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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022115320
(43)【公開日】2022-08-09
(54)【発明の名称】空気調和機及び熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20220802BHJP
   F25B 39/00 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
F25B1/00 396B
F25B39/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021011860
(22)【出願日】2021-01-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-08-11
(71)【出願人】
【識別番号】316011466
【氏名又は名称】日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】李 政▲眠▼
(72)【発明者】
【氏名】松村 賢治
(72)【発明者】
【氏名】多田 修平
(72)【発明者】
【氏名】内藤 宏治
(57)【要約】
【課題】熱交換のための冷媒として非共沸混合冷媒を用いた場合の熱交換性能を向上させることを目的とする。
【解決手段】非共沸混合冷媒を用いる空気調和機であって、空気の流れる方向に沿って配設された複数列の伝熱管を有し、かつ蒸発器及び凝縮器として動作可能な熱交換器を備え、熱交換器が蒸発器として動作する場合の冷媒入口側である蒸発器入口側における非共沸混合冷媒の流れる方向が空気の流れに対して並行流となり、熱交換器が蒸発器として動作する場合の冷媒出口側である蒸発器出口側における非共沸混合冷媒の流れる方向が空気の流れに対して対向流となるように冷媒流路が形成され、蒸発器出口側における冷媒流路の流路面積は、蒸発器入口側における冷媒流路の流路面積よりも大きい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非共沸混合冷媒を用いる空気調和機であって、
空気の流れる方向に沿って配設された複数列の伝熱管を有し、かつ蒸発器及び凝縮器として動作可能な熱交換器を備え、
前記熱交換器が前記蒸発器として動作する場合に、冷媒入口側となる蒸発器入口側における前記非共沸混合冷媒の流れる方向が空気の流れに対して並行流となり、前記熱交換器が前記蒸発器として動作する場合に、冷媒出口側である蒸発器出口側における前記非共沸混合冷媒の流れる方向が空気の流れに対して対向流となるように冷媒流路が形成され、
前記蒸発器出口側における前記冷媒流路の流路面積は、前記蒸発器入口側における前記冷媒流路の流路面積よりも大きい、空気調和機。
【請求項2】
前記蒸発器出口側における前記冷媒流路の数は、前記蒸発器入口側における前記冷媒流路の数よりも多い、請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記蒸発器出口は、前記蒸発器入口よりも鉛直方向の上側に設けられる、請求項1又は2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記熱交換器は、前記蒸発器として動作する場合に並行流となる伝熱管に対応した伝熱面積が、前記蒸発器として動作する場合に対向流となる伝熱管に対応した伝熱面積以下となるように形成される、請求項1乃至3の何れか1項に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記蒸発器出口の前記非共沸混合冷媒の温度が前記蒸発器入口の伝熱管における最低温度よりも高く、前記非共沸混合冷媒と熱交換される空気の温度よりも低くなるように伝熱管が形成される、請求項1乃至4の何れか1項に記載の空気調和機。
【請求項6】
前記非共沸混合冷媒は、温度勾配が2℃以上の冷媒である、請求項1乃至5の何れか1項に記載の空気調和機。
【請求項7】
前記非共沸混合冷媒は、温度勾配が7℃以下の冷媒である、請求項1乃至6の何れか1項に記載の空気調和機。
【請求項8】
蒸発器及び凝縮器として動作可能で、かつ非共沸混合冷媒を用いる熱交換器であって、
空気の流れる方向に沿って配設された複数列の伝熱管を有し、
前記熱交換器が前記蒸発器として動作する場合の冷媒入口側である蒸発器入口側における前記非共沸混合冷媒の流れる方向が空気の流れに対して並行流となり、前記熱交換器が前記蒸発器として動作する場合の冷媒出口側である蒸発器出口側における前記非共沸混合冷媒の流れる方向が空気の流れに対して対向流となるように冷媒流路が形成され、
前記蒸発器出口側における前記冷媒流路の流路面積は、前記蒸発器入口側における前記冷媒流路の流路面積よりも大きい、熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機及び熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機においては、地球温暖化防止のため、GWP(Global Warming Potential:地球温暖化係数)が低い冷媒を使う必要がある。低GWP冷媒として、非共沸混合冷媒が多く提案されている。非共沸混合冷媒は、単一冷媒と違い、構成成分の各冷媒の沸点の違いから温度勾配があるため、同じ圧力で乾き度が大きくなるにつれて、温度が上昇する。このため、凝縮器基準で冷媒と空気の流れを対向流にした場合には、蒸発器として利用する場合に、空気と冷媒との温度差を取るのが難しい。これに対し、特許文献1には、熱交換器を蒸発器あるいは凝縮器として利用する場合に、空気流に対して冷媒の流れが並行流となる伝熱管と、対向流となる伝熱管とを備える技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-195675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術においては、熱交換器が蒸発器として動作する場合に対向流となる区間では、風上側の熱交換器列に対し風下側の熱交換器列は、同じ蒸発圧力の場合に、冷媒温度が下がり、冷媒と空気に温度差があるため、熱交換性能の低下を抑制することができる。しかしながら、蒸発器として動作する場合に対向流となる区間は、熱交換器が凝縮器として動作する場合には並行流となる。このため、風上側の熱交換器列において冷媒ガスと熱交換した空気が、風下側の熱交換列を通過する際には、冷媒と空気の温度差が確保されない可能性がある。また、空気と風上側の熱交換列で2相冷媒と熱交換した後の空気が風下側の熱交換器列で低乾き度の冷媒と熱交換する際に温度が確保されず、単一冷媒相当の過冷却を達成できない可能性がある。これらのことから、熱交換性能が大幅に低下し、空気調和機の総合的な性能低下に繋がる可能性があるという問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みなされたもので、熱交換のための冷媒として非共沸混合冷媒を用いた場合の熱交換性能を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、非共沸混合冷媒を用いる空気調和機であって、空気の流れる方向に沿って配設された複数列の伝熱管を有し、かつ蒸発器及び凝縮器として動作可能な熱交換器を備え、前記熱交換器が前記蒸発器として動作する場合の冷媒入口側である蒸発器入口側における前記非共沸混合冷媒の流れる方向が空気の流れに対して並行流となり、前記熱交換器が前記蒸発器として動作する場合の冷媒出口側である蒸発器出口側における前記非共沸混合冷媒の流れる方向が空気の流れに対して対向流となるように冷媒流路が形成され、前記蒸発器出口側における前記冷媒流路の流路面積は、前記蒸発器入口側における前記冷媒流路の流路面積よりも大きい。
【0007】
本発明の他の形態は、蒸発器及び凝縮器として動作可能で、かつ非共沸混合冷媒を用いる熱交換器であって、空気の流れる方向に沿って配設された複数列の伝熱管を有し、前記熱交換器が前記蒸発器として動作する場合の冷媒入口側である蒸発器入口側における前記非共沸混合冷媒の流れる方向が空気の流れに対して並行流となり、前記熱交換器が前記蒸発器として動作する場合の冷媒出口側である蒸発器出口側における前記非共沸混合冷媒の流れる方向が空気の流れに対して対向流となるように冷媒流路が形成され、前記蒸発器出口側における前記冷媒流路の流路面積は、前記蒸発器入口側における前記冷媒流路の流路面積よりも大きい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、熱交換のための冷媒として非共沸混合冷媒を用いた場合の熱交換性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】空気調和機の全体図である。
図2】熱交換器を模式的に示す図である。
図3】p-h線図を示す図である。
図4】伝熱管内冷媒の温度変化を示す図である。
図5】並行流伝熱面積の割合と、効率増加率との関係を示すグラフを示す図である。
図6】扁平管を備えた熱交換器を示す図である。
図7】3列の伝熱管を備えた熱交換器を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、実施形態に係る空気調和機1の全体図である。空気調和機1は、冷凍サイクル(ヒートポンプサイクル)で冷媒を循環させることによって、空調を行う。本実施形態の空気調和機1においては、熱交換のための冷媒として非共沸混合冷媒が用いられる。図1に示すように、空気調和機1は、屋外(室外)に設置される室外機10と、室内(被空調空間)に設置される室内機20と、を備えている。
【0011】
室外機10は、圧縮機11と、四方弁12と、アキュムレータ13と、室外熱交換器114と、室外ファン15と、室外膨張弁16と、を有している。圧縮機11は、低温低圧のガス冷媒を圧縮し、高温高圧のガス冷媒として吐出する機器である。室外熱交換器14において、冷凍サイクルを循環する冷媒と、室外ファン15から送り込まれる外気と、の間で熱交換が行われる。室外熱交換器14は、四方弁12の切り替えにより凝縮器及び蒸発器として動作する。
【0012】
室内機20は、室内熱交換器21と、室内ファン22と、を有している。室内熱交換器21において、冷凍サイクルを循環する冷媒と、室内ファン22から送り混まれる室内空気と、の間で熱交換が行われる。室内熱交換器21は、四方弁12の切り替えにより凝縮器及び蒸発器として動作する。なお、他の例としては、空気調和機1がビル用マルチエアコン等の場合には、室内機20は、室内熱交換器21から延びる冷媒管2及び室外膨張弁16から延びる冷媒管2と接続する室内膨張弁23をさらに備えてもよい。
【0013】
冷房運転では、実線矢印で示すように、圧縮機11より吐出された高温高圧のガス冷媒は、室外熱交換器14に送られ、室外熱交換器14に付設された室外ファン15の駆動により室外空気と熱交換して凝縮し、高圧の液冷媒となる。液冷媒は、全開の室外膨張弁16を通過し、冷媒管2を通じて室内機20に送られる。そして、液冷媒は、室内熱交換器21で、付設された室内ファン22の駆動により室内空気と熱交換して低圧低温のガス冷媒となり、四方弁12、アキュムレータ13を通り圧縮機11に戻る。
【0014】
一方、暖房運転では、破線矢印で示すように、圧縮機11で圧縮された高圧ガス冷媒が四方弁12を通り、冷媒管2を通して、室内機20の室内熱交換器21に供給される。ガス冷媒は、室内熱交換器21で室内空気を加熱しながら凝縮されて液冷媒となり、冷媒管2を通じて室外機10に戻る。その後、冷媒は室外膨張弁16を通り、室外熱交換器14で室外空気と熱交換をすることで蒸発してガス冷媒となり、四方弁12、アキュムレータ13を通り、圧縮機11に戻る。
【0015】
図2は、室外熱交換器14及び室内熱交換器21として用いられる熱交換器30を模式的に示す図である。なお、図2に示す3次元座標におけるX軸方向(紙面の奥行方向)を熱交換器30の横方向、Y軸方向(紙面の縦方向)を熱交換器30の上下方向(紙面上側が上方向)、Z軸方向(紙面の横方向)を熱交換器30の奥行方向とする。熱交換器30は、室外機10及び室内機20が設置された状態において、熱交換器30の上下方向が鉛直方向に沿うように設けられる。また、ファン(室外ファン15、室内ファン22)により空気の流れる方向を矢印Aで示す。熱交換器30のうち紙面において左側が風上側、右側が風下側となる。
【0016】
熱交換器30は、複数の伝熱管31と、複数のフィン32とを有している。フィン32は、その面方向がX軸に垂直になるように設けられている。図2においては、1つのフィン32のみを示しているが、複数のフィン32がX軸方向に一定の間隔で配置されている。また、熱交換器30においては、空気の流れる方向A、すなわち熱交換器30の奥行方向に沿って2列の伝熱管31が配設されている。複数の伝熱管31の断面積、すなわち流路面積はいずれも等しいものとする。複数の伝熱管31は、フィン32を貫通するように設けられている。熱交換器30は、2列の伝熱管31とフィン32とが一体に形成されたものとする。ただし、他の例としては、1列に並んだ4つの伝熱管がフィンと一体に形成されたユニットなど、所定の数の伝熱管とフィンとを有するユニットを複数組み合わせることで、熱交換器30が形成されてもよい。
【0017】
伝熱管31の第1冷媒出入口311は、風上側に設けられ、冷媒管2を介して膨張弁(室外膨張弁16)に接続する。伝熱管31の第2冷媒出入口312a、312b、312c、312dは、風上側に設けられ、4つの伝熱管から1つの配管に合流した後、四方弁12及びアキュムレータ13を介して圧縮機11に接続する。熱交換器30において、伝熱管31の第1冷媒出入口311及び第2冷媒出入口312a、312b、312c、312dは、それぞれは、熱交換器30が蒸発器として動作する場合に、冷媒入口及び冷媒出口となる。以下、蒸発器として動作する場合の冷媒入口及び冷媒出口をそれぞれ蒸発器入口及び蒸発器出口と称する。
【0018】
熱交換器30が蒸発器として動作する場合に、冷媒の流れが空気の流れに対して並行流になるように、蒸発器入口(第1冷媒出入口311)から風下側に向かう1つの冷媒流路(1パス)が形成されている。さらに、この1つの冷媒流路は、風下側の伝熱管313から4つの冷媒流路(4パス)に分岐する。これら4つの冷媒流路は、それぞれ風下側の伝熱管314a、314b、314c、314dから空気の流れに対して対向流になるように、第2冷媒出入口312a、312b、312c、312dまで延びる。なお、熱交換器30が凝縮器として動作する場合には、上記の冷媒流路を熱交換器30が蒸発器として動作する場合と逆向きに冷媒が流れる。
【0019】
上記のように、本実施形態の熱交換器30は、蒸発器出口側の冷媒流路の数が、蒸発器入口側の冷媒流路の数よりも多くなるように形成されている。各伝熱管31の流路面積が等しいことから、蒸発器出口側における流路面積、すなわち4パスの流路面積の合計は、蒸発器入口側における流路面積に比べて大きくなる。したがって、蒸発器入口側の1パスの領域においては、後半の4パスの部分に比べて、冷媒の流速が速くなり、このため圧力損失が大きくなる。非共沸混合冷媒においては同一圧力下で熱交換時(蒸発時)に温度が上昇するが、実際の熱交換器では伝熱管内部を冷媒が流動する際に圧力損失が生じる。この圧力損失が大きくなると、圧力損失による温度低下が温度勾配による温度上昇に比べて優勢となる。ここで、温度勾配とは、熱交換器での蒸発又は凝縮における開始温度と終了温度が異なることである。このように圧力損失が優勢となる結果、蒸発器入口から伝熱管を流れるにつれて冷媒の温度が徐々に低下する。すなわち、蒸発器入口から、空気の流れる方向Aに沿って、冷媒の温度が低下する。したがって、風上から風下に向かう方向において、空気と冷媒の温度差を同程度とすることができる。これにより、風上側及び風下側の伝熱管がいずれも熱交換に有効に利用され、熱交換の効率を向上させることができる。
【0020】
一方で、蒸発器出口に向かう4パスの領域においては、1パスの領域に比べて合計の流路面積が広くなるため、冷媒の流速が遅く、圧力損失が小さくなる。このため、圧力損失による温度低下に比べて温度勾配による温度上昇が優勢となる。この結果、4パスの部分においては、蒸発器出口に向かって伝熱管を流れるにつれて冷媒の温度が徐々に上昇する。すなわち、蒸発器出口側においても、蒸発器出口から空気の流れる方向Aに沿って、冷媒の温度が低下する。このため、蒸発器出口側においても、蒸発器入口側と同様に、風上から風下に向かう方向において、空気と冷媒の温度差を同程度にすることができ、熱交換の効率を向上させることができる。
【0021】
また、熱交換器30が凝縮器として動作する場合には、凝縮器入口側は並行流となり、凝縮器出口側は対向流となる。凝縮器入口側は並行流となるため効率は落ちるが、凝縮器入口側の冷媒は過熱状態となっていることから、空気との温度差が大きく、並行流の影響が少なくなる。また、凝縮器出口側を流れる冷媒は、凝縮器入口で温度交換をした後の冷媒であることから、冷媒温度と空気の温度差が小さいが、凝縮器出口側は対向流のため、熱交換効率を向上できる。
【0022】
図3は、p-h線図を示す図である。グラフの横軸及び縦軸は、それぞれ比エンタルピー及び圧力を示す。実線は、本実施形態の冷凍サイクルを模式的に示している。またT1、T2は、等温線の一部である。図中の冷凍サイクルでの各状態を説明する。図中においてH1は圧縮機吸入、H2は圧縮機吐出および凝縮器入口、H3は凝縮器出口、H4は蒸発器入口、H5は蒸発器入口部と蒸発器出口の中間部を示している。このような順序で冷媒状態が変化し冷凍サイクルが形成される。熱交換のための冷媒として非共沸混合冷媒を用いることから、圧力が一定の場合、冷媒蒸発時に温度が上昇する。しかしながら、前述の通り、蒸発器入口側では、非共沸混合冷媒の温度勾配に対し圧力損失が優勢となることに起因して、温度が低下する。図3におけるS1の範囲は、この圧力損失に起因して、冷媒の温度が徐々に低下する蒸発器入口側の領域である。S1の範囲は、熱交換器30が蒸発器として動作する場合に並行流となる、1パスの伝熱管に対応する。また、S2の範囲は、圧力損失よりも非共沸混合冷媒の温度勾配が優勢となり、冷媒の温度が徐々に上昇する、蒸発器出口側の領域である。S2の範囲は、熱交換器30が蒸発器として動作する場合において対向流となる、4パスの伝熱管に対応する。
【0023】
図4は、伝熱管内を流れる冷媒の温度変化を示す図である。図4に示すグラフの横軸及び縦軸はそれぞれ、伝熱管長及び伝熱管内冷媒温度を示す。ここで、伝熱管長は、蒸発器入口からの冷媒流路の距離である。図4に示すように、蒸発器入口から並行流の範囲(S1)においては、前述の通り圧力損失が優勢となるため伝熱管内冷媒温度は、蒸発器入口における冷媒温度T11から徐々に低下する。そして、並行流から対向流に切り替わる区間では流路数が増加し圧力損失が低減され、非共沸混合冷媒の温度勾配による温度変化により、温度は低下から上昇に切り替わり、蒸発器出口に向けて対向流の範囲(S2)においては、並行流の範囲における最低温度T12から蒸発器出口における冷媒温度T13まで伝熱管内冷媒温度は徐々に上昇する。これにより、並列流の範囲(S1)及び対向流の範囲(S2)のいずれにおいても、冷媒と空気の温度差を同等とすることができるため、熱交換効率を向上させることができる。
【0024】
また、本実施の形態においては、図4に示すように、蒸発器出口における冷媒温度T13が、並行流の範囲(S1)及び対向流の範囲(S2)の切り替え点の冷媒温度T12よりも高く、かつ空気の温度Taよりも低くなるように、パスの数が設計されているものとする。このように、対向流の範囲(S2)の冷媒温度T12よりも高くように設計されることで、対向流の範囲(S2)における圧力損失を減らし、吸い込み圧力を下げ過ぎないようにすることができる。また、対向流の範囲(S2)の冷媒温度を空気の温度Taよりも低い温度とすることで、熱交換効率が低下するのを防ぐことができる。なお、空気の温度は、熱交換器30により熱交換される空気の温度であり、熱交換される空気の温度は、天候等により変動する。そこで、実際には、空気の取り得るすべての温度条件において、空気の温度TaとT12の温度差が、T13とT12の温度差よりも大きくなるように設計れればよい。
【0025】
さらに、本実施形態の熱交換器30においては、蒸発器入口と蒸発器出口の温度が等しくなるように設計されるのが好ましい。蒸発器として機能する場合に並行流となる領域と、対向流となる領域と、の蒸発器出口側のパスの比、伝熱管の長さの比、伝熱面積の比、等を設計することにより、蒸発器入口と蒸発器出口の温度を等しくすることができる。このように、蒸発器入口と蒸発器出口の温度を等しくすることにより、熱交換器30の全体において、空気の流れる方向Aに沿った、空気と冷媒の温度差を同程度にすることができる。したがって、熱交換器30の全体において、同等の熱交換効率を発揮することができる。
【0026】
また、熱交換器30は、蒸発器として動作する場合に並行流となる伝熱管に対応した伝熱面積が、蒸発器として動作する場合に対向流となる伝熱管に対応した伝熱面積以下となるように形成される。ここで、2列部322の伝熱面積は、2列部322におけるフィン32の表面積であり、2列部321の伝熱面積は、1列部321におけるフィン32の表面積である。
【0027】
以下、この伝熱面積の関係について説明する。図5は、並行流伝熱面積の割合と、効率増加率との関係を示すグラフを示す図である。横軸は、並行流伝熱面積の割合を示し、縦軸は、効率増加率を示す。ここで、並行流伝熱面積割合とは、熱交換器30の全体の伝熱面積に対する、蒸発器として機能する場合に並行流となる伝熱管に対応した伝熱面積の割合である。また、効率増加率は、蒸発器入口側及び蒸発器出口側がいずれも対向流となる熱交換器を基準とした場合の、本実施形態に示すように蒸発器入口側が並行流となる熱交換器におけるエネルギー効率の増加率である。なお、冷媒としては、同一の非共沸混合冷媒を用いた。エネルギー効率としては、APF(Annual Performance Factor:通年エネルギー消費効率)の値を用いた。
【0028】
図5に示す線Qは、シミュレーションにより求めた、ある非共沸混合冷媒を用いた場合の効率増加率の変化を示している。同様に、温度勾配の異なる複数の非共沸混合冷媒を用いて、シミュレーション及び実験を行った。これらのシミュレーション及び実験の結果、明らかな効率増加がみられるのは、並行流伝熱面積の割合が10%~50%の範囲であることが分かった。さらに、効率増加率が最高値を取る範囲は、並行流伝熱面積の割合が20%~35%の範囲であることがわかった。
【0029】
以上のことから、熱交換器30は、並行流伝熱面積の割合が10%以上50%以下の範囲P1となるように形成されるのが好ましい。また、熱交換器30は、並行流伝熱面積の割合が15%以上40%以下の範囲P2となるように形成されるのがさらに好ましい。なお、15%以上40%以下の範囲は、効率増加率が最高値を取る範囲にマージンを含めた範囲である。
【0030】
なお、フィン32の幅方向の長さが、フィン32の上下方向の位置によらず一定の場合には、上記伝熱面積の割合は、フィン32の高さ方向の割合と等しくなる。ここで、幅方向とは、空気の流れる方向Aに対応した方向である。
【0031】
本実施形態に係る空気調和機1において利用される非共沸混合冷媒は、熱交換時の温度勾配が2℃以上の冷媒であることが好ましい。温度勾配が2℃以上の非共沸混合冷媒を用いることで、蒸発器として動作する場合の対向流の領域においても、効率的に熱交換を行うことができる。さらに、非共沸混合冷媒は、熱交換時の温度勾配が7℃以下の冷媒であることが好ましい。温度勾配が7℃を超えると、熱交換時の冷媒温度の低下により熱交換器30に霜が付く可能性が高くなるためである。すなわち、温度勾配が7℃以下の非共沸混合冷媒を用いることにより、霜の付着を防ぐことができる。非共沸混合冷媒としては、R32やR125など熱交換のための性能を確保するための冷媒と、HFO-1234yf、HFO-1234ze(E)、HFO-1123、HFO1132a、HFO-1132(E)R744、R290、R600a、CFI(トリフルオロヨードメタン)のようにGWPが比較的低い冷媒の混合冷媒が挙げられる。これらの冷媒の混合冷媒において、上記温度勾配の範囲になるように、混合割合などが調整されるものとする。
【0032】
また、図2に示すように、室外機10及び室内機20が設置された状態において、熱交換器30の蒸発器出口は、蒸発器入口よりも鉛直方向の上側に設けられている。熱交換器30においては、フィン32に霜が付くことがある。この場合に、熱交換器30を冷媒の流れを逆にし、凝縮器として動作させることで除霜を行う。除霜を行う場合に、凝縮入口側(蒸発器出口側)は多通路であって、下の通路である伝熱管312dから伝熱管314dに冷媒が流れにくく、霜が溶けにくい。一方、凝縮出口側(蒸発器入口側)は流速が速く、冷媒が流れやすいため、霜が溶けやすい。本実施形態の熱交換器30においては、蒸発器入口側の流速が蒸発器出口側の流速に比べて速いため、上記の通り、蒸発器出口側を蒸発器入口側よりも鉛直方向上側に設けられるようにした。これにより、熱交換器30の下側において徐霜において霜が溶け切らずに残ってしまうのを防ぐことができる。さらには、熱交換器30の下側にはドレン水を受けるためのドレンパン(不図示)やドレン水の排出口(不図示)において氷が成長し、徐霜により生じた水を排出できなくなるのを防ぐことができる。
【0033】
以上のように、本実施形態に係る空気調和機1の室外熱交換器14及び室内熱交換器21として利用される熱交換器30は、蒸発器として動作する場合に、蒸発器入口側と蒸発器出口側の冷媒の流れがそれぞれ並行流及び対向流となるように形成されている。さらに、空気調和機1の熱交換器30は、蒸発器出口側のパスの数が蒸発器入口側のパスの数よりも多くなるように形成されている。これにより、並行流の領域及び対向流の領域のいずれにおいても、風上側及び風下側において空気と冷媒の温度差を同程度にすることができる。したがって、熱交換のための冷媒として、非共沸混合冷媒を用いた場合の熱交換器の熱交換性能を向上させることができる。
【0034】
第1の変形例としては、本実施形態においては、室外熱交換器14及び室内熱交換器21として熱交換器30が用いられることとしたが、室外熱交換器14及び室内熱交換器21の少なくとも一方に熱交換器30が用いられればよい。
【0035】
第2の変形例としては、本実施形態においては、流路面積の等しい伝熱管を用い、かつ蒸発器入口側が1パス、蒸発器出口側が4パスとした。ただし、蒸発器出口側の流路面積(複数のパスがある場合には各パスの合計)が、蒸発器入口側の流路面積よりも大きければよく、伝熱管の構成は実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態のように、熱交換器30の流路面積が等しい伝熱管31で構成されている場合には、蒸発器出口側のパスの数が蒸発器入口側のパスの数よりも多ければよく、パスの数は、実施形態に限定されるものではない。すなわち、蒸発器入口側は2パス以上でもよい。また、他の例としては、蒸発器出口側の伝熱管として、内側の断面積が蒸発器入口側の伝熱管の内側の断面積よりも大きい伝熱管が用いられてもよい。さらに、この場合には、蒸発器出口側は1パスでもよい。また、他の例としては、蒸発器入口側と蒸発器出口側において、伝熱管の断面積と、パスの数の両方を異ならせることで、蒸発器出口側の流路面積が蒸発器出口側の流路面積よりも大きくなるように設計してもよい。
【0036】
第3の変形例としては、伝熱管の形状は、図2に示すように断面が円形となる丸管に限定されるものではない。例えば、断面が扁平な扁平管が伝熱管として用いられてもよい。また、他の例としては、内面溝付管のように、内側に溝が形成されていてもよい。図6は、伝熱管401として扁平管を備えた熱交換器40を示す図である。扁平管を用いることにより、同一の高さにおいて、断面積が扁平管と等しい丸管を用いる場合よりも、多い数の伝熱管を配列することができる。さらに、伝熱管401として扁平管を用いることで、伝熱管401からフィンの風上側及び風下側までの距離を短くすることができるため、丸管に比べて熱交換効率を向上させることができる。また、扁平多孔管を使用することで断面形状が円形の伝熱管に比べ、送風動力が低減され、空気調和機としての性能を向上させることができる。なお、1列の扁平多孔管を空気の流れる方向Aに沿って2つ固定することにより熱交換器40が形成されてもよく、2列の扁平管とフィンとが熱交換器140として一体に形成されてもよい。
【0037】
第4の変形例としては、熱交換器は、空気の流れる方向Aに沿って配設された複数列の伝熱管を備えればよく、2列に限定されるものではない。他の例としては、熱交換器は、例えば、3列の伝熱管を備えてもよい。図7は、3列の伝熱管411を備えた熱交換器41を示す図である。この場合も、冷媒流路は、蒸発器入口から風上、中央、風下の冷媒管を順に経由した後分岐し、それぞれ風下、中央、風上の冷媒管を順に経由するように形成される。これにより、蒸発器入口側における冷媒の流れる方向を空気の流れに対して並行流となる。また、蒸発器出口側における冷媒の流れる方向が空気の流れに対して対向流となる。
【0038】
第5の変形例としては、蒸発器出口は、蒸発器入口よりも鉛直方向の上側に設けられていればよく、蒸発器出口と蒸発器入口のX軸方向及びZ軸方向の位置関係は、実施形態に限定されるものではない。例えば、熱交換器30の上部側が風上側に傾いた状態に設けられ、蒸発器出口は、蒸発器入口よりも風上側に設けられていてもよい。
【0039】
本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、例えばある実施形態の変形例を他の実施形態に適用するなど、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 空気調和機
10 室外機
11 圧縮機
12 四方弁
13 アキュムレータ
14 室外熱交換器
15 室外ファン
16 室外膨張弁
20 室内機
21 室内熱交換器
22 室内ファン
30、40、41 熱交換器
31、401、411 伝熱管
32 フィン
311 第1冷媒出入口
312a~312d 第2冷媒出入口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2021-05-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非共沸混合冷媒を用いる空気調和機であって、
空気の流れる方向に沿って配設された複数列の伝熱管を有し、かつ蒸発器及び凝縮器として動作可能な熱交換器を備え、
前記熱交換器が前記蒸発器として動作する場合に、冷媒入口側となる蒸発器入口側における前記非共沸混合冷媒の流れる方向が空気の流れに対して並行流となり、前記熱交換器が前記蒸発器として動作する場合に、冷媒出口側である蒸発器出口側における前記非共沸混合冷媒の流れる方向が空気の流れに対して対向流となるように冷媒流路が形成され、
前記蒸発器出口側における前記冷媒流路の流路面積は、前記蒸発器入口側における前記冷媒流路の流路面積よりも大きく、
前記蒸発器出口は、前記蒸発器入口よりも鉛直方向の上側に設けられる、空気調和機。
【請求項2】
非共沸混合冷媒を用いる空気調和機であって、
空気の流れる方向に沿って配設された複数列の伝熱管を有し、かつ蒸発器及び凝縮器として動作可能な熱交換器を備え、
前記熱交換器が前記蒸発器として動作する場合に、冷媒入口側となる蒸発器入口側における前記非共沸混合冷媒の流れる方向が空気の流れに対して並行流となり、前記熱交換器が前記蒸発器として動作する場合に、冷媒出口側である蒸発器出口側における前記非共沸混合冷媒の流れる方向が空気の流れに対して対向流となるように冷媒流路が形成され、
前記蒸発器出口側における前記冷媒流路の流路面積は、前記蒸発器入口側における前記冷媒流路の流路面積よりも大きく、
前記熱交換器は、前記蒸発器として動作する場合に並行流となる伝熱管に対応した伝熱面積が、前記蒸発器として動作する場合に対向流となる伝熱管に対応した伝熱面積以下となるように形成される、空気調和機。
【請求項3】
前記蒸発器出口側における前記冷媒流路の数は、前記蒸発器入口側における前記冷媒流路の数よりも多い、請求項1又は2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記蒸発器出口の前記非共沸混合冷媒の温度が前記蒸発器入口の伝熱管における最低温度よりも高く、前記非共沸混合冷媒と熱交換される空気の温度よりも低くなるように伝熱管が形成される、請求項1乃至の何れか1項に記載の空気調和機。
【請求項5】
蒸発器及び凝縮器として動作可能で、かつ非共沸混合冷媒を用いる熱交換器であって、
空気の流れる方向に沿って配設された複数列の伝熱管を有し、
前記熱交換器が前記蒸発器として動作する場合の冷媒入口側である蒸発器入口側における前記非共沸混合冷媒の流れる方向が空気の流れに対して並行流となり、前記熱交換器が前記蒸発器として動作する場合の冷媒出口側である蒸発器出口側における前記非共沸混合冷媒の流れる方向が空気の流れに対して対向流となるように冷媒流路が形成され、
前記蒸発器出口側における前記冷媒流路の流路面積は、前記蒸発器入口側における前記冷媒流路の流路面積よりも大きく、
前記蒸発器出口は、前記蒸発器入口よりも鉛直方向の上側に設けられる、熱交換器。
【請求項6】
蒸発器及び凝縮器として動作可能で、かつ非共沸混合冷媒を用いる熱交換器であって、
空気の流れる方向に沿って配設された複数列の伝熱管を有し、
前記熱交換器が前記蒸発器として動作する場合の冷媒入口側である蒸発器入口側における前記非共沸混合冷媒の流れる方向が空気の流れに対して並行流となり、前記熱交換器が前記蒸発器として動作する場合の冷媒出口側である蒸発器出口側における前記非共沸混合冷媒の流れる方向が空気の流れに対して対向流となるように冷媒流路が形成され、
前記蒸発器出口側における前記冷媒流路の流路面積は、前記蒸発器入口側における前記冷媒流路の流路面積よりも大きく、
前記熱交換器は、前記蒸発器として動作する場合に並行流となる伝熱管に対応した伝熱面積が、前記蒸発器として動作する場合に対向流となる伝熱管に対応した伝熱面積以下となるように形成される、熱交換器。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明は、非共沸混合冷媒を用いる空気調和機であって、空気の流れる方向に沿って配設された複数列の伝熱管を有し、かつ蒸発器及び凝縮器として動作可能な熱交換器を備え、前記熱交換器が前記蒸発器として動作する場合の冷媒入口側である蒸発器入口側における前記非共沸混合冷媒の流れる方向が空気の流れに対して並行流となり、前記熱交換器が前記蒸発器として動作する場合の冷媒出口側である蒸発器出口側における前記非共沸混合冷媒の流れる方向が空気の流れに対して対向流となるように冷媒流路が形成され、前記蒸発器出口側における前記冷媒流路の流路面積は、前記蒸発器入口側における前記冷媒流路の流路面積よりも大きく、前記蒸発器出口は、前記蒸発器入口よりも鉛直方向の上側に設けられる
また、本発明の他の形態は、非共沸混合冷媒を用いる空気調和機であって、空気の流れる方向に沿って配設された複数列の伝熱管を有し、かつ蒸発器及び凝縮器として動作可能な熱交換器を備え、前記熱交換器が前記蒸発器として動作する場合に、冷媒入口側となる蒸発器入口側における前記非共沸混合冷媒の流れる方向が空気の流れに対して並行流となり、前記熱交換器が前記蒸発器として動作する場合に、冷媒出口側である蒸発器出口側における前記非共沸混合冷媒の流れる方向が空気の流れに対して対向流となるように冷媒流路が形成され、前記蒸発器出口側における前記冷媒流路の流路面積は、前記蒸発器入口側における前記冷媒流路の流路面積よりも大きく、前記熱交換器は、前記蒸発器として動作する場合に並行流となる伝熱管に対応した伝熱面積が、前記蒸発器として動作する場合に対向流となる伝熱管に対応した伝熱面積以下となるように形成される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明の他の形態は、蒸発器及び凝縮器として動作可能で、かつ非共沸混合冷媒を用いる熱交換器であって、空気の流れる方向に沿って配設された複数列の伝熱管を有し、前記熱交換器が前記蒸発器として動作する場合の冷媒入口側である蒸発器入口側における前記非共沸混合冷媒の流れる方向が空気の流れに対して並行流となり、前記熱交換器が前記蒸発器として動作する場合の冷媒出口側である蒸発器出口側における前記非共沸混合冷媒の流れる方向が空気の流れに対して対向流となるように冷媒流路が形成され、前記蒸発器出口側における前記冷媒流路の流路面積は、前記蒸発器入口側における前記冷媒流路の流路面積よりも大きく、前記蒸発器出口は、前記蒸発器入口よりも鉛直方向の上側に設けられる
また、本発明の他の形態は、蒸発器及び凝縮器として動作可能で、かつ非共沸混合冷媒を用いる熱交換器であって、空気の流れる方向に沿って配設された複数列の伝熱管を有し、前記熱交換器が前記蒸発器として動作する場合の冷媒入口側である蒸発器入口側における前記非共沸混合冷媒の流れる方向が空気の流れに対して並行流となり、前記熱交換器が前記蒸発器として動作する場合の冷媒出口側である蒸発器出口側における前記非共沸混合冷媒の流れる方向が空気の流れに対して対向流となるように冷媒流路が形成され、前記蒸発器出口側における前記冷媒流路の流路面積は、前記蒸発器入口側における前記冷媒流路の流路面積よりも大きく、前記熱交換器は、前記蒸発器として動作する場合に並行流となる伝熱管に対応した伝熱面積が、前記蒸発器として動作する場合に対向流となる伝熱管に対応した伝熱面積以下となるように形成される。