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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022115199
(43)【公開日】2022-08-09
(54)【発明の名称】コイル部品
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/04 20060101AFI20220802BHJP
   H01F 27/29 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
H01F17/04 F
H01F17/04 A
H01F27/29 125
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021011704
(22)【出願日】2021-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】000107804
【氏名又は名称】スミダコーポレーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】田原 義幸
(72)【発明者】
【氏名】大木 寿一
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AA01
5E070AB01
5E070EA02
5E070EB04
(57)【要約】
【課題】マウンタによる吸着をより安定的に行うことが可能な構造のコイル部品を提供する。
【解決手段】コイル部品100は、コア成形体10と、コイル60と、コイル60に対して電気的に接続されている金属端子50とを備え、金属端子50は、コア成形体10の側面に沿って配置されている第1面状部51と、第1面状部51の上端に連接されているとともに上面12に沿って配置されている第2面状部52と、第1面状部51の下端に連接されているとともに実装面11に沿って配置されている第3面状部53とを有し、第2面状部52の先端縁は第1凹形状部52aとなっており、上面12には、第2面状部52が配置されている凹部30が形成されており、凹部30において第1凹形状部52aと対応する部位は、当該第1凹形状部52aに沿う第2凹形状部30aとなっている。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性体材料により形成され、実装面と、前記実装面に対して反対側を向いている上面と、前記実装面と前記上面とに対して交差している側面と、を有するコア成形体と、
前記コア成形体に埋設されている埋設部と、前記コア成形体から突出している突出部と、を有するコイルと、
前記側面に沿って配置されている第1面状部と、前記第1面状部の上端に連接されているとともに前記上面に沿って配置されている第2面状部と、前記第1面状部の下端に連接されているとともに前記実装面に沿って配置されている第3面状部と、を有し、前記突出部に対して電気的に接続されている金属端子と、
を備え、
前記第2面状部の先端縁は、当該第2面状部の基端側である前記第1面状部の上端側に向けて窪んだ平面形状に形成されている第1凹形状部となっており、
前記上面には、前記第2面状部が配置されている凹部が形成されており、
前記凹部において、前記第1凹形状部と対応する部位は、当該第1凹形状部に沿う平面形状に形成されている第2凹形状部となっているコイル部品。
【請求項2】
前記上面には、一対の前記凹部が形成されており、
前記コイルは、一対の前記突出部を有し、
当該コイル部品は、一対の前記金属端子を備え、
前記一対の金属端子のうちの一方は、前記一対の突出部のうちの一方に対して電気的に接続されており、
前記一対の金属端子のうちの他方は、前記一対の突出部のうちの他方に対して電気的に接続されており、
前記一対の金属端子のうちの一方の前記金属端子の前記第2面状部は、前記一対の凹部のうちの一方に配置されており、
前記一対の金属端子のうちの他方の前記金属端子の前記第2面状部は、前記一対の凹部のうちの他方に配置されており、
前記一対の凹部のうちの一方の前記凹部の前記第2凹形状部と、前記一対の凹部のうちの他方の前記凹部の前記第2凹形状部とが、平面視において、互いに同一円周上に配置されている請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記実装面には、前記第3面状部が配置されている第2凹部が形成されている請求項1又は2に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記第2面状部は前記凹部の底面から離間しており、
前記第3面状部は前記第2凹部の底面に対して接触しているか、又は、前記第3面状部と前記第2凹部の底面との距離が前記第2面状部と前記凹部の底面との距離よりも小さい請求項3に記載のコイル部品。
【請求項5】
前記凹部の周縁部には、当該凹部の深さ方向に向けて当該凹部が狭まる方向に傾斜した上側傾斜面が形成されており、
前記第2凹部の周縁部には、当該第2凹部の深さ方向に向けて当該第2凹部が狭まる方向に傾斜した下側傾斜面が形成されており、
前記上側傾斜面の傾斜角度は、前記下側傾斜面の傾斜角度よりも急角度である請求項3又は4に記載のコイル部品。
【請求項6】
前記金属端子は、
前記第1面状部の側縁に連接されていて、前記第1面状部に対して交差している第4面状部と、
前記第4面状部の先端縁に連接されていて、前記第4面状部に対して交差している第5面状部と、を有し、
前記第4面状部は、前記コア成形体の側面に沿って配置されており、
前記第5面状部は、前記コア成形体の側面に対して起立している請求項1から5のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項7】
前記第5面状部の下端部に形成されている溶接片が、前記コイルの前記突出部に対して溶接されている請求項6に記載のコイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル部品に関する。
【背景技術】
【0002】
コイル部品としては、例えば、特許文献1に記載のものがある。
特許文献1のコイル部品は、磁性体材料により形成されているコア成形体と、コア成形体に埋設されている埋設部とコア成形体から突出している突出部とを有するコイルと、突出部に対して電気的に接続されている金属端子と、を備えている。コア成形体は、実装面と、実装面に対して反対側を向いている上面と、実装面と上面とに対して直交している側面と、を有する。金属端子は、コア成形体の側面に沿って配置されている第1面状部と、第1面状部の上端に連接されているとともにコア成形体の上面に沿って配置されている第2面状部と、第1面状部の下端に連接されているとともにコア成形体の実装面に沿って配置されている第3面状部と、を有する。コア成形体の上面には凹部が形成されており、この凹部には、金属端子の第2面状部が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-273739号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したようなコイル部品は、実装時などにおいて、吸着ノズルを備えるマウンタにより吸着保持される場合がある。
本願発明者等の検討によれば、特許文献1のコイル部品の構造では、マウンタによる吸着をより安定的に行う観点で、改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、マウンタによる吸着をより安定的に行うことが可能な構造のコイル部品を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、磁性体材料により形成され、実装面と、前記実装面に対して反対側を向いている上面と、前記実装面と前記上面とに対して交差している側面と、を有するコア成形体と、
前記コア成形体に埋設されている埋設部と、前記コア成形体から突出している突出部と、を有するコイルと、
前記側面に沿って配置されている第1面状部と、前記第1面状部の上端に連接されているとともに前記上面に沿って配置されている第2面状部と、前記第1面状部の下端に連接されているとともに前記実装面に沿って配置されている第3面状部と、を有し、前記突出部に対して電気的に接続されている金属端子と、
を備え、
前記第2面状部の先端縁は、当該第2面状部の基端側である前記第1面状部の上端側に向けて窪んだ平面形状に形成されている第1凹形状部となっており、
前記上面には、前記第2面状部が配置されている凹部が形成されており、
前記凹部において、前記第1凹形状部と対応する部位は、当該第1凹形状部に沿う平面形状に形成されている第2凹形状部となっているコイル部品が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、マウンタによる吸着をより安定的に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係るコイル部品の斜視図(正面平面及び右側面を表す図)である。
図2】実施形態に係るコイル部品の正面図である。
図3】実施形態に係るコイル部品の背面図である。
図4】実施形態に係るコイル部品の左側面図である。
図5】実施形態に係るコイル部品の右側面図である。
図6】実施形態に係るコイル部品の平面図である。
図7】実施形態に係るコイル部品の底面図である。
図8図8(a)は実施形態に係るコイル部品の平面図であり、図8(b)は実施形態に係るコイル部品の正面図である。
図9図8(a)のA-A線に沿った断面図(正面断面図)である。
図10】実施形態に係るコイル部品の部分拡大の平面図である。
図11】実施形態に係るコイル部品のコア成形体とコイルの突出部を示す斜視図である。
図12】実施形態に係るコイル部品のコア成形体及びコイルの平面図である。
図13】実施形態に係るコイル部品のコア成形体及びコイルの底面図である。
図14】実施形態に係るコイル部品の金属端子の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図1から図14を用いて説明する。
なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
【0010】
図1から図14のいずれかに示すように、本実施形態に係るコイル部品100は、磁性材料により形成されているコア成形体10と、コア成形体10に埋設されている埋設部61(図8(a)、図9等)とコア成形体10から突出している突出部(第1突出部62、第2突出部63(図8(a)等))とを有するコイル60と、コイル60の突出部に対して電気的に接続されている金属端子50と、を備えている。
コア成形体10は、実装面11(図7等)と、実装面11に対して反対側を向いている上面12と、実装面11と上面12とに対して交差している側面(例えば、正面13、後面14、左側面15、右側面16、左前面21、左後面22、右後面23及び右前面24を含む)と、を有する。
金属端子50は、コア成形体10の側面に沿って配置されている第1面状部51と、第1面状部51の上端に連接されているとともに上面12に沿って配置されている第2面状部52と、第1面状部51の下端に連接されているとともに実装面11に沿って配置されている第3面状部53と、を有する。
第2面状部52の先端縁は、当該第2面状部52の基端側である第1面状部51の上端側に向けて窪んだ平面形状に形成されている第1凹形状部52a(図8(a)等)となっており、上面12には、第2面状部52が配置されている凹部30が形成されている。凹部30において、第1凹形状部52aと対応する部位は、当該第1凹形状部52aに沿う平面形状に形成されている第2凹形状部30a(図8(a)等)となっている。
【0011】
本実施形態によれば、第1凹形状部52a及び第2凹形状部30aの存在により、上面12においてマウンタ(不図示)の吸着ノズルにより吸着可能な領域の面積を、十分に確保することができる。よって、マウンタによるコイル部品100の吸着を、より安定的に行うことが可能となる。
【0012】
以下、コイル部品100についてより詳細に説明する。
コア成形体10は、コイル60の埋設部61が当該コア成形体10の内部に埋設されるようにして、磁性体材料を含む粉体を圧縮成形することにより、形成されている。
コア成形体10の形状は特に限定されないが、例えば、実装面11と、上面12と、それぞれ実装面11及び上面12に対して直交している複数の側面と、を有する。実装面11は、例えば、後述する一対の第2凹部40を除き、平坦に形成されている。上面12は、例えば、一対の凹部30を除き、平坦に形成されており、実装面11に対して平行に配置されている。
コア成形体10の側面は、例えば、正面13と、正面13に対して平行に配置されており正面13とは反対側を向いている後面14と、正面13及び後面14に対して直交している左側面15と、左側面15に対して平行に配置されており左側面15とは反対側を向いている右側面16と、を有する。
コア成形体10は、側面として、例えば、正面13と左側面15との間に配置されていて正面13と左側面15とを繋いでいる左前面21と、左側面15と後面14との間に配置されていて左側面15と後面14とを繋いでいる左後面22と、後面14と右側面16との間に配置されていて後面14と右側面16とを繋いでいる右後面23と、右側面16と正面13との間に配置されていて右側面16と正面13とを繋いでいる右前面24と、を有する。左前面21は、例えば、正面13及び左側面15に対してそれぞれ135度の角度で傾斜している。左後面22は、例えば、左側面15及び後面14に対してそれぞれ135度の角度で傾斜している。右後面23は、例えば、後面14及び右側面16に対してそれぞれ135度の角度で傾斜している。右前面24は、例えば、右側面16及び正面13に対してそれぞれ135度の角度で傾斜している。例えば、左後面22、右後面23及び右前面24は、互いに同形状且つ互いに同寸法(同面積)とされているが、左前面21は、左後面22、右後面23及び右前面24よりも幅寸法が小さく、左後面22、右後面23及び右前面24よりも小面積とされている。
正面13、後面14、左側面15、右側面16、左前面21、左後面22、右後面23及び右前面24の各々は、例えば、それぞれ平坦に形成されている。
本実施形態の場合、上面12には、左右一対の凹部30が形成されており、実装面11には、左右一対の第2凹部40が形成されている。
【0013】
コイル60は、一例として、1本の丸線により構成されている。この場合、コイル60は、丸線を巻回することにより構成されている埋設部61と、埋設部61から径方向外方に向けて突出している一対の突出部(第1突出部62及び第2突出部63)と、を備えている。コイル60の軸方向は、上下方向となっている。第1突出部62は、丸線の一端部により構成されており、第2突出部63は、丸線の他端部により構成されている。第1突出部62及び第2突出部63は、埋設部61から水平に突出している。例えば、第1突出部62と第2突出部63とは、埋設部61から互いに反対方向に突出している。第1突出部62は、例えば、コア成形体10の左後面22の下部から水平に突出しており、第2突出部63は、例えば、コア成形体10の右前面24の下部から水平に突出している。例えば、左後面22からの第1突出部62の突出方向は、左後面22に対して直交する方向であり、右前面24からの第2突出部63の突出方向は、右前面24に対して直交する方向である。
なお、本発明は、この例に限らず、コイル60は、平線により構成されたエッジワイズコイルなどであってもよい。
【0014】
図14に示すように、金属端子50は、例えば、1枚の金属板を折り曲げ加工することにより構成されている。
金属端子50は、それぞれ平板状に形成されている第1面状部51、第2面状部52及び第3面状部53を有する。第2面状部52は、第1面状部51の上端に連接されており、第1面状部51に対して略直交している。第3面状部53は、第1面状部51の下端に連接されており、第1面状部51に対して略直交している。第2面状部52と第3面状部53とは、互いに略平行に対向している(図9参照)。
第1面状部51は、図4及び図5に示すように、第1面状部51は、例えば、上下に長尺な矩形状形成されている。
図6に示すように、第2面状部52は、平面視において、例えば、前後に長尺な矩形状に形成されている。ただし、第2面状部52の先端縁は、上記のように、第1凹形状部52aとなっている。なお、第2面状部52の左右幅寸法は、例えば、金属端子50の板厚の2倍以上であることが好ましく、3倍以上であることも好ましい。このように第2面状部52の寸法を設定することにより、第2面状部52の曲げ加工を安定的に行うことができる。
図7に示すように、第3面状部53は、平面視において、例えば、前後に長尺な矩形状に形成されている。
金属端子50は、更に、第1面状部51の側縁51aに連接されていて第1面状部51に対して交差している第4面状部54と、第4面状部54の先端縁54aに連接されていて第4面状部54に対して交差している第5面状部55と、を有する。第4面状部54及び第5面状部もそれぞれ平板状に形成されている。図1から図5等に示すように、第4面状部54及び第5面状部55の各々は、例えば、上下に長尺な矩形状に形成されている。
平面視において、第1面状部51と第4面状部54との間の角度は、例えば、135度に設定されている(図8(a)等参照)。平面視において、第4面状部54と第5面状部55との間の角度は、例えば、90度に設定されている(図8(a)等参照)。
第1面状部51、第4面状部54及び第5面状部55は、それぞれ鉛直に配置される。第2面状部52及び第3面状部53は、それぞれ略水平に配置される。
第5面状部55の下端部には溶接片56が形成されている。この溶接片56がコイル60の突出部(第1突出部62又は第2突出部63)に対して溶接されている(図7等参照)。
【0015】
本実施形態の場合、コイル部品100は、左右一対の金属端子50を備えている。一対の金属端子50は、例えば、互いに同一の形状及び寸法に形成されている。
一方(左側)の金属端子50の第1面状部51は左側面15に沿って配置されており、当該金属端子50の第2面状部52は左側の凹部30に配置されており、当該金属端子50の第3面状部53は左側の第2凹部40に配置されている。左側の金属端子50の第4面状部54は、例えば、左後面22に沿って配置されており、当該金属端子50の第5面状部55は、左後面22に対して略垂直に起立している。
他方(右側)の金属端子50の第1面状部51は右側面16に沿って配置されており、当該金属端子50の第2面状部52は右側の凹部30に配置されており、当該金属端子50の第3面状部53は右側の第2凹部40に配置されている。右側の金属端子50の第4面状部54は、例えば、右前面24に沿って配置されており、当該金属端子50の第5面状部55は、右前面24に対して略垂直に起立している。
このように、実装面11には、第3面状部53が配置されている第2凹部40が形成されている。
また、第4面状部54は、コア成形体10の側面に沿って配置されており、第5面状部55は、コア成形体10の側面に対して起立している。
なお、第5面状部55がコア成形体10の側面から起立しているため、第5面状部55からの良好な放熱性を実現することができる。第5面状部55の上下寸法は、コア成形体10の上下寸法の半分以上であることが好ましく、コア成形体10の上下寸法の2/3以上であることがより好ましい。
【0016】
金属端子50は、例えば、コア成形体10に対して接着固定されている。例えば、図9に示すように、第1面状部51は、コア成形体10の側面に対して面接触しており、接着剤によりコア成形体10に対して面接合されている。
【0017】
左側の金属端子50の溶接片56は、コイル60の一方の突出部(第1突出部62)に対して溶接されており、右側の金属端子50の溶接片56は、コイル60の他方の突出部(第2突出部63)に対して溶接されている。
例えば、左側の金属端子50の溶接片56と第1突出部62とは、球状の第1溶接部71において相互に溶接されており、同様に、右側の金属端子50の溶接片56と第2突出部63とは、球状の第2溶接部72において相互に溶接されている。
【0018】
図11及び図12に示すように、左右一対の凹部30のうち、左側の凹部30は、上面12の左端に配置されており、右側の凹部30は、上面12の右端に配置されている。
各凹部30は、例えば、第1段部31(底面)と、凹部30の周縁部に配置されている第1傾斜面32(上側傾斜面)と、第1段部31よりも低段に配置されている第2段部35と、第1段部31と第2段部35との間に配置されていて第1段部31側から第2段部35側に向けて下り傾斜している第2傾斜面36と、一対の鉛直面37と、を含んで構成されている。
第1段部31は、凹部30の平面積の大部分を占めており、第1段部31の底面は略水平に配置されている。ただし、本実施形態の場合、第1段部31は、側面から遠ざかるにつれて深くなっている。
左側の凹部30の第1段部31の左縁は、前後に直線状に延在している。左側の凹部30の第1段部31の前縁及び後縁の各々は、左右に直線状に延在している。左側の凹部30の第2段部35は、左側の凹部30の第1段部31の左縁に沿って前後に直線状に延在しており、且つ、略水平に配置されている。左側の凹部30の第2段部35の左縁は、左側の凹部30の形成箇所において、左側面15の上縁を兼ねている。
同様に、右側の凹部30の第1段部31の右縁は、前後に直線状に延在している。右側の凹部30の第1段部31の前縁及び後縁の各々は、左右に直線状に延在している。右側の凹部30の第2段部35は、右側の凹部30の第1段部31の右縁に沿って前後に直線状に延在しており、且つ、略水平に配置されている。右側の凹部30の第2段部35の右縁は、右側の凹部30の形成箇所において、右側面16の上縁を兼ねている。
平面視において、第1段部31と第2段部35との間には、第2傾斜面36が配置されている。
左側の凹部30の第2傾斜面36は、左側の凹部30の第1段部31の左縁に沿って前後に延在しており、左側に向けて下り傾斜している。
左側の凹部30の第1傾斜面32は、当該凹部30の右縁部、前縁部、及び、後縁部に亘って連続的に配置されている。
同様に、右側の凹部30の第2傾斜面36は、右側の凹部30の第1段部31の右縁に沿って前後に延在しており、右側に向けて下り傾斜している。
右側の凹部30の第1傾斜面32は、当該凹部30の左縁部、前縁部、及び、後縁部に亘って連続的に配置されている。
各第1傾斜面32は、各凹部30の深さ方向に向けて(下方に向けて)凹部30が狭まる方向に傾斜している。第1傾斜面32は、コア成形体10を成形した後に金型から抜く際の抜きテーパーとして機能する。
各凹部30において、第1傾斜面32の下端の高さ位置は、第1段部31の底面と同じ高さ位置となっている。第2段部35及び第2傾斜面36の長手方向における両端部と第1傾斜面32の下端との間には、鉛直に配置された鉛直面37がそれぞれ配置されている。
【0019】
凹部30の平面形状は、第2面状部52の平面形状と対応する形状となっており、各凹部30に第2面状部52が入り込んでいる。
ここで、上記のように、金属端子50の第2面状部52の先端縁は、第1面状部51の上端側に向けて窪んだ平面形状に形成されている第1凹形状部52aとなっている。
すなわち、平面視において、左側の金属端子50の第2面状部52の右縁(先端縁)は左側に向けて窪んでおり、右側の金属端子50の第2面状部52の左縁(先端縁)は右側に向けて窪んでいる。より詳細には、左側の金属端子50の第2面状部52の右縁は左側に向けて円弧状に窪んでおり、右側の金属端子50の第2面状部52の左縁は右側に向けて円弧状に窪んでいる。
【0020】
なお、第2面状部52の先端縁における両端部(本実施形態の場合、左側の第2面状部52の右縁部における前端部及び後端部と、右側の第2面状部52の左縁部における前端部及び後端部)は、それぞれ第2面状部52の外方に向けて凸の円弧状に形成されている。
そして、凹部30において、第2面状部52の先端縁における両端部と対応する部位は、それぞれ第2面状部52の先端縁における両端部に沿った円弧状に形成されている。このため、本実施形態のように凹部30に第2凹形状部30aが形成されている構造において、コア成形体10の欠けなどを抑制できるとともに、コア成形体10に対する第2面状部52の干渉も抑制することができるようになっている。
【0021】
また、上記のように、各凹部30において、第1凹形状部52aと対応する部位は、第1凹形状部52aに沿う平面形状に形成されている第2凹形状部30aとなっている。
すなわち、左側の凹部30の第1段部31の右縁の平面形状と、左側の凹部30の第1傾斜面32において第1段部31の右縁に沿って配置されている部分の平面形状は、左側に向けて円弧状に窪んだ凹形状となっている。
同様に、右側の凹部30の第1段部31の左縁の平面形状と、右側の凹部30の第1傾斜面32において第1段部31の左縁に沿って配置されている部分の平面形状は、右側に向けて円弧状に窪んだ凹形状となっている。
【0022】
ここで、左側の凹部30の第2凹形状部30aと、右側の凹部30の第2凹形状部30aとが、平面視において、互いに同一円周上に配置されている。
このように、上面12には、一対の凹部30が形成されており、コイル60は、一対の突出部(第1突出部62及び第2突出部63)を有し、コイル部品100は、一対の金属端子50を備え、一対の金属端子50のうちの一方は、一対の突出部のうちの一方に対して電気的に接続されており、一対の金属端子50のうちの他方は、一対の突出部のうちの他方に対して電気的に接続されており、一対の金属端子50のうちの一方の金属端子50の第2面状部52は、一対の凹部30のうちの一方に配置されており、一対の金属端子50のうちの他方の金属端子50の第2面状部52は、一対の凹部30のうちの他方に配置されており、一対の凹部30のうちの一方の凹部30の第2凹形状部30aと、一対の凹部30のうちの他方の凹部30の第2凹形状部30aとが、平面視において、互いに同一円周上に配置されている。
これにより、上面12において、一対の凹部30の第2凹形状部30aどうしに挟まれた円形の領域を、マウンタの吸着ノズルにより良好に吸着することができる。
【0023】
図13に示すように、左右一対の第2凹部40のうち、左側の第2凹部40は、実装面11の左端に配置されており、右側の第2凹部40は、実装面11の右端に配置されている。
各第2凹部40は、例えば、第1段部41(底面)と、第2凹部40の周縁部に配置されている第1傾斜面42(下側傾斜面)及び前後一対の第2傾斜面43(下側傾斜面)と、第1段部41よりも上方(上面12側)に配置されている第2段部45と、第1段部41と第2段部45との間に配置されていて第1段部41側から第2段部45側に向けて傾斜(上り傾斜)している第3傾斜面46と、一対の鉛直面47と、を含んで構成されている。
第1段部41は、第2凹部40の平面積の大部分を占めており、第1段部41の底面は略水平に配置されている。本実施形態の場合、第1段部41は、側面から遠ざかるにつれて深くなっている。ただし、本発明は、この例に限らず、第1段部41の底面は、水平に(実装面11に対して平行に)配置されていてもよい。
左側の第2凹部40の第1段部41の左縁及び右縁の各々は、前後に直線状に延在している。左側の第2凹部40の第1段部41の前縁及び後縁の各々は、左右に直線状に延在している。左側の第2凹部40の第2段部45は、左側の第2凹部40の第1段部41の左縁に沿って前後に直線状に延在しており、且つ、略水平に配置されている。左側の第2凹部40の第2段部45の左縁は、左側の第2凹部40の形成箇所において、左側面15の下縁を兼ねている。
同様に、右側の第2凹部40の第1段部41の左縁及び右縁の各々は、前後に直線状に延在している。右側の第2凹部40の第1段部41の前縁及び後縁の各々は、左右に直線状に延在している。右側の第2凹部40の第2段部45は、右側の第2凹部40の第1段部41の右縁に沿って前後に直線状に延在しており、且つ、略水平に配置されている。右側の第2凹部40の第2段部45の右縁は、右側の第2凹部40の形成箇所において、右側面16の下縁を兼ねている。
平面視において、第1段部41と第2段部45との間には、第3傾斜面46が配置されている。
左側の第2凹部40の第3傾斜面46は、左側の第2凹部40の第1段部41の左縁に沿って前後に延在しており、左側に向けて上り傾斜している。左側の第2凹部40の第1傾斜面42は、当該第2凹部40の右縁部に沿って前後に延在している。左側の第2凹部40の前側の第2傾斜面43は、左側の第2凹部40の前縁部に沿って左右に延在している。左側の第2凹部40の後側の第2傾斜面43は、左側の第2凹部40の後縁部に沿って左右に延在している。
同様に、右側の第2凹部40の第3傾斜面46は、右側の第2凹部40の第1段部41の右縁に沿って前後に延在しており、右側に向けて上り傾斜している。右側の第2凹部40の第1傾斜面42は、当該第2凹部40の左縁部に沿って前後に延在している。右側の第2凹部40の前側の第2傾斜面43は、右側の第2凹部40の前縁部に沿って左右に延在している。右側の第2凹部40の後側の第2傾斜面43は、右側の第2凹部40の後縁部に沿って左右に延在している。
各第2凹部40において、第1傾斜面42及び一対の第2傾斜面43は、各第2凹部40の深さ方向に向けて(上方に向けて)第2凹部40が狭まる方向に傾斜している。第1傾斜面42及び一対の第2傾斜面43は、コア成形体10を成形した後に金型から抜く際の抜きテーパーとして機能する。
各第2凹部40において、各第2傾斜面43の上端の高さ位置は、第1段部41の底面と同じ高さ位置となっている。第2段部45及び第3傾斜面46の長手方向における両端部と各第2傾斜面43の上端との間には、鉛直に配置された鉛直面47がそれぞれ配置されている。
【0024】
第2凹部40の平面形状は、第3面状部53の平面形状と対応する形状となっており、各第2凹部40に第3面状部53が入り込んでいる。
【0025】
ここで、図9に示すように、第2面状部52は、例えば、凹部30の底面から離間している。一方、第3面状部53は、第2凹部40の底面に対して接触しているか、又は、第3面状部53と第2凹部40の底面との距離が第2面状部52と凹部30の底面との距離よりも小さい。
これにより、実装端子として機能する第3面状部53の位置精度は良好にすることができる一方で、第2面状部52と凹部30(コア成形体10)との干渉は抑制することができる。
【0026】
金属端子50をコア成形体10に対して組み付ける際には、例えば、第2面状部52を下方に向けて押圧してかしめる。上面12と左側面15との境界部、並びに、上面12と右側面16との境界部には、第2段部35及び第2傾斜面36が配置されているので、金属端子50をコア成形体10に対して組み付ける際や、第2面状部52をかしめる際に、第2面状部52とコア成形体10との干渉を抑制することができる。また、上記のように、第1段部31が側面から遠ざかるにつれて深くなっていることにより、第2面状部52がかしめられた後、第2面状部52が凹部30から側方に脱落してしまうことを抑制することもできる。すなわち、左側の第2面状部52が左側の凹部30から左方に脱落してしまうこと、及び、右側の第2面状部52が右側の凹部30から右方に脱落してしまうことを、それぞれ抑制することもできる。
また、実装面11と左側面15との境界部、並びに、実装面11と右側面16との境界部には、第2段部45及び第3傾斜面46が配置されているので、金属端子50をコア成形体10に対して組み付ける際に、第3面状部53とコア成形体10との干渉を抑制することができる。
【0027】
上記のように、凹部30の第1傾斜面32は、凹部30の深さ方向に向けて当該凹部30が狭まる方向に傾斜している。同様に、第2凹部40の第1傾斜面42及び一対の第2傾斜面43は、第2凹部40の深さ方向に向けて第2凹部40が狭まる方向に傾斜している。
ただし、本実施形態の場合、第1傾斜面32の傾斜角度は、第1傾斜面42及び第2傾斜面43の傾斜角度よりも急角度(より鉛直に近い角度)となっている。
このように、凹部30の周縁部には、当該凹部30の深さ方向に向けて当該凹部30が狭まる方向に傾斜した上側傾斜面(第1傾斜面32)が形成されており、第2凹部40の周縁部には、当該第2凹部40の深さ方向に向けて当該第2凹部40が狭まる方向に傾斜した下側傾斜面(第1傾斜面42、第2傾斜面43)が形成されており、上側傾斜面の傾斜角度は、下側傾斜面の傾斜角度よりも急角度である。
これにより、上面12において、マウンタの吸着ノズルによって着可能な面積を、より十分に確保することができる。
【0028】
図4に示すように、第1面状部51の上端部の幅寸法W1(例えば、前後幅寸法)は、第1面状部51の下端部の幅寸法W2(例えば、前後幅寸法)よりも小さい。これにより、第2面状部52のかしめ加工が容易となる。
また、コイル部品100の径方向において、第3面状部53の寸法は、第2面状部52の寸法よりも小さい。このことによっても、上面12において、マウンタの吸着ノズルによって着可能な面積を、より十分に確保することができる。
【0029】
また、コイル60の第1突出部62及び第2突出部63は、コア成形体10の下部から突出しており、コイル部品100の下部において、第1突出部62及び第2突出部63と各金属端子50とが電気的に接続されている。このため、第1突出部62及び第2突出部63から実装端子である第3面状部53までの距離を短くできるので、このことによっても、コイル部品100のDCR(直流抵抗)が低減されている。
しかも、第1突出部62、第2突出部63、第1溶接部71及び第2溶接部72がコイル部品100の下部に配置されているため、コイル部品100の重心位置をより低くできるため、コイル部品100の耐振動性を良好にすることができる。
【0030】
なお、コイル部品100の用途は特に限定されないが、コイル部品100は、例えば、車載用のインダクタとして用いることができる。
【0031】
以上、図面を参照して実施形態を説明したが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0032】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)磁性体材料により形成され、実装面と、前記実装面に対して反対側を向いている上面と、前記実装面と前記上面とに対して交差している側面と、を有するコア成形体と、
前記コア成形体に埋設されている埋設部と、前記コア成形体から突出している突出部と、を有するコイルと、
前記側面に沿って配置されている第1面状部と、前記第1面状部の上端に連接されているとともに前記上面に沿って配置されている第2面状部と、前記第1面状部の下端に連接されているとともに前記実装面に沿って配置されている第3面状部と、を有し、前記突出部に対して電気的に接続されている金属端子と、
を備え、
前記第2面状部の先端縁は、当該第2面状部の基端側である前記第1面状部の上端側に向けて窪んだ平面形状に形成されている第1凹形状部となっており、
前記上面には、前記第2面状部が配置されている凹部が形成されており、
前記凹部において、前記第1凹形状部と対応する部位は、当該第1凹形状部に沿う平面形状に形成されている第2凹形状部となっているコイル部品。
(2)前記上面には、一対の前記凹部が形成されており、
前記コイルは、一対の前記突出部を有し、
当該コイル部品は、一対の前記金属端子を備え、
前記一対の金属端子のうちの一方は、前記一対の突出部のうちの一方に対して電気的に接続されており、
前記一対の金属端子のうちの他方は、前記一対の突出部のうちの他方に対して電気的に接続されており、
前記一対の金属端子のうちの一方の前記金属端子の前記第2面状部は、前記一対の凹部のうちの一方に配置されており、
前記一対の金属端子のうちの他方の前記金属端子の前記第2面状部は、前記一対の凹部のうちの他方に配置されており、
前記一対の凹部のうちの一方の前記凹部の前記第2凹形状部と、前記一対の凹部のうちの他方の前記凹部の前記第2凹形状部とが、平面視において、互いに同一円周上に配置されている(1)に記載のコイル部品。
(3)前記実装面には、前記第3面状部が配置されている第2凹部が形成されている(1)又は(2)に記載のコイル部品。
(4)前記第2面状部は前記凹部の底面から離間しており、
前記第3面状部は前記第2凹部の底面に対して接触しているか、又は、前記第3面状部と前記第2凹部の底面との距離が前記第2面状部と前記凹部の底面との距離よりも小さい(3)に記載のコイル部品。
(5)前記凹部の周縁部には、当該凹部の深さ方向に向けて当該凹部が狭まる方向に傾斜した上側傾斜面が形成されており、
前記第2凹部の周縁部には、当該第2凹部の深さ方向に向けて当該第2凹部が狭まる方向に傾斜した下側傾斜面が形成されており、
前記上側傾斜面の傾斜角度は、前記下側傾斜面の傾斜角度よりも急角度である(3)又は(4)に記載のコイル部品。
(6)前記金属端子は、
前記第1面状部の側縁に連接されていて、前記第1面状部に対して交差している第4面状部と、
前記第4面状部の先端縁に連接されていて、前記第4面状部に対して交差している第5面状部と、を有し、
前記第4面状部は、前記コア成形体の側面に沿って配置されており、
前記第5面状部は、前記コア成形体の側面に対して起立している(1)から(5)のいずれか一項に記載のコイル部品。
(7)前記第5面状部の下端部に形成されている溶接片が、前記コイルの前記突出部に対して溶接されている(6)に記載のコイル部品。
【符号の説明】
【0033】
10 コア成形体
11 実装面
12 上面
13 正面(側面)
14 後面(側面)
15 左側面(側面)
16 右側面(側面)
21 左前面(側面)
22 左後面(側面)
23 右後面(側面)
24 右前面(側面)
30 凹部
30a 第2凹形状部
31 第1段部(底面)
32 第1傾斜面(上側傾斜面)
35 第2段部
36 第2傾斜面
37 鉛直面
40 第2凹部
41 第1段部(底面)
42 第1傾斜面(下側傾斜面)
43 第2傾斜面(下側傾斜面)
45 第2段部
46 第3傾斜面
47 鉛直面
50 金属端子
51 第1面状部
51a 側縁
52 第2面状部
52a 第1凹形状部
53 第3面状部
54 第4面状部
54a 先端縁
55 第5面状部
56 溶接片
60 コイル
61 埋設部
62 第1突出部(突出部)
63 第2突出部(突出部)
71 第1溶接部
72 第2溶接部
100 コイル部品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14