(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022115179
(43)【公開日】2022-08-09
(54)【発明の名称】半導体集積回路装置及びその動作方法
(51)【国際特許分類】
G01R 31/28 20060101AFI20220802BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20220802BHJP
G06F 11/22 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
G01R31/28 V
H01L27/04 T
G06F11/22 673F
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021011674
(22)【出願日】2021-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】高橋 祐介
【テーマコード(参考)】
2G132
5B048
5F038
【Fターム(参考)】
2G132AA00
2G132AC03
2G132AD06
2G132AG01
2G132AG08
2G132AK09
2G132AK11
2G132AK13
2G132AK29
2G132AL11
5B048CC02
5B048DD05
5F038DF04
5F038DF05
5F038DF12
5F038DT05
5F038DT07
5F038DT08
5F038DT15
5F038DT16
5F038DT19
(57)【要約】
【課題】BIST回路のテスト抜けを防止する半導体集積回路装置及びその動作方法を提供する。
【解決手段】実施の形態に係る半導体集積回路装置は、テスト対象回路と、テスト対象回路に入力データを供給するパタン発生器と、テスト対象回路の出力データと期待値データとを比較しテスト結果信号を出力する結果比較器と、パタン発生器及び結果比較器を制御する制御回路と、を備え、テスト対象回路と結果比較器とは第1クロックラインに共通に接続し、パタン発生器と制御回路は第1クロックラインと異なる第2クロックラインに共通に接続する。
【選択図】
図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テスト対象回路と、
前記テスト対象回路に入力データを供給するパタン発生器と、
前記テスト対象回路の出力データと期待値データとを比較しテスト結果信号を出力する結果比較器と、
前記パタン発生器及び前記結果比較器を制御する制御回路と、
を備え、
前記テスト対象回路と前記結果比較器とは第1クロックラインに共通に接続し、前記パタン発生器と前記制御回路は前記第1クロックラインと異なる第2クロックラインに共通に接続する半導体集積回路装置。
【請求項2】
前記テスト結果信号がテスト終了時に第1信号であるとき前記制御回路は、パスと判定し、
前記テスト結果信号がテスト終了時に第2信号であるとき前記制御回路は、フェイルと判定する請求項1に記載の半導体集積回路装置。
【請求項3】
前記結果比較器は、
前記出力データと前記期待値データとを比較し、期待値比較データを出力する期待値比較回路と、
前記期待値比較回路の後段に接続され、前記期待値比較回路からの出力データを保持する結果保持回路と、
前記結果保持回路の後段に接続され、テスト結果信号を出力する第1追加回路と、
を備え、
前記第1追加回路の初期状態は前記第2信号を発生する状態である請求項2に記載の半導体集積回路装置。
【請求項4】
前記結果比較器は、
前記出力データと前記期待値データとを比較し、期待値比較データを出力する期待値比較回路と、
前記期待値比較回路の後段に接続され、テスト結果信号を出力する結果保持回路と、
追加回路出力信号を出力する第2追加回路と
を備え、
前記第2追加回路の初期状態は前記第1信号を発生する状態であり、
テスト終了後に前記追加回路出力信号が前記第2信号であるときは、前記制御回路は、テストが正常に行われたと判定し、
テスト終了後に前記追加回路出力信号が前記第1信号であるときは前記制御回路は、テストが正常に行われなかったと判定する請求項2記載の半導体集積回路装置。
【請求項5】
前記結果保持回路の出力と前記期待値比較回路の出力が入力され、出力が前記結果保持回路に入力されるOR回路を備える請求項3または4に記載の半導体集積回路装置。
【請求項6】
前記結果比較器は、
前記出力データと前記期待値データとを比較し、期待値比較データを出力する期待値比較回路と、
前記期待値比較回路の後段に接続された第3追加回路と、
追加回路出力信号を出力する第4追加回路と、
前記第3追加回路の後段に配置され、テスト結果信号を出力する結果保持回路と、
を備え、
前記第4追加回路の初期状態は前記第1信号を発生する状態であり、テスト開始後に前記第2信号が入力され、
テスト終了後に前記追加回路出力信号が前記第2信号であるときは、前記制御回路は、テストが正常に行われたと判定し、
テスト終了後に前記追加回路出力信号が前記第1信号あるときは前記制御回路は、テストが正常に行われなかったと判定する請求項2記載の半導体集積回路装置。
【請求項7】
前記第3追加回路の出力と、前記第4追加回路の出力とが入力されるAND回路と、
前記結果保持回路の出力と前記AND回路の出力とが入力され、出力が前記結果保持回路に入力されるOR回路と、
を備える請求項6記載の半導体集積回路装置。
【請求項8】
前記結果保持回路の初期状態は前記第1信号を発生する状態である請求項3~7のいずれか1項に記載の半導体集積回路装置。
【請求項9】
前記制御回路は、前記テスト結果信号を観測するためのモニター端子を備える請求項1~8のいずれか1項に記載の半導体集積回路装置。
【請求項10】
期待値比較回路において、テスト対象回路の出力データと期待値データとを比較し、
結果保持回路において前記比較した結果を保持し、
前記結果保持回路より、テスト結果信号を出力し、
前記テスト結果信号がテスト終了時に第1信号であるときパスと判定し、
前記テスト結果信号がテスト終了時に第2信号であるときフェイルと判定する半導体集積回路装置の動作方法。
【請求項11】
第1追加回路より追加回路出力信号を出力し、
テスト終了後に前記追加回路出力信号が前記第2信号であるときはテストが正常に行われたと判定し、
テスト終了後に前記追加回路出力信号が前記第1信号であるときはテストが正常に行われなかったと判定する請求項10に記載の半導体集積回路装置の動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体集積回路装置及びその動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、組み込み自己テスト(BIST:Build-In Self Test)回路は、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM:Static Random Access Memory)、リードオンリメモリ(ROM:Read Only Memory)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM:Dynamic Random Access Memory)等のメモリ回路、ランダム・ロジック、プロセッサ・ロジック等のロジック回路、或いは位相同期回路(PLL:Phase Locked Loop)、AD/DAコンバータ等のアナログ回路をテスト対象とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一実施形態では、BIST回路のテスト抜けを防止する半導体集積回路装置及びその動作方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施の形態に係る半導体集積回路装置は、テスト対象回路と、テスト対象回路に入力データを供給するパタン発生器と、テスト対象回路の出力データと期待値データとを比較しテスト結果信号を出力する結果比較器と、パタン発生器及び結果比較器を制御する制御回路と、を備え、テスト対象回路と結果比較器とは第1クロックラインに共通に接続し、パタン発生器と制御回路は第1クロックラインと異なる第2クロックラインに共通に接続する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】比較例に係る半導体集積回路装置のブロック図である。
【
図2】比較例に係る結果比較器の回路ブロック図である。
【
図3A】比較例に係る半導体集積回路装置の動作タイミングチャートである。
【
図3B】比較例に係る半導体集積回路装置において、テスト対象回路(DUT)のクロックラインが故障した場合の動作タイミングチャートである。
【
図4A】第1の実施の形態に係る半導体集積回路装置の回路ブロック図である。
【
図4B】第1の実施の形態に係る結果比較器の回路ブロック図である。
【
図5A】第1の実施の形態に係る半導体集積回路装置の正常動作時のタイミングチャートである。
【
図5B】は第1の実施の形態に係る半導体集積回路装置のテスト対象回路(DUT)のクロックラインが故障した場合の動作タイミングチャートである。
【
図6A】第2の実施の形態に係る半導体集積回路装置の回路ブロック図である。
【
図6B】第2の実施の形態に係る結果比較器の回路ブロック図である。
【
図7A】図第2の実施の形態に係る半導体集積回路装置の正常動作時のタイミングチャートである。
【
図7B】第2の実施の形態に係る半導体集積回路装置のテスト対象回路(DUT)のクロックラインが故障した場合の動作タイミングチャートである。
【
図8A】第3の実施の形態に係る半導体集積回路装置の回路ブロック図である。
【
図8B】第3の実施の形態に係る結果比較器の回路ブロック図である。
【
図9A】第3の実施の形態に係る半導体集積回路装置の正常動作時のタイミングチャートである。
【
図9B】第3の実施の形態に係る半導体集積回路装置のテスト対象回路(DUT)のクロックラインが故障した場合の動作タイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
次に、図面を参照して、実施の形態について説明する。以下に説明する明細書または図面の記載において、同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。図面は模式的なものである。また、以下に示す実施の形態は、技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものである。実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。以下の説明において、「BIST回路のテスト抜け」とは、BIST回路を備える半導体集積回路装置において、BIST回路がテストをしていなくてもパスになることをいう。
【0008】
(比較例に係る半導体集積回路装置)
図1は比較例に係る半導体集積回路装置1のブロック図である。
【0009】
半導体集積回路装置1は、
図1に示すように、テスト対象回路(DUT:Device Under Test)8と、BIST回路6とを備える。BIST回路6は、パタン発生器10と、制御回路12と、結果比較器14とを備える。半導体集積回路装置1のクロック制御部(CT)18はテスト対象回路8とBIST回路6が含む結果比較器14へ共通に入力される第1クロックCLK1を制御し、クロック制御部(CB)20はBIST回路6が含むパタン発生器10と制御回路12とへ共通に入力される第2クロックCLK2を制御する。テストの判断はパス/フェイルの判定信号であるテスト結果信号TRS、及びテスト終了信号TESの2つの信号で行う。テスト結果信号TRSとは、テスト対象に問題があるかないかを表す信号である。テスト終了信号TESとは、テストが最後まで実行したかを示す信号である。
【0010】
制御回路12は、BIST実行中にテスト対象回路8、パタン発生器10、結果比較器14を制御する回路である。尚、制御回路12には、テスト終了信号TES、テスト結果信号TRS等の結果比較器14からの信号を観測するためのモニター端子MTRが接続されていても良い。結果比較器14はテスト結果信号TRSを出力する。制御回路12は、テスト終了時にテスト結果信号TRSがローレベルLのときはテスト対象回路8に問題がないと判定し、テスト結果信号TRSがハイレベルHのときはテスト対象回路8に問題があると判定する。
【0011】
パタン発生器10は、テスト対象回路8に入力する入力データDIを生成する回路である。
【0012】
半導体集積回路装置1において、テスト対象回路8と結果比較器14とには、クロック信号CLK1が供給され、パタン発生器10と制御回路12には、第1クロック信号CLK1とは異なるラインで第2クロック信号CLK2が供給されている。第1クロック信号CLK1と第2クロック信号CLK2とは同一のタイミングであってもよい。
【0013】
テスト対象回路8には、第1クロック信号CLK1と、入力データDIが供給される。テスト対象回路8の出力データDOは、結果比較器14に供給される。結果比較器14からはテスト結果信号TRSが制御回路12に供給される。
【0014】
図2は結果比較器14の回路ブロック図である。結果比較器14は、テスト対象回路8に接続可能な期待値比較回路22と、期待値比較回路22に接続されたORゲート24と、ORゲート24に接続され初期値がローレベルL(0)の結果保持回路26とを備える。結果保持回路26は、例えば、Dタイプフリップフロップ等のフリップフロップ回路の構成を備える。
【0015】
期待値比較回路22は、テスト対象回路8の出力データDOと期待値データEVとを比較して、一致した場合、期待値比較データEOとしてローレベルL(0)を出力し、一致しない場合、期待値比較データEOとしてハイレベルH(1)を出力する。期待値比較データEOは、ORゲート24に入力される。
【0016】
ORゲート24の出力は、結果保持回路26に入力される。また、結果保持回路26は、クロック信号CLK1の入力と共に、テスト結果信号TRSを出力する。ORゲート24の出力は、期待値比較データEOとテスト結果信号TRSとのOR出力となる。
【0017】
図3Aは半導体集積回路装置1の動作タイミングチャートである。
図3Bはテスト対象回路8への第1クロックラインが故障した場合の動作タイミングチャートである。
【0018】
図3A及び
図3Bにおいて、(a)は入力データDI、(b)はクロック信号CLK1、(c)は出力データDO、(d)は期待値データEV、(e)はクロック信号CLK2、(f)はテスト結果信号TRS、(g)はテスト終了信号TESを示す。
【0019】
(結果比較器が正常動作しテスト対象回路8に問題がない場合)
(動作タイミングチャート:
図3A)
結果比較器14においては、第1クロック信号CLK1のタイミング毎に、出力データDOと期待値データEVとを比較し、テスト対象回路8の出力データDOと期待値データEVが一致している間は、テスト結果信号TRSは実線で示すようにローレベルLを保持し続ける。テスト終了信号TESは、テスト中はローレベルLを保持するが、テストが終了するとローレベルLからハイレベルHに移行する。ここで、テスト対象回路8に問題があるかないかの判定が制御回路12により行われる。テスト結果信号TRSはローレベルLなので、テスト対象回路8に問題がないと判定される。
【0020】
(結果比較器が正常動作しテスト対象回路8に問題がある場合)
(動作タイミングチャート:
図3A)
テスト対象回路8の出力データDOと期待値データEVが一致している間は、テスト結果信号TRSはローレベルLを出力し続ける。例えば
図3Aの破線Aで示される範囲である。出力データDOと期待値データEVとを比較し、テスト対象回路8の出力データDOと期待値データEVが不一致となり、途中でフェイルすると、テスト結果信号TRSは破線で示すようにハイレベルHとなり、このハイレベルHを保持し続ける。テスト終了信号TESは、テスト中はローレベルLを保持するが、テストが終了するとローレベルLからハイレベルHに移行する。ここで、テスト対象回路8に問題があるかないかの判定が制御回路12により行われる。テスト結果信号TRSはハイレベルHなので、テスト対象回路8に問題があると判定される。
【0021】
(結果比較器が正常動作しない場合)
(クロックラインが故障している場合:
図3B)
テスト対象回路8へのクロックラインが故障している場合には、
図3Bの(b)に示すように、テスト対象回路8へのクロック信号CLK1はローレベルLとなる。同様に、
図3Bの(b)に示すように、結果比較器14への第1クロック信号CLK1はローレベルLとなる。テスト対象回路8は動作が停止する。これより、出力データDOと期待値データEVが不一致であったとしても、結果比較器14も動作しないため、テスト結果信号TRSは初期値であるローレベルLを保持し続ける。結果として、仮にテスト対象回路8に問題があったとしても、テスト対象回路8には問題がないとして判定される。つまり正常にテストされていないのにテストされたことになってしまい、テスト抜けが発生し得る。
【0022】
(第1の実施の形態)
図4Aに第1の実施形態に係る半導体集積回路装置2の回路ブロック図を示す。
図4Bは第1の実施の形態に係る結果比較器141の回路ブロック図である。
【0023】
半導体集積回路装置2は、比較例の結果比較器14に代えて結果比較器141を適用している。結果比較器141からはテスト結果信号TRS1が出力される。
【0024】
第1の実施の形態に係る結果比較器141は、
図4Bに示すように、テスト対象回路8に接続可能な期待値比較回路22と、期待値比較回路22に接続されたORゲート24と、ORゲート24に接続され初期値がローレベルL(0)に設定された結果保持回路26と、結果保持回路26に接続され初期値がハイレベルH(1)に設定された追加回路28とを備える。結果保持回路26及び追加回路28は、例えばDタイプフリップフロップ等のフリップフロップ回路の構成を備えていても良い。
【0025】
結果保持回路26の出力であるテスト結果信号TRSは、追加回路28に入力される。また、追加回路28は、クロック信号CLK1の入力と共に、テスト結果信号TRS1をBIST回路6に出力する。制御回路12はテスト結果信号TRS1がローレベルL(0)のときはテスト対象回路8に問題がなくテストが正常に行われたと判定し、テスト結果信号TRS1がハイレベルH(1)のときは、テスト対象回路8に問題があったかあるいはテストが正常に行われていないと判定する。
【0026】
図5Aは第1の実施の形態に係る結果比較器を適用した半導体集積回路装置において、正常動作時のタイミングチャートである。
図5Bは第1の実施の形態に係る結果比較器を適用した半導体集積回路装置において、テスト対象回路8と結果比較器141へのクロックラインが故障した場合の動作タイミングチャートである。
【0027】
図5A及び
図5Bにおいて、(a)は入力データDI、(b)はクロック信号CLK1、(c)は出力データDO、(d)は期待値データEV、(e)はクロック信号CLK2、(f)はテスト結果信号TRS1、(g)はテスト終了信号TESを示す。
【0028】
(結果比較器が正常動作しテスト対象回路8に問題がない場合)
(動作タイミングチャート:
図5A)
結果比較器141は、当初、テスト結果信号TRS1から初期値Hが出力される。テスト開始後、テスト対象回路8の出力データDOと期待値データEVが一致すると結果保持回路26のローレベルLを受けて、追加回路28の状態はLに切り替わり、テスト結果信号TRS1はローレベルLを出力する。以後、テスト対象回路8の出力データDOと期待値データEVが一致している間、テスト結果信号TRS1は実線で示すようにローレベルLを保持し続ける。テスト終了信号TESは、テスト中はローレベルLを保持するが、テストが終了するとローレベルLからハイレベルHに移行する。ここで、テスト対象回路8に問題があるかテストが正常に行われたかの判定が制御回路12により行われる。テスト終了時にテスト結果信号TRS1はローレベルLなので、テスト対象回路8に問題がないと判定されパスとなる。
【0029】
(結果比較器が正常動作しテスト対象回路8に問題がある場合)
(動作タイミングチャート:
図5A)
テスト対象回路8の出力データDOと期待値データEVが一致している間は、テスト結果信号TRS1はローレベルLを保持し続ける。例えば
図5Aの破線Aで示される範囲である。しかし、テスト対象回路8に不良があり、テスト対象回路8の出力データDOと期待値データEVとが一致しなくなると、テスト結果信号TRS1は破線で示すようにハイレベルHとなり、このハイレベルHを保持し続ける。テスト終了信号TESは、テスト中はローレベルLを保持するが、テストが終了するとローレベルLからハイレベルHに移行する。ここで、テスト対象回路8に問題があるかテストが正常に行われたかの判定が制御回路12により行われる。テスト終了時にテスト結果信号TRS1はハイレベルHなので、テスト対象回路8に問題があるかまたはテストが正常に行われていないとして判定されフェイルとなる。
【0030】
(結果比較器が正常動作しない場合)
(クロックラインが故障している場合:
図5B)
テスト対象回路8へのクロックラインCLK1が故障している場合には、
図5Bの(b)に示すように、テスト対象回路8へのクロック信号CLK1はローレベルLとなる。同様に、
図5Bの(b)に示すように、結果比較器141へのクロック信号CLK1は、ローレベルLとなる。テスト対象回路8も結果比較器141も動作が停止されるため、結果比較器141からのテスト結果信号TRS1は追加回路28の初期値1、つまりハイレベルHを出力しつづける。テスト終了信号TESは、テスト中はローレベルLを保持するが、テストが終了するとローレベルLからハイレベルHに移行する。ここで、テスト対象回路8に問題があるかテストが正常に行われたかの判定が制御回路12により行われる。テスト終了時にテスト結果信号TRS1はハイレベルHなので、テスト対象回路8に問題があるかまたはテストが正常に行われていないとして判定されフェイルとなる。
【0031】
(第1の実施形態の効果)
第1の実施形態においては、テスト対象回路8へのクロックラインCLK1が故障した場合でもテスト対象回路8に問題があるか、あるいはテストが正常に行われていないとして判定できる。そのためテスト抜け防ぐことができる。
【0032】
(第2の実施の形態)
図6Aに第2の実施形態に係る半導体集積回路装置3の回路ブロック図を示す。
図6Bは第2の実施の形態に係る結果比較器142の回路ブロック図である。
【0033】
半導体集積回路装置3は、第1実施形態の結果比較器141に変えて結果比較器142を適用している。結果比較器142からはテスト結果信号TRSと、追加回路出力信号TISとが出力される。
【0034】
第2の実施の形態に係る結果比較器142は、
図6Bに示すように、テスト対象回路8に接続可能な期待値比較回路22と、期待値比較回路22に接続されたORゲート24と、ORゲート24に接続され初期値がローレベルL(0)の結果保持回路26と、結果保持回路26と並列に配置され初期値が0に設定された追加回路30とを備える。追加回路30には結果保持回路26の初期値の反転信号FV(固定値)が入力されてもよい。
【0035】
ORゲート24の出力は、結果保持回路26に入力される。また、結果保持回路26は、クロック信号CLK1の入力と共に、テスト結果信号TRSを出力する。ORゲート24の出力は、期待値比較データEOとテスト結果信号TRSとのOR出力である。
【0036】
追加回路30には、結果保持回路26の初期値0の反転信号FV(固定値)が入力され、以後その値をラッチし、追加回路出力信号TISとして出力する。
【0037】
追加回路30は、結果保持回路26と同様に、例えばDタイプフリップフロップ等のフリップフロップ回路の構成を備えていても良い。制御回路12はテスト結果信号TRSがローレベルLかつ追加回路出力信号TISがハイレベルHのときはテスト対象回路8に問題がなく、かつ、テストが正常に行われたと判定し、テスト結果信号TRSがハイレベルHかつ追加回路出力信号TISがハイレベルHのときはテスト対象回路8に問題があるが、テストは正常に行われたと判定し、追加回路出力信号TISがローレベルLのときはテストが正常に行われていないと判定する。
【0038】
図7Aは、第2の実施の形態に係る結果比較器142を適用した半導体集積回路装置3において、正常動作時のタイミングチャートである。
図7Bは、第2の実施の形態に係る結果比較器142を適用した半導体集積回路装置3において、テスト対象回路8及び結果比較器142へのクロックラインが故障した場合の動作タイミングチャートである。
【0039】
図7A及び
図7Bにおいて、(a)は入力データDI、(b)はクロック信号CLK1、(c)は出力データDO、(d)は期待値データEV、(e)はクロック信号CLK2、(f)はテスト結果信号TRS、(g)はテスト終了信号TES、(h)は追加回路出力信号TISを示す。
【0040】
(結果比較器が正常動作しテスト対象回路8に問題がない場合)
(動作タイミングチャート:
図7A)
結果比較器142は、テスト開始後、追加回路30に初期値0の反転信号であるハイレベルH(1)が入力され、以後、追加回路出力信号TISとしてその値を出力し続ける。テスト対象回路8の出力データDOと期待値データEVが一致すると結果保持回路26はテスト結果信号TRSとしてローレベルLを出力し、以後、テスト対象回路8の出力データDOと期待値データEVが一致している間、テスト結果信号TRSは実線で示すようにローレベルLを保持し続ける。テスト終了信号TESは、テスト中はローレベルLを保持するが、テストが終了するとローレベルLからハイレベルHに移行する。ここで、テスト対象回路8に問題があるかテストが正常に行われたかの判定が制御回路12により行われる。テスト終了時にテスト結果信号TRSはローレベルLであり、追加回路出力信号TISはハイレベルHなので、テスト対象回路8に問題がなく、かつ、テストが正常に行われたと判定されパスとなる。
【0041】
(結果比較器が正常動作しテスト対象回路8に問題がある場合)
(動作タイミングチャート:
図7A)
結果比較器142は、テスト開始後、追加回路30に初期値0の反転信号であるハイレベルH(1)が入力され、以後、追加回路出力信号TISとしてその値を出力し続ける。テスト対象回路8の出力データDOと期待値データEVが一致している間は、テスト結果信号TRSはローレベルLを保持し続ける。例えば
図7Aの破線Aで示される範囲である。しかし、テスト対象回路8に不良があり、テスト対象回路8の出力データDOと期待値データEVとが一致しなくなると、テスト結果信号TRSは破線で示すようにハイレベルHとなり、このハイレベルHを保持し続ける。テスト終了信号TESは、テスト中はローレベルLを保持するが、テストが終了するとローレベルLからハイレベルHに移行する。ここで、テスト対象回路8に問題があるかテストが正常に行われたかの判定が制御回路12により行われる。テスト終了時にテスト結果信号TRSはハイレベルHかつ追加回路出力信号TISはハイレベルHなので、テスト対象回路8に問題があるがテストは正常に行われたと判定されフェイルとなる。
【0042】
(結果比較器が正常動作しない場合)
(クロックラインが故障している場合:
図7B)
テスト対象回路8へのクロックラインが故障している場合には、
図7Bの(b)に示すように、テスト対象回路8へのクロック信号CLK1は常にローレベルLとなる。同様に、
図7Bの(b)に示すように、結果比較器142へのクロック信号CLK1もローレベルLとなる。テスト対象回路8も結果比較器142も動作が停止されるため、結果比較器142からの追加回路出力信号TISは追加回路30の初期値0つまりローレベルLを出力しつづける。テスト結果信号TRSも結果保持回路26の初期値0、つまりローレベルLを出力しつづける。テスト終了信号TESは、テスト中はローレベルLを保持するが、テストが終了するとローレベルLからハイレベルHに移行する。ここで、テスト対象回路8に問題があるかテストが正常に行われたかの判定が制御回路12により行われる。テスト終了時に追加回路出力信号TISはローレベルLなので、テスト結果信号TRSの値によらずテストが正常に行われていないと判定されフェイルとなる。
【0043】
(第2実施形態の効果)
第1実施形態においては、フェイルとなった場合でも、テスト対象回路8に問題があるのか、テストが正常に行われなかったのかを区別できなかった。本実施形態においては、フェイルとなったときも、テスト対象回路8に問題があるのか、テストそのものが正常に行われなかったのかを区別することができる。
【0044】
(第3の実施の形態)
図8Aに第3の実施形態に係る半導体集積回路装置4の回路ブロック図を示す。
図8Bは第3の実施の形態に係る結果比較器143の回路ブロック図である。
【0045】
半導体集積回路装置4は、第1実施形態の結果比較器141、第2実施形態の結果比較器142に代えて結果比較器143を適用している。結果比較器143からはテスト結果信号TRSと、追加回路出力信号TISとが出力される。
【0046】
第3の実施の形態に係る結果比較器143は、
図8Bに示すように、テスト対象回路(DUT)8に接続可能な期待値比較回路22と、期待値比較回路22に接続され初期値がハイレベルH(1)に設定された追加回路32と、初期値がローレベルL(0)に設定された追加回路34と、追加回路32と追加回路34とに接続されたANDゲート36と、ANDゲート36に接続されたORゲート38と、ORゲート38に接続され初期値がローレベルL(0)に設定された結果保持回路40とを備える。ORゲート38には結果保持回路40の出力がさらに接続される。追加回路34はテスト開始するとハイレベルH(1)が入力される。追加回路32、追加回路34及び結果保持回路40は、例えばDタイプフリップフロップ等のフリップフロップ回路の構成を備える。追加回路32、追加回路34及び結果保持回路40には、クロック信号CLK1が入力される。
【0047】
期待値比較回路22は、テスト対象回路8の出力データDOと期待値データEVとを比較して、期待値比較データEOを出力する。期待値比較データEOは、追加回路32に入力される。
【0048】
追加回路32の出力はANDゲート36に入力される。ANDゲート36には追加回路34の出力も入力される。すなわち、ANDゲート36は、期待値比較データEOと追加回路34の論理積を出力する。追加回路34は追加回路出力信号TISとしても出力する。追加回路出力信号TISを観測し、結果比較器143の動作状態を判定することができる。テストが正常に開始された場合には追加回路出力信号TISは、ローレベルL(0)からハイレベルH(1)に変化する。
【0049】
追加回路34の出力は、ANDゲート36に入力される。ANDゲート36の出力はORゲート38に入力される。ORゲート38の出力は、結果保持回路40に入力される。結果保持回路40は、クロック信号CLK1の入力と共に、テスト結果信号TRSを出力する。テスト結果信号TRSは、ORゲート38にも入力される。すなわち、ORゲート38の出力は、ANDゲート36の出力とテスト結果信号TRSのOR出力となる。
【0050】
制御回路12はテスト結果信号TRSがローレベルLかつ追加回路出力信号TISがハイレベルHのときはテスト対象回路8に問題がなく、かつ、テストが正常に行われたと判定し、テスト結果信号TRSがハイレベルHかつ追加回路出力信号TISがハイレベルHのときはテスト対象回路8に問題があるが、テストは正常に行われたと判定し、追加回路出力信号TISがローレベルLのときはテストが正常に行われていないと判定する。
【0051】
図9Aは、第3の実施の形態に係る結果比較器を適用した半導体集積回路装置において、正常動作時のタイミングチャートであり、
図9Bは、テスト対象回路8へのクロックラインが故障した場合の動作タイミングチャートである。
【0052】
図9A及び
図9Bにおいて、(a)は入力データDI、(b)はクロック信号CLK1、(c)は出力データDO、(d)は期待値データEV、(e)はクロック信号CLK2、(f)はテスト結果信号TRS、(g)はテスト終了信号TES、(h)は追加回路出力信号TISを示す。
【0053】
(結果比較器が正常動作しテスト対象回路8に問題がない場合)
(動作タイミングチャート:
図9A)
結果比較器143は、テスト開始後、破線Dのところで追加回路34にハイレベルH(1)が入力され、以後、追加回路出力信号TISとしてその値を出力し続ける。テスト対象回路8の出力データDOと期待値データEVが一致すると期待値比較回路22はローレベルLを出力し、追加回路32はローレベルLとなる。追加回路34からのハイレベルH出力と、追加回路32からのローレベルL出力がAND回路36に入力される。AND回路36の出力はローレベルLとなりOR回路38に入力される。OR回路38には初期値がローレベルLの結果保持回路40からの出力が入力され、結果としてOR回路38の出力はローレベルLとなって、結果保持回路40に入力される。このように、結果保持回路40からのテスト結果信号TRSはテスト対象回路8の出力データDOと期待値データEVが一致している間、テスト結果信号TRSは実線で示すようにローレベルLを保持し続ける。テスト終了信号TESは、テスト中はローレベルLを保持するが、テストが終了するとローレベルLからハイレベルHに移行する。ここで、テスト対象回路8に問題があるかテストが正常に行われたかの判定が制御回路12により行われる。テスト終了時にテスト結果信号TRSはローレベルLであり、追加回路出力信号TISはハイレベルHなので、テスト対象回路8に問題がなく、かつ、テストが正常に行われたと判定されパスとなる。
【0054】
(結果比較器が正常動作しテスト対象回路8に問題がある場合)
(動作タイミングチャート:
図9A)
結果比較器143は、テスト開始後、追加回路34にハイレベルH(1)が入力され、以後、追加回路出力信号TISとしてその値を出力し続ける。テスト対象回路8の出力データDOと期待値データEVが一致すると期待値比較回路22はローレベルLを出力し、追加回路32はローレベルLとなる。追加回路34からのハイレベルH出力と、追加回路32からのローレベルL出力がAND回路36に入力される。AND回路36の出力はローレベルLとなりOR回路38に入力される。OR回路38には初期値がローレベルLの結果保持回路40からの出力が入力され、結果としてOR回路38の出力はローレベルLとなって、結果保持回路40に入力される。このように、結果保持回路40からのテスト結果信号TRSはテスト対象回路8の出力データDOと期待値データEVが一致している間、テスト結果信号TRSはローレベルLを保持し続ける。例えば
図9Aの破線Aで示される範囲である。しかし、テスト対象回路8に問題があり、テスト対象回路8の出力データDOと期待値データEVとが一致しなくなると、期待値比較回路22からの出力はハイレベルHとなる。追加回路32の値はハイレベルHとなる。これよりAND回路36の出力はハイレベルHとなり、OR回路38の出力もハイレベルHになる。結果保持回路40もハイレベルHになり、以後、テスト結果信号TRSは破線で示すようにハイレベルHとなり、このハイレベルHを保持し続ける。テスト終了信号TESは、テスト中はローレベルLを保持するが、テストが終了するとローレベルLからハイレベルHに移行する。ここで、テスト対象回路8に問題があるかテストが正常に行われたかの判定が制御回路12により行われる。テスト終了時にテスト結果信号TRSはハイレベルHかつ追加回路出力信号TISはハイレベルHなので、テスト対象回路8に問題があるがテストは正常に行われたと判定されフェイルとなる。
【0055】
(結果比較器が正常動作しない場合)
(クロックラインが故障している場合:
図9B)
テスト対象回路8へのクロックラインが故障している場合には、
図9Bの(b)に示すように、テスト対象回路8へのクロック信号CLK1はローレベルLとなる。追加回路出力信号TISは追加回路34の初期値であるローレベルLを出力し続ける。テスト結果信号TRSは結果保持回路40の初期値であるローレベルLを出力し続ける。テスト終了信号TESは、テスト中はローレベルLを保持するが、テストが終了するとローレベルLからハイレベルHに移行する。ここで、テスト対象回路8に問題があるかテストが正常に行われたかの判定が制御回路12により行われる。テスト終了時に追加回路出力信号TISはローレベルLなので、テスト結果信号TRSの値によらずテストは正常に行われなかったと判定されフェイルとなる。
【0056】
(第3実施形態の効果)
本実施の形態においても第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0058】
1、2、3、4…半導体集積回路装置
6…BIST回路
8…テスト対象回路(DUT)
10…パタン発生器
12…制御回路
14、141、142、143…結果比較器
18、20…クロック制御回路
22…期待値比較回路
24、38…ORゲート
26、40…結果保持回路
28、30、32、34…追加回路
36…ANDゲート
CLK、CLK1、CLK2…クロック信号
DI…データ入力信号
DO…データ出力信号
EV…期待値比較信号
TRS、TRS1…テスト結果信号
TES…テスト終了信号
TIS…追加回路出力信号
MTR…モニター端子