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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022115333
(43)【公開日】2022-08-09
(54)【発明の名称】検出装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20220802BHJP
【FI】
G06F3/041 512
G06F3/041 570
G06F3/041 430
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021011881
(22)【出願日】2021-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上原 利範
(57)【要約】
【課題】消費電力を抑制することが可能な検出装置を提供する。
【解決手段】検出装置は、第1方向に並んで配列された複数の駆動電極と、第1方向と交差する第2方向に並んで配列された複数の検出電極と、複数の駆動電極に駆動信号を供給する駆動信号供給回路と、複数の駆動電極の接続と非接続とを切り換える複数のスイッチ素子と、を備え、複数の駆動電極は、第1方向で隣り合って配置される第1駆動電極と第2駆動電極とを少なくとも含み、駆動信号供給回路は、第1駆動電極及び第2駆動電極の一方に第1電圧信号を供給し、第1駆動電極及び第2駆動電極の他方に第1電圧信号と異なる電位を有する第2電圧信号を供給し、複数のスイッチ素子は、少なくとも第1駆動電極と第2駆動電極との接続と非接続とを切り換える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に並んで配列された複数の駆動電極と、
前記第1方向と交差する第2方向に並んで配列された複数の検出電極と、
複数の前記駆動電極に駆動信号を供給する駆動信号供給回路と、
複数の前記駆動電極の接続と非接続とを切り換える複数のスイッチ素子と、を備え、
複数の前記駆動電極は、前記第1方向で隣り合って配置される第1駆動電極と第2駆動電極とを少なくとも含み、
前記駆動信号供給回路は、前記第1駆動電極及び前記第2駆動電極の一方に第1電圧信号を供給し、前記第1駆動電極及び前記第2駆動電極の他方に前記第1電圧信号と異なる電位を有する第2電圧信号を供給し、
複数の前記スイッチ素子は、少なくとも前記第1駆動電極と前記第2駆動電極との接続と非接続とを切り換える
検出装置。
【請求項2】
複数の前記スイッチ素子の接続状態が異なる第1期間と、第2期間と、を有し、
前記第1期間に、複数の前記スイッチ素子は前記第1駆動電極と前記第2駆動電極とを非接続とし、前記駆動信号供給回路は、少なくとも1つ以上の前記第1駆動電極に前記第1電圧信号を供給し、少なくも1つ以上の前記第2駆動電極に前記第2電圧信号を供給し、
前記第2期間に、前記駆動信号供給回路は、前記第1駆動電極に前記第1電圧信号の供給を停止し、前記第2駆動電極に前記第2電圧信号の供給を停止し、複数の前記スイッチ素子は前記第1駆動電極と前記第2駆動電極とを接続する
請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記第2期間の後にさらに第3期間を有し、
前記第3期間に、複数の前記スイッチ素子は前記第1駆動電極と前記第2駆動電極とを非接続とし、前記駆動信号供給回路は、少なくとも1つ以上の前記第1駆動電極に前記第2電圧信号を供給し、少なくも1つ以上の第2駆動電極に前記第1電圧信号を供給する
請求項2に記載の検出装置。
【請求項4】
複数の前記検出電極と、検出回路との接続状態を切り換える検出電極選択回路を有し、
検出電極選択回路は、前記第2期間に、複数の前記検出電極と前記検出回路とを非接続にする
請求項2又は請求項3に記載の検出装置。
【請求項5】
複数の前記駆動電極は、それぞれ前記第2方向に延在し、
複数の前記スイッチ素子は、複数の前記駆動電極の延在方向の端部にそれぞれ接続される
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項6】
複数の前記駆動電極は、それぞれ前記第2方向に延在し、
複数の前記スイッチ素子は、複数の前記駆動電極の延在方向の一端側及び他端側にそれぞれ接続される
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項7】
複数の前記駆動電極は、それぞれ前記第2方向に延在し、
前記駆動信号供給回路は、複数の前記駆動電極の延在方向の一端側及び他端側にそれぞれ前記駆動信号を供給する
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項8】
前記第1電圧信号が供給される前記駆動電極及び前記第2電圧信号が供給される前記駆動電極は、所定の符号に基づいて選択され、
検出領域の一部の領域に配置された前記駆動電極に、前記第1電圧信号又は前記第2電圧信号が供給され、
他の前記駆動電極は、フローティング状態とされ、又は基準電位に接続される
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項9】
被検出体の検出を行う通常検出モードと、前記被検出体の検出を行わないアイドリングモードと、を有し、
前記通常検出モード及び前記アイドリングモードで、複数の前記スイッチ素子及び前記駆動信号供給回路は、前記第1期間及び前記第2期間の動作を実行する
請求項2又は請求項3に記載の検出装置。
【請求項10】
被検出体の検出を行う通常検出モードと、前記被検出体の検出を行わないアイドリングモードと、を有し、
前記アイドリングモードで、複数の前記スイッチ素子及び前記駆動信号供給回路は、前記第1期間及び前記第2期間の動作を実行し、
前記通常検出モードで、前記第2期間の動作を実行しない
請求項2又は請求項3に記載の検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、個人認証等に用いられる指紋検出を静電容量方式で実現することが要求されている。指紋検出では、手や指の接触を検出する場合に比べ、面積の小さい電極が用いられる。小さい電極から信号を得る場合でも、符号分割選択駆動により、良好な検出感度が得られる。符号分割選択駆動は、複数の駆動電極を同時に選択して、選択された複数の駆動電極のそれぞれに対して、所定の符号に基づいて位相が決められた駆動信号を供給する駆動方式である(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-118957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
符号分割選択駆動を行う検出装置では、複数の駆動電極を時分割で順次駆動する方式の検出装置に比べて消費電力が増大する可能性がある。
【0005】
本発明は、消費電力を抑制することが可能な検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の検出装置は、第1方向に並んで配列された複数の駆動電極と、前記第1方向と交差する第2方向に並んで配列された複数の検出電極と、複数の前記駆動電極に駆動信号を供給する駆動信号供給回路と、複数の前記駆動電極の接続と非接続とを切り換える複数のスイッチ素子と、を備え、複数の前記駆動電極は、前記第1方向で隣り合って配置される第1駆動電極と第2駆動電極とを少なくとも含み、前記駆動信号供給回路は、前記第1駆動電極及び前記第2駆動電極の一方に第1電圧信号を供給し、前記第1駆動電極及び前記第2駆動電極の他方に前記第1電圧信号と異なる電位を有する第2電圧信号を供給し、複数の前記スイッチ素子は、少なくとも前記第1駆動電極と前記第2駆動電極との接続と非接続とを切り換える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態に係る表示装置の平面図である。
図2図2は、図1のII-II’断面図である。
図3図3は、第1実施形態に係る検出装置の構成例を示す平面図である。
図4図4は、第1実施形態に係る検出装置の構成例を示すブロック図である。
図5図5は、符号分割選択駆動の動作例を説明するための説明図である。
図6図6は、複数の駆動電極の接続構成を説明するための説明図である。
図7図7は、複数の駆動電極の駆動方法を説明するためのタイミング波形図である。
図8図8は、第1スイッチ素子及び第2スイッチ素子の切り換え動作を説明するためのタイミング波形図である。
図9図9は、第1期間、第2期間及び第3期間の、複数の駆動電極の駆動方法を説明するための説明図である。
図10図10は、第2実施形態に係る検出装置の、複数の駆動電極及び複数の検出電極の接続構成を説明するための説明図である。
図11図11は、複数の駆動電極の駆動方法及び複数の検出電極の接続構成を説明するためのタイミング波形図である。
図12図12は、第1スイッチ素子、第2スイッチ素子及び第3スイッチ素子の切り換え動作を説明するためのタイミング波形図である。
図13図13は、第3実施形態に係る複数の駆動電極の接続構成を説明するための説明図である。
図14図14は、第3実施形態の第1変形例に係る複数の駆動電極の接続構成を説明するための説明図である。
図15図15は、第3実施形態の第2変形例に係る複数の駆動電極の接続構成を説明するための説明図である。
図16図16は、第4実施形態に係る複数の駆動電極の、第1期間での接続構成を説明するための説明図である。
図17図17は、第4実施形態に係る複数の駆動電極の、第2期間での接続構成を説明するための説明図である。
図18図18は、第4実施形態の第3変形例に係る複数の駆動電極の接続構成を説明するための説明図である。
図19図19は、第5実施形態に係る検出装置の構成例を示す平面図である。
図20図20は、第5実施形態に係る検出装置の駆動方法を説明するための説明図である。
図21図21は、第5実施形態の第4変形例に係る検出装置の駆動方法を説明するための説明図である。
図22図22は、第6実施形態に係る検出装置の構成例を示す平面図である。
図23図23は、第7実施形態に係る検出装置の概略断面構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
本明細書及び特許請求の範囲において、ある構造体の上に他の構造体を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある構造体に接するように、直上に他の構造体を配置する場合と、ある構造体の上方に、さらに別の構造体を介して他の構造体を配置する場合との両方を含むものとする。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る表示装置の平面図である。図2は、図1のII-II’断面図である。図1及び図2に示すように、本実施形態の表示装置1は、検出領域FAと、検出領域FAの外側に設けられた額縁領域GAと、を有する。検出領域FAは、カバー部材80に接触又は近接する指Fg等の被検出体の表面の凹凸を検出するための領域である。本実施形態の表示装置1では、表示パネル30の表示領域と検出装置100の検出領域FAとが一致又はほぼ一致しており、表示領域の全面において指紋を検出することが可能となっている。表示領域及び検出領域FAの形状は、例えば矩形である。
【0011】
図2に示すように、表示装置1は、表示パネル30と、検出装置100と、を備える。また、検出装置100は、センサ部10と、カバー部材80と、を有する。カバー部材80は、第1面80aと、第1面80aと反対側の第2面80bとを有する板状の部材である。カバー部材80の第1面80aは、接触又は近接する指Fg等の表面の凹凸を検出するための検出面であり、かつ、表示パネル30の画像を観察者が視認するための表示面である。カバー部材80の第2面80b側に、センサ部10及び表示パネル30が設けられる。カバー部材80はセンサ部10及び表示パネル30を保護するための部材であり、センサ部10及び表示パネル30を覆っている。カバー部材80は、例えばガラス基板、又は樹脂基板である。
【0012】
なお、カバー部材80、センサ部10及び表示パネル30は、平面視で長方形状の構成に限られず、円形状、長円形状、或いは、これらの外形形状の一部を欠落させた異形状の構成であってもよい。また、カバー部材80は、平板状に限られない。例えば表示領域及び検出領域FAが曲面で構成され、或いは額縁領域GAが表示パネル30側に湾曲する曲面で構成される場合、カバー部材80は曲面を有してもよい。この場合、表示装置1は、指紋検出機能を有する曲面ディスプレイとなり、曲面ディスプレイの曲面においても指紋を検出することが可能となる。また、後述するように、検出装置100は、表示パネル30上に積層される構成に限定されず、表示パネル30が設けられず単体の指紋検出装置として構成されてもよい。
【0013】
なお、本明細書において、「平面視」とは、後述の図3に示す基板101の一方の面101aに垂直な方向から見た場合の配置関係を示す。一方の面101aに垂直な方向が、「基板101の法線方向(第3方向Dz)」である。
【0014】
図1及び図2に示すように、額縁領域GAにおいて、カバー部材80の第2面80bに加飾層81が設けられている。加飾層81は、カバー部材80よりも光の透過率が小さい着色層である。加飾層81は、額縁領域GAに重畳して設けられる配線や回路等が観察者に視認されることを抑制することができる。図2に示す例では、加飾層81は第2面80bに設けられているが、第1面80aに設けられていてもよい。また、加飾層81は、単層に限定されず、複数の層を重ねた構成であってもよい。
【0015】
センサ部10は、カバー部材80の第1面80aに接触又は近接する指Fg等の表面の凹凸を検出するための検出部である。図2に示すように、センサ部10は、カバー部材80と表示パネル30との間に設けられている。第1面80aに対して垂直な方向(法線方向)から見たときに、センサ部10は、検出領域FAと、額縁領域GAの一部とに重なっている。センサ部10には、額縁領域GAにおいて配線基板76が接続されている。配線基板76には、センサ部10の検出動作を制御するための検出用IC(図示せず)が実装される。配線基板76は、例えばフレキシブルプリント基板である。
【0016】
センサ部10の一方の面は、接着層71を介してカバー部材80の第2面80bと貼り合わされ、他方の面は接着層72を介して表示パネル30の偏光板35と貼り合わされる。接着層71及び接着層72は、透光性を有する接着剤又は樹脂であり、可視光を透過させる。
【0017】
表示パネル30は、画素基板30Aと、対向基板30Bと、画素基板30Aの下側に設けられた偏光板34と、対向基板30Bの上側に設けられた偏光板35とを有する。画素基板30Aに配線基板75を介して、表示パネル30の表示動作を制御するための表示用IC(図示せず)が接続されている。本実施形態において、表示パネル30は、表示機能層として液晶表示素子が用いられる液晶パネルである。これに限定されず、表示パネル30は、例えば、表示素子としてEL素子(OLED:Organic Light Emitting Diode)を用いた有機EL表示パネルや電気泳動素子を用いた表示パネルであってもよい。
【0018】
なお、上述の検出用IC及び表示用ICは、モジュール外部の制御基板に備えられていてもよい。又は、検出用ICは、センサ部10の基板101(図3参照)に備えられていてもよい。表示用ICは、画素基板30Aに備えられていてもよい。
【0019】
次に検出装置100の詳細な構成について説明する。図3は、第1実施形態に係る検出装置の構成例を示す平面図である。図3に示すように、検出装置100は、基板101と、基板101の一方の面101a側に設けられたセンサ部10と、を備える。センサ部10は、複数の駆動電極Txと複数の検出電極Rxとを含む。基板101は、可視光を透過可能な透光性を有するガラス基板である。または、基板101は、ポリイミド等の樹脂で構成された透光性の樹脂基板又は樹脂フィルムであってもよい。センサ部10は、透光性を有するセンサである。
【0020】
複数の駆動電極Tx及び複数の検出電極Rxは、検出領域FAに設けられている。複数の駆動電極Txは、第1方向Dxに並んで配置されている。複数の駆動電極Txは、それぞれ第2方向Dyに延在する。複数の検出電極Rxは、第2方向Dyに並んで配置されている。複数の検出電極Rxは、それぞれ第1方向Dxに延在する。このように、複数の検出電極Rxは、複数の駆動電極Txの延在方向と交差する方向に延びている。各検出電極Rxは、額縁配線(図示せず)及び検出電極選択回路14を介して、基板101の額縁領域GAに設けられた配線基板76に接続される。配線基板76は、基板101の、検出電極選択回路14が設けられた辺に接続される。
【0021】
なお、第1方向Dxは、基板101と平行な面内の一方向であり、例えば、検出領域FRの一辺と平行な方向である。また、第2方向Dyは、基板101と平行な面内の一方向であり、第1方向Dxと直交する方向である。なお、第2方向Dyは、第1方向Dxと直交しないで交差してもよい。また、第3方向Dzは、第1方向Dx及び第2方向Dyと直交する方向であり、基板101の一方の面101aに垂直な方向である。
【0022】
駆動電極Txは、矩形状に形成され、検出電極Rxは、ジグザグ線状に形成される。ただし、これに限定されず、駆動電極Tx及び検出電極Rxの形状や配置ピッチは、適宜変更することができる。駆動電極Txは、ITO(Indium Tin Oxide)等の透光性の導電材料で構成されている。検出電極Rxは、アルミニウム又はアルミニウム合金などの金属材料で構成されている。なお、駆動電極Txを金属材料で構成し、検出電極RxをITOで形成してもよい。また、駆動電極Tx及び検出電極Rxは、同じ材料で構成されてもよい。また、駆動電極Txと検出電極Rxとの間には、絶縁層(図示は省略する)が介在している。
【0023】
検出電極Rxと駆動電極Txとの交差部分に、それぞれ静電容量が形成される。センサ部10は、検出電極Rxと駆動電極Txとの間に発生する静電容量変化からタッチ検出及び指紋検出を行う。センサ部10は、符号分割選択駆動(以下、CDM(Code Division Multiplexing)駆動と表す)により、相互静電容量方式の指紋検出動作を行う。具体的には、駆動電極選択回路15は、複数の駆動電極Txを同時に選択する。そして、駆動電極選択回路15は、選択された複数の駆動電極Txのそれぞれに対して、所定の符号に基づいて位相が決められた駆動信号VTPを供給する。そして、接触又は近接する指等の表面の凹凸による容量変化に応じた検出信号Vdetが検出電極Rxから出力されることにより、指紋検出が行われる。
【0024】
また、駆動電極選択回路15は、タッチ検出を行う際には、複数の駆動電極Txを順次時分割的に駆動し、あるいは複数の駆動電極Txを含む駆動電極ブロックごとに順次選択して駆動してタッチ検出を行ってもよい。
【0025】
図3では、検出電極選択回路14、駆動電極選択回路15等の各種回路が、基板101の額縁領域GAに設けられている場合を示しているが、これはあくまで一例である。各種回路の少なくとも一部は、配線基板76に実装された検出用ICに含まれていてもよい。
【0026】
図4は、第1実施形態に係る検出装置の構成例を示すブロック図である。図4に示すように、検出装置100は、センサ部10と、検出制御部11と、駆動電極選択回路15と、検出電極選択回路14と、検出回路40とを備える。
【0027】
検出制御部11は、センサ部10の検出動作を制御する回路である。駆動電極選択回路15は、検出制御部11から供給される制御信号に基づいて、センサ部10の駆動電極Txに検出用の駆動信号VTPを供給する回路である。検出電極選択回路14は、検出制御部11から供給される制御信号に基づいて、センサ部10の検出電極Rxを選択して、検出回路40に接続する。
【0028】
検出回路40は、検出制御部11から供給される制御信号と、検出電極Rxから出力される検出信号Vdetとに基づいて、カバー部材80の第1面80aに接触又は近接する指等の表面の凹凸を検出して、指紋の形状を検出する回路である。検出回路40は、検出信号増幅部42と、A/D変換部43と、信号処理部44と、座標抽出部45と、合成部46と、検出タイミング制御部47と、を備える。検出タイミング制御部47は、検出制御部11から供給される制御信号に基づいて、検出信号増幅部42と、A/D変換部43と、信号処理部44と、座標抽出部45と、合成部46とが同期して動作するように制御する。
【0029】
検出信号Vdetは、センサ部10から検出回路40の検出信号増幅部42に供給される。検出信号増幅部42は、検出信号Vdetを増幅する。A/D変換部43は、検出信号増幅部42から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0030】
信号処理部44は、A/D変換部43の出力信号に基づいて、センサ部10に対する指の接触又は近接の有無を検出する論理回路である。信号処理部44は、指による検出信号の差分の信号(絶対値|ΔV|)を取り出す処理を行う。信号処理部44は、絶対値|ΔV|を所定のしきい値電圧と比較し、この絶対値|ΔV|がしきい値電圧未満であれば、被検出体が非接触状態あるいは非接触状態であると判断できる程度に検出位置から離隔している判断する。一方、信号処理部44は、絶対値|ΔV|がしきい値電圧以上であれば、被検出体が接触又は接触と同等と判断できるほどに近接状態であると判断する。このようにして、検出回路40は、被検出体の接触又は近接を検出することが可能となる。
【0031】
より詳細には、信号処理部44は、CDM駆動において、所定の符号に基づいてセンサ部10から供給される複数の検出信号Vdetを演算し、演算された検出信号Vdetを所定の符号に基づいて復号処理を行う。なお、CDM駆動の詳細な動作例については後述する。
【0032】
座標抽出部45は、信号処理部44において指の接触又は近接が検出されたときに、その検出座標を求める論理回路である。座標抽出部45は、検出座標を合成部46に出力する。合成部46は、センサ部10から出力される検出信号Vdetを組み合わせて、接触又は近接する被検出体を示す二次元情報を生成する。合成部46は、二次元情報を検出回路40の出力Voutとして出力する。又は、合成部46は、二次元情報に基づいた画像を生成し、画像情報を出力Voutとしてもよい。
【0033】
上述した検出用ICは、図4に示す検出回路40として機能する。検出回路40の機能の一部は、上述した表示用ICに含まれていてもよく、外部のMPU(Micro-processing unit)の機能として設けられてもよい。
【0034】
次に、検出装置100におけるCDM駆動について説明する。図5は、符号分割選択駆動の動作例を説明するための説明図である。図5では、説明をわかりやすくするために、4つの駆動電極Tx-1、Tx-2、Tx-3、Tx-4についてCDM駆動の動作例を示す。
【0035】
図5に示すように、駆動電極選択回路15(図4参照)は、駆動電極ブロックBKの4つの駆動電極Tx-1、Tx-2、Tx-3、Tx-4を同時に選択する。そして、駆動電極選択回路15は、所定の符号に基づいて位相が決められた駆動信号VTPを、各駆動電極Txに供給する。
【0036】
例えば、所定の符号は、下記式(1)の正方行列Hで定義され、正方行列Hの次数は駆動電極Tx-1、Tx-2、Tx-3、Tx-4の数である4になる。所定の符号は、「1」又は「-1」、若しくは「1」又は「0」を要素とし、任意の異なった2つの行が直交行列となる正方行列H、例えば、アダマール行列に基づく符号である。駆動電極選択回路15は、下記式(1)の正方行列Hに基づいて、成分「1」に対応する交流矩形波の位相と、成分「-1」に対応する交流矩形波の位相とが、反転するように、駆動信号VTPを印加する。すなわち、下記式(1)の正方行列Hの成分「-1」は、成分「1」とは位相が異なるように決められた駆動信号VTPを供給する成分である。
【0037】
【数1】
【0038】
図5では、駆動電極Tx-1、Tx-2、Tx-3、Tx-4のうち、例えば駆動電極Tx-2と検出電極Rxとが交差する部位に指Fgなどの外部近接物体CQがある場合について説明する。外部近接物体CQが近接する駆動電極Tx-2と検出電極Rxとの交差部位では、相互誘導により外部近接物体CQによる差分の電圧が生じる(例えば差分の電圧は20%とする)。また、図5に示す例では、成分「1」に対応する検出信号と、成分「-1」に対応する検出信号と、が統合された信号が、検出信号Vdetとして検出電極Rxから出力される。
【0039】
第1時間帯では、正方行列Hの1行目の成分(1、1、1、1)に対応して、駆動電極選択回路15は、駆動電極Tx-1、Tx-2、Tx-3、Tx-4にそれぞれ、正の極性の駆動信号VTPを供給する(第1コード)。検出回路40が第1時間帯で検出する検出電極Rxからの検出信号Vdetは、(1)+(0.8)+(1)+(1)=3.8になる。
【0040】
第2時間帯では、正方行列Hの2行目の成分(1、-1、1、-1)に対応して、駆動電極選択回路15は、駆動電極Tx-1、Tx-3にそれぞれ、正の極性の駆動信号VTPを供給し、駆動電極Tx-2、Tx-4にそれぞれ、負の極性の駆動信号VTPを供給する(第2コード)。検出回路40が第2時間帯で検出する検出電極Rxからの検出信号Vdetは、(1)+(-0.8)+(1)+(-1)=0.2になる。
【0041】
以下同様に、第3時間帯(第3コード)の検出信号Vdetは、(1)+(0.8)+(-1)+(-1)=-0.2になる。次に、第4時間帯(第4コード)の検出信号Vdetは、(1)+(-0.8)+(-1)+(1)=0.2になる。
【0042】
信号処理部44は、各時間帯で検出された検出電極Rxからの検出信号Vdet(Vdet=(3.8、0.2、-0.2、0.2))を、式(1)の正方行列Hで掛け合わせ、復号を行う。これにより、信号処理部44は、復号信号として(4.0、3.2、4.0、4.0)を演算する。検出回路40は、復号信号に基づいて、当該検出電極Rxとの関係で見た場合に駆動電極Tx-2の位置に、指Fgなどの外部近接物体CQが接触していることを検出できる。また、このように駆動電極Txと検出電極Rxとの交差している各部において接触の有無を検出できため、当該駆動電極Txと検出電極Rxとの交差部のピッチを可及的小さくすることにより、外部近接物体CQの表面の凹凸(例えば指紋)を検出できる。そして、座標抽出部45は、タッチパネル座標または復号信号を出力Voutとして出力する。
【0043】
なお、図5では、4つの駆動電極TxについてCDM駆動の動作例を示したが、5つ以上の駆動電極TxについてCDM駆動を行ってもよい。この場合、所定の符号は、駆動電極Txの数に応じた次数の正方行列で定義される。また、所定の符号に含まれる行列の次数と1つの駆動電極ブロックBKに含まれる駆動電極Txの数は同一で無くてもよい。
【0044】
図6は、複数の駆動電極の接続構成を説明するための説明図である。図6では、説明をわかりやすくするために、4つの駆動電極Tx-1、Tx-2、Tx-3、Tx-4及び4つの検出電極Rx-1、Rx-2、Rx-3、Rx-4について示している。
【0045】
図6に示すように、検出装置100は、さらに駆動信号供給回路20、第1スイッチ素子SW1H、SW1L、第2スイッチ素子SW2及び配線21、22、23を有する。駆動信号供給回路20は、駆動電極Txに駆動信号VTPを供給する回路である。駆動信号供給回路20は、上述した検出用ICに含まれていてもよいし、基板101上に設けられていてもよい。
【0046】
駆動信号供給回路20は、第1電圧信号供給部20aと、第2電圧信号供給部20bとを有する。第1電圧信号供給部20aは、正方行列Hの成分「1」に対応する正の極性を有する第1電圧信号VHを駆動電極Txに供給する回路である。第2電圧信号供給部20bは、正方行列Hの成分「-1」に対応する負の極性を有する第2電圧信号VLを駆動電極Txに供給する回路である。第1電圧信号VHと第2電圧信号VLとは、異なる電位を有する電圧信号であり、所定の符号に応じて第1電圧信号VHと第2電圧信号VLとが交互に繰り返されて駆動信号VTPが形成される。
【0047】
複数の第1スイッチ素子SW1H、SW1L及び複数の第2スイッチ素子SW2は、駆動電極選択回路15(図4参照)に含まれるスイッチ素子である。第2スイッチ素子SW2及び配線23は、複数の駆動電極Txの延在方向(第2方向Dy)の一端側に配置される。第1スイッチ素子SW1H、SW1L及び配線21、22は、複数の駆動電極Txの延在方向(第2方向Dy)の他端側に配置される。以下の説明では、図6等を参照して、複数の駆動電極Txの延在方向(第2方向Dy)の一端を「左端」と表し、他端側を「右端」と表す。また、第1スイッチ素子SW1H、SW1Lを区別して説明する必要が無い場合には、単に第1スイッチ素子SW1と表す場合がある。
【0048】
第1スイッチ素子SW1H、SW1Lのそれぞれの一端は、駆動電極Txの右端に接続される。第1スイッチ素子SW1Hの他端は、配線21に接続される。第1スイッチ素子SW1Lの他端は、配線22に接続される。第1スイッチ素子SW1Hがオン(接続状態)になると、駆動信号供給回路20は、配線21及び第1スイッチ素子SW1Hを介して第1電圧信号VHを駆動電極Tx(図6では、駆動電極Tx-1、Tx-3)に供給する。また、第1スイッチ素子SW1Lがオン(接続状態)になると、駆動信号供給回路20は、配線22及び第1スイッチ素子SW1Lを介して第2電圧信号VLを駆動電極Tx(図6では、駆動電極Tx-2、Tx-4)に供給する。なお、図6等では、理解を容易にするために、第1電圧信号VHが供給される駆動電極Tx及び中間電位VIの駆動電極Tx(図9参照)にそれぞれハッチングを付して、第2電圧信号VLが供給される駆動電極Txと区別して示している。
【0049】
第1スイッチ素子SW1Hと第1スイッチ素子SW1Lとは、互いに反転した動作を行う素子であり、第1スイッチ素子SW1Hがオンになると、第1スイッチ素子SW1Lがオフ(非接続状態)になり、第1スイッチ素子SW1Hがオフになると、第1スイッチ素子SW1Lがオンになる。
【0050】
このように、第1スイッチ素子SW1H、SW1Lの動作により、所定の符号に応じた駆動信号VTP(第1電圧信号VH又は第2電圧信号VL)が供給される。複数の駆動電極Txのうち、隣り合う駆動電極Tx-1及び駆動電極Tx-2に着目すると、図6に示す例では、駆動信号供給回路20は、駆動電極Tx-1(第1駆動電極)及び駆動電極Tx-2(第2駆動電極)の一方に第1電圧信号VHを供給し、駆動電極Tx-1(第1駆動電極)及び駆動電極Tx-2(第2駆動電極)の他方に第1電圧信号VHと異なる電位を有する第2電圧信号VLを供給する。
【0051】
複数の第2スイッチ素子SW2の一端は、共通の配線23に接続される。複数の第2スイッチ素子SW2の他端は、それぞれの駆動電極Txの左端に接続される。複数の第2スイッチ素子SW2がオンになると、これら複数の駆動電極Txは、配線23及び複数の第2スイッチ素子SW2を介して接続される。第2スイッチ素子SW2がオンになると、これら複数の複数の駆動電極Txがショートするともいえる。複数の第2スイッチ素子SW2は、電位が異なる第1電圧信号VH及び第2電圧信号VLがそれぞれ供給される少なくとも2つの駆動電極Tx(例えば駆動電極Tx-1と駆動電極Tx-2)との接続と非接続とを切り換える。
【0052】
図7は、複数の駆動電極の駆動方法を説明するためのタイミング波形図である。図8は、第1スイッチ素子及び第2スイッチ素子の切り換え動作を説明するためのタイミング波形図である。図9は、第1期間、第2期間及び第3期間の、複数の駆動電極の駆動方法を説明するための説明図である。
【0053】
図7から図9では、1つのコード期間(正方行列Hの所定行の成分に対応する駆動を行う期間)で、コード反転による駆動を行う例について説明する。例えば、図7に示すように、検出装置100は、第1期間TSp、第2期間TSi及び第3期間TSmを有する。第1期間TSpは、所定の符号に基づいて位相が決定された駆動信号VTPが、駆動電極Txに供給される期間である。第3期間TSmは、コード反転期間であり、所定の符号の極性が反転された符号に基づいて位相が決定された駆動信号VTPが、駆動電極Txに供給される期間である。第2期間TSiは、第1期間TSpと第3期間TSmの間に設けられる遷移期間である。
【0054】
図7に示すように、第1期間TSp、第2期間TSi、第3期間TSm、第2期間TSi、第1期間TSp、・・・のように繰り返し配置される。
【0055】
図7及び図9に示すように、第1期間TSpでは、駆動信号供給回路20は、上述した正方行列Hの2行目の成分(1、-1、1、-1)に対応する位相を有する駆動信号VTPを、複数の駆動電極Txのそれぞれに供給する。具体的には、駆動電極Tx-1、Tx-3に第1電圧信号VHが供給され、駆動電極Tx-2、Tx-4に第2電圧信号VLが供給される。第1期間TSpでは、駆動電極Txごとに、成分(1、-1、1、-1)に応じて第1スイッチ素子SW1H及び第1スイッチ素子SW1Lの一方がオンとなり、他方がオフとなる。また、第1期間TSpでは、第2スイッチ素子SW2は全てオフとなり、複数の駆動電極Txの左端側は非接続となる。
【0056】
次に、第2期間TSiでは、全ての第1スイッチ素子SW1がオフとなり、駆動電極Txと駆動信号供給回路20とが非接続となる。つまり、第1期間TSpから第2期間TSiに切り換えられた場合に、複数の駆動電極Tx-1、Tx-3への、第1電圧信号VHの供給が停止する。また、複数の駆動電極Tx-2、Tx-4への、第2電圧信号VLの供給が停止する。かかる第1スイッチ素子SW1のオフ駆動に併せて、駆動信号供給回路20から配線21、22への電位供給を停止することも可能である。
【0057】
そして、第2期間TSiでは、全ての第2スイッチ素子SW2がオンとなり、複数の駆動電極Txは配線23及び複数の第2スイッチ素子SW2を介して接続される。より詳細には、図8に示すように、時刻t1で、全ての第1スイッチ素子SW1がオフとなり、複数の駆動電極Txへの駆動信号VTP(第1電圧信号VH及び第2電圧信号VL)の供給が停止される。そして、所定の期間経過した後、時刻t2で全ての第2スイッチ素子SW2がオンとなり、複数の駆動電極Txの左端側が接続される。
【0058】
このように、第1電圧信号VHが供給される駆動電極Tx-1、Tx-3と、第2電圧信号VLが供給される駆動電極Tx-2、Tx-4とが接続されることにより、第2期間TSiで、駆動電極Txの電位は、中間電位VIとなる。中間電位VIは、第1電圧信号VHと第2電圧信号VLとの間の電位であり、理想的には、中間電位VIは、VI=(VH+VL)/2で表される。
【0059】
次に、第3期間TSmでは、コード反転駆動が行われ、上述した正方行列Hの2行目の成分(1、-1、1、-1)の極性を反転した成分(-1、1、-1、1)に基づいて駆動電極Txが駆動される。すなわち、駆動電極Tx-1、Tx-3に第2電圧信号VLが供給され、駆動電極Tx-2、Tx-4に第1電圧信号VHが供給される。第3期間TSmでは、駆動電極Txごとに、反転した成分(-1、1、-1、1)に応じて第1スイッチ素子SW1H及び第1スイッチ素子SW1Lの一方がオンとなり、他方がオフとなる。また、第2スイッチ素子SW2は全てオフとなり、複数の駆動電極Txの左端側を非接続となる。
【0060】
より詳細には、図8に示すように、時刻t3で、全ての第2スイッチ素子SW2がオフとなり、複数の駆動電極Txの左端側が非接続となる。そして、所定の期間経過した後、時刻t4で全ての第1スイッチ素子SW1がオンとなり、複数の駆動電極Txに駆動信号VTP(第1電圧信号VH及び第2電圧信号VL)が供給される。
【0061】
以下、図7に示すように、第3期間TSm、第2期間TSi、第1期間TSp、第2期間TSi、第3期間TSmのように繰り返し駆動が行われる。複数の駆動電極Txに供給される駆動信号VTPの電位は、第1電圧信号VH、中間電位VI、第2電圧信号VL、中間電位VI、第1電圧信号VH、中間電位VI、・・・のように、繰り返し変化する。
【0062】
なお、図7から図9では、コード反転駆動で、第2スイッチ素子SW2の動作により中間電位VIを形成する例を示したが、正方行列Hの2行目の成分に応じた駆動から3行目の成分に応じた駆動に移行する際に、第2期間TSiの動作を設けてもよい。また、図7から図9では、説明を分かりやすくするために、第1電圧信号VHが供給される駆動電極Txの数と、第2電圧信号VLが供給される駆動電極Txの数とが、等しい場合について説明したが、これに限定されず、第1電圧信号VHが供給される駆動電極Txの数と、第2電圧信号VLが供給される駆動電極Txの数とが、異なっていてもよい。つまり、中間電位VIの値も、第1電圧信号VHが供給される駆動電極Txの数と、第2電圧信号VLが供給される駆動電極Txの数とに応じて異なる電位になる。また、図6から図9では、4つの駆動電極Tx-1、Tx-2、Tx-3、Tx-4に、所定の符号に基づいて駆動信号VTP(第1電圧信号VH又は第2電圧信号VL)を供給する例を示したが、これに限定されず、検出領域FAの全ての駆動電極Txに駆動信号VTPを供給してもよい。
【0063】
以上説明したように、本実施形態の検出装置100は、第1方向Dxに並んで配列された複数の駆動電極Txと、第1方向Dxと交差する第2方向Dyに並んで配列された複数の検出電極Rxと、複数の駆動電極Txに駆動信号VTPを供給する駆動信号供給回路20と、複数の駆動電極Txの接続と非接続とを切り換える複数の第2スイッチ素子SW2(スイッチ素子)と、を備える。複数の駆動電極Txは、第1方向Dxで隣り合って配置される駆動電極Tx-1(第1駆動電極)と駆動電極Tx-2(第2駆動電極)とを少なくとも含み、駆動信号供給回路20は、駆動電極Tx-1及び駆動電極Tx-2の一方に第1電圧信号VHを供給し、駆動電極Tx-1及び駆動電極Tx-2の他方に第1電圧信号VHと異なる電位を有する第2電圧信号VLを供給し、複数の第2スイッチ素子SW2は、少なくとも駆動電極Tx-1及び駆動電極Tx-2との接続と非接続とを切り換える。
【0064】
このように、本実施形態の検出装置100において、第2期間TSiでの第2スイッチ素子SW2の動作により、駆動電極Txの電位は、第1電圧信号VHから中間電位VIを介して第2電圧信号VLに遷移し、あるいは、第2電圧信号VLから中間電位VIを介して第1電圧信号VHに遷移する。これにより、中間電位VIを介さずに第1電圧信号VHと第2電圧信号VLとの間を遷移させる駆動に比べ、駆動信号供給回路20は、駆動電極Txに供給する駆動信号VTPの振幅(中間電位VIから第1電圧信号VHまでの電位差、あるいは、中間電位VIから第2電圧信号VLまでの電位差)を小さくすることができる。したがって、検出装置100は、消費電力を抑制することができる。
【0065】
(第2実施形態)
図10は、第2実施形態に係る検出装置の、複数の駆動電極及び複数の検出電極の接続構成を説明するための説明図である。なお、以下の説明では、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0066】
図10に示すように、第2実施形態の検出装置100Aにおいて、検出電極選択回路14は、検出電極Rx-1、Rx-2、Rx-3、Rx-4のそれぞれに対応して、第3スイッチ素子SW3を有する。検出電極選択回路14は、第3スイッチ素子SW3の動作により、複数の検出電極Rxと、検出回路40との接続状態を切り換える。第3スイッチ素子SW3がオンになると、複数の検出電極Rxは検出回路40に接続され、検出信号Vdetが検出回路40に出力される。また、第3スイッチ素子SW3がオフになると、複数の検出電極Rxは検出回路40と非接続とされ、どこにも接続されずフローティング状態となる。
【0067】
図11は、複数の駆動電極の駆動方法及び複数の検出電極の接続構成を説明するためのタイミング波形図である。図12は、第1スイッチ素子、第2スイッチ素子及び第3スイッチ素子の切り換え動作を説明するためのタイミング波形図である。
【0068】
図11に示すように、第1スイッチ素子SW1及び第2スイッチ素子SW2の動作は、上述した第1実施形態(図6から図9)と同様であり、各駆動電極Txに供給されるVTPの波形も第1実施形態(図6から図9)と同様である。検出電極選択回路14は、第1期間TSp及び第3期間TSmに、第3スイッチ素子SW3をオンとする(図10参照)。これにより、複数の検出電極Rxは検出回路40に接続され、所定の符号に基づく検出信号Vdetが検出回路40に出力される。
【0069】
検出電極選択回路14は、第2期間TSiに、第3スイッチ素子SW3をオフとする。これにより、複数の検出電極Rxは検出回路40と非接続になり、フローティング状態となる。
【0070】
より詳細には、図12に示すように、時刻t1で、全ての第1スイッチ素子SW1がオフとなり、複数の駆動電極Txへの駆動信号VTP(第1電圧信号VH及び第2電圧信号VL)の供給が停止される。そして、所定の期間経過した後、時刻t2の前の時刻t11で第3スイッチ素子SW3がオフとなり、複数の検出電極Rxは検出回路40と非接続(フローティング状態)となる。その後、時刻t2で全ての第2スイッチ素子SW2がオンとなり、複数の駆動電極Txの左端側が接続される。
【0071】
また、時刻t3で、全ての第2スイッチ素子SW2がオフとなり、複数の駆動電極Txの左端側が非接続となる。所定の期間経過した後、時刻t4の前の時刻t31で第3スイッチ素子SW3がオンとなり、複数の検出電極Rxは検出回路40と接続される。その後、時刻t4で全ての第1スイッチ素子SW1がオンとなり、複数の駆動電極Txに駆動信号VTP(第1電圧信号VH及び第2電圧信号VL)が供給される。
【0072】
このように、第3スイッチ素子SW3の動作により、第2期間TSiで複数の検出電極Rxはフローティング状態となる。より具体的には、第2スイッチ素子SW2のオンオフが切り換えられる時刻t2、t3では、第3スイッチ素子SW3がオフの期間と重なり、複数の検出電極Rxがフローティング状態となる時刻t11から時刻t31の間に位置する。これにより、第2スイッチ素子SW2のオンオフ動作に起因するノイズが、検出電極Rxから出力される検出信号Vdetに重畳することを抑制できる。したがって、検出装置100Aは、検出精度の低下を抑制することができる。
【0073】
なお、図10では、検出電極選択回路14は、全ての第3スイッチ素子SW3をオンとされているが、これに限定されない。検出電極選択回路14は、第1期間TSp及び第3期間TSmに、一部の第3スイッチ素子SW3をオンとして、他の第3スイッチ素子SW3をオフとして、選択された検出電極Rxを検出回路40と接続してもよい。また、第2実施形態の構成は、後述する各実施形態及び各変形例と組み合わせることができる。
【0074】
(第3実施形態)
図13は、第3実施形態に係る複数の駆動電極の接続構成を説明するための説明図である。図13に示すように、第3実施形態の検出装置100Bは、複数の第2スイッチ素子SW2a、SW2b及び複数の配線23a、23bを有する。複数の第2スイッチ素子SW2a、SW2b及び複数の配線23a、23bは、複数の駆動電極Txの左端側及び右端側にそれぞれ接続される。より詳細には、複数の第2スイッチ素子SW2a及び複数の配線23aは、複数の駆動電極Txの左端側に接続される。複数の第2スイッチ素子SW2b及び複数の配線23bは、複数の駆動電極Txの右端側に接続される。複数の第2スイッチ素子SW2bの一端は、複数の駆動電極Txの右端に接続され、複数の第2スイッチ素子SW2bの他端は、共通の配線23bに接続される。駆動電極Txの左端に接続された複数の第2スイッチ素子SW2aと、駆動電極Txの右端に接続された複数の第2スイッチ素子SW2bとは、同期してオンオフが切り換えられる。
【0075】
1つの駆動電極Txに対して、2つの第2スイッチ素子SW2a、SW2bが接続されている。このため、上述した第1実施形態及び第2実施形態に比べて、第2スイッチ素子SW2a、SW2bの合計の抵抗を低減することができる。また、例えば、第1期間TSpから第2期間TSiに切り換えられた場合に、第1電圧信号VHが供給される駆動電極Tx-1、Tx-3と、第2電圧信号VLが供給される駆動電極Tx-2、Tx-4とが接続されると、各駆動電極Txの両端で電荷が移動することとなる。このため、第1電圧信号VHから中間電位VIへの遷移又は第2電圧信号VLから中間電位VIへの遷移に要する時間を短縮することができる。
【0076】
(第3実施形態の第1変形例)
図14は、第3実施形態の第1変形例に係る複数の駆動電極の接続構成を説明するための説明図である。上述した第3実施形態では、2つの第2スイッチ素子SW2a、SW2bは、各駆動電極Txの両端に接続されるが、これに限定されない。図14に示すように、第3実施形態の第1変形例に係る検出装置100Cでは、第2スイッチ素子SW2bは、隣り合う2つの駆動電極Txの間に設けられる。
【0077】
例えば、複数の駆動電極Txのうち、駆動電極Tx-1、Tx-2の接続構成について説明すると、駆動電極Tx-1、Tx-2の左端は、それぞれ第2スイッチ素子SW2a及び配線23aに接続される。駆動電極Tx-1、Tx-2の右端側では、第2スイッチ素子SW2bの一端側はコンタクト部CHを介して駆動電極Tx-1に接続され、第2スイッチ素子SW2bの他端側はコンタクト部CHを介して駆動電極Tx-2に接続される。
【0078】
このように、検出装置100Cでは、第2スイッチ素子SW2a、SW2bは、任意の位置に接続することができる。検出装置100Cでは、上述した第3実施形態に比べ、1つの駆動電極Txに複数の第2スイッチ素子SW2a、SW2bが接続された構成であっても、額縁領域GAでの配線の数の増大を抑制することができる。また、1つの駆動電極Txに対して2つの第2スイッチ素子SW2a、SW2bが設けられる構成に限定されず、3つ以上の第2スイッチ素子が設けられてもよい。
【0079】
(第3実施形態の第2変形例)
図15は、第3実施形態の第2変形例に係る複数の駆動電極の接続構成を説明するための説明図である。図15に示すように、第3実施形態の第2変形例に係る検出装置100Dでは、駆動電極Txの左端側に設けられた第2スイッチ素子SW2aは、隣り合う2つの駆動電極Txの間に設けられる。
【0080】
より詳細には、駆動電極Tx-1、Tx-2の接続構成について説明すると、駆動電極Tx-1、Tx-2の左端側では、第2スイッチ素子SW2aの一端側はコンタクト部CHを介して駆動電極Tx-1に接続され、第2スイッチ素子SW2aの他端側はコンタクト部CHを介して駆動電極Tx-2に接続される。言い換えると、駆動電極Txの左端側の額縁領域GAには駆動電極選択回路15が設けられていない。このため、検出装置100Dでは、上述した各実施形態に比べ、駆動電極Txの左端側の額縁領域GAでのスイッチ素子及び配線の数を抑制することができる。また、第3実施形態の第2変形例に示す構成は、後述する第6実施形態の検出装置100H(図22参照)に採用される。
【0081】
(第4実施形態)
図16は、第4実施形態に係る複数の駆動電極の、第1期間での接続構成を説明するための説明図である。図17は、第4実施形態に係る複数の駆動電極の、第2期間での接続構成を説明するための説明図である。
【0082】
図16及び図17に示すように、第4実施形態に係る検出装置100Eにおいて、第1スイッチ素子SW1H、SW1L及び配線21、22は、複数の駆動電極Txの左端側及び右端側の両方に設けられている。複数の駆動電極Txの左端側の第1スイッチ素子SW1H、SW1L及び複数の駆動電極Txの右端側の第1スイッチ素子SW1H、SW1Lは、同期してオンオフが切り換えられるように制御される。
【0083】
このような構成により、駆動信号供給回路20(図6参照)は、第1スイッチ素子SW1H、SW1L及び配線21、22を介して、複数の駆動電極Txの左端側及び右端側に接続される。これにより、駆動信号供給回路20(図6参照)は、複数の駆動電極Txの延在方向の一端側(左端側)及び他端側(右端側)にそれぞれ駆動信号VTPを供給する。したがって、検出装置100Eは、上述した各実施形態に比べて、第1電圧信号VH、中間電位VI及び第2電圧信号VLの各電位間の遷移に要する時間の短くすることができる。
【0084】
また、1つの駆動電極Txに対して2つの第2スイッチ素子SW2a、SW2bが設けられる。第2スイッチ素子SW2a、SW2bは、それぞれ駆動電極Txの左端側、右端側で、第1方向Dxに隣り合う2つの駆動電極Txの間に設けられる。ただし、これに限定されず、図13に示す第3実施形態と同様に、第2スイッチ素子SW2a、SW2bは、それぞれ駆動電極Txの両端に接続される構成を採用してもよい。
【0085】
第4実施形態に係る検出装置100Eは、複数の駆動電極Tx(図16図17では駆動電極Tx-1から駆動電極Tx-8)のうち、アクティブ領域AAに配置された一部の駆動電極Tx(図16図17では駆動電極Tx-3から駆動電極Tx-6)を駆動して指紋検出を実行する。
【0086】
具体的には、図16に示すように、第1期間TSpでは、駆動信号供給回路20は、上述した正方行列Hに対応する位相を有する駆動信号VTPを、アクティブ領域AAの複数の駆動電極Tx-3、Tx-4、Tx-5、Tx-6のそれぞれに供給する。また、アクティブ領域AA以外にある複数の駆動電極Tx-1、Tx-2、Tx-7、Tx-8は、第1スイッチ素子SW1H、SW1L及び第2スイッチ素子SW2a、SW2bが全てオフとなり、フローティング状態となる。ただし、アクティブ領域AA以外にある複数の駆動電極Txは、フローティング状態に限定されず、所定の基準電位(例えばグランド電位)に接続されてもよい。
【0087】
次に、図17に示すように、第2期間TSiでは、全ての第1スイッチ素子SW1H、SW1Lがオフとなり、アクティブ領域AAの駆動電極Txと駆動信号供給回路20とが非接続となる。そして、第2期間TSiでは、アクティブ領域AAの駆動電極Txを接続する第2スイッチ素子SW2a、SW2bがオンとなり、アクティブ領域AAの複数の駆動電極Tx-3、Tx-4、Tx-5、Tx-6は、第2スイッチ素子SW2a、SW2bを介して接続される。
【0088】
これにより、アクティブ領域AAで第1電圧信号VHが供給される駆動電極Tx-3、Tx-5と、第2電圧信号VLが供給される駆動電極Tx-4、Tx-6とが接続されることにより、第2期間TSiではアクティブ領域AAの複数の駆動電極Txの電位は、中間電位VIとなる。
【0089】
以下、アクティブ領域AAの複数の駆動電極Txについて、第3期間TSm、第2期間TSi、第1期間TSp、・・・の動作が繰り返し行われる。
【0090】
第4実施形態の検出装置100Eは、検出領域FAのうち、アクティブ領域AAの複数の駆動電極TxのみでCDM駆動が行われるので、検出領域FAの全面で指紋検出を行う場合に比べて消費電力を抑制することができ、複数の駆動電極Txのスキャンに要する時間を短縮することができる。
【0091】
なお、アクティブ領域AAは、予め指紋検出領域として設定された領域、すなわち固定された領域であってもよい。あるいは、アクティブ領域AAは、検出領域FAの全ての駆動電極Txを時分割で駆動することでタッチ検出(検出領域FAにおける指位置の座標検出)を行い、検出された指Fgの位置に基づいて設定された領域であってもよい。
【0092】
(第4実施形態の第3変形例)
図18は、第4実施形態の第3変形例に係る複数の駆動電極の接続構成を説明するための説明図である。図18に示すように、第4実施形態の第3変形例に係る検出装置100Fにおいて、複数の駆動電極Txは、それぞれスリットSLで複数に分割されている。駆動信号供給回路20は、スリットSLに対して左側の複数の駆動電極Tx、及び、スリットSLに対して右側の複数の駆動電極Txに、それぞれ独立して駆動信号VTPを供給することができる。
【0093】
すなわち、複数の駆動電極Txの左端側に接続された複数の第1スイッチ素子SW1H、SW1L及び複数の第2スイッチ素子SW2aと、複数の駆動電極Txの右端側に接続された複数の第1スイッチ素子SW1H、SW1L及び複数の第2スイッチ素子SW2bと、は独立してオンオフが切り換えられるように制御される。
【0094】
図18に示す例では、複数の駆動電極Tx-3、Tx-4、Tx-5、Tx-6のうち、スリットSLに対して右側のアクティブ領域AA2の複数の駆動電極Tx-3、Tx-4、Tx-5、Tx-6で、上述したCDM駆動による指紋検出が実行される。スリットSLに対して左側のアクティブ領域AA1の複数の駆動電極Tx-3、Tx-4、Tx-5、Tx-6は、全ての第1スイッチ素子SW1H、SW1L及び複数の第2スイッチ素子SW2aがオフとなり、フローティング状態とされる。この場合、アクティブ領域AA2と重畳する検出電極Rx-3、Rx-4から検出信号Vdetが出力され、アクティブ領域AA1と重畳する検出電極Rx-1、Rx-2からは検出信号Vdetが出力されない。
【0095】
第4実施形態の第3変形例に係る検出装置100Fでは、上述した第4実施形態に比べて、CDM駆動が実行されるアクティブ領域AA2の面積をさらに小さく設定することができる。また、検出装置100Fでは、第4実施形態に比べて、駆動信号VTPが供給されるそれぞれの駆動電極Txの面積が小さい(第2方向Dyの長さが短い)。したがって、検出装置100Fは、第1電圧信号VH、中間電位VI及び第2電圧信号VLの各電位間の遷移に要する時間の増大を抑制することができる。
【0096】
(第5実施形態)
図19は、第5実施形態に係る検出装置の構成例を示す平面図である。図19に示すように、第5実施形態に係る検出装置100Gは、駆動電極Tx及び検出電極Rxに加え、タッチ検出電極TEを有する。タッチ検出電極TEは、駆動電極Tx及び検出電極Rxを囲む枠状に設けられる。駆動電極Tx及び検出電極Rxは、検出領域FA1に設けられ、タッチ検出電極TEは、検出領域FA1の外側(基板101の外周側)の検出領域FA2に設けられる。
【0097】
タッチ検出電極TEは、例えば自己静電容量方式のタッチ検出により、検出領域FA1、FA2への指Fgの接触又は近接を検出することができる。タッチ検出電極TEは、駆動電極選択回路15及び検出電極選択回路14を介さずに直接検出用IC(図示しない)に接続されてもよいし、駆動電極選択回路15及び検出電極選択回路14は、タッチ検出電極TEのタッチ検出に兼用されてもよい。なお、タッチ検出電極TEは、1つの連続した枠状に形成される構成に限定されず、検出領域FA2に複数に分割して配置されてもよい。
【0098】
なお、指紋認証を行うべく使用者が検出領域FA1に指Fgを近づけると、当該指Fgの少なくとも一部は検出領域FA2に重なる(当接する)。本実施例に係る検出装置100Gは使用者の指Fgに対してそのような大きさを有するものである。また、タッチ検出電極TEを有していることにより、当該電極によってタッチが検出されている期間以外は実質的に指紋検出駆動を行う必要がない。したがって、本実施例の構成においては、タッチ検出期間は通常の指紋検出駆動を実施する一方、タッチ検出期間以外の期間はアイドリングモードとして指紋検出駆動を実施しないか、あるいはタッチ検出期間の指紋検出駆動の周期よりもかなり長い周期で指紋検出駆動を間欠的に実施する。
【0099】
図20は、第5実施形態に係る検出装置の駆動方法を説明するための説明図である。図20に示すように、検出装置100Gは、指紋検出モード(通常検出モード)と、アイドリングモードと、を有する。指紋検出モードでは、検出制御部11(図4参照)は、駆動電極Tx及び検出電極Rxで、上述したCDM駆動を実行することで、指Fgの指紋を検出する。検出制御部11は、所定の期間、指紋の検出がない場合(時刻t21)に、CDM駆動を停止し、アイドリングモードに移行する。
【0100】
アイドリングモードでは、指Fgの指紋を検出しない。具体的には、アイドリングモードでは、検出制御部11は、所定の周期で駆動信号VIDをタッチ検出電極TEに供給して、タッチ検出、すなわち指Fgの接触又は近接の検出を行う。タッチ検出が行われるタッチ検出期間TSfの周期は、指紋検出モードでの検出の周期よりも長く設定される。
【0101】
また、アイドリングモードでは、検出制御部11は、所定の周期で駆動電極Tx及び検出電極Rxについて、上述したCDM駆動を実行する。これにより、検出制御部11は、指Fgがない状態での指紋検出のベースライン信号を取得する。そして、検出制御部11は、新たに取得されたベースライン信号と従来のベースライン信号とを比較して、これらが異なっている場合には、新たに取得されたベースライン信号に更新する。
【0102】
タッチ検出期間TSfで、指Fgの接触又は近接が検出された場合(時刻t22)、検出制御部11は、アイドリングモードから指紋検出モードに移行する。
【0103】
本実施形態では、検出領域FA1の駆動電極Tx及び検出電極Rxについて、指紋検出モード及びアイドリングモードで、同じ駆動が行われ、上述した第1期間TSp、第2期間TSi、第3期間TSm、第2期間TSi、第1期間TSp、・・・の動作が繰り返し実行される。
【0104】
なお、図20では、アイドリングモードで、タッチ検出電極TEによるタッチ検出(タッチ検出期間TSf)と、駆動電極Tx及び検出電極Rxによるベースライン信号の取得とが、交互に行われているが、これに限定されない。例えば、アイドリングモードの期間では、少なくとも1回、駆動電極Tx及び検出電極Rxによるベースライン信号の取得が行われれば良く、ベースライン信号の取得の後、タッチ検出電極TEによるタッチ検出が、複数回所定の周期で繰り返し実行されてもよい。
【0105】
(第5実施形態の第4変形例)
図21は、第5実施形態の第4変形例に係る検出装置の駆動方法を説明するための説明図である。図21に示すように、第5実施形態の第4変形例に係る検出装置100Gは、上述した第5実施形態に比べて、指紋検出モード(通常検出モード)での動作が異なる。
【0106】
具体的には、指紋検出モードでは、第2期間TSiを有さず、第1期間TSpと第3期間TSmとが繰り返し配置される。つまり、指紋検出モードでは、第2期間TSiの動作を実行せず、複数の駆動電極Txに、所定の符号(正方行列H)に基づく第1電圧信号VHと第2電圧信号VLとが、中間電位VIを介さずに交互に供給される。一方、アイドリングモードでは、上述した第1期間TSp、第2期間TSi、第3期間TSm、第2期間TSi、第1期間TSp、・・・の動作が繰り返し実行される。つまり、アイドリングモードでは、複数の駆動電極Txに、所定の符号(正方行列H)に基づく第1電圧信号VHと第2電圧信号VLとが、中間電位VIを介して交互に供給される。
【0107】
第4変形例では、指紋検出モードでの複数の駆動電極Txのスキャン速度を向上させることができ、指紋検出に要する時間を短縮することができる。一方、スキャン速度の制約が少ないアイドリングモードでは、上述した消費電力を抑制する駆動が行われる。このように、検出装置100Gは、要求される特性(スキャン速度の向上又は消費電力の抑制)に応じて、複数の駆動電極TxのCDM駆動の方式を切り換えることができる。
【0108】
なお、図21では、指紋検出モードとアイドリングモードとで、複数の駆動電極TxのCDM駆動の方式を切り換える例を示したが、これに限定されない。例えば、検出領域FAの全面で指紋検出を行う場合と、一部のアクティブ領域AAで指紋検出を行う場合とでCDM駆動の方式を切り換えてもよいし、検出の解像度等の検出条件に応じてCDM駆動の方式を切り換えてもよい。
【0109】
(第6実施形態)
図22は、第6実施形態に係る検出装置の構成例を示す平面図である。第6実施形態の検出装置100Hでは、上述した第1実施形態から第5実施形態に比べて、駆動電極Tx及び検出電極Rxと、周辺回路及び配線基板76との配置関係が異なる。具体的には、図22に示すように、駆動電極選択回路15と駆動電極Txとは、駆動電極Txが延在する第2方向Dyに並べられている。配線基板76は、額縁領域GAの、駆動電極選択回路15が設けられた辺に接続されている。複数の検出電極選択回路14は、第1方向Dxに、複数の駆動電極Txを挟むように、配置されている。
【0110】
駆動電極選択回路15は、シフトレジスタ回路151と、バッファー回路152とを含む。シフトレジスタ回路151は、駆動電極Txを所定の符号に基づいて選択する。バッファー回路152は、選択された駆動電極Txに駆動信号VTPを増幅して供給する。複数の給電線PLは、バッファー回路152へ外部から給電する。給電線PLは、例えば、バッファー回路152の、第1方向Dxの両端および中央部分へ給電する。第6実施形態では、複数の駆動電極Txと、駆動電極選択回路15との距離のばらつきが小さいので、複数の駆動電極Txと、駆動電極選択回路15とを接続する配線(図示は省略する)の抵抗の差が小さく形成され、駆動信号VTPの電圧のばらつきが生じることを抑制することができる。
【0111】
(第7実施形態)
図23は、第7実施形態に係る検出装置の概略断面構成を示す断面図である。図23に示すように、第7実施形態に係る検出装置100Iは、表示パネル30(図2参照)を有さず、検出装置100I単体で構成される。検出装置100Iは、基板101、駆動電極Tx及び検出電極Rx等の材料として、透光性を有さない材料を用いることができる。例えば、駆動電極Tx及び検出電極Rxの材料として、金属材料を用いることができる。また、第2スイッチ素子SW2等のスイッチ素子の配置の自由度も向上させることができる。
【0112】
また、検出装置100Iでは、カバー部材80がなくてもよい。この場合、カバー部材80に換えて、駆動電極Tx及び検出電極Rxを覆う保護膜(絶縁膜)が設けられる構成であってもよい。
【0113】
以上、本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明はこのような実施の形態に限定されるものではない。実施の形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0114】
1 表示装置
10 センサ部
11 検出制御部
14 検出電極選択回路
15 駆動電極選択回路
20 駆動信号供給回路
20a 第1電圧信号供給部
20b 第2電圧信号供給部
21、22、23、23a、23b 配線
30 表示パネル
40 検出回路
100A、100B、100C、100D、100E、100F、100G、100H、100I 検出装置
101 基板
AA、AA1、AA2 アクティブ領域
FA 検出領域
GA 額縁領域
VH 第1電圧信号
VL 第2電圧信号
VI 中間電位
VTP 駆動信号
Rx 検出電極
Tx 駆動電極
TSp 第1期間
TSi 第2期間
TSm 第3期間
SW1H、SW1L 第1スイッチ素子
SW2、SW2a、SW2b 第2スイッチ素子
SW3 第3スイッチ素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23