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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022115437
(43)【公開日】2022-08-09
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/27 20220101AFI20220802BHJP
   H02K 21/22 20060101ALI20220802BHJP
   H02K 1/22 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
H02K1/27 502C
H02K1/27 502A
H02K21/22 M
H02K1/22 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021012028
(22)【出願日】2021-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】000228730
【氏名又は名称】日本電産サーボ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000006301
【氏名又は名称】マックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002723
【氏名又は名称】高法弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】安藤 隆司
(72)【発明者】
【氏名】筒井 智秀
【テーマコード(参考)】
5H601
5H621
5H622
【Fターム(参考)】
5H601AA09
5H601AA30
5H601CC01
5H601CC15
5H601DD02
5H601DD09
5H601DD11
5H601DD18
5H601EE11
5H601EE18
5H601GA02
5H601GB05
5H621BB07
5H621GA04
5H621GB10
5H621HH01
5H622CA02
5H622CA07
5H622CA10
5H622CB03
5H622PP03
5H622PP09
(57)【要約】
【課題】より確実にロータマグネットをロータコアに保持可能なモータを提供することである。
【解決手段】モータであって、軸方向に延びる中心軸と、前記中心軸を中心に前記軸方向に延びるステータと、前記ステータの径方向外側と対向し、前記中心軸を中心に回転するロータと、を有し、前記ロータは、前記中心軸と嵌合するロータプレートと、前記ロータプレートと嵌合し、径方向内側に径方向外側に凹む収容部を有するロータコアと、前記収容部に収容され前記ステータと径方向内側で対向するロータマグネットと、前記ロータマグネットの軸方向一方側及び径方向内側への移動を規制するホルダ爪部を備えたマグネットホルダと、を有する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びる中心軸と、
前記中心軸を中心に前記軸方向に延びるステータと、
前記ステータの径方向外側と対向し、前記中心軸を中心に回転するロータと、を有し、
前記ロータは、
前記中心軸と嵌合するロータプレートと、
前記ロータプレートと嵌合し、径方向内側に径方向外側に凹む収容部を有するロータコアと、
前記収容部に収容され前記ステータと径方向内側で対向するロータマグネットと、
前記ロータマグネットの軸方向一方側及び径方向内側への移動を規制するホルダ爪部を備えたマグネットホルダと、
を有する、
モータ。
【請求項2】
前記ホルダ爪部は、内周部から径方向内側に延びる第1爪部と前記第1爪部から軸方向他方側に延びる第2爪部とを有し、
前記第1爪部は、前記ロータマグネットの軸方向一方側と対向し、
前記第2爪部は、前記ロータマグネットの径方向内側と対向する、
請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記ロータマグネットは、径方向内側の面が平面であり、
前記ホルダ爪部は、前記ロータマグネットの周方向端部に位置する、
請求項1又は2に記載のモータ。
【請求項4】
前記ロータは、周方向に隣接する複数の前記ロータマグネットを有し、
前記ホルダ爪部は、隣接する前記ロータマグネットの両方の周方向端部を保持する、
請求項3に記載のモータ。
【請求項5】
前記マグネットホルダは、周方向に隣接する複数の前記ホルダ爪部を有し、
複数の前記ホルダ爪部の1つは、前記ロータマグネットの周方向一方側端部に位置し、
前記ホルダ爪部に隣接する別の1つは、前記ロータマグネットの周方向他方側端部に位置する、
請求項3又は4に記載のモータ。
【請求項6】
前記マグネットホルダは、非磁性材である、
請求項1から5のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項7】
前記ロータコアは、複数の電磁鋼板を軸方向に積層して成る積層鋼板で構成され、
前記マグネットホルダの軸方向厚さは、1枚の前記電磁鋼板の軸方向厚さよりも厚い、
請求項1から7のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項8】
前記マグネットホルダは、接着剤を介して前記ロータマグネットを保持する、
請求項1から7のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項9】
前記ロータプレートは、前記ロータマグネットの軸方向他方側及び径方向内側への移動を規制するプレート爪部を備えたロータプレートと、を備える、
請求項1から8のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項10】
前記プレート爪部は、前記ロータプレートの内周部から軸方向一方側に延び、
前記プレート爪部は、前記ロータマグネットの径方向内側と対向する、
請求項9に記載のモータ。
【請求項11】
前記ロータマグネットの内側面と対向する前記ホルダ爪部の周方向長さは、前記ロータマグネットの内側面と対向する前記プレート爪部の周方向長さよりも短い、
請求項9又は10に記載のモータ。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
モータは、ロータコアに固定したロータマグネットによる磁極とスタータ側の磁極との作用により、ロータを回転させる。従来、ロータコアの内周面に接着剤でロータマグネットを固定することが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6200920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ロータマグネットを接着剤でロータコアに固定した場合、負荷変動の大きなモータでは、ロータマグネットがロータコアから剥がれてロータコアとステータコアとの間に脱落し、ロータをロックしてしまう恐れがあった。
【0005】
本発明の目的は、より確実にロータマグネットをロータコアに保持可能なモータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の例示的な第1発明は、モータであって、軸方向に延びる中心軸と、前記中心軸を中心に前記軸方向に延びるステータと、前記ステータの径方向外側と対向し、前記中心軸を中心に回転するロータと、を有し、前記ロータは、前記中心軸と嵌合するロータプレートと、前記ロータプレートと嵌合し、径方向内側に径方向外側に凹む収容部を有するロータコアと、前記収容部に収容され前記ステータと径方向内側で対向するロータマグネットと、前記ロータマグネットの軸方向一方側及び径方向内側への移動を規制するホルダ爪部を備えたマグネットホルダと、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本願の例示的な第1発明によれば、より確実にロータマグネットをロータコアに保持可能なモータを提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態に係るモータを示し、巻線の図示を省略した斜視図である。
図2図1に示したモータ100を+Y側から見た背面斜視図である。
図3図1に示したモータ100を+X側から見た側面図である。
図4図3に示したモータ100をX軸と直交し、中心軸Jを通る面で切断して示す側断面図である。
図5図1から、ロータプレート302を取り除いて示す斜視図である。
図6図1に示したモータ100から、ロータプレート302を取り除いた状態を-Y側から見た正面図である。
図7図1に示したモータ100から、ケース500、基板400及びマグネットホルダ330を取り除いた状態を+Y側から見た背面図である。
図8図5からロータコア310及びロータマグネット320を取り除いて示す斜視図である。
図9図6からマグネットホルダ330を取り除いて示す斜視図である。
図10】基板400を-Y側から見た正面図である。
図11図2から、シャフト301、ケース500及び基板400を取り除いて示す背面斜視図である。
図12】ロータコア310の背面斜視図である。
図13】ロータプレート302の背面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るモータについて説明する。なお、以下の図面においては、各構成をわかり易くするために、実際の構造と各構造における縮尺及び数等を異ならせる場合がある。
【0010】
また、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Y軸方向は、図1に示す中心軸Jの軸方向と平行な方向とする。Z軸方向は、中心軸Jに対する径方向のうち図1の上下方向とする。X軸方向は、Z軸方向とY軸方向との両方と直交する方向とする。X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向のいずれにおいても、図中に示す矢印が指す側を+側、反対側を-側とする。
【0011】
また、以下の説明においては、Y軸方向の正の側(+Y側)を「フロント側」又は「一方側」と呼び、Y軸方向の負の側(-Y側)を「リア側」又は「他方側」と呼ぶ。なお、リア側(他方側)及びフロント側(一方側)とは、単に説明のために用いられる名称であって、実際の位置関係及び方向を限定しない。また、特に断りのない限り、中心軸Jに平行な方向(Y軸方向)を単に「軸方向」と呼び、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸Jを中心とする周方向、すなわち、中心軸Jの軸周り(θ方向)を単に「周方向」と呼ぶ。径方向において中心軸Jに近づく側を「径方向内側」と呼び、中心軸Jから遠ざかる側を「径方向外側」と呼ぶ。周方向において図中に示す矢印が指す側を+側、反対側を-側とする。周方向の正の側(+θ側)を「一方側」と呼び、周方向の負の側(-θ側)を「他方側」と呼ぶ。
【0012】
なお、本明細書において、「軸方向に延びる」とは、厳密に軸方向(Z軸方向)に延びる場合に加えて、軸方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。また、本明細書において、「径方向に延びる」とは、厳密に径方向、すなわち、軸方向(Z軸方向)に対して垂直な方向に延びる場合に加えて、径方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。また「平行」とは、厳密に平行な場合に加えて、互いに成す角が45°未満の範囲で傾いた場合も含む。
【0013】
[第1実施形態]
<全体構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係るモータを示し、巻線の図示を省略した斜視図である。
図2は、図1に示したモータ100を+Y側から見た背面斜視図である。
モータ100は、軸方向に延びるシャフト301と、ステータ200と、ロータ300と、基板400と、ケース500と、を有する。モータ100は、ステータ200の径方向外側にロータ300を配置したアウターロータ型のモータである。
【0014】
ロータ300は、軸方向一方側にマグネットホルダ330を有する。ロータ300は、軸方向他方側にロータプレート302を有する。ロータプレート302は、非磁性材であり、例えばアルミダイキャストである。ロータプレート302は、軸方向に貫通する貫通孔305を有する。貫通孔305は、周方向に等間隔で10個設けられている。
【0015】
基板400は、ホールIC411、412及び413(図7参照)、並びにコネクタ402を実装する。ホールIC411、412及び413は、ロータ300の回転位置を検出する回転位置検出回路の一例である。コネクタ402は、ホールIC411、412及び413で検出した信号を外部出力可能な端子を有する。基板400は、軸方向に貫通する貫通孔403、404及び405を有する。
【0016】
ケース500は、基板400よりも軸方向一方側に位置する。ケース500は、ステータ200を支持する。ケース500は、ステータ200を直接支持しないものであってもよい。基板400は、貫通孔403、404及び405を介してケース500のネジ穴513、514及び515にねじ止めされることでケース500に固定される。ケース500のネジ穴513、514及び515は、軸方向一方側端部から軸方向他方側に延びる。ケース500のネジ穴513、514及び515は、固定部の一例である。基板400の貫通孔403、404及び405は、被固定部の一例である。固定部及び被固定部は3つ以上設けられる。基板400がステータ200に固定されずにケース500に固定されることで、基板400の後付け、および交換を容易に行うことが出来る。
【0017】
基板400の貫通孔403、404及び405は、ロータ300よりも径方向外側に位置する。すなわち、固定部及び被固定部はロータ300よりも径方向外側に位置する。これにより、基板400の固定、及び取り外しを容易に行うことが出来る。
【0018】
図3は、図1に示したモータ100を+X側から見た側面図である。
図4は、図3に示したモータ100をX軸と直交し、中心軸Jを通る面で切断して示す側断面図である。
図3及び図4においては、基板400に実装される部品の図示を省略している。
【0019】
シャフト301は、中心軸Jに沿って延びる。ステータ200は、中心軸Jを中心に軸方向に延びる。ロータ300は、ステータ200と径方向外側で対向し、シャフト301を中心に回転する。ロータ300は、軸方向一方側から軸方向他方側に向かって順に、マグネットホルダ330、ロータコア310及びロータプレート302を有する。マグネットホルダ330は、軸方向に貫通する貫通孔331を有する。貫通孔331は、周方向に等間隔で10個設けられている。ロータコア310は、軸方向に貫通する貫通孔311を有する。貫通孔311は、周方向に等間隔で10個設けられている。ロータプレート302、ロータコア310及びマグネットホルダ330は、貫通孔305、311及び331を貫通したボルト等によって固定される。すなわち、ロータコア310は、ロータプレート302と嵌合する。
【0020】
ロータプレート302は、軸方向に貫通する筒孔を有する円筒部304を有する。円筒部304の中心は、中心軸Jに沿って配置される。シャフト301は、円筒部304の筒孔を貫通する。モータ100は、シャフト301の外周面と円筒部304の内周面との間にロータブッシュ306を有する。シャフト301は、ロータブッシュ306を介してロータプレート302に固定される。すなわち、ロータプレート302は、シャフト301と嵌合する。
【0021】
ケース500は、軸方向に貫通する貫通孔501を有する。ケース500は、貫通孔501内に、軸受502及び503を有する。軸受502は、軸受503よりも軸方向一方側に配置される。軸受502及び503の外輪の外周面は、貫通孔501内でケース500に固定される。シャフト301は、軸受502及び503の内輪の内周面に固定される。シャフト301は、軸受502及び503によって、中心軸Jを中心にして回動可能に軸支される。
【0022】
図5は、図1から、ロータプレート302を取り除いて示す斜視図である。
ロータコア310は、軸方向に延びる円環状部材である。ロータコア310は、例えば電磁鋼板を軸方向に積層して成る積層鋼板で構成される。ロータコア310は、その内周面に、径方向内側に突出して軸方向に延びる側壁部312を有する。側壁部312は、周方向に等間隔で10個設けられている。ロータ300は、ロータマグネット320を有する。ロータマグネット320は、直方体である。ロータマグネット320は、側壁部312とその側壁部312に隣接する側壁部312との間に固定される。ロータマグネット320は、周方向に等間隔で10個設けられている。ロータマグネット320は、ステータ200と径方向内側で対向する。
【0023】
図6は、図1に示したモータ100から、ロータプレート302を取り除いた状態を-Y側から見た正面図である。
ロータマグネット320の径方向内側の面は、マグネットホルダ330の爪部332と径方向で対向する。ロータマグネット320の軸方向一方側の面は、マグネットホルダ330の爪部332と軸方向で対向する。これにより、爪部332は、ロータマグネット320の軸方向一方側及び径方向内側への移動を規制する。爪部332は、ホルダ爪部の一例である。
【0024】
図7は、図1に示したモータ100から、ケース500、基板400及びマグネットホルダ330を取り除いた状態を+Y側から見た背面図である。
ロータマグネット320の径方向内側の面は、ロータプレート302の爪部303と径方向で対向する。これにより、爪部303は、ロータマグネット320の径方向内側への移動を規制する。爪部303は、プレート爪部の一例である。ロータマグネット320の軸方向他方側の面は、ロータプレート302と径方向で対向する。これにより、ロータプレート302は、ロータマグネット320の軸方向他方側への移動を規制する。
【0025】
図8は、図5からロータコア310及びロータマグネット320を取り除いて示す斜視図である。
ステータ200は、ステータコア210を有する。ステータコア210は、ステータ200の巻線を収容する12個のスロットを有する。ステータコア210は、例えば電磁鋼板を軸方向に積層して成る積層鋼板で構成される。ステータ200は、ステータコア210を軸方向他方側から覆うインシュレータ220を有する。ステータ200は、ステータコア210を軸方向一方側から覆うインシュレータ230を有する。インシュレータ220及び230は、ステータコア210に固定される。
【0026】
マグネットホルダ330は、ロータコア310及びロータマグネット320の軸方向一方側に配置された部材である。マグネットホルダ330は、軸方向に平板面を有し、周方向に1周する円環状部材である。マグネットホルダ330は、例えばアルミニウムのような非磁性材で構成される。マグネットホルダ330が非磁性材であることで、ロータマグネット320による磁界に影響を与えないで済む。マグネットホルダ330の軸方向厚さは、ロータコア310を構成する電磁鋼板のうちの1枚の軸方向厚さよりも厚い。これにより、マグネットホルダ330の強度を確保することが出来る。
【0027】
図9は、図6からマグネットホルダ330を取り除いて示す斜視図である。
インシュレータ230は、その外周側に、径方向の厚さが薄い薄肉部230a、230b及び230cを有する。薄肉部230aは、その径方向外側の面に凸部231を有する。薄肉部230bは、その径方向外側の面に凸部232を有する。薄肉部230cは、その径方向外側の面に凸部233を有する。凸部231、232及び233は、径方向外側に突出して軸方向に延びる。
【0028】
基板400は、凸部231、232及び233に対応した位置に、凸部231、232及び233に対応した形状の凹部421、422及び423を有する。凹部421、422及び423は、基板400の内周面から径方向外側に凹む。
【0029】
凸部231、232及び233は、凹部421、422及び423に嵌め合うことで、基板400の周方向位置を規制する。凸部231、232及び233、並びに凹部421、422及び423の軸方向から見た形状は、円形又は角形など、基板400の周方向位置を規制可能であれば如何なる形状であってもよい。凸部231、232及び233は、規制部の一例である。凹部421、422及び423は、被規制部の一例である。規制部をインシュレータ230の外周面に設けた凹部とし、被規制部を基板400に設けた凸部としてもよい。本実施形態のように、規制部を薄肉部230a、230b及び230cに設けた凸部231、232及び233とすることで、凸部231、232及び233が薄肉部230a、230b及び230cの補強リブとして機能し、インシュレータ230の径方向の変形を抑制することが出来る。インシュレータ230の径方向の変形は、基板400の位置がずれる要因となる。
【0030】
図10は、基板400を-Y側から見た正面図である。
基板400は、周方向に60度の間隔で、ホールIC411、412及び413を実装する。基板400は、周方向に120度の長さを有する。
【0031】
基板400の凹部421、422及び423は、軸方向から見て半円形状である。凹部421、422及び423のうち周方向最も一方側凹部は、凹部421である。凹部421、422及び423のうち周方向最も他方側凹部は、凹部423である。凹部421の周方向一方側側面の接線である線Aは、凹部423の周方向他方側側面の接線である線Bと平行である。これにより、基板400の後付けの際、凹部421、422及び423に凸部231、232及び233をスムーズに嵌めることが出来、基板400の後付けが容易である。凸部231、232及び233は、軸方向から見て三角形でもよい。凸部231、232及び233は、軸方向から見て台形でもよい。
【0032】
凹部421、422及び423は、基板400の貫通孔403、404及び405を頂点とする多角形である三角形Cの中に位置する。これにより、基板400の周方向の位置ずれを少なくすることが出来る。三角形Cは、固定部及び被固定部を頂点とする多角形の一例である。
【0033】
本実施形態では、ステータ200の巻線からの引き出し線は、基板400と繋がっていない。このため、基板400にはモータ100駆動用の電源線はない。基板400には、モータ駆動制御用ICに繋がるホール信号用部品が配置されており、モータ駆動制御用ICなどはない。このため、基板400の後付け、及び交換を容易に行うことが出来る。
【0034】
図11は、図2から、シャフト301、ケース500及び基板400を取り除いて示す背面斜視図である。
マグネットホルダ330の爪部332は、周方向に等間隔で10個設けられている。
【0035】
ロータマグネット320は、径方向内側の面が平面である。爪部332は、ロータマグネット320の周方向端部に位置する。ロータマグネット320の径方向内側の面が平面であることから、ロータマグネット320とステータ200との間のギャップは、ロータマグネット320の周方向中央部よりも周方向端部が大きい。このようなロータマグネット320の周方向端部に爪部332を設けることで、爪部332が、モータ100の回転の邪魔になることがなく、ロータマグネット320を確実に保持することが出来る。
【0036】
複数の爪部332のうちの1つの爪部332は、複数のロータマグネット320のうち隣接する2つのロータマグネット320の両方の周方向端部を保持する。1つの爪部332が隣接するロータマグネット320の両方を保持するため、爪部332の周方向長さを長くすることが出来、爪部332の強度を高めることが出来る。周方向で隣り合うロータマグネット320は互いに極が異なるため、ステータ200と対向する場合、一方のロータマグネット320に径方向内側への力が働けば、他方のロータマグネット320には径方向外側への力が働く。従って、隣接する両方のロータマグネット320の周方向端部を支える1つの爪部332は、どちらか一方のロータマグネット320だけを支えることが出来ればよい。
【0037】
複数の爪部332のうちの1つは、ロータマグネット320の周方向一方側端部に位置し、この爪部332に隣接する別の1つは、同じロータマグネット320の周方向他方側端部に位置する。ある爪部332とその爪部332に隣接する爪部332とでロータマグネット320の周方向両端を保持することで、ロータマグネット320の径方向内側への脱落をさらに防ぐことが出来る。
【0038】
爪部332は、マグネットホルダ330の内周部から径方向内側に延びる第1爪部332aと、第1爪部332aから軸方向他方側に延びる第2爪部332cと、を有する。爪部332は、第1爪部332aから第1爪部332aへの屈曲の際に屈曲部332bを形成する。第1爪部332aは、ロータマグネット320の軸方向一方側と対向する。これにより、第1爪部332aは、ロータマグネット320の軸方向一方側への移動を規制する。第2爪部332cは、ロータマグネット320の径方向内側と対向する、これにより、第2爪部332cは、ロータマグネット320の径方向内側への移動を規制する。第2爪部332cの径方向厚さは、ロータコア310を構成する電磁鋼板のうちの1枚の軸方向厚さよりも厚い。これにより、第2爪部332cの強度を確保することが出来る。
【0039】
マグネットホルダ330は、接着剤を介してロータマグネット320を保持する、これにより、接着剤によってマグネットホルダ330とロータマグネット320の間の寸法公差を吸収することが出来る。特に、ロータコア310を構成する積層鋼板は寸法公差が大きく、寸法の違いを吸収する構造が必要である。
【0040】
第2爪部332cは、接着剤を介してロータマグネット320を保持する。これにより、第2爪部332cとロータマグネット320との距離を接着剤で調整出来るので、爪部332の第1爪部332aと第2爪部332cとの間の屈曲部332bの曲率が小さい(Rが大きい)場合でも、爪部332とロータマグネット320とが干渉することなく(ロータマグネット320が屈曲部332bの曲面に影響されることなく)、ロータマグネットを保持することが出来る。
【0041】
図12は、ロータコア310の背面斜視図である。
ロータコア310は、側壁部312とその側壁部312に隣接する側壁部312との間に平面部313を有する。平面部313は、ロータコア310の径方向内側の面である。ロータマグネット320の径方向外側の面は、接着剤を介して平面部313に固定される。すなわち、ロータコア310は、側壁部312とその側壁部312に隣接する側壁部312とその間の平面部313とで形成される収容部314を有する。収容部314は、ロータコア310の径方向内側において、径方向外側に凹む。収容部314は、ロータマグネット320を収容する。
【0042】
図13は、ロータプレート302の背面斜視図である。
ロータプレート302は、ロータコア310の内周側で、ロータコア310の軸方向他方側端部よりも軸方向一方側に延びる爪部303を有する。ロータプレート302の爪部303は、周方向に等間隔で10個設けられている。爪部303は、マグネットホルダ330の爪部332の周方向位置に対応した位置に設けられている。爪部303は、接着剤を介してロータマグネット320を保持する。
【0043】
ロータマグネット320の径方向内側面と対向する爪部332の周方向長さは、ロータマグネット320の径方向内側面と対向する爪部303の周方向長さよりも短い。爪部303とロータマグネット320との対向面は、軸方向長さよりも周方向長さが長い。爪部332とロータマグネット320との対向面は、軸方向長さよりも周方向長さが短い。
【0044】
爪部303は、ロータマグネット320の径方向内側面を、主に周方向の長さで保持する。ロータプレート302がアルミダイキャストである場合、爪部303が軸方向に長いと折れやすい。このため、爪部303を軸方向に短く、周方向に長くすることで、爪部303とロータマグネット320との接触面積を大きく確保することが出来、保持力を高めることが出来る。爪部332は、ロータマグネット320の径方向内側面を、主に軸方向の長さで保持する。マグネットホルダ330がアルミ板である場合、爪部332を形成する際、爪部332が軸方向に長く周方向に短いほうが軸方向に曲げやすい。また、爪部332を軸方向に長く、周方向に短くすることで、ロータマグネット320との接触面積を大きく確保することが出来、保持力を高めることが出来る。
【0045】
<モータ100の作用・効果>
次に、モータ100の作用・効果について説明する。
【0046】
上述の実施形態に係る発明においては、モータであって、軸方向に延びる中心軸と、前記中心軸を中心に前記軸方向に延びるステータと、前記ステータの径方向外側と対向し、前記中心軸を中心に回転するロータと、を有し、前記ロータは、前記中心軸と嵌合するロータプレートと、前記ロータプレートと嵌合し、径方向内側に径方向外側に凹む収容部を有するロータコアと、前記収容部に収容され前記ステータと径方向内側で対向するロータマグネットと、前記ロータマグネットの軸方向一方側及び径方向内側への移動を規制するホルダ爪部を備えたマグネットホルダと、を有する。
このため、マグネットホルダによって、ロータマグネットの径方向内側への脱落を防ぐことが出来る。
このため、ロータプレートによって、ロータマグネットの径方向内側への脱落をさらに防ぐことが出来る。
【0047】
また、前記ホルダ爪部は、内周部から径方向内側に延びる第1爪部と前記第1爪部から軸方向他方側に延びる第2爪部とを有し、前記第1爪部は、前記ロータマグネットの軸方向一方側と対向し、前記第2爪部は、前記ロータマグネットの径方向内側と対向する。
このため、ロータコア、ロータプレート及びマグネットホルダによってロータマグネットを6方向から保持することが出来、ロータマグネットの脱落をさらに防ぐことが出来る。
【0048】
また、前記ロータマグネットは、径方向内側の面が平面であり、前記ホルダ爪部は、前記ロータマグネットの周方向端部に位置する。
ロータマグネットの径方向内側の面が平面であることから、ロータマグネットとステータとの間のギャップは、ロータマグネットの周方向中央部よりも周方向端部が大きい。このようなロータマグネットの周方向端部にホルダ爪部を設けることで、ホルダ爪部が、モータの回転の邪魔になることがなく、ロータマグネットを確実に保持することが出来る。
【0049】
また、前記ロータは、周方向に隣接する複数の前記ロータマグネットを有し、前記ホルダ爪部は、隣接する前記ロータマグネットの両方の周方向端部を保持する。
ホルダ爪部が隣接するロータマグネットの両方を保持するため、ホルダ爪部の周方向長さを長くすることが出来、ホルダ爪部の強度を高めることが出来る。
隣り合うロータマグネットは互いに極が異なるため、ステータと対向する場合、一方のロータマグネットに径方向内側への力が働けば、他方のロータマグネットには径方向外側への力が働く。従って、隣接する両方のロータマグネットの周方向端部を支える1つのホルダ爪部は、どちらか一方のマグネットだけを支えることが出来ればよい。
【0050】
また、前記マグネットホルダは、周方向に隣接する複数の前記ホルダ爪部を有し、複数の前記ホルダ爪部の1つは、前記ロータマグネットの周方向一方側端部に位置し、前記ホルダ爪部に隣接する別の1つは、前記ロータマグネットの周方向他方側端部に位置する。
ロータマグネットの周方向両端を保持することで、ロータマグネットの径方向内側への脱落をさらに防ぐことが出来る。
【0051】
また、前記マグネットホルダは、非磁性材である。
マグネットホルダが非磁性材であることで、ロータマグネットの極に影響を与えないで済む。また、隣り合うロータマグネットの極が異なっていても、磁力がショートすることがない。また、ホールICに向かう磁力への影響もない。
【0052】
また、前記ロータコアは、複数の電磁鋼板を軸方向に積層して成る積層鋼板で構成され、
前記マグネットホルダの軸方向厚さは、1枚の前記電磁鋼板の軸方向厚さよりも厚い。
このため、マグネットホルダの強度を確保することが出来る。
また、第2爪部の径方向厚さは、1枚の電磁鋼板の軸方向厚さよりも厚い。
【0053】
また、前記マグネットホルダは、接着剤を介して前記ロータマグネットを保持する。
このため、接着剤によりマグネットホルダとロータマグネットの間の寸法公差を吸収することが出来る。特に、積層鋼板は寸法公差が大きく、寸法の違いを吸収する構造が必要である。
また、ホルダ爪部の第1爪部と第2爪部の間の屈曲の曲率が小さい(Rが緩い)場合でも、ホルダ爪部とロータマグネットとが干渉することなく(ロータマグネットが屈曲の曲面に影響されることなく)、ロータマグネットを保持することが出来る。
【0054】
また、前記ロータプレートは、前記ロータマグネットの軸方向他方側及び径方向内側への移動を規制するプレート爪部を備えたロータプレートと、を備える。
ロータプレートによって、ロータマグネットの径方向内側への脱落をさらに防ぐことが出来る。
【0055】
また、前記プレート爪部は、前記ロータプレートの内周部から軸方向一方側に延び、前記プレート爪部は、前記ロータマグネットの径方向内側と対向する。
ロータコア、ロータプレート及びマグネットホルダによってロータマグネットを6方向から保持することが出来、ロータマグネットの脱落をさらに防ぐことが出来る。
【0056】
また、前記ロータマグネットの内側面と対向する前記ホルダ爪部の周方向長さは、前記ロータマグネットの内側面と対向する前記プレート爪部の周方向長さよりも短い。
プレート爪部はロータマグネットの内側面を、主に周方向の長さで保持する。ロータプレートはアルミダイキャストであり、軸方向に長いと折れやすい。このため、プレート爪部を軸方向に短く、周方向に長くすることで、ロータマグネットとの接触面積を大きく確保することが出来、保持力を高めることが出来る。
ホルダ爪部はロータマグネットの内側面を、主に軸方向の長さで保持する。マグネットホルダはアルミ板であり、ホルダ爪部が軸方向に長く周方向に短いほうが軸方向に曲げやすい。また、ホルダ爪部を軸方向に長く、周方向に短くすることで、ロータマグネットとの接触面積を大きく確保することが出来、保持力を高めることが出来る。
また、プレート爪部とマグネットとの対向面は、軸方向長さよりも周方向長さが長い。
また、ホルダ爪部とマグネットとの対向面は、軸方向長さよりも周方向長さが短い。
【0057】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。これらの実施形態及びその変形は、発明の範囲及び要旨に含まれると同時に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0058】
100 モータ
200 ステータ
300 ロータ
400 基板
500 ケース

図1
図2
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