(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022115066
(43)【公開日】2022-08-08
(54)【発明の名称】寝具及び挿入部材
(51)【国際特許分類】
A47G 9/10 20060101AFI20220801BHJP
A47G 9/02 20060101ALI20220801BHJP
B68G 7/06 20060101ALI20220801BHJP
A47C 27/00 20060101ALI20220801BHJP
A47C 27/12 20060101ALI20220801BHJP
【FI】
A47G9/10 B
A47G9/02 E
B68G7/06 Z
A47C27/00 Q
A47C27/12 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021206334
(22)【出願日】2021-12-20
(31)【優先権主張番号】P 2021011488
(32)【優先日】2021-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000196129
【氏名又は名称】西川株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】穴澤 康二
【テーマコード(参考)】
3B096
3B102
【Fターム(参考)】
3B096AA01
3B096AD01
3B096AD05
3B102AA01
3B102AB07
3B102AB08
3B102AC01
3B102BA04
3B102BA16
(57)【要約】
【課題】内容物の出し入れを容易に行うことができると共に、内容物を十分に流動させることができる寝具及び挿入部材を提供する。
【解決手段】一実施形態に係る寝具は、布製の枕であって、内容物を収容可能な内部空間Sを有する袋体2と、内部空間Sにおいて第3方向D3に延在すると共に、内部空間Sを複数の領域Aに仕切る立体マチ10と、領域Aを、第3方向D3の一方側に位置する第1領域A1と、第3方向D3の他方側に位置する第2領域A2とに分ける分割部11と、第1領域A1から出没可能とされており、第1領域A1に連通する第1挿入口21bを形成する第1布部21、及び第2領域A2に連通する第2挿入口22bを形成する第2布部22を有する第1挿入部材20Aと、を備え、第2布部22は、立体マチ10に接続されており、立体マチ10から袋体2の内外に出没可能とされている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向、及び前記第1方向に交差する第2方向に延在すると共に、前記第1方向及び前記第2方向の双方に交差する第3方向に厚みを有する布製の寝具であって、
内容物を収容可能な内部空間を有する袋体と、
前記内部空間において前記第3方向に延在すると共に、前記内部空間を複数の領域に仕切る立体マチと、
前記領域を、前記第3方向の一方側に位置する第1領域と、前記第3方向の他方側に位置する第2領域とに分ける分割部と、
前記第1領域から出没可能とされており、前記第1領域に連通する第1挿入口を形成する第1布部、及び前記第2領域に連通する第2挿入口を形成する第2布部を有する挿入部材と、
を備え、
前記第2布部は、前記立体マチに接続されており、前記立体マチから前記袋体の内外に出没可能とされている、
寝具。
【請求項2】
第1方向、及び前記第1方向に交差する第2方向に延在すると共に、前記第1方向及び前記第2方向の双方に交差する第3方向に厚みを有する布製の寝具であって、
内容物を収容可能な内部空間を有する袋体と、
前記内部空間において前記第3方向に延在すると共に、前記内部空間を複数の領域に仕切る立体マチと、
前記領域を、前記第3方向の一方側に位置する第1領域と、前記袋体の前記第3方向の中央に位置する第2領域と、前記第3方向の他方側に位置する第3領域とに分ける複数の分割部と、
前記第1領域から出没可能とされており、前記第1領域に連通する第1挿入口を形成する第1布部、前記第2領域に連通する第2挿入口を形成する第2布部、及び前記第3領域に連通する第3挿入口を形成する第3布部を有する挿入部材と、
を備え、
前記第3布部は、前記立体マチに接続されており、前記立体マチから前記袋体の内外に出没可能とされている、
寝具。
【請求項3】
前記袋体は、複数の前記第1領域を有し、
前記挿入部材は、前記立体マチを挟む一対の前記第2布部、及び一対の前記第2布部を挟む一対の第1布部を有し、
前記一対の第1布部の一方が複数の前記第1領域の一方に連通し、前記一対の第1布部の他方が複数の前記第1領域の他方に連通する、
請求項1又は2に記載の寝具。
【請求項4】
第1方向、及び前記第1方向に交差する第2方向に延在すると共に、前記第1方向及び前記第2方向の双方に交差する第3方向に厚みを有する布製の寝具の袋体に取り付けられる挿入部材であって、
前記袋体の内部空間は、立体マチによって複数の領域に仕切られており、
前記領域は、分割部によって、前記第3方向の一方側に位置する第1領域と、前記第3方向の他方側に位置する第2領域と、に分けられており、
前記第1領域に連通する第1挿入口を形成する第1布部と、
前記第2領域に連通する第2挿入口を形成する第2布部と、
を備え、
前記第2布部は、前記立体マチに接続され、前記立体マチから前記袋体の内外に出没可能とされる、
挿入部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、寝具、及び寝具の内部空間に内容物を収容するための挿入部材に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2002-223917号公報には、内部に詰物を収容することが可能な枕が記載されている。枕は、上下一対に設けられると共に内部空間を形成する袋状の側地と、当該内部空間において上下に延在する襠布と、当該内部空間を更に上下に分けるセパレートシートとを備える。枕には、襠布によって7つの小室が形成されており、7つの小室のそれぞれにはファスナーが設けられている。
【0003】
各小室には、ファスナーを開放することによって、詰物を収容することが可能とされている。この枕では、7つの小室に互いに種類が異なる複数種類の詰物が収容されることにより、枕の使用者の体型に枕をフィットさせることが可能とされている。また、前述したセパレートシートにより、小室は上下2層に区画されている。
【0004】
特開2020-25750号公報には、内部空間が上下に並ぶ複数の領域に仕切られた袋体が記載されている。袋体の内部には、複数の第1小室と、複数の第1小室の下側に設けられる第2小室とが形成されている。第1小室と第2小室の間には仕切り生地が設けられており、仕切り生地から上方に延びる下襠生地によって複数の第1小室が仕切られている。
【0005】
袋体の上面には、第1小室に連通する第1開口及び線ファスナが形成されており、第1開口及び線ファスナは第1小室の直上に設けられる。第1開口には、第1小室に連通する内側空間を有する第1筒布が取り付けられている。第1小室には第2小室との境界を成す仕切り生地から第2筒布が上方に延在しており、第2筒布は第1筒布の内側空間を通って第1筒布から上方に突出している。
【0006】
第1筒布の内側空間は第1小室に連通し、第2筒布の内側空間は第2小室に連通している。よって、第1小室の上部の開口から、第1筒布又は第2筒布を介して第1小室又は第2小室に詰物を入れることが可能となっている。第2小室に詰物を入れた後に、第2筒布は、丸められて第1小室の内部に収容される。その後、第1筒布も丸められて第1小室の内部に収容され、第1小室の直上の線ファスナが閉じられることによって第1開口が閉じられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002-223917号公報
【特許文献2】特開2020-25750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述した枕では、セパレートシートによって小室が上下2層に区画されており、上下2層のそれぞれに詰物が収容される。しかしながら、小室の下層に詰物等の内容物を収容するときには、ファスナーを開放し、小室の内部にあるセパレートシートをめくり上げてはじめて収容することが可能となる。従って、内容物の出し入れを容易に行うことができないという問題がある。
【0009】
前述した袋体では、第1小室の上部の開口から第1筒布及び第2筒布が突出する。そして、第1小室から突出した第1筒布から第1小室に内容物を入れることが可能であり、第1小室から突出した第2筒布から第2小室に内容物を入れることが可能である。しかしながら、第1筒布、第2筒布、及び第1開口を開閉する線ファスナが第1小室の直上に設けられるため、第1小室及び第2小室への内容物の収容が煩雑であるという問題がある。
【0010】
更に、前述した袋体では、第2小室に内容物を収容した後に、第2筒布を丸めて第1小室の内部に収容し、第1筒布も丸められて第1小室の内部に収容され、その後、第1小室の直上の線ファスナが閉じられる。従って、第1小室に第2筒布及び第1筒布が丸めて収容されて第1小室の直上の線ファスナが閉じられるので、線ファスナが閉じられた状態において第1小室が出っ張るという問題が生じうる。第1小室が出っ張ると袋体の意図しない部分が出っ張ることとなるため、使用者の身体に対する良好なフィット性を得られないという問題が生じうる。
【0011】
また、前述した袋体では、第1小室の内部に丸められた第2筒布が収容され、更に第1筒布が収容されるので、第1小室に内容物を十分に収容できないという問題がある。更に、第1小室の内部に第1筒布及び第2筒布が収容されることにより、内容物の流動性が不十分となる。従って、使用者が寝返りを打ったときに内容物が十分に流動しないため、良好な寝心地を得られないということが起こりうる。
【0012】
本開示は、内容物の出し入れを容易に行うことができると共に、内容物を十分に流動させることができる寝具及び挿入部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示の一側面に係る寝具は、第1方向、及び第1方向に交差する第2方向に延在すると共に、第1方向及び第2方向の双方に交差する第3方向に厚みを有する布製の寝具であって、内容物を収容可能な内部空間を有する袋体と、内部空間において第3方向に延在すると共に、内部空間を複数の領域に仕切る立体マチと、領域を、第3方向の一方側に位置する第1領域と、第3方向の他方側に位置する第2領域とに分ける分割部と、第1領域から出没可能とされており、第1領域に連通する第1挿入口を形成する第1布部、及び第2領域に連通する第2挿入口を形成する第2布部を有する挿入部材と、を備え、第2布部は、立体マチに接続されており、立体マチから袋体の内外に出没可能とされている。
【0014】
この寝具では、袋体が内容物を収容可能な内部空間を有し、内部空間において第3方向に延在する立体マチが当該内部空間を複数の領域に仕切っている。内部空間によって仕切られた複数の領域のそれぞれは、分割部によって、第3方向の一方側に位置する第1領域と、第3方向の他方側に位置する第2領域とに分けられている。第1領域からは挿入部材が出没可能とされており、挿入部材は、第1領域に連通する第1挿入口を形成する第1布部と、第2領域に連通する第2挿入口を形成する第2布部とを備える。従って、第3方向の一方側に位置する第1領域に第1挿入口から内容物を収容できると共に、第3方向の他方側に位置する第2領域に第2挿入口から内容物を収容できるので、上下2層構造となる第1領域及び第2領域のそれぞれに内容物を収容可能となる。よって、第1領域と第2領域とで内容物の種類及び量を変えることができるので、使用者の身体等に応じた寝具のカスタマイズを行うことができる。第2布部は、第3方向に延びる立体マチに接続されており、立体マチから袋体の内外に出没可能とされている。従って、第2布部が立体マチに沿った位置に設けられており、第3方向に延びる立体マチに沿って第2布部を出没させることができるので、意図せず袋体が出っ張る問題を回避することができる。更に、立体マチに沿って第2布部が出没すると共に、第2布部の隣接位置で第1布部が出没可能となるので、第1領域及び第2領域のそれぞれに内容物を収容するためのスペースを十分に確保することができる。従って、第1領域及び第2領域のそれぞれに収容された内容物の流動性を十分に確保することができる。よって、使用者の身体に対する良好なフィット性を得つつ、良好な寝心地を使用者に提供することができる。
【0015】
本開示の別の側面に係る寝具は、第1方向、及び第1方向に交差する第2方向に延在すると共に、第1方向及び第2方向の双方に交差する第3方向に厚みを有する布製の寝具であって、内容物を収容可能な内部空間を有する袋体と、内部空間において第3方向に延在すると共に、内部空間を複数の領域に仕切る立体マチと、領域を、第3方向の一方側に位置する第1領域と、袋体の第3方向の中央に位置する第2領域と、第3方向の他方側に位置する第3領域とに分ける複数の分割部と、第1領域から出没可能とされており、第1領域に連通する第1挿入口を形成する第1布部、第2領域に連通する第2挿入口を形成する第2布部、及び第3領域に連通する第3挿入口を形成する第3布部を有する挿入部材と、を備え、第3布部は、立体マチに接続されており、立体マチから袋体の内外に出没可能とされている。
【0016】
この寝具では、袋体は、第2領域から見て第1領域の反対側に位置する第3領域を有し、挿入部材は、第3領域に連通する第3挿入口を形成する第3布部を有する。この場合、第2領域から見て第1領域の反対側に位置する第3領域に第3挿入口から内容物を収容できるので、上下3層構造となる第1領域、第2領域及び第3領域のそれぞれに内容物を収容可能となる。従って、第1領域、第2領域及び第3領域で内容物の種類及び量を変えることができるので、寝具のカスタマイズをより広範に行うことができる。
【0017】
袋体は、複数の第1領域を有し、挿入部材は、立体マチを挟む一対の第2布部、及び一対の第2布部を挟む一対の第1布部を有し、一対の第1布部の一方が複数の第1領域の一方に連通し、一対の第1布部の他方が複数の第1領域の他方に連通してもよい。この場合、挿入部材において、一対の第1布部の一方が一方の第1領域に連通し、一対の第1布部の他方が他方の第1領域に連通する。従って、1つの挿入部材から一対の第1領域のそれぞれに内容物を収容することができる。
【0018】
本開示に係る挿入部材は、第1方向、及び第1方向に交差する第2方向に延在すると共に、第1方向及び第2方向の双方に交差する第3方向に厚みを有する布製の寝具の袋体に取り付けられる挿入部材であって、袋体の内部空間は、立体マチによって複数の領域に仕切られており、領域は、分割部によって、第3方向の一方側に位置する第1領域と、第3方向の他方側に位置する第2領域と、に分けられており、第1領域に連通する第1挿入口を形成する第1布部と、第2領域に連通する第2挿入口を形成する第2布部と、を備え、第2布部は、立体マチに接続され、立体マチから袋体の内外に出没可能とされる。
【0019】
この挿入部材は、布製の寝具の袋体から出没可能とされている。挿入部材は、第3方向の一方側に位置する第1領域に連通する第1挿入口を形成する第1布部と、第3方向の他方側に位置する第2領域に連通する第2挿入口を形成する第2布部とを備える。従って、第1領域に第1挿入口から内容物を収容できると共に、第2領域に第2挿入口から内容物を収容できる。よって、上下2層構造となる第1領域及び第2領域のそれぞれに内容物を収容可能となるので、第1領域と第2領域とで内容物の種類及び量を変えることができ、使用者の身体等に応じた寝具のカスタマイズを行うことができる。第2布部は、第3方向に延びる立体マチに接続され、立体マチから袋体の内外に出没可能とされる。すなわち、第2布部が立体マチに沿った位置に設けられ、第3方向に延びる立体マチに沿って第2布部を出没させるので、意図せず袋体が出っ張る問題を回避することができる。更に、立体マチに沿って第2布部が出没すると共に、第2布部の隣接位置で第1布部が出没可能となる。よって、第1領域及び第2領域のそれぞれに内容物を収容するためのスペースを十分に確保することができるので、第1領域及び第2領域のそれぞれに収容された内容物の流動性を十分に確保することができる。その結果、使用者の身体に対する良好なフィット性を得つつ、良好な寝心地を使用者に提供することができる。
【発明の効果】
【0020】
本開示によれば、内容物の出し入れを容易に行うことができると共に、内容物を十分に流動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施形態に係る寝具の一例である枕を示す斜視図である。
【
図5】実施形態に係る挿入部材の第1布部及び第2布部を示す斜視図である。
【
図6】実施形態に係る挿入部材の第1布部及び第2布部、並びに、立体マチを示す断面図である。
【
図7】
図5は別の挿入部材における第1布部、第2布部及び第3布部を示す斜視図である。
【
図8】
図7の挿入部材の第1布部、第2布部及び第3布部、並びに、立体マチを示す断面図である。
【
図9】(a)は、
図8の挿入部材の変形例を示す断面図である。(b)は、
図9(a)の挿入部材を示す斜視図である。
【
図10】変形例に係る挿入部材の第1布部及び第2布部を示す断面図である。
【
図11】
図10の挿入部材の更なる変形例を示す斜視図である。
【
図12】
図11の挿入部材の第1布部及び第2布部を示す断面図である。
【
図13】変形例に係る寝具である枕を模式的に示す平面図である。
【
図14】
図13の枕の更なる変形例を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、図面を参照しながら本開示に係る寝具及び挿入部材の実施形態について説明する。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0023】
本開示において、「寝具」とは、身体を休めるときに身体に当てられるものを示している。「寝具」としては、例えば、枕、掛け布団、敷き布団、クッション、ベッドパッド、マットレス又は座布団が挙げられる。「枕」とは、使用者の頭部が載せられる寝具を示しており、例えば、就寝用の枕、仮眠用の枕、及び携帯用の枕と共に、クッションを含んでいる。
【0024】
図1は、実施形態に係る寝具の一例である枕1を示す斜視図である。
図2は、枕1の
図1とは反対側の面を示す斜視図である。
図1及び
図2に示されるように、枕1は、袋体2を備える。袋体2は、例えば、枕カバーに収容可能とされており、枕カバーに収容された状態で使用に供される。
【0025】
例えば、袋体2は、鉛直上方に向けられる表地3と、表地3の反対側に向けられる裏地4とを含む。一例として、表地3にはキルティングが施されており、裏地4はキルティングが施されていない生地によって構成される。袋体2は、第1方向D1、及び第1方向D1に交差する第2方向D2の双方に延在している。例えば、第1方向D1は袋体2の短手方向であり、第2方向D2は袋体2の長手方向である。袋体2は、第2方向D2の中央に位置する中央部5と、中央部5の第2方向D2の両端側のそれぞれに設けられる一対の両側部6とを備える。
【0026】
袋体2は、例えば、中央部5に対して左右対称とされている。中央部5は、第1方向D1の中央に位置する中央部分5bと、中央部分5bの第1方向D1の両側のそれぞれに位置する両側部分5cとを有する。各両側部6は、第1方向D1の中央に位置する左右中央部6bと、左右中央部6bの第1方向D1の両側のそれぞれに位置する角部分6cとを有する。
【0027】
以上のように、袋体2は、中央部分5b、一対の両側部分5c、一対の左右中央部6b、及び4つの角部分6cといった9つの領域Aを備える。領域Aと他の領域Aとの境目には、縫い目7が形成されている。本実施形態において、袋体2は、第2方向D2に延びる複数本の縫い目7、及び第1方向D1に延びる複数本の縫い目7、を有する。
【0028】
各領域Aは、例えば、第2方向D2に延びる長辺、及び第1方向D1に延びる短辺を有する長方形状とされている。しかしながら、領域Aの形状は、長方形状に限られず適宜変更可能である。本開示において、「領域」とは、平面視における寝具に区画された複数の領域を示しており、「領域」は、縫い目、又は後述する立体マチ10(
図4参照)によって区画されている。なお、本実施形態では、複数の立体マチ10の一部が袋体2の側面(第1方向D1及び第2方向D2のいずれかに向けられる面)を構成している。
【0029】
図3は、枕1を模式的に示す平面図である。表地3には、領域Aを開閉するファスナー8が設けられている。例えば、枕1は複数のファスナー8を有し、複数のファスナー8のそれぞれは各領域Aに設けられている。本実施形態において、ファスナー8は縫い目7の延長上に設けられている。例えば、ファスナー8は、領域Aの第1方向D1の一方側(
図3では上側)に位置する縫い目7に沿って直線状に配置されている。
【0030】
図4は、
図3のA-A線断面図である。なお、
図4では、理解の容易化のため、ファスナー8及び後述する本実施形態の挿入部材の図示を省略している。
図4に示されるように、袋体2は、内容物9を収容可能な内部空間Sを有する。また、袋体2は、内部空間Sにおいて第3方向D3に延在する立体マチ10と、領域Aを上下一対の第1領域A1及び第2領域A2に分ける分割部11とを有する。第3方向D3は、第1方向D1及び第2方向D2の双方に交差する方向であり、例えば、枕1が載置された場合における鉛直方向と一致する。
【0031】
立体マチ10は、内部空間Sを複数の領域Aに仕切っている。立体マチ10は、第1方向D1及び第3方向D3の双方に延在する立体マチと、第2方向D2及び第3方向D3の双方に延在する立体マチとを含んでいる。
図4では、簡略化のため、第1方向D1及び第3方向D3の双方に延在する立体マチ10のみを図示している。
【0032】
立体マチ10は、例えば、袋体2の内部空間Sにおいて直立している。立体マチ10は、例えば、板状(又はシート状)を呈する。一例として、立体マチ10は、袋体2よりも硬い布によって構成されていてもよく、この場合、立体マチ10のへたりをより確実に抑制することが可能となる。
【0033】
各領域Aにおいて、分割部11は第1方向D1及び第2方向D2の双方に延在している。本実施形態では、複数に分けられた領域Aが分割部11によって更に第1領域A1と第2領域A2に分けられる。袋体2は、第2領域A2から見て第1領域A1の反対側に位置する第3領域A3を有する。分割部11は、例えば、第2領域A2と第3領域A3の間にも介在している。
【0034】
表地3が上を向くように袋体2が載置されたときに、第3領域A3は第1領域A1及び第2領域A2の下部に位置する。第3領域A3には、立体マチ10が設けられておらず、例えば、枕1の第1方向D1及び第2方向D2の全体にわたって広がる1つの空間とされている。枕1では、9つに分けられた領域Aのそれぞれが分割部11によって第1領域A1と第2領域A2に分けられており、更に第3領域A3が形成されている。従って、枕1は、内容物9が収容される19個の空間を内部に有する。
【0035】
内容物9は、一例として、第1内容物9bと、第2内容物9cとを含む。例えば、第1内容物9bは、第3領域A3に収容される。第1内容物9bは、例えば、第2内容物9cの素材よりも柔らかい素材によって構成されている。第1内容物9bは、一例として、羽毛である。
【0036】
第2内容物9cは、例えば、各領域A(第1領域A1及び第2領域A2のそれぞれ)に収容される。第2内容物9cは、例えば、中空とされた中空粒状体である。具体例として、第2内容物9cはパイプ材又はビーズである。一例として、第2内容物9cは、筒状を成すポリエチレン製のパイプ材であってもよい。
【0037】
しかしながら、第2内容物9cは、例えば、中実粒状体であってもよい。中実粒状体としては、例えば、そば殻、ヒノキ又はアズキ等が挙げられる。更に、第2内容物9cは、第1内容物9bより硬い綿であってもよい。このように、内容物9の種類は、適宜変更可能であって、特に限定されない。
【0038】
図3では、本実施形態に係る挿入部材20を模式的に示している。挿入部材20は、ファスナー8が開放された状態で袋体2に対して出没自在とされている。挿入部材20は、例えば、縫い目7の延長上に形成されている。例えば、挿入部材20は、第2方向D2に沿って線状に形成されている。
【0039】
挿入部材20は、第1領域A1及び第2領域A2のそれぞれへの内容物9の出し入れを可能とする第1挿入部材20Aと、第1領域A1、第2領域A2及び第3領域A3のそれぞれへの内容物9の出し入れを可能とする第2挿入部材20Bとを含む。第1挿入部材20A及び第2挿入部材20Bのそれぞれは、複数枚の布によって構成されている。第2挿入部材20Bの布の枚数は、第1挿入部材20Aの布の枚数よりも多い。
【0040】
枕1は、例えば、複数の第1挿入部材20Aと、1つの第2挿入部材20Bとを備える。一例として、第2挿入部材20Bは、中央部分5bの第1方向D1の一方側(
図3では上側)に位置する両側部分5cに設けられる。第2挿入部材20Bは、枕1の長手方向の中央における奥側(枕1の使用者の頭頂部が載せられる部分、又は枕1の第1方向D1の端部)に設けられる。前述したように、第2挿入部材20Bの布の枚数は第1挿入部材20Aの布の枚数よりも多いので、第2挿入部材20Bが枕1の第1方向D1の端部に配置されることにより、布の枚数が多い第2挿入部材20Bを使用者にとって邪魔になりにくくすることができる。但し、第2挿入部材20Bの配置位置は、上記の例に限られず、適宜変更可能である。
【0041】
図5は、第1挿入部材20Aを示す斜視図である。
図6は、第1挿入部材20A及び袋体2の一部を第1方向D1及び第3方向D3に延びる平面によって切断したときの断面図である。
図5及び
図6に示されるように、第1挿入部材20Aは、第1領域A1、及び第1領域A1の下方に位置する第2領域A2のそれぞれに対して内容物9を出し入れ可能とされている。
【0042】
第1挿入部材20Aは、ファスナー8を開放させた状態で袋体2から外方に突出させることが可能とされている。また、第1挿入部材20Aは、丸めて袋体2の内部空間Sに収容可能とされており、この状態でファスナー8を閉じることによって内部空間Sに隠すことが可能とされている。このように、第1挿入部材20Aは、第1領域A1から出没可能とされている。第1挿入部材20Aは、第1領域A1に連通する第1挿入口21bを形成する第1布部21と、第2領域A2に連通する第2挿入口22bを形成する第2布部22とを備える。
【0043】
第1布部21及び第2布部22は、例えば、袋状とされている。例えば、第1布部21及び第2布部22は、袋体2から突出した状態において第1方向D1に沿って並んでいる。袋体2から突出した状態において第1布部21及び第2布部22は、互いに独立している。袋体2の内部において、第1布部21と第2布部22とは互いに接合されている。
【0044】
例えば、第1領域A1に連通する第1布部21は、第2領域A2に連通する第2布部22よりも手前側(配置された枕1の第1方向D1の手前側、第1方向D1における枕1の端辺の反対側、又は枕1の頭頂部が載せられる部分の反対側)に設けられる。このように、上方の第1領域A1に連通する第1布部21が手前側に、下方の第2領域A2に連通する第2布部22が奥側に設けられることにより、第1領域A1への内容物9の出し入れ、及び第2領域A2への内容物9の出し入れを直感的に且つ容易に行うことができる。
【0045】
第1挿入部材20Aは、立体マチ10に接続されている。すなわち、第1挿入部材20Aは、立体マチ10に沿うように配置されており、且つ立体マチ10に縫製によって固定されている。具体的には、第2布部22が立体マチ10に縫い込まれて第1挿入部材20Aが立体マチ10と一体化されている。
【0046】
例えば、第1挿入部材20Aは、領域Aにおける奥側(配置された枕1の第1方向D1の奥側、第1方向D1における枕1の端辺側、又は枕1の頭頂部が載せられる側)の立体マチ10に固定されている。このように、第1挿入部材20Aが領域Aの奥側に設けられることにより、第1挿入部材20Aを一層邪魔になりにくくすることができる。
【0047】
例えば、第1挿入部材20Aは、枕1に限られず、第1領域A1及び第2領域A2を有する既製の枕に後付けすることも可能である。以下では、枕に第1挿入部材20Aを取り付ける取付方法について説明する。まず、立体マチ10に隣接する分割部11の一部を切り取って第1開口12を形成すると共に、立体マチ10に隣接する表地3の一部を切り取って第2開口13を形成する(開口を形成する工程)。このように第1開口12及び第2開口13を形成して立体マチ10を露出させる(立体マチを露出する工程)。
【0048】
そして、立体マチ10に第1挿入部材20Aを固定する(立体マチに第1挿入部材を固定する工程)。具体的には、第1布部21の一部を第1開口12の縁に縫製し、第1布部21の残部を第2開口13の縁に縫製すると共に、第2布部22の一部を第1開口12の縁に縫製し、且つ第2布部22の残部を立体マチ10に縫製する。以上の工程を経ることにより、2層式の既製の枕にも容易に第1挿入部材20Aを取り付けることができる。なお、第1挿入部材20Aは、枕以外の寝具に取り付けることも可能であり、第1挿入部材20Aが取り付けられる寝具の種類は特に限定されない。
【0049】
図7は、第2挿入部材20Bを示す斜視図である。
図8は、第2挿入部材20B及び袋体2の一部を第1方向D1及び第3方向D3に延びる平面に沿って切断したときの断面図である。
図7及び
図8に示されるように、第2挿入部材20Bは、第1領域A1、第2領域A2、及び第3領域A3のそれぞれに対して内容物9を出し入れ可能とされている。
【0050】
第2挿入部材20Bは、第1挿入部材20Aと同様、ファスナー8を開放させた状態で第1領域A1から出没可能とされている。第2挿入部材20Bの一部の構成は、前述した第1挿入部材20Aの一部の構成と共通するため、以降、重複する部分については第1挿入部材20Aと同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0051】
第2挿入部材20Bは、第1領域A1に連通する第1挿入口21bを形成する第1布部21と、第2領域A2に連通する第2挿入口22bを形成する第2布部22と、第3領域A3に連通する第3挿入口25bを形成する第3布部25とを備える。第3布部25は、例えば、袋状とされている。例えば、第1布部21、第2布部22及び第3布部25は、袋体2から突出した状態において第1方向D1に沿って並んでいる。袋体2から突出した状態において第1布部21、第2布部22及び第3布部25は、互いに独立している。袋体2の内部において、第1布部21と第2布部22とは互いに接合されており、第2布部22と第3布部25とは互いに接合されている。
【0052】
前述した第1挿入部材20Aと同様、第1領域A1に連通する第1布部21は、第2領域A2に連通する第2布部22よりも手前側に設けられ、第2布部22は第3領域A3に連通する第3布部25よりも手前側に設けられる。このように、上層の第1領域A1に連通する第1布部21が最も手前側、中層の第2領域A2に連通する第2布部22が真ん中、下層の第3領域A3に連通する第3布部25が奥側に設けられる。従って、第1領域A1、第2領域A2及び第3領域A3のそれぞれへの内容物9の出し入れを直感的且つ容易に行うことができる。
【0053】
第2挿入部材20Bは、例えば、立体マチ10に接続されており、立体マチ10に沿うように配置されている。第2挿入部材20Bは、立体マチ10に縫製によって固定されている。具体的には、第3布部25が立体マチ10に縫い込まれて第2挿入部材20Bと立体マチ10とが一体化されている。
【0054】
第2挿入部材20Bは、例えば、袋体2の第1方向D1の端部において第2方向D2に延びる端辺2bに固定されている。一例として、第2挿入部材20Bは、第1挿入部材20Aと同様、領域Aにおける奥側の立体マチ10に固定されている。この場合、第2挿入部材20Bが領域Aの奥側に設けられることにより、第2挿入部材20Bを一層邪魔になりにくくすることができる。
【0055】
例えば、第2挿入部材20Bは、第1領域A1、第2領域A2及び第3領域A3を有する既製の枕に後付けすることも可能である。枕に第2挿入部材20Bを取り付ける取付方法について説明する。まず、立体マチ10に隣接する上下一対の分割部11のそれぞれの一部を切り取って、第3領域A3が露出する第1開口14と、第2領域A2が露出する第2開口15を形成する。そして、立体マチ10に隣接する表地3の一部を切り取って第3開口16を形成する(開口を形成する工程)。
【0056】
第1開口14、第2開口15及び第3開口16を形成した後には、立体マチ10に第2挿入部材20Bを固定する(立体マチに第2挿入部材を固定する工程)。このとき、第1布部21の一部を第3開口16の縁に縫製し、第1布部21の残部を第2開口15の縁に縫製する。第2布部22の一部を第2開口15の縁に縫製し、第2布部22の残部を第1開口14の縁に縫製する。そして、第3布部25の一部を第1開口14の縁に縫製し、第3布部25の残部を立体マチ10に縫製する。以上の工程を経ることにより、3層式の既製の枕にも容易に第2挿入部材20Bを取り付けることができる。なお、第2挿入部材20Bは、枕以外の寝具に取り付けることも可能であり、第2挿入部材20Bが取り付けられる寝具の種類は特に限定されない。
【0057】
次に、本実施形態に係る寝具である枕1及び挿入部材20から得られる作用効果について詳細に説明する。
図5及び
図6に例示されるように、枕1及び挿入部材20(例えば第1挿入部材20A)では、袋体2が内容物9を収容可能な内部空間Sを有し、内部空間Sにおいて第3方向D3に延在する立体マチ10が内部空間Sを複数の領域Aに仕切っている。内部空間Sによって仕切られた複数の領域Aのそれぞれは、分割部11によって、第3方向D3の一方側に位置する第1領域A1と、第3方向D3の他方側に位置する第2領域A2とに分けられている。
【0058】
第1領域A1からは挿入部材20が出没可能とされており、挿入部材20は、第1領域A1に連通する第1挿入口21bを形成する第1布部21と、第2領域A2に連通する第2挿入口22bを形成する第2布部22とを備える。従って、第3方向D3の一方側に位置する第1領域A1に第1挿入口21bから内容物9を収容できると共に、第3方向D3の他方側に位置する第2領域A2に第2挿入口22bから内容物9を収容できるので、上下2層構造となる第1領域A1及び第2領域A2のそれぞれに内容物9を収容可能となる。
【0059】
よって、第1領域A1と第2領域A2とで内容物9の種類及び量を変えることができるので、使用者の身体等に応じた枕1のカスタマイズを行うことができる。第2布部22は、第3方向D3に延びる立体マチ10に接続されており、立体マチ10から袋体2の内外に出没可能とされている。従って、第2布部22が立体マチ10に沿った位置に設けられており、第3方向D3に延びる立体マチ10に沿って第2布部22を出没させることができるので、意図せず袋体2が出っ張る問題を回避することができる。更に、第1布部21及び第2布部22は、袋体2から突出したときに互いに独立している。従って、第1布部21が第1領域A1に連通し、第2布部22が第2領域A2に連通していることを直感的に把握できるので、第1領域A1及び第2領域A2のそれぞれへの内容物9の収容を容易に行うことができる。
【0060】
更に、立体マチ10に沿って第2布部22が出没すると共に、第2布部22の隣接位置で第1布部21が出没するので、第1領域A1及び第2領域A2のそれぞれに内容物9を収容するためのスペースを十分に確保することができる。すなわち、第1布部21及び第2布部22が立体マチ10に沿って収容されるので、挿入部材20の布が内容物9の収容スペースを圧迫することがない。従って、挿入部材20を立体マチ10に寄せて配置することが可能とされているため、第1領域A1及び第2領域A2のそれぞれに収容された内容物9の流動性を十分に確保することができる。よって、使用者の身体に対する良好なフィット性を得つつ、良好な寝心地を使用者に提供することができる。
【0061】
図7及び
図8に示されるように、枕1は、複数の立体マチ10、及び複数の挿入部材20を備え、袋体2は、第2領域A2から見て第1領域A1の反対側に位置する第3領域A3を有し、複数の挿入部材20のうちの第2挿入部材20Bは、第3領域A3に連通する第3挿入口25bを形成する第3布部25を有する。よって、第2領域A2から見て第1領域A1の反対側に位置する第3領域A3に第3挿入口25bから内容物9を収容できるので、上下3層構造となる第1領域A1、第2領域A2及び第3領域A3のそれぞれに内容物9を収容可能となる。従って、第1領域A1、第2領域A2及び第3領域A3で内容物9の種類及び量を変えることができるので、枕1のカスタマイズをより広範に行うことができる。
【0062】
図9(a)は、変形例に係る第2挿入部材20Bを示す断面図である。
図9(b)は、
図9(a)の第2挿入部材20Bの斜視図である。
図9(a)及び
図9(b)に示されるように、第2挿入部材20Bは、第1領域A1に連通する第1布部21と、第2領域A2に連通する第2布部22と、第3領域A3に連通する第3布部25とを有し、第2布部22の一部が第3布部25の一部に兼用されている。すなわち、第2布部22の一部と第3布部25の一部とで同一の布が用いられている。この場合、必要な布の量を低減できるので、コストの低減に寄与する。なお、第1布部21の一部が第2布部22の一部に兼用されていてもよい。
【0063】
次に、変形例に係る挿入部材30について
図10を参照しながら説明する。
図10は、挿入部材30及び袋体2の一部を第1方向D1及び第3方向D3に延びる平面によって切断したときの断面図である。
図10に示されるように、挿入部材30は、複数の第1領域A1、及び複数の第2領域A2のそれぞれに対して内容物9を出し入れ可能とされている。
【0064】
挿入部材30は、例えば、前述した挿入部材20に代えて用いることが可能である。挿入部材30は、第1領域A1から出没可能とされている。挿入部材30は、各第1領域A1に連通する第1挿入口21bを形成する一対の第1布部21と、各第2領域A2に連通する第2挿入口22bを形成する一対の第2布部22とを備える。
【0065】
挿入部材30では、第1方向D1に沿って並ぶ一対の第1布部21の間に一対の第2布部22が配置されている。前述と同様、第1布部21及び第2布部22は互いに独立している。一対の第1布部21のうちの一方、一対の第2布部22のうちの一方、一対の第2布部22のうちの他方、及び、一対の第1布部21のうちの他方、がこの順で第1方向D1に沿って並んでいる。
【0066】
挿入部材30は、前述した挿入部材20と同様、立体マチ10に接続されている。すなわち、挿入部材30は、立体マチ10に沿うように配置されており、且つ、立体マチ10に縫製によって固定されている。具体的には、一対の第2布部22のそれぞれの一部が立体マチ10に縫い込まれて挿入部材30が立体マチ10と一体化されている。
【0067】
以上、変形例に係る挿入部材30は、第1領域A1から出没可能とされており、挿入部材30は、第1領域A1に連通する第1挿入口21bを形成する第1布部21と、第2領域A2に連通する第2挿入口22bを形成する第2布部22とを備える。そして、一対の第2布部22のそれぞれは、第3方向D3に延びる立体マチ10に接続されており、立体マチ10から袋体2の内外に出没可能とされている。従って、立体マチ10に沿って第1布部21及び第2布部22を出没させることができるので、前述した挿入部材20の場合と同様の作用効果が得られる。
【0068】
更に、袋体2は、複数の第1領域A1を有し、挿入部材30は、立体マチ10を挟む一対の第2布部22、及び一対の第2布部22を挟む一対の第1布部21を有し、一対の第1布部21の一方が複数の第1領域A1の一方に連通し、一対の第1布部21の他方が複数の第1領域A1の他方に連通している。よって、挿入部材30において、一対の第1布部21の一方が一方の第1領域A1に連通し、一対の第1布部21の他方が他方の第1領域A1に連通する。更に、一対の第2布部22の一方が一方の第2領域A2に連通し、一対の第2布部22の他方が他方の第2領域A2に連通している。従って、1つの挿入部材30から一対の第1領域A1、及び一対の第2領域A2のそれぞれに内容物9を収容することができる。更に、枕1が挿入部材30を備える場合、挿入部材20を備える場合と比較して、表地3に形成する内容物9の収容のための開口の数を減らすことができる。
【0069】
図11は、
図10の挿入部材30の更なる変形例に係る構成を示す斜視図である。
図12は、
図11の挿入部材30を構成する布部を示す断面図である。
図11及び
図12に示されるように、挿入部材30は、立体マチ10から延び出す仕切り生地29を備えていてもよい。仕切り生地29は、第1方向D1に沿って並ぶ2つの第2布部22を形成する環状の部分を仕切るように配置されている。仕切り生地29は、第1方向D1の一方側に位置する第2布部22の内部空間と、第1方向D1の他方側に位置する第2布部22の内部空間とを仕切っている。この仕切り生地29を備える挿入部材30では、第1方向D1の一方側の領域と、第1方向D1の他方側の領域とを判別しやすくすることができる。更に、折り畳んで収納するときに、仕切り生地29を含む複数の布部をまとめて折り畳むことができる。
【0070】
以上、本開示に係る寝具及び挿入部材の実施形態について説明した。しかしながら、本開示は、前述した実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲において変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。すなわち、寝具(枕)及び挿入部材の各部の構成、形状、大きさ、材料、数及び配置態様は、上記の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0071】
例えば、前述の実施形態では、9つの領域Aを有する袋体2を備える枕1について説明した。しかしながら、領域の数及び配置態様は、9つの領域Aに限定されない。例えば、
図13に示されるように、7つの領域Aを有する袋体42を備える枕41であってもよい。この場合も前述の実施形態と同様の効果が得られる。更に、領域Aの数は、例えば、4つ又は6つであってもよく、特に限定されない。
【0072】
図14に示されるように、一対の領域Aのそれぞれに内容物9を収容可能な複数の挿入部材30を有する袋体52を備えた枕51であってもよい。この場合、前述したように内容物9の収容のための開口の数を減らすことができると共に、ファスナー8の数を減らすことができる。具体的には、
図13の場合と比較してファスナー8の数を7本から4本にまで減らすことができる。ファスナー8の数を減らすことにより、ファスナー8を縫製する手間を減らすと共にコストを削減することができ、更に、後頭部等に接触するファスナー8の数を減らすことができるので、後頭部等への違和感を低減して更に寝心地を良好にすることができる。
【0073】
前述の実施形態では、第1領域A1、第2領域A2及び第3領域A3を備える3層構造の枕1について説明した。しかしながら、層の数は、2又は4以上であってもよく、特に限定されない。また、前述の実施形態では、第2方向D2に沿って線状に形成されている挿入部材20について説明した。しかしながら、本開示に係る挿入部材は、例えば、第1方向D1に沿って線状に形成されるものであってもよく、挿入部材の方向及び配置態様は適宜変更可能である。
【0074】
前述の実施形態では、枕1に取り付けられた挿入部材20及び挿入部材30について説明した。しかしながら、挿入部材が取り付けられる対象の寝具は、枕以外の寝具であってもよい。すなわち、本開示に係る挿入部材は、羽毛布団等の布団(掛け布団又は敷き布団)、クッション又は座布団等、あらゆる寝具に取り付けることが可能である。
【符号の説明】
【0075】
1,41,51…枕(寝具)、2,42,52…袋体、2b…端辺、3…表地、4…裏地、5…中央部、5b…中央部分、5c…両側部分、6…両側部、6b…左右中央部、6c…角部分、7…縫い目、8…ファスナー、9…内容物、9b…第1内容物、9c…第2内容物、10…立体マチ、11…分割部、12…第1開口、13…第2開口、14…第1開口、15…第2開口、16…第3開口、20,30…挿入部材、20A…第1挿入部材、20B…第2挿入部材、21…第1布部、21b…第1挿入口、22…第2布部、22b…第2挿入口、25…第3布部、25b…第3挿入口、29…仕切り生地、A…領域、A1…第1領域、A2…第2領域、A3…第3領域、D1…第1方向、D2…第2方向、D3…第3方向、S…内部空間。