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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022115175
(43)【公開日】2022-08-09
(54)【発明の名称】スターリング機関及びその調整方法
(51)【国際特許分類】
   F02G 1/043 20060101AFI20220802BHJP
   F25B 9/14 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
F02G1/043 A
F02G1/043 F
F25B9/14 520A
F25B9/14 520E
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021011668
(22)【出願日】2021-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】000109325
【氏名又は名称】ツインバード工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】井上 峰幸
(72)【発明者】
【氏名】谷川 淳
(72)【発明者】
【氏名】小田 清貴
(57)【要約】
【課題】容易に特性を調整することができるスターリング機関を提供すること。
【解決手段】中心軸線Xを有するシリンダ15内を往復動可能に設けられる往復体としてのピストン23と、このピストン23に結合されてこのピストン23と共に動作する可動体としてのリニアモータ24の可動子26及び接続体25とを有するスターリング機関としてのスターリング冷凍機1において、前記可動子26とピストン23との位置関係を調整して前記シリンダ15内における前記ピストン23の先端23Aの静止位置を調整する調整機構としてのスペーサ45,46を有することで、スターリング冷凍機1の特性を容易に調整することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸線を有するシリンダ内を往復動可能に設けられる往復体と、この往復体に結合されてこの往復体と共に動作する可動体とを有するスターリング機関において、
前記可動体と往復体との位置関係を調整することで、前記シリンダ内における前記往復体の初期位置を調整する調整機構を有することを特徴とするスターリング機関。
【請求項2】
前記調整機構が、前記可動体と往復体との間に設けられるスペーサであることを特徴とする請求項1記載のスターリング機関。
【請求項3】
前記調整機構が、前記往復体に設けられる第一段差部と、前記可動体に設けられる第二段差部とを有して構成され、これらの第一段差部と第二段差部の少なくとも一方が、中心軸線方向の位置を違えた複数段の当接面を有し、これらの第一段差部と第二段差部とが対向して設けられると共に、前記第一段差部と第二段差部の互いに当接する当接面が選択可能となるように構成されることを特徴とする請求項1記載のスターリング機関。
【請求項4】
中心軸線を有するシリンダ内を往復動可能に設けられる往復体と、この往復体に結合されてこの往復体と共に動作する可動体と、この可動体に結合されて前記往復体と可動体の動作を制御する制御体を有するスターリング機関において、
前記可動体と制御体との位置関係を調整することで、前記シリンダ内における前記往復体の初期位置を調整する調整機構を有することを特徴とするスターリング機関。
【請求項5】
前記調整機構が、前記可動体と制御体との間に設けられるスペーサであることを特徴とする請求項4に記載のスターリング機関。
【請求項6】
前記調整機構が、前記可動体に設けられる第一段差部と、前記制御体に設けられる第二段差部とを有して構成され、これらの第一段差部と第二段差部の少なくとも一方が、中心軸線方向の位置を違えた複数段の当接面を有し、これらの第一段差部と第二段差部とが対向して設けられると共に、前記第一段差部と第二段差部の互いに当接する当接面が選択可能となるように構成されることを特徴とする請求項4に記載のスターリング機関。
【請求項7】
中心軸線を有するシリンダ内を往復動可能に設けられる往復体と、この往復体に結合されてこの往復体と共に動作する可動体とを有するスターリング機関の調整方法において、
軸方向長さの異なる複数の前記往復体を用意し、これらの何れかを前記可動体に結合させることで、前記シリンダ内における前記往復体の初期位置を調整することを特徴とするスターリング機関の調整方法。
【請求項8】
中心軸線を有するシリンダ内を往復動可能に設けられる往復体と、この往復体に結合されてこの往復体と共に動作する可動体とを有するスターリング機関の調整方法において、
軸方向長さの異なる複数の前記可動体を用意し、これらの何れかを前記往復体に結合させることで、前記シリンダ内における前記往復体の初期位置を調整することを特徴とするスターリング機関の調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スターリング機関に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のスターリング機関としては、ケーシングと、このケーシング内に設けられて中心軸線を有するシリンダと、このシリンダと同軸で且つこのシリンダ内を往復動可能に設けられるピストン(本願発明の往復体に相当する)と、前記シリンダと同軸で且つこのシリンダ内を往復動可能に設けられるディスプレイサー(本願発明の往復体に相当する)とを有し、前記シリンダ内で且つ前記ピストンとディスプレイサーの間に圧縮室が設けられると共に、前記ケーシング内で且つ前記ディスプレイサーの反ピストン側に膨張室が設けられたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。そして、前記圧縮室及び膨張室は、前記ピストンとディスプレイサーの動作によって体積及び圧力が変動する。また、前記圧縮室と膨張室は連通している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3769751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなスターリング機関は、圧縮室の体積及び膨張室の体積によって、その特性が変化する。例えば、スターリング機関がスターリング冷凍機であれば、膨張室周辺における最低到達温度、温度低下速度、動作周波数、消費電力等が変化することが考えられる。そして、これらの特性は、スターリング機関の用途によって調整できるようにしておくことが望ましいが、従来の構造では、特定の物理的寸法に固定されていた。そして、スターリング機関の特性を調整しようとした場合、微調整程度の寸法の調整であっても、調整の度に部品を製作する必要があった。
【0005】
本発明は以上の問題点を解決し、容易に特性を調整することができるスターリング機関を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載のスターリング機関は、中心軸線を有するシリンダ内を往復動可能に設けられる往復体と、この往復体に結合されてこの往復体と共に動作する可動体とを有するスターリング機関において、前記可動体と往復体との位置関係を調整することで、前記シリンダ内における前記往復体の静止位置を調整する調整機構を有することを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明の請求項2に記載のスターリング機関は、請求項1において、前記調整機構が、前記可動体と往復体との間に設けられるスペーサであることを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明の請求項3に記載のスターリング機関は、請求項1において、前記調整機構が、前記往復体に設けられる第一段差部と、前記可動体に設けられる第二段差部とを有して構成され、これらの第一段差部と第二段差部の少なくとも一方が、中心軸線方向の位置を違えた複数段の当接面を有し、これらの第一段差部と第二段差部とが対向して設けられると共に、前記第一段差部と第二段差部の互いに当接する当接面が選択可能となるように構成されることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の請求項4に記載のスターリング機関は、中心軸線を有するシリンダ内を往復動可能に設けられる往復体と、この往復体に結合されてこの往復体と共に動作する可動体と、この可動体に結合されて前記往復体と可動体の動作を制御する制御体を有するスターリング機関において、前記可動体と制御体との位置関係を調整することで、前記シリンダ内における前記往復体の静止位置を調整する調整機構を有することを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の請求項5に記載のスターリング機関は、請求項4において、前記調整機構が、前記可動体と制御体との間に設けられるスペーサであることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の請求項6に記載のスターリング機関は、請求項4において、前記調整機構が、前記可動体に設けられる第一段差部と、前記制御体に設けられる第二段差部とを有して構成され、これらの第一段差部と第二段差部の少なくとも一方が、中心軸線方向の位置を違えた複数段の当接面を有し、これらの第一段差部と第二段差部とが対向して設けられると共に、前記第一段差部と第二段差部の互いに当接する当接面が選択可能となるように構成されることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の請求項7に記載のスターリング機関の調整方法は、中心軸線を有するシリンダ内を往復動可能に設けられる往復体と、この往復体に結合されてこの往復体と共に動作する可動体とを有するスターリング機関の調整方法において、軸方向長さの異なる複数の前記往復体を用意し、これらの何れかを前記可動体に結合させることで、前記シリンダ内における前記往復体の静止位置を調整することを特徴とするものである。
【0013】
更に、本発明の請求項8に記載のスターリング機関の調整方法は、中心軸線を有するシリンダ内を往復動可能に設けられる往復体と、この往復体に結合されてこの往復体と共に動作する可動体とを有するスターリング機関の調整方法において、軸方向長さの異なる複数の前記可動体を用意し、これらの何れかを前記往復体に結合させることで、前記シリンダ内における前記往復体の静止位置を調整することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1に記載のスターリング機関は、以上のように構成することにより、前記調整機構によって前記シリンダ内における前記往復体の静止位置が調整されるので、スターリング機関の特性を容易に調整することができる。
【0015】
なお、前記調整機構を、前記可動体と往復体との間に設けられるスペーサとすることにより、スターリング機関の特性をより容易に調整することができる。
【0016】
また、前記調整機構が、前記往復体に設けられる第一段差部と、前記可動体に設けられる第二段差部とを有して構成され、これらの第一段差部と第二段差部の少なくとも一方が、中心軸線方向の位置を違えた複数段の当接面を有し、これらの第一段差部と第二段差部とが対向して設けられると共に、前記第一段差部と第二段差部の互いに当接する当接面が選択可能となるように構成されることにより、質量を増加させることなく、また、部品数を増やすことなく、スターリング機関の特性をより容易に調整することができる。
【0017】
また、本発明の請求項4に記載のスターリング機関は、以上のように構成することにより、前記調整機構によって前記シリンダ内における前記往復体の静止位置が調整されるので、スターリング機関の特性を容易に調整することができる。
【0018】
なお、前記調整機構を、前記可動体と制御体との間に設けられるスペーサとすることにより、スターリング機関の特性をより容易に調整することができる。
【0019】
また、前記調整機構が、前記可動体に設けられる第一段差部と、前記制御体に設けられる第二段差部とを有して構成され、これらの第一段差部と第二段差部の少なくとも一方が、中心軸線方向の位置を違えた複数段の当接面を有し、これらの第一段差部と第二段差部とが対向して設けられると共に、前記第一段差部と第二段差部の互いに当接する当接面が選択可能となるように構成されることにより、質量を増加させることなく、また、部品数を増やすことなく、スターリング機関の特性をより容易に調整することができる。
【0020】
また、本発明の請求項7に記載のスターリング機関の調整方法は、以上のように行うことにより、前記シリンダ内における前記往復体の静止位置が調整されるので、スターリング機関の特性を容易に調整することができる。
【0021】
更に、本発明の請求項8に記載のスターリング機関の調整方法は、以上のように行うことにより、前記シリンダ内における前記往復体の静止位置が調整されるので、スターリング機関の特性を容易に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第一の実施形態を示すスターリング機関としてのスターリング冷凍機における全体断面図である。
図2】同、往復体としてのピストンと可動体としての可動子及び接続体を含む組立体の分解断面図である。
図3】本発明の第二の実施形態を示すスターリング機関としてのスターリング冷凍機における、往復体としてのピストンと可動体としての可動子及び接続体を含む組立体の分解断面図である。
図4】同、往復体としてのピストンと可動体としての可動子の要部を周方向に展開した説明図である。
図5】本発明の第三の実施形態を示すスターリング機関としてのスターリング冷凍機における往復体としてのピストンと可動体としての可動子及び接続体を含む組立体の分解断面図である。
図6】本発明の第四の実施形態を示すスターリング機関としてのスターリング冷凍機における、往復体としてのディスプレイサーと可動体としてのロッドと制御体としての第二板バネを含む組立体の分解断面図である。
図7】本発明の第五の実施形態を示すスターリング機関としてのスターリング冷凍機における、往復体としてのディスプレイサーと可動体としてのロッドと制御体としての第二板バネを含む組立体の分解断面図である。
図8】本発明の第六の実施形態を示すスターリング機関としてのスターリング冷凍機における、往復体としてのピストンと可動体としての可動子及び接続体と制御体としての第一板バネを含む組立体の説明図であり、(a)は分解断面図、(b)は接続体を第一板バネ側から見た外観図、(c)は第一板バネを接続体側から見た外観図である。
図9】同、可動体としての接続体と制御体としての第一板バネの要部を周方向に展開した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の第一の実施形態について、図1及び図2に基づいて説明する。1は本発明のスターリング機関としてのフリーピストン型スターリング冷凍機である。このスターリング冷凍機1は、金属製のケーシング2を有する。そして、このケーシング2は、第一ケーシング体3と第二ケーシング体4とを有する。前記第一ケーシング体3は、小径円筒状に形成された円筒部5と、基端が開放した大径部6とを有して一体に形成される。そして、前記円筒部5は、閉塞された先端部7と、中間部8と、基部9とを有する。また、前記大径部6は、略円形の突曲面状に形成された一端面部10と、短円筒状の側面部11とを有する。同様に、前記第二ケーシング体4は、円筒状の側面部12と、略円形の突曲面状に形成された他端面部13とを有する。そして、前記大径部6と前記第二ケーシング体4とで、円筒状の胴部14が形成される。
【0024】
前記円筒部5の内部には、前記胴部14の内部まで延びるシリンダ15が、前記円筒部5に対して同軸的に挿入されて設けられる。即ち、前記シリンダ15の中心軸線Xは、前記円筒部5の中心軸線Xと一致する。なお、前記シリンダ15の内面の半径はRである。そして、前記シリンダ15は金属を用いて成形される。そして、前記シリンダ15の先端側の内側には、往復体としてのディスプレイサー16が中心軸線X方向に摺動可能に収容される。また、このディスプレイサー16の先端と前記円筒部5の先端部7の間には膨張室Eが形成され、隙間17によって前記シリンダ15の内外が連通される。また、前記中間部8において、前記円筒部5の内周と前記シリンダ15の外周との間に再生器18が設けられると共に、前記基部9において、前記シリンダ15の内外を連通する連通孔19が前記シリンダ15自体に形成される。また、前記円筒部5の先端部7の内周と前記シリンダ15の先端外周との間には、吸熱フィン20が設けられると共に、前記再生器18と連通孔19の間において、前記円筒部5の内周と前記シリンダ15の外周との間に排熱フィン21が設けられる。そして、前記シリンダ15の内部先端から隙間17、吸熱フィン20、再生器18、排熱フィン21、連通孔19を通って前記シリンダ15内の圧縮室Cに至る経路22が形成される。更に、前記胴部4内において、前記シリンダ15の基部側の内側には、往復体としてのピストン23が中心軸線X方向に摺動可能に収容される。そして、このピストン23の基端部は、リニアモータ24に対して同軸的に連結される。なお、このリニアモータ24は、接続体25によって前記ピストン23の基端に接続されて前記シリンダ15の基端側の外周に同軸状に延設された可動体としての可動子26と、この可動子26の外周に近接して設けられた環状の固定子27とを有して構成される。なお、前記接続体25も可動体に含まれる。
【0025】
また前記ピストン23に可動子26を接続させる前記接続体25には、前記ピストン23の動作を制御するための制御体としての第一板バネ28が接続される。さらに、前記ディスプレイサー16の基端側に、このディスプレイサー16と共に動作する可動体としてのロッド29の一端が接続されると共に、このロッド29の他端に、制御体としての第二板バネ30が接続される。なお、前記ロッド29は、前記ピストン23の中心を貫通して中心軸線X方向に延びる。また、前記第一及び第二板バネ28,30は、前記胴部14内において前記シリンダ15の基端側の外部に配置されると共に、前記第一板バネ28よりも第二板バネ30が前記シリンダ15の基端側から離れた位置に配置される。
【0026】
前記ピストン23と接続体25と可動子26と第一板バネ28との組立体について詳述する。前記ピストン23は中空円筒状に形成される。そして、このピストン23の先端23A中央には、前記ロッド29が挿通される貫通孔31が形成される。また、前記ピストン23の基端23B側は開口しており、この開口部の内面に雌ネジ32が形成される。前記接続体25は、中心軸線X方向に貫通孔33が形成され、この貫通孔33内に前記ロッド29が挿通される。そして、中心軸線X方向の両側に、第一雄ネジ34と第二雄ネジ35が形成される。また、前記各雄ネジ34,35にそれぞれ近接して、第一挟持面36と第二挟持面37が形成される。前記可動子26は、枠38と、この枠38の一端側に固定された円筒状の永久磁石39とを有して構成される。前記枠38は、合成樹脂等の非磁性体で構成される。また、前記枠38は、環状に形成される被挟持部40と、この被挟持部40の外周部から中心軸線X方向に延びて形成される案内筒部41と、この案内筒部41の先端部から外方向に延びて形成される拡径部42と、この拡径部42の外周部から中心軸線X方向に延びて形成される円筒部43とを有して構成される。前記永久磁石39は、前記円筒部43に固定される。そして、前記被挟持部40には、前記接続体25の第一雄ネジ34が挿通される貫通孔44が形成される。そして、この貫通孔44を介して、前記第一雄ネジ34と前記雌ネジ32とが螺合する。このように、前記第一雄ネジ34と前記雌ネジ32とが螺合することで、前記被挟持部40が、前記ピストン23の基端23Bと前記接続体25の第一挟持面36とで挟持される。これによって、前記ピストン23と接続体25と可動子26とが一体化される。この際、前記ピストン23の基端23B側は、前記枠体38の案内筒部41内に挿入される。なお、前記ピストン23の基端23Bと前記被挟持部40との間には、調整機構としての環状のスペーサ45又は46が配置可能である。前記第一板バネ28の中央部には貫通孔(図示せず)が形成され、この貫通孔に前記第二雄ネジ35が挿通される。そして、前記第二雄ネジ35を前記貫通孔に挿通した後、前記第二雄ネジ35にナット47が螺合することで、前記第一板バネ28が前記接続体25の第二挟持面37と前記ナット47とで挟持される。
【0027】
前記ロッド29の他端には雄ネジ48が形成される。前記第二板バネ30の中央部には貫通孔(図示せず)が形成され、この貫通孔に前記雄ネジ48が挿通される。そして、前記雄ネジ48を前記貫通孔に挿通した後、前記雄ネジ48にナット49が螺合することで、前記第二板バネ30が前記ロッド29と前記ナット49とで挟持される。
【0028】
なお、図1における50は、前記第二ケーシング体4の他端面部13に設けられた振動吸収ユニットであり、前記シリンダ15の中心軸線Xと同軸となるように配置された取付部51及びこの取付部51に接続される接続部52を介して、同軸状に板バネ53とバランスウエイト54が重なるように配置される。
【0029】
前記ピストン23の先端23Aの静止位置調整について説明する。図2に示すように、前記ピストン23の基端23Bと前記枠38の被挟持部40との間には、前記スペーサ45又は46が配置可能である。なお、図2(a)に示すように、前記ピストン23の基端23Bと前記枠38の被挟持部40との間に、何れのスペーサ45,46も配置しなくても良い。前記スペーサ45の厚さはT1であり、前記スペーサ46の厚さはT2である。そして、T2はT1の二倍である(2T1=T2)。なお、図示しないが、前記スペーサ46を用いる代わりに、前記スペーサ45を二つ中心軸線X方向に重ねて、前記ピストン23の基端23Bと前記枠38の被挟持部40との間に配置しても良い。また、前記ピストン23の長さはLpである。そして、前記接続体25の第一雄ネジ34を前記可動子26の枠38の貫通孔44に挿入した後、前記ピストン23の雌ネジ32と螺合させる。これによって、前記ピストン23の基端23Bと前記接続体25の第一挟持面36との間に前記可動子26が挟持され、前記ピストン23と可動子26が結合される。更に、前記接続体25の第二雄ネジ35を前記第一板バネ28の中央に形成された図示しない取付孔に挿入した後、前記ナット47と螺合させる。これによって、前記接続体25の第二挟持面37と前記ナット47との間に前記第一板バネ28が挟持され、前記接続体25と第一板バネ28が結合される。このようにして、前記ピストン23と接続体25と可動子26と第一板バネ28との組立体が構成される。
【0030】
図2(a)では、前記被挟持部40から前記ピストン23の先端23Aまでの距離は、前記ピストン23の長さLpと等しい。これに対し、図2(b)では、厚さT1の前記スペーサ45が前記ピストン23の基端23Bと前記被挟持部40との間に挟まれているので、前記被挟持部40から前記ピストン23の先端23Aまでの距離は、Lp+T1となる。また、図2(c)では、厚さT2の前記スペーサ46が前記ピストン23の基端23Bと前記被挟持部40との間に挟まれているので、前記被挟持部40から前記ピストン23の先端23Aまでの距離は、Lp+T2(=Lp+2T1)となる。従って、図2(b)は、図2(a)よりも、長さT1の分、前記ピストン23の先端23Aの静止位置が、前記ディスプレイサー16側となる。同様に、図2(c)は、図2(a)よりも、長さT2(=2T1)の分、前記ピストン23の先端23Aの静止位置が、前記ディスプレイサー16側となる。
【0031】
このように、前記ピストン23の先端23Aの静止位置を変化させると、前記シリンダ15内に形成される圧縮室Cの静止容積も変化する。そして、前記圧縮室Cの静止容積が変化することで、スターリング冷凍機1の特性(膨張室周辺における最低到達温度、温度低下速度、動作周波数、消費電力等)も変化する。そして、このように、前記ピストン23と可動子26との間に何も挟まないか、又は前記スペーサ45或いは46を挟むだけで、前記スターリング冷凍機1の特性を調整することができる。
【0032】
以上のように本発明は、中心軸線Xを有するシリンダ15内を往復動可能に設けられる往復体としてのピストン23と、このピストン23に結合されてこのピストン23と共に動作する可動体としてのリニアモータ24の可動子26及び接続体25とを有するスターリング機関としてのスターリング冷凍機1において、前記可動子26とピストン23との位置関係を調整して前記シリンダ15内における前記ピストン23の先端23Aの静止位置を調整する調整機構としてのスペーサ45,46を有することで、スターリング冷凍機1の特性を容易に調整することができるものである。
【0033】
また、前記調整機構を、前記可動子26とピストン23との間に設けられるスペーサ45,46とすることにより、スターリング冷凍機1の特性をより容易に調整することができるものである。
【0034】
次に、本発明の第二の実施形態について、図3及び図4に基づいて説明する。なお、前述した第一の実施形態と共通する部分については、共通の符号を付し、その説明を省略する。
【0035】
往復体としてのピストン61と、可動体としての接続体25と、可動体としての可動子62と、制御体としての第一板バネ28とで組立体が形成される。前記ピストン61は中空円筒状に形成される。そして、このピストン61の先端61A中央には、ディスプレイサー16に接続されるロッド29が挿通される貫通孔63が形成される。また、前記ピストン61の基端61B側は開口しており、この開口部の内面に雌ネジ64が形成される。また、前記ピストン61の基端61Bには、調整機構を構成する第一段差部65が形成される。前記接続体25は、中心軸線X方向に貫通孔33が形成され、この貫通孔33内に前記ロッド29が挿通される。そして、中心軸線X方向の両側に、第一雄ネジ34と第二雄ネジ35が形成される。また、前記各雄ネジ34,35にそれぞれ近接して、第一挟持面36と第二挟持面37が形成される。前記可動子62は、枠66と、この枠66の一端側に固定された円筒状の永久磁石39とを有して構成される。前記枠66は、合成樹脂等の非磁性体で構成される。また、前記枠66は、環状に形成される被挟持部67と、この被挟持部67の外周部から中心軸線X方向に延びて形成される案内筒部68と、この案内筒部68の先端部から外方向に延びて形成される拡径部69と、この拡径部69の外周部から中心軸線X方向に延びて形成される円筒部70とを有して構成される。前記永久磁石39は、前記円筒部70に固定される。そして、前記被挟持部67には、前記接続体25の第一雄ネジ34が挿通される貫通孔71が形成される。そして、この貫通孔71を介して、前記第一雄ネジ34と前記雌ネジ64とが螺合する。このように、前記第一雄ネジ34と前記雌ネジ64とが螺合することで、前記被挟持部67が、前記ピストン61の基端61Bと前記接続体25の第一挟持面36とで挟持される。これによって、前記ピストン61と接続体25と可動子62とが一体化される。この際、前記ピストン61の基端61B側は、前記枠体66の案内筒部68内に挿入される。なお、前記被挟持部67及び案内筒部68には、調整機構を構成する第二段差部72が形成される。前記第一板バネ28の中央部には貫通孔(図示せず)が形成され、この貫通孔に前記第二雄ネジ35が挿通される。そして、前記第二雄ネジ35を前記貫通孔に挿通した後、前記第二雄ネジ35にナット47が螺合することで、前記第一板バネ28が前記接続体25の第二挟持面37と前記ナット47とで挟持される。
【0036】
前記第一段差部65について詳述する。この第一段差部65は、中心軸線X方向に高さの異なる階段状の当接面を有する。本例では、第一面65Aと、第二面65Bと、第三面65Cとを有する。これらの第一面65Aと、第二面65Bと、第三面65Cは、それぞれ前記ピストン61の周方向に等角度間隔で複数設けられる。本例では、前記第一面65Aと第二面65Bと第三面65Cは、π/2間隔で4つずつ設けられる。前記第一面65Aは、前記ピストン61の先端61Aから最も離れた位置にある。また、前記第三面65Cは、前記ピストン61の先端61Aから最も近い位置にある。前記第二面65Bは、前記第一面65Aと第三面65Cとの中間に位置する。そして、前記第一面65Aと前記第二面65Bとの段差寸法はSである。また、前記前記第二面65Bと第三面65Cとの段差寸法もSである。
【0037】
前記第二段差部72について詳述する。この第二段差部72は、中心軸線X方向に高さの異なる階段状の当接面を有する。本例では、第一面72Aと、第二面72Bと、第三面72Cとを有する。これらの第一面72Aと、第二面72Bと、第三面72Cは、それぞれ前記枠62の周方向に等角度間隔で複数設けられる。本例では、前記第一面72Aと第二面72Bと第三面72Cは、π/2間隔で4つずつ設けられる。前記第一面72Aは、前記ピストン61の先端61Aから最も離れた位置にある。また、前記第三面72Cは、前記ピストン61の先端61Aから最も近い位置にある。前記第二面72Bは、前記第一面72Aと第三面72Cとの中間に位置する。そして、前記第一面72Aと前記第二面72Bとの段差寸法はSである。また、前記前記第二面72Bと第三面72Cとの段差寸法もSである。
【0038】
前記ピストン61の先端61Aの静止位置調整について説明する。図3及び図4に示すように、前記第一段差部65の第一面65A~第三面65Cと、前記第二段差部72の第一面72A~第三面72Cとが当接可能である。図3(a)では、前記第一段差部65の第一面65Aと前記第二段差部72の第一面72A、前記第一段差部65の第二面65Bと前記第二段差部72の第二面72B、及び前記第一段差部65の第三面65Cと前記第二段差部72の第三面72Cが当接する。一方、図3(b)では、前記第一段差部65の第一面65Aと前記第二段差部72の第二面72B、及び前記第一段差部65の第二面65Bと前記第二段差部72の第三面72Cが当接する。この場合、前記第一段差部65の第三面65Cは、前記第二段差部72の第一面72Aとは当接しない。また、図3(c)では、前記第一段差部65の第一面65Aと前記第二段差部72の第三面72Cが当接する。この場合、前記第一段差部65の第二面65B及び第三面65Cは、それぞれ前記第二段差部72の第一面72A及び第二面72Bとは当接しない。そして、図3(a)~(c)の何れかの状態で、前記接続体25の第一雄ネジ34を前記可動子62の枠66の貫通孔71に挿入した後、前記ピストン61の雌ネジ64と螺合させる。これによって、前記ピストン61と可動子62が結合される。更に、前記接続体25の第二雄ネジ35を前記第一板バネ28の中央に形成された図示しない取付孔に挿入した後、前記ナット47と螺合させる。これによって、前記接続体25と第一板バネ28が結合される。このようにして、前記ピストン61と接続体25と可動子62と第一板バネ28との組立体が構成される。
【0039】
図3(a)では、前記第二段差部72の第一面72Aから前記ピストン61の先端61Aまでの距離は、前記ピストン61の長さLpと等しい。これに対し、図3(b)では、前記第二段差部72の第一面72Aと第二面72Bの段差寸法Sの分、前記ピストン61が前記被挟持部67から離れた位置となるため、前記第二段差部72の第一面72Aから前記ピストン61の先端61Aまでの距離は、Lp+Sとなる。また、図3(c)では、前記第二段差部72の第一面72Aと第三面72Cの段差寸法2Sの分、前記ピストン61が前記被挟持部67から離れた位置となるため、前記第二段差部72の第一面72Aから前記ピストン61の先端61Aまでの距離は、Lp+2Sとなる。従って、図3(b)は、図3(a)よりも、長さSの分、前記ピストン61の先端61Aの静止位置が、前記ディスプレイサー16側となる。同様に、図3(c)は、図3(a)よりも、長さ2Sの分、前記ピストン61の先端61Aの静止位置が、前記ディスプレイサー16側となる。
【0040】
このように、前記ピストン61の先端61Aの静止位置を変化させると、前記シリンダ15内に形成される圧縮室Cの静止容積も変化する。そして、前記圧縮室Cの静止容積が変化することで、スターリング冷凍機1の特性(膨張室周辺における最低到達温度、温度低下速度、動作周波数、消費電力等)も変化する。そして、このように、前記第一段差部65の第一面65A、第二面65B、第三面65Cと、前記第二段差部72の第一面72A、第二面72B、第三面72Cのどれを当接させるかを選択するだけで、前記スターリング冷凍機1の特性を調整することができる。
【0041】
以上のように本発明は、中心軸線Xを有するシリンダ15内を往復動可能に設けられる往復体としてのピストン61と、このピストン61に結合されてこのピストン61と共に動作する可動体としてのリニアモータ24の可動子62とを有するスターリング機関としてのスターリング冷凍機1において、前記可動子62とピストン61との位置関係を調整して前記シリンダ15内における前記ピストン61の先端61Aの静止位置を調整する調整機構としての第一段差部65と第二段差部72を有することで、スターリング冷凍機1の特性を容易に調整することができるものである。
【0042】
また、前記調整機構が、前記ピストン61に設けられて中心軸線X向の位置を違えた複数段の当接面としての第一面65A、第二面65B、第三面65Cを有する第一段差部65と、前記可動子62に設けられて中心軸線X方向の位置を違えた複数段の当接面としての第一面72A、第二面72B、第三面72Cを有する第二段差部72とを有して構成され、これらの第一段差部65と第二段差部72とが対向して設けられると共に、前記第一段差部65の第一面65A、第二面65B、第三面65Cと、第二段差部72の第一面72A、第二面72B、第三面72Cのどれを当接させるかが選択可能となるように構成することで、質量を増加させることなく、また、部品数を増やすことなく、スターリング冷凍機1の特性をより容易に調整することができる。
【0043】
次に、本発明の第三の実施形態について、図5に基づいて説明する。なお、前述した第一の実施形態と共通する部分については、共通の符号を付し、その説明を省略する。
【0044】
往復体としてのピストン80と、可動体としての接続体25と、可動体としての可動子26と、制御体としての第一板バネ28とで組立体が形成される。前記ピストン80は、第一ピストン81、第二ピストン82、第三ピストン83の何れかから選択可能である。前記第一ピストン81の中心軸線X方向の長さはLp1である。前記第二ピストン82の中心軸線X方向の長さはLp2である。前記第三ピストン83の中心軸線X方向の長さはLp3である。そして、Lp1とLp2の差はΔLpである。また、Lp2とLp3の差もΔLpである。即ち、Lp1とLp3の差は2ΔLpである。そして、前記第一ピストン81と第二ピストン82と第三ピストン83は、中心軸線X方向の長さ及び質量以外は同じである。前記各ピストン81,82,83は、それぞれ中空円筒状に形成される。そして、これらのピストン81,82,83の先端81A,82A,83A中央には、ディスプレイサー16に接続されるロッド29が挿通される貫通孔84がそれぞれ形成される。また、前記各ピストン81,82,83の基端81B,82B,83B側は開口しており、これらの開口部の内面に雌ネジ85が形成される。
【0045】
前記接続体25は、中心軸線X方向に貫通孔33が形成され、この貫通孔33内に前記ロッド29が挿通される。そして、中心軸線X方向の両側に、第一雄ネジ34と第二雄ネジ35が形成される。また、前記各雄ネジ34,35にそれぞれ近接して、第一挟持面36と第二挟持面37が形成される。前記可動子26は、枠38と、この枠38の一端側に固定された円筒状の永久磁石39とを有して構成される。前記枠38は、合成樹脂等の非磁性体で構成される。また、前記枠38は、環状に形成される被挟持部40と、この被挟持部40の外周部から中心軸線X方向に延びて形成される案内筒部41と、この案内筒部41の先端部から外方向に延びて形成される拡径部42と、この拡径部42の外周部から中心軸線X方向に延びて形成される円筒部43とを有して構成される。前記永久磁石39は、前記円筒部43に固定される。そして、前記被挟持部40には、前記接続体25の第一雄ネジ34が挿通される貫通孔44が形成される。そして、この貫通孔44を介して、前記第一雄ネジ34と前記雌ネジ85とが螺合する。
【0046】
このように、前記第一雄ネジ34と前記雌ネジ85とが螺合することで、前記被挟持部40が、前記各ピストン81,82,83の基端81B,82B,83Bの何れかと前記接続体25の第一挟持面36とで挟持される。これによって、前記各ピストン81,82,83の何れかと接続体25と可動子26とが一体化される。この際、前記各ピストン81,82,83の基端81B,82B,83B側は、前記枠体38の案内筒部41内に挿入される。前記第一板バネ28の中央部には貫通孔(図示せず)が形成され、この貫通孔に前記第二雄ネジ35が挿通される。そして、前記第二雄ネジ35を前記貫通孔に挿通した後、前記第二雄ネジ35にナット47が螺合することで、前記第一板バネ28が前記接続体25の第二挟持面37と前記ナット47とで挟持される。
【0047】
前記ピストン80の先端80Aの静止位置調整について説明する。図5(a)では、前記第一ピストン81と可動子26と接続体25と第一板バネ28とで組立体が形成される。図5(b)では、前記第二ピストン82と可動子26と接続体25と第一板バネ28とで組立体が形成される。図5(c)では、前記第三ピストン83と可動子26と接続体25と第一板バネ28とで組立体が形成される。そして、図5(a)~(c)の何れかの状態で、前記接続体25の第一雄ネジ34を前記可動子26の枠38の貫通孔44に挿入した後、前記各ピストン81,82,83の何れかの雌ネジ85と螺合させる。これによって、前記ピストン81,82,83の何れかと可動子26が結合される。更に、前記接続体25の第二雄ネジ35を前記第一板バネ28の中央に形成された図示しない取付孔に挿入した後、前記ナット47と螺合させる。これによって、前記接続体25と第一板バネ28が結合される。このようにして、前記各ピストン81,82,83の何れかと接続体25と可動子26と第一板バネ28との組立体が構成される。
【0048】
図5(a)では、前記被挟持部40から前記ピストン81の先端81Aまでの距離は、前記ピストン81の長さLp1と等しい。同様に、図5(b)では、前記被挟持部40から前記ピストン82の先端82Aまでの距離は、前記ピストン82の長さLp2と等しい。また、図5(c)では、前記被挟持部40から前記ピストン83の先端83Aまでの距離は、前記ピストン83の長さLp3と等しい。従って、図5(b)は、図5(a)よりも、長さΔLpの分、前記ピストン80の先端80Aの静止位置が、前記ディスプレイサー16側となる。同様に、図5(c)は、図5(a)よりも、長さ2ΔLpの分、前記ピストン80の先端80Aの静止位置が、前記ディスプレイサー16側となる。
【0049】
このように、前記ピストン80の先端80Aの静止位置を変化させると、前記シリンダ15内に形成される圧縮室Cの静止容積も変化する。そして、前記圧縮室Cの静止容積が変化することで、スターリング冷凍機1の特性(膨張室周辺における最低到達温度、温度低下速度、動作周波数、消費電力等)も変化する。そして、このように、長さの異なる前記各ピストン81,82,83のどれを用いるかを選択するだけで、前記スターリング冷凍機1の特性を調整することができる。
【0050】
以上のように本発明は、中心軸線Xを有するシリンダ15内を往復動可能に設けられる往復体としてのピストン80と、このピストン80に結合されてこのピストン80と共に動作する可動体としての可動子26を有するスターリング機関としてのスターリング冷凍機1の調整方法において、中心軸線X方向の長さの異なる第一ピストン81と第二ピストン82と第三ピストン83を用意し、これらの何れかを前記可動子26に結合させることで、前記シリンダ15内における前記ピストン80の先端80Aの静止位置を調整するので、スターリング冷凍機1の特性を容易に調整することができる。
【0051】
次に、本発明の第四の実施形態について、図6に基づいて説明する。なお、前述した第一の実施形態と共通する部分については、共通の符号を付し、その説明を省略する。
【0052】
ケーシング2の内部にはシリンダ15が設けられる。そして、このシリンダ15の先端側の内側には、往復体としてのディスプレイサー90が中心軸線X方向に摺動可能に収容される。前記ディスプレイサー90は、第一ディスプレイサー91、第二ディスプレイサー92、第三ディスプレイサー93の何れかから選択可能である。前記第一ディスプレイサー91の中心軸線X方向の長さはLd1である。前記第二ディスプレイサー92の中心軸線X方向の長さはLd2である。前記第三ディスプレイサー93の中心軸線X方向の長さはLd3である。そして、Ld1とLd2の差はΔLdである。また、Ld2とLd3の差もΔLdである。即ち、Ld1とLd3の差は2ΔLdである。そして、前記第一ディスプレイサー91と第二ディスプレイサー92と第三ディスプレイサー93は、中心軸線X方向の長さ及び質量以外は同じである。さらに、前記ディスプレイサー90の基端90B(前記各ディスプレイサー91,92,93の基端91B,92B,93B)側に、このディスプレイサー90と共に動作する可動体としてのロッド94の一端が接続されると共に、このロッド94の他端に、制御体としての第二板バネ30が接続される。なお、前記ロッド94は、ピストン23の中心を貫通して中心軸線X方向に延びる。
【0053】
前記ロッド94について詳述する。このロッド94の他端には雄ネジ95が形成されると共に、この雄ネジ95の基端部分にフランジ部96が形成される。前記ディスプレイサー90に接続された状態において、前記ロッド94における前記フランジ部96からディスプレイサー90の基端90Bまでの長さは、Lrである。そして、前記雄ネジ95は、前記第二板バネ30の中央部に形成された図示しない貫通孔に挿通可能とされる。そして、前記雄ネジ95を前記貫通孔に挿通した後、前記雄ネジ95にナット49が螺合することで、前記第二板バネ30が前記ロッド94のフランジ部96と前記ナット49とで挟持される。なお、前記ロッド94のフランジ部96と第二板バネ30との間には、調整機構としての環状のスペーサ97又は98が配置可能である。
【0054】
前記ディスプレイサー90の静止位置調整について説明する。図6に示すように、前記ロッド94のフランジ部96と第二板バネ30との間には、前記スペーサ97又は98が配置可能である。なお、前記ロッド94のフランジ部96と第二板バネ30との間に、何れのスペーサ97,98も配置しなくても良い。前記スペーサ97の厚さはT3であり、前記スペーサ98の厚さはT4である。そして、T4はT3の二倍である(2T3=T4)。なお、本例では、T3とΔLdは等しい。このため、以下の説明では、T3をΔLd、T4を2ΔLdと記載する。また、図示しないが、前記スペーサ98を用いる代わりに、前記スペーサ97を二つ中心軸線X方向に重ねて、前記ロッド94のフランジ部96と第二板バネ30との間に配置しても良い。そして、前記ロッド94の一端を前記第一ディスプレイサー91、第二ディスプレイサー92、第三ディスプレイサー93の何れかの基端91B,92B,93Bに接続する。更に、前記ロッド94の雄ネジ95を前記第二板バネ30の中央に形成された図示しない取付孔に挿入した後、前記ナット49と螺合させる。なお、前記フランジ部96と第二板バネ30との間には、前記スペーサ97,98の何れも配置されないか、又は何れか一方が配置される。これによって、前記ロッド94のフランジ部96と前記ナット49との間に前記第二板バネ30が挟持され、前記ロッド94と第二板バネ30が結合される。このようにして、前記ディスプレイサー90とロッド94と第二板バネ30との組立体が構成される。
【0055】
これらの組立体の組み合わせは以下の9通りである。なお、ロッド94は全て共通のため省略する。
【0056】
【表1】
「組み合わせ5」を基準とする。この組み合わせでは、前記第二板バネ30から前記第二ディスプレイサー92の先端92Aまでの距離は、Ld2+Lr+ΔLdとなる。そして、この「組み合わせ5」に対し、前記フランジ部96と第二板バネ30との間に何れのスペーサ97,98も挿入しない「組み合わせ4」では、前記第二板バネ30から前記第二ディスプレイサー92の先端92Aまでの距離は、Ld2+Lrとなる。即ち、「組み合わせ4」は「組み合わせ5」に比べて、ΔLdの分、前記第二ディスプレイサー92全体の静止位置がピストン23側となる。換言すれば、「組み合わせ4」は、「組み合わせ5」に比べて、膨張室Eの静止容積がΔLd×πRの分広く、圧縮室Cの静止容積がΔLd×πRの分狭くなる。同様に、「組み合わせ5」に対し、前記フランジ部96と第二板バネ30との間にスペーサ98を挿入した「組み合わせ6」では、前記第二板バネ30から前記第二ディスプレイサー92の先端92Aまでの距離は、Ld2+Lr+2ΔLdとなる。即ち、「組み合わせ6」は、「組み合わせ5」に比べて、ΔLdの分、前記第二ディスプレイサー92全体の静止位置が反ピストン23側となる。換言すれば、「組み合わせ6」は「組み合わせ5」に比べて、前記膨張室Eの静止容積がΔLd×πRの分狭く、前記圧縮室Cの静止容積がΔLd×πRの分広くなる。
【0057】
また、「組み合わせ2」では、前記第二板バネ30から前記第一ディスプレイサー91の先端91Aまでの距離は、Ld1+Lr+ΔLdとなる。Ld1=Ld2-ΔLdなので、「組み合わせ2」における前記第一ディスプレイサー91の先端91Aの静止位置は、「組み合わせ5」における前記第二ディスプレイサー92の先端92Aの静止位置よりも、ΔLdの分、ピストン23側となる。但し、「組み合わせ2」と「組み合わせ5」とでは、前記ロッド94及びスペーサ97が共通なので、「組み合わせ2」における前記第一ディスプレイサー91の基端91Bの静止位置は、「組み合わせ5」における前記第二ディスプレイサー92の基端92Bの静止位置と等しい。これらを換言すれば、「組み合わせ2」は、「組み合わせ5」に比べて、前記膨張室Eの静止容積がΔLd×πRの分広くなるが、前記圧縮室Cの静止容積は同じである。また、「組み合わせ8」では、前記第二板バネ30から前記第三ディスプレイサー93の先端93Aまでの距離は、Ld3+Lr+ΔLdとなる。Ld3=Ld2+ΔLdなので、「組み合わせ8」における前記第三ディスプレイサー93の先端93Aの静止位置は、「組み合わせ5」における前記第二ディスプレイサー92の先端92Aの静止位置よりも、ΔLdの分、反ピストン23側となる。但し、「組み合わせ8」と「組み合わせ5」とでは前記ロッド94及びスペーサ97が共通なので、「組み合わせ8」における前記第三ディスプレイサー93の基端93Bの静止位置は、「組み合わせ5」における前記第二ディスプレイサー92の基端92Bの静止位置と等しい。これらを換言すれば、「組み合わせ8」は、「組み合わせ5」に比べて、前記膨張室Eの静止容積がΔLd×πRの分狭くなるが、前記圧縮室Cの静止容積は同じである。
【0058】
また、「組み合わせ3」では、前記第二板バネ30から前記第一ディスプレイサー91の先端91Aまでの距離は、Ld1+Lr+2ΔLdとなる。ここで、Ld1=Ld2-ΔLdなので、Ld1+Lr+2ΔLd=Ld2+Lr+ΔLdである。従って、「組み合わせ3」における前記第一ディスプレイサー91の先端91Aの静止位置は、「組み合わせ5」における前記第二ディスプレイサー92の先端92Aの静止位置と同じである。一方、「組み合わせ5」では、前記第二板バネ30から前記第二ディスプレイサー92の基端92Bまでの距離がLr+ΔLdなのに対し、「組み合わせ3」では、前記第二板バネ30から前記第一ディスプレイサー91の基端91Bまでの距離がLr+2ΔLdである。従って、「組み合わせ3」における前記第一ディスプレイサー91の基端91Bの静止位置は、「組み合わせ5」における前記第二ディスプレイサー92の基端92Bの静止位置よりも、ΔLdの分、反ピストン23側である。これらを換言すれば、「組み合わせ3」は、「組み合わせ5」に比べて、前記圧縮室Cの静止容積がΔLd×πRの分広くなるが、前記膨張室Eの静止容積は同じである。また、「組み合わせ7」では、前記第二板バネ30から前記第三ディスプレイサー93の先端93Aまでの距離は、Ld3+Lrとなる。ここで、Ld3=Ld2+ΔLdなので、Ld3+Lr=Ld2+Lr+ΔLdである。従って、「組み合わせ7」における前記第三ディスプレイサー93の先端93Aの静止位置は、「組み合わせ5」における前記第二ディスプレイサー92の先端92Aの静止位置と同じである。一方、「組み合わせ5」では、前記第二板バネ30から前記第二ディスプレイサー92の基端92Bまでの距離がLr+ΔLdなのに対し、「組み合わせ7」では、前記第三板バネ30から前記第三ディスプレイサー93の基端93Bまでの距離がLrである。従って、「組み合わせ7」における前記第三ディスプレイサー93の基端93Bの静止位置は、「組み合わせ5」における前記第二ディスプレイサー92の基端92Bの静止位置よりも、ΔLdの分、ピストン23側である。これらを換言すれば、「組み合わせ7」は、「組み合わせ5」に比べて、前記圧縮室Cの静止容積がΔLd×πRの分狭くなるが、前記膨張室Eの静止容積は同じである。
【0059】
また、「組み合わせ1」では、前記第二板バネ30から前記第一ディスプレイサー91の先端91Aまでの距離は、Ld1+Lrとなる。Ld1=Ld2-ΔLdなので、「組み合わせ1」における前記第一ディスプレイサー91の先端91Aの静止位置は、「組み合わせ5」における前記第二ディスプレイサー92の先端92Aの静止位置よりも、2ΔLdの分、ピストン23側となる。一方、「組み合わせ1」では、前記第二板バネ30から前記第一ディスプレイサー91の基端91Bまでの距離は、Lrとなる。即ち、「組み合わせ1」における前記第一ディスプレイサー91の基端91Bの静止位置は、「組み合わせ5」における前記第二ディスプレイサー92の基端92Bの静止位置よりも、ΔLdの分、ピストン23側となる。これらを換言すれば、「組み合わせ1」は、「組み合わせ5」に比べて前記ディスプレイサー91全体が前記ディスプレイサー92全体よりもピストン23側となり、前記膨張室Eの静止容積が2ΔLd×πRの分広く、圧縮室Cの静止容積がΔLd×πRの分狭くなる。また、「組み合わせ9」では、前記第二板バネ30から前記第三ディスプレイサー93の先端93Aまでの距離は、Ld3+Lr+2ΔLdとなる。Ld3=Ld2+ΔLdなので、「組み合わせ9」における前記第三ディスプレイサー93の先端93Aの静止位置は、「組み合わせ5」における前記第二ディスプレイサー92の先端92Aの静止位置よりも、2ΔLdの分、反ピストン23側となる。一方、「組み合わせ9」では、前記第二板バネ30から前記第三ディスプレイサー93の基端93Bまでの距離は、Lr+2ΔLdとなる。即ち、「組み合わせ9」における前記第三ディスプレイサー93の基端93Bの静止位置は、「組み合わせ5」における前記第二ディスプレイサー92の基端92Bの静止位置よりも、ΔLdの分、反ピストン23側となる。これらを換言すれば、「組み合わせ9」は、「組み合わせ5」に比べて前記ディスプレイサー93全体が前記ディスプレイサー92全体よりも反ピストン23側となり、前記膨張室Eの静止容積が2ΔLd×πRの分狭く、圧縮室Cの静止容積がΔLd×πRの分広くなる。
【0060】
これらを纏めたものが表2である。なお、表2においても「組み合わせ5」を基準とする。
【0061】
【表2】
このように、中心軸線X方向の長さの異なる複数種類の前記ディスプレイサー91,92,93の何れかを選択して前記ロッド94及び第二板バネ30に結合させることで、前記ディスプレイサー90の先端90Aの静止位置を調整することができる。また、この際、同時に調整機構としての前記スペーサ97,98を前記ロッド94のフランジ部96と第二板バネ30との間に挿入したり挿入しなかったりすることで、前記ディスプレイサー90の基端90Bの静止位置を調整することができる。即ち、これらを組み合わせて、前記ディスプレイサー90の先端90Aと基端90Bの両方の静止位置を調整したり、前記ディスプレイサー90の先端90Aと基端90Bの何れかの静止位置のみを調整したりすることができる。そして、このように、前記ディスプレイサー90の静止位置を調整して、このティスプレイサー90の先端90A側に形成される膨張室Eと基端90B側に形成される圧縮室Cの静止容積を調整することで、スターリング冷凍機1の特性(膨張室周辺における最低到達温度、温度低下速度、動作周波数、消費電力等)を調整することができる。
【0062】
以上のように本発明は、中心軸線Xを有するシリンダ15内を往復動可能に設けられる往復体としてのディスプレイサー90と、このディスプレイサー90に結合されてこのディスプレイサー90と共に動作する可動体としてのロッド94と、このロッド94に結合されて前記ディスプレイサー90とロッド94の動作を制御する制御体としての第二板バネ30を有するスターリング機関としてのスターリング冷凍機1において、前記ロッド94と第二板バネ30との位置関係を調整して前記シリンダ15内における前記ディスプレイサー90の静止位置を調整する調整機構としてのスペーサ97,98を有することで、前記シリンダ内における前記往復体の静止位置が調整されるので、スターリング冷凍機1の特性を容易に調整することができるものである。
【0063】
また、前記調整機構を、前記ロッド94と第二板バネ30との間に設けられるスペーサ97,98とすることにより、スターリング冷凍機1の特性をより容易に調整することができるものである。
【0064】
更に本発明は、中心軸線Xを有するシリンダ内15を往復動可能に設けられる往復体としてのディスプレイサー90と、このディスプレイサー90に結合されてこのディスプレイサー90と共に動作する可動体としてのロッド94とを有するスターリング機関としてのスターリング冷凍機1の調整方法において、中心軸線X方向の長さの異なる第一ディスプレイサー91、第二ディスプレイサー92、第三ディスプレイサー93を用意し、これらの何れかを前記ロッド94に結合させて前記シリンダ15内における前記ディスプレイサー90の静止位置を調整することで、スターリング冷凍機1の特性を容易に調整することができる。
【0065】
次に、本発明の第五の実施形態について、図7に基づいて説明する。なお、前述した第一の実施形態と共通する部分については、共通の符号を付し、その説明を省略する。
【0066】
ケーシング2の内部にはシリンダ15が設けられる。そして、このシリンダ15の先端側の内側には、往復体としてのディスプレイサー90が中心軸線X方向に摺動可能に収容される。前記ディスプレイサー90は、第一ディスプレイサー91、第二ディスプレイサー92、第三ディスプレイサー93の何れかから選択可能である。前記第一ディスプレイサー91の中心軸線X方向の長さはLd1である。前記第二ディスプレイサー92の中心軸線X方向の長さはLd2である。前記第三ディスプレイサー93の中心軸線X方向の長さはLd3である。そして、Ld1とLd2の差はΔLdである。また、Ld2とLd3の差もΔLdである。即ち、Ld1とLd3の差は2ΔLdである。そして、前記第一ディスプレイサー91と第二ディスプレイサー92と第三ディスプレイサー93は、中心軸線X方向の長さ及び質量以外は同じである。さらに、前記ディスプレイサー90の基端90B(前記各ディスプレイサー91,92,93の基端91B,92B,93B)側に、このディスプレイサー90と共に動作する可動体としてのロッド100の一端が接続されると共に、このロッド100の他端に、制御体としての第二板バネ30が接続される。なお、前記ロッド100は、ピストン23の中心を貫通して中心軸線X方向に延びる。
【0067】
前記ロッド100について詳述する。前記ロッド100は、第一ロッド101、第二ロッド102、第三ロッド103の何れかから選択可能である。これらのロッド101,102,103の一端には、それぞれ雄ネジ104が形成される。また、前記各ロッド101,102,103の他端には、それぞれ雄ネジ105が形成される。そして、前記各雄ネジ104が前記ディスプレイサー90の基端90Bの中央に螺合する。前記各雄ネジ104,105を除く前記第一ロッド101の長さ、即ち前記第一ロッド101における前記第二板バネ30からディスプレイサー90の基端90Bまでの長さは、Lr1である。前記各雄ネジ104,105を除く前記第二ロッド102の長さ、即ち前記第二ロッド102における前記第二板バネ30からディスプレイサー90の基端90Bまでの長さは、Lr2である。前記各雄ネジ104,105を除く前記第三ロッド103の長さ、即ち前記第三ロッド103における前記第二板バネ30からディスプレイサー90の基端90Bまでの長さは、Lr3である。そして、Lr3=Lr2+ΔLr=Lr1+2ΔLrである。なお、本例では、ΔLrとΔLdは等しい。このため、以下の説明では、ΔLrをΔLdと記載する。そして、何れの前記ロッド101,102,103も、それらの前記雄ネジ105は、前記第二板バネ30の中央部に形成された図示しない貫通孔に挿通可能とされる。そして、前記雄ネジ105を前記貫通孔に挿通した後、前記雄ネジ105にナット49が螺合することで、前記第二板バネ30が前記ロッド100の基端側に固定される。
【0068】
前記ディスプレイサー90の静止位置調整について説明する。図7に示すように、前記ディスプレイサー90として、中心軸線X方向の長さの異なる前記第一ディスプレイサー91、第二ディスプレイサー92、第三ディスプレイサー93の何れかが選択可能である。同様に、前記ロッド100として、中心軸線X方向の長さの異なる前記第一ロッド101、第二ロッド102、第三ロッド103の何れかが選択可能である。そして、前記ロッド101,102,103の何れかの一端を前記第一ディスプレイサー91、第二ディスプレイサー92、第三ディスプレイサー93の何れかの基端91B,92B,93Bに接続する。更に、前記ロッド100の雄ネジ104を前記第二板バネ30の中央に形成された図示しない取付孔に挿入した後、前記ナット49と螺合させる。このようにして、前記ディスプレイサー90とロッド100と第二板バネ30との組立体が構成される。
【0069】
これらの組立体の組み合わせは以下の9通りである。
【0070】
【表3】
「組み合わせ5」を基準とする。この組み合わせでは、前記第二板バネ30から前記第二ディスプレイサー92の先端92Aまでの距離は、Ld2+Lr2となる。そして、この「組み合わせ5」に対し、前記第二ディスプレイサー92に前記第一ロッド101を接続した「組み合わせ4」では、前記第二板バネ30から前記第二ディスプレイサー92の先端92Aまでの距離は、Ld2+Lr1=Ld2+Lr2-ΔLdとなる。即ち、「組み合わせ4」は「組み合わせ5」に比べて、ΔLdの分、前記第二ディスプレイサー92全体の静止位置がピストン23側となる。換言すれば、「組み合わせ4」は、「組み合わせ5」に比べて、膨張室Eの静止容積がΔLd×πRの分広く、圧縮室Cの静止容積がΔLd×πRの分狭くなる。同様に、「組み合わせ5」に対し、前記第二ディスプレイサー92に前記第三ロッド103を接続した「組み合わせ6」では、前記第二板バネ30から前記第二ディスプレイサー92の先端92Aまでの距離は、Ld2+Lr3=Ld2+Lr2+ΔLdとなる。即ち、「組み合わせ6」は、「組み合わせ5」に比べて、ΔLdの分、前記第二ディスプレイサー92全体の静止位置が反ピストン23側となる。換言すれば、「組み合わせ6」は「組み合わせ5」に比べて、前記膨張室Eの静止容積がΔLd×πRの分狭く、前記圧縮室Cの静止容積がΔLd×πRの分広くなる。
【0071】
また、「組み合わせ2」では、前記第二板バネ30から前記第一ディスプレイサー91の先端91Aまでの距離は、Ld1+Lr2となる。Ld1=Ld2-ΔLdなので、「組み合わせ2」における前記第一ディスプレイサー91の先端91Aの静止位置は、「組み合わせ5」における前記第二ディスプレイサー92の先端92Aの静止位置よりも、ΔLdの分、ピストン23側となる。但し、「組み合わせ2」と「組み合わせ5」とでは、前記第二ロッド102が共通なので、「組み合わせ2」における前記第一ディスプレイサー91の基端91Bの静止位置は、「組み合わせ5」における前記第二ディスプレイサー92の基端92Bの静止位置と等しい。これらを換言すれば、「組み合わせ2」は、「組み合わせ5」に比べて、前記膨張室Eの静止容積がΔLd×πRの分広くなるが、前記圧縮室Cの静止容積は同じである。また、「組み合わせ8」では、前記第二板バネ30から前記第三ディスプレイサー93の先端93Aまでの距離は、Ld3+Lr+ΔLdとなる。Ld3=Ld2+ΔLdなので、「組み合わせ8」における前記第三ディスプレイサー93の先端93Aの静止位置は、「組み合わせ5」における前記第二ディスプレイサー92の先端92Aの静止位置よりも、ΔLdの分、反ピストン23側となる。但し、「組み合わせ8」と「組み合わせ5」とでは、前記第二ロッド102が共通なので、「組み合わせ8」における前記第三ディスプレイサー93の基端93Bの静止位置は、「組み合わせ5」における前記第二ディスプレイサー92の基端92Bの静止位置と等しい。これらを換言すれば、「組み合わせ8」は、「組み合わせ5」に比べて、前記膨張室Eの静止容積がΔLd×πRの分狭くなるが、前記圧縮室Cの静止容積は同じである。
【0072】
また、「組み合わせ3」では、前記第二板バネ30から前記第一ディスプレイサー91の先端91Aまでの距離は、Ld1+Lr3となる。ここで、Ld1=Ld2-ΔLdであるが、Lr3=Lr2+ΔLdなので、Ld1+Lr3=Ld2+Lr2である。従って、「組み合わせ3」における前記第一ディスプレイサー91の先端91Aの静止位置は、「組み合わせ5」における前記第二ディスプレイサー92の先端92Aの静止位置と同じである。一方、「組み合わせ5」では、前記第二板バネ30から前記第二ディスプレイサー92の基端92Bまでの距離がLr2なのに対し、「組み合わせ3」では、前記第二板バネ30から前記第一ディスプレイサー91の基端91Bまでの距離がLr3=Lr2+ΔLdである。従って、「組み合わせ3」における前記第一ディスプレイサー91の基端91Bの静止位置は、「組み合わせ5」における前記第二ディスプレイサー92の基端92Bの静止位置よりも、ΔLdの分、反ピストン23側である。これらを換言すれば、「組み合わせ3」は、「組み合わせ5」に比べて、前記圧縮室Cの静止容積がΔLd×πRの分広くなるが、前記膨張室Eの静止容積は同じである。また、「組み合わせ7」では、前記第二板バネ30から前記第三ディスプレイサー93の先端93Aまでの距離は、Ld3+Lrとなる。ここで、Ld3=Ld2+ΔLdであるが、Lr1=Lr2-ΔLdなので、Ld3+Lr1=Ld2+Lr2である。従って、「組み合わせ7」における前記第三ディスプレイサー93の先端93Aの静止位置は、「組み合わせ5」における前記第二ディスプレイサー92の先端92Aの静止位置と同じである。一方、「組み合わせ5」では、前記第二板バネ30から前記第二ディスプレイサー92の基端92Bまでの距離がLr2なのに対し、「組み合わせ7」では、前記第三板バネ30から前記第三ディスプレイサー93の基端93Bまでの距離がLr1=Ld2-ΔLdである。従って、「組み合わせ7」における前記第三ディスプレイサー93の基端93Bの静止位置は、「組み合わせ5」における前記第二ディスプレイサー92の基端92Bの静止位置よりも、ΔLdの分、ピストン23側である。これらを換言すれば、「組み合わせ7」は、「組み合わせ5」に比べて、前記圧縮室Cの静止容積がΔLd×πRの分狭くなるが、前記膨張室Eの静止容積は同じである。
【0073】
また、「組み合わせ1」では、前記第二板バネ30から前記第一ディスプレイサー91の先端91Aまでの距離は、Ld1+Lr1となる。Ld1=Ld2-ΔLdであり、且つLr1=Lr2-ΔLdなので、Ld1+Lr1=Ld2+Lr2-Δ2Ldである。従って、「組み合わせ1」における前記第一ディスプレイサー91の先端91Aの静止位置は、「組み合わせ5」における前記第二ディスプレイサー92の先端92Aの静止位置よりも、2ΔLdの分、ピストン23側となる。一方、「組み合わせ1」では、前記第二板バネ30から前記第一ディスプレイサー91の基端91Bまでの距離は、Lr1となる。上述したように、Lr1=Lr2-ΔLdなので、「組み合わせ1」における前記第一ディスプレイサー91の基端91Bの静止位置は、「組み合わせ5」における前記第二ディスプレイサー92の基端92Bの静止位置よりも、ΔLdの分、ピストン23側となる。これらを換言すれば、「組み合わせ1」は、「組み合わせ5」に比べて前記ディスプレイサー91全体が前記ディスプレイサー92全体よりもピストン23側となり、前記膨張室Eの静止容積が2ΔLd×πRの分広く、圧縮室Cの静止容積がΔLd×πRの分狭くなる。また、「組み合わせ9」では、前記第二板バネ30から前記第三ディスプレイサー93の先端93Aまでの距離は、Ld3+Lr3となる。Ld3=Ld2+ΔLdであり、且つLr3=Lr2+ΔLdなので、Ld3+Lr3=Ld2+Lr2+Δ2Ldである。従って、「組み合わせ9」における前記第三ディスプレイサー93の先端93Aの静止位置は、「組み合わせ5」における前記第二ディスプレイサー92の先端92Aの静止位置よりも、2ΔLdの分、反ピストン23側となる。一方、「組み合わせ9」では、前記第二板バネ30から前記第三ディスプレイサー93の基端93Bまでの距離は、Lr3となる。上述したように、Lr3=Lr2+ΔLdなので、「組み合わせ9」における前記第三ディスプレイサー93の基端93Bの静止位置は、「組み合わせ5」における前記第二ディスプレイサー92の基端92Bの静止位置よりも、ΔLdの分、反ピストン23側となる。これらを換言すれば、「組み合わせ9」は、「組み合わせ5」に比べて前記ディスプレイサー91全体が前記ディスプレイサー92全体よりも反ピストン23側となり、前記膨張室Eの静止容積が2ΔLd×πRの分狭く、圧縮室Cの静止容積がΔLd×πRの分広くなる。
【0074】
これらを纏めたものが表4である。なお、表4においても「組み合わせ5」を基準とする。
【0075】
【表4】
このように、中心軸線X方向の長さの異なる複数種類の前記ディスプレイサー91,92,93の何れかと、中心軸線X方向の長さの異なる複数種類の前記ロッド101,102,103の何れかを選択して互いに結合させると共に、選択された何れかのロッド101,102,103を前記第二板バネ30に結合させることで、前記ディスプレイサー90の先端90Aの静止位置を調整することができる。即ち、前記ディスプレイサー90とロッド100の組み合わせにより、前記ディスプレイサー90の先端90Aと基端90Bの両方の静止位置を調整したり、前記ディスプレイサー90の先端90Aと基端90Bの何れかの静止位置のみを調整したりすることができる。そして、このように、前記ディスプレイサー90の静止位置を調整して、このティスプレイサー90の先端90A側に形成される膨張室Eと基端90B側に形成される圧縮室Cの静止容積を調整することで、スターリング冷凍機1の特性(膨張室周辺における最低到達温度、温度低下速度、動作周波数、消費電力等)を調整することができる。
【0076】
以上のように本発明は、中心軸線Xを有するシリンダ内15を往復動可能に設けられる往復体としてのディスプレイサー90と、このディスプレイサー90に結合されてこのディスプレイサー90と共に動作する可動体としてのロッド100とを有するスターリング機関としてのスターリング冷凍機1の調整方法において、中心軸線X方向の長さの異なる第一ディスプレイサー91、第二ディスプレイサー92、第三ディスプレイサー93を用意し、これらの何れかを前記ロッド100に結合させて前記シリンダ15内における前記ディスプレイサー90の静止位置を調整することで、スターリング冷凍機1の特性を容易に調整することができる。
【0077】
また本発明は、中心軸線Xを有するシリンダ15内を往復動可能に設けられる往復体としてのディスプレイサー90と、このディスプレイサー90に結合されてこのディスプレイサー90と共に動作する可動体としてのロッド100を有するスターリング機関としてのスターリング冷凍機1の調整方法において、中心軸線X方向の長さの異なる複数の第一ロッド101,第二ロッド102、第三ロッド103を用意し、これらの何れかを前記ディスプレイサー90に結合させて前記シリンダ15内における前記ディスプレイサーの静止位置を調整することで、スターリング冷凍機1の特性を容易に調整することができる。
【0078】
次に、本発明の第六の実施形態について、図8及び図9に基づいて説明する。なお、前述した第一の実施形態と共通する部分については、共通の符号を付し、その説明を省略する。
【0079】
往復体としてのピストン23と、可動体としての接続体110と、可動体としての可動子26と、制御体としての第一板バネ120とで組立体が形成される。前記ピストン23は中空円筒状に形成される。そして、このピストン23の先端23A中央には、ディスプレイサー16に接続されるロッド29が挿通される貫通孔31が形成される。また、前記ピストン23の基端23B側は開口しており、この開口部の内面に雌ネジ32が形成される。
【0080】
前記接続体110は、中心軸線X方向に貫通孔111が形成され、この貫通孔111内に前記ロッド29が挿通される。そして、中心軸線X方向の両側に、第一雄ネジ112と第二雄ネジ113が形成される。また、前記第一雄ネジ112に近接して、挟持面114が形成される。一方、前記第二雄ネジ113に近接して、調整機構を構成する第一段差部115が設けられる。この第一段差部115は、前記第二雄ネジ113を囲むように形成される平面状の対向面116を有する。そして、この対向面116には、中心軸線Xを中心として、第一段差部115を構成する第一突起117及び第二突起118がそれぞれ3箇所ずつ周方向に並んで形成される。前記各第一突起117同士は、2π/3間隔で形成される。同様に、前記各第二突起118同士は、2π/3間隔で形成される。そして、前記第一突起117と第二突起118は、2π/9ずらして形成される。この結果、2π/9の間隔と4π/9の間隔が交互に並ぶように、前記第一突起117と第二突起118が配列される。なお、前記第一突起117の前記対向面116からの突出高さはP1であり、前記第二突起118の前記対向面116からの突出高さはP2である。そして、P2=2P1である。
【0081】
前記可動子26は、枠38と、この枠38の一端側に固定された円筒状の永久磁石39とを有して構成される。前記枠38は、合成樹脂等の非磁性体で構成される。また、前記枠38は、環状に形成される被挟持部40と、この被挟持部40の外周部から中心軸線X方向に延びて形成される案内筒部41と、この案内筒部41の先端部から外方向に延びて形成される拡径部42と、この拡径部42の外周部から中心軸線X方向に延びて形成される円筒部43とを有して構成される。前記永久磁石39は、前記円筒部43に固定される。そして、前記被挟持部40には、前記接続体110の第一雄ネジ112が挿通される貫通孔44が形成される。そして、この貫通孔44を介して、前記第一雄ネジ112と前記雌ネジ32とが螺合する。このように、前記第一雄ネジ112と前記雌ネジ32とが螺合することで、前記被挟持部40が、前記ピストン23の基端23Bと前記接続体110の第一挟持面114とで挟持される。これによって、前記ピストン23と接続体110と可動子26とが一体化される。この際、前記ピストン23の基端23B側は、前記枠体38の案内筒部41内に挿入される。
【0082】
前記第一板バネ120は、外周部121と、中央部122と、これら外周部121と中央部122とを接続する複数の腕部123とを有して一体に形成される。前記中央部122の中央には、取付孔124が形成される。そして、この取付孔124を囲むように、前記中央部122には、調整機構を構成する第二段差部125が設けられる。この第二段差部125には、被挟持部126と、前記第一突起117及び第二突起118の逃がしのための第一切欠部127及び第二切欠部128が、それぞれ3箇所ずつ周方向に並んで且つ前記取付孔124と繋がるように形成される。前記各第一切欠部127同士は、2π/3間隔で形成される。同様に、前記各第二切欠部128同士は、2π/3間隔で形成される。そして、前記第一切欠部127と第二切欠部128は、2π/9ずらして形成される。この結果、2π/9の間隔と4π/9の間隔が交互に並ぶように、前記第一切欠部127と第二切欠部128が配列される。また、前記第一切欠部127及び第二切欠部128の幅は、前記第一突起117及び第二突起118が挿入可能な幅に形成される。更に、前記被挟持部126の厚さはTsである。この厚さTsは、前記第二突起118の突出高さP2よりも僅かに大きい。そして、前記取付孔124に前記第二雄ネジ113が挿通された後、前記第二雄ネジ113にナット47が螺合することで、前記第一板バネ120が前記接続体110の対向面116側と前記ナット47とで挟持される。
【0083】
前記ピストン23の先端23Aの静止位置調整について説明する。図8及び図9に示すように、前記第一段差部115の対向面116又は前記第一突起117、第二突起118の何れかが、前記第二段差部125の被挟持部126と当接可能である。また、前記第一突起117は前記第一切欠部127に、前記第二突起118は前記第一切欠部127又は第二切欠部128に挿入可能である。図9(a)では、前記対向面116と前記被挟持部126とが当接すると共に、全ての前記第一突起117が前記第一切欠部127に挿入され、全ての前記第二突起118が前記第二切欠部128に挿入される。一方、図9(b)では、前記対向面116と前記被挟持部126とが離間し、全ての前記第一突起117が前記被挟持部126に当接すると共に、全ての前記第二突起118が前記第一切欠部127に挿入される。また、図9(c)では、前記対向面116及び全ての前記第一突起117と前記被挟持部126とが離間し、全ての前記第二突起118が前記被挟持部126に当接する。そして、図9(a)~(c)の何れかの状態で、前記接続体110の第一雄ネジ112を前記可動子26の枠38の貫通孔40に挿入した後、前記ピストン23の雌ネジ32と螺合させる。これによって、前記ピストン23と可動子26が結合される。更に、前記接続体110の第二雄ネジ113を前記第一板バネ120の中央部122の中央に形成された取付孔124に挿入した後、前記ナット47と螺合させる。これによって、前記接続体110と第一板バネ120が結合される。このようにして、前記ピストン23と接続体110と可動子26と第一板バネ120との組立体が構成される。
【0084】
図9(a)では、前記接続体110の対向面116と第一板バネ120の被挟持部126とが当接する。これに対し、図9(b)では、前記接続体110の対向面116と第一板バネ120の被挟持部126とが、前記第一突起117の突出寸法P1の分、離間する。従って、この場合、前記接続体110に接続される前記ピストン23の先端23Aの静止位置は、寸法P1の分、前記ディスプレイサー16側となる。同様に、図9(c)では、前記接続体110の対向面116と第一板バネ120の被挟持部126とが、前記第二突起118の突出寸法P2の分、離間する。従って、この場合、前記接続体110に接続される前記ピストン23の先端23Aの静止位置は、寸法P2の分、前記ディスプレイサー16側となる。
【0085】
このように、前記ピストン23の先端23Aの静止位置を変化させると、前記シリンダ15内に形成される圧縮室Cの静止容積も変化する。そして、前記圧縮室Cの静止容積が変化することで、スターリング冷凍機1の特性(膨張室周辺における最低到達温度、温度低下速度、動作周波数、消費電力等)も変化する。そして、このように、前記接続体110の対向面116,第一突起117、第二突起118の何れかを前記第一板バネ120の被挟持部126に当接させるかを選択するだけで、前記スターリング冷凍機1の特性を調整することができる。
【0086】
以上のように本発明は、中心軸線Xを有するシリンダ15内を往復動可能に設けられる往復体としてのピストン23と、このピストン23に結合されてこのピストン23と共に動作する可動体としてのリニアモータ24の可動子26及び接続体110と制御体としての第一板バネ120とを有するスターリング機関としてのスターリング冷凍機1において、前記接続体110と第一板バネ120との位置関係を調整して前記シリンダ15内における前記ピストン23の先端23Aの静止位置を調整する調整機構としての第一段差部115及び第二段差部125を有することで、スターリング冷凍機1の特性を容易に調整することができるものである。
【0087】
また、前記調整機構が、前記接続体110に設けられて中心軸線X向の位置を違えた複数段の当接面としての対向面116、第一突起117、第二突起118を有する前記第一段差部115と、前記第一板バネ120に設けられた当接面としての被挟持部126と、前記第一突起117及び第二突起118の逃がしのための前記第一切欠部127、第二切欠部128を有する前記第二段差部125とを有して構成され、これらの第一段差部115と第二段差部125とが対向して設けられると共に、前記第一段差部115の対向面116、第一突起117、第二突起118、第二段差部125の被挟持部126のどれを当接させるかが選択可能となるように構成することで、質量を増加させることなく、また、部品数を増やすことなく、スターリング冷凍機1の特性をより容易に調整することができる。
【0088】
なお、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上記各実施形態では、それぞれ3段階で往復手段の静止位置の調整が可能であるが、調整の段階は任意である。
【符号の説明】
【0089】
1 スターリング冷凍機(スターリング機関)
15 シリンダ
16 ディスプレイサー(往復体)
23 ピストン(往復体)
23A 先端
23B 基端
25 接続体(可動体)
26 可動子(可動体)
28 第一の板バネ(制御体)
29 ロッド(可動体)
30 第二の板バネ(制御体)
45 スペーサ(調整手段)
46 スペーサ(調整手段)
61 ピストン(往復体)
61A 先端
61B 基端
62 可動子(可動体)
65 第一段差部(調整機構)
65A 第一面(当接面)
65B 第二面(当接面)
65C 第三面(当接面)
72 第二段差部(調整機構)
72A 第一面(当接面)
72B 第二面(当接面)
72C 第三面(当接面)
80 ピストン(往復体)
81 第一ピストン(往復体)
81A 先端
81B 基端
82 第二ピストン(往復体)
82A 先端
82B 基端
83 第三ピストン(往復体)
83A 先端
83B 基端
90 ディスプレイサー(往復体)
90A 一端
90B 他端
91 第一ディスプレイサー(往復体)
91A 一端
91B 他端
92 第二ディスプレイサー(往復体)
92A 一端
92B 他端
93 第三ディスプレイサー(往復体)
93A 一端
93B 他端
94 ロッド(可動体)
97 スペーサ(調整機構)
98 スペーサ(調整機構)
100 ロッド(可動体)
101 第一ロッド(可動体)
102 第二ロッド(可動体)
103 第三ロッド(可動体)
110 接続体(可動体)
115 第一段差部(調整機構)
116 対向面(調整機構)
117 第一突起(調整機構)
118 第二突起(調整機構)
120 第一板バネ(制御体)
125 第二段部(調整機構)
126 被挟持部(調整機構)
127 第一切欠部(調整機構)
128 第二切欠部(調整機構)
X 中心軸線
S 段差寸法
Ld1 第一ディスプレイサー91の長さ
Ld2 第二ディスプレイサー92の長さ
Ld3 第三ディスプレイサー93の長さ
Lp ピストンの長さ
Lp1 第一ピストン81の長さ
Lp2 第二ピストン82の長さ
Lp3 第三ピストン83の長さ
Lr ロッド94の長さ
Lr1 雄ネジを除く第一ロッド101の長さ
Lr2 雄ネジを除く第二ロッド102の長さ
Lr3 雄ネジを除く第三ロッド103の長さ
P1 対向面116からの第一突起117の突出高さ
P2 対向面116からの第二突起118の突出高さ
Ts 被挟持部126の厚さ
T1 スペーサ45の厚さ
T2 スペーサ46の厚さ
T3 スペーサ97の厚さ
T4 スペーサ98の厚さ
ΔLd Ld1とLd2の差、及びLd2とLd3の差
ΔLp Lp1とLp2の差、及びLp2とLp3の差
ΔLr Lr1とLr2の差、及びLr2とLr3の差
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2021-01-28
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、スターリング機関及びその調整方法に関するものである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
本発明は以上の問題点を解決し、容易に特性を調整することができるスターリング機関及びその調整方法を提供することを目的とする。
【手続補正書】
【提出日】2021-12-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
前記円筒部5の内部には、前記胴部14の内部まで延びるシリンダ15が、前記円筒部5に対して同軸的に挿入されて設けられる。即ち、前記シリンダ15の中心軸線Xは、前記円筒部5の中心軸線と一致する。なお、前記シリンダ15の内面の半径はRである。そして、前記シリンダ15は金属を用いて成形される。そして、前記シリンダ15の先端側の内側には、往復体としてのディスプレイサー16が中心軸線X方向に摺動可能に収容される。また、このディスプレイサー16の先端と前記円筒部5の先端部7の間には膨張室Eが形成され、隙間17によって前記シリンダ15の内外が連通される。また、前記中間部8において、前記円筒部5の内周と前記シリンダ15の外周との間に再生器18が設けられると共に、前記基部9において、前記シリンダ15の内外を連通する連通孔19が前記シリンダ15自体に形成される。また、前記円筒部5の先端部7の内周と前記シリンダ15の先端外周との間には、吸熱フィン20が設けられると共に、前記再生器18と連通孔19の間において、前記円筒部5の内周と前記シリンダ15の外周との間に排熱フィン21が設けられる。そして、前記シリンダ15の内部先端から隙間17、吸熱フィン20、再生器18、排熱フィン21、連通孔19を通って前記シリンダ15内の圧縮室Cに至る経路22が形成される。更に、前記胴部4内において、前記シリンダ15の基部側の内側には、往復体としてのピストン23が中心軸線X方向に摺動可能に収容される。そして、このピストン23の基端部は、リニアモータ24に対して同軸的に連結される。なお、このリニアモータ24は、接続体25によって前記ピストン23の基端に接続されて前記シリンダ15の基端側の外周に同軸状に延設された可動体としての可動子26と、この可動子26の外周に近接して設けられた環状の固定子27とを有して構成される。なお、前記接続体25も可動体に含まれる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
前記ピストン23と接続体25と可動子26と第一板バネ28との組立体について詳述する。前記ピストン23は中空円筒状に形成される。そして、このピストン23の先端23A中央には、前記ロッド29が挿通される貫通孔31が形成される。また、前記ピストン23の基端23B側は開口しており、この開口部の内面に雌ネジ32が形成される。前記接続体25は、中心軸線X方向に貫通孔33が形成され、この貫通孔33内に前記ロッド29が挿通される。そして、中心軸線X方向の両側に、第一雄ネジ34と第二雄ネジ35が形成される。また、前記各雄ネジ34,35にそれぞれ近接して、第一挟持面36と第二挟持面37が形成される。前記可動子26は、枠38と、この枠38の一端側に固定された円筒状の永久磁石39とを有して構成される。前記枠38は、合成樹脂等の非磁性体で構成される。また、前記枠38は、環状に形成される被挟持部40と、この被挟持部40の外周部から中心軸線Xと平行に延びて形成される案内筒部41と、この案内筒部41の先端部から外方向に延びて形成される拡径部42と、この拡径部42の外周部から中心軸線Xと平行に延びて形成される円筒部43とを有して構成される。前記永久磁石39は、前記円筒部43に固定される。そして、前記被挟持部40には、前記接続体25の第一雄ネジ34が挿通される貫通孔44が形成される。そして、この貫通孔44を介して、前記第一雄ネジ34と前記雌ネジ32とが螺合する。このように、前記第一雄ネジ34と前記雌ネジ32とが螺合することで、前記被挟持部40が、前記ピストン23の基端23Bと前記接続体25の第一挟持面36とで挟持される。これによって、前記ピストン23と接続体25と可動子26とが一体化される。この際、前記ピストン23の基端23B側は、前記枠体38の案内筒部41内に挿入される。なお、前記ピストン23の基端23Bと前記被挟持部40との間には、調整機構としての環状のスペーサ45又は46が配置可能である。前記第一板バネ28の中央部には貫通孔(図示せず)が形成され、この貫通孔に前記第二雄ネジ35が挿通される。そして、前記第二雄ネジ35を前記貫通孔に挿通した後、前記第二雄ネジ35にナット47が螺合することで、前記第一板バネ28が前記接続体25の第二挟持面37と前記ナット47とで挟持される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
このように、前記ピストン23の先端23Aの静止位置を変化させると、前記シリンダ15内に形成される圧縮室Cの静止容積も変化する。そして、前記圧縮室Cの静止容積が変化することで、スターリング冷凍機1の特性(膨張室周辺における最低到達温度、温度低下速度、動作周波数、消費電力等)も変化する。そして、このように、前記ピストン23と可動子26との間に何も挟まないか、又は前記スペーサ45或いは46を挟むだけで、前記スターリング冷凍機1の特性を調整することができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
往復体としてのピストン61と、可動体としての接続体25と、可動体としての可動子62と、制御体としての第一板バネ28とで組立体が形成される。前記ピストン61は中空円筒状に形成される。そして、このピストン61の先端61A中央には、ディスプレイサー16に接続されるロッド29が挿通される貫通孔63が形成される。また、前記ピストン61の基端61B側は開口しており、この開口部の内面に雌ネジ64が形成される。また、前記ピストン61の基端61Bには、調整機構を構成する第一段差部65が形成される。前記接続体25は、中心軸線X方向に貫通孔33が形成され、この貫通孔33内に前記ロッド29が挿通される。そして、中心軸線X方向の両側に、第一雄ネジ34と第二雄ネジ35が形成される。また、前記各雄ネジ34,35にそれぞれ近接して、第一挟持面36と第二挟持面37が形成される。前記可動子62は、枠66と、この枠66の一端側に固定された円筒状の永久磁石39とを有して構成される。前記枠66は、合成樹脂等の非磁性体で構成される。また、前記枠66は、環状に形成される被挟持部67と、この被挟持部67の外周部から中心軸線Xと平行に延びて形成される案内筒部68と、この案内筒部68の先端部から外方向に延びて形成される拡径部69と、この拡径部69の外周部から中心軸線Xと平行に延びて形成される円筒部70とを有して構成される。前記永久磁石39は、前記円筒部70に固定される。そして、前記被挟持部67には、前記接続体25の第一雄ネジ34が挿通される貫通孔71が形成される。そして、この貫通孔71を介して、前記第一雄ネジ34と前記雌ネジ64とが螺合する。このように、前記第一雄ネジ34と前記雌ネジ64とが螺合することで、前記被挟持部67が、前記ピストン61の基端61Bと前記接続体25の第一挟持面36とで挟持される。これによって、前記ピストン61と接続体25と可動子62とが一体化される。この際、前記ピストン61の基端61B側は、前記枠体66の案内筒部68内に挿入される。なお、前記被挟持部67及び案内筒部68には、調整機構を構成する第二段差部72が形成される。前記第一板バネ28の中央部には貫通孔(図示せず)が形成され、この貫通孔に前記第二雄ネジ35が挿通される。そして、前記第二雄ネジ35を前記貫通孔に挿通した後、前記第二雄ネジ35にナット47が螺合することで、前記第一板バネ28が前記接続体25の第二挟持面37と前記ナット47とで挟持される。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
このように、前記ピストン61の先端61Aの静止位置を変化させると、前記シリンダ15内に形成される圧縮室Cの静止容積も変化する。そして、前記圧縮室Cの静止容積が変化することで、スターリング冷凍機1の特性(膨張室周辺における最低到達温度、温度低下速度、動作周波数、消費電力等)も変化する。そして、このように、前記第一段差部65の第一面65A、第二面65B、第三面65Cと、前記第二段差部72の第一面72A、第二面72B、第三面72Cのどれを当接させるかを選択するだけで、前記スターリング冷凍機1の特性を調整することができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0049】
このように、前記ピストン80の先端80Aの静止位置を変化させると、前記シリンダ15内に形成される圧縮室Cの静止容積も変化する。そして、前記圧縮室Cの静止容積が変化することで、スターリング冷凍機1の特性(膨張室周辺における最低到達温度、温度低下速度、動作周波数、消費電力等)も変化する。そして、このように、長さの異なる前記各ピストン81,82,83のどれを用いるかを選択するだけで、前記スターリング冷凍機1の特性を調整することができる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0061
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0061】
【表2】

このように、中心軸線X方向の長さの異なる複数種類の前記ディスプレイサー91,92,93の何れかを選択して前記ロッド94及び第二板バネ30に結合させることで、前記ディスプレイサー90の先端90Aの静止位置を調整することができる。また、この際、同時に調整機構としての前記スペーサ97,98を前記ロッド94のフランジ部96と第二板バネ30との間に挿入したり挿入しなかったりすることで、前記ディスプレイサー90の基端90Bの静止位置を調整することができる。即ち、これらを組み合わせて、前記ディスプレイサー90の先端90Aと基端90Bの両方の静止位置を調整したり、前記ディスプレイサー90の先端90Aと基端90Bの何れかの静止位置のみを調整したりすることができる。そして、このように、前記ディスプレイサー90の静止位置を調整して、このティスプレイサー90の先端90A側に形成される膨張室Eと基端90B側に形成される圧縮室Cの静止容積を調整することで、スターリング冷凍機1の特性(膨張室周辺における最低到達温度、温度低下速度、動作周波数、消費電力等)を調整することができる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0062
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0062】
以上のように本発明は、中心軸線Xを有するシリンダ15内を往復動可能に設けられる往復体としてのディスプレイサー90と、このディスプレイサー90に結合されてこのディスプレイサー90と共に動作する可動体としてのロッド94と、このロッド94に結合されて前記ディスプレイサー90とロッド94の動作を制御する制御体としての第二板バネ30を有するスターリング機関としてのスターリング冷凍機1において、前記ロッド94と第二板バネ30との位置関係を調整して前記シリンダ15内における前記ディスプレイサー90の静止位置を調整する調整機構としてのスペーサ97,98を有することで、前記シリンダ15内における前記往復体の静止位置が調整されるので、スターリング冷凍機1の特性を容易に調整することができるものである。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0064
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0064】
更に本発明は、中心軸線Xを有するシリンダ15内を往復動可能に設けられる往復体としてのディスプレイサー90と、このディスプレイサー90に結合されてこのディスプレイサー90と共に動作する可動体としてのロッド94とを有するスターリング機関としてのスターリング冷凍機1の調整方法において、中心軸線X方向の長さの異なる第一ディスプレイサー91、第二ディスプレイサー92、第三ディスプレイサー93を用意し、これらの何れかを前記ロッド94に結合させて前記シリンダ15内における前記ディスプレイサー90の静止位置を調整することで、スターリング冷凍機1の特性を容易に調整することができる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0076
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0076】
以上のように本発明は、中心軸線Xを有するシリンダ15内を往復動可能に設けられる往復体としてのディスプレイサー90と、このディスプレイサー90に結合されてこのディスプレイサー90と共に動作する可動体としてのロッド100とを有するスターリング機関としてのスターリング冷凍機1の調整方法において、中心軸線X方向の長さの異なる第一ディスプレイサー91、第二ディスプレイサー92、第三ディスプレイサー93を用意し、これらの何れかを前記ロッド100に結合させて前記シリンダ15内における前記ディスプレイサー90の静止位置を調整することで、スターリング冷凍機1の特性を容易に調整することができる。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0077
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0077】
また本発明は、中心軸線Xを有するシリンダ15内を往復動可能に設けられる往復体としてのディスプレイサー90と、このディスプレイサー90に結合されてこのディスプレイサー90と共に動作する可動体としてのロッド100を有するスターリング機関としてのスターリング冷凍機1の調整方法において、中心軸線X方向の長さの異なる複数の第一ロッド101,第二ロッド102、第三ロッド103を用意し、これらの何れかを前記ディスプレイサー90に結合させて前記シリンダ15内における前記ディスプレイサー90の静止位置を調整することで、スターリング冷凍機1の特性を容易に調整することができる。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0081
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0081】
前記可動子26は、枠38と、この枠38の一端側に固定された円筒状の永久磁石39とを有して構成される。前記枠38は、合成樹脂等の非磁性体で構成される。また、前記枠38は、環状に形成される被挟持部40と、この被挟持部40の外周部から中心軸線Xと平行に延びて形成される案内筒部41と、この案内筒部41の先端部から外方向に延びて形成される拡径部42と、この拡径部42の外周部から中心軸線Xと平行に延びて形成される円筒部43とを有して構成される。前記永久磁石39は、前記円筒部43に固定される。そして、前記被挟持部40には、前記接続体110の第一雄ネジ112が挿通される貫通孔44が形成される。そして、この貫通孔44を介して、前記第一雄ネジ112と前記雌ネジ32とが螺合する。このように、前記第一雄ネジ112と前記雌ネジ32とが螺合することで、前記被挟持部40が、前記ピストン23の基端23Bと前記接続体110の第一挟持面114とで挟持される。これによって、前記ピストン23と接続体110と可動子26とが一体化される。この際、前記ピストン23の基端23B側は、前記枠体38の案内筒部41内に挿入される。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0085
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0085】
このように、前記ピストン23の先端23Aの静止位置を変化させると、前記シリンダ15内に形成される圧縮室Cの静止容積も変化する。そして、前記圧縮室Cの静止容積が変化することで、スターリング冷凍機1の特性(膨張室周辺における最低到達温度、温度低下速度、動作周波数、消費電力等)も変化する。そして、このように、前記接続体110の対向面116第一突起117、第二突起118の何れかを前記第一板バネ120の被挟持部126に当接させるかを選択するだけで、前記スターリング冷凍機1の特性を調整することができる。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0089
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0089】
1 スターリング冷凍機(スターリング機関)
15 シリンダ
16 ディスプレイサー(往復体)
23 ピストン(往復体)
23A 先端
23B 基端
25 接続体(可動体)
26 可動子(可動体)
28 第一板バネ(制御体)
29 ロッド(可動体)
30 第二板バネ(制御体)
45 スペーサ(調整機構
46 スペーサ(調整機構
61 ピストン(往復体)
61A 先端
61B 基端
62 可動子(可動体)
65 第一段差部(調整機構)
65A 第一面(当接面)
65B 第二面(当接面)
65C 第三面(当接面)
72 第二段差部(調整機構)
72A 第一面(当接面)
72B 第二面(当接面)
72C 第三面(当接面)
80 ピストン(往復体)
81 第一ピストン(往復体)
81A 先端
81B 基端
82 第二ピストン(往復体)
82A 先端
82B 基端
83 第三ピストン(往復体)
83A 先端
83B 基端
90 ディスプレイサー(往復体)
90A
90B
91 第一ディスプレイサー(往復体)
91A
91B
92 第二ディスプレイサー(往復体)
92A
92B
93 第三ディスプレイサー(往復体)
93A
93B
94 ロッド(可動体)
97 スペーサ(調整機構)
98 スペーサ(調整機構)
100 ロッド(可動体)
101 第一ロッド(可動体)
102 第二ロッド(可動体)
103 第三ロッド(可動体)
110 接続体(可動体)
115 第一段差部(調整機構)
116 対向面(調整機構)
117 第一突起(調整機構)
118 第二突起(調整機構)
120 第一板バネ(制御体)
125 第二段部(調整機構)
126 被挟持部(調整機構)
127 第一切欠部(調整機構)
128 第二切欠部(調整機構)
X 中心軸線
S 段差寸法
Ld1 第一ディスプレイサー91の長さ
Ld2 第二ディスプレイサー92の長さ
Ld3 第三ディスプレイサー93の長さ
Lp ピストンの長さ
Lp1 第一ピストン81の長さ
Lp2 第二ピストン82の長さ
Lp3 第三ピストン83の長さ
Lr ロッド94の長さ
Lr1 雄ネジを除く第一ロッド101の長さ
Lr2 雄ネジを除く第二ロッド102の長さ
Lr3 雄ネジを除く第三ロッド103の長さ
P1 対向面116からの第一突起117の突出高さ
P2 対向面116からの第二突起118の突出高さ
Ts 被挟持部126の厚さ
T1 スペーサ45の厚さ
T2 スペーサ46の厚さ
T3 スペーサ97の厚さ
T4 スペーサ98の厚さ
ΔLd Ld1とLd2の差、及びLd2とLd3の差
ΔLp Lp1とLp2の差、及びLp2とLp3の差
ΔLr Lr1とLr2の差、及びLr2とLr3の差