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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022115042
(43)【公開日】2022-08-08
(54)【発明の名称】受水槽装置
(51)【国際特許分類】
   G01F 23/18 20060101AFI20220801BHJP
【FI】
G01F23/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021106823
(22)【出願日】2021-06-28
(31)【優先権主張番号】P 2021011037
(32)【優先日】2021-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】坂谷 哲則
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 章太
(72)【発明者】
【氏名】坂野 聖治
【テーマコード(参考)】
2F014
【Fターム(参考)】
2F014AB01
2F014AB02
2F014BA03
2F014GA01
(57)【要約】
【課題】 水位検出器等の一例を開示する。
【解決手段】 水位検出器20は、受水槽11内に配置される管状の水位検出管21であって、一端側が閉塞され、他端側に受水槽11内に連通可能な連通口21Aが設けられた水位検出管21と、水位検出管21内に存在する気体の圧力を検出する圧力センサ22とを有する。連通口21A内で開口しているので、渇水水位以上の状態においては、水位検出管21内の水位は受水槽11内の水位に連動して変位する。このため、渇水水位以上の状態においては、水位検出管21内の気体の体積が受水槽11内の水位に連動して増減するので、水位検出管21内に存在する気体の圧力は、受水槽11内の水位に連動して増減する。そこで、水位検出器20では、水位検出管21内に存在する気体の圧力を圧力センサ22により検出している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を貯留するための受水槽と、
前記受水槽内の水位を検出するための水位検出器とを備え、
前記水位検出器は、
前記受水槽内に配置される管状の水位検出管であって、上端側が閉塞され、下端側に前記受水槽内に連通する連通口が設けられた水位検出管、及び
前記水位検出管内に存在する気体の圧力を検出する圧力センサ
を有することを受水槽装置。
【請求項2】
前記受水槽内の水を排出することにより、当該受水槽内の水位を予め決められた水位以下とするためのオーバフロー管を備え、
前記オーバフロー水位より低い水位であって、予め決められた水位を満水水位としたとき、前記圧力センサは、前記受水槽内の水位が前記満水水位以上となったときに、予め決められた電圧(以下、基準電圧という。)を出力するように構成されており、
前記基準電圧は、当該圧力センサが出力可能な最大電圧の90%以上の電圧である請求項1に記載の受水槽装置。
【請求項3】
前記受水槽内には、給水用のポンプの吸込み側に連通する流出口が設けられており、
前記連通口の位置は、前記流出口より高い位置にある請求項1又は2に記載の受水槽装置。
【請求項4】
前記受水槽内の水を排出することにより、当該受水槽内の水位を予め決められた水位以下とするためのオーバフロー管と、
前記受水槽内の水位を検出するための第2の水位検出器とを備え、
前記第2の水位検出器は、
前記受水槽内に配置される第2の水位検出管であって、上端側が閉塞され、下端側に前記受水槽内に連通する第2の連通口が設けられた第2の水位検出管、及び
前記第2の水位検出管内に存在する気体の圧力を検出する第2の圧力センサを有し、
前記オーバフロー水位より低い水位であって、予め決められた水位を満水水位としたとき、前記第2の連通口の位置は、前記満水水位の高さに一致している請求項1に記載の受水槽装置。
【請求項5】
前記水位検出管又は前記第2の水位検出管は、塩化ビニル製である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の受水槽装置。
【請求項6】
受水槽内の水位を検出するための水位検出器において、
前記受水槽内に配置される管状の水位検出管であって、一端側が閉塞され、他端側に前記受水槽内に連通可能な連通口が設けられた水位検出管と、
前記水位検出管内に存在する気体の圧力を検出する圧力センサと
を有することを水位検出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給水装置、汚水槽及び薬液槽等の受水槽を備える受水槽装置に関する。
【背景技術】
【0002】
受水槽装置は水位検出器を備える。水位検出器は、受水槽内の水位を検出するための装置である。例えば、特許文献1に記載の水位検出器は、受水槽内に配置された複数の電極棒を備え、電極間の通電状態に基づいて水位を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-018188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、特許文献1と異なる技術的思想に基づく水位検出器等の一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
受水槽装置は、例えば、水を貯留するための受水槽(11)と、受水槽(11)内の水位を検出するための水位検出器(20)とを備え、水位検出器(20)は、受水槽(11)内に配置される管状の水位検出管(21)であって、上端側が閉塞され、下端側に受水槽(11)内に連通する連通口(21A)が設けられた水位検出管(21)、及び水位検出管(21)内に存在する気体の圧力を検出する圧力センサ(22)を備えることが望ましい。
【0006】
当該受水槽装置では、水位検出管(21)内の水位が受水槽(11)内の水位に連動して変位するので、当該水位検出管(21)内の気体の体積が受水槽(11)内の水位に連動して増減する。つまり、水位検出管(21)内に存在する気体の圧力は、受水槽(11)内の水位に連動して増減する。したがって、水位検出管(21)内に存在する気体の圧力を圧力センサ(22)により検出すれば、水位を検出することが可能となる。
【0007】
なお、当該「検出された水位」とは、圧力センサ(22)の検出圧力をそのまま利用した値、及び検出圧力を水位に換算した値のうちいずれでもよい。つまり、検出圧力と水位とは、1対1の写像である。
【0008】
このため、圧力が決まれば、水位が一義的に決まり、かつ、水位が決まれば、圧力が一義的に決まるからである。換言すれば、検出圧力は、水位を一義的に決定可能なパラメータとなる。
【0009】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る受水槽装置を示す図である。
図2】第2実施形態に係る受水槽装置を示す図である。
図3】水位換算方法の説明図である。
図4】第3実施形態に係る受水槽装置を示す図である。
図5】第4実施形態に係る受水槽装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されない。
【0012】
少なくとも符号が付されて説明された機器や部材等の構成要素は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該構成要素は2以上設けられていてもよい。本開示に示された給水装置は、少なくとも符号が付されて説明された構成要素等を備える。
【0013】
(第1実施形態)
<1.給水装置の概要>
本実施形態は、例えば、マンションや商業ビル等の建物に適用される給水装置に本開示に係る受水槽装置及び水位検出器の一例が適用されたものである。図1に示されるように、当該給水装置1は、電動ポンプ3、蓄圧装置5、制御部7及び受水槽装置10等を少なくとも備える。
【0014】
<1.1 電動ポンプ等>
電動ポンプ3は、ポンプ部3A及びモータ部3Bを有する電動式のポンプである。電動ポンプ3の吐出し側は、建物の配水管側に接続されている。そして、電動ポンプ3は、受水槽11に貯留された水を配水管に供給する。
【0015】
電動ポンプ3の作動は、制御部7により制御される。制御部7は、駆動部3Cを介して電動ポンプ3の停止及び稼働を制御する。なお、本実施形態に係る駆動部3Cは、インバータ方式の駆動回路にて構成されている。
【0016】
駆動部3Cは、制御部7から出力される指令周波数に応じた周波数(以下、駆動周波数という。)を有する駆動電流をモータ部3Bに供給する。これにより、モータ部3Bの回転数、つまりポンプ部3Aが制御部7により可変制御される。
【0017】
蓄圧装置5は、電動ポンプ3の吐出し側に接続されて当該電動ポンプ3が停止しているときに給水圧を保持する。蓄圧装置5は、不活性ガスが充填されたガス室5Aの内圧により、電動ポンプ3が停止しているときの給水圧を保持する。
【0018】
制御部7には、流量センサFs及び圧力センサPsそれぞれの検出値が入力されている。流量センサFsは、電動ポンプ3の吐出し流量を検出する。圧力センサPsは、電動ポンプ3の吐出し側の圧力(以下、給水圧という。)を検出する。
【0019】
<1.2 制御部>
制御部7は、電動ポンプ3等の給水装置1を構成する電動機器等を制御する。本実施形態に係る制御部7は、CPU、ROM及びRAM等を有するマイクロコンピュータで構成されている。なお、電動機器等を制御するためのソフトウェアは、ROM等の不揮発性記憶部(図示せず。)に予め記憶されている。
【0020】
すなわち、制御部7は、流量センサFsを利用して小水量停止制御を実行する。小水量停止制御は、吐出し流量が予め決められた流量以下となったときに電動ポンプ3を停止させる制御である。
【0021】
制御部7は、圧力センサPsを利用して起動制御及び目標圧力制御を実行する。起動制御は、電動ポンプ3が停止している状態において、給水圧が予め決められた値以下となったときに電動ポンプ3を起動させる制御である。
【0022】
目標圧力制御は、給水圧が目標とする圧力(以下、目標圧力という。)となるように電動ポンプ3の駆動周波数を調整する制御である。なお、目標圧力は、例えば、予め決められた値、又は吐出し流量等の関数として決定される値である。
【0023】
<2.受水槽装置>
受水槽装置10は、受水槽11、給水弁13、オーバフロー管15及び水位検出器20等を少なくとも備える。受水槽11は、給水用の水を貯留するためのタンクである。当該受水槽11内の下方には、流出口11Aが設けられている。流出口11Aは、電動ポンプ3の吸込み側に連通する。
【0024】
なお、本実施形態に係る流出口11Aは、受水槽11の底面11Bより上方に設けられている。以下、流出口11Aより予め決められた寸法だけ高い位置を渇水水位という。当該流出口11Aには、ストレーナ(図示せず。)のフィルタが設けられている。
【0025】
給水弁13は、受水槽11内に貯留される水量、つまり水の水位を一定の範囲内に維持する機能を有する給水用の弁である。本実施形態に係る給水弁13は、いわゆるボールタップ等のフロート(浮き)13Aを利用した機械式の開閉弁である。
【0026】
つまり、当該給水弁13では、フロート13Aの位置が予め決められた位置より低下すると、弁が開いて給水が開始され、かつ、フロート13Aの位置が当該位置に復帰すると、弁が閉じて給水が停止する。
【0027】
オーバフロー管15は、受水槽11内の水を排出することにより、当該受水槽11内の水位を予め決められた水位(以下、オーバフロー水位という。)以下とするためのものである。つまり、オーバフロー管15の流入口15Aは、オーバフロー水位に位置している。
【0028】
<2.1 水位検出器>
水位検出器20は、受水槽11内の水位を検出する。当該水位検出器20は、水位検出管21及び圧力センサ22等を少なくとも有する。水位検出管21は、受水槽11内に配置された中空管である。
【0029】
当該水位検出管21は、上端側が閉塞され、かつ、下端側に受水槽11内に連通する連通口21Aを有する。そして、水位検出管21が受水槽11に取り付けられた状態では、連通口21Aの位置は渇水水位と一致する。
【0030】
本実施形態に係る連通口21Aは、水位検出管21の下端にて下方に向けて開口している。このため、本実施形態に係る水位検出管21の下端位置は、渇水水位と一致する。なお、水位検出管21は、切断加工性に優れた塩化ビニル製の管にて構成されている。
【0031】
圧力センサ22は、水位検出管21内に存在する気体の圧力を検出するとともに、検出圧力に応じた信号(以下、検出信号という。)を出力する。本実施形態に係る圧力センサ22は、検出圧力に応じて増減する電圧を検出信号として出力する。
【0032】
<2.2 水位検出器の原理>
連通口21Aは、受水槽11内で開口しているので、渇水水位以上の状態においては、水位検出管21内の水位は受水槽11内の水位に連動して変位する。このため、渇水水位以上の状態においては、水位検出管21内が密閉空間となるとともに、当該水位検出管21内の気体の体積が受水槽11内の水位に連動して増減する。
【0033】
つまり、渇水水位以上の状態においては、水位検出管21内に存在する気体の圧力は、受水槽11内の水位に連動して増減する。そこで、本実施形態に係る水位検出器20では、水位検出管21内に存在する気体の圧力を圧力センサ22により検出している。
【0034】
因みに、受水槽11内の水位が渇水水位より低くなると、水位検出管21は連通口21Aを介して大気側と連通し、圧力センサ22の検出圧力が大気圧となる。つまり、水位が渇水水位より低くなると、検出圧力が一定出力となるので、水位検出器20は水位を検出することができない。
【0035】
圧力センサ22の検出信号は、制御部7に入力されている。制御部7は、満水水位に相当する検出信号、減水水位に相当する検出信号、及び渇水水位に相当する検出信号のいずれかを受信したときに、その旨の警報を発信する。
【0036】
満水水位とは、オーバフロー水位より低い水位であって、予め決められた水位をいう。減水水位は、渇水水位より予め決められた寸法だけ高い位置である。したがって、オーバフロー水位、満水水位、減水水位、渇水水位の順に水位が低くなる。
【0037】
因みに、給水弁13が正常作動している状態では、受水槽11内の水位は、満水水位より低く、かつ、減水水位より高い水位に維持される。つまり、上記警報が発信された場合には、給水弁13が正常作動していない可能性が高い。
【0038】
圧力センサ22の検出信号、つまり圧力センサ22の出力電圧は、満水水位に相当する電圧から渇水水位に相当する電圧との間(本実施形態では、0V~+5V)で変化する。通常、圧力センサ22の出力電圧は、検出圧力が高くなるほど高くなる。
【0039】
そこで、本実施形態では、受水槽11内の水位が満水水位となったときに、予め決められた電圧(以下、基準電圧Vfという。)を出力するように構成されている。当該基準電圧Vfは、圧力センサ22が出力可能な最大電圧(本実施形態では、+5V)の90%以上の電圧(本実施形態では、4.5V)である。
【0040】
因みに、本実施形態に係る圧力センサ22は、大気圧を基準とする気圧(ゲージ圧)を検出する。このため、受水槽11内の水位が渇水水位より低くなると、圧力センサ22の出力電圧は大気圧を示す電圧となる。
【0041】
そして、本実施形態では、圧力センサ22が大気圧を検出したとき、つまり受水槽11内の水位が連通口21Aより低くなった場合には、0Vより大きな電圧(例えば、0.5V)が出力されるように構成されている。
【0042】
<3.水位換算方法について>
本実施形態において、水位検出器20にて「検出された水位」とは、圧力センサ22の検出圧力をそのまま利用した値、及び検出圧力を水位に換算した値のうちいずれでもよい。
【0043】
すなわち、検出圧力と水位とは、1対1の写像関係である。このため、圧力が決まれば、水位が一義的に決まり、かつ、水位が決まれば、圧力が一義的に決まる。つまり、検出圧力は、水位を一義的に決定可能なパラメータとなる。以下は、検出圧力を水位に換算するための換算方法の具体例である。
【0044】
<3.1 第1換算方法>
渇水水位以上の状態においては、水位検出管21内が密閉空間となるため、水位検出管21内の温度変化が十分に小さい場合には、当該密閉空間についてボイルの法則(下記の式1)が成立する。
【0045】
{(H-h)+Po}×V1=C・・・・式1
但し、V1:水位検出管21に発生する密閉空間の体積(図3参照)
h:水位検出管21の下端から水位検出管21内の水面まで距離(図3参照)
H:水位検出管21の下端から受水槽11内の水面まで距離(図3参照)
C:定数、Po:大気圧(単位は、水柱センチメートル)
水位検出管21の断面積は任意であるので、当該断面積を1とし、水位検出管21の長さをLとすると、式1は式2となる。
【0046】
{(H-h)+Po}×(L-h)=C・・・式2
H=h=0のときの密閉空間内の圧力は大気圧となるので、式2は式3となる。
【0047】
{(H-h)+Po}×(L-h)=Po・L・・・式3
圧力センサ22の検出圧Pはゲージ圧であるので、U字マノメータと同様に、式4が成立する。
【0048】
(H-h)=P・・・式4
そして、式3及び式4から明らかなように、Hは検出圧Pの関数値、つまりH=f1(P)となる。したがって、水位検出管21の下端から受水槽11の底面11Bまでの距離をHoとしたとき、図3に示されるように、水位WLは「Ho+f1(P)」となる。
【0049】
<3.2 第2換算方法>
第2換算方法では、WL=Ho+f2(P)を用いて水位WLが算出される。関数「f2(P)」は、0<H<Lとなる範囲について、f1(P)が線形近似された関数である。なお、上記の線形近似された関数は、受水槽装置の開発時に決められた関数である。
【0050】
<4.本実施形態に係る受水槽装置の特徴>
本実施形態に係る水位検出器20は、水位検出管21内に存在する気体の圧力を圧力センサ22により検出して水位を検出する。これにより、電極間の通電状態に基づいて水位を検出する従来の水位検出器が有する固有的技術的課題が発生しない。
【0051】
なお、上記の固有的技術的課題とは、例えば、(1)電極の腐食を抑制するために、交流電圧を電極間に印加する必要があるため、水位検出器専用の変圧器を必要とする点、及び(2)複数の電極にそれぞれには2本のリード線が接続されているため、それらリード線の接続作業が繁雑である点などである。
【0052】
ところで、圧力センサ22の能力によっては、微少な圧力の変化を検出することが難しい場合がある。このため、本実施形態では、少なくとも満水水位を確実かつ正確に検出可能とすべく、水位が満水水位となったときに、基準電圧Vfを出力するように構成されている。
【0053】
そして、当該基準電圧Vfは、当該圧力センサ22が出力可能な最大電圧の90%以上の電圧となっている。つまり、本実施形態に係る水位検出器20では、満水水位に相当する出力電圧を基準として、水位検出器20が調整されている。
【0054】
具体的には、圧力センサ22は、満水水に相当する気圧が当該圧力センサ22に作用したときに、当該圧力センサ22が4.5Vの電圧を出力するように調整されている。そして、制御部7は、満水水位より低い水位(渇水水位を除く。)については、圧力センサ22の出力特性を利用して演算にて推定している。
【0055】
ところで、仮に、圧力センサ22が大気圧を検出したときに0Vを出力する構成であると、制御部7は、圧力センサ22に異常が生じて出力電圧が0Vとなった場合と圧力センサ22が大気圧を検出した場合を識別することができない。
【0056】
そこで、本実施形態に係る圧力センサ22は、圧力センサ22が大気圧を検出したとき、つまり受水槽11内の水位が連通口21Aより低くなった場合には、0Vより大きな電圧が出力されるように調整されている。
【0057】
これにより、制御部7は、圧力センサ22に異常が生じて出力電圧が0Vとなった場合と圧力センサ22が大気圧を検出した場合を識別することができる。したがって、制御部7は、圧力センサ22の出力電圧が0Vの場合には、圧力センサ22に異常が発生したと判断する。
【0058】
(第2実施形態)
本実施形態に係る受水槽装置は、図2に示されるように、第2の水位検出器30(以下、第2水位検出器30と記す。)を有する。そして、当該第2水位検出器30は、水位が満水水位に到達したか否かを判断する。
【0059】
すなわち、第2水位検出器30は、水位検出器20と同様に、第2水位検出管31及び第2圧力センサ32等を有する。第2水位検出管31も上端側が閉塞され、下端側に第2連通口31Aが設けられている。そして、第2連通口31Aの位置は、満水水位の高さに一致している。
【0060】
第2圧力センサ32は、第2水位検出管31内に存在する気体の圧力を検出する。なお、本実施形態では、第2圧力センサ32は、大気圧を検出したとき、つまり受水槽11内の水位が第2連通口31Aより低くなった場合には、0Vより大きな電圧が出力されるように調整されている。
【0061】
因みに、本実施形態では、満水水位に相当する気圧が圧力センサ22に作用したときに、当該圧力センサ22が基準電圧Vfを出力するように調整されていなくてもよい。その理由は、第2水位検出器30により満水水位が検出されるからである。
【0062】
つまり、渇水水位を検出したときに予め決められた電圧が出力されるように調整された圧力センサを用いて、渇水水より高い水位を検出する場合には、制御部7は、圧力センサの出力特性を利用して水位を推定する。しかし、圧力センサの精度(分解能力)が低い場合には、満水水位を正確に検出することができないおそれがある。
【0063】
しかし、本実施形態では、第2水位検出器30を備え、かつ、当該第2水位検出器30の第2連通口31Aの位置は、満水水位の高さに一致しているので、第2水位検出器30にて満水水位を正確に検出することが可能となる。
【0064】
つまり、本実施形態では、第2水位検出器30が大気圧を越えたか否かにより、水位が満水水位を越えたか否かを判断するので、圧力センサの出力特性から演算(推定)する構成に比べて満水水位を正確に検出することが可能となる。
【0065】
なお、以下の説明においては、上述の実施形態と同一の構成要件等は、上述の実施形態と同一の符号が付されている。このため、本実施形態では、重複する説明は省略されている。
【0066】
(第3実施形態)
本実施形態は、図4に示される汚水槽41を受水槽とする受水槽装置40に適用した例である。図4では、上述の実施形態と同一の構成要件等は、上述の実施形態と同一の符号が付されている。なお、上述の実施形態と重複する説明は省略する。
【0067】
以下の説明は、上述の実施形態に係る受水槽装置及び水位検出器との相違点に関する説明である。
【0068】
受水槽装置40は、複数の電動ポンプ3を有し、かつ、それらの電動ポンプ3は汚水槽41内に浸漬され、かつ、給水弁13及びオーバフロー管15を備えていない。なお、図4では、制御部7等が省略されている。
【0069】
そして、圧力センサ22は、汚水槽41より上方に設置されている。このため、受水槽装置40は、水位を連続的に検出しながら、水位検出管21内の汚水と圧力センサ22とが接触してしまうことが抑制され得る。
【0070】
(第4実施形態)
本実施形態は、図5に示される薬液槽51を受水槽とする受水槽装置50に適用した例である。図5では、上述の実施形態と同一の構成要件等は、上述の実施形態と同一の符号が付されている。なお、上述の実施形態と重複する説明は省略する。
【0071】
以下の説明は、上述の実施形態に係る受水槽装置及び水位検出器との相違点に関する説明である。
【0072】
受水槽装置50は、給水弁13及びオーバフロー管15を備えていない。なお、図5は、電動ポンプ3及び制御部7等が省略されている。
【0073】
そして、圧力センサ22は、薬液槽51より上方に設置されている。このため、受水槽装置50は、薬液の水位を連続的に検出しながら、水位検出管21内の薬液と圧力センサ22とが接触してしまうことが抑制され得る。
【0074】
(その他の実施形態)
上述の実施形態に係る水位検出管は塩化ビニル製であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、ステンレス等の耐食性に優れた金属管に構成された水位検出管、又は受水槽11の側壁とコの字又はC字状の部材とにより構成された水位検出管等であってもよい。
【0075】
上述の実施形態に係る連通口は、水位検出管21の下端にて下方に向けて開口していた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、下端が閉塞され、水位検出管の側面に連通口が設けられた構成であってもよい。
【0076】
上述の実施形態に係る連通口21Aは、渇水水位の高さと一致していた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、連通口21Aの位置が渇水水より低い位置であってもよい。
【0077】
上述の第1実施形態に係る水位検出器20では、水位が満水水位となったときに、基準電圧Vfを出力するように構成されていた。つまり、第1実施形態に係る水位検出器20では、満水水位に相当する出力電圧を基準として、水位検出器20が調整されていた。
【0078】
しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、渇水水位となったときに、予め決められた電圧(例えば、0.5V)を出力し、渇水水位より高い水位については、圧力センサ22の出力特性から演算(推定)する構成であってよい。
【0079】
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された開示の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0080】
1… 給水装置 3…電動ポンプ 5… 蓄圧装置 7… 制御部
10… 受水槽装置 11…受水槽 11A… 流出口 13… 給水弁
15… オーバフロー管 15A…流入口 20… 水位検出器
21… 水位検出管 21A…連通口 22… 圧力センサ
図1
図2
図3
図4
図5