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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022115330
(43)【公開日】2022-08-09
(54)【発明の名称】蓋の取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60K 15/05 20060101AFI20220802BHJP
【FI】
B60K15/05 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021011878
(22)【出願日】2021-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】308039414
【氏名又は名称】株式会社FTS
(74)【代理人】
【識別番号】100120765
【弁理士】
【氏名又は名称】小滝 正宏
(74)【代理人】
【識別番号】100097076
【弁理士】
【氏名又は名称】糟谷 敬彦
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 康行
(72)【発明者】
【氏名】朝原 利昌
【テーマコード(参考)】
3D038
【Fターム(参考)】
3D038CA32
3D038CB01
3D038CC16
(57)【要約】
【課題】取付けやすさを損なわず、がたつきを無くし、且つ水の侵入を防止する蓋の取付構造を提供する。
【解決手段】ボックス取付部24の側面には円柱形状の凹部26が形成され、アーム部材収納部37の側面には、ボックス取付部24の凹部26に合致する位置に断面円形の筒状に突出し、内側面には小径部38bと、大径部38dと、小径部38bと大径部38dを連結する傾斜部38cを有する凹部受け部38が形成され、キャップ40にはアーム部材収納部37の凹部受け部38の小径部38bを貫通しボックス取付部24の凹部26に挿入されて係合する第1胴部41aと、大径部38dを貫通する第2胴部41bと、傾斜38c部を貫通する第3胴部41cが形成され、第3胴部41cにはキャップ40を凹部受け部38に嵌め込んだ時に傾斜部38cに弾接するシール部45が周状に突出して形成されている。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の給油口又は充電口等を塞ぐ蓋は、ボックス取付部が形成されたアーム部材を有し、前記車体の給油口又は充電口等には、開口部を有するボックス本体部と前記アーム部材を収納するアーム部材収納部を有するボックスが取付けられ、前記ボックス取付部に前記アーム部材収納部を貫通するキャップを嵌め込むことにより、前記ボックス取付部を回転中心として前記蓋を開閉可能にする蓋の取付構造であって、
前記ボックス取付部の少なくとも一方の側面には円柱形状の凹部が形成され、
前記アーム部材収納部の側面には、前記ボックス取付部の前記凹部に合致する位置に断面円形の筒状に突出した凹部受け部が形成され、前記凹部受け部の内側面には、
前記ボックス取付部側に形成された小径部と、
前記小径部より直径が大きな大径部と、
前記小径部と前記大径部を連結する傾斜部が同軸に形成され、
前記キャップは、前記アーム部材収納部の前記凹部受け部を貫通し、前記ボックス取付部の前記凹部内に挿入される胴部を有し、前記胴部は、
前記凹部受け部の前記小径部を貫通し、前記ボックス取付部の前記凹部に挿入されて係合する第1胴部と、
前記大径部を貫通する第2胴部と、
前記傾斜部を貫通する第3胴部が同軸に形成され、
前記第3胴部には、前記キャップを前記凹部受け部に嵌め込んだ時に、前記傾斜部に弾接するシール部が周状に突出して形成されていることを特徴とする蓋の取付構造。
【請求項2】
前記キャップの前記第3胴部に形成された前記シール部は、断面において、先端部分が先細り形状に突出して形成されている請求項1に記載の蓋の取付け構造。
【請求項3】
前記凹部受け部の前記小径部と前記傾斜部との角度は、前記キャップの前記第1胴部と前記第3胴部との角度より大きい請求項1又は請求項2に記載の蓋の取付構造。
【請求項4】
前記アーム部材収納部の前記凹部受け部の前記大径部には、周状に内側溝部が形成され、
前記キャップの前記第2胴部の外側面には、前記キャップが前記凹部受け部に嵌め込まれた時に前記凹部受け部の前記内側溝部に合致する位置に係合凸部が形成され、
前記内側溝部と前記係合凸部が係合する請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の蓋の取付構造。
【請求項5】
前記キャップと前記ボックス取付部は、異なる材料で形成される請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の蓋の取付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車車両等の車体の給油口、充電口等を塞ぎ、開閉可能な蓋の取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車用燃料タンクにガソリン等の燃料や水素を給油又は充填する場合には、車体に設けられた給油口又は充填口を塞ぐ給油口蓋、充填口蓋を開き、燃料キャップを外して給油口から燃料を給油する、又は、充填ポートに充填プラグを差し込んで水素を充填する。又、電気自動車やPHV(プラグインハイブリッド車)に電気を充電する場合には、充電蓋を開き、急速充電ポート又は普通充電ポートのキャップを外し、充電コネクタを充電ポートに差し込んで充電する。
【0003】
この種の蓋の取付け構造として、特許文献1に開示された技術を図1から図5に基づいて説明する。蓋10(給油口蓋)の裏面12には、アーム部材20が取付けられている。アーム部材20は、円弧状に湾曲した板状であり、その先端部分には、ボックス30(給油口ボックス)に取付けられる部分であるボックス取付部24を有している。
【0004】
アーム部材20のボックス取付部24は、図4に示すように、ボックス30のアーム部材係合部350(図3)に係合するアーム部材20のボックス係合ピン250が形成されている。ボックス係合ピン250は、ボックス取付部24の先端の両側面に形成されている。
【0005】
一方、ボックス30は、図1図2に示すように、底部の中心に車体2の給油口1と連通する給油ガンを挿入する給油孔36(開口部)を有するボックス本体部31とアーム部材20を収納するアーム部材収納部37を有し、ボックス30は、シール部材33を介して車体2のボックス保持部3に取付けられている。アーム部材収納部37は、車体2のボックス保持部3が形成されている部分よりも車体2の内側(図1における左側)に入り込んで形成されている。
【0006】
図3に示すように、アーム部材収納部37には、アーム部材係合部350までアーム部材20のボックス係合ピン250を案内するアーム部材ガイド部34が形成されており、アーム部材ガイド部34の先端部分には、アーム部材20のボックス係合ピン250を係合するアーム部材係合部350が形成されている。
【0007】
アーム部材ガイド部34を形成したため、アーム部材20をボックス30に取付けるときに、アーム部材ガイド部34の中にアーム部材20のボックス係合ピン250を挿入して、摺動することにより、ボックス30のアーム部材収納部37の奥が見にくくても、容易にアーム部材20をボックス30に組み付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2019-85060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1では、ボックス30のアーム部材収納部37にはアーム部材ガイド部34を形成し、アーム部材ガイド部34内をアーム部材20のボックス係合ピン250が通過することにより、蓋10をボックス30に取付けやすい構造になっている。しかし、アーム部材ガイド部34とボックス係合ピン250との間にはクリアランスが必要であるので、取付け後にアーム部材20がアーム部材収納部37のアーム部材係合部350内でがたつき、蓋10が閉まり難くなる場合がある。
【0010】
一方、ボックス取付部24にアーム部材収納部37を貫通するキャップ等を使用し、キャップとボックス取付部24を係合させることにより、上記がたつきを防止することは可能になると考えるが、この場合は、キャップとアーム部材収納部37との間から水が浸入し、浸入した水がボックス取付部24に入り込んでスムーズな蓋の回転が妨げられる新たな問題の発生が予想される。
【0011】
そこで、本発明は、給油口、充電口等のボックスへの取付けやすさを損なわず、がたつきを無くし、且つキャップとアーム部材収納部との間から浸入した水がボックス取付部に入り込むことを防止する蓋の取付構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、車体の給油口又は充電口等を塞ぐ蓋は、ボックス取付部が形成されたアーム部材を有し、車体の給油口又は充電口等には、開口部を有するボックス本体部とアーム部材を収納するアーム部材収納部を有するボックスが取付けられ、ボックス取付部にアーム部材収納部を貫通するキャップを嵌め込むことにより、ボックス取付部を回転中心として蓋を開閉可能にする蓋の取付構造であって、ボックス取付部の少なくとも一方の側面には円柱形状の凹部が形成され、アーム部材収納部の側面には、ボックス取付部の凹部に合致する位置に断面円形の筒状に突出した凹部受け部が形成され、凹部受け部の内側面には、ボックス取付部側に形成された小径部と、小径部より直径が大きな大径部と、小径部と前記大径部を連結する傾斜部が同軸に形成され、キャップは、アーム部材収納部の凹部受け部を貫通し、ボックス取付部の凹部内に挿入される胴部を有し、胴部は、凹部受け部の小径部を貫通し、ボックス取付部の凹部に挿入されて係合する第1胴部と、大径部を貫通する第2胴部と、傾斜部を貫通する第3胴部が同軸に形成され、第3胴部には、キャップを凹部受け部に嵌め込んだ時に、傾斜部に弾接するシール部が周状に突出して形成されていることを特徴とする蓋の取付構造である。
【0013】
請求項1の本発明では、ボックス取付部の少なくとも一方の側面には円柱形状の凹部が形成され、アーム部材収納部の側面には、ボックス取付部の凹部に合致する位置に断面円形の筒状に突出した凹部受け部が形成され、ボックス取付部にアーム部材収納部の凹部受け部を貫通するキャップを嵌め込んで係合することによりボックスのアーム部材収納部にアーム部材を取付けることができるので、アーム部材がアーム部材収納部内でがたつくことを防止することができる。
【0014】
又、凹部受け部の内側面には、ボックス取付部側に形成された小径部と、小径部より直径が大きな大径部と、小径部と前記大径部を連結する傾斜部が同軸に形成され、キャップは、アーム部材収納部の凹部受け部を貫通し、ボックス取付部の凹部内に挿入される胴部を有し、胴部は、凹部受け部の小径部を貫通し、ボックス取付部の凹部に挿入されて係合する第1胴部と、大径部を貫通する第2胴部と、傾斜部を貫通する第3胴部が同軸に形成され、第3胴部には、キャップを凹部受け部に嵌め込んだ時に、傾斜部に弾接するシール部が周状に突出して形成されているので、シール部が傾斜部に弾接することにより、キャップと凹部受け部との間から水がボックス取付部側に侵入した場合も、ボックス取付部の凹部とキャップの第1胴部との間に水が浸入することを防止することができる。又、Oリング等の新たな組付け部材も必要ない。
【0015】
請求項2の本発明は、請求項1の発明において、キャップの第3胴部に形成されたシール部は、断面において、先端部分が先細り形状に突出して形成されている蓋の取付け構造である。
【0016】
請求項2の本発明では、キャップの第3胴部に形成されたシール部は、断面において、先端部分が先細り状に突出して形成されているので、シール部は撓んで凹部受け部に弾接することができる。その結果、キャップを軽く凹部受け部に押し込んでも確実にキャップと凹部受け部間をシールすることができるので、キャップと凹部受け部との間から水がボックス取付部側に侵入した場合もボックス取付部側の凹部とキャップの第1胴部との間に水が侵入することを防止することができる。
【0017】
請求項3の本発明は、請求項1又は請求項2の発明において、凹部受け部の小径部と傾斜部との角度は、キャップの第1胴部と第3胴部との角度より大きい蓋の取付構造である。
【0018】
請求項3の本発明では、凹部受け部の小径部と傾斜部との角度は、キャップの第1胴部と第3胴部との角度より大きいので、キャップの第1胴部と第3胴部との角度と同じ、又は、小さい場合と比較して凹部受け部内を貫通するキャップの胴部の長さを短くすることができる。その結果、キャップの長さと凹部受け部の突出長さを短く形成することができ、キャップと凹部受け部を軽量化することができる。
【0019】
請求項4の本発明は、請求項1から請求項3の発明において、アーム部材収納部の凹部受け部の大径部には、周状に内側溝部が形成され、キャップの第2胴部の外側面には、キャップが凹部受け部に嵌め込まれた時に凹部受け部の内側溝部に合致する位置に係合凸部が形成され、内側溝部と係合凸部が係合する蓋の取付構造である。
【0020】
請求項4の本発明では、アーム部材収納部の凹部受け部の大径部には、周状に内側溝部が形成され、キャップの第2胴部の外側面には、キャップが凹部受け部に嵌め込まれた時に凹部受け部の内側溝部に合致する位置に係合凸部が形成され、内側溝部と係合凸部が係合するので、蓋の開閉や走行時の振動等によって、キャップがアーム部材収納部の凹部受け部から抜けることを防止することができる。
【0021】
請求項5の本発明は、請求項1から請求項4の発明において、キャップとボックス取付部は、異なる材料で形成される蓋の取付構造である。キャップとボックス取付部を同一材料で形成した場合は、係合するキャップとボックス取付部の凹部の双方が摩耗し易い。
【0022】
請求項5の本発明では、キャップとボックス取付部は、異なる材料で形成されるので、係合するキャップとボックス取付部の凹部の双方が摩耗し、経時的にがたつきが発生することを防止することができる。
【発明の効果】
【0023】
ボックス取付部の少なくとも一方の側面には円柱形状の凹部が形成され、アーム部材収納部の側面には、ボックス取付部の凹部に合致する位置に断面円形の筒状に突出した凹部受け部が形成され、ボックス取付部にアーム部材収納部の凹部受け部を貫通するキャップを嵌め込んで係合することによりボックスのアーム部材収納部にアーム部材を取付けることができるので、アーム部材がアーム部材収納部内でがたつくことを防止することができる。
【0024】
又、凹部受け部の内側面には、ボックス取付部側に形成された小径部と、小径部より直径が大きな大径部と、小径部と前記大径部を連結する傾斜部が同軸に形成され、キャップは、アーム部材収納部の凹部受け部を貫通し、ボックス取付部の凹部内に挿入される胴部を有し、胴部は、凹部受け部の小径部を貫通し、ボックス取付部の凹部に挿入されて係合する第1胴部と、大径部を貫通する第2胴部と、傾斜部を貫通する第3胴部が同軸に形成され、第3胴部には、キャップを凹部受け部に嵌め込んだ時に、傾斜部に弾接するシール部が周状に突出して形成されているので、シール部が傾斜部に弾接することにより、キャップと凹部受け部との間から水がボックス取付部側に侵入した場合も、ボックス取付部の凹部とキャップの第1胴部との間に水が浸入することを防止することができる。又、Oリング等の新たな組付け部材も必要ない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】蓋を開いた状態のボックスと蓋及びアーム部材の断面図である。
図2図1におけるアーム部収納部の拡大断面図である。
図3】アーム部材収納部の一方の側面の斜視図である。
図4】ボックス取付部の一方の側面の斜視図である。
図5】ボックス取付部の凸部(ボックス係合ピン)近傍の断面図である。
図6】本発明の実施形態を示すもので、アーム部材のボックス取付部の他方の側面の斜視図である。
図7】本発明の実施形態を示すもので、アーム部材収納部の他方の側面の斜視図であり、キャップとの関係を説明する斜視図である。
図8】本発明の実施形態を示すもので、キャップの側面図である。
図9】本発明の実施形態を示すもので、キャップを嵌め込んだ時のアーム部材収納部の他方の側面の凹部受け部、ボックス取付部の凹部とキャップとの係合関係を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下の実施形態は、車体2の給油口1を塞ぐと共に開閉する蓋10(給油口蓋)の取付構造に関し説明するものであるが、燃料電池自動車に水素を充填する場合の充填口や電気自動車やPHV(プラグインハイブリッド車)に電気を充電する場合の充電口としても使用できる。なお、背景技術と同じ部位においては、同一番号を使用して説明する。
【0027】
蓋10は、図1に示すように、車体2の給油口1を塞ぐために給油口1の形状に合わせて形成されている。自動車用燃料タンクに燃料を給油する場合に、車体2に設けられた給油口1を塞ぐ蓋10を開いて、給油口1から燃料を給油する。
【0028】
蓋10の裏面12には、蓋10の取付部材であるアーム部材20を取付ける蓋10のアーム部材取付部13が設けられている。本実施形態では、蓋10のアーム部材取付部13は、2枚の平行板として形成されている。アーム部材取付部13には、アーム部材20が取付けられる蓋10のアーム部材取付孔14が設けられている。
【0029】
アーム部材20は、図1図2に示すように、円弧状に湾曲した形状を有し、一方の先端には、蓋10に取付けられる蓋取付部21と、他方の先端には、ボックス30に取付けられるボックス取付部24を有している。蓋取付部21が蓋10のアーム部材取付孔14に嵌め込まれて、蓋10がアーム部材20に取付けられる。
【0030】
なお、蓋10とアーム部材20を一体的に形成して、アーム部材20の蓋取付部21と蓋10のアーム部材取付孔14を省略して、蓋10の裏面12にアーム部材20の蓋取付部21を一体的に形成してもよい。
【0031】
アーム部材20の蓋取付部21の先端には、ボックス30側に延設された蓋ロック部22が形成されている。蓋ロック部22は、蓋10が閉まったときに、後述するボックス30のロックピン32と係合する。
【0032】
ボックス30は、底部の中心に車体2の給油口1と連通する給油ガンを挿入する給油孔36(開口部)を有するボックス本体部31とアーム部材20を収納するアーム部材収納部37を有し、ボックス30は、シール部材33を介して車体2のボックス保持部3に取付けられている。アーム部材収納部37は、車体2のボックス保持部3が形成されている部分よりも車体2の内側(図1における左側)に入り込んで形成されている。アーム部材収納部37の詳細は後述する。
【0033】
ボックス30のアーム部材収納部37と反対側には、ロックピン32が形成され、蓋10が閉じられたときに、ロックピン32がアーム部材20の蓋ロック部22に係合して、蓋10をロックすることができる。蓋10を開くときは、ボックス30のロックピン32が後退して、アーム部材20の蓋ロック部22から外れる。
【0034】
ボックス本体部31の上端の周囲には、シール部材33が取付けられて、ボックス本体部31が、車体2のボックス保持部3に取付けられたときに、ボックス保持部3とボックス本体部31の上端の間をシールする。
【0035】
図3図5に示すように、アーム部材収納部37の一方の側面37aには、アーム部材20のボックス取付部24に形成された円柱形状の凸部25をボックス本体部31から案内するアーム部材ガイド部34が突出して形成され、アーム部材ガイド部34の先端部分には、アーム部材20のボックス取付部24に形成された円柱形状の凸部25と係合する凸部受け部35が形成されている。
【0036】
ボックス取付部24の凸部25が通過するアーム部材ガイド部34の幅は、凸部25の直径より少し大きく形成され、凸部25が通過しやすくなっている。又、アーム部材ガイド部34と凸部受け部35の連結部には、凸部25の直径よりわずかに小さい幅となるような両側が窪んだ狭幅部34aが形成されている。凸部25を狭幅部34aに押し込み、狭幅部34aが少し撓んで凸部25を通過させることにより凸部受け部35に凸部25を嵌め込むと共に凸部25が凸部受け部35から外れることを防止できる。なお、アーム部材ガイド部34の凸部受け部35の幅は、凸部25の直径とほぼ同じに形成され、凸部受け部35内における凸部25のズレを抑えている。
【0037】
又、ボックス30のアーム部材ガイド部34と凸部受け部35の連結部の狭幅部34aが形成されている場所の外面から内部方向(狭幅部34aと直交する方向)には、ボックス本体部31側に傾斜面を有する突起部34bが形成されている。
【0038】
図4に示すように、アーム部材20のボックス取付部24の一方の側面24aには、円柱形状に突出して凸部25が形成されている。又、その先端部分は斜面状に切りかかれた凸部斜面25aが形成されている。凸部斜面25aにより凸部25がアーム部材ガイド部34の突起部34bを乗り越えやすくなるので、アーム部材20をボックス30の凸部受け部35に取付けやすい。なお、凸部斜面25aは形成しなくてもよい。
【0039】
一方、図6に示すように、ボックス取付部24の他方の側面24bには、反対側の側面に形成されている凸部25と同軸に円柱形状の凹部26が形成されている。
【0040】
図7図9に示すように、アーム部材収納部37の他方の側面37bには、ボックス取付部24の凹部26に合致する位置に、断面が円形の筒状に突出した凹部受け部38が形成されている。又、凹部受け部38の先端部分には、後述するキャップ40の第1係合凸部43と係合する先端溝部38aが1カ所形成されている。なお、先端溝部38aは1カ所には限定されない。
【0041】
図9に示すように、凹部受け部38の内側面は、ボックス取付部24側に形成された小径部38bと、小径部38bより直径が大きな大径部38dと、小径部38bと大径部38dを連結する傾斜部38cが同軸に形成され、大径部38dには、周状に内側溝部38eが形成されている。
【0042】
図7図8図9に示すように、アーム部材収納部37の凹部受け部38を貫通し、ボックス取付部24の凹部26内に挿入され、係合して嵌め込まれるキャップ40は、凹部受け部38を貫通する胴部41と、凹部受け部38の先端溝部38aに係合する第1係合凸部43が形成された鍔部42を有している。キャップ40の鍔部42の直径は、胴部41の直径より大きい。
【0043】
胴部41は、凹部受け部38の小径部38bを貫通し、ボックス取付部24の凹部26に挿入されてボックス取付部24と係合する第1胴部41aと、凹部受け部38の大径部38dを貫通する第2胴部41bと、凹部受け部38の傾斜部38cを貫通する第3胴部41cが同軸に形成されている。
【0044】
図9に示すように、第1胴部41a、第2胴部41b、第3胴部41cと鍔部42は、鍔部42側に開口を有する空洞部46が形成されており、この空洞部46により、内側方向の若干の変形を許容し、キャップ40を凹部受け部38に嵌め込み易くしている。又、同時に、キャップ40の軽量化を図ることができる。なお、キャップ40の空洞部46を形成せず、中実としてもよい。
【0045】
ここで、図9の四角内の拡大図に示したように、凹部受け部38の小径部38bと傾斜部38cとの角度αは、キャップ40の第1胴部41aと第3胴部41cとの角度βより大きい。これにより、キャップ40の長さと凹部受け部38の突出長さを短く形成することができ、キャップ40と凹部受け部38を軽量化することができる。
【0046】
又、第2胴部41bには、凹部受け部38の内側溝部38eに係合する第2係合凸部44が形成されている。なお、特許請求の範囲の請求項4に記載された「係合凸部」は、本実施形態では「第2係合凸部44」が該当する。第2係合凸部44は、キャップ40が凹部受け部38に嵌め込まれた時に凹部受け部38の内側溝部38eに合致する位置に形成されている。
【0047】
更に、第3胴部41cには、図8図9に示すように、先端部分が先細り形状に突出するシール部45が周状に形成されている。シール部45の形状は、外側面45aが凸状の円弧形状を有し、下方に向かい第1胴部41aに近づく形状となっている。一方、内側面45bは、第1胴部41aと略平行に形成されている。これによって、シール部45の先端がアーム部材収納部37の凹部受け部38の傾斜部38cに接触し、更にキャップ40が押し込まれたときに、傾斜部38cの傾斜に沿って、第1胴部41a側に撓むように変形して傾斜部38cに弾接して、シール部45と傾斜部38cとの間を確実にシールする。
【0048】
なお、シール部45のヒレ形状は、シール部45の先端がアーム部材収納部37の凹部受け部38の傾斜部38cに接触し、更にキャップ40が押し込まれたときに、傾斜部38cの傾斜に沿って、第1胴部41a側に撓むことが可能であれば、外側面45aが凸状の円弧形状を有し、下方に向かい第1胴部41aに近づく形状には限定されない。例えば、図8において、(1)外側面45a、内側面45bが共に直線的に下方に向かい第1胴部41aに近づく形状、(2)外側面45aが下方に垂直に延び、内側面45bが第1胴部41aから離れる方向に延びる形状なども可能である。
【0049】
本実施形態では、アーム部材20はナイロンを使用し、キャップ40はPP(ポリプロピレン)を使用した。ボックス取付部24の凹部26(ナイロン)には、キャップ40の第1胴部41a(ポリプロピレン)が挿入され、ボックス取付部24が回動するが、両部材が異なる材料で構成されているので、係合するキャップ40の第1胴部41aとボックス取付部24の凹部26の双方が摩耗し、経時的にがたつきが発生することを防止することができる。なお、アーム部材20とキャップ40の材料は、異なっていれば良く、上記のナイロンとPPには限定されない。
【0050】
次に、ボックス30のアーム部材収納部37へのアーム部材20の取付けについて以下に説明する。まず、アーム部材20のボックス取付部24側をボックス30のボックス本体部31側からアーム部材収納部37に挿入する。同時に、ボックス取付部24の凸部25をアーム部材収納部37のボックス取付部24のアーム部材ガイド部34に挿入する。
【0051】
アーム部材ガイド部34に沿ってボックス取付部24の凸部25を摺動させると、凸部25は、凸部25の直径よりわずかに小さい幅となるような両側が窪んだ狭幅部34aと内部方向(狭幅部34aと直交する方向)に突出する突起部34bに当接する。そして、凸部25を更に押し込みと狭幅部34aが少し撓むとともに、凸部25が突起部34bを乗り越えて通過し、その奥にある凸部受け部35に入る。この時、凸部25が形成されたボックス取付部24の反対の側面24bには凹部26が同軸に形成されており、対向するアーム部材収納部37の側面37bには凹部受け部38が形成されている。
【0052】
次に、凹部受け部38に、キャップ40の胴部41を第1胴部41a側から挿入する。第1胴部41aは、凹部受け部38の大径部38d、傾斜部38cと小径部38bを通過し、アーム部材20のボックス取付部24の凹部26に挿入される。このボックス取付部24の凹部26への挿入の前後(これは前又は後のどちらでも良い)に、キャップ40の第2胴部41bに形成された第2係合凸部44が凹部受け部38の先端部に当接する。
【0053】
キャップ40を更に押し込むと、第2係合凸部44は撓み、大径部38d内を摺動する。そして、キャップ40の鍔部42に形成された第1係合凸部43が、凹部受け部38の先端部分に当接して摺動が停止する。
【0054】
鍔部42を回転させ、鍔部42に形成された第1係合凸部43を凹部受け部38の先端部分に形成された先端溝部38aの位置に合わせると、第1係合凸部43は、大径部38d内を更に摺動することが可能になる。そして、第2係合凸部44が凹部受け部38の大径部38dに形成された内側溝部38eに入り込むことによりキャップ40が固定される。なお、予めキャップ40の鍔部42の第1係合凸部43を凹部受け部38の先端溝部38aの位置に合わせてキャップ40を押し込めば、上記の鍔部42の回転は不要である。
【0055】
又、上記の第2係合凸部44が第2胴部41b内を更に摺動するときには、キャップ40の第3胴部41cに形成されたシール部45が凹部受け部38の傾斜部38cに当接、湾曲して撓んで、傾斜部38cに弾接する。
【0056】
この結果、キャップ40をボックス取付部24の凹部26内に挿入した時に、ボックス取付部24の一方の側面24aに形成された円柱形状に突出した凸部25をアーム部材収納部37の凸部受け部35の裏面側(アーム部材収納部37の他の側面37b側)に押し、凸部25と凸部受け部35が接近又は当接する。そして、凸部25と凸部受け部35との間のクリアランスが小さくなる又は無くなるので、ボックス取付部24がアーム部材収納部37の凸部受け部35内でがたつくことなく回動可能になる。
【0057】
又、凹部受け部38の先端溝部38aとキャップ40の第1係合凸部43が係合することにより、キャップ40が凹部受け部38に固定されるので、蓋10の開閉に伴うアーム部材20の回動によりキャップ40が凹部受け部38内で回動することを防止することができる。
【0058】
又、胴部41の第2胴部41bの側面に形成された第2係合凸部44と凹部受け部38の内側溝部38eが係合するので、蓋10の開閉や走行時の振動等によって、キャップ40がアーム部材収納部37の凹部受け部38から抜けるのを防止することができる。
【0059】
更に、キャップ40の第3胴部41cに形成されたシール部45が凹部受け部38の傾斜部38cに弾接するので、キャップ40の鍔部42と凹部受け部38との間から水がボックス取付部24側に侵入した場合も、ボックス取付部24の凹部26とキャップ40の第1胴部41aとの間に水が浸入することを防止することができる。
【0060】
本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。
【0061】
例えば、上記の実施形態では、キャップ40の第3胴部41cに形成したシール部45は、断面において先細り形状に形成したが、半円形状に形状してもよい。この場合は、半円形状のシール部45の凹部受け部38の傾斜部38cとの当接面が少し潰れることにより、傾斜部38cとの間をシールする。
【0062】
例えば、アーム部材収納部37の凹部受け部38とキャップ40については、アーム部材収納部37の凹部受け部38に先端溝部38aを設けず、キャップ40の鍔部42の下部に第1係合凸部43を形成せず、単にキャップ40を凹部受け部38に挿入することにより、キャップ40の胴部41をボックス取付部24の凹部26に嵌め込んでも良い。
【0063】
例えば、上記の実施形態では、アーム部材収納部37の片側の側面(37b)にボックス取付部24の凹部26に合致する凹部受け部38を形成し、ボックス取付部24の片側の側面(24b)に凹部26を形成したが、アーム部材収納部37の両側の側面に凹部受け部38を形成し、ボックス取付部24の両側に凹部26を形成し、両側からキャップ40によってアーム部材収納部37にボックス取付部24を固定するようにしてもよい。
【0064】
例えば、上記の実施形態では、キャップ40の第2胴部41bの第2係合凸部44は、凹部受け部38の内側溝部38eと同様に周状に形成したが、内側溝部38eに合致すれば部分的、例えば、線状やドット状に形成してもよい。これによって、第2係合凸部44が凹部受け部38の大径部38d内で撓み易くなり、通過し易くなるからである。
【符号の説明】
【0065】
10 蓋
20 アーム部材部材
23 ボックス取付腕
24 ボックス取付部
25 凸部
26 凹部
30 ボックス
34 アーム部材ガイド部
37 アーム部材収納部
38 凹部受け部
38a 先端溝部
38b 小径部
38c 傾斜部
38d 大径部
38e 内側溝部
40 キャップ
41 胴部
41a 第1胴部
41b 第2胴部
41c 第3胴部
42 鍔部
43 第1係合凸部
44 第2係合凸部
45 シール部
46 空洞部
図1
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