(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022115134
(43)【公開日】2022-08-09
(54)【発明の名称】光線方向制御素子及び表示装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/167 20190101AFI20220802BHJP
G02F 1/1681 20190101ALI20220802BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20220802BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20220802BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
G02F1/167
G02F1/1681
G02F1/13357
G02F1/1335
G09F9/00 313
G09F9/00 336E
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021011600
(22)【出願日】2021-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】303018827
【氏名又は名称】Tianma Japan株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100183955
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 悟郎
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100180334
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 洋美
(74)【代理人】
【識別番号】100177149
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 浩義
(74)【代理人】
【識別番号】100174067
【弁理士】
【氏名又は名称】湯浅 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136342
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 成美
(72)【発明者】
【氏名】塩田 国弘
(72)【発明者】
【氏名】住吉 研
【テーマコード(参考)】
2H291
2H391
2K101
5G435
【Fターム(参考)】
2H291FA60X
2H291FA60Z
2H291FA96X
2H291FA96Z
2H291FC10
2H291LA26
2H391AA01
2H391AC30
2H391FA05
2K101AA04
2K101BA02
2K101BC28
2K101BD24
2K101BD26
2K101BD27
2K101BD54
2K101BE07
2K101BE09
2K101BE61
2K101BF23
2K101BF43
2K101EB71
2K101ED01
2K101EE02
2K101EG52
2K101EJ11
2K101EK12
5G435AA00
5G435BB05
5G435BB12
5G435EE25
5G435FF02
5G435FF08
5G435HH02
(57)【要約】
【課題】3種類以上の角度分布で光を出射できる光線方向制御素子及び表示装置を提供する。
【解決手段】光線方向制御素子は、第1透光性基板10と、第1透光性基板10に対向する第2透光性基板20と、第1透光性基板10の第1主面10aの上に設けられる第1透光領域32と、第2透光性基板20の第1主面20aの上に設けられる第2透光領域42と、第1透光領域32の間に位置する複数の第1光吸収領域34と、第2透光領域42の間に位置する複数の第2光吸収領域44と、を備える。光線方向制御素子は、第1光吸収領域34と第2光吸収領域44とに封入された透光性分散媒52と、透光性分散媒52に分散された電気泳動粒子54と、を更に備える。第1透光性基板10の第1主面10aに対して垂直な断面で断面視した場合、第1透光領域32と第2透光領域42の第1透光性基板10の第1主面10aに対する傾斜角又は形状が異なる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1透光性基板と、
前記第1透光性基板に対向する第2透光性基板と、
前記第1透光性基板の第1主面の上に設けられ、前記第1透光性基板から前記第2透光性基板に向かって延びる、第1透光領域と、
前記第1透光性基板の第1主面に対向する前記第2透光性基板の第1主面の上に設けられ、前記第2透光性基板から前記第1透光性基板に向かって延び前記第1透光領域に連続する、第2透光領域と、
前記第1透光領域の間に位置し、前記第1透光性基板から前記第2透光性基板に向かって延びる、複数の第1光吸収領域と、
前記第2透光領域の間に位置し、前記第2透光性基板から前記第1透光性基板に向かって延び前記第1光吸収領域に連続する、複数の第2光吸収領域と
前記第1光吸収領域と前記第2光吸収領域とに封入された、透光性分散媒と、
光を吸収し、前記透光性分散媒に分散され、印加される電圧によって分散状態が変化する、帯電した電気泳動粒子と、を備え、
前記第1透光性基板の第1主面と前記第2透光性基板の第1主面に対して垂直な断面で断面視した場合、前記第1透光領域と前記第2透光領域の前記第1透光性基板の第1主面に対する傾斜角又は形状が異なる、
光線方向制御素子。
【請求項2】
平面視した場合、複数の前記第1透光領域と複数の前記第2透光領域が同方向に延び、
前記第1透光性基板の第1主面と前記第2透光性基板の第1主面に対して垂直な断面で断面視した場合、前記複数の第1透光領域は前記第1透光性基板の第1主面に対して垂直に延び、前記複数の第2透光領域は前記第1透光性基板の第1主面に垂直な方向に対して傾斜している、
請求項1に記載の光線方向制御素子。
【請求項3】
平面視した場合、複数の前記第1透光領域と複数の前記第2透光領域が同方向に延び、
前記第1透光性基板の第1主面と前記第2透光性基板の第1主面に対して垂直な断面で断面視した場合、前記複数の第1透光領域と前記複数の第2透光領域は、前記第1透光性基板の第1主面に垂直な方向に対して、互いに反対方向に傾斜している、
請求項1に記載の光線方向制御素子。
【請求項4】
平面視した場合、複数の前記第1透光領域と複数の前記第2透光領域はマトリクス状に配列され、
前記第1透光性基板の第1主面と前記第2透光性基板の第1主面に対して垂直な断面で断面視した場合、前記複数の第1透光領域は前記第1透光性基板の第1主面に対して垂直に延び、前記複数の第2透光領域は前記第1透光性基板の第1主面に垂直な方向に対して傾斜している、
請求項1に記載の光線方向制御素子。
【請求項5】
平面視した場合、複数の前記第1透光領域と複数の前記第2透光領域はマトリクス状に配列され、
前記第1透光性基板の第1主面と前記第2透光性基板の第1主面に対して垂直な断面で断面視した場合、前記複数の第1透光領域と前記複数の第2透光領域は、前記第1透光性基板の第1主面に垂直な方向に対して、互いに反対方向に傾斜している、
請求項1に記載の光線方向制御素子。
【請求項6】
前記第1透光性基板の第1主面と前記第2透光性基板の第1主面に対して垂直な断面で断面視した場合、複数の前記第1透光領域と複数の前記第2透光領域は、前記第1透光性基板の第1主面に平行な方向の幅が異なる、
請求項1に記載の光線方向制御素子。
【請求項7】
平面視した場合、前記複数の第1透光領域と前記複数の第2透光領域は同方向に延びる、
請求項6に記載の光線方向制御素子。
【請求項8】
平面視した場合、前記複数の第1透光領域は所定の第1方向に延び、前記複数の第2透光領域は前記第1透光領域の上に配列されている、
請求項6に記載の光線方向制御素子。
【請求項9】
平面視した場合、複数の前記第1透光領域と複数の前記第2透光領域が、互いに異なる方向に延びる、
請求項1に記載の光線方向制御素子。
【請求項10】
平面視した場合、前記第1透光領域は格子形状を有し、複数の前記第2透光領域が所定の第2方向に延びる、
請求項1に記載の光線方向制御素子。
【請求項11】
第1透光性電極が前記第1透光性基板の第1主面に設けられ、第2透光性電極が前記第2透光性基板に設けられ、
前記第1透光性電極と前記第2透光性電極により印加される電圧によって、前記電気泳動粒子の分散状態を変化させる、
請求項1から10のいずれか1項に記載の光線方向制御素子。
【請求項12】
第1透光性電極が前記第1透光性基板の第1主面に設けられ、第2透光性電極が前記第2透光性基板に設けられ、
前記第1透光領域と前記第1光吸収領域と、前記第2透光領域と前記第2光吸収領域との間に、第3透光性電極と第4透光性電極とを備え、
前記第1透光性電極と前記第3透光性電極により印加される電圧と、前記第2透光性電極と前記第4透光性電極により印加される電圧とによって、前記電気泳動粒子の分散状態を変化させる、
請求項1から10のいずれか1項に記載の光線方向制御素子。
【請求項13】
第1透光性電極が前記第1透光性基板の第1主面に設けられ、第2透光性電極が前記第2透光性基板に設けられ、
前記第1透光領域と前記第1光吸収領域と、前記第2透光領域と前記第2光吸収領域との間に、第5透光性電極を備え、
前記第1透光性電極と前記第5透光性電極とにより印加される電圧と、前記第2透光性電極と前記第5透光性電極により印加される電圧とによって、前記電気泳動粒子の分散状態を変化させる、
請求項1から10のいずれか1項に記載の光線方向制御素子。
【請求項14】
前記電気泳動粒子に印加する電圧を制御する電圧制御部を備え、
前記電圧制御部は、前記電気泳動粒子の分散状態を、前記電気泳動粒子が前記第1光吸収領域と前記第2光吸収領域とにおいて分散した分散状態から、前記電気泳動粒子に第1電圧値の電圧が印加されることによって形成される、前記電気泳動粒子が前記第1光吸収領域と前記第2光吸収領域の一方において分散し他方において分散していない分散状態に遷移させる場合、前記電気泳動粒子に前記第1電圧値よりも大きい第2電圧値の電圧を印加することによって、前記電気泳動粒子を前記第1光吸収領域と前記第2光吸収領域の一方に凝集させた分散状態を介して前記電気泳動粒子の分散状態を遷移させる、
請求項1から13のいずれか1項に記載の光線方向制御素子。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか1項に記載の光線方向制御素子と、
表示パネルと、を備え、
前記光線方向制御素子は、前記表示パネルの表示面に配置されている、
表示装置。
【請求項16】
請求項1から14のいずれか1項に記載の光線方向制御素子と、
透過型液晶表示パネルと、
前記透過型液晶表示パネルの表示面と反対側に配置され、前記透過型液晶表示パネルに光を供給するバックライトと、を備え、
前記光線方向制御素子は、前記透過型液晶表示パネルと前記バックライトとの間に配置されている、
表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光線方向制御素子及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
透過する光の方向を制御する光線方向制御素子が、知られている。例えば、特許文献1は、液晶表示素子の前面側に配置され、面発光光源から出射し液晶表示素子を通過した光線の方向を制御する光学素子を開示している。特許文献1の光学素子は、透明電極膜を有する一対の透明基材と、紫外線硬化型の高分子材料に液晶分子が分散されてなり一対の透明基材の間に配置された複合材料層とを含んでいる。複合材料層は、液晶分子を一対の透明基材が相互に対向する方向に配向させた状態で高分子材料が硬化した光透過性の第1の領域と、透光性配向状態と光散乱性配向状態とが電気的に切り換え可能であり第1の領域に隣接する第2の領域とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、液晶材料を透光性配向状態にすることで、液晶表示素子から光線を第1の角度で出射させる第1の視野角モードと、液晶材料を光散乱性配向状態にすることで、液晶表示素子から光線を第1の角度よりも小さい第2の角度で出射させる第2の視野角モードとを選択的に切り替える。特許文献1の光学素子は、光を2種類の角度分布で出射できる。一方、使用状況に応じて、光を多種類の角度分布で出射できる光学素子が求められている。
【0005】
本開示は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、3種類以上の角度分布で光を出射できる光線方向制御素子及び表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、第1の観点に係る光線方向制御素子は、
第1透光性基板と、
前記第1透光性基板に対向する第2透光性基板と、
前記第1透光性基板の第1主面の上に設けられ、前記第1透光性基板から前記第2透光性基板に向かって延びる、第1透光領域と、
前記第1透光性基板の第1主面に対向する前記第2透光性基板の第1主面の上に設けられ、前記第2透光性基板から前記第1透光性基板に向かって延び前記第1透光領域に連続する、第2透光領域と、
前記第1透光領域の間に位置し、前記第1透光性基板から前記第2透光性基板に向かって延びる、複数の第1光吸収領域と、
前記第2透光領域の間に位置し、前記第2透光性基板から前記第1透光性基板に向かって延び前記第1光吸収領域に連続する、複数の第2光吸収領域と
前記第1光吸収領域と前記第2光吸収領域とに封入された、透光性分散媒と、
光を吸収し、前記透光性分散媒に分散され、印加される電圧によって分散状態が変化する、帯電した電気泳動粒子と、を備え、
前記第1透光性基板の第1主面と前記第2透光性基板の第1主面に対して垂直な断面で断面視した場合、前記第1透光領域と前記第2透光領域の前記第1透光性基板の第1主面に対する傾斜角又は形状が異なる。
【0007】
第2の観点に係る表示装置は、
上記に記載の光線方向制御素子と、
表示パネルと、を備え、
前記光線方向制御素子は、前記表示パネルの表示面に配置されている。
【0008】
第3の観点に係る表示装置は、
上記に記載の光線方向制御素子と、
透過型液晶表示パネルと、
前記透過型液晶表示パネルの表示面と反対側に配置され、前記透過型液晶表示パネルに光を供給するバックライトと、を備え、
前記光線方向制御素子は、前記透過型液晶表示パネルと前記バックライトとの間に配置されている。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、第1透光領域と第2透光領域の第1透光性基板の第1主面に対する傾斜角又は形状が異なるので、3種類以上の角度分布で光を出射できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1に係る光線方向制御素子を示す模式図である。
【
図2】実施形態1に係る光線方向制御部を示す断面図である。
【
図3】実施形態1に係る表示装置を示す模式図である。
【
図4】実施形態1に係る、第1透光領域と第1光吸収領域と第2透光領域と第2光吸収領域とを示す斜視図である。
【
図5】実施形態1に係る遮光モードを示す模式図である。
【
図6】実施形態1に係る第1斜め狭視野モードを示す模式図である。
【
図7】実施形態1に係る、XZ平面に平行な平面における光線方向制御素子の出射光の角度分布を示す図である。
【
図8】実施形態1に係る第1垂直狭視野モードを示す模式図である。
【
図9】実施形態1に係る第1広視野モードを示す模式図である。
【
図10】実施形態1に係る第2広視野モードを示す模式図である。
【
図11】実施形態1に係る光線方向制御素子の製造方法を示すフローチャートである。
【
図12】実施形態2に係る、第1透光領域と第1光吸収領域と第2透光領域と第2光吸収領域とを示す斜視図である。
【
図13】実施形態2に係る光線方向制御部を示す断面図である。
【
図14】実施形態2に係る第3斜め狭視野モードを示す模式図である。
【
図15】実施形態2に係る、XZ平面に平行な平面における光線方向制御素子の出射光の角度分布を示す図である。
【
図16】実施形態3に係る、第1透光領域と第1光吸収領域と第2透光領域と第2光吸収領域とを示す斜視図である。
【
図17】実施形態3に係る第2垂直狭視野モードを示す模式図である。
【
図18】実施形態3に係る、YZ平面に平行な平面における光線方向制御素子の出射光の角度分布を示す図である。
【
図19】実施形態4に係る、第1透光領域と第1光吸収領域と第2透光領域と第2光吸収領域とを示す斜視図である。
【
図20】実施形態4に係る光線方向制御部を示す断面図である。
【
図21】実施形態4に係る第3垂直狭視野モードを示す模式図である。
【
図22】実施形態4に係る、XZ平面に平行な平面における光線方向制御素子の出射光の角度分布を示す図である。
【
図23】実施形態5に係る、第1透光領域と第1光吸収領域と第2透光領域と第2光吸収領域とを示す斜視図である。
【
図24】実施形態5に係る第6垂直狭視野モードを示す模式図である。
【
図25】実施形態5に係る、YZ平面に平行な平面における光線方向制御素子の出射光の角度分布を示す図である。
【
図26】実施形態6に係る、第1透光領域と第1光吸収領域と第2透光領域と第2光吸収領域とを示す斜視図である。
【
図27】実施形態6に係る第9垂直狭視野モードを示す模式図である。
【
図28】実施形態6に係る、XZ平面に平行な平面における光線方向制御素子の出射光の角度分布を示す図である。
【
図29】実施形態6に係る、YZ平面に平行な平面における光線方向制御素子の出射光の角度分布を示す図である。
【
図30】実施形態6に係る第10垂直狭視野モードを示す模式図である。
【
図31】実施形態6に係る第10垂直狭視野モードを示す模式図である。
【
図32】実施形態7に係る第1透光領域と第1光吸収領域と第2透光領域とを示す平面図である。
【
図33】実施形態7に係る、第1透光領域と第1光吸収領域と第2透光領域と第2光吸収領域とを示す側面図である。
【
図34】実施形態7に係る第12垂直狭視野モードを示す模式図である。
【
図35】実施形態7に係る、XZ平面に平行な平面における光線方向制御素子の出射光の角度分布を示す図である。
【
図36】実施形態7に係る、YZ平面に平行な平面における光線方向制御素子の出射光の角度分布を示す図である。
【
図37】実施形態7に係る第14垂直狭視野モードを示す模式図である。
【
図38】実施形態8に係る光線方向制御部を示す断面図である。
【
図39】実施形態8に係る第5斜め狭視野モードを示す模式図である。
【
図40】実施形態8に係る第15垂直狭視野モードを示す模式図である。
【
図41】実施形態8に係る第15広視野モードを示す模式図である。
【
図42】変形例に係る光線方向制御部を示す断面図である。
【
図43】変形例に係る表示装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態に係る光線方向制御素子と表示装置について、図面を参照して説明する。
【0012】
<実施形態1>
図1~
図11を参照して、本実施形態に係る光線方向制御素子200を説明する。光線方向制御素子200は、
図1に示すように、光線方向制御部100と電圧制御部110とを備える。光線方向制御部100は、透過する光(すなわち、光線方向制御部100からの出射光)の角度分布を制御する。光線方向制御部100は、
図2に示すように、第1透光性基板10と、第2透光性基板20と、第1透光領域32と、第1光吸収領域34と、第2透光領域42と、第2光吸収領域44とを備える。第1光吸収領域34と第2光吸収領域44には、透光性分散媒52と電気泳動粒子54が封入されている。電圧制御部110は、電気泳動粒子54に印加する電圧を制御する。なお、理解を容易にするため、本明細書では、
図1における光線方向制御部100の右方向(紙面の右方向)を+X方向、上方向(紙面の上方向)を+Z方向、+X方向と+Z方向に垂直な方向(紙面の奥方向)を+Y方向として説明する。また、+X方向を左方向と、-X方向を右方向と、+Y方向を上方向と、-Y方向を下方向とも記載する。
【0013】
光線方向制御素子200は、
図3に示すように、表示パネル210と共に表示装置300を構成する。表示装置300は、スマートフォン、ラップトップ型コンピュータ、車両、インフォメーションディスプレイ等に搭載される。表示パネル210は、文字、画像等を表示する。表示パネル210は、液晶表示パネル、有機EL(Electro Luminescence)表示パネル等である。
【0014】
光線方向制御素子200は、表示パネル210から出射され光線方向制御部100を透過する、光の角度分布を制御する。光線方向制御素子200の光線方向制御部100は、表示パネル210の表示面に配置される。
【0015】
図2に戻り、光線方向制御部100の第1透光性基板10は、可視光を透過する。第1透光性基板10は、例えば平板状のガラス基板である。第1透光性基板10は、第1主面10aの上に第1透光性電極12を有する。本実施形態では、第1透光性電極12は、第1主面10aの全面に、ITO(Indium Tin Oxide)から形成されている。また、第1透光性電極12の上に、図示しない絶縁層が設けられている。絶縁層は、例えば、酸化ケイ素(SiO
2)から形成される。
【0016】
光線方向制御部100の第2透光性基板20は、第1透光性基板10と同様に、可視光を透過する。第2透光性基板20は、例えば平板状のガラス基板である。第2透光性基板20は、第1主面20aの上に第2透光性電極22を有する。第2透光性電極22は、第1主面20aの全面に、ITOから形成される。また、第2透光性電極22の上に、絶縁層が設けられる。
【0017】
第2透光性基板20は、第1透光性基板10と対向している。本実施形態では、第1透光性基板10の第1主面10aと第2透光性基板20の第1主面20aが対向している。
【0018】
光線方向制御部100の第1透光領域32は、可視光を透過する領域である。第1透光領域32は、例えば、透光性を有する樹脂から形成される透光層である。第1透光領域32は、第1透光性基板10の第1主面10aの上に設けられる。本実施形態では、複数の第1透光領域32が、所定の間隔でX方向に配列されている。第1透光領域32は、直方体形状を有し、
図4に示すように、Y方向に延びている。また、
図2に示すように、第1透光領域32は、第1透光性基板10から第2透光性基板20に向かって、第1透光性基板10の第1主面10aに対して垂直に延びて、第2透光領域42に連続している。
【0019】
光線方向制御部100の第1光吸収領域34は、
図2、
図4に示すように、隣接する第1透光領域32の間の領域である。第1光吸収領域34は、第1透光領域32と同様に、第1透光性基板10から第2透光性基板20に向かって、第1透光性基板10の第1主面10aに対して垂直に延びる。第1光吸収領域34の詳細については、後述する。
【0020】
光線方向制御部100の第2透光領域42は、第1透光領域32と同様に、可視光を透過する領域である。第2透光領域42は、例えば、透光性を有する樹脂から形成される透光層である。第2透光領域42は、第2透光性基板20の第1主面20aの上に設けられる。本実施形態では、複数の第2透光領域42が、第1透光領域32と同じ間隔で、X方向に配列されている。第2透光領域42は、斜四角柱形状を有し、
図4に示すように、Y方向に延びている。また、第2透光領域42は、第2透光性基板20から第1透光性基板10に向かって延びて、第1透光領域32に連続している。
図2に示すように、第2透光領域42は、第1透光性基板10の第1主面10aと第2透光性基板20の第1主面20aに対して垂直な断面(XZ平面)で断面視した場合、第1透光性基板10の第1主面10aに垂直な方向(+Z方向)に対して、+X方向側に角度θで傾斜している。本実施形態では、角度θは、第2透光領域42のZ方向の高さをH2と、第1透光領域32と第2透光領域42のX方向の幅をD1とした場合、tanθ≧D1/H2を満たしている。
【0021】
第2透光領域42は第1透光性基板10の第1主面10aに垂直な方向に対して傾斜しており、第1透光領域32は第1透光性基板10の第1主面10aに対して垂直に延びている。したがって、第1透光性基板10の第1主面10aと第2透光性基板20の第1主面20aに対して垂直な断面(XZ平面)で断面視した場合、
図2に示すように、第1透光領域32と第2透光領域42の第1透光性基板10の第1主面10aに対する傾斜角は、異なっている。なお、第1透光領域32のZ方向の高さH1と第2透光領域42のZ方向の高さH2の和Hと、第1透光領域32と第2透光領域42のX方向の幅D1との比は、例えば4:1~3:1である。
【0022】
光線方向制御部100の第2光吸収領域44は、
図2、
図4に示すように、隣接する第2透光領域42の間の領域である。XZ平面で断面視した場合、第2透光領域42が+Z方向に対して+X方向側に角度θで傾斜しているので、第2光吸収領域44も+Z方向に対して+X方向側に角度θで傾斜している。第2光吸収領域44は、第2透光領域42と同様に、第2透光性基板20から第1透光性基板10に向かって延び、第1光吸収領域34に連続している。第2光吸収領域44の詳細については、後述する。
【0023】
光線方向制御部100の透光性分散媒52は、第1光吸収領域34と第2光吸収領域44に封入される。透光性分散媒52は可視光を透過する。透光性分散媒52は、電気泳動粒子54を分散する。
【0024】
光線方向制御部100の電気泳動粒子54は、透光性分散媒52に分散され、可視光を吸収する。電気泳動粒子54は、正又は負に帯電し、第1透光性電極12と第2透光性電極22により印加される電圧によって、透光性分散媒52中での分散状態が変化する。電気泳動粒子54は、例えば、帯電したカーボンブラック粒子である。本実施形態では、電気泳動粒子54は負に帯電していると仮定する。
【0025】
ここで、第1光吸収領域34と第2光吸収領域44について、説明する。
第1光吸収領域34と第2光吸収領域44には、透光性分散媒52と透光性分散媒52に分散された電気泳動粒子54とが封入されている。したがって、第1光吸収領域34と第2光吸収領域44は、第1透光性電極12と第2透光性電極22と共に、電気泳動素子として機能する。
【0026】
第1透光性電極12の電位V1と第2透光性電極22の電位V2が等しく、電気泳動粒子54に電圧が印加されていない場合、電気泳動粒子54は第1光吸収領域34と第2光吸収領域44の全体に渡って均一に分散し、第1光吸収領域34と第2光吸収領域44は、全体に渡って、光吸収層として機能する。第1透光性電極12の電位V1と第2透光性電極22の電位V2を制御することにより、第1光吸収領域34のみ、第2光吸収領域44のみ等に電気泳動粒子54を分散させて、電気泳動粒子54の分散状態に応じた領域を光吸収層として機能させることができる。電気泳動粒子54の分散状態と光線方向制御素子200の動作については、後述する。
【0027】
光線方向制御素子200の電圧制御部110は、第1透光性電極12の電位V1と第2透光性電極22の電位V2を制御することにより、電気泳動粒子54に印加する電圧を制御する。電圧制御部110は、例えば、コントローラ、電源回路等を含む制御回路である。
【0028】
光線方向制御素子200の動作について、説明する。ここでは、どの方向から見ても輝度が一定である面光源(均等拡散面光源)500を、光線方向制御部100の第1透光性基板10側に配置したと仮定して、光線方向制御素子200の動作を説明する。光線方向制御素子200は、-Z方向から入射した光510の角度分布を制御して、+Z方向へ出射する。
【0029】
(遮光モード)
電圧制御部110により、第1透光性電極12の電位V1と第2透光性電極22の電位V2が等しく制御されている場合(V1=V2)、電気泳動粒子54は第1光吸収領域34と第2光吸収領域44の全体に渡って均一に分散している。したがって、第1光吸収領域34と第2光吸収領域44が光吸収層として機能する。
【0030】
XZ平面で断面視した場合、第1光吸収領域34は第1透光性基板10の第1主面10aに対して垂直であり、第2光吸収領域44はZ方向に対して+X方向側に角度θ(tanθ≧D1/H2)で傾斜しているので、
図5に示すように、光吸収層として機能する第1光吸収領域34と第2光吸収領域44は、面光源500から入射する光510をすべて吸収する。また、第1光吸収領域34と第2光吸収領域44はY方向に延びているので、光吸収層として機能する第1光吸収領域34と第2光吸収領域44は、YZ平面で断面視した場合も、面光源500から入射する光510をすべて吸収する。したがって、第1透光性電極12の電位V1と第2透光性電極22の電位V2が等しい場合、光線方向制御素子200は面光源500からの光510を遮光する。以下では、上記の状態を遮光モードと記載する。遮光モードでは、光線方向制御素子200は、表示パネル210からの出射光を遮る。
【0031】
(第1斜め狭視野モード)
電圧制御部110により、第2透光性電極22の電位V2が第1透光性電極12の電位V1よりも大きく制御されている場合(V2>V1)、負に帯電している電気泳動粒子54は、
図6に示すように、第2光吸収領域44に集まり、第2光吸収領域44において分散する。一方、第1光吸収領域34には、電気泳動粒子54はほとんど存在しない。したがって、第2光吸収領域44のみが光吸収層として機能する。以下では、上記の状態を第1斜め狭視野モードと記載する。
【0032】
XZ平面で断面視した場合、第2光吸収領域44と第2透光領域42は+Z方向に対して+X方向側に角度θ(tanθ≧D1/H2)で傾斜している。したがって、第1斜め狭視野モードでは、面光源500から入射する光510のうち、Z方向に対して+X方向側に角度θ近傍の角度を有する光は、第2光吸収領域44に吸収されず、光線方向制御部100から出射する。また、XZ平面では、+Z方向に対して+X方向側に角度θ近傍の角度を有する光以外の光は、第2光吸収領域44に吸収される。したがって、XZ平面に平行な平面において、+X方向を0°と、+Z方向を90°と、-X方向を180°とした場合、第1斜め狭視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、
図7に示すように、90°-θ近傍の狭い角度分布を有する。なお、XZ平面に平行な面における光線方向制御素子200からの出射光の角度分布については、以下の実施形態においても、+X方向を0°と、+Z方向を90°と、-X方向を180°として説明する。XZ平面に平行な平面はXZ平面を含んでいる。
【0033】
本実施形態では、+X方向側に角度θ(tanθ≧D1/H2)で傾斜した第2透光領域42と第2光吸収領域44がY方向に延びている。したがって、YZ平面に対して+X方向側に傾斜した平面(0°<傾斜角<2×θ)に平行な平面では、第1斜め狭視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、均等な角度分布を有する。
【0034】
以上のように、第1斜め狭視野モードおける光線方向制御素子200からの出射光は、XZ平面に平行な平面において90°-θ近傍の狭い角度分布を有し、YZ平面に対して+X方向側に傾斜した平面に平行な平面において均等な角度分布を有する。したがって、第1斜め狭視野モードでは、光線方向制御素子200は、表示装置300の左右方向(X方向)の視野角を、正面(+Z方向)に対して右方向(+X方向)の角度θ近傍に制限できる。
【0035】
(第1垂直狭視野モード)
電圧制御部110により、第1透光性電極12の電位V1が第2透光性電極22の電位V2よりも大きく制御されている場合(V1>V2)、負に帯電している電気泳動粒子54は、
図8に示すように、第1光吸収領域34に集まり、第1光吸収領域34において分散する。一方、第2光吸収領域44には、電気泳動粒子54はほとんど存在しない。したがって、第1光吸収領域34のみが光吸収層として機能する。以下では、上記の状態を第1垂直狭視野モードと記載する。
【0036】
XZ平面で断面視した場合、第1光吸収領域34と第1透光領域32は、第1透光性基板10の第1主面10aに対して垂直であるので、第1垂直狭視野モードでは、
図8に示すように、面光源500から入射する光510のうち、+Z方向近傍以外の光は第1光吸収領域34に吸収される。また、XZ平面では、面光源500から入射する光510のうち、+Z方向近傍の光は光線方向制御部100から出射する。したがって、XZ平面に平行な平面では、第1垂直狭視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、
図7に示すように、90°(+Z方向)近傍の狭い角度分布を有する。
YZ平面に平行な平面では、第1透光領域32と第1光吸収領域34がY方向に延びているので、第1垂直狭視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、均等な角度分布を有する。なお、YZ平面に平行な平面はYZ平面を含んでいる。
【0037】
以上のように、第1垂直狭視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、XZ平面に平行な平面において90°(+Z方向)近傍の狭い角度分布を有し、YZ平面に平行な平面において均等な角度分布を有する。したがって、第1垂直狭視野モードでは、光線方向制御素子200は、表示装置300の左右方向(X方向)の視野角を、正面(+Z方向)近傍に制限できる。
【0038】
(第1広視野モード)
電圧制御部110により、第2透光性電極22の電位V2が第1透光性電極12の電位V1よりも大きく、電位V2と電位V1との差が第1斜め狭視野モードよりも大きく制御されている場合(V2>>V1)、負に帯電している電気泳動粒子54は、
図9に示すように、第2光吸収領域44の第2透光性電極22側に凝集する。したがって、第1光吸収領域34と第2光吸収領域44は、光吸収層として、ほとんど機能しない。以下では、上記の状態を第1広視野モードと記載する。
【0039】
第1広視野モードでは、第1光吸収領域34と第2光吸収領域44が光吸収層としてほとんど機能しない。したがって、XZ平面に平行な平面では、第1広視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、
図7に示すように、均等な角度分布を有する。また、YZ平面に平行な平面においても、第1広視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、均等な角度分布を有する。第1広視野モードでは、光線方向制御素子200は表示装置300の視野角を制限しない。
【0040】
(第2広視野モード)
電圧制御部110により、第1透光性電極12の電位V1が第2透光性電極22の電位V2よりも大きく、電位V1と電位V2との差が第1垂直狭視野モードよりも大きく制御されている場合(V1>>V2)、負に帯電している電気泳動粒子54は、
図10に示すように、第1光吸収領域34の第1透光性電極12側に凝集する。したがって、第1光吸収領域34と第2光吸収領域44は、光吸収層として、ほとんど機能しない。以下では、上記の状態を第2広視野モードと記載する。
【0041】
第2広視野モードでは、第1光吸収領域34と第2光吸収領域44が光吸収層としてほとんど機能しない。したがって、XZ平面に平行な平面とYZ平面に平行な平面では、第2広視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、第1広視野モードと同様に、均等な角度分布を有する。第2広視野モードでは、光線方向制御素子200は表示装置300の視野角を制限しない。
【0042】
以上のように、光線方向制御素子200では、第1透光性電極12の電位V1と第2透光性電極22の電位V2(電気泳動粒子54に印加される電圧)を制御することによって、3種類以上の角度分布で光を出射できる。
【0043】
光線方向制御素子200では、遮光モードから第1斜め狭視野モードに移行する場合、遮光モードから第1広視野モードを介して第1斜め狭視野モードに移行することが、好ましい。また、遮光モードから第1垂直狭視野モードに移行する場合、遮光モードから第2広視野モードを介して第1垂直狭視野モードに移行することが、好ましい。これらにより、電気泳動粒子54が第1光吸収領域34又は第2光吸収領域44に安定して分散し、モード移行の再現性を高くできる。
【0044】
遮光モードから第1斜め狭視野モードへの移行を例に、具体的に説明する。
電圧制御部110は、電気泳動粒子54に印加する電圧を制御することにより、電気泳動粒子54の分散状態を、電気泳動粒子54が第1光吸収領域34と第2光吸収領域44とにおいて分散した分散状態(遮光モード)から、電気泳動粒子54が第2光吸収領域44において分散し、第1光吸収領域34において分散していない分散状態(第1斜め狭視野モード)に遷移させる。遮光モードでは、電圧は電気泳動粒子54に印加されていない。第1斜め狭視野モードでは、第1電圧値の電圧(V2>V1)が電気泳動粒子54に印加されている。この場合、電圧制御部110は、一旦、第1電圧値よりも大きい第2電圧値の電圧(V2>>V1)を印加することによって、電気泳動粒子54を第2光吸収領域44に凝集させた分散状態(第1広視野モード)を介して、電気泳動粒子54を第1光吸収領域34と第2光吸収領域44とにおいて分散した分散状態から、電気泳動粒子54が第2光吸収領域44において分散し、第1光吸収領域34において分散していない分散状態に遷移させる。これにより、電気泳動粒子54を、一旦、第2光吸収領域44に凝集させた後に、第2光吸収領域44に分散させるので、安定した分散状態を形成できる。なお、遮光モードから第1垂直狭視野モードへの移行においても、上記と同様である。
【0045】
次に、光線方向制御素子200の製造方法を説明する。
図11は、光線方向制御素子200の製造方法を示すフローチャートである。光線方向制御素子200の製造方法は、第1透光性基板10の第1主面10aの上に第1透光領域32を形成する工程(ステップS10)と、第2透光性基板20の第1主面20aの上に第2透光領域42を形成する工程(ステップS20)と、第1透光性基板10と第2透光性基板20とを貼り合わせて、第1透光領域32と第2透光領域42とを接続する工程(ステップS30)と、電気泳動粒子54を分散させた透光性分散媒52を充填する工程(ステップS40)と、電圧制御部110を電気的に接続する工程(ステップS50)と、を含む。
【0046】
ステップS10では、公知のフォトリソグラフィー技術を用いて、第1透光性電極12と絶縁層とを設けられた第1透光性基板10の第1主面10aの上に、第1透光領域32を形成する。第1透光領域32は、例えば、化学増幅型フォトレジスト:SU-8(商品名、日本化薬株式会社)から形成される。
【0047】
ステップS20では、ステップS10と同様に、第2透光性電極22と絶縁層とを設けられた第2透光性基板20の第1主面20aの上に、第2透光領域42を形成する。
【0048】
ステップS30では、第1透光性基板10の第1主面10aと第2透光性基板20の第1主面20aとを対向させて、第1透光性基板10と第2透光性基板20とを、重ね合わせる。この場合、第1透光性基板10と第2透光性基板20とを直接重ねただけでもよいし、第1透光性基板10と第2透光性基板20とを接着剤によって貼り合わせてもよい。これにより、第1透光領域32と第2透光領域42が接続される。接着剤は、熱硬化型接着剤、UV(Ultraviolet)硬化型接着剤等である。
【0049】
ステップS40では、隣接する第1透光領域32の間と、隣接する第2透光領域42の間とに、電気泳動粒子54を分散させた透光性分散媒52を充填する。これにより、第1光吸収領域34と第2光吸収領域44が形成される。第1光吸収領域34と第2光吸収領域44は、接着剤により封止される。
【0050】
ステップS50では、電圧制御部110と、第1透光性電極12と第2透光性電極22とを電気的に接続する。以上により、光線方向制御素子200を製造できる。
【0051】
以上のように、XZ平面で断面視した場合、第1透光領域32と第2透光領域42の第1透光性基板10の第1主面10aに対する傾斜角が異なっているので、光線方向制御素子200は、第1透光性電極12の電位V1と第2透光性電極22の電位V2(電気泳動粒子54に印加される電圧)を制御することによって、3種類以上の角度分布で光を出射できる。
【0052】
<実施形態2>
実施形態1の第1透光領域32と第1光吸収領域34は、第1透光性基板10の第1主面10aに対して垂直であるが、第1透光領域32と第1光吸収領域34は、XZ平面で断面視した場合、第1透光性基板10の第1主面10aに垂直な方向(+Z方向)に対して傾斜してもよい。
【0053】
本実施形態の光線方向制御素子200では、第1透光領域32と第1光吸収領域34の構成が、実施形態1の第1透光領域32と第1光吸収領域34の構成と異なる。本実施形態の光線方向制御素子200のその他の構成は、実施形態1の光線方向制御素子200の構成と同様である。ここでは、第1透光領域32と第1光吸収領域34の構成と、光線方向制御素子200の動作について、説明する。
【0054】
本実施形態の第1透光領域32は、実施形態1の第1透光領域32と同様に、可視光を透過する領域である。また、本実施形態の第1透光領域32は、第1透光性基板10の第1主面10aの上に設けられる。
【0055】
図12に示すように、本実施形態の第1透光領域32は、第2透光領域42と同様に、斜四角柱形状を有しX方向に配列されている。
図13に示すように、本実施形態の第1透光領域32は、第1透光性基板10の第1主面10aと第2透光性基板20の第1主面20aに対して垂直な断面(XZ平面)で断面視した場合、第1透光性基板10の第1主面10aに垂直な方向(+Z方向)に対して、-X方向側に角度φ(tanφ≧D1/H1)で傾斜している。すなわち、本実施形態の第1透光領域32は、+Z方向に対して、第2透光領域42と逆方向に傾斜している。本実施形態の第1透光領域32のその他の構成は、実施形態1の第1透光領域32の構成と同様である。
【0056】
本実施形態の第1光吸収領域34は、実施形態1の第1光吸収領域34と同様に、隣接する第1透光領域32の間の領域である。実施形態の第1光吸収領域34は、XZ平面で断面視した場合、第1透光領域32が+Z方向に対して-X方向側に角度φで傾斜しているので、第1光吸収領域34も+Z方向に対して-X方向側に角度φで傾斜している。本実施形態の第1光吸収領域34のその他の構成は、実施形態1の第1光吸収領域34の構成と同様である。
【0057】
次に、本実施形態の光線方向制御素子200の動作について、説明する。実施形態1と同様に、面光源500を、光線方向制御部100の第1透光性基板10側に配置したと仮定して、本実施形態の光線方向制御素子200の動作を説明する。
【0058】
(遮光モード)
電圧制御部110により、第1透光性電極12の電位V1と第2透光性電極22の電位V2が等しく制御されている場合(V1=V2)、実施形態1と同様に、第1光吸収領域34と第2光吸収領域44が光吸収層として機能する。
【0059】
XZ平面で断面視した場合、第1光吸収領域34がZ方向に対して-X方向側に角度φ(tanφ≧D1/H1)で傾斜し、第2光吸収領域44はZ方向に対して+X方向側に角度θ(tanθ≧D1/H2)で傾斜しているので、実施形態1の遮光モードと同様に、光吸収層として機能する第1光吸収領域34と第2光吸収領域44は、面光源500から入射する光510をすべて吸収する。また、第1光吸収領域34と第2光吸収領域44はY方向に延びているので、光吸収層として機能する第1光吸収領域34と第2光吸収領域44は、YZ平面で断面視した場合も、面光源500から入射する光510をすべて吸収する。したがって、第1透光性電極12の電位V1と第2透光性電極22の電位V2が等しい場合、本実施形態の光線方向制御素子200は、実施形態1の光線方向制御素子200と同様に、面光源500からの光510を遮光する。すなわち、光線方向制御素子200は、表示パネル210からの出射光を遮る。
【0060】
(第2斜め狭視野モード)
電圧制御部110により、第2透光性電極22の電位V2が第1透光性電極12の電位V1よりも大きく制御されている場合(V2>V1)、実施形態1と同様に、第2光吸収領域44のみが光吸収層として機能する。以下では、上記の状態を第2斜め狭視野モードと記載する。
【0061】
本実施形態の第2光吸収領域44の構成は、実施形態1の第2光吸収領域44と同様であるので、第2斜め狭視野モードのXZ平面では、面光源500から入射する光510のうち、Z方向に対して+X方向側に角度θ近傍の角度を有する光が、光線方向制御部100から出射する。また、第2斜め狭視野モードのXZ平面では、+Z方向に対して+X方向側に角度θ近傍の角度を有する光以外の光は、第2光吸収領域44に吸収される。したがって、XZ平面に平行な平面では、第2斜め狭視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、実施形態1の第1斜め狭視野モード(
図6、
図7)と同様に、90°-θ近傍の狭い角度分布を有する。
【0062】
+X方向側に角度θ(tanθ≧D1/H2)で傾斜した第2透光領域42と第2光吸収領域44がY方向に延びているので、YZ平面に対して+X方向側に傾斜した平面(0°<傾斜角<2×θ)に平行な平面では、第2斜め狭視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、均等な角度分布を有する。
【0063】
以上のように、第2斜め狭視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、XZ平面に平行な平面において90°-θ近傍の狭い角度分布を有し、YZ平面に対して+X方向側に傾斜した平面に平行な平面において均等な角度分布を有する。したがって、第2斜め狭視野モードでは、光線方向制御素子200は、表示装置300の左右方向(X方向)の視野角を、正面(+Z方向)に対して右方向(+X方向)の角度θ近傍に制限できる。
【0064】
(第3斜め狭視野モード)
電圧制御部110により、第1透光性電極12の電位V1が第2透光性電極22の電位V2よりも大きく制御されている場合(V1>V2)、電気泳動粒子54は、
図14に示すように、第1光吸収領域34に集まり、第1光吸収領域34において分散する。一方、第2光吸収領域44には、電気泳動粒子54はほとんど存在しない。したがって、第1光吸収領域34のみが光吸収層として機能する。以下では、上記の状態を第3斜め狭視野モードと記載する。
【0065】
XZ平面で断面視した場合、第1光吸収領域34と第1透光領域32は+Z方向に対して-X方向側に角度φ(tanφ≧D1/H1)で傾斜しているので、第3斜め狭視野モードでは、面光源500から入射する光510のうち、Z方向に対して-X方向側に角度φ近傍の角度を有する光は、第1光吸収領域34に吸収されず、光線方向制御部100から出射する。また、XZ平面では、+Z方向に対して+X方向側に角度θ近傍の角度を有する光以外の光は、第1光吸収領域34に吸収される。したがって、XZ平面に平行な平面では、第3斜め狭視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、
図15に示すように、90°+φ近傍の狭い角度分布を有する。
【0066】
-X方向側に角度φ(tanφ≧D1/H1)で傾斜した第1透光領域32と第1光吸収領域34がY方向に延びているので、YZ平面に対して-X方向側に傾斜した平面(0°<傾斜角<2×φ)に平行な平面では、第3斜め狭視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、均等な角度分布を有する。
【0067】
以上のように、第3斜め狭視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、XZ平面に平行な平面において90°+φ近傍の狭い角度分布を有し、YZ平面に対して-X方向側に傾斜した平面に平行な平面において均等な角度分布を有する。したがって、第3斜め狭視野モードでは、光線方向制御素子200は、表示装置300の左右方向(X方向)の視野角を、正面(+Z方向)に対して左方向(-X方向)の角度φ近傍に制限できる。
【0068】
(第3広視野モード)
電圧制御部110により、第2透光性電極22の電位V2が第1透光性電極12の電位V1よりも大きく、電位V2と電位V1との差が第2斜め狭視野モードよりも大きく制御されている場合(V2>>V1)、電気泳動粒子54は、実施形態1の第1広視野モードと同様に、第2光吸収領域44の第2透光性電極22側に凝集する(以下では、第3広視野モードと記載)。したがって、XZ平面に平行な平面とYZ平面に平行な平面では、第3広視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、実施形態1の第1広視野モードと同様に、均等な角度分布を有する。第3広視野モードでは、光線方向制御素子200は表示装置300の視野角を制限しない。
【0069】
(第4広視野モード)
電圧制御部110により、第1透光性電極12の電位V1が第2透光性電極22の電位V2よりも大きく、電位V1と電位V2との差が第3斜め狭視野モードよりも大きく制御されている場合(V1>>V2)、電気泳動粒子54は、実施形態1の第2広視野モードと同様に、第1光吸収領域34の第1透光性電極12側に凝集する(以下では、第4広視野モードと記載)。したがって、XZ平面に平行な平面とYZ平面に平行な平面では、第4広視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、実施形態1の第2広視野モードと同様に、均等な角度分布を有する。第4広視野モードでは、光線方向制御素子200は表示装置300の視野角を制限しない。
【0070】
以上のように、XZ平面で断面視した場合、第1透光領域32と第2透光領域42の第1透光性基板10の第1主面10aに対する傾斜角が異なっているので、本実施形態の光線方向制御素子200は、第1透光性電極12の電位V1と第2透光性電極22の電位V2を制御することによって、3種類以上の角度分布で光を出射できる。
【0071】
<実施形態3>
光線方向制御部100の第1透光領域32と第2透光領域42は、X方向とY方向に配列されてよい。本実施形態の光線方向制御素子200では、第1透光領域32と第1光吸収領域34と第2透光領域42と第2光吸収領域44の構成が、実施形態1と異なる。本実施形態の光線方向制御素子200のその他の構成は、実施形態1の光線方向制御素子200の構成と同様である。ここでは、第1透光領域32と第1光吸収領域34と第2透光領域42と第2光吸収領域44の構成と、光線方向制御素子200の動作とについて、説明する。
【0072】
本実施形態の第1透光領域32は、実施形態1の第1透光領域32と同様に、可視光を透過する領域である。また、本実施形態の第1透光領域32は、第1透光性基板10の第1主面10aの上に設けられる。
【0073】
図16に示すように、本実施形態の第1透光領域32は、四角柱形状を有し、X方向とY方向にマトリクス状に配列されている。本実施形態の第1透光領域32は、実施形態1の第1透光領域32と同様に、第1透光性基板10から第2透光性基板20に向かって、第1透光性基板10の第1主面10aに対して垂直に延びて、第2透光領域42に連続している。本実施形態の第1透光領域32のその他の構成は、実施形態1の第1透光領域32の構成と同様である。
【0074】
本実施形態の第1光吸収領域34は、実施形態1の第1光吸収領域34と同様に、隣接する第1透光領域32の間の領域である。本実施形態では、四角柱形状の第1透光領域32がマトリクス状に配列されているので、第1光吸収領域34は格子状の領域を形成している。本実施形態の第1光吸収領域34は、本実施形態の第1透光領域32と同様に、第1透光性基板10の第1主面10aに対して垂直である。本実施形態の第1光吸収領域34のその他の構成は、実施形態1の第1光吸収領域34の構成と同様である。
【0075】
本実施形態の第2透光領域42は、実施形態1の第2透光領域42と同様に、可視光を透過する領域である。本実施形態の第2透光領域42は、斜四角柱形状を有し、X方向とY方向にマトリクス状に配列されている。本実施形態の第2透光領域42は、第2透光性基板20から第1透光性基板10に向かって延びて、第1透光領域32に連続している。本実施形態の第2透光領域42は、XZ平面で断面視した場合、実施形態1の第2透光領域42と同様に、+Z方向に対して+X方向側に角度θ(tanθ≧D1/H2)で傾斜している。本実施形態の第2透光領域42のその他の構成は、実施形態1の第2透光領域42の構成と同様である。
【0076】
本実施形態の第2光吸収領域44は、実施形態1の第2光吸収領域44と同様に、隣接する第2透光領域42の間の領域である。本実施形態では、斜四角柱形状の第2透光領域42がマトリクス状に配列されているので、本実施形態の第2光吸収領域44は、X方向の側面が+X方向側に角度θで傾斜した格子状の領域を形成している。本実施形態の第2光吸収領域44のその他の構成は、実施形態1の第2光吸収領域44の構成と同様である。
【0077】
次に、本実施形態の光線方向制御素子200の動作について、説明する。実施形態1と同様に、面光源500を、光線方向制御部100の第1透光性基板10側に配置したと仮定して、本実施形態の光線方向制御素子200の動作を説明する。なお、以下の実施形態においても、面光源500を光線方向制御部100の第1透光性基板10側に配置したと仮定して、光線方向制御素子200の動作を説明する。
【0078】
(遮光モード)
電圧制御部110により、第1透光性電極12の電位V1と第2透光性電極22の電位V2が等しく制御されている場合(V1=V2)、実施形態1と同様に、第1光吸収領域34と第2光吸収領域44が光吸収層として機能する。
【0079】
XZ平面で断面視した場合、実施形態1の遮光モードと同様に、光吸収層として機能する第1光吸収領域34と第2光吸収領域44は、面光源500から入射する光510をすべて吸収する。また、光吸収層として機能する第1光吸収領域34と第2光吸収領域44は、YZ平面で断面視した場合も、面光源500から入射する光510をすべて吸収する。したがって、第1透光性電極12の電位V1と第2透光性電極22の電位V2が等しい場合、本実施形態の光線方向制御素子200は、実施形態1の光線方向制御素子200と同様に、面光源500からの光510を遮光する。すなわち、光線方向制御素子200は、表示パネル210からの出射光を遮る。
【0080】
(第4斜め狭視野モード)
電圧制御部110により、第2透光性電極22の電位V2が第1透光性電極12の電位V1よりも大きく制御されている場合(V2>V1)、実施形態1と同様に、第2光吸収領域44のみが光吸収層として機能する。以下では、上記の状態を第4斜め狭視野モードと記載する。
【0081】
第2透光領域42を含むXZ平面に平行な平面で断面視した場合、第2光吸収領域44と第2透光領域42は+Z方向に対して+X方向側に角度θ(tanθ≧D1/H2)で傾斜している。したがって、第2透光領域42を含むXZ平面に平行な平面では、第4斜め狭視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、実施形態1の第1斜め狭視野モードと同様に、90°-θ近傍の狭い角度分布を有する。一方、第2光吸収領域44の格子部分を含むXZ平面に平行な平面で断面視した場合、第2光吸収領域44がX方向に延びているので、第4斜め狭視野モードでは、面光源500から入射する光510は第2光吸収領域44に吸収される。
【0082】
YZ平面に対して+X方向側に傾斜した平面(0°<傾斜角<2×θ)に平行な平面で断面視した場合、第2光吸収領域44と第2透光領域42がY方向に交互に並ぶ。したがって、YZ平面に対して+X方向側に傾斜した平面(0°<傾斜角<2×θ)に平行な平面では、第4斜め狭視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、狭い角度分布を有する。
【0083】
以上のように、第4斜め狭視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、第2透光領域42を含むXZ平面に平行な平面において90°-θ近傍の狭い角度分布を有し、YZ平面に対して+X方向側に傾斜した平面に平行な平面において狭い角度分布を有する。したがって、第4斜め狭視野モードでは、光線方向制御素子200は、表示装置300の左右方向(X方向)の視野角を、正面(+Z方向)に対して右方向(+X方向)の角度θ近傍に制限できる。また、光線方向制御素子200は、表示装置300の上下方向(Y方向)の視野角を狭くできる。
【0084】
(第2垂直狭視野モード)
電圧制御部110により、第1透光性電極12の電位V1が第2透光性電極22の電位V2よりも大きく制御されている場合(V1>V2)、実施形態1と同様に、第1光吸収領域34のみが光吸収層として機能する。以下では、上記の状態を第2垂直狭視野モードと記載する。
【0085】
第1透光領域32を含むXZ平面に平行な平面で断面視した場合、第1光吸収領域34と第1透光領域32は、第1透光性基板10の第1主面10aに対して垂直である。したがって、第1透光領域32を含むXZ平面に平行な平面では、第2垂直狭視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、実施形態1の第1垂直狭視野モード(
図7、
図8)と同様に、90°(+Z方向)近傍の狭い角度分布を有する。一方、第1光吸収領域34の格子部分を含むXZ平面に平行な平面で断面視した場合、第1光吸収領域34がX方向に延びているので、第2垂直狭視野モードでは、面光源500から入射する光510は第1光吸収領域34に吸収される。
【0086】
第1透光領域32を含むYZ平面に平行な面で断面視した場合、本実施形態の第1光吸収領域34と第1透光領域32は、第1透光性基板10の第1主面10aに対して垂直であるので、第2垂直狭視野モードでは、
図17に示すように、面光源500から入射する光510のうち、+Z方向近傍以外の光は第1光吸収領域34に吸収される。また、面光源500から入射する光510のうち、+Z方向近傍の光は光線方向制御部100から出射する。したがって、YZ平面に平行な面において、+Y方向を0°、+Z方向を90°、-Y方向を180°とした場合、第1透光領域32を含むYZ平面に平行な面では、第2垂直狭視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、
図18に示すように、90°(+Z方向)近傍の狭い角度分布を有する。一方、第1光吸収領域34の格子部分を含むYZ平面に平行な平面で断面視した場合、第1光吸収領域34がY方向に延びているので、第2垂直狭視野モードでは、面光源500から入射する光510は第1光吸収領域34に吸収される。なお、YZ平面に平行な面(上下方向)における光線方向制御素子200からの出射光の角度分布については、以下の実施形態においても、+Y方向を0°と、+Z方向を90°と、-Y方向を180°として説明する。
【0087】
以上のように、第2垂直狭視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、第1透光領域32を含むXZ平面に平行な平面において90°(+Z方向)近傍の狭い角度分布を有し、第1透光領域32を含むYZ平面に平行な面において90°(+Z方向)近傍の狭い角度分布を有する。したがって、第2垂直狭視野モードでは、光線方向制御素子200は、表示装置300の視野角を、正面(+Z方向)近傍に制限できる。
【0088】
(第5広視野モード)
電圧制御部110により、第2透光性電極22の電位V2が第1透光性電極12の電位V1よりも大きく、電位V2と電位V1との差が第4斜め狭視野モードよりも大きく制御されている場合(V2>>V1)、電気泳動粒子54は、実施形態1の第1広視野モードと同様に、第2光吸収領域44の第2透光性電極22側に凝集する(以下、第5広視野モードと記載)。したがって、XZ平面に平行な平面とYZ平面に平行な平面では、第5広視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、実施形態1の第1広視野モードと同様に、均等な角度分布を有する。第5広視野モードでは、光線方向制御素子200は表示装置300の視野角を制限しない。
【0089】
(第6広視野モード)
電圧制御部110により、第1透光性電極12の電位V1が第2透光性電極22の電位V2よりも大きく、電位V1と電位V2との差が第2垂直狭視野モードよりも大きく制御されている場合(V1>>V2)、電気泳動粒子54は、実施形態1の第2広視野モードと同様に、第1光吸収領域34の第1透光性電極12側に凝集する(以下、第6広視野モード)。したがって、XZ平面に平行な平面とYZ平面に平行な平面では、第6広視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、実施形態1の第2広視野モードと同様に、均等な角度分布を有する。第6広視野モードでは、光線方向制御素子200は表示装置300の視野角を制限しない。
【0090】
以上のように、本実施形態の光線方向制御素子200は、実施形態1と実施形態2の光線方向制御素子200と同様に、第1透光性電極12の電位V1と第2透光性電極22の電位V2を制御することによって、3種類以上の角度分布で光を出射できる。
【0091】
<実施形態4>
XZ平面で断面視した場合に、第1透光領域32の形状と第2透光領域42の形状が異なってもよい。本実施形態の光線方向制御素子200では、第2透光領域42と第2光吸収領域44の構成が、実施形態1と異なる。本実施形態の光線方向制御素子200のその他の構成は、実施形態1の光線方向制御素子200の構成と同様である。ここでは、第2透光領域42と第2光吸収領域44の構成と、光線方向制御素子200の動作とについて、説明する。
【0092】
本実施形態の第2透光領域42は、実施形態1の第2透光領域42と同様に、可視光を透過する領域である。本実施形態の第2透光領域42は、第2透光性基板20の第1主面20aの上に設けられる。
【0093】
本実施形態の第2透光領域42は、
図19、
図20に示すように、Y方向に延びる直方体形状を有し、所定の間隔でX方向に配列されている。本実施形態の第2透光領域42のX方向の幅D2は、本実施形態の第1透光領域32のX方向の幅D1(実施形態1の第1透光領域32と第2透光領域42のX方向の幅D1)よりも狭い(D2<D1)。したがって、XZ平面で断面視した場合に、第1透光領域32の形状と第2透光領域42の形状が異なっている。
本実施形態の第2透光領域42は、第2透光性基板20から第1透光性基板10に向かって、第1透光性基板10の第1主面10aに対して垂直に延びて、第1透光領域32に連続している。本実施形態の第2透光領域42のその他の構成は、実施形態1の第2透光領域42と同様である。
【0094】
本実施形態の第2光吸収領域44は、実施形態1の第2光吸収領域44と同様に、隣接する第2透光領域42の間の領域である。本実施形態の第2光吸収領域44は、第2透光領域42と同様に、第2透光性基板20から第1透光性基板10に向かって、第1透光性基板10の第1主面10aに対して垂直に延びる。また、本実施形態の第2光吸収領域44はY方向に延びる。本実施形態では、第2透光領域42のX方向の幅D2が第1透光領域32のX方向の幅D1よりも狭いので、本実施形態の第2光吸収領域44のX方向の幅は第1光吸収領域34のX方向の幅よりも広い。本実施形態の第2光吸収領域44のその他の構成は、実施形態1の第2光吸収領域44と同様である。
次に、本実施形態の光線方向制御素子200の動作について、説明する。
【0095】
(第3垂直狭視野モード)
電圧制御部110により、第1透光性電極12の電位V1と第2透光性電極22の電位V2が等しく制御されている場合(V1=V2)、実施形態1と同様に、第1光吸収領域34と第2光吸収領域44が光吸収層として機能する。以下では、上記の状態を第3垂直狭視野モードと記載する。
【0096】
XZ平面で断面視した場合、第1光吸収領域34と第2光吸収領域44が第1透光性基板10の第1主面10aに対して垂直であるので、第3垂直狭視野モードでは、
図21に示すように、面光源500から入射する光510のうち、+Z方向近傍以外の光は第1光吸収領域34と第2光吸収領域44に吸収される。また、XZ平面では、面光源500から入射する光510のうち、+Z方向近傍の光は光線方向制御部100から出射する。したがって、XZ平面に平行な平面では、第3垂直狭視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、
図22に示すように、90°(+Z方向)近傍の狭い角度分布を有する。本実施形態では、第2透光領域42のX方向の幅D2が実施形態1の第1透光領域32と第2透光領域42のX方向の幅D1よりも狭いので、第3垂直狭視野モードの出射光の角度分布は実施形態1の第1垂直狭視野モードの出射光の角度分布よりも狭く、また、第3垂直狭視野モードの透過率は第1垂直狭視野モードの透過率よりも低い。
【0097】
第1透光領域32と第2透光領域42とを含むYZ平面に平行な平面では、第1透光領域32と第2透光領域42がY方向に延びているので、第3垂直狭視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、均等な角度分布を有する。他のYZ平面に平行な平面では、第1光吸収領域34と第2光吸収領域44がY方向に延びているので、面光源500から入射する光510は、第1光吸収領域34と第2光吸収領域44に吸収される。
【0098】
以上のように、第3垂直狭視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、XZ平面に平行な平面において90°(+Z方向)近傍の狭い角度分布を有し、第1透光領域32と第2透光領域42とを含むYZ平面に平行な平面において均等な角度分布を有する。したがって、第3垂直狭視野モードでは、光線方向制御素子200は、表示装置300の左右方向(X方向)の視野角を、正面(+Z方向)近傍に制限できる。
【0099】
(第4垂直狭視野モード)
電圧制御部110により、第2透光性電極22の電位V2が第1透光性電極12の電位V1よりも大きく制御されている場合(V2>V1)、実施形態1と同様に、第2光吸収領域44のみが光吸収層として機能する。以下では、上記の状態を第4垂直狭視野モードと記載する。
【0100】
XZ平面で断面視した場合、第2光吸収領域44と第2透光領域42が第1透光性基板10の第1主面10aに対して垂直であるので、第4垂直狭視野モードでは、第3垂直狭視野モードと同様に、面光源500から入射する光510のうち、+Z方向近傍以外の光は第2光吸収領域44に吸収される。また、XZ平面では、面光源500から入射する光510のうち、+Z方向近傍の光は光線方向制御部100から出射する。
第2透光領域42を含むYZ平面に平行な面においては、第2透光領域42がY方向に延びているので、第4垂直狭視野モードおける光線方向制御素子200からの出射光は、均等な角度分布を有する。他のYZ平面に平行な平面では、第2光吸収領域44がY方向に延びているので、面光源500から入射する光510は、第2光吸収領域44に吸収される。したがって、第4垂直狭視野モードでは、第3垂直狭視野モードと同様の角度分布を有する光が、光線方向制御素子200から出射される。
【0101】
以上のように、第4垂直狭視野モードでは、第3垂直狭視野モードと同様の角度分布を有する光が、光線方向制御素子200から出射される。したがって、第4垂直狭視野モードでは、光線方向制御素子200は、表示装置300の左右方向(X方向)の視野角を、正面(+Z方向)近傍に制限できる。
【0102】
(第5垂直狭視野モード)
電圧制御部110により、第1透光性電極12の電位V1が第2透光性電極22の電位V2よりも大きく制御されている場合(V1>V2)、実施形態1と同様に、第1光吸収領域34のみが光吸収層として機能する。以下では、上記の状態を第5垂直狭視野モードと記載する。
【0103】
XZ平面で断面視した場合、第1光吸収領域34と第1透光領域32が第1透光性基板10の第1主面10aに対して垂直であるので、第5垂直狭視野モードでは、面光源500から入射する光510のうち、+Z方向近傍以外の光は第1光吸収領域34に吸収される。また、XZ平面では、面光源500から入射する光510のうち、+Z方向近傍の光は光線方向制御部100から出射する。したがって、XZ平面に平行な平面では、第5垂直狭視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、
図22に示すように、90°(+Z方向)近傍の狭い角度分布を有する。
【0104】
第1透光領域32を含むYZ平面に平行な平面では、第1透光領域32がY方向に延びている。したがって、第1透光領域32を含むYZ平面に平行な平面では、第5垂直狭視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、均等な角度分布を有する。一方、第1光吸収領域34を含むYZ平面に平行な平面では、第1光吸収領域34がY方向に延びているので、第5垂直狭視野モードでは、面光源500から入射する光510は第1光吸収領域34に吸収される。
【0105】
本実施形態では、第1透光領域32のX方向の幅D1が第2透光領域42のX方向の幅D2よりも広いので、第5垂直狭視野モードの出射光の角度分布は、第3垂直狭視野モードと第4垂直狭視野モードの出射光の角度分布よりも広い。また、第5垂直狭視野モードの透過率は、第3垂直狭視野モードと第4垂直狭視野モードの透過率よりも高い。
【0106】
以上のように、第5垂直狭視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、XZ平面に平行な平面において90°(+Z方向)近傍の狭い角度分布を有し、第1透光領域32を含むYZ平面に平行な平面において均等な角度分布を有する。したがって、第5垂直狭視野モードでは、光線方向制御素子200は、表示装置300の左右方向(X方向)の視野角を、正面(+Z方向)近傍に制限できる。
【0107】
(第7広視野モード)
電圧制御部110により、第2透光性電極22の電位V2が第1透光性電極12の電位V1よりも大きく、電位V2と電位V1との差が第4垂直狭視野モードよりも大きく制御されている場合(V2>>V1)、実施形態1と同様に、電気泳動粒子54は第2光吸収領域44の第2透光性電極22側に凝集し、第1光吸収領域34と第2光吸収領域44は、光吸収層としてほとんど機能しない。以下では、上記の状態を第7広視野モードと記載する。
【0108】
第7広視野モードでは、第1光吸収領域34と第2光吸収領域44が光吸収層としてほとんど機能しない。したがって、XZ平面に平行な平面では、第7広視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、
図22に示すように、均等な角度分布を有する。本実施形態では、第2透光領域42のX方向の幅D2が実施形態1の第1透光領域32と第2透光領域42のX方向の幅D1よりも狭いので、第7広視野モードの透過率は第1広視野モードの透過率よりも低い。また、YZ平面に平行な平面においても、第7広視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、均等な角度分布を有する。第7広視野モードでは、光線方向制御素子200は表示装置300の視野角を制限しない。
【0109】
(第8広視野モード)
電圧制御部110により、第1透光性電極12の電位V1が第2透光性電極22の電位V2よりも大きく、電位V1と電位V2との差が第5垂直狭視野モードよりも大きく制御されている場合(V1>>V2)、実施形態1と同様に、電気泳動粒子54は第1光吸収領域34の第1透光性電極12側に凝集し、第1光吸収領域34と第2光吸収領域44は、光吸収層としてほとんど機能しない。以下では、上記の状態を第8広視野モードと記載する。
【0110】
第8広視野モードでは、第1光吸収領域34と第2光吸収領域44が光吸収層としてほとんど機能しない。したがって、XZ平面に平行な平面では、第8広視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、
図22に示すように、均等な角度分布を有する。また、YZ平面に平行な平面においても、第8広視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、均等な角度分布を有する。第8広視野モードでは、光線方向制御素子200は表示装置300の視野角を制限しない。
本実施形態では、第1透光領域32のX方向の幅D1が第2透光領域42のX方向の幅D2よりも広いので、第8広視野モードの透過率は第7広視野モードの透過率よりも高い。
【0111】
以上のように、XZ平面で断面視した場合に、第1透光領域32の形状と第2透光領域42の形状が異なるので、本実施形態の光線方向制御素子200は、第1透光性電極12の電位V1と第2透光性電極22の電位V2を制御することによって、3種類以上の角度分布で光を出射できる。
【0112】
<実施形態5>
実施形態4の第2透光領域42はX方向に配列されているが、第2透光領域42はマトリクス状に配列されてもよい。本実施形態の光線方向制御素子200では、第2透光領域42と第2光吸収領域44の構成が、実施形態4と異なる。本実施形態の光線方向制御素子200のその他の構成は、実施形態4の光線方向制御素子200の構成と同様である。ここでは、第2透光領域42と第2光吸収領域44の構成と、光線方向制御素子200の動作とについて、説明する。
【0113】
本実施形態の第2透光領域42は、実施形態4の第2透光領域42と同様に、可視光を透過する領域である。本実施形態の第2透光領域42は、第2透光性基板20の第1主面20aの上に設けられる。
【0114】
図23に示すように、本実施形態の第2透光領域42は、四角柱形状を有し、X方向とY方向にマトリクス状に配列されている。本実施形態の第2透光領域42のX方向の幅D2は、本実施形態の第1透光領域32のX方向の幅D1(実施形態1の第1透光領域32と第2透光領域42のX方向の幅D1)よりも狭い。本実施形態の第2透光領域42は、第2透光性基板20から第1透光性基板10に向かって、第1透光性基板10の第1主面10aに対して垂直に延びて、第1透光領域32に連続している。本実施形態では、第1透光領域32は、実施形態4の第1透光領域32と同様に、Y方向に延びる直方体形状を有しているので、第2透光領域42と第1透光領域32の構成は、複数の第2透光領域42が1つの第1透光領域32の上にY方向(所定の第1方向)に配列された構成となっている。本実施形態の第2透光領域42のその他の構成は、実施形態4の第2透光領域42の構成と同様である。
【0115】
本実施形態の第2光吸収領域44は、実施形態4の第2光吸収領域44と同様に、隣接する第2透光領域42の間の領域である。本実施形態では、四角柱形状の第2透光領域42がマトリクス状に配列されているので、第2光吸収領域44は格子状の領域を形成している。本実施形態の第2光吸収領域44は、第1透光性基板10の第1主面10aに対して垂直である。本実施形態の第2光吸収領域44のその他の構成は、実施形態4の第2光吸収領域44の構成と同様である。
次に、本実施形態の光線方向制御素子200の動作について、説明する。
【0116】
(第6垂直狭視野モード)
電圧制御部110により、第1透光性電極12の電位V1と第2透光性電極22の電位V2が等しく制御されている場合(V1=V2)、実施形態1と同様に、第1光吸収領域34と第2光吸収領域44が光吸収層として機能する。以下では、上記の状態を第6垂直狭視野モードと記載する。
【0117】
第1透光領域32と第2透光領域42とを含むXZ平面に平行な面で断面視した場合、第1光吸収領域34と第2光吸収領域44が第1透光性基板10の第1主面10aに対して垂直であるので、第6垂直狭視野モードでは、実施形態4の第3垂直狭視野モード(
図21)と同様に、面光源500から入射する光510のうち、+Z方向近傍以外の光は第1光吸収領域34と第2光吸収領域44に吸収される。また、面光源500から入射する光510のうち、+Z方向近傍の光は光線方向制御部100から出射する。したがって、第1透光領域32と第2透光領域42とを含むXZ平面に平行な面では、第6垂直狭視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、第3垂直狭視野モードと同様に、90°(+Z方向)近傍の狭い角度分布を有する。一方、第1透光領域32と第2光吸収領域44とを含むXZ平面に平行な面で断面視した場合、第2光吸収領域44がX方向に延びているので、面光源500から入射する光510は第2光吸収領域44に吸収される。
【0118】
本実施形態においても、第2透光領域42のX方向の幅D2が実施形態1の第1透光領域32と第2透光領域42のX方向の幅D1よりも狭いので、第3垂直狭視野モードと同様に、第6垂直狭視野モードの出射光の角度分布は実施形態1の第1垂直狭視野モードの出射光の角度分布よりも狭い。また、第6垂直狭視野モードの透過率は第1垂直狭視野モードの透過率よりも低い。
【0119】
第1透光領域32と第2透光領域42とを含むYZ平面に平行な平面で断面視した場合、第2透光領域42は四角柱形状であるので、第6垂直狭視野モードでは、
図24に示すように、面光源500から入射する光510は第1透光領域32を透過し、第1透光領域32を透過した光のうち、+Z方向近傍以外の光は第2光吸収領域44に吸収される。また、第1透光領域32を透過した光のうち、+Z方向近傍の光は光線方向制御部100から出射する。したがって、第1透光領域32と第2透光領域42とを含むYZ平面に平行な平面では、第6垂直狭視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、
図25に示すように、90°(+Z方向)近傍の狭い角度分布を有する。一方、第2光吸収領域44を含むYZ平面に平行な平面で断面視した場合、第2光吸収領域44がY方向に延びているので、面光源500から入射する光510は第2光吸収領域44に吸収される。
【0120】
以上のように、第6垂直狭視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、第1透光領域32と第2透光領域42とを含むXZ平面に平行な面において90°(+Z方向)近傍の狭い角度分布を有し、第1透光領域32と第2透光領域42とを含むYZ平面に平行な平面において90°(+Z方向)近傍の狭い角度分布を有する。したがって、第6垂直狭視野モードでは、光線方向制御素子200は、表示装置300の視野角を、正面(+Z方向)近傍に制限できる。
【0121】
(第7垂直狭視野モード)
電圧制御部110により、第2透光性電極22の電位V2が第1透光性電極12の電位V1よりも大きく制御されている場合(V2>V1)、実施形態1と同様に、第2光吸収領域44のみが光吸収層として機能する。以下では、上記の状態を第7垂直狭視野モードと記載する。
【0122】
第1透光領域32と第2透光領域42とを含むXZ平面に平行な面で断面視した場合、第2光吸収領域44が第1透光性基板10の第1主面10aに対して垂直であるので、第7垂直狭視野モードでは、第6垂直狭視野モードと同様に、面光源500から入射する光510のうち、+Z方向近傍以外の光は第2光吸収領域44に吸収される。また、面光源500から入射する光510のうち、+Z方向近傍の光は光線方向制御部100から出射する。さらに、第1透光領域32と第2透光領域42とを含むYZ平面に平行な平面においても、第6垂直狭視野モードと同様に、+Z方向近傍の光が光線方向制御部100から出射する。したがって、第7垂直狭視野モードでは、第6垂直狭視野モードと同様の角度分布を有する光が、光線方向制御素子200から出射される。
【0123】
以上のように、第7垂直狭視野モードでは、第6垂直狭視野モードと同様の角度分布を有する光が、光線方向制御素子200から出射される。したがって、第7垂直狭視野モードでは、第6垂直狭視野モードと同様に、光線方向制御素子200は、表示装置300の視野角を、正面(+Z方向)近傍に制限できる。
【0124】
(第8垂直狭視野モード)
電圧制御部110により、第1透光性電極12の電位V1が第2透光性電極22の電位V2よりも大きく制御されている場合(V1>V2)、実施形態1と同様に、第1光吸収領域34のみが光吸収層として機能する。以下では、上記の状態を第8垂直狭視野モードと記載する。
【0125】
本実施形態の第1透光領域32と第1光吸収領域34は、それぞれ、実施形態4の第1透光領域32と第1光吸収領域34と同様の形状を有している。したがって、第8垂直狭視野モードでは、実施形態4の第5垂直狭視野モードと同様の角度分布を有する光が、光線方向制御素子200から出射される。また、第8垂直狭視野モードでは、第5垂直狭視野モードと同様に、光線方向制御素子200は、表示装置300の左右方向(X方向)の視野角を、正面(+Z方向)近傍に制限できる。
【0126】
(第9広視野モード)
電圧制御部110により、第2透光性電極22の電位V2が第1透光性電極12の電位V1よりも大きく、電位V2と電位V1との差が第7垂直狭視野モードよりも大きく制御されている場合(V2>>V1)、実施形態1と同様に、電気泳動粒子54は第2光吸収領域44の第2透光性電極22側に凝集し、第1光吸収領域34と第2光吸収領域44は、光吸収層としてほとんど機能しない。以下では、上記の状態を第9広視野モードと記載する。
【0127】
第9広視野モードでは、第1光吸収領域34と第2光吸収領域44が光吸収層としてほとんど機能しない。したがって、XZ平面に平行な平面とYZ平面に平行な平面では、第9広視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、均等な角度分布を有する。第9広視野モードでは、光線方向制御素子200は表示装置300の視野角を制限しない。本実施形態では、第2透光領域42のX方向の幅D2が実施形態1の第1透光領域32のX方向の幅D1よりも狭く、第2光吸収領域44が格子状であるので、第9広視野モードの透過率は第1広視野モードの透過率よりも低い。
【0128】
(第10広視野モード)
電圧制御部110により、第1透光性電極12の電位V1が第2透光性電極22の電位V2よりも大きく、電位V1と電位V2との差が第8垂直狭視野モードよりも大きく制御されている場合(V1>>V2)、実施形態1と同様に、電気泳動粒子54は第1光吸収領域34の第1透光性電極12側に凝集し、第1光吸収領域34と第2光吸収領域44は、光吸収層としてほとんど機能しない。以下では、上記の状態を第10広視野モードと記載する。
【0129】
第10広視野モードでは、第1光吸収領域34と第2光吸収領域44が光吸収層としてほとんど機能しない。したがって、XZ平面に平行な平面とYZ平面に平行な平面では、第10広視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、均等な角度分布を有する。第10広視野モードでは、光線方向制御素子200は表示装置300の視野角を制限しない。本実施形態では、第1透光領域32のX方向の幅D1が第2透光領域42のX方向の幅D2よりも広いので、第10広視野モードの透過率は第9広視野モードの透過率よりも高い。
【0130】
以上のように、本実施形態の光線方向制御素子200は、実施形態4の光線方向制御素子200と同様に、第1透光性電極12の電位V1と第2透光性電極22の電位V2を制御することによって、3種類以上の角度分布で光を出射できる。
【0131】
<実施形態6>
実施形態4では、第1透光領域32と第2透光領域42はY方向に延びる直方体形状であるが、第1透光領域32と第2透光領域42は異なる方向に延びる直方体形状であってもよい。本実施形態の光線方向制御素子200では、第2透光領域42と第2光吸収領域44の構成が、実施形態4と異なる。本実施形態の光線方向制御素子200のその他の構成は、実施形態4の光線方向制御素子200の構成と同様である。ここでは、第2透光領域42と第2光吸収領域44の構成と、光線方向制御素子200の動作とについて、説明する。
【0132】
本実施形態の第2透光領域42は、実施形態4の第2透光領域42と同様に、可視光を透過する領域である。本実施形態の第2透光領域42は、第2透光性基板20の第1主面20aの上に設けられる。本実施形態の第2透光領域42は、
図26に示すように、X方向に延びる直方体形状を有し、所定の間隔でY方向に配列されている。したがって、XZ平面で断面視した場合に、第1透光領域32の形状と第2透光領域42の形状が異なっている。
本実施形態の第2透光領域42は、第2透光性基板20から第1透光性基板10に向かって、第1透光性基板10の第1主面10aに対して垂直に延びて、第1透光領域32に連続している。本実施形態の第2透光領域42のその他の構成は、実施形態4の第2透光領域42と同様である。
【0133】
本実施形態の第2光吸収領域44は、実施形態4の第2光吸収領域44と同様に、隣接する第2透光領域42の間の領域である。本実施形態では、第2光吸収領域44は、第2透光領域42と同様に、X方向に延びる。また、第2光吸収領域44は、第2透光領域42と同様に、第2透光性基板20から第1透光性基板10に向かって、第1透光性基板10の第1主面10aに対して垂直に延びる。本実施形態の第2光吸収領域44のその他の構成は、実施形態4の第2光吸収領域44と同様である。
次に、本実施形態の光線方向制御素子200の動作について、説明する。
【0134】
(第9垂直狭視野モード)
電圧制御部110により、第1透光性電極12の電位V1と第2透光性電極22の電位V2が等しく制御されている場合(V1=V2)、実施形態1と同様に、第1光吸収領域34と第2光吸収領域44が光吸収層として機能する。以下では、上記の状態を第9垂直狭視野モードと記載する。
【0135】
第1透光領域32と第2透光領域42とを含むXZ平面に平行な平面で断面視した場合、第1光吸収領域34が第1透光性基板10の第1主面10aに対して垂直であるので、第9垂直狭視野モードでは、
図27に示すように、面光源500から入射する光510のうち、+Z方向近傍以外の光は第1光吸収領域34に吸収される。また、面光源500から入射する光510のうち、+Z方向近傍の光は第1透光領域32を透過する。第1透光領域32を透過した光は、第2透光領域42を透過して、光線方向制御部100から出射する。したがって、第1透光領域32と第2透光領域42を含むXZ平面に平行な平面では、第9垂直狭視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、
図28に示すように、90°(+Z方向)近傍の狭い角度分布を有する。一方、第1透光領域32と第2光吸収領域44とを含むXZ平面に平行な平面で断面視した場合、第9垂直狭視野モードでは、第2光吸収領域44がX方向に延びているので、面光源500から入射する光510は第2光吸収領域44に吸収される。
本実施形態では、X方向に延びる第2光吸収領域44が第1光吸収領域34を透過した光の一部を吸収するので、第9垂直狭視野モードの透過率は低い。
【0136】
第1透光領域32と第2透光領域42とを含むYZ平面に平行な平面で断面視した場合、第9垂直狭視野モードでは、実施形態5の第6垂直狭視野モード(
図24)と同様に、面光源500から入射する光510は第1透光領域32を透過し、第1透光領域32を透過した光のうち、Z方向近傍以外の光は第2光吸収領域44に吸収される。第1透光領域32を透過した光のうち、+Z方向近傍の光は光線方向制御部100から出射する。したがって、第1透光領域32と第2透光領域42を含むYZ平面に平行な平面では、第9垂直狭視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、
図29に示すように、90°(+Z方向)近傍の狭い角度分布を有する。一方、第1光吸収領域34と第2透光領域42とを含むYZ平面に平行な平面で断面視した場合、第9垂直狭視野モードでは、第1光吸収領域34がY方向に延びているので、面光源500から入射する光510は第1光吸収領域34に吸収される。
【0137】
以上のように、第9垂直狭視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、第1透光領域32と第2透光領域42を含むXZ平面に平行な平面において90°(+Z方向)近傍の狭い角度分布を有し、第1透光領域32と第2透光領域42を含むYZ平面に平行な平面において90°(+Z方向)近傍の狭い角度分布を有する。したがって、第9垂直狭視野モードでは、光線方向制御素子200は、表示装置300の視野角を、正面(+Z方向)近傍に制限できる。
【0138】
(第10垂直狭視野モード)
電圧制御部110により、第2透光性電極22の電位V2が第1透光性電極12の電位V1よりも大きく制御されている場合(V2>V1)、実施形態1と同様に、第2光吸収領域44のみが光吸収層として機能する。以下では、上記の状態を第10垂直狭視野モードと記載する。
【0139】
第2光吸収領域44を含むXZ平面に平行な平面で断面視した場合、第10垂直狭視野モードでは、
図30に示すように、面光源500から入射する光510は、第1透光領域32と第1光吸収領域34を透過した後、X方向に延びる第2光吸収領域44に吸収される。一方、第2透光領域42を含むXZ平面に平行な平面で断面視した場合、
図31に示すように、面光源500から入射する光510は、第1透光領域32と第1光吸収領域34を透過した後、第2透光領域42を透過する。したがって、第2透光領域42を含むXZ平面に平行な平面では、第10垂直狭視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、
図28に示すように、均等な角度分布を有する。
【0140】
YZ平面で断面視した場合、第10垂直狭視野モードでは、面光源500から入射する光510は第1透光領域32と第1光吸収領域34を透過する。第1透光領域32と第1光吸収領域34を透過した光のうち、+Z方向近傍以外の光は第2光吸収領域44に吸収される。第1透光領域32と第1光吸収領域34を透過した光のうち、Z方向近傍の光は光線方向制御部100から出射する。したがって、YZ平面に平行な平面では、第10垂直狭視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、
図29に示すように、90°(+Z方向)近傍の狭い角度分布を有する。
面光源500から入射する光510が第1光吸収領域34によって吸収されないので、第10垂直狭視野モードの透過率は第9垂直狭視野モードの透過率よりも高い。
【0141】
以上のように、第10垂直狭視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、第2透光領域42を含むXZ平面に平行な平面において均等な角度分布を有し、YZ平面に平行な平面において90°(+Z方向)近傍の狭い角度分布を有する。したがって、第10垂直狭視野モードでは、光線方向制御素子200は、表示装置300の上下方向(Y方向)の視野角を、正面(+Z方向)近傍に制限できる。
【0142】
(第11垂直狭視野モード)
電圧制御部110により、第1透光性電極12の電位V1が第2透光性電極22の電位V2よりも大きく制御されている場合(V1>V2)、実施形態1と同様に、第1光吸収領域34のみが光吸収層として機能する。以下では、上記の状態を第11垂直狭視野モードと記載する。
【0143】
本実施形態の第1透光領域32と第1光吸収領域34は、それぞれ、実施形態4の第1透光領域32と第1光吸収領域34と同様の形状を有している。したがって、XZ平面で断面視した場合、第11垂直狭視野モードでは、実施形態4の第5垂直狭視野モードと同様に、面光源500から入射する光510のうち、+Z方向近傍以外の光は第2光吸収領域44に吸収される。また、面光源500から入射する光510のうち、+Z方向近傍の光は光線方向制御部100から出射する。したがって、XZ平面に平行な平面では、第11垂直狭視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、
図28に示すように、第5垂直狭視野モードと同様の90°(+Z方向)近傍の狭い角度分布を有する。また、YZ平面に平行な平面では、第11垂直狭視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、
図29に示すように、第5垂直狭視野モードと同様の均等な角度分布を有する。
面光源500から入射する光510が第2光吸収領域44によって吸収されないので、第11垂直狭視野モードの透過率は第9垂直狭視野モードの透過率よりも高い。
【0144】
以上のように、第11垂直狭視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、XZ平面に平行な平面において90°(+Z方向)近傍の狭い角度分布を有し、YZ平面に平行な平面において均等な角度分布を有する。したがって、第11垂直狭視野モードでは、光線方向制御素子200は、表示装置300の左右方向(X方向)の視野角を、正面(+Z方向)近傍に制限できる。
【0145】
(第11広視野モード)
電圧制御部110により、第2透光性電極22の電位V2が第1透光性電極12の電位V1よりも大きく、電位V2と電位V1との差が第10垂直狭視野モードよりも大きく制御されている場合(V2>>V1)、実施形態1と同様に、第1光吸収領域34と第2光吸収領域44は、光吸収層としてほとんど機能しない。以下では、上記の状態を第11広視野モードと記載する。
【0146】
第11広視野モードでは、第1光吸収領域34と第2光吸収領域44が光吸収層としてほとんど機能しない。したがって、XZ平面に平行な平面とYZ平面に平行な平面では、第11広視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、均等な角度分布を有する。第11広視野モードでは、光線方向制御素子200は表示装置300の視野角を制限しない。
【0147】
(第12広視野モード)
電圧制御部110により、第1透光性電極12の電位V1が第2透光性電極22の電位V2よりも大きく、電位V1と電位V2との差が第11垂直狭視野モードよりも大きく制御されている場合(V1>>V2)、実施形態1と同様に、第1光吸収領域34と第2光吸収領域44は、光吸収層としてほとんど機能しない。以下では、上記の状態を第12広視野モードと記載する。
【0148】
第12広視野モードでは、第1光吸収領域34と第2光吸収領域44が光吸収層としてほとんど機能しない。したがって、XZ平面に平行な平面とYZ平面に平行な平面では、第12広視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、均等な角度分布を有する。第12広視野モードでは、光線方向制御素子200は表示装置300の視野角を制限しない。
【0149】
以上のように、本実施形態の光線方向制御素子200は、実施形態4の光線方向制御素子200と同様に、第1透光性電極12の電位V1と第2透光性電極22の電位V2を制御することによって、3種類以上の角度分布で光を出射できる。
【0150】
<実施形態7>
実施形態4では、直方体形状の第1透光領域32がX方向に配列され、隣接する第1透光領域32の間に第1光吸収領域34が配置されているが、第1透光領域32が格子形状を有し、格子の開口に第1光吸収領域34が設けられてもよい。本実施形態の光線方向制御素子200では、第1透光領域32と第1光吸収領域34と第2透光領域42と第2光吸収領域44の構成が、他の実施形態と異なる。本実施形態の光線方向制御素子200のその他の構成は、他の実施形態の光線方向制御素子200の構成と同様である。ここでは、第1透光領域32と第1光吸収領域34と第2透光領域42と第2光吸収領域44の構成と、光線方向制御素子200の動作とについて、説明する。
【0151】
本実施形態の第1透光領域32は、他の実施形態と同様に、可視光を透過する領域である。本実施形態の第1透光領域32は、第1透光性基板10の第1主面10aの上に設けられる。本実施形態の第1透光領域32は、
図32に示すように、格子形状を有している。本実施形態の第1透光領域32のその他の構成は、他の実施形態と同様である。
【0152】
本実施形態の第1光吸収領域34は、第1透光領域32の格子の開口内の領域であり、第1透光領域32の間に位置している。したがって、本実施形態の第1光吸収領域34は、四角柱形状を有し、X方向とY方向にマトリクス状に配置されている。本実施形態の第1光吸収領域34のその他の構成は、他の実施形態と同様である。
【0153】
本実施形態の第2透光領域42は、他の実施形態と同様に、可視光を透過する領域であり、第2透光性基板20の第1主面20aの上に設けられる。
図32、
図33に示すように、本実施形態の第2透光領域42は、Y方向(所定の第2方向)に延びる直方体形状を有し、X方向に配列されている。本実施形態の第2透光領域42は、平面視した場合、第1透光領域32のY方向に延びる格子の上に位置し、第1透光領域32に連続している。本実施形態の第2透光領域42のX方向の幅D4は、第1透光領域32の格子のX方向の幅D3よりも狭い。したがって、XZ平面で断面視した場合に、第1透光領域32の形状と第2透光領域の形状が異なっている。本実施形態の第2透光領域42のその他の構成は、他の実施形態と同様である。
【0154】
本実施形態の第2光吸収領域44は、他の実施形態と同様に、隣接する第2透光領域42の間の領域である。本実施形態の第2光吸収領域44はY方向に延びている。本実施形態の第2光吸収領域44のその他の構成は、他の実施形態と同様である。
次に、本実施形態の光線方向制御素子200の動作について、説明する。
【0155】
(第12垂直狭視野モード)
電圧制御部110により、第1透光性電極12の電位V1と第2透光性電極22の電位V2が等しく制御されている場合(V1=V2)、他の実施形態と同様に、第1光吸収領域34と第2光吸収領域44が光吸収層として機能する。以下では、上記の状態を第12垂直狭視野モードと記載する。
【0156】
第1透光領域32の格子部分を含むXZ平面に平行な平面で断面視した場合、第12垂直狭視野モードでは、
図34に示すように、面光源500から入射する光510は第1透光領域32を透過する。第1透光領域32を透過した光のうち、+Z方向近傍以外の光は第2光吸収領域44に吸収され、+Z方向近傍の光は光線方向制御部100から出射する。また、第1光吸収領域34を含むXZ平面に平行な平面で断面視した場合、第12垂直狭視野モードでは、実施形態4の第3垂直狭視野モード(
図21)と同様に、面光源500から入射する光510のうち、+Z方向近傍の光が光線方向制御部100から出射する。したがって、XZ平面に平行な平面では、第12垂直狭視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、
図35に示すように、90°(+Z方向)近傍の狭い角度分布を有する。
【0157】
第1透光領域32の格子部分と第2透光領域42とを含むYZ平面に平行な平面で断面視した場合、Y方向に延びる第2透光領域42が、第1透光領域32のY方向に延びる格子の上に位置している。したがって、第1透光領域32の格子部分と第2透光領域42とを含むYZ平面に平行な平面では、第12垂直狭視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、
図36に示すように、均等な角度分布を有する。一方、第2光吸収領域44を含むYZ平面に平行な平面で断面視した場合、第2光吸収領域44がY方向に延びているので、面光源500から入射する光510は第2光吸収領域44に吸収される。
【0158】
以上のように、第12垂直狭視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、XZ平面に平行な平面において90°(+Z方向)近傍の狭い角度分布を有し、第1透光領域32の格子部分と第2透光領域42とを含むYZ平面に平行な平面において均等な角度分布を有する。したがって、第12垂直狭視野モードでは、光線方向制御素子200は、表示装置300の左右方向(X方向)の視野角を、正面(+Z方向)近傍に制限できる。
【0159】
(第13垂直狭視野モード)
電圧制御部110により、第2透光性電極22の電位V2が第1透光性電極12の電位V1よりも大きく制御されている場合(V2>V1)、他の実施形態と同様に、第2光吸収領域44のみが光吸収層として機能する。以下では、上記の状態を第13垂直狭視野モードと記載する。
【0160】
XZ平面で断面視した場合、第13垂直狭視野モードでは、面光源500から入射する光510は第1透光領域32と第1光吸収領域34を透過し、第1透光領域32と第1光吸収領域34を透過した光のうち、+Z方向近傍以外の光は第2光吸収領域44に吸収される。また、第1透光領域32と第1光吸収領域34を透過した光のうち、+Z方向近傍の光は光線方向制御部100から出射する。したがって、XZ平面に平行な平面では、第13垂直狭視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、
図35に示すように、90°(+Z方向)近傍の狭い角度分布を有する。
YZ平面に平行な平面では、第13垂直狭視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、第12垂直狭視野モードと同様に、均等な角度分布を有する。
【0161】
以上のように、第13垂直狭視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、XZ平面に平行な平面において90°(+Z方向)近傍の狭い角度分布を有し、第1透光領域32の格子部分と第2透光領域42とを含むYZ平面に平行な平面において均等な角度分布を有する。したがって、第13垂直狭視野モードでは、光線方向制御素子200は、表示装置300の左右方向(X方向)の視野角を、正面(+Z方向)近傍に制限できる。
【0162】
(第14垂直狭視野モード)
電圧制御部110により、第1透光性電極12の電位V1が第2透光性電極22の電位V2よりも大きく制御されている場合(V1>V2)、他の実施形態と同様に、第1光吸収領域34のみが光吸収層として機能する。以下では、上記の状態を第14垂直狭視野モードと記載する。
【0163】
第1光吸収領域34を含まないXZ平面に平行な平面で断面視した場合、第14垂直狭視野モードでは、面光源500から入射する光510は、第1光吸収領域34と第2光吸収領域44に吸収されずに、光線方向制御素子200から出射する。第1光吸収領域34を含まないXZ平面に平行な平面では、第14垂直狭視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、均等な角度分布を有する。
また、第1光吸収領域34を含むXZ平面に平行な平面で断面視した場合、
図37に示すように、面光源500から入射する光510のうち、+Z方向近傍以外の光は第2光吸収領域44に吸収され、Z方向近傍の光は光線方向制御部100から出射する。第1光吸収領域34を含むXZ平面に平行な平面では、第14垂直狭視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、90°(+Z方向)近傍の狭い角度分布を有する。
したがって、光線方向制御部100全体としては、第14垂直狭視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、
図35に示すように、XZ平面に平行な平面において90°を最大として、0°と180°に向かって徐々に透過率が低下していく角度分布を有する。
【0164】
第1光吸収領域34は四角柱形状を有しX方向とY方向にマトリクス状に配置されているので、第1光吸収領域34を含まないYZ平面に平行な平面では、第14垂直狭視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、均等な角度分布を有する。また、第1光吸収領域34を含むYZ平面に平行な平面では、第14垂直狭視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、90°(+Z方向)近傍の狭い角度分布を有する。したがって、光線方向制御部100全体としては、第14垂直狭視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、
図35に示すように、YZ平面に平行な平面において90°を最大として、0°と180°に向かって徐々に透過率が低下していく角度分布を有する。
【0165】
以上のように、第14垂直狭視野モードおける光線方向制御素子200からの出射光は、XZ平面に平行な平面とYZ平面に平行な平面において、90°を最大として、0°と180°に向かって徐々に透過率が低下していく角度分布を有する。したがって、第14垂直狭視野モードでは、光線方向制御素子200は、表示装置300の上下方向と左右方向の視野角を、狭めることができる。
【0166】
(第13広視野モード)
電圧制御部110により、第2透光性電極22の電位V2が第1透光性電極12の電位V1よりも大きく、電位V2と電位V1との差が第13垂直狭視野モードよりも大きく制御されている場合(V2>>V1)、電気泳動粒子54は第2光吸収領域44の第2透光性電極22側に凝集し、第1光吸収領域34と第2光吸収領域44は、光吸収層としてほとんど機能しない。以下では、上記の状態を第13広視野モードと記載する。
【0167】
第13広視野モードでは、第1光吸収領域34と第2光吸収領域44が光吸収層としてほとんど機能しない。したがって、
図35、
図36に示すように、XZ平面に平行な平面とYZ平面に平行な平面では、第13広視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、均等な角度分布を有する。また、平面視した場合に、電気泳動粒子54が凝集している第2光吸収領域44の面積が広いので、第13広視野モードの透過率は低下する。第13広視野モードでは、光線方向制御素子200は表示装置300の視野角を制限しない。
【0168】
(第14広視野モード)
電圧制御部110により、第1透光性電極12の電位V1が第2透光性電極22の電位V2よりも大きく、電位V1と電位V2との差が第14垂直狭視野モードよりも大きく制御されている場合(V1>>V2)、電気泳動粒子54は第1光吸収領域34の第1透光性電極12側に凝集し、第1光吸収領域34と第2光吸収領域44は、光吸収層としてほとんど機能しない。以下では、上記の状態を第14広視野モードと記載する。
【0169】
第14広視野モードでは、第1光吸収領域34と第2光吸収領域44が光吸収層としてほとんど機能しない。したがって、
図35、
図36に示すように、XZ平面に平行な平面とYZ平面に平行な平面では、第14広視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、均等な角度分布を有する。また、平面視した場合に、第1光吸収領域34の面積が第2光吸収領域44の面積よりも小さいので、第14広視野モードの透過率は、第13広視野モードの透過率よりも高い。第14広視野モードでは、光線方向制御素子200は表示装置300の視野角を制限しない。
【0170】
以上のように、本実施形態の光線方向制御素子200は、第1透光性電極12の電位V1と第2透光性電極22の電位V2を制御することによって、3種類以上の角度分布で光を出射できる。
【0171】
<実施形態8>
実施形態1~実施形態7では、第1透光領域32と第1光吸収領域34と第2透光領域42と第2光吸収領域44は、第1透光性電極12を有する第1透光性基板10と第2透光性電極22を有する第2透光性基板20とに挟まれている。光線方向制御部100は、第1透光領域32と第1光吸収領域34と、第2透光領域42と第2光吸収領域44との間に、第3透光性電極82と第4透光性電極84とを有する第3透光性基板80を備えてもよい。本実施形態の光線方向制御素子200の構成は、第3透光性基板80を備えることを除き、実施形態1の光線方向制御素子200の構成と同様である。
【0172】
第3透光性基板80は、可視光を透過する。第3透光性基板80は、例えば透光性を有するフィルム基板である。第3透光性基板80は、
図38に示すように、第1透光領域32と第1光吸収領域34と、第2透光領域42と第2光吸収領域44との間に配置される。第3透光性基板80は、第1透光性基板10側に位置する第1主面80aに第3透光性電極82を有する。また、第3透光性基板80は、第2透光性基板20側に位置する第2主面80bに第4透光性電極84を有する。したがって、第3透光性電極82と第4透光性電極84は、第1透光領域32と第1光吸収領域34と、第2透光領域42と第2光吸収領域44との間に配置されている。第3透光性電極82と第4透光性電極84は、例えば、ITOから形成される。
【0173】
本実施形態では、第1透光領域32と第2透光領域42と、第1光吸収領域34と第2光吸収領域44は、第3透光性電極82と第3透光性基板80と第4透光性電極84を介して、連続している。第3透光性電極82と第4透光性電極84の電位は、電圧制御部110により制御される。
次に、本実施形態の光線方向制御素子200の動作について、説明する。
【0174】
(遮光モード)
電圧制御部110により、第1透光性電極12の電位V1と第2透光性電極22の電位V2と第3透光性電極82の電位V3と第4透光性電極84の電位V4が等しく制御されている場合(V1=V2=V3=V4)、実施形態1の遮光モードと同様に、第1光吸収領域34と第2光吸収領域44が光吸収層として機能する。したがって、第1透光性電極12の電位V1と第2透光性電極22の電位V2と第3透光性電極82の電位V3と第4透光性電極84の電位V4が等しい場合、実施形態1の遮光モードと同様に、光線方向制御素子200は面光源500からの光510を遮光する。
【0175】
(第5斜め狭視野モード)
電圧制御部110により、第2透光性電極22の電位V2と第3透光性電極82の電位V3と第4透光性電極84の電位V4が等しく、第1透光性電極12の電位V1が電位V2~V4よりも小さく制御されている場合(V2=V3=V4>V1)、
図39に示すように、第1光吸収領域34の電気泳動粒子54は第3透光性電極82側で凝集し、第2光吸収領域44の電気泳動粒子54は均一に分散する。したがって、第1光吸収領域34は光吸収層としてほとんど機能せず、第2光吸収領域44は光吸収層として機能する。以下では、上記の状態を第5斜め狭視野モードと記載する。
【0176】
第5斜め狭視野モードでは、第1光吸収領域34は光吸収層としてほとんど機能せず、第2光吸収領域44は光吸収層として機能する。したがって、実施形態1の第1斜め狭視野モードと同様に、XZ平面に平行な平面では、第5斜め狭視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、90°-θ近傍の狭い角度分布を有する。また、YZ平面に対して+X方向側に傾斜した平面(0°<傾斜角<2×θ)に平行な平面では、第5斜め狭視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、均等な角度分布を有する。
【0177】
(第15垂直狭視野モード)
電圧制御部110により、第1透光性電極12の電位V1と第3透光性電極82の電位V3と第4透光性電極84の電位V4が等しく、第2透光性電極22の電位V2が電位V1、V3、V4よりも小さく制御されている場合(V1=V3=V4>V2)、
図40に示すように、第2光吸収領域44の電気泳動粒子54は第4透光性電極84側で凝集し、第1光吸収領域34の電気泳動粒子54は均一に分散する。したがって、第2光吸収領域44は光吸収層としてほとんど機能せず、第1光吸収領域34は光吸収層として機能する。以下では、上記の状態を第15垂直狭視野モードと記載する。
【0178】
第15垂直狭視野モードでは、第2光吸収領域44は光吸収層としてほとんど機能せず、第1光吸収領域34は光吸収層として機能する。したがって、実施形態1の第1垂直狭視野モードと同様に、XZ平面に平行な平面では、第15垂直狭視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、90°(+Z方向)近傍の狭い角度分布を有する。また、YZ平面に平行な平面では、第15垂直狭視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、均等な角度分布を有する。
【0179】
(第15広視野モード)
電圧制御部110により、第1透光性電極12の電位V1と第2透光性電極22の電位V2が等しく、第3透光性電極82の電位V3と第4透光性電極84の電位V4が、等しく、かつ、電位V1、V2よりも大きく制御されている場合(V1=V2<V3=V4)、
図41に示すように、第1光吸収領域34の電気泳動粒子54は第3透光性電極82側で凝集し、第2光吸収領域44の電気泳動粒子54は第4透光性電極84側で凝集する。したがって、第1光吸収領域34と第2光吸収領域44は光吸収層としてほとんど機能しない。以下では、上記の状態を第15広視野モードと記載する。
【0180】
第15広視野モードでは、第1光吸収領域34と第2光吸収領域44は光吸収層としてほとんど機能しない。したがって、実施形態1の第1広視野モードと第2広視野モードと同様に、XZ平面に平行な平面とYZ平面に平行な平面では、第15広視野モードにおける光線方向制御素子200からの出射光は、均等な角度分布を有する。
【0181】
以上のように、本実施形態の光線方向制御素子200は、実施形態1の光線方向制御素子200と同様に、3種類以上の角度分布で光を出射できる。
【0182】
<変形例>
以上、実施形態を説明したが、本開示は、要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0183】
例えば、第1透光性基板10と第2透光性基板20は、透光性を有する樹脂から形成されてもよい。また、第3透光性基板80は、ガラス基板であってもよい。電気泳動粒子54は正に帯電してもよい。
【0184】
また、第1透光領域32と第2透光領域42は一体に形成されてもよい。例えば、実施形態1の第1透光領域32と第2透光領域42は、途中から湾曲した1つの透光層として形成されてもよい。
【0185】
実施形態3の第1透光領域32は第1透光性基板10の第1主面10aに対して垂直であるが、実施形態3の第1透光領域32は、実施形態2の第1透光領域32と同様に、+Z方向に対して第2透光領域42と逆方向に傾斜してもよい。
【0186】
実施形態8では、第3透光性電極82と第4透光性電極84が第3透光性基板80に設けられ、第3透光性電極82と第4透光性電極84が、第1透光領域32と第1光吸収領域34と、第2透光領域42と第2光吸収領域44との間に配置されている。
図42に示すように、第5透光性電極86が、第1透光領域32と第1光吸収領域34と、第2透光領域42と第2光吸収領域44との間に配置されてもよい。第5透光性電極86は、貫通孔を介して第3透光性基板80の第1主面80aと第2主面80bに設けられている。この場合、第1透光性電極12の電位V1と第2透光性電極22の電位V2と第5透光性電極86の電位V5とを制御することによって、光線方向制御部100を透過する光の角度分布を制御できる。
【0187】
例えば、第1透光性電極12の電位V1と第2透光性電極22の電位V2と第5透光性電極86の電位V5とを等しく制御することにより、実施形態8の遮光モードと同様に、光線方向制御素子200は面光源500からの光510を遮光できる(V1=V2=V5)。また、第1透光性電極12の電位V1と第5透光性電極86の電位V5とを等しくし、第2透光性電極22の電位V2を電位V1と電位V5よりも小さくすることにより、実施形態8の第5斜め狭視野モードと同様の角度分布を得ることができる(V1=V5>V2)。さらに、第2透光性電極22の電位V2と第5透光性電極86の電位V5とを等しくし、第1透光性電極12の電位V1を電位V2と電位V5よりも小さくすることにより、実施形態8の第15垂直狭視野モードと同様の角度分布を得ることができる(V1<V2=V5)。第1透光性電極12の電位V1と第2透光性電極22の電位V2とを等しくし、電位V1と電位V2を第5透光性電極86の電位V5よりも小さくすることにより、実施形態8の第15広視野モードの角度分布を得ることができる(V1=V2<V5)。
【0188】
電圧制御部110は、制御回路に限られない。電圧制御部110は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、CPU(Central Processing Unit)とROM(Read Only Memory)等から構成されてもよい。
【0189】
表示装置300は、
図43に示すように、光線方向制御素子200と透過型液晶表示パネル215とバックライト220から構成されてもよい。バックライト220は、透過型液晶表示パネル215の表示面と反対側に配置され、透過型液晶表示パネル215に光を供給する。光線方向制御素子200の光線方向制御部100は、透過型液晶表示パネル215とバックライト220との間に配置されて、バックライト220から透過型液晶表示パネル215に供給される光の角度分布を制御する。
【0190】
以上、好ましい実施形態について説明したが、本開示は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、本開示には、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲が含まれる。
【符号の説明】
【0191】
10 第1透光性基板、10a 第1透光性基板の第1主面、12 第1透光性電極、20 第2透光性基板、20a 第2透光性基板の第1主面、22 第2透光性電極、32 第1透光領域、34 第1光吸収領域、42 第2透光領域、44 第2光吸収領域、52 透光性分散媒、54 電気泳動粒子、80 第3透光性基板、80a 第3透光性基板の第1主面、80b 第3透光性基板の第2主面、82 第3透光性電極、84 第4透光性電極、86 第5透光性電極、100 光線方向制御部、110 電圧制御部、200 光線方向制御素子、210 表示パネル、215 透過型液晶表示パネル、220 バックライト、300 表示装置、500 面光源、510 光、θ,φ 角度、D1,D2,D3,D4 幅、H,H1,H2 高さ