(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022115148
(43)【公開日】2022-08-09
(54)【発明の名称】二次電池および組電池
(51)【国際特許分類】
H01M 50/543 20210101AFI20220802BHJP
H01M 50/172 20210101ALI20220802BHJP
H01M 50/50 20210101ALI20220802BHJP
H01M 50/20 20210101ALI20220802BHJP
H01G 11/74 20130101ALI20220802BHJP
【FI】
H01M2/30 D
H01M2/06 A
H01M2/20 A
H01M2/10 E
H01G11/74
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021011630
(22)【出願日】2021-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100136423
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 浩治
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 貴宏
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康介
【テーマコード(参考)】
5E078
5H011
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5E078AA09
5E078AA14
5E078AB02
5E078HA05
5E078KA01
5E078KA04
5E078KA06
5H011AA09
5H011EE04
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5H011GG02
5H011HH02
5H040AA03
5H040AS04
5H040AS12
5H040AT02
5H040AY06
5H040DD03
5H040DD13
5H040DD24
5H040JJ03
5H040NN01
5H040NN03
5H043AA03
5H043AA19
5H043BA11
5H043BA19
5H043CA04
5H043CA12
5H043CA13
5H043CA22
5H043DA09
5H043DA10
5H043DA11
5H043DA13
5H043DA16
5H043EA11
5H043FA04
5H043FA26
5H043HA08D
5H043HA08E
5H043HA09D
5H043HA11D
5H043HA11F
5H043HA17D
5H043HA17F
5H043JA01D
5H043JA12D
5H043JA13D
5H043JA18
5H043JA21D
5H043KA01D
5H043KA08D
5H043KA09D
5H043KA09F
5H043KA13
5H043KA15
5H043KA45
5H043KA45D
5H043KA45E
5H043LA02D
5H043LA02F
5H043LA21D
5H043LA21F
5H043LA22D
5H043LA22F
(57)【要約】
【課題】電極端子の構成部材の接触界面に形成された金属接合部の熱劣化を抑制する。
【解決手段】ここに開示される二次電池の電極端子20は、板状の接続部34を有する第1部材30と、第1部材30の接続部34と面接触して接続される板状の第2部材40とを備えている。そして、ここに開示される技術では、第1部材30の接続部34と第2部材40との接触界面に金属接合部70と断熱部80が形成されており、金属接合部70を中心とする径方向において、金属接合部70よりも外側に断熱部80が形成されている。これによって、断熱部80よりも外側の領域に大きな熱が加わったとしても、当該大きな熱を断熱部80で遮断できるため、金属接合部70の熱劣化を抑制できる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極体と、前記電極体を収容する電池ケースと、該電池ケースの内部の前記電極体と接続されると共に前記電池ケースの外部に一部が露出する電極端子とを備えた二次電池であって、
前記電極端子は、一端が前記電池ケースの内部に位置すると共に他端が前記電池ケースの外部に位置する第1部材と、前記電池ケースの外部において第1部材と接続される板状の第2部材とを備え、
前記第1部材は、前記電池ケースを貫通する軸部と、当該軸部の上端に形成され、前記第2部材と面接触する板状の接続部とを備えており、
前記第1部材の接続部と前記第2部材との接触界面に金属接合部と断熱部が形成されており、前記金属接合部を中心とする径方向において、前記金属接合部よりも外側に前記断熱部が形成されていることを特徴とする、二次電池。
【請求項2】
前記断熱部は、前記第2部材の底面の一部が前記接続部の上面から離間することで形成された空洞であることを特徴とする、請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記断熱部は、前記接続部の底面と前記第2部材の上面との間の空間に充填された断熱材であることを特徴とする、請求項1に記載の二次電池。
【請求項4】
前記断熱部は、平面視において前記金属接合部を囲むように形成された環状の断熱部であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項5】
前記第1部材と前記第2部材とが異なる金属材料で構成されていることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項6】
平板状のバスバーを介して複数の二次電池が電気的に接続された組電池であって、
前記複数の二次電池の少なくとも1つが請求項1に記載の二次電池であり、
前記バスバーは前記第2部材の上面と面接触して熱溶接されており、当該バスバーを貫通して前記第2部材に到達する熱溶接部によって前記バスバーと前記第2部材とが接続されており、
前記熱溶接部が、前記断熱部の上方、若しくは、前記金属接合部を中心とする径方向において前記断熱部よりも外側に形成されていることを特徴とする、組電池。
【請求項7】
前記断熱部は、前記第2部材の底面の一部が前記接続部の上面から離間することで形成された空洞であることを特徴とする、請求項6に記載の組電池。
【請求項8】
平面視において、前記金属接合部の中心から当該金属接合部の外縁までの距離をL1とし、前記金属接合部の中心から前記断熱部の内縁までの距離をL2とし、前記金属接合部の中心から前記熱溶接部の中心までの距離をL3としたとき、下記の式(1)を満たすことを特徴とする、請求項7に記載の組電池。
L3-L2>L2-L1 (1)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極端子を備えた二次電池および二次電池を複数備えた組電池に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、リチウムイオン二次電池やニッケル水素電池などの二次電池は、車両や携帯端末などを始めとする様々な分野において広く使用されている。かかる二次電池は、通常、発電要素である電極体と、電極体を収容する電池ケースとを備える。さらに、かかる二次電池では、電池ケース内部で電極体と接続された電極端子をケース外部に引き出すような構造が採用されている。そして、ケース外部に引き出された電極端子は、バスバー等の外部接続部材を介して、外部機器や他の電池などと接続される。
【0003】
上記電極端子に関連する従来技術の一例として特許文献1に記載の構造が挙げられる。特許文献1に記載の電極端子は、バスバーとの溶接品質が良好な外部端子と、一端が外部端子と接合され、かつ、他端が電極体と接続される基部とを含んでいる。そして、この特許文献1に記載の技術では、基部と外部端子とを超音波接合で接合することを推奨している。このような超音波接合などの金属間結合によって、電極端子の構成部材を接合することによって、好適な接合強度を確保できると共に、各部材の界面における導電性を改善できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本発明者の検討によると、上記電極端子の構成部材を金属間結合で接合する技術には改善の余地があることが分かった。具体的には、電池ケース外部に引き出された電極端子とバスバーとを接続する際には、通常、レーザ溶接などの熱溶接が用いられる。かかる熱溶接時の大きな熱が金属間結合による接合の痕(金属接合部)に伝わると、当該金属接合部が熱劣化して接合強度や導電性などが低下することがある。
【0006】
本発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、電極端子の構成部材の接触界面に形成された金属接合部の熱劣化を抑制する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を実現するべく、ここに開示される技術によって以下の構成の二次電池が提供される。
【0008】
ここに開示される二次電池は、電極体と、電極体を収容する電池ケースと、該電池ケースの内部の電極体と接続されると共に電池ケースの外部に一部が露出する電極端子とを備えている。かかる二次電池の電極端子は、一端が電池ケースの内部に位置すると共に他端が前記電池ケースの外部に位置する第1部材と、電池ケースの外部において第1部材と接続される板状の第2部材とを備えている。さらに、上記第1部材は、電池ケースを貫通する軸部と、当該軸部の上端に形成され、第2部材と面接触する板状の接続部とを備えている。そして、ここに開示される二次電池では、第1部材の接続部と第2部材との接触界面に金属接合部と断熱部が形成されており、金属接合部を中心とする径方向において、金属接合部よりも外側に断熱部が形成されている。
【0009】
ここに開示される二次電池では、電極端子の構成部材である第1部材と第2部材との接触界面に、金属接合部が形成されている。かかる金属接合部は、超音波接合、レーザ溶接、抵抗溶接などの金属間結合による接合の痕である。そして、ここに開示される二次電池では、上記金属接合部を中心とする径方向において金属接合部よりも外側に断熱部が形成されている。これによって、上記断熱部よりも外側の領域に大きな熱(例えば溶接熱など)が加わったとしても、当該大きな熱を断熱部で遮断できるため、金属接合部の熱劣化を抑制できる。
【0010】
ここに開示される二次電池の好適な一態様において、断熱部は、第2部材の底面の一部が接続部の上面から離間することで形成された空洞である。かかる構成によると、金属接合部の熱劣化を低コストで抑制できる。
【0011】
ここに開示される二次電池の好適な一態様において、断熱部は、接続部の底面と第2部材の上面との間の空間に充填された断熱材である。かかる構成によると、金属接合部の熱劣化をより好適に抑制できる。
【0012】
ここに開示される二次電池の好適な一態様において、断熱部は、平面視において金属接合部を囲むように形成された環状の断熱部である。これによって、金属接合部の熱劣化をより好適に抑制できる。
【0013】
ここに開示される二次電池の好適な一態様では、第1部材と第2部材とが異なる金属材料で構成されている。そして、ここに開示される技術は、金属接合部の熱劣化を抑制できるため、金属接合が推奨される異種金属間接合に特に好適に用いられる。
【0014】
また、ここに開示される技術の他の側面として、平板状のバスバーを介して複数の二次電池が電気的に接続された組電池が提供される。ここに開示される組電池では、複数の二次電池の少なくとも1つが上記構成の二次電池である。また、上記バスバーは、第2部材の上面と面接触しており、バスバーを貫通して第2部材に到達する熱溶接部によってバスバーと第2部材とが接続されている。そして、ここに開示される組電池では、熱溶接部が、断熱部の上方、若しくは、金属接合部を中心とする径方向において断熱部よりも外側に形成されている。これによって、熱溶接部の形成時の熱が断熱部で断熱されるため、バスバー接続時の金属接合部の熱劣化を好適に抑制できる。
【0015】
ここに開示される組電池の好適な一態様において、断熱部は、第2部材の底面の一部が接続部の上面から離間することで形成された空洞である。かかる構成によると、金属接合部の熱劣化を低コストで抑制することができる。
【0016】
また、断熱部として空洞部を設ける態様においては、平面視において、金属接合部の中心から当該金属接合部の外縁までの距離をL1とし、金属接合部の中心から断熱部の内縁までの距離をL2とし、金属接合部の中心から熱溶接部の中心までの距離をL3としたとき、下記の式(1)を満たすことが好ましい。これによって、熱溶接部を形成する際の熱を断熱部で充分に断熱できるため、金属接合部の熱劣化をより好適に抑制できる。
L3-L2>L2-L1 (1)
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】一実施形態に係る二次電池を模式的に示す斜視図である。
【
図2】一実施形態に係る二次電池の電極端子近傍を模式的に示す断面図である。
【
図3】一実施形態に係る二次電池における金属接合部と断熱部との位置関係を説明する平面図である。
【
図4】一実施形態に係る組電池を模式的に示す斜視図である。
【
図5】一実施形態に係る組電池における電極端子とバスバーとの接続部分の構造を模式的に示す断面図である。
【
図6】一実施形態に係る組電池における金属接合部と断熱部と熱溶接部の位置関係を説明する平面図である。
【
図7】他の実施形態に係る組電池における金属接合部と断熱部と熱溶接部の位置関係を説明する平面図である。
【
図8】他の実施形態に係る組電池における金属接合部と断熱部と熱溶接部の位置関係を説明する平面図である。
【
図9】他の実施形態に係る組電池における金属接合部と断熱部と熱溶接部の位置関係を説明する平面図である。
【
図10】他の実施形態に係る組電池における金属接合部と断熱部と熱溶接部の位置関係を説明する平面図である。
【
図11】他の実施形態に係る組電池における金属接合部と断熱部と熱溶接部の位置関係を説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、ここに開示される技術の一実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、ここに開示される技術を限定することを意図したものではない。また、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって、ここに開示される技術の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。すなわち、ここに開示される技術は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
【0019】
なお、以下の説明で参照する図面では、同じ作用を奏する部材・部位に同じ符号を付している。さらに、各図における寸法関係(長さ、幅、厚み等)は実際の寸法関係を反映するものではない。そして、各図における符号Xは「幅方向」を示し、符号Yは「奥行方向」を示し、符号Zは「高さ方向」を示すものとする。但し、これらの方向は、説明の便宜上定めたものであり、使用中や製造中の二次電池や組電池の設置態様を限定することを意図したものではない。
【0020】
また、本明細書における「二次電池」とは、電解質を介して一対の電極(正極と負極)の間で電荷担体が移動することによって充放電反応が生じる蓄電デバイス一般をいう。かかる二次電池は、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池等のいわゆる蓄電池の他に、電気二重層キャパシタ等のキャパシタなども包含する。ここに開示される技術は、特定の種類の二次電池に限定されず、電極端子を有する二次電池全般および当該二次電池を用いて構築した組電池に特に制限なく適用できる。
【0021】
1.二次電池
以下、本実施形態に係る二次電池の構造について
図1~
図3を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る二次電池を模式的に示す斜視図である。
図2は本実施形態に係る二次電池の電極端子近傍の構造を模式的に示す断面図である。また、
図3は本実施形態に係る二次電池の電極端子における金属接合部と断熱部との位置関係を説明する平面図である。
【0022】
(1)全体構成
図1に示すように、本実施形態に係る二次電池1は、電極体(図示省略)と、電池ケース10と、電極端子20とを備えている。以下、各々の構成について説明する。
【0023】
(2)電極体
電極体は、電池ケース10の内部に収容された発電要素である。電極体の構造は、特に限定されず、一般的な二次電池において採用され得る種々の構造を特に制限なく採用できる。例えば、電極体には、セパレータを介して正極と負極とを重ねた構造を採用できる。この種の電極体の構造の具体例として、長尺な帯状の正極と負極とセパレータとを巻き重ねた捲回電極体や、矩形シート状の正極と負極とをセパレータとを積み重ねた積層型電極体などが挙げられる。なお、電極体を構成する各部材(正極、負極およびセパレータ)の詳細な構造や材料については、一般的な二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)にて採用され得るものを特に制限なく採用でき、ここに開示される技術を限定するものではないため、詳細な説明を省略する。
【0024】
また、図示は省略するが、本実施形態に係る二次電池では、上記電極体の他に電解質も電池ケース10の内部に収容されている。電解質としては、非水系溶媒と支持塩とを含有する非水系の液状電解質(非水電解液)や、粉末状の電解質をシート状に成形した固体電解質などを使用できる。なお、電解質の具体的な成分は、ここに開示される技術を限定するものではないため詳細な説明を省略する。
【0025】
(3)電池ケース
電池ケース10は、上述した電極体や電解質を収容する容器である。
図1に示すように、本実施形態における電池ケース10は、扁平な角型の容器である。かかる角型の電池ケース10は、上面が開口した扁平な角型のケース本体12と、当該ケース本体12の上面開口を塞ぐ板状の蓋体14とを備えている。また、詳しくは後述するが、
図1および
図2に示すように、幅方向Xにおける蓋体14の両端部の各々には、電極端子20(第1部材30)を挿通させる開口部である端子挿通孔14aが設けられている。なお、電池ケースの外形は、上述の形状に限定されず、外部機器の規格や電極体の形状などに応じて適宜変更できる。例えば、電池ケースは、有底の円筒形状のケースであってもよい。また、電池ケース10の材質は、所要の強度を有する材料であれば特に限定されない。電池ケース10の材質の好適例として、軽量で熱伝導性の良い金属材料(例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルめっき鋼等)が挙げられる。
【0026】
(3)電極端子
図1に示すように、本実施形態に係る二次電池1は、一対の電極端子20を備えている。これらの電極端子20は、一部が電池ケース10の外部に露出している。また、図示は省略するが、各々の電極端子20は、電池ケース10の内部で電極体(正極又は負極)と接続される。本明細書では、電極体の正極側と接続された電極端子を「正極端子」といい、負極側と接続された電極端子を「負極端子」という。そして、
図2に示すように、本実施形態における電極端子20は、第1部材30と第2部材40を備えている。以下、本実施形態における電極端子20の構成部材について具体的に説明する。なお、以下で説明する電極端子20の構造は、正極端子と負極端子の何れか一方に適用してもよいし、両方に適用してもよい。
【0027】
(a)第1部材
第1部材30は、一端が電池ケース10の内部に位置すると共に他端が電池ケース10の外部に位置する部材である。
図2に示すように、第1部材30は、電池ケース10を貫通する軸部32を備えている。かかる軸部32は、高さ方向Zに延びる柱状の部材である。この軸部32の上端は、電池ケース10の外部(蓋体14の上方)に露出し、下端は電池ケース10の内部に収容される。なお、軸部32の外形は、特に限定されず、円柱状であってもよいし、角柱状であってもよい。但し、蓋体14の端子挿通孔14aを塞ぐ(電池ケース10を密封する)際の容易さを考慮すると、軸部32の外形は円柱状であることが好ましい。また、本実施形態における軸部32の上端には接続部34が形成されている。かかる接続部34は、後述する第2部材40と面接触する板状の部材である。なお、平面視における接続部34の形状は、特に限定されず、円形であってもよいし、矩形であってもよい。また、本実施形態では、軸部32の下端に鋲部36が形成されている。かかる鋲部36は、筒状に成形された軸部32の下端を径方向外側に向かって押圧変形させるカシメ加工によって形成される。この鋲部36は、後述する第3部材50を電池ケース10(蓋体14)に固定すると共に、第1部材30と第3部材50とを電気的に接続する。
【0028】
(b)第2部材
第2部材40は、電池ケース10の外部において第1部材30と接続される板状の部材である。
図1に示すように、本実施形態における第2部材40は、平面視において略矩形の板状部材であり、電池ケース10の外部(蓋体14の上方)に配置される。なお、平面視における第2部材の形状は、特に限定されず、円形であってもよい。そして、
図2に示すように、第2部材40の底面40a(電池ケース10側の面)は、上記第1部材30の接続部34の上面34aと面接触している。詳しくは後述するが、この接続部34の上面34aと第2部材40の底面40aとの接触界面には金属接合部70が形成されており、当該金属接合部70によって第1部材30と第2部材40とが接続される。また、本実施形態における第2部材40の底面側には凹部42が形成されており、当該凹部42に第1部材30の接続部34が嵌め込まれている。これによって、電極端子20に振動や外力が加わった際に幅方向Xや奥行方向Yに第2部材40が移動することを規制し、当該第2部材40の移動による金属接合部70の破損を防止することができる。さらに、本実施形態では、凹部42の側壁の下端に、第1部材30の軸部32に向かって突出する係止部44が形成されている。これによって、高さ方向Zに第2部材40が移動することを規制できるため、第2部材40の移動による金属接合部70の破損をより確実に防止できる。
【0029】
(c)第3部材
本実施形態における電極端子20は、第3部材50を備えている。図示は省略するが、第3部材50は、高さ方向Zに沿って延びる集電部を有している。この第3部材50の集電部は、その下端部において電極体(正極又は負極)と接続される。そして、
図2に示すように、第3部材50の上端部52は、電池ケース10(蓋体14)の内面に沿うように折り曲げられている。そして、第3部材50の上端部52は、第1部材30の鋲部36によって電池ケース10(蓋体14)に固定されると共に、第1部材30と電気的に接続される。これによって、第3部材50および第1部材30を介して、電池ケース10内の電極体と電池ケース10外の第2部材40とが電気的に接続される。なお、この第3部材50は、ここに開示される技術における電極端子の必須構成部材ではない。例えば、第1部材の一部を高さ方向に沿って延ばして電極体と接続させる場合には、第3部材を有さない電極端子を構築することができる。
【0030】
(4)絶縁部材
次に、本実施形態に係る二次電池1は、電極端子20と電池ケース10との導通を防止する絶縁部材を備えている。
図2に示すように、本実施形態における絶縁部材は、ガスケット62とインシュレータ64を備えている。
【0031】
ガスケット62は、電池ケース10の外面(蓋体14の上面)に配置された絶縁部材である。かかるガスケット62は、上面側に収容部62aを有する箱型の絶縁部材である。このガスケット62の収容部62aには、第1部材30の接続部34と第2部材40が収容される。これによって、蓋体14と第1部材30との間、および、蓋体14と第2部材40との間が絶縁される。さらに、本実施形態におけるガスケット62には、端子挿通孔62cを有する筒状の凸部62bが形成されている。このガスケット62の凸部62bは、蓋体14の端子挿通孔14aに挿通されている。そして、端子挿通孔14aの内部における第1部材30の軸部32と蓋体14との間に、ガスケット62の凸部62bが介在することによって、これらの部材を絶縁することができる。また、ガスケット62は、第1部材30の鋲部36を形成する際のカシメ加工において加圧されるため、蓋体14と第2部材40との間(または、蓋体14と接続部34との間)において圧縮される。これにより、各部材を蓋体14に組み付けた際の隙間が封止されるため、電池ケース10内外の液体の流通(水分の侵入や電解液の漏出)を防止できる。なお、ガスケット62は、弾性変形が容易な絶縁性樹脂によって形成されていることが好ましい。かかるガスケット62の素材の一例として、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)等のフッ素化樹脂や、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、脂肪族ポリアミド等が挙げられる。
【0032】
インシュレータ64は、開口部64aを有する板状の絶縁部材であり、電池ケース10(蓋体14)と第3部材50との間に配置される。これによって、蓋体14と第3部材50とが絶縁される。そして、インシュレータ64の開口部64aは、平面視においてガスケット62の端子挿通孔62cと重なるように配置され、第1部材30の軸部32が挿通される。これによって、第1部材30の軸部32と蓋体14との接触を確実に防止できる。また、上記第1部材30の下端に鋲部36を形成する際のカシメ加工では、ガスケット62の凸部62bの下面がインシュレータ64の開口部64aの周縁部に押し付けられる。これによって、ガスケット62とインシュレータ64とが圧着されるため、電池ケース10内外の液体の流通をより確実に防止できる。なお、インシュレータ64は、ガスケット62と同様に、弾性変形が容易な絶縁性樹脂によって形成されていることが好ましい。
【0033】
(5)第1部材と第2部材との接続
上述した通り、本実施形態に係る二次電池1では、第1部材30の接続部34と第2部材40との接触界面に金属接合部70が形成されている。かかる金属接合部70は、超音波接合、レーザ溶接、抵抗溶接などの金属間結合によって、第1部材30と第2部材40とを接合した際の接合痕である。
図2に示すように、本実施形態における金属接合部70は、第1部材30の軸部32の軸心SC上に形成されている。一例として、超音波接合を用いて金属接合部70を形成する場合には、ホーンとアンビルが軸部32の軸心SC上に配置されるように、第1部材30と第2部材40を挟み込んで超音波接合を実施するとよい。なお、ここに開示される技術を限定するものではないが、
図3に示すように、金属接合部70は、平面視において略円形になり得る。但し、接合手段や接合条件によっては、金属接合部70の平面視が略矩形(略正方形、略長方形)にもなり得る。なお、第1部材30と第2部材40とを好適に接続するという観点から、金属接合部70の直径が0.3mm以上となるように接合条件を適宜調節することが好ましい。また、第1部材30と第2部材40とより好適に接続するという観点から、金属接合部70の直径は、0.5mm以上がより好ましく、1.0mm以上が特に好ましい。一方、金属接合部70の直径の上限は、特に限定されず、10.0mm以下でもよく、5.0mm以下でもよく、2.0mm以下でもよい。
【0034】
上述のように、第1部材30の接続部34と第2部材40との接触界面に金属接合部70を形成することによって、第1部材30と第2部材40とを低抵抗かつ高強度で接続できる。しかし、金属接合部70は、バスバーの接続などにおいて大きな熱が加わって熱劣化すると、導電性や接合強度が大幅に低下するおそれがある。かかる金属接合部70の熱劣化を抑制するために、本実施形態に係る二次電池1では、接続部34と第2部材40との接触界面に断熱部80が形成されている。そして、この断熱部80は、
図3に示すように、金属接合部70を中心とする径方向において金属接合部70よりも外側に形成されている。これによって、断熱部80の上方や断熱部80よりも外側の領域に大きな熱が加わったとしても、当該大きな熱を断熱部80において遮断できるため、バスバーの溶接などにおける金属接合部70の熱劣化を抑制できる。
【0035】
なお、本実施形態に係る断熱部80は、接続部34と第2部材40との間に形成された空洞である。具体的には、本実施形態における第2部材40は、その底面40aの一部に接続部34の上面34aから離間する凹溝46が設けられている。これによって、接続部34と第2部材40との接触界面に空洞からなる断熱部80を形成できる。かかる構成によると、金属接合部70の熱劣化を低コストで抑制できる。なお、断熱部を形成するための凹溝は、第2部材の底面ではなく、第1部材の接続部の上面の方に形成されていてもよい。また、金属接合部への熱伝導を遮断することができれば、断熱部の形態は特に限定されない。例えば、第1部材の接続部と第2部材との接触界面における空間に断熱材を充填することによって断熱部を形成してもよい。かかる断熱材としては、耐熱性に優れた無機系の断熱材(グラスウール、アルミナ粒子を含む塗布層、シリカ粒子を含む塗布層)など)が好適である。このような断熱材を使用することによって、金属接合部70の熱劣化をより好適に抑制できる。
【0036】
また、
図3に示すように、本実施形態における断熱部80は、平面視において、金属接合部70を囲むように形成された円環状の断熱部80である。このような円環状の断熱部80を形成することによって、断熱部80を回り込んで金属接合部70に大きな熱が到達することを防止できるため、金属接合部70の熱劣化をより確実に抑制できる。なお、円環状の断熱部80の内縁82から外縁84までの寸法L4(
図3参照)は、3mm以上が好ましく、5mm以上がより好ましく、10mm以上が特に好ましい。これによって、大きな熱が金属接合部70に到達することをより好適に防止できる。なお、断熱部形成用の凹溝が設けられる部材(例えば第2部材)の強度を考慮すると、上記
図3中の寸法L4は、50mm以下が好ましく、30mm以下がより好ましく、20mm以下が特に好ましい。
【0037】
なお、ここに開示される技術は、第1部材と第2部材とが異なる金属材料で構成されている場合に特に好適に使用できる。さらに、この種の異種金属同士の接続では、高強度かつ低抵抗の接合部を形成するという観点から、上記金属間結合による接合の中でも超音波接合が推奨される。しかし、超音波接合によって形成された金属接合部は、熱劣化した際の強度低下や導電性低下が度合いが大きくなる傾向がある。これに対して、ここに開示される技術は、金属接合部の熱劣化を抑制できるため、超音波接合が推奨される異種金属接合を有する電極端子の構築に特に好適に使用できる。
【0038】
上記超音波接合による異種金属接合が推奨される電極端子の一例として、第1部材30が銅材料で構成され、かつ、第2部材40がアルミニウム材料で構成された電極端子20が挙げられる。アルミニウム材料と銅材料は、熱溶接によって接合した際の電気抵抗が高くなる傾向があるため、超音波接合の使用が推奨される。例えば、リチウムイオン二次電池の負極端子は、電極体の負極(負極集電体)との間で銅材料同士の接続が推奨される一方で、バスバーとの間でアルミニウム材料同士の接続が推奨される。このような場合、負極端子の構成部材において、銅材料とアルミニウム材料との異種金属間接合を行う必要がある。これに対しては、銅製の第1部材30とアルミニウム製の第2部材40との間で、超音波接合を用いた金属接合部70を形成することが好ましい。これによって、第1部材30と第2部材40とを比較的に低抵抗で接合できる。そして、上述した通り、ここに開示される技術では、断熱部80によって金属接合部70の熱劣化を抑制できるため、異種金属である第1部材30と第2部材40との接合界面を低抵抗な状態に維持できる。以上の通り、ここに開示される技術は、銅材料とアルミニウム材料との異種金属間接合が要求されるリチウムイオン二次電池の負極端子の構築に特に好適に適用できる。なお、本明細書において「アルミニウム材料」とは、アルミニウムと当該アルミニウムを主体とする合金を包含する概念である。ここで、「アルミニウムを主体とする合金」とは、少なくとも70%以上がアルミニウムで構成された合金のことをいう。当該アルミニウム材料に含まれ得る他の元素は特に限定されるものではないが、珪素、鉄、銅、マンガン、マグネシウム、亜鉛、クロム、チタン、鉛、ジルコニウム等が挙げられる。一方、「銅材料」とは、銅と当該銅を主体とする合金を包含する概念である。なお、「銅を主体とする合金」とは、少なくとも50%以上が銅で構成された合金のことをいう。当該同材料に含まれ得る他の元素は特に限定されるものではないが、珪素、鉄、マンガン、マグネシウム、亜鉛、クロム、チタン、鉛、スズ、リン、アルミニウム、ニッケル、コバルト、ベリリウム、ジルコニウム等が挙げられる。
【0039】
2.組電池
次に、ここに開示される技術の他の側面として、複数の二次電池によって構築された組電池の一実施形態について説明する。以下の本実施形態に係る組電池に関する説明では
図4~
図6を主に参照する。
図4は、本実施形態に係る組電池を模式的に示す斜視図である。
図5は、本実施形態に係る組電池における電極端子とバスバーとの接続部分の構造を模式的に示す断面図である。そして、
図6は、本実施形態に係る組電池における金属接合部と断熱部と熱溶接部の位置関係を説明する平面図である。なお、
図6では、説明の便宜上、バスバー110の表示を省略し、金属接合部70と断熱部80の形成位置を点線で示している。これは、後述する
図7~
図11においても同様とする。
【0040】
図4に示すように、本実施形態に係る組電池100は、複数の二次電池1を備えている。具体的には、この組電池100では、扁平な角型の電池ケース10を有した複数の二次電池1の各々が、扁平面同士が対向するように奥行方向Yに沿って配列される。そして、かかる組電池100の配列方向(奥行方向Y)の両外側には、一対のエンドプレート120が配置されている。この一対のエンドプレート120を拘束用ビーム材130で架橋することによって、複数の二次電池1の各々が配列方向に沿って拘束される。なお、本実施形態では、扁平面における拘束圧の均一化のために、隣接した二次電池1の間にスペーサ140が配置されている。なお、組電池100を構築する二次電池1の個数は、特に特定されず、当該組電池100の目的(外部機器の要求電力、規格など)に応じて適宜変更できる。また、ここに開示される技術では、組電池を構築する複数の二次電池の全てが上述した構成を有している必要はない。すなわち、本実施形態に係る組電池100は、上述の実施形態に係る二次電池1とは異なる構成を有した二次電池を一部含んでいてもよい。
【0041】
そして、本実施形態では、隣接した2つの二次電池1の間で、電極端子20同士がバスバー110によって接続されている。このバスバー110には、導電性と強度に優れた金属材料が用いられる。
図5に示すように、バスバー110は、電極端子20の第2部材40の上面40bと面接触して熱溶接される。そして、この熱溶接の接続痕である熱溶接部90は、バスバー110を貫通して第2部材40に到達するように形成される。なお、本実施形態におけるバスバー110の素材の好適例として、アルミニウム材料等が挙げられる。また、異種金属部材の熱溶接による導電性低下を防止するという観点から、バスバー110には、電極端子20の第2部材40と同種の金属材料が用いられていることが好ましい。
【0042】
ここで、
図5および
図6に示すように、本実施形態では、第1部材30の接続部34と第2部材40との接触界面に形成された断熱部80の上方に熱溶接部90が形成されるように、バスバー110と電極端子20との熱溶接を行う。具体的には、金属接合部70を挟んで対向する線状の熱溶接部90が一対形成されるように、上記断熱部80の上方にレーザ光を照射する。これによって、熱溶接時の熱を断熱部80で断熱しながら熱溶接部90を形成できるため、金属接合部70の熱劣化を抑制できる。
【0043】
なお、ここに開示される技術において、熱溶接部90の形成位置(熱溶接におけるレーザ照射位置)は、断熱部80の上方に限定されない。例えば、
図7に示すように、金属接合部70を中心とする径方向において断熱部80よりも外側に熱溶接部90が形成されるように熱溶接を行ってもよい。この場合でも、熱溶接時の際の熱を断熱部80で断熱できるため、金属接合部70の熱劣化を抑制できる。
【0044】
なお、熱溶接部90は、金属接合部70の熱劣化をより好適に抑制するという観点で、その形成位置が調節されていることが好ましい。具体的には、金属接合部70の中心Cから外縁72までの距離をL1とし、金属接合部70の中心Cから断熱部80の内縁82までの距離をL2とし、金属接合部70の中心Cから熱溶接部90の中心までの距離をL3とした場合、下記の式(1)を満たすように熱溶接部90の形成位置が調節されていることが好ましい。これによって、熱溶接時の大きな熱が金属接合部70に到達することをより好適に防止できる。また、金属接合部70の熱劣化をより確実に防止するという観点からは、下記の式(2)を満たすように熱溶接部90の形成位置が調節されていることが好ましい。なお、下記の式(1)および式(2)は、断熱部80が空洞である場合に適用され得る条件である。例えば、断熱部80に断熱材を充填している場合には、当該断熱材の断熱性(熱伝導度)を考慮し、熱溶接部90の形成位置を調節することが好ましい。
L3-L2>L2-L1 (1)
L3-L2>(L2-L1)×1.5 (2)
【0045】
また、金属接合部70の熱劣化をより確実に防止するという観点から、線状の熱溶接部90の幅wが次の式(3)を満たすように、熱溶接の条件(溶接温度、走査速度など)を調節することが好ましい。
L3-L2>w (3)
【0046】
3.他の実施形態
以上、ここに開示される技術の一実施形態について説明した。なお、上述の実施形態は、ここに開示される技術が適用された二次電池(又は組電池)の一例を示すものであり、ここに開示される技術を限定することを意図したものではない。
【0047】
例えば、上述の実施形態では、平面視において金属接合部70を囲む円環状の断熱部80が形成されている。しかし、断熱部は、金属接合部を中心とする径方向において金属接合部よりも外側に形成されていればよく、具体的な平面形状は特に限定されない。例えば、断熱部は、
図8に示すように、平面視において金属接合部70を囲む四角環状の断熱部80Aであってもよい。かかる四角環状の断熱部80Aを形成した場合でも、熱溶接部90の形成時(熱溶接時)の熱を適切に断熱し、金属接合部70の熱劣化を抑制できる。さらに、断熱部の平面形状は、
図6~
図8に示すような環状でなくてもよい。例えば、
図9に示すように、金属接合部70を挟んで対向するように、平面矩形の断熱部80Bを一対形成してもよい。なお、かかる一対の断熱部80Bを形成した場合、熱溶接部90は、各々の断熱部80Bの上方(若しくは、各々の断熱部80Bよりも径方向外側の位置)に形成される。これによって、熱溶接時の熱を断熱部80Bにおいて適切に断熱し、金属接合部70の熱劣化を抑制できる。
【0048】
また、ここに開示される技術において、熱溶接を実施する領域(すなわち、熱溶接部90)は、断熱部の上方(若しくは、断熱部よりも径方向外側)であれば特に限定されず、適宜変更することができる。例えば、
図6や
図10に示すように、熱溶接部90の一部が断熱部80、80Cからはみ出すように熱溶接を実施してもよい。このような場合でも、断熱部80、80Cからはみ出した熱溶接部90が、金属接合部70を中心とする径方向において断熱部80、80Cよりも外側に形成されていれば、金属接合部70の熱劣化を充分に抑制できる。例えば、
図10では、熱溶接部90の上端92が矩形の断熱部80Cからはみ出すように熱溶接が実施されている。しかしながら、熱溶接部90の上端92と金属接合部70を結ぶ直線A上で見ると、断熱部80Cの外側に熱溶接部90の上端92が形成されている。この場合には、熱溶接部90の上端92を形成する際の熱を断熱部80Cにおいて断熱できるため、金属接合部70の熱劣化を充分に抑制できる。但し、断熱部を回り込んだ熱が金属接合部に伝わる可能性を考慮すると、
図6~
図8に示すような環状の断熱部80、80Aを形成することが好ましい。
【0049】
さらに、上述した各形態では、金属接合部70を挟んで対向した線状の熱溶接部90を一対形成している。しかし、熱溶接部の平面形状は、線状に限定されず、種々の形状を採用することができる。例えば、
図11に示すように、断熱部80を囲むような環状の熱溶接部90Aを形成してもよい。この場合であっても、熱溶接時の熱を断熱部80において適切に断熱できるため、金属接合部70の熱劣化を適切に抑制できる。なお、
図11では、断熱部80の外縁84よりも大きな半径を有する環状の熱溶接部90Aを形成し、金属接合部70を中心とする径方向において断熱部80の外側に熱溶接部90Aを形成している。しかしながら、熱溶接部90Aの半径を、断熱部80の外縁84よりも小さく、かつ、内縁82よりも大きくし、断熱部80の上方に環状の熱溶接部90Aを形成してもよい。この場合であっても、熱溶接時の熱を断熱部80において適切に断熱し、金属接合部70の熱劣化を抑制できる。
【0050】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。ここに開示される発明には上記の具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【符号の説明】
【0051】
1 二次電池
10 電池ケース
12 ケース本体
14 蓋体
20 電極端子
30 第1部材
32 軸部
34 接続部
36 鋲部
40 第2部材
42 凹部
46 凹溝
50 第3部材
62 ガスケット
64 インシュレータ
70 金属接合部
80、80A~80C 断熱部
90、90A 熱溶接部
100 組電池
110 バスバー
120 エンドプレート
130 拘束用ビーム材
140 スペーサ