(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022114972
(43)【公開日】2022-08-08
(54)【発明の名称】折り畳みテーブル
(51)【国際特許分類】
A47B 3/091 20060101AFI20220801BHJP
A47B 3/00 20060101ALI20220801BHJP
A47B 9/20 20060101ALI20220801BHJP
A47B 13/00 20060101ALI20220801BHJP
【FI】
A47B3/091 B
A47B3/091 F
A47B3/00 A
A47B9/20
A47B13/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021011487
(22)【出願日】2021-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000110479
【氏名又は名称】ナカ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩澤 正則
(72)【発明者】
【氏名】竹澤 雄太
(72)【発明者】
【氏名】小野木 渉
【テーマコード(参考)】
3B053
【Fターム(参考)】
3B053JA00
3B053NK01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】野外の平坦でない地面の上に設置した場合であっても、脚部を十分に固定することができ、ガタつきを軽減することのできる折り畳みテーブルを提供する。
【解決手段】天板10と、前記天板の下面部を支持するとともに折り畳み可能な脚部21と、一方の端部が前記天板の下面部に連結されるとともに他方の端部が前記脚部に連結され、かつ、前記脚部の開閉に伴い伸縮可能かつ任意の長さで固定可能なステー30と、を備えることを特徴とする折り畳みテーブル1。
【選択図】
図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板と、
前記天板の下面部を支持するとともに折り畳み可能な脚部と、
一方の端部が前記天板の下面部に連結されるとともに他方の端部が前記脚部に連結され、かつ、前記脚部の開閉に伴い伸縮可能かつ任意の長さで固定可能なステーと、
を備えることを特徴とする折り畳みテーブル。
【請求項2】
前記ステーは、
内部が中空の棒状に形成され、かつ、一端が前記天板又は脚部の一方に回動可能に連結される外側部材と、
前記外側部材の内部に摺動可能に挿通される棒状に形成され、かつ、一端が前記天板又は脚部の他方に回動可能に連結される内側部材と、
前記外側部材の他端側に設けられ、前記内側部材を任意の位置で固定可能なロック部材と、
を備えることを特徴とする、請求項1に記載の折り畳みテーブル。
【請求項3】
前記脚部は、
内部が中空の棒状に形成され、かつ、一端が前記天板に回動可能に連結される脚部上側部材と、
前記脚部上側部材の内部に摺動可能に挿通される棒状に形成された脚部下側部材と、
前記脚部上側部材の他端側に設けられ、前記脚部下側部材を任意の位置で固定可能な脚部ロック部材と、
を備えることを特徴とする、請求項2に記載の折り畳みテーブル。
【請求項4】
前記脚部ロック部材は、
前記脚部上側部材の前記他端側の外周を覆うように装着される脚部カバー部材と、
前記脚部カバー部材の下方端部側の開口において内方に突設される係止フランジと、
を備え、
前記脚部下側部材の上方端部外側面にはガイド部材が装着され、
前記ガイド部材を含んだ前記脚部下側部材の幅は、前記脚部カバー部材の下方端部側の開口の幅を上回ることを特徴とする、請求項3に記載の折り畳みテーブル。
【請求項5】
前記脚部上側部材の内側面には、長手方向に沿って内方に平行に突出する1対の突条であるとともに、間隔が前記ガイド部材の幅を収容可能な距離である規制レール部が設けられていることを特徴とする、請求項4に記載の折り畳みテーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脚部が折り畳み可能な折り畳みテーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
天板と脚部とを備え、脚部が折り畳み可能なテーブルが、下記特許文献1及び2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-68967号公報
【特許文献2】実用新案登録第3093054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の折り畳みテーブルは、野外の平坦でない地面の上に設置した場合、脚部が十分に固定されないことによるガタつき、特に天板の長手方向に沿った方向のガタつきが問題となっていた。
【0005】
本開示の実施態様は、野外の平坦でない地面の上に設置した場合であっても、脚部を十分に固定することができ、ガタつきを軽減することのできる折り畳みテーブルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施態様の折り畳みテーブルは、天板と、前記天板の下面部を支持するとともに折り畳み可能な脚部と、一方の端部が前記天板の下面部に連結されるとともに他方の端部が前記脚部に連結され、かつ、前記脚部の開閉に伴い伸縮可能かつ任意の長さで固定可能なステーと、を備えることを特徴とする。
【0007】
上記のように構成されることで、脚部を天板に対して開放したとき、地面への脚部の先端の当たり具合に応じて、ステーの長さを任意に微調整することが可能となる。これにより、天板に対して脚部がステーにより突っ張った状態で固定されることで、脚部の天板に対するガタつきを軽減することが可能となる。本開示の折り畳みテーブルの脚部は、ステーの長さを調整して固定することで、折り畳まれた状態と、最大に開放した状態との間の任意の角度で脚部を維持させることが可能となる。そのため、天板を任意の角度で立てかけるように設置することも可能となる。
【0008】
また、上記折り畳みテーブルにおいては、前記ステーは、内部が中空の棒状に形成され、かつ、一端が前記天板又は脚部の一方に回動可能に連結される外側部材と、前記外側部材の内部に摺動可能に挿通される棒状に形成され、かつ、一端が前記天板又は脚部の他方に回動可能に連結される内側部材と、前記外側部材の他端側に設けられ、前記内側部材を任意の位置で固定可能なロック部材と、を備えることが望ましい。
【0009】
上記のように構成されることで、ステーの両端は脚部の開き具合に応じて自在に回動しつつ、外側部材に対し出入り自在な内側部材を任意の位置でロック部材が固定することが可能となる。これにより、折り畳みテーブルの設置面の状況に応じて、脚部の位置をステーにより適切に固定することが可能となり、ガタつきが軽減される。
【0010】
さらに、上記折り畳みテーブルにおいては、前記脚部は、内部が中空の棒状に形成され、かつ、一端が前記天板に回動可能に連結される脚部上側部材と、前記脚部上側部材の内部に摺動可能に挿通される棒状に形成された脚部下側部材と、前記脚部上側部材の他端側に設けられ、前記脚部下側部材を任意の位置で固定可能な脚部ロック部材と、を備えることが望ましい。
【0011】
上記のように構成されることで、折り畳みテーブルの設置面が傾斜しているような場合でも脚部の各々の長さを自在に調整可能となる。
【0012】
また、上記折り畳みテーブルにおいては、前記脚部ロック部材は、前記脚部上側部材の前記他端側の外周を覆うように装着される脚部カバー部材と、前記脚部カバー部材の下方端部側の開口において内方に突設される係止フランジと、を備え、前記脚部下側部材の上方端部外側面にはガイド部材が装着され、前記ガイド部材を含んだ前記脚部下側部材の幅は、前記脚部カバー部材の下方端部側の開口の幅を上回ることが望ましい。
【0013】
上記のように構成されることで、脚部の長さを調整している間に、脚部下側部材が脚部上側部材が固定されていない状態で、脚部下側部材のガイド部材が係止フランジに当接することで、それ以上の脚部下側部材の落下を防止することが可能となる。
【0014】
さらに、上記折り畳みテーブルにおいては、前記脚部上側部材の内側面には、長手方向に沿って内方に平行に突出する1対の突条であるとともに、間隔が前記ガイド部材の幅を収容可能な距離である規制レール部が設けられていることが望ましい。
【0015】
上記のように構成されることで、規制レール部の間をガイド部材が摺動することになり、脚部下側部材を脚部上側部材に対してスムーズに摺動させることができる。また、折り畳みテーブルが地面等に設置されている状態で、脚部上側部材と脚部下側部材との間でのガタつきも軽減される。
【発明の効果】
【0016】
本開示の実施態様は、上記のように構成されているので、野外の平坦でない地面の上に設置した場合であっても、脚部を十分に固定することができ、ガタつきを軽減することのできる折り畳みテーブルが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態の折り畳みテーブルにおいて、脚部を開放して設置面に設置した状態を正面図にて示す。
【
図2】
図1の折り畳みテーブルにおいて、脚部を折り畳んだ状態を正面図にて示す。
【
図3】脚部を開放した状態の折り畳みテーブルを上方斜視図にて示す。
【
図4A】
図3の折り畳みテーブルを下方斜視図にて示す。
【
図6】ロック部材を分解した状態を斜視図にて示す。
【
図7A】非固定状態のステーを、軸心に沿った断面図にて示す。
【
図7B】固定状態のステーを、軸心に沿った断面図にて示す。
【
図8A】脚部を伸長させた状態を部分正面図にて示す。
【
図8B】脚部を収縮させた状態を部分正面図にて示す。
【
図10A】脚部上側部材を、軸心に垂直な断面図にて示す。
【
図10B】脚部下側部材が脚部上側部材に収容されている状態を、軸心に垂直な断面図にて示す。
【
図11】脚部ロック部材を分解した状態を斜視図にて示す。
【
図12A】非固定状態の脚部を、軸心に沿った断面図にて示す。
【
図12B】固定状態の脚部を、軸心に沿った断面図にて示す。
【
図13】脚部上側部材及び脚部下側部材が挿通された状態の脚部ロック部材を上方視にて示す。ただし、脚部上側部材及び脚部下側部材は断面図にて示し、脚部押圧部材及び脚部押圧操作部材は省略している。
【
図14】脚部が折りたたまれた状態の折り畳みテーブルを上方斜視図にて示す。
【
図16A】実施形態の折り畳みテーブルの、別の設置方法を上方斜視図にて示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示の折り畳みテーブル1の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明にて「上側」及び「下側」に言及しているときは、設置状態を基準にして上下方向を定義している。また、各図面において共通して付されている符号については、各図面の説明で言及されていない場合であっても同一の部位又は部材を指し示すものである。さらに、下記で言及する各部材の材質は一例であって、これに限定されるものではない。
【0019】
図1は、本実施形態の折り畳みテーブル1において、脚部20を開放して伸長させた状態で、図中で二点鎖線で示す設置面に設置した使用状態を正面図にて示すものである。脚部20は折り畳み可能で、天板10の下面部を支持している。天板10と脚部20との間には、ステー30が設けられている。ステー30の一方の端部は天板10の下面に連結され、ステー30の他方の端部は脚部20に連結されている。ステー30は脚部の開閉に伴い伸縮可能であるとともに、任意の長さで固定可能となっている。
図1の状態ではステー30は伸長した状態で固定されている。この
図1の状態から、脚部20を短縮させて閉鎖させつつ、ステー30を短縮させると、
図2のように脚部20が折り畳まれた収納状態となる。
【0020】
図3は、脚部20を開放した状態の折り畳みテーブル1を、上方斜視図で示したものである。天板10は略長方形状の天面11の周囲を幅狭の側縁12が取り囲んだ形状を呈している。脚部20は天板10の短辺側の下面にそれぞれ設けられる。脚部20は各々2本の脚21を有する。
【0021】
図4Aは、
図3の折り畳みテーブル1を下方斜視図で示したものである。また、
図4B、
図4C及び
図4Dはそれぞれ、円B、円C及び円Dに示す部分の拡大図である。天板10の裏面には、長辺側の側縁12の内面同士を連結する金属製のフレームが3本設けられ、中心の1本が中心支持フレーム13であり、短辺近傍の2本が辺縁支持フレーム14である。中心支持フレーム13の両端と、一方の辺縁支持フレーム14との間を、平行に2本の広幅脚部連結フレーム15が連結している。また、中心支持フレーム13の両端からそれぞれやや中心よりの位置と、他方の辺縁支持フレーム14との間を、平行に2本の狭幅脚部連結フレーム16が連結している。広幅脚部連結フレーム15及び狭幅脚部連結フレーム16もまた金属製である。
【0022】
2つの脚部20はそれぞれ2本の脚21の間隔が異なる。この2本の脚21の間隔の広い方が広幅脚部20Aであり、狭い方が狭幅脚部20Bである。脚部20の2本の脚21の間は、2本の横桟部材22で連結されている。4本の脚21はそれぞれ、内部が中空の棒状に形成された脚部上側部材24と、この脚部上側部材24の内部に摺動可能に挿通される棒状に形成された脚部下側部材25と、この脚部上側部材24の他端側である下端側に設けられ、脚部下側部材25を任意の位置で固定可能な脚部ロック部材26と、を備える。脚部上側部材24、脚部下側部材25及び横桟部材22はいずれも金属製である。
【0023】
広幅脚部20Aの2本の脚21はそれぞれ、一端である脚部上側部材24の上端部分で、広幅脚部連結フレーム15の辺縁側の端部に金属製のヒンジ部材23を介して天板10に回動可能に連結される(
図4B参照)。狭幅脚部20Bの2本の脚21のそれぞれも同様に、一端である脚部上側部材24の上端部分で、狭幅脚部連結フレーム16の辺縁側の端部にヒンジ部材23を介して天板10に回動可能に連結される。4本の脚21それぞれのヒンジ部材23は、辺縁支持フレーム14に装着される合成樹脂製の脚部カバー部材17で外方から被覆される。また、4本の脚21それぞれの脚部下側部材25の外周には、脚部下側部材25を脚部上側部材24から引き出す長さの目安となる目印テープ28が巻き回される。また、それぞれの脚部下側部材25の下端には合成樹脂製の先端キャップ27が装着される。
【0024】
中心支持フレーム13と各脚部20の上側の横桟部材22とは、ステー30で連結されている。ステー30は、内部が中空の棒状に形成される外側部材31と、この外側部材31の内部に摺動可能に挿通される棒状に形成された内側部材32と、この外側部材31に設けられ、内側部材32を任意の位置で固定可能なロック部材33と、を備える。外側部材31及び内側部材32はいずれも金属製である。
【0025】
外側部材31の一端である下端部分は、脚部20の横桟部材22の中心部分に、金属製の脚部側ヒンジ38を介して回動可能に連結される(
図4C参照)。一方、内側部材32の一端である上端部分は、天板10の中心支持フレーム13の中心部分に、金属製の天板側ヒンジ37を介して回動可能に連結される(
図4D参照)。ロック部材33は、外側部材31の他端である上端部分に設けられる。
【0026】
図5は、ステー30を分解した状態を斜視図にて示す。外側部材31の下端部分には脚部側ヒンジ38が装着され、上端部分の開放端にはロック部材33が装着されている。一方、内側部材32の上端部分には天板側ヒンジ37が装着され、下端部分は、ロック部材33が装着されている外側部材31の開放端に挿入される。
【0027】
図6は、ロック部材33を分解した状態を斜視図にて示す。ロック部材33は、合成樹脂製のカバー部材34と、金属製の押圧操作部材36と、これとは異なる金属製の押圧部材35と、で構成される。カバー部材34は、両端の開口を貫通する貫通部34Cと、外周の一面から突設される1対の支持板34Dと、支持板34Dを幅方向に貫通する軸孔34Eと、支持板34Dと支持板34Dとの間において該一面を貫通する押圧孔34Fとを備える。押圧部材35は、一辺の長さの異なる2つの正四角柱が、中心を同一に積層された形状を呈する。その2つの正四角柱のうち、一辺の長さがより長い方が被圧部35Aで、より短い方が押圧部35Bである。支持板34Dと支持板34Dとの間に設けられる収容部34Hには押圧部材35の被圧部35Aが収容される。収容部34Hと連通する押圧孔34Fには押圧部材35の押圧部35Bが挿通される。押圧操作部材36は、略円柱状の軸支部36Dと、軸支部36Dの側面の一部から延設される操作部36Eとで構成される。軸支部36Dには幅方向の貫通孔である軸孔36Cが設けられる。軸孔36Cの近傍には、別部材である円柱状の滑動ピン36B(押圧操作部材36とは異なる金属製)が埋設される。操作部36Eは厚さが不均一の略板状構造を呈し、中間部分の厚みが最大となっている。その厚みが最大となっている山状の部分において、軸孔36Cの側の側面が抉れた係止溝36Aとなっている。
【0028】
外側部材31と、内側部材32と、ロック部材33とを組み付けた状態を
図7Aの断面図にて示す。
図7Aは、ステー30において外側部材31と内側部材32とが固定されていない状態(非固定状態)を、軸心に沿った断面図にて示している。カバー部材34の、押圧孔34F(
図6参照)の設けられている側(ここでは「下端側」とする。)から、外側部材31の上端が差し込まれる。この外側部材31の上端は、貫通部34C(
図6参照)の上端側で内方に突設される係止フランジ34Gに当接してこれ以上挿入できなくなったところで、ブラインドリベット34Bにて固定される。一方、下端側とは反対側の上端側からは内側部材32の下端が挿入される。また、外側部材31が収容部34Hと対面する側には固定孔31Aが設けられる。そして、収容部34Hに押圧部材35の被圧部35Aが収容され、押圧孔34Fに押圧部材35の押圧部35Bが差し込まれた状態で、押圧操作部材36がカバー部材34に取り付けられる。すなわち、押圧操作部材36の軸孔36Cとカバー部材34の軸孔34Eとを位置合わせしてから、回転軸36Fを挿入して固定する。非固定状態においては、押圧部材35は内側部材32に対して押圧されていないので、内側部材32は外側部材31に対して出没自在となっている。さらに、カバー部材34の下端側の、支持板34Dと支持板34Dとの間において、係止爪34Aが上方へ突設されている。
【0029】
この
図7Aに示す状態から、内側部材32が任意の長さだけ引き出されたところで、押圧操作部材36を図面上で右回転させると、ステー30は
図7Bの断面図に示す固定状態となる。この
図7Bにおいて、円Cに示す部分の拡大図が
図7Cである。この固定状態に至った瞬間、カバー部材34の係止爪34Aが、回動してきた押圧操作部材36の係止溝36Aに嵌入し(
図7C参照)、このときに部材同士の摩擦によりクリック音が生ずることで、ユーザに操作感を生じさせる。この状態で、押圧操作部材36の軸支部36Dにおいて滑動ピン36Bが設けられている部分の近傍が、押圧部材35の被圧部35Aを押圧し、これに伴い押圧部35Bが外側部材31の固定孔31Aを通して内側部材32を押圧することで、内側部材32は外側部材31に対して固定した状態が維持される。滑動ピン36Bは、押圧操作部材36が押圧部材35と接触する際の摺動性を向上させる。
【0030】
図8Aは、脚21を伸長させた状態の部分正面図である。また、
図8Bは、脚21を収縮させた状態の部分正面図である。脚21は、
図8Aに示す最長状態から、
図8Bに示す最短状態までの間を、脚部ロック部材26の非固定状態まで自在に伸縮可能であるとともに、脚部ロック部材26を固定状態にすることでその間の任意の長さで脚部下側部材25を固定することができる。
【0031】
図9は、脚部下側部材25の上端部分を示す斜視図である。脚部下側部材25は、金属製の長尺部材である。その断面は略長方形状を呈し、その上方端部外側面、換言すると長辺側の両側面に、長手方向に沿って断面コの字状の金属製のガイド部材25Aが、ブラインドリベット25A1で固定された状態で装着されている。また、ガイド部材25Aが設けられていない側面の一方には、内方に嵌入した溝であるリベット避け溝25Bが設けられている。
【0032】
脚部上側部材24もまた、金属製の長尺部材である。
図10Aは、その脚部上側部材24の、軸心に垂直な断面を示したものである。脚部上側部材24は断面略長方形状を呈し、その長辺側の内側面の両方には、ガイド部材25Aの幅を収容可能な距離を間隔として、内方に平行に突出する1対の突条である、規制レール部24Aが設けられている。
【0033】
図10Bは、脚部下側部材25が脚部上側部材24に収容されている状態を、軸心に垂直な断面図で示したものである。脚部下側部材25のガイド部材25Aは規制レール部24Aの間に収容されるとともに、規制レール部24Aに沿って上下方向に摺動可能である。また、
図10Bに示すように、脚部下側部材25は脚部上側部材24に対してクリアランスを有しつつも、ガイド部材25Aが規制レール部24Aで規制されることで、脚部下側部材25を脚部上側部材24に対してスムーズに摺動させることができる。なお、ガイド部材25Aは、一方だけに設けられていてもよく、その場合、規制レール部24Aもまた対応する一方だけに設けられていてもよい。
【0034】
図11は、脚部ロック部材26を分解した状態を斜視図にて示す。脚部ロック部材26は、合成樹脂製の脚部カバー部材26Aと、金属製の脚部押圧操作部材26Cと、これとは異なる金属製の脚部押圧部材26Bとで構成される。脚部カバー部材26Aは、両端の開口を貫通する貫通部26A3と、外周の一面から突設される1対の支持板26A4と、支持板26A4を幅方向に貫通する軸孔26A5と、支持板26A4と支持板26A4との間において該一面を貫通する押圧孔26A6とを備える。脚部カバー部材26Aは、脚部上側部材24の下端側の外周を覆うように装着される部材である。脚部押圧部材26Bは、一辺の長さの異なる2つの正四角柱が、中心を同一に積層された形状を呈する。その2つの正四角柱のうち、一辺の長さがより長い方が被圧部26B1で、より短い方が押圧部26B2である。支持板26A4と支持板26A4との間に設けられる収容部26A8には脚部押圧部材26Bの被圧部26B1が収容される。収容部26A8と連通する押圧孔26A6には脚部押圧部材26Bの押圧部26B2が挿通される。脚部押圧操作部材26Cは、略円柱状の軸支部26C4と、軸支部26C4の側面の一部から延設される操作部26C5とで構成される。軸支部26C4には幅方向の貫通孔である軸孔26C3が設けられる。26C3の近傍には、別部材である円柱状の滑動ピン26C2(脚部押圧操作部材26Cとは異なる金属製)が埋設される。操作部26C5は厚さが不均一の略板状構造を呈し、中間部分の厚みが最大となっている。その厚みが最大となっている山状の部分において、軸孔26C3の側の側面が抉れた係止溝26C1となっている。
【0035】
脚部上側部材24と、脚部下側部材25と、脚部ロック部材26とを組み付けた状態を
図12Aの断面図にて示す。
図12Aは、脚部20において脚部上側部材24と脚部下側部材25とが固定されていない状態(非固定状態)を、軸心に沿った断面図にて示している。脚部カバー部材26Aの、押圧孔26A6(
図11参照)の設けられている側(ここでは「上端側」とする。)から、脚部下側部材25を収容した脚部上側部材24の下端が差し込まれる。この脚部上側部材24の下端は、貫通部26A3(
図11参照)の下方端部側で内方に突設される係止フランジ26A7に当接してこれ以上挿入できなくなったところで、脚部上側部材24のみが脚部カバー部材26Aとブラインドリベット26A2にて固定される。このとき、ブラインドリベット26A2はリベット避け溝25B(
図9参照)に入るため、ブラインドリベット26A2は脚部下側部材25とは干渉しない。また、脚部上側部材24が収容部26A8と対面する側には固定孔24Bが設けられる。そして、収容部26A8に脚部押圧部材26Bの被圧部26B1が収容され、押圧孔26A6に脚部押圧部材26Bの押圧部26B2が差し込まれた状態で、脚部押圧操作部材26Cが脚部カバー部材26Aに取り付けられる。すなわち、脚部押圧操作部材26Cの軸孔26C3と脚部カバー部材26Aの軸孔26A5とを位置合わせしてから、回転軸26C6を挿入して固定する。非固定状態においては、脚部押圧部材26Bは脚部下側部材25に対して押圧されていないので、脚部下側部材25は脚部上側部材24に対して出没自在となっている。さらに、脚部カバー部材26Aの下端側の、支持板26A4と支持板26A4との間において、係止爪26A1が下方へ突設されている。
【0036】
この
図12Aに示す状態から、脚部下側部材25が任意の長さだけ引き出されたところで、脚部押圧操作部材26Cを図面上で右回転させると、脚21は
図12Bの断面図に示す固定状態となる。この固定状態に至った瞬間、脚部カバー部材26Aの係止爪26A1が、回動してきた脚部押圧操作部材26Cの係止溝26C1(
図12A参照)に嵌入し、このときに部材同士の摩擦によりクリック音が生ずることで、ユーザに操作感を生じさせる。この状態で、脚部押圧操作部材26Cの軸支部26C4において滑動ピン26C2が設けられている部分の近傍が、脚部押圧部材26Bの被圧部26B1を押圧し、これに伴い押圧部26B2が脚部上側部材24の固定孔24Bを通して脚部下側部材25を押圧することで、脚部下側部材25は脚部上側部材24に対して固定した状態が維持される。滑動ピン26C2は、脚部押圧操作部材26Cが脚部押圧部材26Bと接触する際の摺動性を向上させる。
【0037】
図13は、脚部上側部材24及び脚部下側部材25が挿通された状態の脚部ロック部材26を上方視にて示している。ただし、脚部上側部材24及び脚部下側部材25は断面図にて示している。また、脚部押圧部材26B及び脚部押圧操作部材26Cは省略している。脚部カバー部材26Aの貫通部26A3(
図11参照)の下端側には、先述の通り内方に突設される係止フランジ26A7が形成されている。この係止フランジ26A7のガイド部材25Aに対応する部分は、さらに内方に突出することで、このガイド部材25Aがその突出した部分に当接することとなっている。換言すると、ガイド部材25Aを含んだ脚部下側部材25の幅W1は、脚部カバー部材26Aの下方端部側の開口の幅、すなわち、係止フランジ26A7の辺縁間の幅W2を上回っている。これにより、非固定状態においても、ガイド部材25Aの下端が係止フランジ26A7に当接することで、脚部下側部材25が脚部ロック部材26から脱落するのを防止している。なお、ガイド部材25Aが一方だけに設けられているときには、係止フランジ26A7のガイド部材25Aに対応する部分もまた対応する一方だけに設けられていてもよい。
【0038】
図14は、脚部20が折り畳まれた状態の折り畳みテーブル1を上方斜視図にて示す。この図では、天板10の表面に当たる天面11が視認される。また、長辺側の側縁12の中央には、持ち運び用の把手18が設けられている。
【0039】
図15Aは、脚部20が折り畳まれた状態の折り畳みテーブル1を下方斜視図にて示す。この図では、天板10の裏面が視認される。この状態では、2本のステー30がいずれも最も縮小した状態となっている。また、1対の脚部20のそれぞれについても、いずれの脚部20も脚部下側部材25が脚部上側部材24に収納された状態で、天板10の裏側へ接する位置へ折り畳まれている。この状態において、狭幅脚部20Bが広幅脚部20Aの間に収まっている。
【0040】
ここで、脚部20が折り畳まれた状態では、天板10の天面11から脚部カバー部材17の下端までの距離は、天面11から脚部20の側面までの距離を上回っている。したがって、脚部20が折り畳まれた状態の折り畳みテーブル1を天板10を上にして床面に載置すると、
図2に示すように、図中で二点鎖線で示す設置面に脚部カバー部材17が接触するため、脚部20の設置面との接触が避けられ、脚部20の損傷の可能性を低減させることができる。
【0041】
さらに、円Bに示す部分を拡大した
図15Bに示すように、脚部上側部材24の上端に設置されているヒンジ部材23は、脚部20が折り畳まれた状態で、内方に10°傾斜した状態に形成されている。このため、脚部20を開いた状態では、脚部20は鉛直線に対し外方に10°傾斜した状態で設置面へ立設されることになる(
図1参照)。
【0042】
本実施形態の折り畳みテーブル1を設置する際には、まず、
図15Aに示す裏返しの状態から、まず両方のステー30のロック部材33を非固定状態(
図7A参照)にしてから、1対の脚部20をそれぞれ外方へ、ヒンジ部材23を辺縁支持フレーム14に当接するまで回動させる。そして、4本の脚21それぞれの脚部ロック部材26を非固定状態(
図12A参照)にした上で、脚部下側部材25を伸長させて、所望の長さで脚部ロック部材26を固定状態(
図12B参照)にする。この状態でひっくり返して脚部20を下向きにさせ、
図1に示すように脚部20の先端を設置面へ接触させる。
【0043】
この状態で、設置面の状況に応じて、脚部20の開き具合を微調整でき、伸長させたステー30が突っ張り棒となるまで伸長状態を調節し、そこでロック部材33を固定状態(
図12B参照)とすることで、脚部20の開き具合を維持させることができる。これにより、脚部20のガタつきを低減させることができる。また、用途又はユーザの体格に応じて脚部20の長さを調節できるのみならず、傾斜面に設置するような場合には4本の脚21のそれぞれの長さを調節して天板10が水平になるように設置することも可能となる。
【0044】
本実施形態の折り畳みテーブル1の脚部20は、ステー30の長さを調整して固定することで、
図2に示す折り畳み状態と、
図1に示す最大開放状態との間の任意の角度で脚部20を維持させることが可能となる。また、各脚21の長さも自在に調整できるため、たとえば、
図16Aに示すような、天板10を任意の角度で立てかけるように設置することも可能である。このような設置方法により、折り畳みテーブル1の天板10を立て看板として使用することも可能である。このとき、
図16Aの円Bに示す部分を拡大した
図16Bに示すように、上側に位置する脚部20のヒンジ部材23は、折り畳み状態からやや開いた角度で維持されている。一方、
図16Aの円Cに示す部分を拡大した
図16Cに示すように、下側に位置する脚部20のヒンジ部材23は、立設状態からやや閉じた角度で維持されている。これら
図16B及び
図16Cに示すような、ヒンジ部材23の不安定な角度を、ステー30の長さを調整して固定することで維持させることが可能となっている。
【0045】
本実施形態の折り畳みテーブル1は、上記したように、ステー30の長さを調整して固定することで、設置面の状況に応じて適切な脚部20の開き具合で設置することが可能となっている。特に、野外等で平坦でない地面の上に設置するのに適しているため、たとえば、工事現場や、災害救助現場において、図面や地図等の資料を拡げる指揮台として利用するのに適している。
【符号の説明】
【0046】
1 折り畳みテーブル 10 天板 11 天面 12 側縁 13 中心支持フレーム 14 辺縁支持フレーム 15 広幅脚部連結フレーム 16 狭幅脚部連結フレーム 17 脚部カバー部材 18 把手 20 脚部 20A 広幅脚部 20B 狭幅脚部 21 脚 22 横桟部材 23 ヒンジ部材 24 脚部上側部材 24A 規制レール部 24B 固定孔 25 脚部下側部材 25A ガイド部材 25A1 ブラインドリベット 25B リベット避け溝 26 脚部ロック部材 26A 脚部カバー部材 26A1 係止爪 26A2 ブラインドリベット 26A3 貫通部 26A4 支持板 26A5 軸孔 26A6 押圧孔 26A7 係止フランジ 26A8 収容部26B 脚部押圧部材 26B1 被圧部 26B2 押圧部 26C 脚部押圧操作部材 26C1 係止溝 26C2 滑動ピン 26C3 軸孔 26C4 軸支部 26C5 操作部 26C6 回転軸 27 先端キャップ 28 目印テープ 30 ステー 31 外側部材 31A 固定孔 32 内側部材 33 ロック部材 34 カバー部材 34A 係止爪 34B ブラインドリベット 34C 貫通部 34D 支持板 34E 軸孔 34F 押圧孔 34G 係止フランジ 34H 収容部 35 押圧部材 35A 被圧部 35B 押圧部 36 押圧操作部材 36A 係止溝 36B 滑動ピン 36C 軸孔 36D 軸支部 36E 操作部 36F 回転軸 37 天板側ヒンジ 38 脚部側ヒンジ