(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022115161
(43)【公開日】2022-08-09
(54)【発明の名称】ロボットアーム
(51)【国際特許分類】
B25J 18/00 20060101AFI20220802BHJP
B29C 65/70 20060101ALI20220802BHJP
B29C 70/68 20060101ALI20220802BHJP
B29C 70/16 20060101ALI20220802BHJP
B29C 70/42 20060101ALI20220802BHJP
B29C 45/14 20060101ALI20220802BHJP
B29K 101/10 20060101ALN20220802BHJP
B29K 105/08 20060101ALN20220802BHJP
B29L 23/00 20060101ALN20220802BHJP
【FI】
B25J18/00
B29C65/70
B29C70/68
B29C70/16
B29C70/42
B29C45/14
B29K101:10
B29K105:08
B29L23:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021011647
(22)【出願日】2021-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】391006083
【氏名又は名称】三光合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095740
【弁理士】
【氏名又は名称】開口 宗昭
(72)【発明者】
【氏名】安田 満雄
(72)【発明者】
【氏名】小西 勉
【テーマコード(参考)】
3C707
4F205
4F206
4F211
【Fターム(参考)】
3C707CU01
3C707CU08
4F205AA36
4F205AB25
4F205AD12
4F205AD16
4F205AG03
4F205AG08
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4F205HA12
4F205HA14
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4F205HA33
4F205HA36
4F205HA37
4F205HA45
4F205HB01
4F205HK04
4F205HK05
4F206AA36
4F206AB11
4F206AB25
4F206AD12
4F206AD16
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4F206AG08
4F206JA07
4F206JB12
4F206JB15
4F206JF05
4F206JL02
4F211AA36
4F211AB11B
4F211AB25
4F211AD12
4F211AD16
4F211AG03
4F211AG08
4F211TA08
4F211TC07
4F211TN82
4F211TN85
(57)【要約】
【課題】必要とされる高い捩り強度を確保しつつ、本体部分を熱硬化性FRP製円筒筒体としてなるロボットアームの本体部分に機能部分を装着して充分に軽量でしかも人間の間で、人間と共にあるいは人間を補助して動作するロボットアームとして安全性が高いロボットアームであり、特に取付部材の取付部の固定強度が強いロボットアームを提供する。
【解決手段】 ロボットアーム5は、熱硬化性FRP製円筒筒体6端部の内側面6bと取付部材9の嵌合部に閉鎖空間10を設けてこの閉鎖空間10に熱硬化性樹脂と繊維を複合した複合樹脂層8bを加圧加熱成形し、熱硬化性FRP製円筒筒体6の端部内径に篏合して組付けた取付部材9と熱硬化性FRP製円筒筒体6相互をボルト11で締め付けるとともに、熱硬化性FRP製円筒筒体6端部の外側面6aに熱硬化性樹脂と繊維を複合した複合樹脂層8aを加圧加熱成形してなる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱硬化性FRP製円筒筒体の外側面及び内側面の少なくとも一方に熱硬化性樹脂と繊維を複合した樹脂を加圧加熱成形してなることを特徴とするロボットアーム。
【請求項2】
熱硬化性FRP製円筒筒体端部の外側面及び内側面の少なくとも一方に熱硬化性樹脂と繊維を複合した樹脂を加圧加熱成形してなることを特徴とするロボットアーム。
【請求項3】
熱硬化性FRP製円筒筒体の端部内径に取付部材を組付けたロボットアームであって、熱硬化性FRP製円筒筒体端部の内側面に熱硬化性樹脂と繊維を複合した樹脂を加圧加熱成形して熱硬化性FRP製円筒筒体端部の内側に嵌合する取付部を形成したことを特徴とするロボットアーム。
【請求項4】
熱硬化性FRP製円筒筒体の端部内径に取付部材を篏合して組付けたロボットアームであって、熱硬化性FRP製円筒筒体端部の外側面に熱硬化性樹脂と繊維を複合した樹脂を加圧加熱成形してなることを特徴とするロボットアーム。
【請求項5】
熱硬化性 FRP 製円筒筒体端部の外側面と取付部材凹面間に熱硬化性樹脂と繊維を複合した樹脂を加圧加熱成形してなる請求項4記載のロボットアーム
【請求項6】
熱硬化性 FRP 製円筒筒体の端部内径に取付部材を篏合して組付けたロボットアームであ って、熱硬化性 FRP 製円筒筒体端部の外側面と取付部材凹面に繊維を複合した樹脂で射出成形してなることを特徴とするロボットアーム。
【請求項7】
取付部材凹部と貫通穴を開けた熱硬化性 FRP 製円筒筒体端部の外側面と、円筒体の貫通穴と取付部材の嵌合部の凹面とを接続し、繊維を複合した樹脂で射出形成してなる請求項6記載のロボットアーム。
【請求項8】
熱硬化性FRP製円筒筒体の端部内径に取付部材を篏合して組付けたロボットアームであって、熱硬化性FRP製円筒筒体端部の内側面と取付部材の嵌合部に閉鎖空間を設けてこの空間に熱硬化性樹脂と繊維を複合した樹脂を加圧加熱成形してなることを特徴とするロボットアーム。
【請求項9】
熱硬化性FRP製円筒筒体の端部内径に篏合して組付けた取付部材と前記熱硬化性FRP製円筒筒体相互を゛をネジで締め付けるとともにて、熱硬化性FRP製円筒筒体端部の外側面に熱硬化性樹脂と繊維を複合した樹脂を加圧加熱成形してなることを特徴とするロボットアーム。
【請求項10】
取付部材外側面に対する複合樹脂層の形成を行う内径積層工程と、予備成形・凝固工程と、熱硬化性FRP製円筒筒体の端部内側に、外側面に繊維成形原反材を配置して予備成形・凝固工程を行った取付部材を圧入して篏合する圧入工程と、前記圧入工程によって熱硬化性FRP製円筒筒体の端部内側に、圧入して篏合した取付部材をボルトによって熱硬化性FRP製円筒筒体に対し締結するボルト締め工程と、熱硬化性FRP製円筒筒体の外側面に対する複合樹脂層の形成を行う外径積層工程と、よりなることを特徴とするロボットアームの製造方法。
【請求項11】
前記内径積層工程及び前記予備成形・凝固工程をが前記取付部材外側面に形成された凹所に繊維成形原反材を配置して行われる請求項7記載のロボットアームの製造方法。
【請求項12】
前記外径積層工程が熱硬化性FRP製円筒筒体外側面に巻回した繊維成形原反材の外側に加圧テープを巻回し、加圧して成形工程を行う請求項7又は請求項8記載のロボットアームの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱硬化性FRP製円筒筒体の外側面及び内側面の少なくとも一方に熱硬化性樹脂と繊維を複合した樹脂を加圧加熱成形してなるロボットアームに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に例えばレーザー加工等に用いる工業用ロボットは1/100mm程度の先端精度が必要であり、そのためには高い剛性が必要であった。これに対して近年、少子高齢化の進展と共に人間の間で、人間と共にあるいは人間を補助して動作する工業用ロボットの必要性が高まって来ている。この様な工業用ロボットには従来の工業用ロボットの様な高い剛性は必要ではなくむしろ省エネルギーの観点や地球環境保全の観点等から、軽量化が強く望まれている。その一つの手段としてロボットアームの本体部分を熱硬化性FRP製円筒筒体に代替させることが検討されてきた。その際、使用する強化繊維にも種々あり、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等が検討されているが、この中で特に、比強度、比弾性率の面で優れた炭素繊維を強化繊維とするCFRP(炭素繊維強化プラスチックス)が有力とされている。
【0003】
この本体部分を熱硬化性FRP製円筒筒体としてなるロボットアームは本体部分に機能部分を装着して各種機能を果たすことが可能となるようにする必要がある。この熱硬化性FRP製円筒筒体からなる本体部分への機能部分の装着には、熱硬化性FRP製円筒筒体の捩り強度とバランスが採れた接合法が必要とされている。
【0004】
特許文献1にはFRP製円筒体の端部に金属製の継ぎ手が圧入される機械装置部品において、必要とされる高い捩り強度を確保しつつ、金属製継ぎ手の圧入接合操作に伴うFRP製円筒体端部からの損傷の発生を防止し、かつ、その部分の劣化進行も防止し得る構造を提供することを課題としてFRP製円筒体と、該FRP製円筒体の端部に圧入された金属製継ぎ手との機械装置部品であって、FRP製円筒体の端面から軸方向にスリット加工が施されていることを特徴とする機械装置部品が開示された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし特許文献1に開示された機械装置部品では特にロボットア-ムを構成するFRP製円筒体に他部材を取り付ける接合部分に関して十分な強度が得られないという問題があった。 従前より一般にロボットア-ムを構成するFRP製円筒体は3m厚程度のFRP製円筒体を所定長さに切断して、その両端部内側に他部材との取付部材を固定するようにしていた。
その場合、FRP製円筒体端部内側に形成される取付部材嵌合部に取付部材を圧入後、FRP製円筒体端部外側から取付部材嵌合部にボルトを挿通させてボルト締めを行うようにしていた。しかし、それでは十分な固定強度が得られなかった。
その場合に例えば取付部材嵌合部に接着材を塗布した上で取付部材を圧入するいう対策を採用しても、接着材が流失するという問題が生じ、固定強度が不安定になっていた。
【0007】
本発明は以上の従来技術における問題点に鑑み、必要とされる高い捩り強度を確保しつつ、本体部分を熱硬化性FRP製円筒筒体としてなるロボットアームの本体部分に機能部分を装着して充分に軽量でしかも人間の間で、人間と共にあるいは人間を補助して動作するロボットアームとして安全性が高いロボットアームであり、特に取付部材の取付部の固定強度が強いロボットアームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明に係るロボットアームは、熱硬化性FRP製円筒筒体の外側面及び内側面の少なくとも一方に熱硬化性樹脂と繊維を複合した樹脂を加圧加熱成形してなることを特徴とする。
【0009】
また本発明に係るロボットアームは、熱硬化性FRP製円筒筒体端部の外側面及び内側面の少なくとも一方に熱硬化性樹脂と繊維を複合した樹脂を加圧加熱成形してなることを特徴とする。
【0010】
さらに本発明に係るロボットアームは、熱硬化性FRP製円筒筒体の端部内径に取付部材を組付けたロボットアームであって、熱硬化性FRP製円筒筒体端部の内側面に熱硬化性樹脂と繊維を複合した樹脂を加圧加熱成形して熱硬化性FRP製円筒筒体端部の内側に嵌合する取付部を形成したことを特徴とする。
【0011】
加えて本発明に係るロボットアームは、熱硬化性FRP製円筒筒体の端部内径に取付部材を篏合して組付けたロボットアームであって、熱硬化性FRP製円筒筒体端部の外側面に熱硬化性樹脂と繊維を複合した樹脂を加圧加熱成形してなることを特徴とする。
【0012】
さらに加えて本発明に係るロボットアームは、熱硬化性FRP製円筒筒体の端部内径に取付部材を篏合して組付けたロボットアームであって、熱硬化性FRP製円筒筒体端部の内側面と取付部材の嵌合部に閉鎖空間を設けてこの空間に熱硬化性樹脂と繊維を複合した樹脂を加圧加熱成形してなることを特徴とするロボットアーム。
【0013】
また本発明に係るロボットアームは、熱硬化性FRP製円筒筒体の端部内径に篏合して組付けた取付部材と前記熱硬化性FRP製円筒筒体相互を゛をネジで締め付けるとともにて、熱硬化性FRP製円筒筒体端部の外側面に熱硬化性樹脂と繊維を複合した樹脂を加圧加熱成形してなることを特徴とする。
【0014】
本発明のロボットアームの製造方法は、取付部材外側面に対する複合樹脂層の形成を行う内径積層工程と、予備成形・凝固工程と、熱硬化性FRP製円筒筒体の端部内側に、外側面に繊維成形原反材を配置して予備成形・凝固工程を行った取付部材を圧入して篏合する圧入工程と、前記圧入工程によって熱硬化性FRP製円筒筒体の端部内側に、圧入して篏合した取付部材をボルトによって熱硬化性FRP製円筒筒体に対し締結するボルト締め工程と、熱硬化性FRP製円筒筒体の外側面に対する複合樹脂層の形成を行う外径積層工程と、よりなることを特徴とする。
【0015】
前記内径積層工程及び前記予備成形・凝固工程をが前記取付部材外側面に形成された凹所に繊維成形原反材を配置して行われるのが好ましい。
【0016】
前記外径積層工程が熱硬化性FRP製円筒筒体外側面に巻回した繊維成形原反材の外側に加圧テープを巻回し、加圧して成形工程を行うのがよい。
【0017】
熱硬化性FRP製円筒筒体としては、とくに強化繊維が少なくとも比強度、比弾性率に優れた炭素繊維を含むものであることが、高い強度や捩りトルク伝達特性発現の点から好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明のロボットアームによれば、必要とされる高い捩り強度を確保しつつ、充分に軽量でしかも人間の間で、人間と共にあるいは人間を補助して動作する機械装置として安全性が高いロボットアームとすることができ、特に取付部材の取付部の固定強度が強いロボットアームとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】(a)本発明の賦形成形方法で用いる成形原反材の概念図である。(b)
図1(a)に示す成形原反材を構成する織物基材の概念図である。
【
図2】本発明の一実施の形態のロボットアームの斜視図である。
【
図3】
図2のロボットアームの部分縦断面図である。
【
図4】
図2のロボットアームの部分横断面図である。
【
図5】
図3の部分断面図と同一部分について示す斜視図である。
【
図6】本発明のロボットアームの製造方法の一実施の形態の他の説明図である。
【
図7】本発明のロボットアームの製造方法の一実施の形態の他の説明図である。
【
図8】本発明のロボットアームの製造方法の一実施の形態の他の説明図である。
【
図9】本発明のロボットアームの製造方法の一実施の形態の他の説明図である。
【
図10】本発明のロボットアームの製造方法の一実施の形態の他の説明図である。
【
図11】本発明のロボットアームの製造方法の一実施の形態の他の説明図である。
【
図12】本発明のロボットアームの製造方法の一実施の形態の他の説明図である。
【
図13】本発明のロボットアームの製造方法の一実施の形態の説明図である。
【
図14】
図14本発明の他の実施の形態のロボットアームの部分縦断面図である。
【
図15】
図15本発明の実施の形態のロボットアームの本発明の実施の形態に係るロボットアーム5の曲げ強度60kgmの負荷をかけた時の安全率を測定した結果を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明の実施の形態に係るロボットアームの製造に用いる繊維素材について説明する。
本発明の本発明の実施の形態に係るロボットアームは、
図1(a)に示す成形原反材1を用いて製造する。
図1(a)に示すように、成形原反材1は、複数本の強化繊維束2を含む織物基材3の少なくとも一方の表面に熱硬化性樹脂を主成分とする樹脂材料4が付着してなる。
【0021】
織物基材3は、
図1(b)に示すように互いに平行となるよう一方向に引き揃えられた複数本の強化繊維束2を直交する二方向に織成してなる二方向性織物である。二方向性織物は、強化繊維束2間の相対位置の変化による変形がしやすく立体形状に変形しやすいこと、少ない枚数で力学的に擬似等方性を有する積層成形材を得やすい利点がある。
強化繊維束2は、炭素繊維束、黒鉛繊維束、ガラス繊維束、または、アラミド繊維束などを用いることができ、炭素繊維束であることが好ましい。炭素繊維束を用いることにより、最終製品である繊維強化樹脂成形品の力学特性を高いものとすることができる。
【0022】
織物基材3の表面に付着している樹脂材料4は、織物基材3の層間を接着する作用を得ることができる熱硬化性樹脂を主成分とする。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ、ウレタン、ポリエステルなどがある。樹脂材料4が熱硬化性樹脂を主成分とするものとすることによって成形原反材1を積層して、立体形状へと変形させた後に織物基材3の層間を接着させる場合の取り扱い性が向上し、生産性が向上する。なお、主成分とは樹脂材料4を構成する成分の中で、その割合が最も多い成分である。
【0023】
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図2は、本発明の一実施の形態のロボットアーム5を示す。
ロボットアーム5は熱硬化性FRP製円筒筒体の一態様であるFRP製円筒体6を熱硬化性樹脂と繊維を複合した樹脂で射出成形して成り、熱硬化性樹脂と繊維を複合した複合樹脂からなる機能部7a、7bがFRP製円筒体6両端の外径側に成形されて成る。機能部7a、7bは例えば図示しない動作部、把持部、関節部等との継ぎ手として機能する。
【0024】
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図2は、本発明の一実施の形態のロボットアーム5を示す。
ロボットアーム5は熱硬化性FRP 製円筒筒体の一態様であるFRP製円筒体6を熱硬化性樹脂と繊維を複合した樹脂で加圧加熱成形して成り、熱硬化性樹脂と繊維を複合した複合樹脂からなる機能部7a、7bがFRP製円筒体6両端の外径側に成形されて成る。機能部7a、7bは例えば図示しない動作部、把持部、関節部等との継ぎ手として機能する。
【0025】
係る本実施の形態に係るロボットアーム5は、
図3、
図5、
図4に示す様に熱硬化性FRP製円筒筒体6の外側面6a及び内側面6bの少なくとも一方に熱硬化性樹脂と繊維とを複合した複合樹脂層8a、8bを加圧加熱成形してなる。
【0026】
具体的には本実施の形態に係るロボットアーム5は、熱硬化性FRP製円筒筒体6端部Aの外側面6a及び内側面6bの少なくとも一方に熱硬化性樹脂と繊維を複合した樹脂層8a、8bを加圧加熱成形してなる。
【0027】
さらに本実施の形態に係るロボットアーム5は、熱硬化性FRP製円筒筒体6の端部A内径に取付部材9を組付けたロボットアーム5であって、熱硬化性FRP製円筒筒体6端部の内側面6bに熱硬化性樹脂と繊維を複合した複合樹脂層8bを加圧加熱成形して熱硬化性FRP製円筒筒体6端部の内側に嵌合する取付部である閉鎖空間10を形成してなる。
【0028】
加えて本実施の形態に係るロボットアーム5は、熱硬化性FRP製円筒筒体6の端部内径に取付部材9を篏合して組付けたロボットアーム5であって、熱硬化性FRP製円筒筒体6端部の外側面6aに熱硬化性樹脂と繊維を複合した複合樹脂層8aを加圧加熱成形してなる。
【0029】
さらに加えて本実施の形態に係るロボットアーム5は、熱硬化性FRP製円筒筒体6の端部内径に取付部材9を篏合して組付けたロボットアーム5であって、熱硬化性FRP製円筒筒体6端部の内側面6bと取付部材9の嵌合部に取付部である閉鎖空間10を設けてこの閉鎖空間10に熱硬化性樹脂と繊維を複合した複合樹脂層8bを加圧加熱成形してなる。
【0030】
また本実施の形態に係るロボットアーム5は、熱硬化性FRP製円筒筒体6の端部内径に篏合して組付けた取付部材9と熱硬化性FRP製円筒筒体6相互を゛をボルト11で締め付けるとともに、熱硬化性FRP製円筒筒体6端部の外側面6aに熱硬化性樹脂と繊維を複合した複合樹脂層8aを加圧加熱成形してなる。
【0031】
以下に以上の実施の形態に係るロボットアーム5の製造工程について説明する。
まず取付部材9外側面に対する複合樹脂層8bの形成を行う内径積層工程を行う。
図6に示すように取付部材9外側面に形成された凹所10に繊維成形原反材1を配置する。この際、環境温度は20℃、加工物温度は30℃程度である。
【0032】
次に
図7に示すように予備成形・凝固工程を行う。予備成形工程における環境温度は50℃、加工物温度は50℃程度に設定する。凝固工程における環境温度は-15℃、加工物温度は-15℃程度に設定する。
次に
図8に示すように圧入工程を行う。圧入工程は熱硬化性FRP製円筒筒体6の端部内側に、外側面に形成された凹所10に繊維成形原反材1を配置して予備成形・凝固工程を行った取付部材9を圧入して篏合する態様で行う。圧入工程における環境温度は20℃、加工物温度は-15℃程度に設定する。
【0033】
次いで、
図9に示すようにボルト締め工程を行う。このボルト締め工程で圧入工程によって熱硬化性FRP製円筒筒体6の端部内側に、圧入して篏合した取付部材9をボルト11によって熱硬化性FRP製円筒筒体6に対し締結する。このボルト締め工程における環境温度は20℃、加工物温度は20℃程度に設定する。
【0034】
次に熱硬化性FRP製円筒筒体6の外側面に対する複合樹脂層8aの形成を行う外径積層工程を行う。この外径積層工程では先ず
図10に示すように熱硬化性FRP製円筒筒体6外側面に繊維成形原反材1を巻回する。この際、環境温度は20℃、加工物温度は30℃程度である。
さらに引き続き
図11に示すように熱硬化性FRP製円筒筒体6外側面に巻回した繊維成形原反材1の外側に加圧テープ12を巻回し、加圧する外径加圧テ-プ巻工程を行う。この際、環境温度は20℃、加工物温度は30℃程度である。
【0035】
その状態で
図12に示すように成形工程を行う。この成形工程における環境温度は80℃であり、加工物温度は80℃程度に2hr保持する。
最後に
図13に示すように加圧テ-プ除去を行い、本発明の実施の形態に係るロボットアーム5の製作を完了する。
【0036】
図14は本発明の他の実施の形態のロボットアームの部分縦断面図を示す。本実施の形態のロボットアーム5では他は上述の実施の形態のロボットアーム5と同様とし、取付部材9の凹部9aと貫通穴6aを設けた熱硬化性FRP製円筒筒体6端部の外側面と、熱硬化性FRP製円筒筒体6の貫通穴6cと取付部材9の嵌合部の閉鎖空間10とを接続し、繊維を複合した樹脂で射出形成してなる複合樹脂層である一体接続部8aが設けられる点が異なる。
【0037】
図15に本発明の実施の形態に係るロボットアーム5の曲げ強度60kgmの負荷をかけた時の安全率を測定した結果を示す。
図に示すように熱硬化性FRP製円筒筒体6単体では安全率11.1であるのに対し、ただ単に熱硬化性FRP製円筒筒体6の端部内側に、取付部材9を圧入して篏合した場合には安全率0,5であり、さらに熱硬化性FRP製円筒筒体6の端部内側であり取付部材9外側、及び熱硬化性FRP製円筒筒体6の端部外側に繊維成形原反材1を配置し、成形した場合には安全率5,5であった。これに対しボルト11によって締結し、内外側に繊維成形原反材1を配置し、成形した本発明の実施の形態に係るロボットアーム5では安全率が9.0に達した。
【符号の説明】
【0038】
5・・・ロボットアーム、6・・・熱硬化性FRP製円筒筒体、7a、7b・・・機能部、8・・・複合樹脂層。