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特開2022-115122コード式刈払機用刈払ヘッド、及びこの刈払ヘッドを用いたコード式刈払機
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  • 特開-コード式刈払機用刈払ヘッド、及びこの刈払ヘッドを用いたコード式刈払機 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022115122
(43)【公開日】2022-08-09
(54)【発明の名称】コード式刈払機用刈払ヘッド、及びこの刈払ヘッドを用いたコード式刈払機
(51)【国際特許分類】
   A01D 34/90 20060101AFI20220802BHJP
【FI】
A01D34/90 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021011580
(22)【出願日】2021-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】592013325
【氏名又は名称】ダイアトップ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137327
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 勝義
(72)【発明者】
【氏名】玉山 隆三
(72)【発明者】
【氏名】猪島 陽平
【テーマコード(参考)】
2B083
【Fターム(参考)】
2B083AA02
2B083CA12
2B083CA27
2B083CB06
2B083DA03
2B083GA02
2B083HA24
2B083HA37
2B083HA52
2B083HA53
(57)【要約】      (修正有)
【課題】コードカッターの消耗を抑制するとともに、動力源の負担を軽減することのできるコード式刈払機用刈払ヘッド、及びこの刈払ヘッドを用いたコード式刈払機を提供する。
【解決手段】操作ロッド50の先端部に設けられた取付け軸52に回転可能に取り付けられたヘッド本体2と、ヘッド本体2の上部に一体として設けられたカッターカバー3とからなるコード式刈払機用刈払ヘッド1、及びこの刈払ヘッド1を用いたコード式刈払機である。カッターカバー3の直径は、ヘッド本体2の直径の2倍以上、4倍以下である。また、ヘッド本体2の下端の外縁部、及びカッターカバー3の外縁部を水平面に当接させたとき、カッターカバー3の下面と水平面とのなす角は30度以下である。さらに、コード出口38とコードカッターCの先端とを結ぶ仮想直線と、コードカッターCの回転面とのなす角である跳ね上がり角の最大値は15度以下である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作ロッドの先端部に設けられた取付け軸に回転可能に取り付けられた略円筒状のヘッド本体と、該ヘッド本体の上部に一体として設けられた略ドーナツ板状のカッターカバーとからなるコード式刈払機用刈払ヘッドであって、
該ヘッド本体は、該カッターカバーの下方に設けられた2つのコード出口から両端を突出させたコードカッターを有し、
該カッターカバーの直径は、該ヘッド本体の直径の2倍以上、4倍以下であり、
該ヘッド本体の下端の外縁部、及び該カッターカバーの外縁部を水平面に当接させたとき、該カッターカバーの下面と該水平面とのなす角は30度以下であり、
該コード出口と該コードカッターの先端とを結ぶ仮想直線と、該コードカッターの回転面とのなす角である跳ね上がり角の最大値は15度以下であることを特徴とするコード式刈払機用刈払ヘッド。
【請求項2】
前記カッターカバーの外縁部には、肉厚の保護突起が形成されていることを特徴とする請求項1記載のコード式刈払機用刈払ヘッド。
【請求項3】
前記ヘッド本体は、前記コードカッターが巻回され前記取付け軸の軸心回りに回転するコードホルダと、該コードホルダの上部に配置され該コードカッターが収納されて両端を突出させるケースと、該ケースの上部に配置され該コードホルダと一体となって回転する蓋とを有し、
該蓋には前記カッターカバーが一体として設けられ、
該蓋又は該ケースの一方には、先端部に係止爪を有するストッパが回動可能に軸支され、
該蓋又は該ケースの他方には、該係止爪と係止して該ケースを該コードホルダ及び該蓋と一体として回転させる複数の係止面を有する外周面が円状に形成され、
該蓋又は該ケースの該他方には、該ストッパの後端部に設けられた戻し部を誘導して、該係止爪を該外周面に沿って移動させる誘導部が該外周面の内側に設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載のコード式刈払機用刈払ヘッド。
【請求項4】
前記操作ロッドと、該操作ロッドの先端部に取り付けられたギヤボックスと、該ギヤボックスから突出した前記取付け軸と、該取付け軸に回転可能に取り付けられた請求項1乃至3のうちいずれか1項記載のコード式刈払機用刈払ヘッドと、該刈払ヘッドを高速回転させる動力源とを有することを特徴とするコード式刈払機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コード式刈払機の操作ロッドの先端部に設けられるコード式刈払機用刈払ヘッド、及びこの刈払ヘッドを用いたコード式刈払機に関する。
【背景技術】
【0002】
コード式刈払機は、操作ロッドの先端部に取り付けられた刈払ヘッドからナイロンコード等のコードカッターが突出され、動力源により刈払ヘッドを高速回転させコードカッターにより草を刈ることができるようになっている。コードカッターは、刈払ヘッドの軸心を中心に回転するため、刈払ヘッドから遠い部分(以下、本明細書において「コードカッターの先端部分」という。)のほうが刈払ヘッドに近い部分(以下、本明細書において「コードカッターの基端部分」という。)より回転速度が速く、切断能力に優れている。そのため、コードカッターの先端部分で草を刈れば、動力源の負担を軽減するとともに安定してコード式刈払機を操作することができる。また、コード式刈払機の操作中においてコードカッターの回転面と地表面とのなす角が大きくなると、コードカッターの先端部分が地表面に当り易くなりコードカッターが消耗するだけでなく、動力源に負担をかけることとなる。したがって、コードカッターの回転面と地表面とは平行、又は平行に近い角度であることが望ましい。
【0003】
近年、環境問題、利便性等から充電式のコード式刈払機が用いられることが多くなっている。このコード式刈払機においてはコードカッターの先端部分以外で草を刈ったり、コードカッターの回転面を地表面に対して斜めにしたのでは、消費電力が増加してバッテリーの持ち時間が短くなってしまう。したがって、充電式のコード式刈払機においてはバッテリーの持ち時間を伸ばすため、コードカッターの先端部分で草を刈ること、及びコードカッターの回転面と地表面とを平行、又は平行に近い角度にすることが特に求められる。
【0004】
従来、特許文献1に記載されたコード式刈払機用刈払ヘッド、及びこの刈払ヘッドを用いたコード式刈払機が知られている。このコード式刈払機は、操作ロッド(操作管12)の先端部に取り付けられた刈払ヘッド(保持部材100)からコードカッター(ナイロンコード切断刃4a)が突出され、動力源(小型エンジン11)により刈払ヘッド(保持部材100)を高速回転させることによりコードカッター(ナイロンコード切断刃4a)が刈払ヘッド(保持部材100)の軸心を中心に高速回転するようになっている。そして、刈払ヘッド(保持部材100)の下端には円盤状のコードカッターカバー(ガイド部材200)が取り付けられている。このコード式刈払機では、コードカッターカバー(ガイド部材200)の外周より内側のコードカッター(ナイロンコード切断刃4a)は草に当ることはなく、外周より外側のコードカッター(ナイロンコード切断刃4a)により草を刈ることができる。そのため、このコード式刈払機によれば、コードカッター(ナイロンコード切断刃4a)の先端部分で草を刈ることができるため、動力源に負担をかけ難いと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許6106091号公報(P4、図1図3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1のコード式刈払機では、草刈作業中においてコードカッター(ナイロンコード切断刃4a)が地表面の凹凸や石等に当った場合、コードカッター(ナイロンコード切断刃4a)の先端部分だけでなく基端部分まで上方に大きく跳ね上り易く、コード式刈払機の操作が不安定になり作業能率が低下し易い。また、コードカッターカバー(ガイド部材200)の直径が刈払ヘッド(保持部材100)の直径よりも大きくなっているものの、具体的な大きさについては示されていない。そのため、草刈作業中においてコードカッター(ナイロンコード切断刃4a)と地表面とのなす角が大きくなって、コードカッター(ナイロンコード切断刃4a)の先端部分が地表面に当る場合が生じ得る。
【0007】
本発明はかかる従来の問題点に鑑みてなされたものであり、コードカッターの消耗を抑制するとともに、動力源の負担を軽減することのできるコード式刈払機用刈払ヘッド、及びこの刈払ヘッドを用いたコード式刈払機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項1に係るコード式刈払機用刈払ヘッドの特徴は、操作ロッドの先端部に設けられた取付け軸に回転可能に取り付けられた略円筒状のヘッド本体と、該ヘッド本体の上部に一体として設けられた略ドーナツ板状のカッターカバーとからなるコード式刈払機用刈払ヘッドであって、該ヘッド本体は、該カッターカバーの下方に設けられた2つのコード出口から両端を突出させたコードカッターを有し、該カッターカバーの直径は、該ヘッド本体の直径の2倍以上、4倍以下であり、該ヘッド本体の下端の外縁部、及び該カッターカバーの外縁部を水平面に当接させたとき、該カッターカバーの下面と該水平面とのなす角は30度以下であり、該コード出口と該コードカッターの先端とを結ぶ仮想直線と、該コードカッターの回転面とのなす角である跳ね上がり角の最大値は15度以下であることである。
【0009】
請求項2に係るコード式刈払機用刈払ヘッドの特徴は、前記カッターカバーの外縁部には、肉厚の保護突起が形成されていることである。
【0010】
請求項3に係るコード式刈払機用刈払ヘッドの特徴は、前記ヘッド本体は、前記コードカッターが巻回されるコードホルダと、該コードホルダの上部に配置され該コードカッターが収納されて両端を突出させるケースと、該ケースの上部に配置される蓋とを有し、該蓋には前記カッターカバーが一体として設けられ、該蓋又は該ケースの一方には、先端部に係止爪を有するストッパが回動可能に軸支され、該蓋又は該ケースの他方には、該係止爪と係止して該ケースを該コードホルダ及び該蓋と一体として回転させる複数の係止面を有する外周面が円状に形成され、該蓋又は該ケースの該他方には、該ストッパの後端部に設けられた戻し部を誘導して、該係止爪を該外周面に沿って移動させる誘導部が該外周面の内側に設けられていることである。
【0011】
請求項4に係るコード式刈払機の特徴は、前記操作ロッドと、該操作ロッドの先端部に取り付けられたギヤボックスと、該ギヤボックスから突出した前記取付け軸と、該取付け軸に回転可能に取り付けられた請求項1乃至3のうちいずれか1項記載のコード式刈払機用刈払ヘッドと、該刈払ヘッドを高速回転させる動力源とを有することである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係るコード式刈払機用刈払ヘッドでは、コードカッターが突出するコード出口より上方にカッターカバーが設けられているため、コードカッターが地表面の凹凸や石等に当った場合であっても、カッターカバーによりコードカッターの基端部が跳ね上げられることはない。また、カッターカバーの表面とコードカッターの回転面とは略平行であるため、カッターカバーの表面を目視することにより、コードカッターの回転面と地表面との角度を容易に把握することができる。そのため、カッターカバーの表面を地表面と略平行にすることにより、コードカッターの回転面と地表面とを容易に平行、又は平行に近い角度に維持することができる。さらに、カッターカバーの外縁部の外側にコードカッターの先端部分があるため、カッターカバーの外縁部を目安とすることにより草刈り位置を確実に把握することができる。
【0013】
また、カッターカバーの直径は、ヘッド本体の直径の2倍以上、4倍以下であるため、コード式刈払機の操作性を維持しつつコードカッターの先端部分で草を刈り易い。すなわち、カッターカバーの直径がヘッド本体の直径の2倍より小さい場合、切断能力の劣るコードカッターの基端部分までカッターカバーから突出することなり、動力源の負担が増加するとともに安定したコード式刈払機の操作が困難になる。また、カッターカバーの直径がヘッド本体の直径の4倍より大きい場合、ヘッド本体のコード出口から突出するコードカッターの長さが長くなり動力源の負担が増加するとともに、カッターカバーの重量、及び表面積が増加してコード式刈払機の操作性が悪くなる。
【0014】
さらに、ヘッド本体の下端の外縁部、及びカッターカバーの外縁部を水平面に当接させたとき、カッターカバーの下面と水平面とのなす角は30度以下である。そのため、カッターカバーの表面と地表面とが略水平の状態を維持したままコードカッターの先端部分を地表面近くまで下げることができ、コードカッターの先端部分を地表面に当てることなく草の根元まで刈ることができる。これに対し、カッターカバーの下面と水平面とのなす角が30度より大きい場合は、カッターカバーの表面を地表面に対し大きく傾けなければ草の根元まで刈ることができず、コードカッターの先端部分が地表面に当り易い。
【0015】
また、コード出口とコードカッターの先端とを結ぶ仮想直線と、コードカッターの回転面とのなす角である跳ね上がり角の最大値は15度以下であるため、コードカッターの上下運動がそれほど大きくなく、コード式刈払機の安定した操作が可能となる。したがって、このコード式刈払機用刈払ヘッドによれば、コードカッターの消耗を抑制するとともに、動力源の負担を軽減することができる。
【0016】
請求項2に係るコード式刈払機用刈払ヘッドでは、カッターカバーの外縁部には肉厚の保護突起が形成されている。そのため、カッターカバーの外縁部に石等の障害物が当った場合や、コードカッターが跳ね上がって当った場合であってもカッターカバーの損傷を抑制することができる。
【0017】
請求項3に係るコード式刈払機用刈払ヘッドでは、蓋にカッターカバーが一体として設けられているのみならず、ストッパ、又は外周面のいずれかが設けられている。そのため、蓋自体が複数の役割を果たし、部品点数を削減することができる。また、このコード式刈払機用刈払ヘッドでは、コードホルダの回転が所定回転より小さい場合は、係止爪と係止面とが係合してケースをコードホルダ及び蓋と一体として回転させる。そして、コードホルダの回転が所定回転以上になると、ストッパに加わる遠心力が大きくなることにより係止爪と係止面との係合が解除されて、ケースとコードホルダ及び蓋とが相対回転する。この際、戻し部と誘導部とにより、係止爪が外周面に沿って次の係止面との係合位置まで移動し、一定の長さのコードが繰り出される。コードホルダの回転が所定回転以上である間は、この動作が連続して起こり、隣接する係止面との係合位置までの係止爪の移動が飛ばされることがないため、ケースがコードホルダ及び蓋に対して急速に回転することはない。そのため、係止爪と係止面とが係合しても、ストッパに強い衝撃力が加わることはなく、ストッパや係止面の破損を抑制することができる。
【0018】
請求項4に係るコード式刈払機では、上記コード式刈払機用刈払ヘッドを用いているため、コードカッターの消耗を抑制するとともに、動力源の負担を軽減することができる。特に、動力源がバッテリーであるコード式刈払機においては、バッテリーの持ち時間を伸ばすことができ、この効果が大きい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態のコード式刈払機の斜視図。
図2】実施形態のコード式刈払機用刈払ヘッドのコード式刈払機への取り付け図。
図3】実施形態のコード式刈払機用刈払ヘッドの分解斜視図。
図4】実施形態のコード式刈払機用刈払ヘッドに係り、カッターカバーの外縁部の拡大断面図。
図5】実施形態のコード式刈払機用刈払ヘッドに係り、カッターカバーの直径とヘッド本体の直径との関係を示す図。
図6】実施形態のコード式刈払機用刈払ヘッドに係り、ヘッド本体とカッターカバーとを水平面に当接させた状態を示す図。
図7】実施形態のコード式刈払機用刈払ヘッドに係り、コードカッターの跳ね上がり角を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係るコード式刈払機用刈払ヘッド、及びこの刈払ヘッドを用いたコード式刈払機を具体化した実施形態を図面に基づいて以下に説明する。図1はコード式刈払機の斜視図である。図1に示すように、このコード式刈払機は、操作ロッド50と、操作ロッド50の先端部に取り付けられたギヤボックス51と、ギヤボックス51に回転可能に取り付けられたコード式刈払機用刈払ヘッド1(以下、「刈払ヘッド1」という。)と、刈払ヘッド1を高速回転させる動力源としてのバッテリー55とを有している。
【0021】
図2は、この刈払ヘッド1のコード式刈払機の操作ロッド50へ取り付けを示した図である。図2に示すように、刈払ヘッド1は、コード式刈払機の操作ロッド50の先端部のギヤボックス51から突出する取付け軸52にボルト53により取り付けられる。この刈払ヘッド1は、略円筒状のヘッド本体2と、ヘッド本体2の上部に一体として設けられた略ドーナツ板状のカッターカバー3とからなっている。ヘッド本体2は、カッターカバー3の下方に設けられた2つのコード出口38から両端を突出させたコードカッターCを有している。この刈払ヘッド1では、コードカッターCが突出するコード出口38より上方にカッターカバー3が設けられているため、コードカッターCが地表面の凹凸や石等に当った場合であっても、カッターカバー3によりコードカッターCの基端部が跳ね上げられることはない。また、カッターカバー3の表面とコードカッターCの回転面とは略平行であるため、カッターカバー3の表面を目視することにより、コードカッターCの回転面と地表面との角度を容易に把握することができる。さらに、カッターカバー3の外縁部の外側にコードカッターCの先端部分があるため、カッターカバー3の外縁部を目安とすることにより草刈り位置を確実に把握することができる。
【0022】
図3は、刈払ヘッド1の分解斜視図である。図3に示すように、このヘッド本体1は、蓋10、ストッパ20、スプリング25、ケース30、及びコードホルダ40を有している。そして、刈払ヘッド1は、取付け軸52の軸心L回りにコードCの両端を高速回転させて草を刈ることができる。蓋10は、中空円盤状の蓋本体11と、蓋本体11の中央部に突設された円筒状の円筒部12とを有している。そして、蓋本体11には、カッターカバー3が一体として設けられている。この円筒部12の内周には雌ネジ12aが形成され、雌ネジ12aは後述するコードホルダ40の円筒部41の外周部に形成された雄ネジ41bと螺合するようになっている。そして、雌ネジ12aと雄ネジ41bとを螺合させて蓋10とコードホルダ40とを固着させることにより、蓋10とコードホルダ40が一体として回動可能にされている。また、同心円上の対称位置には、2個の円柱状の回転支柱13、2個の円柱状の押圧支柱14、2個の取付部15が設けられている。
【0023】
カッターカバー3は、中央に透孔を有し上方に窪んだ凹部4と、凹部4から連続して外側に設けられた鍔部5とからなっている。そして、凹部4と蓋本体11とが一体として形成されている。また、鍔部5の外縁部の裏面には肉厚の保護突起5aが形成され、表面には凹条5bが形成されている。図4は、カッターカバー3の外縁部の拡大断面図である。図4に示すように、保護突起5aは断面が略台形状をなしているが、この他、半円状、逆三角形状等であってもよい。この保護突起5aにより、鍔部5の外縁部に石等の障害物が当った場合や、コードカッターが跳ね上がって当った場合であってもカッターカバー3の損傷を抑制することができる。また、凹条は軸心Lを中心とした同心円状に形成され、本実施形態においては3本形成されているが、3本以外の複数本であっても、1本であってもよい。この凹条5bは、カッターカバー3の外縁部が重くなりすぎないよう保護突起5aとの重量のバランス、及びカッターカバー3全体の軽量化のために設けられたものである。なお、蓋10以外の刈払ヘッド1についての構成、及び作用、効果は、本願の発明者により先に出願された特開2016-59310と略同様であり、以下においては簡単に説明する。
【0024】
図3に示すように、ストッパ20は僅かに鉤状に屈曲した板状をなし、先端部20aと後端部20bの中央部であって、先端部20a寄りの位置には回動孔21が開けられている。この回動孔21に蓋10の回転支柱13が挿入され、ストッパ20は回転支柱13回りに回動可能にされている。また、先端部20aには係止爪22が形成されている。さらに、回動孔21から後端部20bまでの重量は、回動孔21から先端部20aまでの重量よりも重くなっている。そして、先端部20aには段差部24が形成されている。また、後端部20bには、戻し部としての円筒状の突起23がケース30方向に突設されている。
【0025】
スプリング25はトーションバネであり、コイル部25a、第1アーム25b、及び第2アーム25cからなっている。コイル部25aに蓋10の押圧支柱13が挿入され、第1アーム25bが蓋10の取付部15に掛けられる。そして、第2アーム25cがストッパ20の段差部24に掛けられる。これにより、スプリング25によりストッパ20の先端部20aが蓋10の径方向外側に押圧される。
【0026】
ケース30は、両面に凹部31、32を有する円筒状をなし、中央に挿入孔30aが開けられている。凹部31にはストッパ20が収納され、外周にはストッパ20の係止爪22が案内される外周面33が円状に形成され、外周面33の8箇所にはストッパ20の係止爪22を係止する係止面34が形成されている。そして、外周面33の内側には、ストッパ20の後端部20bに設けられた突起23を誘導して、係止爪22を外周面33に沿って移動させる誘導部としての凸条35が設けられている。この凸条35の軸心L側の側面上に突起23を摺動させて、係止爪22を外周面33に沿って強制的に移動させるようになっている。また、凹部32側の外周部の対称位置には2組のコード出口38が設けられている。
【0027】
コードホルダ40は、円筒部41、底板42、及びフランジ43を有している。円筒部41は円筒状をなし、中空円盤状の底板42の中央に立設されている。円筒部41の中央部には円盤状のフランジ43が設けられ、底板42とフランジ43との間にはコード巻回部44が形成されている。このコード巻回部44にコードCが巻回されて収納される。この巻回部44に位置する円筒部41の対称位置には2つの図示しない貫通孔が開けられている。また、円筒部41のコード巻回部44より先端側には、外周部に雄ネジ41bが形成されている。さらに、円筒部41の内周面には中央孔41aが形成され、コードCの巻き取り時において、この中央孔41aから貫通孔を通してコードCをコード巻回部44に挿入することができるようになっている。
【0028】
この刈払ヘッド1においては、コードホルダ40の回転が所定回転より小さい場合は、係止爪22と係止面34とが係合してケース30をコードホルダ40及び蓋10と一体として回転させる。そして、コードホルダ40の回転が所定回転以上になると、ストッパ20に加わる遠心力が大きくなることにより係止爪22と係止面34との係合が解除されて、ケース30とコードホルダ40及び蓋10とが相対回転する。この際、突起23と凸条35とにより、係止爪22が外周面33に沿って次の係止面34との係合位置まで移動し、一定の長さのコードCが繰り出される。コードホルダ40の回転が所定回転以上である間は、この動作が連続して起こり、隣接する係止面34との係合位置までの係止爪22の移動が飛ばされることがないため、ケース30がコードホルダ40及び蓋10に対して急速に回転することはない。そのため、係止爪22と係止面34とが係合しても、ストッパ20に強い衝撃力が加わることはなく、ストッパ20や係止面34の破損を抑制することができる。また、コードホルダ40の回転が所定回転より小さくなって、係止爪22と係止面34とが係合するまでコードCが繰り出され続けるため、ケース40から突出されるコードCは所定の長さが確保される。
【0029】
次に、以上の構成、及び作用、効果を有する刈払ヘッド1のカッターカバー3とヘッド本体2との関係等について、図5から図7を用いて説明する。図5は、カッターカバー3の直径φ2とヘッド本体2の直径φ1との関係を示す図である。このカッターカバー3の直径φ2は、ヘッド本体2の直径φ1の2倍以上、4倍以下であり、コード式刈払機の操作性を維持しつつコードカッターCの先端部分で草を刈り易い。ここで、カッターカバー3の直径φ2がヘッド本体1の直径φ1の2倍より小さい場合、切断能力の劣るコードカッターCの基端部分までカッターカバー3から突出することなり、バッテリー55の負担が増加するとともに安定したコード式刈払機の操作が困難になる。また、カッターカバー3の直径φ2がヘッド本体1の直径φ1の4倍より大きい場合、ヘッド本体1のコード出口38から突出するコードカッターCの長さが長くなりバッテリー55の負担が増加するとともに、カッターカバー3の重量、及び表面積が増加してコード式刈払機の操作性が悪くなってしまう。
【0030】
図6は、ヘッド本体2とカッターカバー3とを水平面HPに当接させた状態を示す図である。ただし、コードカッターCを省略している。図6に示すように、ヘッド本体2の下端の外縁部、及びカッターカバー3の外縁部を水平面HPに当接させたとき、カッターカバー3の下面と水平面HPとのなす角θ1は30度以下である。そのため、カッターカバー3の表面と地表面とが略水平の状態を維持したままコードカッターCの先端部分を地表面近くまで下げることができ、コードカッターCの先端部分を地表面に当てることなく草の根元まで刈ることができる。これに対し、カッターカバー3の下面と水平面HPとのなす角θ1が30度より大きい場合は、カッターカバー3の表面を地表面に対し大きく傾けなければ草の根元まで刈ることができず、コードカッターCの先端部分が地表面に当り易い。
【0031】
図7は、コードカッターCの跳ね上がり角θ2を示す図である。ここで、跳ね上がり角θ2とは、ヘッド本体2のコード出口38とコードカッターCの先端とを結ぶ仮想直線VLと、コードカッターCの回転面SRとのなす角をいう。この跳ね上がり角θ2の最大値は15度以下である。そのため、コードカッターCに石等の障害物が当った場合であっても、コードカッターCの上下運動がそれほど大きくなることはない。
【0032】
実施形態のコード式刈払機用刈払ヘッドにおいては、コードカッターCが突出するコード出口38より上方にカッターカバー3が設けられているため、コードカッターCが地表面の凹凸や石等に当った場合であっても、カッターカバー3によりコードカッターCの基端部が跳ね上げられることはない。また、カッターカバー3の表面とコードカッターCの回転面とは略平行であるため、カッターカバー3の表面を目視することにより、コードカッターCの回転面と地表面との角度を容易に把握することができる。そのため、カッターカバー3の表面を地表面と略平行にすることにより、コードカッターCの回転面と地表面とを容易に平行、又は平行に近い角度に維持することができる。さらに、カッターカバー3の外縁部の外側にコードカッターCの先端部分があるため、カッターカバー3の外縁部を目安とすることにより草刈り位置を確実に把握することができる。
【0033】
また、カッターカバー3の直径φ2は、ヘッド本体2の直径φ1の2倍以上、4倍以下であるため、コード式刈払機の操作性を維持しつつコードカッターCの先端部分で草を刈り易い。さらに、ヘッド本体1の下端の外縁部、及びカッターカバー3の外縁部を水平面HPに当接させたとき、カッターカバー3の下面と水平面HPとのなす角は30度以下である。そのため、カッターカバー3の表面と地表面とが略水平の状態を維持したままコードカッターCの先端部分を地表面近くまで下げることができ、コードカッターCの先端部分を地表面に当てることなく草の根元まで刈ることができる。また、コード出口38とコードカッターCの先端とを結ぶ仮想直線VLと、コードカッターCの回転面SRとのなす角である跳ね上がり角θ2の最大値は15度以下であるため、コードカッターCの上下運動がそれほど大きくなく、コード式刈払機の安定した操作が可能となる。したがって、このコード式刈払機用刈払ヘッドによれば、コードカッターCの消耗を抑制するとともに、バッテリー55の負担を軽減することができる。
【0034】
また、このコード式刈払機用刈払ヘッドでは、カッターカバー3の外縁部には肉厚の保護突起5aが形成されている。そのため、カッターカバー3の外縁部に石等の障害物が当った場合、カッターカバー3の損傷を抑制することができる。
【0035】
さらに、このコード式刈払機用刈払ヘッドでは、蓋10にカッターカバー3が一体として設けられているのみならず、ストッパ20が設けられている。そのため、蓋10自体が複数の役割を果たし、部品点数を削減することができる。
【0036】
また、このコード式刈払機では、刈払ヘッド1を用いているため、コードカッターCの消耗を抑制するとともにバッテリー55の負担を軽減することができ、バッテリー55の持ち時間を伸ばすことができる。
【0037】
以上、本発明のコード式刈払機用刈払ヘッド1、及びこの刈払ヘッド1を用いたコード式刈払機を実施形態に即して説明したが、本発明はこれらに制限されるものではなく、本発明の技術的思想に反しない限り、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0038】
1…刈払ヘッド、2…ヘッド本体、3…カッターカバー、5a…保護突起、10…蓋、20…ストッパ、22…係止爪、23…戻し部(突起)、30…ケース、33…外周面、34…係止面、35…誘導部(凸条)、38…コード出口、40…コードホルダ、50…操作ロッド、51…ギヤボックス、52…取付け軸、55…動力源(バッテリー)、C…コード、HP…水平面、VL…仮想直線、SR…回転面、θ2…跳ね上がり角。

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図7