(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022115096
(43)【公開日】2022-08-08
(54)【発明の名称】水中油型化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/81 20060101AFI20220801BHJP
A61Q 1/02 20060101ALI20220801BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20220801BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20220801BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20220801BHJP
A61K 8/25 20060101ALI20220801BHJP
A61K 8/29 20060101ALI20220801BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20220801BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20220801BHJP
A61K 8/894 20060101ALI20220801BHJP
【FI】
A61K8/81
A61Q1/02
A61Q19/00
A61Q17/04
A61K8/06
A61K8/25
A61K8/29
A61K8/19
A61K8/891
A61K8/894
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022009688
(22)【出願日】2022-01-25
(31)【優先権主張番号】P 2021011524
(32)【優先日】2021-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(72)【発明者】
【氏名】加藤 郁
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB171
4C083AB172
4C083AB211
4C083AB212
4C083AB232
4C083AB242
4C083AB432
4C083AC012
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC102
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC242
4C083AC302
4C083AC342
4C083AC352
4C083AC392
4C083AC422
4C083AC432
4C083AC442
4C083AC482
4C083AC522
4C083AC532
4C083AC542
4C083AC552
4C083AC642
4C083AC852
4C083AC902
4C083AD042
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD131
4C083AD132
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD161
4C083AD162
4C083AD172
4C083AD262
4C083AD312
4C083AD352
4C083AD492
4C083AD572
4C083AD632
4C083AD642
4C083AD662
4C083CC05
4C083CC11
4C083CC12
4C083CC19
4C083DD22
4C083DD23
4C083DD33
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】本発明は、本発明は、みずみずしい使用感と肌補正効果の高さを両立しながらも、粉感がなく軽い伸び広がりに優れる水中油型化粧料を提供する。
【解決手段】
(A)アクリル酸アルキル、および2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸から選ばれる1種または2種以上を構造の一部に含む両親媒性水溶性高分子(B)架橋型ポリアクリル酸Na(C)平均粒子径0.1μm~2.0μmである屈折率2.0以上の金属酸化物(D)無孔質シリカを含有し、前記成分(B)と(C)含有質量割合、(B)/(C)=0.02~0.25である水中油型化粧料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)~(D);
(A)アクリル酸アルキルおよび2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸から選ばれる1種または2種以上を構造の一部に含む両親媒性水溶性高分子
(B)架橋型ポリアクリル酸Na
(C)平均粒子径0.1μm~2.0μmである屈折率2.0以上の金属酸化物
(D)無孔質シリカ
を含有し、前記成分(B)と(C)含有質量割合、(B)/(C)=0.02~0.25
である水中油型化粧料。
【請求項2】
前記成分(A)が、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、および(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマーから選ばれる1種または2種以上である請求項1記載の水中油型化粧料。
【請求項3】
さらに成分(E)として、25℃における動粘度が5~50mm2/sの不揮発性シリコーン油を含有する請求項1または2記載の水中油型化粧料。
【請求項4】
さらに成分(F)として、架橋型オルガノポリシロキサン重合物を含有する請求項1~3の何れか一項に記載の水中油型化粧料。
【請求項5】
さらに成分(G)として、シリコーン界面活性剤を含有する請求項1~4の何れか一項に記載の水中油型化粧料。
【請求項6】
前記成分(B)の乾燥時の平均粒子径が5~40μmである請求項1~5の何れか一項に記載の水中油型化粧料。
【請求項7】
前記成分(D)が、中空、および(D)より屈折率の高い粉体との複合化粉体から選ばれる1種または2種以上である請求項1~6の何れか一項に記載の水中油型化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水中油型化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
塗布時にべたつきがなく、肌負担感のないみずみずしい使用感は化粧料に望まれる機能のひとつである。また、ファンデーションや下地等のメイクアップ化粧料には高い肌補正効果が求められる。そのため、みずみずしい使用感と肌補正効果の高さを両立する技術が数多く開発されてきた。
【0003】
上記の技術として、例えば特定の粉末と架橋型重合体を組み合わせる方法(例えば特許文献1参照)が知られている。また、特定の疎水性粉体を水相に配合する方法により、みずみずしい使用感触を有する水性基剤でありながら疎水性球状粉末を水相に安定に配合でき、肌の見た目を自然に補正することのできる水性化粧料組成物(例えば特許文献2参照)等も検討されてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-32194号公報
【特許文献2】WO2017/150519号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、例えば特許文献1の技術の場合、使用感として粉感を感じやすく、軽い伸び広がりも損なわれるという傾向がある。一方、例えば特許文献2の技術の場合、製剤の安定性の担保が難しく、開発処方の幅が限られることが課題であった。
従って、みずみずしい使用感と肌補正効果の高さを両立しながらも、粉感がなく軽い伸び広がりに優れる化粧料の開発が待ち望まれている。
本発明は、みずみずしい使用感と肌補正効果の高さを両立しながらも、粉感がなく軽い伸び広がりに優れる水中油型化粧料を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる実情において、本発明者は上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、乳化能を有する特定の水溶性高分子、架橋型ポリアクリル酸Na、特定の金属酸化物、無孔質シリカ等を組み合わせて水中油型化粧料とすることにより、みずみずしい使用感を損なうことなく化粧膜の均一性および肌補正効果の高さを実現し、軽い伸び広がりにも優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は以下のものである。
[1]
次の成分(A)~(D);
(A)アクリル酸アルキルおよびアクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸から選ばれる1種または2種以上を構造の一部に含む両親媒性水溶性高分子
(B)架橋型ポリアクリル酸Na
(C)平均粒子径0.1μm~2.0μmである屈折率2.0以上の金属酸化物
(D)無孔質シリカ
を含有し、前記成分(B)と(C)含有質量割合、(B)/(C)=0.02~0.25
である水中油型化粧料。
[2]
前記成分(A)が、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、および(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマーから選ばれる1種または2種以上である[1]記載の水中油型化粧料である。
[3]
さらに成分(E)として、25℃における動粘度が5~50mm2/sの不揮発性シリコーン油を含有する[1]または[2]に記載の水中油型化粧料である。
[4]
さらに成分(F)として、架橋型オルガノポリシロキサン重合物を含有する[1]~[3]の何れか一項に記載の水中油型化粧料である。
[5]
さらに成分(G)として、シリコーン界面活性剤を含有する[1]~[4]の何れか一項に記載の水中油型化粧料である。
[6]
前記成分(B)の乾燥時の平均粒子径が5~40μmである[1]~[5]の何れか一項に記載の水中油型化粧料。
[7]
前記成分(D)が、中空、および(D)より屈折率の高い粉体との複合化粉体から選ばれる1種または2種以上である[1]~[6]の何れか一項に記載の水中油型化粧料である。
【0008】
また、本技術は、以下の構成をさらに追加採用することも可能である。
[8]
前記成分(D)が、屈折率が1.43以下または1.60以上の複合化粒子である[7]に記載の水中油型化粧料。
[9]
前記成分(C)が、酸化チタン、酸化鉄および酸化亜鉛から選ばれる1種または2種以上である[1]~[8]の何れか一項に記載の水中油型化粧料である。
[10]
前記成分(C)が、フッ素化合物、リン脂質、N-アシルアミノ酸、酸化ポリエチレン、金属石鹸、脂肪酸、スフィンゴ脂質、多糖脂肪酸エステル、シリカの1種又は2種以上を用いて表面処理されている[1]~[9]の何れか一項に記載の水中油型化粧料である。
[11]
さらに美容成分としてビタミンB3、水溶性ビタミンC、トラネキサム酸、ヘパリン類似物質から選ばれる1種または2種以上を含有する[1]~[10]の何れか一項に記載の水中油型化粧料である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の水中油型化粧料は、みずみずしい使用感を損なうことなく化粧膜の均一性および肌補正効果の高さを実現しながらも、粉感がなく軽い伸び広がりにも優れるものである。肌負担感なく使用でき、心地よい使用感と高い肌補正効果を兼ね備えるため下地やファンデーション等に応用可能な水中油型化粧料として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の好ましい実施形態に限定されず、本発明の範囲内で自由に変更することができるものである。尚、本明細書において百分率は特に断りのない限り質量による表示である。また、本明細書においては、「~」を用いて数値範囲を表す際は、その範囲は両端の数値を含むものとする。さらに、本発明における「平均粒子径」とは、粉体の場合、走査型電子顕微鏡(日本電子製、JSM-7800prime)を用いて、表面状態を観察し、画像解析装置(ルーゼックスAP、ニレコ社製)による測定により求めた値(メジアン径D50)であり、粒子の長径を指すものとする。なお、屈折率は、臨界角法によるアッベ屈折計での測定であり、二つのプリズムの間に試料(液体の場合はそのまま、固体の場合は接触液を用いて)を挟み、入射光に対して角度を変化させ、屈折率(屈折角)を求める方法にて算出したものである。
【0011】
本発明に用いられる成分(A)アクリル酸アルキル、および2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸から選ばれる1種または2種以上の構造を一部有する両親媒性水溶性高分子は、記載の構成単位を有する重合体または共重合体である。両親媒性水溶性高分子とは、水にも分散溶解するが、油相成分にも親和する部分を持ち、水中で油相成分を乳化でき粘度も付与する乳化増粘剤である。通常の化粧料に使用できるものであれば、いずれのものも使用できる。アクリル酸アルキルのアルキルとは、カルボキシル基の一部又は全部がアルキルエステル化していることをいい、アルキル変性のアルキル基の炭素数は、限定されるものではないが、10以上30以下が好ましく、18以上24以下がより好ましい。例えば、少なくとも1種のアクリル酸エステル類又はメタクリル酸エステル類を構成モノマーとして含む重合体は、アルキル変性されたカルボキシビニルポリマーが例に挙げられる。また、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸とは、アクリロイルジメチルタウリンと同構造であり、他のモノマーと共重合しているものが好ましく、特に組み合わせるモノマーは限定されない。具体的な例としては、特に限定されないが、例えば(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、および(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマー等の水溶性高分子が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。市販品としては、Aristoflex AVC(クラリアントジャパン社製)、Aristoflex HMB(クラリアントジャパン社製)、PEMULEN TR-1(ルーブリゾール社製)、PEMULEN TR-2(ルーブリゾール社製)、CARBOPOL1382(LUBRIZOL ADVANCED MATERIALS社製)、SIMULGEL EG QD(SEPPIC社製)、SIMULGEL FL(SEPPIC社製)、SIMULGEL NS(SEPPIC社製)、SEPIPLUS S(SEPPIC社製)、及びSEPINOV EMT 10(SEPPIC社製)、SEPIPLUS 265(SEPPIC社製)、SEPIGEL305(SEPPIC社製)等が挙げられる。中でも(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、および(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマーが好ましく、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーがみずみずしい使用感とべたつきがない膜を形成する点でより好ましい。
【0012】
本発明に用いられる成分(A)の含有量は、特に限定されないが0.1~0.4%が好ましく、0.15~0.3%がより好ましい。この範囲であれば、十分な乳化能がありながらもみずみずしくべたつきのない使用感の水中油型化粧料を得ることができるため好ましい。
【0013】
本発明に用いられる成分(B)架橋型ポリアクリル酸Naは、アクリル酸及びアクリル酸Naを重合して得られる共重合体である。例えば、開始剤の存在下で水酸化ナトリウムと混合したアクリル酸を重合してポリアクリル酸とし、更に、ポリアクリル酸のナトリウム塩を形成することで製造され得る。また成分(B)は、乾燥時の平均粒子径が5~40μmの略球状という特徴を有すると、肌上での塗膜が乾燥した際に、肌補正効果を発揮し得るものであり好ましい。成分(B)の乾燥時の平均粒子径とは、水に溶解分散した状態ではなく、具体的には、成分(B)の乾燥状態での平均粒子径とは、n-ヘプタン溶媒中で乾燥した状態において、レーザー回析散乱式粒度分布測定装置(例えば、マイクロトラックMT-3000、日機装社製)にて測定される体積基準メジアン径を意味するものである。さらに水に膨潤した成分(B)の平均粒子径は乾燥時よりも大きくなり、特にその大きさは制限しないが、500μm以下であることが好ましい。該乾燥時の平均粒子径が、5~40μmが好ましく、さらに5~30μmであることがより好ましい。この範囲であると、毛穴やシワ等の凹凸に落ち込みが目立ちにくく、十分なソフトフォーカス効果が得られるためより好ましい。なお。形状は特に限定しないが、球状であると軽い伸び広がりの点でより好ましい。市販品としては、AQUPEC MG N-40R(住友精化社製)(球状)、サンフレッシュST-500MPSC(三洋化成工業社製)等が挙げられる。
【0014】
本発明に用いられる成分(B)の含有量は特に限定されないが、0.05~0.5%が好ましく、0.1~0.4%がより好ましく、0.1~0.3%がさらに好ましい。この範囲であれば、みずみずしい使用感がありながらも肌補正効果が高く、軽い伸び広がりに優れた水中油型化粧料を得ることができるため好ましい。
【0015】
本発明に用いられる成分(C)平均粒子径0.1μm~2.0μmである屈折率2.0以上の金属酸化物は、通常の化粧料に使用できるものであれば、いずれのものも使用できる。特に限定されないが、例えば酸化亜鉛、酸化鉄、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化クロム等が挙げられ、それらの1種または2種以上を用いることができる。これらの中でも、紫外線防御能と毛穴やシワなどのカバー力に優れるという観点から、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化鉄を1種又は2種以上組み合せて用いることがより好ましい。成分(C)は、表面処理を施してあってもよい。例えば、フッ素化合物(例えば、パーフルオロアルキルアルコキシシラン)、レシチン・水添リン脂質、N-アシルアミノ酸(例えば、ラウロイルリジン、ジラウロイルグルタミン酸リシンNa、ステアロイルグルタミン酸2Na、ラウロイルアスパラギン酸Na)、酸化ポリアルキレン(たとえば、酸化ポリエチレン)、シリカ、金属石鹸、脂肪酸、脂肪酸エステル・脂肪酸アミド、スフィンゴ脂質、多糖脂肪酸エステル、界面活性剤等の1種又は2種以上を用いて表面処理をしてもよい。中でも、表面処理する場合、表面処理剤はシリカまたは両親媒性を有するものを1種または2種以上含むことが好ましく、シリカの場合は、溶出する金属イオンを抑制する、または等電点の影響から分散性に優れるためより好ましく、両親媒性の場合、肌への均一な付着性を向上させる観点から、N-アシルアミノ酸及び/又はその塩、リン脂質、水添リン脂質、がより好ましく、リン脂質、水添リン脂質が更に好ましい。これらの表面処理であると、分散性と、化粧膜の均一性と肌補正効果の点で好ましい。
【0016】
本発明に用いられる成分(C)の金属酸化物の平均粒子径は0.1μm~2μmであり、カバー力が優れる等の観点から、0.15~1.5μmであることがより好ましく、0.2~1.0μmであることが特に好ましい。平均粒子径がこの範囲であると、肌補正効果が高まるため好ましい。
【0017】
本発明に用いられる成分(C)の含有量は特に限定されないが、1~10%が好ましく、1.5~8%がより好ましく、3.0%を超え、8%以下がさらに好ましい。この範囲であれば、みずみずしい使用感を損なうことなく肌補正効果に優れた水中油型化粧料を得ることができるため好ましい。
【0018】
本発明に用いられる成分(B)と成分(C)を特定の比率で組み合わせることにより、化粧膜の均一性を向上させ、より高い肌補正効果を発現させることができる。成分(B)と成分(C)の含有質量割合 (B)/(C)は、下限としては、0.02以上であり、0.05以上が好ましい。上限としては、0.25以下であり、0.15以下が好ましい。成分(B)と成分(C)の肌補正効果に極端な偏りがあると、双方の肌補正効果を妨げる要因となる場合があるため、この範囲であると、成分(B)の肌補正効果と、(C)の肌補正効果とのバランスを維持しやすく、化粧膜の均一性を保ち、肌への付着性が高すぎず、伸び広がりの良さに優れるため好ましい。
【0019】
本発明に用いられる成分(D)の無孔質シリカは、一般的に化粧料に用いられる多孔質シリカではないものを指し、シリカの表面に孔が完全に存在しないものを意味するものではないが、シリカの中心から半径1/2の内部に、表面まで外部と貫通する孔を有しないものが好ましい。JISK5101によって定められた方法により測定した吸液量が、120ml/100g未満となるものが好ましい。吸液量の高い傾向のある多孔質シリカを用いると化粧料中の水分や油分を吸収してしまうため、みずみずしい使用感や伸び広がりの軽さが低減する可能性があり、乾燥感を感じる場合もあるため、配合量には注意を必要とするが、特に併用してもかまわない。化粧料中の含有量は、無孔質の質量%>多孔質の質量%であるとより好ましい。
【0020】
本発明に用いられる成分(D)の無孔質シリカは、特に平均粒子径が1~35μmであると好ましく、2~30μmであることがより好ましく、平均粒子径4~20μmであることがさらに好ましい。この範囲であると、毛穴やシワ等の凹凸に落ち込みがなく、乾燥感もなく、また光拡散効果が得られるため塗布膜の均一性が保たれる。成分(D)の形状は特に限定されないが、光拡散効果および伸び広がりの観点から、球状粉末を用いることが好ましい。市販品としては、サンスフェアNP-30(平均粒子径4μm、吸油量30±15ml/100g)、サンスフェアNP-100(平均粒子径10μm、吸油量40±15ml/100g)(屈折率1.45~1.46)(AGC社製)、シリカマイクロビードN-1505(平均粒子径10μm、吸油量25±2ml/100g、屈折率1.45~1.46)(日輝触媒化成社製)、シリカマイクロビードBA-1(平均粒子径18μm、吸油量70±40ml/100g、屈折率1.08(中空))(日輝触媒化成社製)、シリカマイクロビードBA-4(平均粒子径4μm、吸油量50ml/100g、屈折率1.29(中空))(日記触媒化成社製)、SILNOS260(平均粒子径6μm、吸油量80ml/100g、屈折率1.42(中空))(ABC NANOTECH社製)、SILNOS290(平均粒子径9μm、吸油量80ml/100g、屈折率1.42(中空))(ABC NANOTECH社製)等が挙げられる。
【0021】
本発明に用いられる成分(D)は、軽い使用感とソフトフォーカス効果の高さから中空シリカが好ましい。つまり空気と複合化されているものが好ましい。中空シリカとは、空気または真空(屈折率:約1.0)とシリカ(屈折率:約1.45)の含有比率により、粒子としての屈折率が変化するものであり、比率に応じてこれらの範囲の屈折率となり、さらに溶液中で内部の空気が溶液置換されない部分を有するものである。特に、水(屈折率(20℃):1.333)または化粧料に使用される油剤(例えば屈折率:約1.35~1.57)と接触した場合に、屈折率差が出やすいと可視光の光拡散効果を高めることができる。特に、成分(D)の例えば中空シリカの屈折率が1.43以下であることが好ましく、1.30以下であることがより好ましい。この範囲であると、これらの上記の溶液に皮膚上で濡れた際に、または経時で皮脂や汗が出た場合に、ソフトフォーカス効果を維持することができるため好ましい。
一方、成分(D)が、シリカよりも高い屈折率の粉体と複合化され、複合化粉体の総合的な屈折率が、1.6以上となる場合にも、同様に溶液との屈折率差が出やすいため、可視光の光拡散効果を高める効果を発揮する。例えば、シリカよりも屈折率の高い、硫酸バリウム(屈折率1.64)、酸化亜鉛(屈折率1.95)、酸化鉄、酸化チタン(屈折率2.52~2.71)等との複合化でも良く、複合化素材は特に限定しない。ただし、シリカと複合化する素材は、複合化粉体中に80%未満であるものである。外層または内層が無孔質シリカであれば特に制限しない。具体的には、表面または内部に酸化チタンまたは酸化亜鉛を複合化されているのものが、肌補正効果に優れるためより好ましい。
なお、成分(D)は、表面処理を施してあってもよい。例えば、フッ素化合物、シリコーン化合物、金属石鹸、レシチン、水素添加レシチン、シリカ、コラーゲン、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、脂肪酸エステル、ワックス、ロウ、界面活性剤等の1種又は2種以上を用いて表面処理をしていてもよいが特に限定されない。
【0022】
本発明に用いられる成分(D)の含有量は特に限定されないが、0.3~5%が好ましく、0.5~3%がより好ましい。この範囲であれば、みずみずしい使用感と軽い伸び広がりを損なうことなく、肌補正効果を発揮する水中油型化粧料を得ることができる。
【0023】
本発明には、さらに成分(E)25℃における動粘度が5~50mm2/sの不揮発性シリコーン油を用いてもよい。成分(E)は、常温で揮発性を有しないシリコーン油剤をいい、通常の化粧料に使用できるものであれば、いずれのものも使用できる。特に限定されないが、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。市販品としては、シリコンKF-96(6CS)(動粘度6mm2/s、以下CS=mm2/s)、(10CS)、(20CS)、(30CS)、(50CS)(信越化学工業社製)、KF-56(信越化学工業社製)等が挙げられる。中でも軽い広がりを付与でき、べたつきのない膜を形成する点で、動粘度30mm2/s以下の不揮発性シリコーン油が好ましく、動粘度20mm2/s以下の不揮発性シリコーン油がより好ましい。
【0024】
本発明に用いられる成分(E)の含有量は、特に限定されないが0.5~5%が好ましく、1~3%がより好ましい。この範囲であれば、軽い伸び広がりの使用感で均一な化粧膜を形成する水中油型化粧料を得ることができるため好ましい。
【0025】
本発明には、さらに成分(F)架橋型オルガノポリシロキサン重合物を用いてもよい。成分(F)は、オルガノポリシロキサンを架橋結合させて得られる、一部に三次元架橋構造を有する重合物であり、通常の化粧料に使用できるものであれば、いずれのものも使用でき、特に限定されないが、例えば、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー等の架橋型メチルポリシロキサン、(ジメチコン/フェニルジメチコン)クロスポリマー等の架橋型メチルフェニルポリシロキサン、ジメチコンクロスポリマー等が挙げられる。また、分子中にポリオキシアルキレン基を含有する重合物としては、例えば、(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマー等の架橋型ポリエーテル変性シリコーンが挙げられる。また、分子中に長鎖アルキル基を含有する重合物としては、例えば、(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー等の架橋型アルキル変性シリコーンが挙げられる。分子中にポリオキシアルキレン基及び長鎖アルキル基を含有する重合物としては、例えば、PEG-15ラウリルジメチコンクロスポリマー等の架橋型アルキル・ポリエーテル共変性シリコーンが挙げられる。分子中にハロゲン化炭化水素基を含有する重合物としては、例えば、(トリフルオロプロピルジメチコン/トリフルオロプロピルジビニルジメチコン)クロスポリマー等の架橋型フッ素変性シリコーンが挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0026】
本発明に用いられる成分(F)の架橋型オルガノポリシロキサン重合物は、単独で含有しても良いが、油剤との混合物として市販されていることが多く、本発明では、この市販された状態のものも使用できる。例えば、架橋型メチルポリシロキサンと環状シリコーンとの混合物としてKSG-15(固形分5%)、架橋型メチルポリシロキサンとジメチルポリシロキサンとの混合物としてKSG-16、KSG-16F(固形分20~30%)、架橋型メチルフェニルポリシロキサンとフェニルトリメチコンとの混合物としてKSG-18(固形分10~20%)、架橋型ポリエーテル変性シリコーンとジメチルポリシロキサンとの混合物としてKSG-210(固形分20~30%)、架橋型アルキル変性シリコーンと油剤との混合物としてKSG-41(固形分25~35%)、KSG-42(固形分20~30%)、KSG-43(固形分25~35%)及びKSG-44(固形分25~35%)、架橋型アルキル・ポリエーテル共変性シリコーンと油剤との混合物としてKSG-310(固形分25~35%)、KSG-320(固形分20~30%)、KSG-330(固形分15~25%)、KSG-340(固形分25~35%)及びKSG-340(固形分25~35%)、架橋型フッ素変性シリコーンは、フルオロアルキル基含有環状オルガノポリシロキサン等の環状フッ素含有シリコーンとの混合物としてKSG-51(固形分15~25%)、架橋型ポリグリセリン変性シリコーンとジメチルポリシロキサンの混合物としてKSG-710(固形分20~25%)(以上、信越化学工業社製)、ジメチコンクロスポリマーとシクロメチコンとの混合物であるDOWSIL 9040 SILICONE ELASTOMER BLEND(固形分12.6%)(東レ・ダウコーニング社製)等が挙げられる。この中でも、非乳化性の架橋型オルガノポリシロキサン重合物が好ましく、さらに、粒子状の塊になりやすい、KSG-16F、KSG-19(以上、信越化学工業社製)がより好ましい。これらの成分(F)は、肌補正効果を高めることができるためより好ましい。
【0027】
本発明に用いられる成分(F)の含有量は、特に限定されないが0.2~2%が好ましく、0.35~1.5%がより好ましい。この範囲であれば、軽い伸び広がりを損なうことなく肌補正効果を高めた水中油型化粧料を得ることができるため好ましい。
【0028】
本発明には、さらに成分(G)のシリコーン界面活性剤を用いてもよい。成分(G)は、ポリシロキサン構造を有する活性剤であれば特に限定されず、いずれのものも使用することができる。例えば、ポリオキシアルキレン変性シリコーン、ポリオキシアルキレン・アルキル共変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、及び/又はポリグリセリン・アルキル共変性シリコーン、側鎖にポリエーテルまたポリグリセリンを有するシリコーンエラストマー等があげられ、これらを一種1種又は二種2種以上用いることができる。これらのシリコーン界面活性剤の中でも、みずみずしさが得られる点で、少量で乳化できるHLB値10以上のものが好ましい。具体的にはPEG-11メチルエーテルジメチコン等があげられる。具体的な市販品として、例えば、KF-6011(PEG-11メチルエーテルジメチコン、HLB14.5)、KF-6043(PEG-10ジメチコン、HLB14.5)(信越化学工業社製)が挙げられる。
【0029】
本発明に用いられる成分(G)の含有量は、特に限定されないが、下限としては、0.1%以上が好ましく、0.3%以上がより好ましく、上限としては、2.3%以下が好ましく、より好ましくは2.1%以下、2.0%以下であることが更に好ましい。成分(G)をこの範囲で含有すると、化粧持ちが良く、化粧膜がべたつきにくく、みずみずしい使用感を維持できる点でより好ましい。
【0030】
本発明の水中油型化粧料には、通常の化粧料に使用される成分を、本発明の効果を損なわない量的、質的範囲において、必要に応じて配合することができる。例えば、水中油型化粧料を構成するための成分(A)(B)以外の水溶性高分子、成分(C)(D)以外の粉体、成分(E)、(F)以外の油性成分、水性成分、(G)以外の界面活性剤、油溶性紫外線吸収剤、水溶性紫外線吸収剤、保湿剤、酸化防止剤、美容成分、防腐剤、香料、清涼剤等を挙げられる。
【0031】
水性成分としては、水中油型化粧料の外水相を構成するものであり、水の他に、水に可溶な成分であれば何れでもよく、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液等が挙げられる。また、水相の含有量としては、使用感と安定性の観点から、全化粧料中の40~80%であることが好ましい。
【0032】
油性成分としては、水中油型化粧料の内油相を構成するものであり、成分(E)(F)以外の化粧品に一般に使用されるものとして、動物油、植物油、合成油等の起源固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類、油性ゲル化剤類等が挙げられる。具体的には、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン等の炭化水素類、モクロウ、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアナッツ油等の油脂類、ミツロウ、ゲイロウ等のロウ類、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、コレステロール脂肪酸エステル、フィトステロール脂肪酸エステル等のエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、高重合度メチルフェニルポリシロキサン、メタクリル変性オルガノポリシロキサン、ステアリル変性オルガノポリシロキサン、オレイル変性オルガノポリシロキサン、ベヘニル変性オルガノポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、アルコキシ変性オルガノポリシロキサン、フッ素変性オルガノポリシロキサン等のシリコーン類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体、蔗糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、イソステアリン酸アルミニウム、12-ヒドロキシステアリン酸等の油性ゲル化剤類等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。また、油相の含有量としては、使用感と安定性の観点から、全化粧料中の5~20%であることが好ましい。
【0033】
界面活性剤としては、成分(G)以外として、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤等が挙げられる。例えば、非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド、N-アルキルジメチルアミンオキシドポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどを挙げられる。また、界面活性剤の含有量としては、使用感と安定性の観点から、全化粧料中の1~5%であることが好ましい。
【0034】
美容成分としては、特に制限は無いが、例えば、ビタミンA、ビタミンB3、ビタミンC、トラネキサム酸、ヘパリン類似物質、パンテノール、アスタキサンチン等を含有することができる。これらは、みずみずしい使用感を損なうことなく化粧膜の均一性および肌補正効果の高さを実現しながらも、軽い伸び広がりにも優れ、これらの素材の美容効果を肌上に均一に、かつ経時安定的に付与することができるため配合しても好ましい。
【0035】
本発明の水中油型化粧料の製造方法は、特に限定されず通常公知の方法で製造可能であり、製造機器としては、一般のディスパーションのような分散・乳化機器であればいずれでもよい。例えば、成分(A)、(B)を含む水性成分を必要に応じて加熱溶解し、成分(E)、(F)、(G)を含む油性成分を水相にディスパーションにより乳化混合後、成分(C)、(D)を添加分散することにより、水中油型化粧料が得られる。
【0036】
本発明の水中油型化粧料の形態としては、特に限定されるものではなく、例えば液状、乳液状、クリーム剤状、固形状等が挙げられる。
【0037】
本発明の水中油型化粧料は、乳液、美容液、パック、クリーム、日焼け止め、ファンデーション、メイクアップ下地、口唇化粧料、アイメイクアップ化粧料などに好適に用いることができ、高い肌補正効果をもつことから、日焼け止め、日中用乳液、メイクアップ下地、ファンデーション、凹凸補正化粧料などが好ましい。
【実施例0038】
以下に実施例をあげて本発明を詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
[実施例1~28および比較例1~9:下地化粧料]
表1~3に示す組成および下記製造方法にて下地化粧料を調製した。得られた下地化粧料について、みずみずしい使用感、化粧膜の均一性、肌補正効果、軽い伸び広がりについて、以下に示す評価方法及び判定基準により評価判定し、結果を併せて表中に示した。
【0039】
【表1】
*1:PEMULEN TR-1(ルーブリゾール社製)
*2:SIMULGEL EG QD(水溶性高分子純分37.5% SEPPIC社製)
*3:Aristoflex AVC(クラリアントジャパン社製)
*5:AQUPEC MG N40R (住友精化社製)
*6:サンフレッシュST-500MPSC (三洋化成工業社製)
*7:CARBOPOL 980 (ルーブリゾール社製)
*8:XZ-100F(堺化学工業社製)を表面処理
*9:NAI-チタンCR-50(100%)(三好化成社製)
*10:母体MP-1133(テイカ社製)を表面処理
*11:母体MP-100(テイカ社製)を表面処理
*12:MT-500SA(テイカ社製)ステアリン酸処理5%
*13:R516P(チタン工業社製)を表面処理
*14:YP1200P(チタン工業社製)を表面処理
*15:BL-100P(チタン工業社製)を表面処理
*17:SILICA MICROBEAD BA-1(日揮触媒化成社製)
*21:KF-6011(信越化学社製)
【0040】
【表2】
*16:サンスフェアNP-100(AGS社製)
*18:ゴッドボールE2-824C(鈴木油脂工業社製)
*19:KF-56(信越化学社製)
*20:KSG-016F(溶媒:ジメチコン75% 信越化学工業社製)
【0041】
【表3】
*4:SALCARE SC81UP(水溶性高分子純分30% BASF社製)
【0042】
(製造方法:表1~3(表に未記載の原料は含めない))
A:成分(8)~(20)を3本ロールミルで分散処理する。
B:成分(1)~(7)、(31)~(38)を均一に混合溶解する。
C:成分(24)~(30)を均一に混合溶解する。
D:BにCを加え、常温にて乳化する。
E:DにA、成分(21)~(23)を混合し、水中油型化粧料を得た。
F:チューブに充填し、下地化粧料を得た。
【0043】
(評価方法)
化粧品評価専門パネル10名が、実施例及び比較例の水中油型化粧料を塗布し、「イ.みずみずしい使用感」、「ロ.化粧膜の均一性」、「ハ.肌補正効果」、「ニ.軽い伸び広がり」ついて、下記の評価基準に従って5段階評価を行い、評点を付けた。イ、ニの項目については、使用中に、ロ、ハについては使用直後の仕上がり膜について評価を行った。ハ.肌補正効果は素肌の色ムラ・凹凸を補正して肌をきれいに見せる効果をいう。その後、全パネルの評点の平均点を算出し、下記の判定基準に従って判定した。
【0044】
[評価基準]
イ.みずみずしい使用感
[評点]:[評価結果]
4点:非常にみずみずしいと感じる
3点:ややみずみずしいと感じる
2点:普通
1点:ややみずみずしいと感じない
0点:みずみずしいと感じない
ロ.化粧膜の均一性
[評点]:[評価結果]
4点 :全く粉体のムラが見られない。
3点 :粉体のムラが見られない。
2点 :やや粉体の存在が見えるがムラは見られない。
1点 :粉体のムラが見られる。
0点 :ひどく粉体のムラが見られる
ハ.肌補正効果
[評点]:[評価結果]
4点 :高いカバー補正効果が感じられる。
3点 :やや高いカバー補正効果が感じられる。
2点 :カバー補正効果が感じられる。
1点 :カバー補正効果があまり感じられない。
0点 :カバー補正効果が全く感じられない。
ニ.軽い伸び広がり
[評点]:[評価結果]
4点 :非常に伸び広がりが軽い。
3点 :伸び広がりが軽い。
2点 :やや伸び広がりが軽い。
1点 :あまり伸び広がりが軽くない。
0点 :全く伸び広がりが軽くない。
[判定基準]
[評点の平均点] :[判 定]
3.5以上 : ◎
2.5以上~3.5未満 : ○
1.5以上~2.5未満 : △
1.5未満 : ×
【0045】
表の結果から明らかなように、実施例1~28の水中油型化粧料は、みずみずしい使用感、化粧膜の均一性、肌補正効果、軽い伸び広がり、のすべての項目に関して優れたものであった。これに対して、成分(A)の代わりに乳化能を有しない水溶性高分子を用いた比較例1では、軽い伸び広がりやみずみずしい使用感、化粧膜の均一性が保てなかった。成分(B)と(C)含有質量割合が0.02より小さい比較例2では、化粧膜の均一性が劣る結果となった。一方、成分(B)と(C)含有質量割合が0.25より大きい比較例3では、化粧膜の均一性および軽い伸び広がりが損なわれるものであった。成分(B)を含有しない比較例4では、化粧膜の均一性と肌補正効果が大きく損なわれる結果となった。成分(B)を含有せず、異なる粒子径や形状をもつ比較例5においては、軽い伸び広がり、みずみずしい使用感、化粧膜の均一性、肌補正効果が劣るものであった。成分(C)の量が少なく、(B)/(C)の比率が外れる比較例6、成分(C)を含有しない比較例7では、化粧膜の均一性、肌補正効果が大きく損なわれるものであった。成分(D)を含有しない比較例8では、みずみずしい使用感、化粧膜の均一性、肌補正効果が劣るものであった。異なる多孔質の成分(D)を含有する比較例9では、みずみずしい使用感と軽い伸び広がりが大きく損なわれる結果となった。
【0046】
(実施例29) リキッドファンデーション
(成分) (%)
1.PEG-10水添ヒマシ油 0.3
2.セスキオレイン酸ソルビタン 0.7
3.シリカ処理赤酸化鉄*22 5
4.シリカ処理黄酸化鉄*23 5
5.シリカ処理黒酸化鉄*24 3
6.水添レシチン処理セリサイト 4
7.セラミド処理酸化チタン*25 10
8.タルク 2
9.水添レシチン 1.5
10.べへニルアルコール 0.5
11.1,3-ブチレングリコール 15
12.精製水 残量
13.ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン*19 1
14.PEG-10ジメチコン 0.2
15.メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 7
16.2-{4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル}
安息香酸ヘキシル 2
17.ジメチコン(6mm2/s) 3
18.メチルトリメチコン 2
19.イソドデカン 1
20.(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー
/シクロメチコン*26 5
21.キサンタンガム 0.02
22.(アクリル/アクリル酸アルキル(C10-30))コポリマー*1 0.2
23.ジプロピレングリコール 2
24.カルボマーNa*5 0.5
25.シリカ*27 3
26.ジプロピレングリコール 2
27.トリエタノールアミン 0.6
28.ヘパリン類似物質 0.1
*22:シンフォライトRW-TE(日輝触媒化成社製、シリカ10%)
*23:シンフォライトYW-TE(日輝触媒化成社製、シリカ10%)
*24:シンフォライトBW-TE(日輝触媒化成社製、シリカ10%)
*25:TiO2 MP-1133(テイカ社製)のセラミドNG、(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリン処理(表面処理3.0%)
*26:KSG-15(信越化学工業社製)
*27:SILNOS260(平均粒子径6μm、吸油量80ml/100g、屈折率1.42(中空))(ABC NANOTECH社製)
【0047】
(製造方法)
A:成分1~8を均一に三本ローラーで処理する。
B:成分9~12を75℃に加温して均一に溶解する。
C:成分13~20を75℃に加温して均一に混合する。
D:BとCを75℃に加温し、乳化する。
E:Dを50℃まで冷却する。
F:Fに成分21~28を加え、均一に混合する。
G:Gを35℃まで冷却し、容器に充填後、リキッドファンデーションを得る。
実施例29はみずみずしい使用感、化粧膜の均一性、肌補正効果、軽い伸び広がり全ての項目に優れた効果が得られるものであった。また、紫外線防御効果も得られるものであった。なお、(B)/(C)=0.5/(5+5+3+10)=0.022であった。
【0048】
(実施例30) 下地
(成分) (%)
1.1,3-ブチレングリコール 10
2.グリセリン 5
3.トリセテアレス-4リン酸 0.1
4.ポリソルベート-80 1
5.ラウロイルグルタミン酸Na処理酸化チタン*28 4
6.ステアロイルグルタミン酸2Na処理赤酸化鉄*29 0.1
7.ステアロイルグルタミン酸2Na処理黄酸化鉄*30 0.1
8.ステアロイルグルタミン酸2Na処理黒酸化鉄*31 0.1
9.トリエタノールアミン 0.9
10.精製水 残量
11.ステアリン酸 1
12.セトステアリルアルコール 0.3
13.セスキオレイン酸ソルビタン 0.3
14.ジメチコン(動粘度10mm2/s) 2
15.メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 5
16.ジカプリン酸ネオペンチルグリコール 1
17.2,4-ビス[{4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ}
-フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-(1,3,5)
-トリアジン 0.5
18.2-2‘-メチレンビス{6-(ベンゾトリアゾール-2-イル)
-4-(1,1,3,3、-テトラメチルブチル)フェノール} 3
19.(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー/ジメチコン*32 2
20.カルボキシビニルポリマー 0.15
21.キサンタンガム 0.03
22.アクリレーツコポリマー*4 0.1
23.アクリル酸Naクロスポリマー*6 0.3
24.アスコルビン酸2-グルコシド 0.3
25.香料 適量
26.(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー*1
0.2
27.セルロース*33 1
28.中空シリカ*34 0.7
29.酸化チタン被覆マイカ*35 1
30.フェノキシエタノール 0.1
31.メトキシケイヒ酸エチルヘキシル内包カプセル*36 4
*28:ASL-1 TiO2 MP-1133(大東化成工業社製)
*29:NAI-レッドR-516PS(100%)(三好化成社製)
*30:NAIイエローLL-100P(100%)(三好化成社製)
*31:NAI-ブラックBL-100P(100%)(三好化成社製)
*32:KSG-16(信越化学工業社製)
*33:CELLULOBEADS S-10(大東化成工業社製)
*34:SILICA MICROBEAD BA-4(日揮触媒化成社製)
*35:COSMETICA SUPER RED N-5401S(CQV社製)
*36:SILASOMA MF(S)(成和化成社製)
【0049】
(製造方法)
A:成分1~8を均一に三本ローラーで処理する。
B:成分9~10を均一に混合する。
C:成分11~19を75℃にて均一に分散する。
D:BにCを加え、75℃にて乳化する。
E:Dを60℃に冷却する。
F:Eに成分20~31を加え、均一に混合する。
G:Fを40℃に冷却する。
H:GにAを添加し、均一に混合する。
I:Hを容器充填後、下地を得る。
実施例30はみずみずしい使用感、化粧膜の均一性、肌補正効果、軽い伸び広がり全ての項目に優れた効果が得られるものであった。また、紫外線防御効果も得られるものであった。なお、(B)/(C)=0.3/(4+0.1+0.1+0.1)=0.070であった。
【0050】
(実施例31) BBクリーム
(成分) (%)
1.PEG-10水添ヒマシ油 0.05
2.セスキオレイン酸ソルビタン 0.03
3.1,3-ブチレングリコール 0.5
4.酸化ポリエチレン処理酸化チタン*37 6
5.水添レシチン処理タルク 0.2
6.赤酸化鉄(R-516-P:チタン工業社製) 0.3
7.黄酸化鉄(LL-100P:チタン工業社製) 0.3
8.黒酸化鉄(BL-100P:チタン工業社製) 0.3
9.精製水 残量
10.ジプロピレングリコール 9
11.トリエタノールアミン 0.35
12.ステアリン酸 1
13.ベヘニルアルコール 1
14.ジメチコン(動粘度6mm2/s) 1
15.流動パラフィン 1
16.イソノナン酸イソトリデシル 4
17.デカメチルシクロペンタシロキサン 3
18.ジ2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール 1
19.シリコーン処理微粒子酸化チタン*38 3
20.PEG-9ジメチコン*39 0.4
21.パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル 5
22.2-{4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル}
安息香酸ヘキシル 1
23.(ジメチコン/フェニルジメチコン/)クロスポリマー/
ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン*40 3
24.カルボキシビニルポリマー 0.3
25.アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマー
0.7
26.カルボマーNa*5 0.5
27.シリカ*16の表面に150nm微粒子酸化チタンを40%被覆
(屈折率1.96) 3
28.ナイアシンアミド 1
29.香料 適量
*37:PI-TR-8(三好化成社製)
*38:SMT-500SAM(テイカ社製)
*39:KF-6019(信越化学工業社製)
*40:KSG-18(信越化学工業社製)
【0051】
(製造方法)
A:成分1~8を均一に三本ローラーで処理する。
B:成分9~11を均一に溶解する。
C:成分12~23を75℃にて均一に分散する。
D:BにCを加え、75℃にて乳化する。
E:Dを50℃に冷却する。
F:Eに成分24~29を加え、均一に混合する。
G:FにAを添加し、均一に混合する。
H:Gを容器充填後、BBクリームを得る。
実施例31はみずみずしい使用感、化粧膜の均一性、肌補正効果、軽い伸び広がり全ての項目に優れた効果が得られるものであった。また、紫外線防御効果も得られるものであった。なお、(B)/(C)=0.5/(6+0.3+0.3+0.3)=0.072であった。
【0052】
実施例32:日焼け止め化粧料
(成分) (%)
1.トリセテアレス-4リン酸 0.05
2.PEG-30フィトステロール 0.2
3.1,3-ブチレングリコール 12
4.NAI処理酸化チタン*9 2
5.メチルパラベン 0.1
6.トラネキサム酸 2
7.乳酸ソーダ 1.5
8.ナイアシンアミド 3
9.(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)
コポリマー*2 1
10.精製水 残量
11.グリセリン 5
12.カルボマーNa*5 0.3
13.シリカ*27の表面に35nmの微粒子酸化亜鉛50%被覆
(屈折率 1.69) 4
14.イソプロピルトリ磯ステアロイルチタネート処理低温焼成酸化亜鉛*41
10
15.(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマー/
ジメチコン*42 4
16.(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー*43
1
17.ポリヒドロキシステアリン酸 0.5
18.ジメチコジエチルベンザルマロネート 2
19.パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル 7
20.2,4-ビス{[4-(2-エチル-ヘキシロキシ)-2-ヒドロキシ]
-フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-(1,3,5)
-トリアジン 1
21.ジメチコン(動粘度10mm2/s) 2.5
22.トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル 6
23.セトステアリルアルコール 1.5
24.ベヘニルアルコール 0.5
*41:ITT-5 MZ-500(大東化成工業社製)
*42:KSG-210(信越化学工業社製)
*43:KSP-100(信越化学工業社製)
【0053】
(製造方法)
A:成分1~4を均一に三本ローラーで処理する。
B:成分5~13を均一に溶解する。
C:成分14~24を75℃にて均一に分散する。
D:BにCを加え、75℃にて乳化する。
E:Dを40℃に冷却する。
F:EにAを添加し、均一に混合する。
G:Fを容器充填後、日焼け止め化粧料を得る。
実施例32の日焼け止め化粧料は、みずみずしい使用感、化粧膜の均一性、肌補正効果、軽い伸び広がり全ての項目に優れた効果が得られるものであった。また、紫外線防御効果も得られるものであった。なお、(B)/(C)=0.3/2=0.15であった。
【0054】
実施例33:日中用美容液
(成分) (%)
1.モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 0.1
2.1,3-ブチレングリコール 12
3.(アクリル/アクリル酸アルキル(C10-30))コポリマー*1 0.3
4.メチルパラベン 0.1
5.精製水 残量
6.エタノール 6
7.カルボマーNa*5 0.1
8.シリカ*44 4
9.シリカ*45 1
10.ポリヒドロキシステアリン酸 0.5
11.ジメチコジエチルベンザルマロネート 4
12.レシチン処理酸化チタン(平均粒子径0.25μm) 0.5
13.(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー/ジメチコン*20
1.5
14. トリエチルヘキサノイン 7.5
15.ジメチコン(動粘度6mm2/s) 2.5
16.デカメチルシクロペンタシロキサン 3
17.2-エチルヘキサン酸セチル 4
18.ジカプリン酸プロピレングリコール 2
19.酢酸トコフェロール 0.01
20.セラミド2 0.005
21.セラミド3 0.005
*44:ゴッドボールG6C(平均粒子径4μm、吸油量30ml/100g)(鈴木油脂工業社製)
*45:CHIFFONSIL-5T(平均粒子径5μm、屈折率1.65、無孔質シリカ、酸化チタン250nm30%含有)(日揮触媒化成社製)
【0055】
(製造方法)
A:成分1~7を75℃にて均一に分散する。
B:成分8~12を均一に三本ローラーで処理する。
C:成分13~21を75℃にて均一に分散する。
D:AにCを加え、75℃にて乳化する。
E:Dを40℃に冷却する。
F:EにCを添加し、均一に混合する。
G:Fを容器充填後、日中用美容液を得る。
実施例33の日中用美容液は、みずみずしい使用感、化粧膜の均一性、肌補正効果、軽い伸び広がり全ての項目に優れた効果が得られるものであった。なお、(B)/(C)=0.1/0.5=0.2であった。