光学系の実施例11に係る望遠端の無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図75】本発明の変倍結像光学系の実施例11に係る広角端の無限遠合焦時の横収差図である。
【
図76】本発明の変倍結像光学系の実施例11に係る中間焦点距離の無限遠合焦時の横収差図である。
【
図77】本発明の変倍結像光学系の実施例11に係る望遠端の無限遠合焦時の横収差図である。
【
図78】本発明の変倍結像光学系の実施例12に係る広角端の無限遠合焦時のレンズ構成図である。
【
図79】本発明の変倍結像光学系の実施例12に係る広角端の無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図80】本発明の変倍結像光学系の実施例12に係る中間焦点距離の無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図81】本発明の変倍結像光学系の実施例12に係る望遠端の無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図82】本発明の変倍結像光学系の実施例12に係る広角端の無限遠合焦時の横収差図である。
【
図83】本発明の変倍結像光学系の実施例12に係る中間焦点距離の無限遠合焦時の横収差図である。
【
図84】本発明の変倍結像光学系の実施例12に係る望遠端の無限遠合焦時の横収差図である。
【
図85】本発明の変倍結像光学系の実施例13に係る広角端の無限遠合焦時のレンズ構成図である。
【
図86】本発明の変倍結像光学系の実施例13に係る広角端の無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図87】本発明の変倍結像光学系の実施例13に係る中間焦点距離の無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図88】本発明の変倍結像光学系の実施例13に係る望遠端の無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図89】本発明の変倍結像光学系の実施例13に係る広角端の無限遠合焦時の横収差図である。
【
図90】本発明の変倍結像光学系の実施例13に係る中間焦点距離の無限遠合焦時の横収差図である。
【
図91】本発明の変倍結像光学系の実施例13に係る望遠端の無限遠合焦時の横収差図である。
【
図92】本発明の変倍結像光学系の実施例14に係る広角端の無限遠合焦時のレンズ構成図である。
【
図93】本発明の変倍結像光学系の実施例14に係る広角端の無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図94】本発明の変倍結像光学系の実施例14に係る中間焦点距離の無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図95】本発明の変倍結像光学系の実施例14に係る望遠端の無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図96】本発明の変倍結像光学系の実施例14に係る広角端の無限遠合焦時の横収差図である。
【
図97】本発明の変倍結像光学系の実施例14に係る中間焦点距離の無限遠合焦時の横収差図である。
【
図98】本発明の変倍結像光学系の実施例14に係る望遠端の無限遠合焦時の横収差図である。
【
図99】本発明の変倍結像光学系の実施例15に係る広角端の無限遠合焦時のレンズ構成図である。
【
図100】本発明の変倍結像光学系の実施例15に係る広角端の無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図101】本発明の変倍結像光学系の実施例15に係る中間焦点距離の無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図102】本発明の変倍結像光学系の実施例15に係る望遠端の無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図103】本発明の変倍結像光学系の実施例15に係る広角端の無限遠合焦時の横収差図である。
【
図104】本発明の変倍結像光学系の実施例15に係る中間焦点距離の無限遠合焦時の横収差図である。
【
図105】本発明の変倍結像光学系の実施例15に係る望遠端の無限遠合焦時の横収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態に係る変倍結像光学系について説明する。なお、以下の実施例の説明は本発明の光学系の一例を説明したものであり、本発明はその要旨を逸脱しない範囲において本実施例に限定されるものではない。また、物体側を先、像側を後として説明する。
【0030】
また、以下の実施例の説明における、g線(波長435 .8nm),F線(486.1nm),d線(587.6nm),C線(656.3nm)に対する材料の屈折率をそれぞれNg,NF,Nd,NCとする。そしてアッベ数νd、部分分散比PgF、異常部分分散性ΔPgFを、
νd = (Nd-1)/(NF-NC)
PgF = (Ng-NF)/(NF-NC)
ΔPgF = PgF-0.64833+0.00180×νd
として表す。
【0031】
本出願中でレンズの枚数をカウントする場合は、特段の記載がない限り、単レンズは1枚、接合レンズの場合はそれを構成する単レンズごとに1枚としてカウントする。例えば、凸レンズと凹レンズの接合レンズであれば2枚としてカウントする。
【0032】
一般に薄肉レンズで構成される光学系の倍率色収差は各レンズの和として以下の(参考式1)で与えられ、次の様に考えることが出来る。
【0033】
絞りよりも物体側に正の屈折力を有するレンズを配置すると、レンズを通過する周辺光束は結像位置と反対側の象限を通過することになり、一般的な光学ガラスの場合、分散の特性から長波長ほど低像高の位置に結像することになり、C線はアンダー方向の倍率色収差として観測される。同様に、絞りより物体側に負の屈折力を有するレンズを配置させた場合は前記と逆の現象となる。また、絞りより像側にレンズを配置させた場合にはレンズを通過する周辺光束と結像位置が同じ象限を通過することになるので、絞りより物体側にレンズを配置させた場合と逆の現象となる。
(参考式1)Σ(h・hb・φ/ν)
h:軸上光線高さ
hb:軸外主光線高さ
φ:屈折力
ν:アッベ数
なお、主光線は絞り面と光軸が交差する点を通過する光線と定義する。
【0034】
本発明のような第1レンズ群G1が正の屈折力を持ち、広角端から望遠端への変倍によって大きく第1レンズ群G1が繰り出し、開口絞りSとの間隔が広がるような変倍結像光学系では、多くの場合、広角側でC線がオーバー、望遠側でC線がアンダー方向の倍率色収差が発生し変倍によって変動する。そのため波長全体で倍率色収差を小さくするためにg線とC線をコレクションするようなまとめ方がなされる場合が多く、そのような場合ではg線およびC線と、他の波長との結像倍率の差が大きい場合には、2次スペクトルとして被写体の輪郭に赤紫色などの色にじみが現れ好ましくない。
【0035】
この現象は、広角側から望遠側への変倍によって第1レンズ群G1が繰り出し、開口絞りSとの間隔が広がり、第2レンズ群G2以降のレンズ群は開口絞りSに近づくパワー配置の変化によって、第1レンズ群G1で発生する倍率色収差の変化に加え、第2レンズ群G2以降のレンズ群での倍率色収差の補正効果が大きく変化することによって発生するものである。開口絞りSからの距離が離れるほど軸外主光線は光軸から離れた高い位置を通るようになり、(参考式1)で示したように光線高の変化は倍率色収差の変化をもたらす。
【0036】
また、2次スペクトルの補正には異常分散性を持つ硝材を変倍による倍率色収差の補正効果の変化に合わせて適切に配置することが効果的である。例えば、g線とC線をコレクションし、d線との間で2次スペクトルが問題となるような場合では、無理にd線とC線をコレクションしようとすると、g線は補正不足となってしまうが、異常分散性を持つ硝材を利用するとg線の補正不足を補うことが可能になり、結果的に2次スペクトルの軽減を図ることが可能となる。以下、ズーム全域で2次スペクトルを抑え倍率色収差を効果的に補正した本発明の実施形態について、g線の補正に着目し説明する。
【0037】
本発明の変倍結像光学系は、数値実施例や各実施例の構成図からもわかるように、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と正の屈折力を有する第2レンズ群G2と負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、1つ以上のレンズ群からなり開口絞りSを含む中間群GMと、合焦群GFと、1つ以上のレンズ群からなる後続群GRとからなり、変倍もしくはフォーカシング時に、隣り合うレンズ群の間隔が変化し、広角端から望遠端への変倍に際し、第1レンズ群G1は物体側に移動し、第2レンズ群G2は像側へ移動し、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間隔は増大し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔は減少するようことで、変倍結像光学系の主な変倍効果を得ている。無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングに際して、合焦群GFが光軸に沿って移動する構成となっている。
【0038】
正の屈折力を有する第2レンズ群G2は広角端から望遠端にズーミングする際に像面に対し像側に移動することで、広角端で高い位置を通過していた軸外主光線が望遠端では低い位置を通過するように変化させ、第2レンズ群G2の倍率色収差の補正効果は広角端で大きく望遠端で小さくなる効果を発揮する。
【0039】
また第2レンズ群G2には、凹レンズに正の異常分散性、凸レンズに負の異常分散性を持つガラス、またはその両方を使用すると広角側でg線をアンダー方向に補正することが可能となり倍率色収差を補正しやすくなる。
【0040】
1つ以上のレンズ群からなり開口絞りSを含む中間群GMは、第3レンズ群G3で発散された光束を収束させる効果を持ち、合焦群GFへ入射する光線高を適切な高さに制御する効果を持っており、合焦群GFの軽量化に寄与するとともに、ズーミング時の像面補償の役割も担っている。
【0041】
合焦群GFは、無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングに際して光軸に沿って移動し、物体距離が変化した際の結像位置のズレを補正している。
【0042】
1つ以上のレンズ群からなる後続群GRは、像面補償を担うとともに望遠端で大きくなる倍率色収差の補正の役割を担っている。後続群GRの凹レンズに正の異常分散性を持つガラス、凸レンズに負の異常分散性を持つガラスを用いることで、g線をオーバー方向に補正する効果が発生し望遠側での倍率色収差の補正することが可能となる。また後続群GRでは軸外主光線に対し軸上光線は低い光線高で通過しており、倍率色収差の補正効果はより高い像高で大きくなる特性を持つ。
【0043】
一方で、後続群GRで凹レンズに正の異常分散性を持つガラス、凸レンズに負の異常分散性を持つガラスを用いることで望遠側の倍率色収差を補正すると、広角側でg線がオーバー側に過剰補正となり倍率色収差が悪化することとなるが、その広角側で悪化する倍率色収差を、広角側でg線をアンダー方向に補正効果を大きく持つ第2レンズ群G2での倍率色収差の補正効果で相殺することで、広角端から望遠端まで全域にわたり倍率色収差を良好に補正することが可能となる。
【0044】
また、本発明の変倍結像光学系では、光学系の全長短縮と高性能化を両立させるため以下の条件式(1)を満たすことが望ましい。
(1)0.2<f1/fT<1.0
f1:前記第1レンズ群G1の焦点距離
fT:無限遠望遠端における全系の焦点距離
【0045】
本発明の変倍結像光学系の満たすべき条件式(1)は、無限遠望遠端における全系の焦点距離と第1レンズ群の焦点距離の比を規定し、光学系の全長短縮と鏡筒の軽量化に関して望ましい範囲を示したものである。
【0046】
条件式(1)の上限値を超え、第1レンズ群G1の焦点距離が無限遠望遠端の全系の焦点距離に対して長くなると、望遠端における光学全長が長くなり過ぎ第1レンズ群G1のズーミングによる移動量が増大し移動機構が複雑になり鏡筒が大型化してしまう。
【0047】
条件式(1)の下限値を超え、第1レンズ群G1の焦点距離が無限遠望遠端の全系の焦点距離に対して短くなると、望遠端における第2レンズ群G2以降の合成系の結像倍率が高くなりすぎて望遠端における軸上色収差等諸収差の補正が難しくなる。
【0048】
なお、条件式(1)については、望ましくは下限値を0.3、上限値を0.7に規定することで前述の効果をより確実にすることが可能となる。
【0049】
同様に、本発明の変倍結像光学系では、光学系の全長短縮と高性能化を両立するため以下の条件式(2)を満たすことが望ましい。
(2)0.1<f2/fT<0.8
f2:前記第2レンズ群G2の焦点距離
fT:無限遠望遠端における全系の焦点距離
【0050】
本発明の変倍結像光学系の満たすべき条件式(2)は、無限遠望遠端における全系の焦点距離と第2レンズ群G2の焦点距離の比を規定し、光学系の全長短縮と鏡筒の軽量化に関して望ましい範囲を示したものである。
【0051】
条件式(2)の上限値を超え、第2レンズ群G2の焦点距離が無限遠望遠端における全系の焦点距離に対して長くなると、屈折力が不足して光学系の全長短縮が困難になる。また無理に全長短縮を狙い、不足する屈折力を第1レンズ群G1のパワーを強め補う形を取ると、軸上色収差の補正に重要な役割を果たす第1レンズ群G1の凸レンズに蛍石などの低屈折率・低分散のガラスを使う事が難しくなり高性能化が難しくなる。
【0052】
条件式(2)の下限値を超え、第2レンズ群G2の焦点距離が無限遠望遠端の全系の焦点距離に対して小さくなると、第2レンズ群G2のパワーが強まり、特に軸外主光線が高い位置を通る広角端において非点収差を抑えることが難しくなり高性能化が難しくなる。
【0053】
なお、条件式(2)については、望ましくは下限値を0.2、上限値を0.6に規定することで前述の効果をより確実にすることが可能となる。
【0054】
また、本発明の変倍結像光学系では、ズーム全域での倍率色収差の効果的な補正を実現するため以下の条件式(3)を満たすことが望ましい。
(3)1.3<DG2Sw/DG2St<3.2
DG2Sw:広角端における前記第2レンズ群G2の最も物体側のレンズの面頂から絞りまでの距離
DG2St:望遠端における前記第2レンズ群G2の最も物体側のレンズの面頂から絞りまでの距離
【0055】
本発明の変倍結像光学系が満たすべき条件式(3)は、広角端と望遠端における第2レンズ群G2の最も物体側のレンズの面頂から開口絞りSまでの距離の比について望ましい範囲を規定したものである。前述のように、本発明の変倍結像光学系の第2レンズ群G2は広角端から望遠端への変倍に際し、像側に移動し第3レンズ群G3との間隔が縮小する事で、中間群GMに含まれている開口絞りSとの距離は縮まる。第2レンズ群G2の倍率色収差補正の効果は、広角側で大きく望遠側で小さくなることが望ましいので、第2レンズ群G2は望遠側で開口絞りSに近づき第2レンズ群G2を通過する軸外主光線の高さが低くなることが望ましい。
【0056】
条件式(3)の下限値を超え、広角端と望遠端における第2レンズ群G2の最も物体側のレンズの面頂から開口絞りSまでの距離の比が小さくなると、第2レンズ群G2を通過する軸外主光線の変化が小さくなり、倍率色収差の補正効果の変化が小さくなり、ズーム全域での効果的な倍率色収差の補正が困難となり好ましくない。
【0057】
条件式(3)の上限値を超え、広角端と望遠端における第2レンズ群G2の最も物体側のレンズの面頂から絞りまでの距離の比が大きくなると、第2レンズ群G2の変倍による移動量が大きくなり広角端における軸外光束がより高いところ通ることになり、第2レンズ群G2の外径が肥大化してしまうことにつながるので好ましくない。
【0058】
なお、条件式(3)については、望ましくは下限値を1.4、上限値を2.6に規定することで前述の効果をより確実にすることが可能となる。
【0059】
本発明の変倍結像光学系において、広角端から望遠端へのズーミングの際に軸外主光線の光線高変化が大きい第2レンズ群G2は、ズーミングによって変動する倍率色収差を効果的に補正するために重要な役割を担っており、光学系の高性能化のためには以下の条件式(4)および(5)を満たすことが望ましい。
(4)-0.3>(g2hrW/Wih)-(g2hrT/Tih)>-1.5
(5)ΔPgFLg2>0.013
g2hrW:無限遠広角端における前記第2レンズ群G2先頭の面における軸外主光線の高さ
g2hrT:無限遠望遠端における前記第2レンズ群G2先頭の面における軸外主光線の高さ
なお、前記軸外主光線の定義であるが、絞り位置と光軸が交わる点を通る光線である。
Wih:広角端における前記軸外主光線の像面上の光線高
Tih:望遠端における前記軸外主光線の像面上の光線高
ΔPgFLg2:前記第2レンズ群G2に含まれる凹レンズのうち最も異常分散性が大きい凹レンズの異常分散性
【0060】
条件式(4)は無限遠広角端における第2レンズ群G2先頭の面における軸外主光線の高さと同広角端における軸外主光線の結像像高との比と、無限遠望遠端における第2レンズ群G2先頭の面における軸外主光線の高さと同望遠端における軸外主光線の結像像高との比の差分について望ましい範囲を規定したものである。この差分が0に近づいて大きくなると、無限遠広角端から無限遠望遠端へズーミングした際に第2レンズ群G2での軸外主光線の変化が小さいことを意味し、逆に0から離れる方向で小さくなると無限遠広角端から無限遠望遠端へズーミングした際に第2レンズ群G2での軸外主光線の変化が大きいことを意味する。
【0061】
条件式(4)の上限値を超え、無限遠広角端における第2レンズ群G2先頭の面における軸外主光線の高さと同広角端における軸外主光線の結像像高との比と、無限遠望遠端における第2レンズ群G2先頭の面における軸外主光線の高さと同望遠端における軸外主光線の結像像高との比の差分が0に近づく形で大きくなると、無限遠広角端から無限遠望遠端へズーミングした際に第2レンズ群G2での軸外主光線の変化が小さくなり、倍率色収差の補正効果が小さくなり、広角側か望遠側のどちらかで倍率色収差が十分に補正出来ない形になり、好ましくない。
【0062】
条件式(4)の下限値を超え、無限遠広角端における第2レンズ群G2先頭の面における軸外主光線の高さと同広角端における軸外主光線の結像像高との比と、無限遠望遠端における第2レンズ群G2先頭の面における軸外主光線の高さと同望遠端における軸外主光線の結像像高との比の差分が0から離れる方向に小さくなると、無限遠広角端から無限遠望遠端へズーミングした際に第2レンズ群G2での軸外主光線の変化が大きくなり過ぎて、非点収差や像面湾曲の補正が困難になり好ましくない。
【0063】
なお、条件式(4)については、望ましくは下限値を-1.3、上限値を-0.4に規定することで前述の効果をより確実にすることが可能となる。
【0064】
条件式(5)は、第2レンズ群G2に1枚以上含まれる凹レンズの望ましい異常分散性の範囲を規定したものである。なお、ここで示している凹レンズとは単体で配置されているレンズでも、接合レンズの一部として配置されている凹レンズでもどちらでも良い。
【0065】
前述のとおり、第2レンズ群G2は広角端から望遠端にズーミングする際に像面に対し像側に移動し、第2レンズ群G2を通る軸外主光線は広角側で高く、望遠側で低い位置を通過する。倍率色収差をズーム全域で抑え高性能化を図るためには第2レンズ群G2は広角側でg線をよりアンダー方向へ補正する必要がある。従って、ΔPgFが大きく正の異常分散性が大きい方がg線の補正には有利である。
【0066】
条件式(5)の下限値を超えて異常分散性が小さくなると、広角側でg線をアンダーに補正する効果が低下し、ズーム全域で倍率色収差を抑え高性能化を図ることが難しくなる。
【0067】
なお、条件式(5)については、望ましくは上限値を0.018、より望ましくは0.020に規定することで前述の効果をより確実にすることが可能となる。
【0068】
本発明の変倍結像光学系では、光学系の全長短縮と高性能化を両立するため以下の条件式(6)を満たすことが望ましい。
(6)1.0<f1/fW<2.5
f1:前記第1レンズ群G1の焦点距離
fW:無限遠広角端における全系の焦点距離
【0069】
条件式(6)は無限遠広角端における全系の焦点距離と第1レンズ群G1の焦点距離との比を規定し、光学系の全長短縮と高性能化の両立を図るために望ましい範囲を示したものである。
【0070】
条件式(6)の上限値を超えて第1レンズ群G1の焦点距離が、無限遠広角端における全系の焦点距離に対して大きくなると、第1レンズ群G1のパワーが不足して光学系の全長短縮が困難になり好ましくない。
【0071】
条件式(6)の下限値を超えて第1レンズ群G1の焦点距離が、無限遠広角端における全系の焦点距離に対して小さくなると、第1レンズ群G1のパワーが強くなりすぎて、球面収差や非点収差など諸収差の補正が困難になり、高性能化が難しくなり好ましくない。
【0072】
なお、条件式(6)については、望ましくは上限値を1.9、下限値を1.3とすることで前述の効果をより確実にすることが可能となる。
【0073】
本発明の変倍結像光学系では、第3レンズ群G3を変倍時に像面に対し固定とすることで機構が複雑化することを防いでいる。これは第3レンズ群G3の一部を光軸に対し略垂直方向に移動させ、防振群としたような場合には、駆動ユニットや配線が変倍で移動しないので機構が簡素化でき好ましい。
【0074】
本発明の変倍結像光学系は、数値実施例や各実施例の構成図からもわかるように、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と正の屈折力を有する第2レンズ群G2と負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、1つ以上のレンズ群からなり開口絞りSを含む中間群GMと、正の屈折力を有する合焦群GFと、1つ以上のレンズ群からなる後続群GRとからなり、変倍時に隣り合うレンズ群の間隔が変化し、無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングに際して、合焦群GFが光軸に沿って移動することを特徴とする光学系である。
【0075】
本発明の変倍結像光学系では、ズーム全域にわたって倍率色収差が補正され高性能化を実現するには、合焦群GFは条件式(7)を満たした、凹レンズを少なくとも1枚以上含むことが望ましい。なお、ここで示している凹レンズとは単体で配置されているレンズでも、接合レンズの一部として配置されている凹レンズでもどちらでも良い。
(7)ΔPgFLf>0.013
ΔPgFLf:前記合焦群GFを構成する凹レンズの異常分散性
【0076】
条件式(7)は、合焦群GFに1枚以上含まれることが望ましい凹レンズの異常分散性の範囲を規定したものである。本発明の変倍光学系では、望遠側で短波長、特にg線より短波長側の光線の結像倍率が下がりアンダーの方向の倍率色収差が残る。これを効果的に補正するには、開口絞りSより後ろの群では凹レンズにはΔPgFが大きく正の異常分散性が大きいレンズを使用するのが望ましい。
【0077】
条件式(7)の下限値を超え、合焦群GFを構成する凹レンズの異常分散性が小さくなると、望遠側の周辺像高でのg線をオーバーに補正する効果が小さくなり、ズーム全域での倍率色収差補正が困難になる。
【0078】
なお、条件式(7)の下限値については、望ましくは下限値を0.018、より望ましくは0.020に規定することで前述の効果をより確実にすることが可能となる。
【0079】
本発明の変倍結像光学系で、合焦群GFの凹レンズで倍率色収差を効率的に補正するためには、軸外主光線がより高い位置を通過するのが望ましいため、極力開口絞りSより遠い位置に、ΔPgFが大きく正の異常分散性が大きい倍率色収差の補正効果を持った凹レンズを配置した方が良い。
【0080】
また本発明の変倍結像光学系では、以下の条件式(8)を満足することが望ましい。
(8)0.08<fF/fT<0.25
fF:前記合焦群GFの焦点距離
fT:無限遠望遠端における全系の焦点距離
【0081】
無限遠から至近側への合焦群GFの移動距離が短い方がフォーカシングスピードを向上させるメリットがあるが、合焦群GFのパワーを強めなければならずフォーカシング時の性能低下が大きくなり好ましくない。その点を踏まえ、条件式(8)は、フォーカシングスピードの高速化とフォーカシング時の性能低下を抑えるために、合焦群GFの焦点距離と無限遠望遠端における全系の焦点距離の比の好ましい範囲を規定したものである。
【0082】
条件式(8)の下限値を超え、合焦群GFの焦点距離と無限遠望遠端における全系の焦点距離の比が小さくなると、合焦群GFのパワーが不足し、無限遠から至近側への合焦群GFの移動距離が長くなってしまいフォーカシングスピードの低下が発生し好ましくない。
【0083】
条件式(8)の上限値を超え、合焦群GFの焦点距離と無限遠望遠端における全系の焦点距離の比が大きくなると、合焦群GFのパワーが強くなり過ぎて、フォーカシング時の諸収差の悪化による性能変動が大きくなってしまい好ましくない。
【0084】
なお、条件式(8)については、望ましくは下限値を0.10、上限値を0.20とすることで、前述の効果をより確実とすることが可能となる。
【0085】
また、本発明の変倍結像光学系では、後続群GRを構成するレンズ群のうち、最も像側のレンズ群には下記条件式(9)を満足する凹レンズが少なくとも1枚以上含まれることが望ましい。なお、ここで示している凹レンズとは単体で配置されているレンズでも、接合レンズの一部として配置されている凹レンズでもどちらでも良い。
(9)1.0<νdLr×ΔPgFLr
νdLr:前記後続群GRの凹レンズのアッベ数
ΔPgFLr:前記後続群GRの凹レンズの異常分散性
【0086】
条件式(9)は、本発明の変倍結像光学系の後続群GRを構成するレンズ群のうち、最も像側のレンズ群に1枚以上含まれることが望ましい凹レンズのアッベ数と異常分散性の関係を規定したものである。本発明の変倍結像光学系では、望遠側で短波長、特にg線より短波長側の光線が補正不足となりの結像倍率が下がってアンダーの方向の倍率色収差が残る。これを効果的に補正するには、開口絞りSより後ろの群では凹レンズにはΔPgFが大きく正の異常分散性が大きいレンズを使用するのが望ましい。
【0087】
条件式(9)の下限値を超え、後続群GRを構成する凹レンズの異常分散性が小さくなると、望遠側の周辺像高でのg線をオーバーに補正する効果が小さくなり、ズーム全域での倍率色収差補正が困難になる。
【0088】
なお、条件式(9)の下限値については、望ましくは下限値を1.3、より望ましくは1.8に規定することで前述の効果をより確実にすることが可能となる。
【0089】
また、本発明の変倍結像光学系では、後続群GRを構成するレンズのうち最も像側から2枚の異常分散性の平均値が条件式(10)の範囲を満たすことが望ましい。なお、ここで示している凸レンズとは単体で配置されているレンズでも、接合レンズの一部として配置されている凸レンズでもどちらでも良い。
(10)ΔPgFprAVE<-0.0035
ΔPgFprAVE:前記後続群GRを構成する凸レンズのうち最も像側から2枚の異常分散性の平均値
【0090】
条件式(10)は、本発明の変倍結像光学系の後続群GRを構成する凸レンズのうち最も像側から2枚の異常分散性の平均値を規定したものであり、本発明の変倍結像光学系では、望遠側で短波長、特にg線から短波長側の光線の結像倍率が下がりアンダーの方向の倍率色収差が残る。これを効果的に補正するには、開口絞りSより後ろの群では凸レンズにはΔPgFが小さく負の異常分散性が大きいレンズを使用するのが望ましい。
【0091】
条件式(10)の上限値を超え、後続群を構成する凸レンズのうち最も像側から2枚の異常分散性が大きくなると、望遠側でg線をオーバーに補正する効果が低下し、ズーム全域で倍率色収差を抑えることが困難になる。
【0092】
なお、条件式(10)については、望ましくは上限値を-0.0050、に規定することで前述の効果をより確実にすることが可能となる。
【0093】
本発明の変倍結像光学系では、望遠側で後続群GRでのオーバー方向へのg線の補正を確実なものとするためには、g線をアンダー方向に補正する効果のある第2レンズ群G2を通過する周辺光束の高さを望遠側で低く抑えることが必要であり、そのためには広角端から望遠端への変倍に際し、第2レンズ群G2は第3レンズ群G3以降のレンズ群に近づく必要がある。従って、広角端から望遠端への変倍に際し、第1レンズ群G1は物体側へ移動し、第2レンズ群G2は像側へ移動し、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間隔は増大し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔は減少することが望ましい。
【0094】
また、本発明の変倍結像光学系では、機械機構の複雑化を防ぐため、後続群GRのうち最も像側のレンズ群はズーミングの際に像面に対して固定されていることが望ましい。
【0095】
次に、本発明の変倍結像光学系に係る実施例のレンズ構成について説明する。なお、以下の説明ではレンズ構成を物体側から像側の順番で記載する。
【0096】
[面データ]において、面番号は物体側から数えたレンズ面または開口絞りSの番号、rは各レンズ面の曲率半径、dは各レンズ面の間隔、ndはd線(波長587.56nm)に対する屈折率、vdはd線に対するアッベ数、ΔPgFはPgF-0.64833+0.00180×vdの式より計算された数値である。また、該当硝材は、[面データ]に記載されている屈折率、アッベ数およびΔPgFに該当するガラスの例として、HOYA社、オハラ社、光ガラス社、ショット社の硝材名を記載した。
【0097】
面番号に付した*(アスタリスク)は、そのレンズ面形状から非球面であることを示している。また、BFはバックフォーカス、物面の距離は被写体からレンズ第1面までの距離を示している。
【0098】
面番号に付した(絞り)は、その位置に開口絞りSが位置していることを示している。平面または開口絞りSに対する曲率半径には∞(無限大)を記入している
【0099】
[非球面データ]には、[面データ]において*を付したレンズ面の非球面形状を与える各係数の値を示している。非球面の形状は、下記の式で表される。以下の式において、光軸に直交する方向への光軸からの変位をy、非球面との光軸の交点から光軸方向への変位(ザク量)をz、基準球面の曲率半径をr、コーニック係数をKで表している。また、4、6、8、10次の非球面係数をそれぞれA4、A6、A8、A10で表している。
【0100】
[各種データ]には、各撮影距離合焦状態における焦点距離などの値を示している。
【0101】
[可変間隔データ]には、各種撮影距離合焦状態における可変間隔およびBFの値を示している。
【0102】
[レンズ群データ]には、各レンズ群を構成する最も物体側の両番号および群全体の合成焦点距離を示している。
【0103】
また、各実施例に対応する収差図において、d、g、Cはそれぞれd線、g線、C線を表しており、ΔS、ΔMはそれぞれサジタル像面、メリジオナル像面を表している。
なお、以下のすべての諸元の値において、記載している焦点距離f、曲率半径r、レンズ面間隔d、その他の長さの単位は特記のない限りミリメートル(mm)を使用するが、光学系では比例拡大と比例縮小においても同様の光学性能が得られるので、これに限られるものではない。
【実施例0104】
図1は実施例1に係る変倍結像光学系の広角端無限遠合焦時のレンズ構成図である。
【0105】
図1の変倍結像光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と正の屈折力を有する第2レンズ群G2と負の屈折力を有する第3レンズ群G3、第4レンズ群G4および第5レンズ群G5からなる中間群GM、無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングを行う第6レンズ群G6からなる合焦群GF、第7レンズ群G7および第8レンズ群G8からなる後続群GRから構成される。
【0106】
物体側から順に、第1レンズ群G1は物体側に凸面を向けた凹メニスカスレンズと両凸レンズの接合レンズと、物体側に凸面を向けた凸メニスカスレンズから構成される。第2レンズ群G2は両凸の非球面レンズと、両凸レンズと両凹レンズの接合レンズから構成される。第3レンズ群G3は両凹レンズと物体側に凸面を向けた凸メニスカスレンズの接合レンズと、両凹レンズと、両凹レンズと両凸レンズの接合レンズから構成される。また第3レンズ群G3のうち物体側から3枚目以降のレンズを一体として光軸に対し垂直方向に移動させることにより防振群として機能させることも可能である。第4レンズ群G4は両凸レンズと、両凸レンズと両凹レンズの接合レンズから構成される。第5レンズ群G5は両凸レンズと、物体側に凸面を向けた凹メニスカスレンズと両凸レンズの接合レンズと、開口絞りSから構成される。第6レンズ群G6は両凸レンズと像側に凸面を向けた凹メニスカスレンズの接合レンズから構成される。第7レンズ群は両凸レンズと両凹レンズの接合レンズと、像側に凸面を向けた凸メニスカスレンズと像側に凸面を向けた凹メニスカスレンズの接合レンズから構成される。第8レンズ群は両凸レンズと両凹レンズの接合レンズと、像側に凸面を向けた凹メニスカスレンズから構成される。
【0107】
広角端から望遠端への変倍に際し、第3レンズ群G3と第8レンズ群G8は像面に対して固定であり、第1レンズ群G1は物体側に移動し、第2レンズ群G2は像側へ移動し、第4レンズ群G4から第7レンズ群G7はそれぞれ物体側へ移動し、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間隔は増大し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の間隔は減少し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4の間隔は減少し、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5の間隔は減少し、第5レンズ群G5と第6レンズ群G6の間隔は増大し、第6レンズ群と第7レンズ群G7の間隔は減少し、第7レンズ群G7と第8レンズ群G8の間隔は増大し、無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングに際して、合焦群GFが光軸に沿って物体側へ移動する。
【0108】
以下に実施例1に係る変倍結像光学系の諸元値を示す。
数値実施例1
単位:mm
[面データ]
面番号 r d nd vd ΔPgF 該当硝材
0 (d0)
1 343.9661 3.0000 1.61340 44.27 -0.0054 S-NBM51
2 137.2493 9.9850 1.49700 81.61 0.0373 FCD1
3 -1712.2584 0.3000
4 134.6653 8.6790 1.43700 95.10 0.0564 FCD100
5 1410.4900 (d5)
6* 187.9907 3.7612 1.68893 31.16 0.0114 MC-FD80
7 -3501.2938 2.2428
8 412.2384 4.1627 1.80518 25.46 0.0131 FD60-W
9 -181.8095 1.7000 1.86966 20.02 0.0310 FDS20-W
10 931.2470 (d10)
11 -237.4484 1.0000 1.90366 31.31 0.0027 TAFD25
12 64.2329 3.0890 1.86966 20.02 0.0310 FDS20-W
13 204.2995 2.5484
14 -1174.3429 1.0000 1.76385 48.49 -0.0022 S-LAH96
15 78.6333 3.2992
16 -56.8802 1.0000 1.75500 52.32 -0.0069 TAC6
17 91.8683 3.2624 1.85451 25.15 0.0071 NBFD25
18 -439.5060 (d18)
19 165.7709 3.5035 1.78590 43.93 -0.0082 NBFD11
20 -121.0663 0.3000
21 46.7514 6.0992 1.43700 95.10 0.0564 FCD100
22 -55.1688 1.0000 1.91082 35.25 -0.0028 TAFD35
23 566.9565 (d23)
24 81.1462 4.1415 1.78472 25.72 0.0137 FD110
25 -104.1647 0.3000
26 903.9552 1.0000 1.90366 31.31 0.0027 TAFD25
27 30.1527 5.0522 1.43700 95.10 0.0564 FCD100
28 -610.4753 2.8659
29(絞り) ∞ (d29)
30 64.8093 4.0804 1.74077 27.76 0.0093 E-FD13
31 -64.4844 0.9500 1.94595 17.98 0.0385 FDS18-W
32 -246.9197 (d32)
33 521.8533 3.4017 1.72825 28.32 0.0084 E-FD10
34 -51.8970 1.0000 1.90525 35.04 -0.0005 S-LAH93
35 49.9051 6.9974
36 -317.8132 5.2818 1.61340 44.27 -0.0054 S-NBM51
37 -23.7969 1.0000 1.43700 95.10 0.0564 FCD100
38 -159.4180 (d38)
39 50.0793 8.1181 1.61340 44.27 -0.0054 S-NBM51
40 -29.5410 1.0000 1.55032 75.50 0.0274 FCD705
41 87.0961 5.9221
42 -46.1522 1.0000 1.95375 32.32 -0.0002 TAFD45
43 -248.8162 38.0000
44 ∞ 2.5000 1.51680 64.20 0.0014 BSC7
45 ∞ (BF)
像面 ∞
[非球面データ]
6面
K 0.00000
A4 -1.09824E-08
A6 -5.65666E-12
A8 0.00000E+00
A10 0.00000E+00
[各種データ]
ズーム比 3.78
広角 中間 望遠
焦点距離 153.00 280.00 577.80
Fナンバー 5.16 5.80 6.49
全画角2ω 15.80 8.64 4.18
像高Y 21.63 21.63 21.63
レンズ全長 280.00 332.70 380.00
[ 可変間隔データ]
広角 中間 望遠
(d0) ∞ ∞ ∞
(d5) 16.2553 75.5702 138.6392
(d10) 25.9420 19.3242 3.5581
(d18) 33.8449 21.0614 2.0000
(d23) 12.2586 4.8450 2.0000
(d29) 15.9873 28.3904 45.6636
(d32) 14.8156 10.9674 3.3000
(d38) 7.3529 18.9950 31.2956
(BF) 1.0000 1.0000 1.0000
[レンズ群データ]
群 始面 焦点距離
G1 1 241.5517
G2 6 220.5009
G3 11 -32.8147
G4 19 89.0604
G5 24 264.2149
G6 30 83.0136
G7 33 -100.2002
G8 39 -156.1441
物体側から順に、第1レンズ群G1は物体側に凸面を向けた凹メニスカスレンズと物体側に凸面を向けた凸メニスカスレンズの接合レンズと、像側に凹面を向けた凸メニスカスレンズから構成される。第2レンズ群G2は両凸レンズと像側に凸面を向けた凹メニスカスレンズの接合レンズから構成される。第3レンズ群G3は両凹レンズと物体側に凸面を向けた凸メニスカスレンズの接合レンズと、両凹レンズと、両凹レンズと両凸レンズの接合レンズから構成される。また第3レンズ群G3のうち物体側から3枚目以降のレンズを一体として光軸に対し垂直方向に移動させることにより防振群として機能させることも可能である。第4レンズ群G4は両凸レンズと、両凸レンズと両凹レンズの接合レンズから構成される。第5レンズG5は両凸レンズと、物体側に凸面を向けた凹メニスカスレンズと両凸レンズの接合レンズと、開口絞りSから構成される。第6レンズ群G6は両凸レンズと像側に凸面を向けた凹メニスカスレンズの接合レンズから構成される。第7レンズ群G7は像側に凸面を向ける凸メニスカスレンズと両凹レンズの接合レンズと、像側に凸面を向けた凸メニスカスレンズと像側に凸面を向けた凹メニスカスレンズの接合レンズから構成される。第8レンズ群G8は両凸レンズと像側に凸面を向けた凸メニスカスレンズの接合レンズと、像側に凸面を向けた凹メニスカス非球面レンズから構成される。
広角端から望遠端への変倍に際し、第3レンズ群G3と第8レンズ群G8は像面に対して固定であり、第1レンズ群G1は物体側に移動し、第2レンズ群G2は像側へ移動し、第4レンズ群G4から第7レンズ群G7はそれぞれ物体側へ移動し、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間隔は増大し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の間隔は減少し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4の間隔は減少し、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5の間隔は減少し、第5レンズ群G5と第6レンズ群G6の間隔は増大し、第6レンズ群と第7レンズ群G7の間隔は減少し、第7レンズ群G7と第8レンズ群G8の間隔は増大し、無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングに際して、合焦群GFが光軸に沿って物体側へ移動する。