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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022115383
(43)【公開日】2022-08-09
(54)【発明の名称】蓋の取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60K 15/05 20060101AFI20220802BHJP
【FI】
B60K15/05 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021011958
(22)【出願日】2021-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】308039414
【氏名又は名称】株式会社FTS
(74)【代理人】
【識別番号】100120765
【弁理士】
【氏名又は名称】小滝 正宏
(74)【代理人】
【識別番号】100097076
【弁理士】
【氏名又は名称】糟谷 敬彦
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 康行
(72)【発明者】
【氏名】磯村 鎮司
【テーマコード(参考)】
3D038
【Fターム(参考)】
3D038CA32
3D038CB01
3D038CC16
(57)【要約】
【課題】取付け容易で、取付け時のがたつきを無くした蓋の取付構造を提供する。
【解決手段】ボックス取付部24の少なくとも一方の側面には円柱形状のボックス取付部凹部26が形成され、アーム部材収納部37の側面には、ボックス取付部凹部26に合致する位置に断面円形の筒状に突出し、先端部分にジグザグ形状の凹凸部39が全周に形成された凹部受け部38が形成され、凹部受け部38を貫通すると共にボックス取付部凹部26内に挿入されて係合可能な胴部41と、胴部41の先端部分に形成され、凹部受け部38の凹凸部39と係合可能な突起部43が形成された鍔部42を有するキャップ40を嵌め込むことにより蓋10を開閉可能にアーム部材収納部37に取付ける。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の給油口又は充電口等を塞ぐ蓋は、ボックス取付部が形成されたアーム部材を有し、前記車体の給油口又は充電口等には、開口部を有するボックス本体部と前記アーム部材を収納するアーム部材収納部を有するボックスが取付けられ、前記ボックス取付部を回転中心として前記蓋を開閉可能に前記アーム部材収納部に取付ける蓋の取付構造であって、
前記ボックス取付部の少なくとも一方の側面には円柱形状のボックス取付部凹部が形成され、
前記アーム部材収納部の側面には、前記ボックス取付部凹部に合致する位置に断面円形の筒状に突出し、先端部分にジグザグ形状の凹凸部が全周に形成された凹部受け部が形成され、
前記凹部受け部を貫通すると共に前記ボックス取付部凹部内に挿入されて係合可能な胴部と、前記胴部の先端部分に形成され、前記凹部受け部の前記凹凸部と係合可能な突起部が形成された鍔部を有するキャップを嵌め込むことにより前記蓋を開閉可能に前記アーム部材収納部に取付けることを特徴とする蓋の取付構造。
【請求項2】
前記凹部受け部の前記凹凸部の各凹部と各凸部は、前記凹部受け部を側面視した時に、それぞれ同一形状であり、交互に連続して形成されている請求項1に記載の蓋の取付構造。
【請求項3】
前記キャップの前記突起部は、前記キャップを側面視した時に、前記凹部受け部の前記凹凸部の前記凹部と相似形状である請求項2に記載の蓋の取付構造。
【請求項4】
前記キャップの前記突起部は、周方向において、点対称の位置から僅かにずれた位置に複数形成されている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の蓋の取付構造。
【請求項5】
前記アーム部材収納部の前記凹部受け部の内側面には、周状に溝部が形成され、前記キャップの前記胴部の外側面には、前記凹凸部と前記突起部が係合した時に前記凹部受け部の前記溝部に合致する位置に係合凸部が形成され、前記溝部と前記係合凸部が係合する請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の蓋の取付構造。
【請求項6】
前記キャップの前記胴部は、前記アーム部材収納部の前記凹部受け部を貫通する貫通部と、前記ボックス取付部の前記凹部に挿入される前記貫通部より小さい直径を有する挿入部が同軸に形成されている請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の蓋の取付け構造。
【請求項7】
前記キャップと前記ボックス取付部は、異なる材料で形成される請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の蓋の取付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車車両等の車体の給油口、充電口等を塞ぎ、開閉可能な蓋の取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車用タンクにガソリン等の燃料や水素を給油又は充填する場合には、車体に設けられた給油口又は充填口を塞ぐ給油口蓋、充填口蓋を開き、燃料キャップを外して給油口から燃料を給油する、又は、充填ポートに充填プラグを差し込んで水素を充填する。又、電気自動車やPHV(プラグインハイブリッド車)に電気を充電する場合には、充電蓋を開き、急速充電ポート又は普通充電ポートのキャップを外し、充電コネクタを充電ポートに差し込んで充電する。
【0003】
この種の蓋の取付け構造として、特許文献1に開示された技術を図1から図5に基づいて説明する。給油口蓋である蓋10の裏面12には、アーム部材20が取付けられている。アーム部材20は、円弧状に湾曲した板状であり、その先端部分には、ボックス30(給油口ボックス)に取付けられる部分であるボックス取付部24を有している。
【0004】
アーム部材20のボックス取付部24は、図4に示すように、ボックス30のアーム部材係合部350に(図3)係合するアーム部材20のボックス係合ピン250が形成されている。ボックス係合ピン250は、ボックス取付部24の先端の両側面に形成されている。
【0005】
一方、ボックス30は、図1図2に示すように、底部の中心に車体2の給油口1と連通する給油ガンを挿入する給油孔36(開口部)を有するボックス本体部31とアーム部材20を収納するアーム部材収納部37を有し、ボックス30は、シール部材33を介して車体2のボックス保持部3に取付けられている。アーム部材収納部37は、車体2のボックス保持部3が形成されている部分よりも車体2の内側(図1における左側)に入り込んで形成されている。
【0006】
図3に示すように、アーム部材収納部37には、アーム部材係合部350までアーム部材20のボックス係合ピン250を案内するアーム部材ガイド部34が形成されており、アーム部材ガイド部34の先端部分には、アーム部材20のボックス係合ピン250を係合するアーム部材係合部350が形成されている。
【0007】
アーム部材ガイド部34を形成したため、アーム部材20をボックス30に取付ける時に、アーム部材ガイド部34の中にアーム部材20のボックス係合ピン250を挿入して摺動することにより、ボックス30のアーム部材収納部37の奥が見にくくても、容易にアーム部材20をボックス30に組み付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2019-85060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1では、ボックス30のアーム部材収納部37にはアーム部材ガイド部34を形成し、アーム部材ガイド部34内をアーム部材20のボックス係合ピン250が通過することにより、蓋10をボックス30に取付けやすい構造になっている。しかし、アーム部材ガイド部34とボックス係合ピン250との間にはクリアランスが必要であるので、取付け後にアーム部材20がアーム部材収納部37のアーム部材係合部350内でがたつき、蓋10が閉まり難くなる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、車体の給油口又は充電口等を塞ぐ蓋は、ボックス取付部が形成されたアーム部材を有し、車体の給油口又は充電口等には、開口部を有するボックス本体部とアーム部材を収納するアーム部材収納部を有するボックスが取付けられ、ボックス取付部を回転中心として蓋を開閉可能に前記アーム部材収納部に取付ける蓋の取付構造であって、ボックス取付部の少なくとも一方の側面には円柱形状のボックス取付部凹部が形成され、アーム部材収納部の側面には、ボックス取付部凹部に合致する位置に断面円形の筒状に突出し、先端部分にジグザグ形状の凹凸部が全周に形成された凹部受け部が形成され、凹部受け部を貫通すると共にボックス取付部凹部内に挿入されて係合可能な胴部と、胴部の先端部分に形成され、凹部受け部の凹凸部と係合可能な突起部が形成された鍔部を有するキャップを嵌め込むことにより蓋を開閉可能にアーム部材収納部に取付けることを特徴とする蓋の取付構造である。
【0011】
請求項1の本発明では、ボックス取付部の少なくとも一方の側面には円柱形状のボックス取付部凹部が形成され、アーム部材収納部の側面には、ボックス取付部のボックス取付部凹部に合致する位置に断面円形の筒状に突出した凹部受け部が形成され、ボックス取付部にアーム部材収納部の凹部受け部を貫通し、ボックス取付部のボックス取付部凹部内に挿入されて係合するキャップを嵌め込むことによりボックスのアーム部材収納部にアーム部材を有する蓋を取付けることができるので、アーム部材がアーム部材収納部内でがたつくことを防止することができる。
【0012】
又、凹部受け部の先端部分には、ジグザグ形状の凹凸部が全周に形成された凹部受け部が形成され、キャップの鍔部にはジグザグ形状の凹凸部と係合可能な突起部が形成されているので、鍔部に形成された突起部の位置を確認することなく凹部受け部にキャップの胴部を挿入した場合であっても、突起部を凹部受け部のジグザグ形状の凹凸部に係合させることができる。その結果、キャップの取付けを容易に行うことができる。
【0013】
ここで、「ジグザグ形状」とは、直線に対して、左へ角度を付けたら次は右へ、その次は再び左、次はまた右・・・と、一定の間隔ごとに角度を付け、その都度折り返して逆方向へ折れ曲がる線状をいう。又、本発明の「ジグザグ形状」には、凹凸部の凸部の線の角の部分を緩やかな曲線にした線状、凹凸部の凹部の線の角部を緩やかな曲線にした線状、又は、凹凸部の凸部と凹部の線の角部を共に緩やかな曲線にした波線を含む。
【0014】
請求項2の本発明は、請求項1の発明において、凹部受け部の凹凸部の各凹部と各凸部は、凹部受け部を側面視した時に、それぞれ同一形状であり、交互に連続して形成されている蓋の取付構造である。
【0015】
請求項2の本発明では、凹部受け部の凹凸部の各凹部と各凸部は、凹部受け部を側面視した時に、それぞれ同一形状であり、交互に連続して形成されているので、凹凸部のどの位置においても鍔部に形成された突起部を確実に係合させることができる。その結果、キャップの取付けを極めて容易に行うことができる。
【0016】
請求項3の本発明は、請求項2の発明において、キャップの突起部は、キャップを側面視した時に、凹部受け部の凹凸部の凹部と相似形状である蓋の取付構造である。
【0017】
請求項3の本発明では、キャップの突起部は、キャップを側面視した時に、凹部受け部の凹凸部の凹部と相似形状であるので、少なくとも突起部の一方の斜面を凹凸部の凹部の斜面に当接させることができる。その結果、キャップの周方向におけるがたつきを抑制することができる。なお、がたつきを抑制する観点からは、キャップの突起部は凹部受け部の凹凸部の凹部に可能な限り隙間なく入り込める程度の相似形が望ましい。
【0018】
請求項4の本発明は、請求項1又は請求項3の発明において、キャップの突起部は、周方向において、点対称の位置から僅かにずれた位置に複数形成されているの蓋の取付構造である。
【0019】
キャップに突起部を複数形成する場合、それらを周方向において点対称の位置に形成すると、キャップを凹部受け部に挿入するために軽く押し付けた時に、突起部の先端部分と凹凸部の凸部の先端部分が当接する場合がある。この場合、突起部が凹凸部の凸部の斜面のどちらかを伝って移動することができないので、意図的にキャップを回転させる動作を加えないと突起部と凹凸部とを確実に係合させることができない。
【0020】
請求項4の本発明では、キャップの突起部は、周方向において、点対称の位置から僅かにずれた位置に複数形成されているので、突起部と凹凸部において1つの先端部分同士が当接した場合であっても、他の先端部分同士は当接していない。その結果、キャップを凹部受け部に軽く押し付けた時に、鍔部内において、先端部分同士が当接していない側に力が加わり、キャップに対して周方向の回転力が自然に働き、当接していた先端部分が移動して先端部分同士の当接状態が解除されるので、突起部と凹凸部とを係合させることができ、キャップの取付を確実に行うことができる。
【0021】
請求項5の本発明は、請求項1から請求項4の発明において、アーム部材収納部の凹部受け部の内側面には、周状に溝部が形成され、キャップの胴部の外側面には、凹凸部と突起部が係合した時に凹部受け部の溝部に合致する位置に係合凸部が形成され、溝部と前記係合凸部が係合する蓋の取付構造である。
【0022】
請求項5の本発明では、アーム部材収納部の凹部受け部の内側面には、周状に溝部が形成され、キャップの胴部の外側面には、凹凸部と突起部が係合した時に凹部受け部の溝部に合致する位置に係合凸部が形成され、溝部と前記係合凸部が係合するので、蓋の開閉や走行時の振動等によってキャップがアーム部材収納部の凹部受け部から抜けるのを防止することができる。なお、キャップの係合凸部は、アーム部材収納部の凹部受け部に形成された周状の内側溝部と同様に周状に形成しても良く、アーム部材収納部の周状の内側溝部に合致する位置に部分的に、例えば、線状或いはドット状に形成しても良い。
【0023】
請求項6の本発明は、請求項1から請求項5の発明において、キャップの胴部は、アーム部材収納部の凹部受け部を貫通する貫通部と、ボックス取付部のボックス取付部凹部に挿入される貫通部より小さい直径を有する挿入部が同軸に形成されている蓋の取付け構造である。
【0024】
キャップをボックス取付部のボックス取付部凹部内に挿入する場合、アーム部材収納部の凹部受け部側からボックス取付部のボックス取付部凹部の位置を確認する必要がある。ボックス取付部のボックス取付部凹部の直径がアーム部材収納部の凹部受け部の内径と同じである場合は、ボックス取付部のボックス取付部凹部の位置を確認することが難しい。
【0025】
請求項6の本発明では、キャップの胴部は、アーム部材収納部の凹部受け部を貫通する貫通部と、ボックス取付部のボックス取付部凹部に挿入される貫通部の幅より小さい直径を有する挿入部が同軸に形成されているので、アーム部材収納部の凹部受け部からボックス取付部のボックス取付部凹部の位置を容易に確認することができ、キャップをボックス取付部のボックス取付部凹部内に挿入する作業性が向上する。
【0026】
請求項7の本発明は、請求項1から請求項6の発明において、キャップとボックス取付部は、異なる材料で形成される蓋の取付構造である。
【0027】
キャップとボックス取付部を同一材料で形成した場合は、係合するキャップとボックス取付部のボックス取付部凹部の双方が摩耗し易い。請求項6の本発明では、キャップとボックス取付部は、異なる材料で形成されるので、係合するキャップとボックス取付部のボックス取付部凹部の双方が摩耗し、経時的にがたつきが発生することを防止できる。
【発明の効果】
【0028】
ボックス取付部の少なくとも一方の側面には円柱形状のボックス取付部凹部が形成され、アーム部材収納部の側面には、ボックス取付部のボックス取付部凹部に合致する位置に断面円形の筒状に突出した凹部受け部が形成され、ボックス取付部にアーム部材収納部の凹部受け部を貫通し、ボックス取付部のボックス取付部凹部内に挿入されて係合するキャップを嵌め込むことによりボックスのアーム部材収納部にアーム部材を有する蓋を取付けることができるので、アーム部材がアーム部材収納部内でがたつくことを防止することができる。
【0029】
又、凹部受け部の先端部分には、ジグザグ形状の凹凸部が全周に形成された凹部受け部が形成され、キャップにはジグザグ形状の凹凸部と係合可能な突起部が形成されているので、鍔部に形成された突起部の位置を確認することなく凹部受け部にキャップの胴部を挿入した場合であっても、突起部を凹部受け部のジグザグ形状の凹凸部に係合させることができる。その結果、キャップの取付けを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】蓋を開いた状態のボックスと蓋及びアーム部材の断面図である。
図2図1におけるアーム部収納部近傍の拡大断面図である。
図3】アーム部材収納部の一方の側面の斜視図である。
図4】ボックス取付部の一方の側面の斜視図である。
図5】ボックス取付部のボックス取付部凸部(ボックス係合ピン)近傍の断面図である。
図6】本発明の実施形態を示すもので、アーム部材のボックス取付部の他方の側面の斜視図である。
図7】本発明の実施形態を示すものであり、(a)はアーム部材収納部の他方の側面における凹部受け部とキャップとの関係を説明する斜視図、(b)は凹部受け部の拡大斜視図である。
図8】本発明の第1の実施形態を示すものであり、アーム部材収納部の凹部受け部近傍の断面図である。
図9】本発明の第1の実施形態を示すものであり、(a)はキャップの突起部が凹部受け部の凹凸部の凸部に当接した状態、(b)はキャップが嵌め込まれた状態の凹部受け部近傍の側面図である。
図10】本発明の第2の実施形態を示すものであり、アーム部材収納部の凹部受け部近傍の断面図である。
図11図10におけるA方向から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下の実施形態は、車体2の給油口1を塞ぐと共に開閉する蓋10(給油口蓋)の取付構造に関し説明するものであるが、燃料電池自動車に水素を充填する場合の充填口や電気自動車やPHV(プラグインハイブリッド車)に電気を充電する場合の充電口としても使用できる。なお、背景技術と同じ部位においては、同一番号を使用して説明する。
【0032】
蓋10は、図1に示すように、車体2の給油口1を塞ぐために給油口1の形状に合わせて形成されている。自動車用燃料タンクに燃料を給油する場合に、車体2に設けられた給油口1を塞ぐ蓋10を開いて給油口1から燃料を給油する。
【0033】
蓋10の裏面12には、蓋10の取付部材であるアーム部材20を取付ける蓋10のアーム部材取付部13が設けられている。本実施形態では、蓋10のアーム部材取付部13は、2枚の平行板として形成されている。アーム部材取付部13には、アーム部材20が取付けられる蓋10のアーム部材取付孔14が設けられている。
【0034】
アーム部材20は、図1図2に示すように、円弧状に湾曲した形状を有し、一方の先端には、蓋10に取付けられる蓋取付部21と、他方の先端には、ボックス30に取付けられるボックス取付部24を有している。蓋取付部21が蓋10のアーム部材取付孔14に嵌め込まれて、蓋10がアーム部材20に取付けられる。
【0035】
なお、蓋10とアーム部材20を一体的に形成して、アーム部材20の蓋取付部21と蓋10のアーム部材取付孔14を省略して、蓋10の裏面12にアーム部材20の蓋取付部21を一体的に形成してもよい。
【0036】
アーム部材20の蓋取付部21の先端には、ボックス30側に延設された蓋ロック部22が形成されている。蓋ロック部22は、蓋10が閉まった時に、後述するボックス30のロックピン32と係合する。
【0037】
ボックス30は、底部の中心に車体2の給油口1と連通する給油ガンを挿入する給油孔36(開口部)を有するボックス本体部31とアーム部材20を収納するアーム部材収納部37を有し、ボックス30は、シール部材33を介して車体2のボックス保持部3に取付けられている。アーム部材収納部37は、車体2のボックス保持部3が形成されている部分よりも車体2の内側(図1における左側)に入り込んで形成されている。アーム部材収納部37の詳細は後述する。
【0038】
ボックス30のアーム部材収納部37と反対側には、ロックピン32が形成され、蓋10が閉じられた時に、ロックピン32がアーム部材20の蓋ロック部22に係合して、蓋10をロックすることができる。蓋10を開く時は、ボックス30のロックピン32が後退して、アーム部材20の蓋ロック部22から外れる。
【0039】
ボックス本体部31の上端の周囲には、シール部材33が取付けられて、ボックス本体部31が、車体2のボックス保持部3に取付けられた時に、ボックス保持部3とボックス本体部31の上端の間をシールする。
【0040】
図3図5に示すように、アーム部材収納部37の一方の側面37aには、アーム部材20のボックス取付部24に形成された円柱形状のボックス取付部凸部25をボックス本体部31から案内するアーム部材ガイド部34が突出して形成され、アーム部材ガイド部34の先端部分には、アーム部材20のボックス取付部24に形成された円柱形状のボックス取付部凸部25と係合する凸部受け部35が形成されている。
【0041】
ボックス取付部24のボックス取付部凸部25が通過するアーム部材ガイド部34の幅は、ボックス取付部凸部25の直径より少し大きく形成され、ボックス取付部凸部25が通過しやすくなっている。又、アーム部材ガイド部34と凸部受け部35の連結部には、ボックス取付部凸部25の直径よりわずかに小さい幅となるような両側が窪んだ狭幅部34aが形成されている。ボックス取付部凸部25を狭幅部34aに押し込み、狭幅部34aが少し撓んでボックス取付部凸部25を通過させることにより凸部受け部35にボックス取付部凸部25を嵌め込むと共にボックス取付部凸部25が凸部受け部35から外れることを防止できる。なお、アーム部材ガイド部34の凸部受け部35の幅は、ボックス取付部凸部25の直径とほぼ同じに形成され、凸部受け部35内におけるボックス取付部凸部25のズレを抑えている。
【0042】
又、ボックス30のアーム部材ガイド部34と凸部受け部35の連結部の狭幅部34aが形成されている場所の外面から内部方向(狭幅部34aと直交する方向)には、ボックス本体部31側に傾斜面を有するアーム部材ガイド部突起部34bが形成されている。
【0043】
図4に示すように、アーム部材20のボックス取付部24の一方の側面24aには、円柱形状に突出してボックス取付部凸部25が形成されている。又、その先端部分は斜面状に切りかかれた凸部斜面25aが形成されている。凸部斜面25aによりボックス取付部凸部25がアーム部材ガイド部34のアーム部材ガイド部突起部34bを乗り越えやすくなるので、アーム部材20をボックス30の凸部受け部35に取付けやすい。なお、凸部斜面25aは形成しなくてもよい。
【0044】
一方、図6に示すように、ボックス取付部24の他方の側面24bには、反対側の側面に形成されているボックス取付部凸部25と同軸に円柱形状のボックス取付部凹部26がボックス取付部凸部25と同軸に形成されている。
【0045】
図7(a)と図8に示すように、アーム部材収納部37の他方の側面37bには、ボックス取付部24のボックス取付部凹部26に合致する位置に、断面が円形の筒状に突出した凹部受け部38が形成されている。又、図7(b)に示すように、凹部受け部38の先端部分には、ジグザグ形状の凹凸部39が全周に形成されている。又、図7(a)、(b)と図8に示すように、凹部受け部38の内側には、周状に内側溝部38bが形成されている。
【0046】
本実施形態では、図7(b)と図9(a)、(b)に示すように、凹凸部39は、凹部受け部38を側面視した時に、同じ大きさの正三角形が連続して12個並べられた形状に形成されており、したがって、凸部39aと凹部39bの形状も正三角形である。又、凹凸部39の凸部39aと凹部39bの先端部分は、弧状に形成されている。
【0047】
なお、ジグザグ形状の凹凸部39の凸部39a(凹部39b)の数は12には限定されず、凹凸部39の形状は、正三角形でなく、二等辺三角形でもよく、又、側面視で左右対称形状でなくてもよい。更に、凹凸部39の凸部39aと凹部39bの先端部分は弧状でなくてもよい。
【0048】
又、凹凸部39の内側は、後述するキャップ40の胴部41の挿入時の妨げにならないように面取りされている。
【0049】
キャップ40は、図7(a)と図8に示すように、アーム部材収納部37の凹部受け部38を貫通し、ボックス取付部24のボックス取付部凹部26内に挿入して係合される円柱形状の胴部41と胴部41の先端部分に形成された鍔部42を有している。キャップ40の鍔部42の直径は、胴部41の直径より大きい。
【0050】
又、胴部41の長さは、ボックス取付部24のボックス取付部凹部26の底部に当接するように設定されている。これにより、キャップ40をボックス取付部24のボックス取付部凹部26内に挿入した時に、ボックス取付部24の一方の側面24aに形成された円柱形状に突出したボックス取付部凸部25をアーム部材収納部37の凸部受け部35の裏面側(アーム部材収納部37の他の側面37b側)に押し、ボックス取付部凸部25と凸部受け部35が接近又は当接する。そして、ボックス取付部凸部25と凸部受け部35との間のクリアランスが小さくなる又は無くなるので、ボックス取付部24がアーム部材収納部37の凸部受け部35内でがたつくことなく回動可能になる。
【0051】
又、図7(a)と図9(a)、(b)に示すように、鍔部42の胴部41側にはアーム部材収納部37の凹部受け部38の先端部分に形成されたジグザグ形状の凹凸部39に係合する突起部43が形成されている。突起部43の形状は、図9(a)、(b)に示すように、凹凸部39の凹部39bと同様に正三角形であり、凹部39bより僅かに小さい。又、先端部分と付け根部分は弧状に形成されている。なお、弧状でなくてもよい。
【0052】
図9(a)に示すように、キャップ40を凹部受け部38に挿入し、例えば、突起部43の先端部分が凹凸部39の凸部39aの先端部分のやや右側に当接した場合、キャップ40を押すことにより突起部43は矢印方向に周方向に回転しつつ移動する。そして、図9(b)に示すように、凹凸部39の凸部39aが鍔部42に当接することによりキャップ40の挿入が完了する。
【0053】
図9(b)においては、凹凸部39の凸部39aの斜面(凹部39bの斜面でもある)と突起部43の斜面の一方は、双方が共に正三角形の相似形状であるので、当接し、蓋10の開閉に伴うアーム部材20の回動により突起部43が凹凸部39内でがたつくことを抑制することができる。なお、組付け公差を考慮して、突起部43を凹部39bに形状に可能な限り近づけることにより、凹凸部39内での突起部43の周方向のがたつきを最小限に抑えることができる。
【0054】
又、胴部41の側面には、凹部受け部38の内側溝部38bと係合する位置に係合凸部44が形成されている。その結果、図8に示すように、胴部41の係合凸部44と凹部受け部38の内側溝部38bが係合するので、蓋10の開閉や走行時の振動等によりキャップ40がアーム部材収納部37の凹部受け部38から抜けるのを防止することができる。なお、図7(a)と図8において、キャップ40の係合凸部44は、アーム部材収納部37の凹部受け部38の内側溝部38bと同様に周状に形成したが、アーム部材収納部37の凹部受け部38の周状の内側溝部38bに合致する位置であれば部分的、例えば、線状やドット状に形成しても良い。
【0055】
アーム部材20はナイロンを使用し、キャップ40はPP(ポリプロピレン)を使用した。ボックス取付部24のボックス取付部凹部26(ナイロン)には、キャップ40の胴部41(ポリプロピレン)が挿入され、ボックス取付部24が回動するが、両部材が異なる材料で構成されているので、係合するキャップ40の胴部41とボックス取付部24のボックス取付部凹部26の双方が摩耗し、経時的にがたつきが発生することを防止することができる。なお、アーム部材20とキャップ40の材料は、異なっていれば良く、上記のナイロンとPPには限定されない。
【0056】
図10図11は、本発明の第2の実施形態を示している。第2の実施形態と第1の実施形態の相違する部分は、以下の通りであり、他の部分は第1の実施形態と同様である。
【0057】
第1に、アーム部材収納部37の凹部受け部38の内径は、ボックス取付部24のボックス取付部凹部26の直径より大きい。第2に、キャップ40の胴部41は、アーム部材収納部37の凸部受け部35を貫通する貫通部45と、ボックス取付部24のボックス取付部凹部26に挿入される貫通部45より直径が小さい挿入部46が2段に、同軸に形成され、貫通部45と挿入部46との間に段差部48が形成されている。第3に、キャップ40の鍔部42には突起部43が2箇所形成され、突起部43の形成箇所は、点対称の位置からずれて形成されている。
【0058】
第1と第2の相違点により、アーム部材収納部37の凹部受け部38側からボックス取付部24のボックス取付部凹部26の位置を容易に確認することができるので、キャップ40をボックス取付部24のボックス取付部凹部26内に挿入する作業性が向上する。
【0059】
貫通部45の長さは、アーム部材収納部37の凹部受け部38からアーム部材収納部37に突出するように設定されている。図10において、挿入部46は、ボックス取付部24のボックス取付部凹部26の底部に当接するように描かれているが、当接していなくてもよい。
【0060】
これにより、キャップ40をボックス取付部24のボックス取付部凹部26内に挿入した時に、挿入部46がボックス取付部24のボックス取付部凹部26に挿入されると共に、キャップ40の貫通部45と挿入部46との段差部48によって、ボックス取付部24の一方の側面24aに形成された円柱形状に突出したボックス取付部凸部25をアーム部材収納部37の凸部受け部35の裏面側(アーム部材収納部37の他の側面37b側)に押し、ボックス取付部凸部25と凸部受け部35が接近又は当接する。そして、ボックス取付部凸部25と凸部受け部35との間のクリアランスが小さくなる又は無くなるので、ボックス取付部24がアーム部材収納部37の凸部受け部35内でがたつくことなく回動可能になる。
【0061】
第3の相違点により、キャップ40の鍔部42には突起部43が2箇所形成され、その形成箇所は、点対称の位置からずれて形成されているので、図11において、突起部43の1つの先端部分Xが凹凸部39の凸部39aの先端部分に当接した場合であっても、突起部43の他の先端部分Yは当接していない、すなわち、先端部分Yを有する突起部43は、凹凸部39の凹部39bの上に浮いた状態になっている。そのため、キャップ40を凹部受け部38に軽く押し付ける時に、鍔部内において、先端部分同士が当接していないY側に力が加わり、キャップ40に周方向の回転力が自然に働き、当接していた先端部分Xが移動して先端部分同士の当接状態が解除される。その結果、キャップ40を凹部受け部38に軽く押し付けるのみで、突起部43と凹凸部39とを係合させることができ、キャップ40の取付けを確実に行うことができる。
【0062】
図11において、先端部分Yを有する突起部43は点対称の位置から3度(角度α)ずれて形成されている。なお、点対称からのずれは、3度には限定されず、先端部分Yを有する突起部43が凹凸部39の凹部39bに挿入可能であればよい。
【0063】
又、角度αに相当する分だけ先端部分Yを有する側の突起部43を小さく形成することにより、先端部分Xを有する側の突起部43が凹凸部39に係合した時に、先端部分Yを有する側の突起部43の斜面が凹凸部39の凹部39bの斜面に当接するので、凹部39b内における突起部43のがたつきを抑制することができる。
【0064】
本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。
【0065】
例えば、上記の実施形態では、アーム部材収納部37の片側の側面(37b)にボックス取付部24のボックス取付部凹部26に合致する凹部受け部38を形成し、ボックス取付部24の片側の側面(24b)にボックス取付部凹部26を形成したが、アーム部材収納部37の両側の側面に凹部受け部38を形成し、ボックス取付部24の両側にボックス取付部凹部26を形成し、両側からキャップ40によってアーム部材収納部37にボックス取付部24を固定してもよい。
【0066】
例えば、上記の第2の実施形態では、2箇所の突起部43をほぼ対向する位置に形成したが、凹部39bに係合可能であれば、他の位置に形成してもよい。
【0067】
例えば、上記の第2の実施形態では、突起部43を2箇所形成したが、3箇所以上形成してもよい。
【符号の説明】
【0068】
10 蓋
20 アーム部材部材
24 ボックス取付部
25 ボックス取付部凸部
26 ボックス取付部凹部
30 ボックス
31 ボックス本体部
34 アーム部材ガイド部
35 凸部受け部
37 アーム部材収納部
38 凹部受け部
39 凹凸部
39a 凸部
39b 凹部
40 キャップ
41 胴部
42 鍔部
43 突起部
44 係合凸部
45 貫通部
46 挿入部
47 係合凹部
48 段差部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11