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特開2022-115482粉粒体容器内壁付着物除去装置及び粉粒体容器内壁付着物の除去方法
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  • 特開-粉粒体容器内壁付着物除去装置及び粉粒体容器内壁付着物の除去方法 図1
  • 特開-粉粒体容器内壁付着物除去装置及び粉粒体容器内壁付着物の除去方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022115482
(43)【公開日】2022-08-09
(54)【発明の名称】粉粒体容器内壁付着物除去装置及び粉粒体容器内壁付着物の除去方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 88/26 20060101AFI20220802BHJP
   B65G 65/30 20060101ALI20220802BHJP
   B08B 5/02 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
B65D88/26 C
B65G65/30 B
B08B5/02
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021012096
(22)【出願日】2021-01-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】391040397
【氏名又は名称】エクセン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000241957
【氏名又は名称】北海道電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001391
【氏名又は名称】特許業務法人レガート知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 兼司
(72)【発明者】
【氏名】橋田 修吉
(72)【発明者】
【氏名】辻野 二朗
【テーマコード(参考)】
3B116
3E070
3E170
3F075
【Fターム(参考)】
3B116AA32
3B116AA33
3B116AB53
3B116BB24
3B116BB62
3E070AA19
3E070AA21
3E070AB11
3E170AA15
3E170AA16
3E170AB11
3F075AA08
3F075BA01
3F075BA04
3F075DA01
(57)【要約】
【課題】 この発明は、粉粒体貯蔵容器の内壁に付着した粉粒体付着物をより効果的に除去できるとともに、簡易な構成でメンテナンス性にも優れた粉粒体容器内壁付着物除去装置ならびに粉粒体容器内壁付着物の除去方法を得ることを課題とする。
【解決手段】 この発明は、圧縮空気供給源2と、前記圧縮空気供給源2から供給された圧縮空気を所定方向に案内して噴射する噴射ノズル3とを備え、前記圧縮空気の噴射により粉粒体貯蔵容器Hの内壁に付着した粉粒体付着物Pを除去する粉粒体容器内壁付着物除去装置1において、前記噴射ノズル3には、前記粉粒体貯蔵容器Hに収容された粉粒体Pと同じ粉粒体で成形された成形弾Bを装填可能な成形弾装填部32を設け、前記成形弾装填部32に装填された前記成形弾Bが前記圧縮空気とともに噴射されるようにして構成する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮空気供給源と、前記圧縮空気供給源から供給された圧縮空気を所定方向に案内して噴射する噴射ノズルとを備え、前記圧縮空気の噴射により粉粒体貯蔵容器の内壁に付着した粉粒体付着物を除去する粉粒体容器内壁付着物除去装置であって、
前記噴射ノズルには、前記粉粒体貯蔵容器に収容された粉粒体と同じ粉粒体で成形された成形弾を装填可能な成形弾装填部を設け、前記成形弾装填部に装填された前記成形弾が前記圧縮空気とともに噴射されるようにした、
粉粒体容器内壁付着物除去装置。
【請求項2】
成形弾装填部は、装填された成形弾の装填位置を保持する保持手段を備えた、
請求項1記載の粉粒体容器内壁付着物除去装置。
【請求項3】
圧縮空気を噴射して粉粒体貯蔵容器の内壁に付着した粉粒体付着物を除去する粉粒体容器内壁付着物の除去方法において、
前記粉粒体貯蔵容器に収容された粉粒体と同じ粉粒体で成形されてなる成形弾を前記圧縮空気とともに噴射することを特徴とする、
粉粒体容器内壁付着物の除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ホッパー、サイロ等の粉粒体貯蔵容器の内壁に付着した付着物を除去する粉粒体容器内壁付着物除去装置、ならびに、この粉粒体容器内壁付着物除去装置を用いた粉粒体容器内壁付着物の除去方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フスマ(小麦を製粉するときに除かれる皮の部分)や大豆かす、フライアッシュ(石炭を燃焼する際に生じる灰)などの粉粒体の貯留や移動に用いられるホッパーやサイロ等の粉粒体貯蔵容器にあっては、容器内に収容された粉粒体が湿気を含むことにより容器内壁に付着して固化したり、橋かけ状態になったりするなどして、収容された粉粒体の流動に支障をきたす場合がある。
【0003】
このような問題を解決するために、従来より、容器内壁に付着した粉粒体や橋掛け状態となった粉粒体に直接圧縮空気を噴射したり、容器に振動を与えたりすることにより、容器内壁に付着した粉粒体や橋掛け状態となった粉粒体を崩壊させて除去し、粉粒体の流動を促進する装置が存在する。
【0004】
しかしながら、粉粒体が固化している場合には、単に圧縮空気を噴射したり、容器を振動させたりしただけでは、粉粒体に加えられる衝撃力が弱く、固化した粉粒体を十分に崩壊させることができない場合がある。
【0005】
この点、特開2001-252493号公報には、容器内に収容された粒体物を圧縮空気とともに噴射することにより容器内壁に付着した粒体物を崩壊させて除去する粒体容器内壁付着物除去装置が提案されている。この装置によれば、圧縮空気とともに粒体物が容器内壁に付着した粒体物に噴射されるので、圧縮空気を噴射しただけの場合よりも強い衝撃力を粒体付着物に与えて崩壊を促進することができる。
【0006】
しかしながら、この粒体容器内壁付着物除去装置にあっては、容器内に収容された粒体物をそのままの状態で噴射粒体として圧縮空気とともに噴射しているので、容器内壁に付着した粒体物に噴射粒体が衝突する際に得られる衝撃力はそれほど大きなものではなく、容器内壁に付着する粒体物が強固に固化している場合などには、これを崩壊させるのに十分な衝撃力を得られない場合がある。
【0007】
また、この粒体容器内壁付着物除去装置にあっては、粒体容器内に収容されている粒体物を吸引装置で吸引して粒体タンクに回収し、回収した粒体物を導入管を通じて噴射ノズルに供給して圧縮空気と混合させて噴射しているので、装置が複雑であり、粒体物を粒体タンクに回収するための回収管や噴射ノズルに供給するための導入管において目詰まりを起こしてしまうおそれもある。また、容器内に吸引可能な程度に粒体物が収容されていないと、粒体タンクに粒体物を回収して噴射ノズルに供給することができないので、容器内の粒体物を全て排出した後、内壁に付着する残留付着物を除去しようとしても、噴射ノズルに粒体物を供給して噴射することができないという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001-252493号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明は、粉粒体貯蔵容器の内壁に付着した粉粒体付着物をより効果的に除去できるとともに、簡易な構成で取り扱いやすく、メンテナンス性にも優れた粉粒体容器内壁付着物除去装置ならびに粉粒体容器内壁付着物の除去方法を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、圧縮空気供給源と、前記圧縮空気供給源から供給された圧縮空気を所定方向に案内して噴射する噴射ノズルとを備え、前記圧縮空気の噴射により粉粒体貯蔵容器の内壁に付着した粉粒体付着物を除去する粉粒体容器内壁付着物除去装置であって、前記噴射ノズルには、前記粉粒体貯蔵容器に収容された粉粒体と同じ粉粒体で成形された成形弾を装填可能な成形弾装填部を設け、前記成形弾装填部に装填された前記成形弾が前記圧縮空気とともに噴射されるようにして構成する。
【0011】
前記圧縮空気供給源は、圧縮空気を前記噴射ノズルに供給することができる装置であればよいが、タンク内に蓄圧した圧縮空気をバルブ操作によって瞬時に排出して前記噴射ノズルに供給することができる装置であることが好ましい。
【0012】
前記成形弾は、前記粉粒体貯蔵容器に収容された粉粒体と同じ種類の粉粒体を用いて球状又は弾頭状に圧縮成形して得ることが考えられる。また、前記成形弾の大きさは、前記成形弾装填部の内径よりも小さい径にしたものであればよいが、前記圧縮空気を受けて噴射される際に、前記噴射ノズル内をスムーズに移動でき、かつ、目詰まりを起こさない程度の範囲で可及的に大きな径のものとしておくことが好ましい。
【0013】
前記成形弾装填部は、前記成形弾を装填することが可能であればよく、前記成形弾を一つだけ直接装填できる構成のものとしたり、前記成形弾を複数充填可能なリボルバー式又はマガジン式の弾倉を備え、使用時に前記成形弾が順次装填される構成のものとしたりすることが考えられる。
【0014】
請求項2の発明は、前記成形弾装填部が、装填された前記成形弾の装填位置を保持する保持手段を備えたことを特徴とする。前記保持手段は、前記成形弾装填部に装填された前記成形弾を、圧縮空気が供給されるまでの間、所定位置に暫定的に保持するための手段であり、たとえば、成形弾が装填される位置の前後方向の成形弾装填部内壁に僅かな凸部を設けたり、成形弾が装填される載置面に成形弾の形状に応じた僅かな凹部を設けたりすることが考えられる。前記保持手段としての凸部又は凹部の高さは、何れも圧縮空気の噴射による成形弾の移動に支障がない程度(圧縮空気による成形弾の噴射に支障がない程度)の僅かな高さとし、成形弾と接する側は傾斜面としておくことが好ましい。
【0015】
請求項3の発明は、圧縮空気を噴射して粉粒体貯蔵容器の内壁に付着した粉粒体付着物を除去する粉粒体容器内壁付着物の除去方法において、前記粉粒体貯蔵容器に収容された粉粒体と同じ粉粒体で成形されてなる成形弾を前記圧縮空気とともに噴射することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、圧縮空気供給源と、前記圧縮空気供給源から供給された圧縮空気を所定方向に案内して噴射する噴射ノズルとを備え、前記圧縮空気の噴射により粉粒体貯蔵容器の内壁に付着した粉粒体付着物を除去する粉粒体容器内壁付着物除去装置において、前記噴射ノズルには、前記粉粒体貯蔵容器に収容された粉粒体と同じ粉粒体で成形された成形弾を装填可能な成形弾装填部を設け、前記成形弾装填部に装填された前記成形弾が前記圧縮空気とともに噴射されるようにしたので、噴射ノズルに成形弾を装填し、圧縮空気とともに噴射して粉粒体貯蔵容器内壁の粉粒体付着物に衝突させることができる。そして、噴射ノズルから噴射されるのは、粉粒体貯蔵容器に収容された粉粒体と同じ粉粒体で成形された成形弾なので、粉粒体をそのままの状態で噴射するよりも粉粒体付着物に衝突する際の衝撃力を大きくすることができ、固化した粉粒体付着物であっても効果的に破壊して除去することができ、かつ、粉粒体貯蔵容器内に異物が混入するおそれもない。
【0017】
請求項2の発明によれば、成形弾装填部は、装填された成形弾の装填位置を保持する保持手段を備えているので、成形弾装填部に装填された成形弾が圧縮空気によって噴射される前に、傾斜や振動などの影響を受けて誤って噴射ノズルから脱落してしまうことを防止することができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、圧縮空気を噴射して粉粒体貯蔵容器の内壁に付着した粉粒体付着物を除去する粉粒体容器内壁付着物の除去方法において、前記粉粒体貯蔵容器に収容された粉粒体と同じ粉粒体で成形されてなる成形弾を前記圧縮空気とともに噴射するようにしたので、粉粒体貯蔵容器に収容された粉粒体と同じ粉粒体で成形された成形弾を噴射して粉粒体貯蔵容器内壁の粉粒体付着物に衝突させることができる。噴射ノズルから噴射される成形弾は、粉粒体貯蔵容器に収容された粉粒体と同じ粉粒体で成形して構成されているので、粉粒体をそのままの状態で噴射するよりも、粉粒体付着物に衝突する際の衝撃力を大きくすることができる。これにより、固化した粉粒体付着物であっても効果的に破壊して除去することができ、また、粉粒体貯蔵容器内に異物が混入するおそれもない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】この発明の粉粒体容器内壁付着物除去装置の概要を示す図
図2】同じく主要部分の内部構造を示す図
図3】同じく圧縮空気供給源に圧縮空気が蓄圧される仕組みを説明する図
図4】同じく圧縮空気供給源から圧縮空気が排出される仕組みを説明する図
図5】同じく噴射ノズルの概要を示す断面図
図6】同じく噴射ノズルの概要を示す平面図
図7】同じく成形弾の装填状態を示す図(図5のA-A線断面図)
図8】同じく使用状態を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1及び2はこの発明の粉粒体容器内壁付着物除去装置の概要を示す図である。図3は圧縮空気供給源に圧縮空気が蓄圧される仕組みを、図4は圧縮空気供給源から圧縮空気が排出される仕組みをそれぞれ説明する図である。また、図5ないし図7は圧縮空気供給源に接続される噴射ノズルの概要を示す図である。
【0021】
粉粒体容器内壁付着物除去装置1は、圧縮空気供給源2に噴射ノズル3を接続して構成されている。
【0022】
圧縮空気供給源2は、エアタンク21と、内部に格納されたピストン221をピストン室222内の空気圧の変動により作動させてエアタンク21の開口部211の開閉を行う開閉バルブ22と、開閉バルブ22内のピストン室222への給排気操作及びエアタンク21内への給排気操作を行う三方弁23とを備えている。符号24は給気管であり、逆止弁25を介してエアタンク21と接続されている。
【0023】
三方弁23を介して高圧気体を導入すると、高圧気体は給気管24を通り、逆止弁25を経てエアタンク21へ導入される。このとき、三方弁23を介して供給される高圧気体の一部はピストン室222内へ流入するので、ピストン室222内の圧力が高まり、この圧力によってピストン221が付勢されて弁座223に圧接され、排気路224が閉鎖される。これにより、エアタンク21の開口部211が閉じられ、エアタンク21に供給される高圧気体がエアタンク21内で蓄圧されるようになっている(図3参照)。
【0024】
一方、三方弁23を排気側へ操作すると、ピストン室222内の気体が排気されて減圧されるので、ピストン221が後退して排気路224の閉鎖が解除される。このとき、給気管24内の気体も三方弁23から排気されるが、エアタンク21と接続された逆止弁25の作用により、エアタンク21内の圧縮空気が給気管24から三方弁23に排出されることはない。これにより、エアタンク21内で蓄圧された気体は開口部211から一気に排出され、排気路224を通って外部に排出されるようになっている(図4参照)。
【0025】
噴射ノズル3は、3つの円筒状の中空管を接続して構成されており、圧縮空気供給源2から出力された圧縮空気が入力される入力部31と、粉粒体貯蔵容器Hに収容された粉粒体Pと同じ粉粒体を球状に圧縮成形してなる成形弾Bが装填される成形弾装填部32と、入力部31から入力された圧縮空気を所定方向に案内して外部に出力する出力部33とを備えている。入力部31、成形弾装填部32、出力部33の内径は何れも同じ大きさにしてある。
【0026】
入力部31は、略L字状の中空管で構成され、一端に圧縮空気供給源2に接続するためのフランジ311が、他端に成形弾装填部32と接続するためのフランジ312が形成されている。成形弾装填部32は、直線状の中空管で構成されており、一端に入力部31と接続するためのフランジ321が、他端に出力部33と接続するためのフランジ322が形成されている。出力部33は、逆さL字状の中空管で構成されており、一端に成形弾充填部32と接続するためのフランジ331が形成されている。そして、入力部31と成形弾装填部32は、入力部21のフランジ312と成形弾装填部32のフランジ321とを締結して接続され、成形弾装填部32と出力部33は、成形弾装填部32のフランジ322と出力部33のフランジ331とを締結して接続されており、入力部31のフランジ311を圧縮空気供給源2の排気口225に設けられたフランジと締結することにより、噴射ノズル3が圧縮空気供給源2と接続されるようになっている。
【0027】
成形弾装填部32は、水平方向中間部において、中空管の上側略半分に開口部323が形成されており、この開口部323を完全に覆うようにカバー324が取り付けられている。このカバー324は、6つのボルト325を外すことによって取り外すことができ、カバー324を取り外すことで開口部323が現れるようになっている。この開口部323は、円筒状の中空管の略上側半分を切り取る形で開口しているので、この開口部323を介して、成形弾装填部32の内径よりも僅かに小径とした成形弾Bを成形弾装填部32の内部に充填することができる。
【0028】
この成形弾装填部32内部には、開口部323の入力部31側近傍の垂直方向中心位置に、左右一対の突起326,326が設けられている。この突起326,326は、成形弾装填部32に装填された成形弾Bが後方(入力部31方向)に移動することを規制するためのものである。また、成形弾装填部32内部の、成形弾装填部32の水平方向中心よりやや出力部33側の最下部には、成形弾装填部32の内面より僅かに突出した小突起327が設けてある。この小突起327は、成形弾装填部32の下側から螺着されたボルトの先端部であり、角が面取りされた山形形状に形成されている。また、小突起327は、ボルトを回すことによって成形弾装填部32内面からの突出高さを調整することが可能となっている。この小突起327は、成形弾装填部32に装填された成形弾Bが前方(出力部33方向)に移動することを規制するためのものである。この突起326,326及び小突起327が、成形弾装填部32に装填された成形弾Bを所定位置に暫定的に保持するための保持手段を構成している。
【0029】
成形弾装填部32に装填される成形弾Bは、粉粒体貯蔵容器Hに収容された粉粒体Pと同じ粉粒体Pを用い、圧縮成形により球状に成形されている。この成形弾Bの直径は、噴射ノズル3の内径よりも僅かに小径のものとしてある。
【0030】
次いで、粉粒体容器内壁付着物除去装置1を用いて粉粒体貯蔵容器Hの内壁に付着した粉粒体付着物を除去する方法を説明する。
【0031】
まず初めに、図8に示すように、粉粒体容器内壁付着物除去装置1を粉粒体貯蔵容器Hの側壁に取り付けておく。このとき、噴射ノズル3の出力部33を粉粒体貯蔵容器Hの内部に配置し、成形弾装填部32を粉粒体貯蔵容器Hの外部に配置して取り付ける。
【0032】
粉粒体貯蔵容器Hの内壁に付着した粉粒体Pを除去したい場合、噴射ノズル3の成形弾装填部32に取り付けられたカバー324を外して開口部323を露出させ、粉粒体貯蔵容器Hに収容された粉粒体Pと同じ粉粒体を用いて球状に圧縮成形した成形弾Bを成形弾装填部32の内部に充填する。成形弾Bを充填した後、カバー324を取り付けて開口部323を閉塞し、成形弾装填部32内への成形弾Bの装填が完了する。このとき、成形弾装填部32に装填された成形弾Bの後方(噴射ノズル3の入力部31側)には突起326、326が設けられ、前方(噴射ノズル3の出力部33側)には小突起327が設けられているので、成形弾Bの前後方向への移動が規制され、振動や傾斜などの影響を受けて成形弾Bが入力部31側又は出力部33側に大きく移動してしまうことはない。
【0033】
一方、圧縮空気供給源2では、三方弁23を給気側に操作して、エアータンク21内に給気を行い圧縮空気をエアタンク21内で蓄圧しておく。成形弾装填部32への成形弾Bの装填が完了した後、三方弁23を排気側に操作すると、開閉バルブ22が作動してエアタンク21内の圧縮空気の全てが瞬時に排気路224を通って勢いよく排出され、噴射ノズル3の入力部31に入力される。入力部31内に流入した圧縮空気はそのまま成形弾装填部32に案内され、成形弾装填部32内に装填された成形弾Bを出力部33方向に勢いよく付勢する。このとき、成形弾Bは、成形弾装填部32の内径よりも僅かに小径の大きさにしてあるので、成形弾装填部32内における圧縮空気の逃げ場がほとんどなく、圧縮空気の圧力を成形弾Bに効率よく伝えることができる。また、成形弾装填部32内の突起326,326は僅かな高さに形成してあるので、入力部31から送られてくる圧縮空気の圧力にはほとんど影響がない。そして、圧縮空気によって付勢された成形弾Bは、成形弾装填部32内の小突起327を乗り越えて出力部33へと押し出され、出力部33から圧縮空気とともに勢いよく外部に噴射される。ここで、小突起327は山形形状に形成されているので、圧縮空気に付勢された成形弾Bは小突起327を容易に乗り越えることができ、小突起327との接触によって成形弾Bが破壊されてしまうおそれはない。
【0034】
噴射ノズル3の出力部33から噴射された圧縮空気と成形弾Bは、粉粒体貯蔵容器Hの内壁に付着した粉粒体Pに勢いよく衝突し、粉粒体Pを崩壊させる。成形弾Bは、粉粒体貯蔵容器Hに収容された粉粒体Pと同じ粉粒体を圧縮成形して構成されているので、粉粒体そのままの状態よりも重量、質量、固さが増し、粉粒体付着物に衝突する際の衝撃力(破壊力)を大きくすることができ、また、粉粒体貯蔵容器H内に異物が混入するおそれもない。
【0035】
また、この粉粒体容器内壁付着物除去装置1は、成形弾装填部32に成形弾Bを装填せずに使用することもできる。したがって、粉粒体貯蔵容器Hの内壁に付着した粉粒体Pの除去作業を行う際、まずは圧縮空気の噴射のみで除去作業を行い、圧縮空気の噴射のみでは容器内壁に付着した粉粒体Pを崩壊させることができない場合に、成形弾Bを噴射ノズル3の成形弾装填部32に装填し、圧縮空気とともに成形弾Bを噴射して除去作業を行うようにしてもよい。
【0036】
この粉粒体容器内壁付着物除去装置1において、成形弾Bが装填される噴射ノズル3の構造は簡易な構造となっており、成形弾装填部32に成形弾Bを装填する際には、粉粒体貯蔵容器Hの外部においてカバー324を脱着するだけでよく、取り扱いが容易である。また、成形弾Bによって噴射ノズル3が目詰まりすることもなく、噴射ノズル3の内部を清掃する際には、成形弾Bを装填しない状態で圧縮空気供給源2から圧縮空気を供給するだけでよく、メンテナンス性にも優れている。
【産業上の利用可能性】
【0037】
この発明は、ホッパー、サイロ等の粉粒体貯蔵容器の内壁に付着した粉粒体付着物を除去する粉粒体容器内壁付着物除去装置、ならびに、この粉粒体容器内壁付着物除去装置を用いた粉粒体容器内壁付着物の除去方法に関するものであり、産業上の利用可能性を有するものである。
【符号の説明】
【0038】
1 粉粒体容器内壁付着物除去装置
2 圧縮空気供給源
21 エアタンク
211 開口部
22 開閉バルブ
221 ピストン
222 ピストン室
223 弁座
224 排気路
225 排気口
23 三方弁
24 給気管
25 逆止弁
3 噴射ノズル
31 入力部
311,312 フランジ
32 成形弾装填部
321,322 フランジ
323 開口部
324 カバー
325 ボルト
326 突起
327 小突起
33 出力部
331 フランジ
B 成形弾
H 粉粒体貯蔵容器
P 粉粒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2022-01-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮空気供給源と、前記圧縮空気供給源から供給された圧縮空気を所定方向に案内して噴射する噴射ノズルとを備え、前記圧縮空気の噴射により粉粒体貯蔵容器の内壁に付着した粉粒体付着物を除去する粉粒体容器内壁付着物除去装置であって、
前記噴射ノズルには、前記粉粒体貯蔵容器に収容された粉粒体と同じ粉粒体を球状又は弾頭状に圧縮成形してなる粉粒体圧縮成形弾装填される粉粒体圧縮成形弾装填部を設け、前記粉粒体圧縮成形弾装填部に装填された前記粉粒体圧縮成形弾が前記圧縮空気とともに噴射されるようにした、
粉粒体容器内壁付着物除去装置。
【請求項2】
粉粒体圧縮成形弾装填部は、装填された粉粒体圧縮成形弾の装填位置を保持する保持手段を備えた、
請求項1記載の粉粒体容器内壁付着物除去装置。
【請求項3】
圧縮空気を噴射して粉粒体貯蔵容器の内壁に付着した粉粒体付着物を除去する粉粒体容器内壁付着物の除去方法において、
前記粉粒体貯蔵容器に収容された粉粒体と同じ粉粒体で球状又は弾頭状に圧縮成形されてなる粉粒体圧縮成形弾を前記圧縮空気とともに噴射することを特徴とする、
粉粒体容器内壁付着物の除去方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ホッパー、サイロ等の粉粒体貯蔵容器の内壁に付着した付着物を除去する粉粒体容器内壁付着物除去装置、ならびに、この粉粒体容器内壁付着物除去装置を用いた粉粒体容器内壁付着物の除去方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フスマ(小麦を製粉するときに除かれる皮の部分)や大豆かす、フライアッシュ(石炭を燃焼する際に生じる灰)などの粉粒体の貯留や移動に用いられるホッパーやサイロ等の粉粒体貯蔵容器にあっては、容器内に収容された粉粒体が湿気を含むことにより容器内壁に付着して固化したり、橋かけ状態になったりするなどして、収容された粉粒体の流動に支障をきたす場合がある。
【0003】
このような問題を解決するために、従来より、容器内壁に付着した粉粒体や橋掛け状態となった粉粒体に直接圧縮空気を噴射したり、容器に振動を与えたりすることにより、容器内壁に付着した粉粒体や橋掛け状態となった粉粒体を崩壊させて除去し、粉粒体の流動を促進する装置が存在する。
【0004】
しかしながら、粉粒体が固化している場合には、単に圧縮空気を噴射したり、容器を振動させたりしただけでは、粉粒体に加えられる衝撃力が弱く、固化した粉粒体を十分に崩壊させることができない場合がある。
【0005】
この点、特開2001-25493号公報には、容器内に収容された粒体物を圧縮空気とともに噴射することにより容器内壁に付着した粒体物を崩壊させて除去する粒体容器内壁付着物除去装置が提案されている。この装置によれば、圧縮空気とともに粒体物が容器内壁に付着した粒体物に噴射されるので、圧縮空気を噴射しただけの場合よりも強い衝撃力を粒体付着物に与えて崩壊を促進することができる。
【0006】
しかしながら、この粒体容器内壁付着物除去装置にあっては、容器内に収容された粒体物をそのままの状態で噴射粒体として圧縮空気とともに噴射しているので、容器内壁に付着した粒体物に噴射粒体が衝突する際に得られる衝撃力はそれほど大きなものではなく、容器内壁に付着する粒体物が強固に固化している場合などには、これを崩壊させるのに十分な衝撃力を得られない場合がある。
【0007】
また、この粒体容器内壁付着物除去装置にあっては、粒体容器内に収容されている粒体物を吸引装置で吸引して粒体タンクに回収し、回収した粒体物を導入管を通じて噴射ノズルに供給して圧縮空気と混合させて噴射しているので、装置が複雑であり、粒体物を粒体タンクに回収するための回収管や噴射ノズルに供給するための導入管において目詰まりを起こしてしまうおそれもある。また、容器内に吸引可能な程度に粒体物が収容されていないと、粒体タンクに粒体物を回収して噴射ノズルに供給することができないので、容器内の粒体物を全て排出した後、内壁に付着する残留付着物を除去しようとしても、噴射ノズルに粒体物を供給して噴射することができないという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001-253493号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明は、粉粒体貯蔵容器の内壁に付着した粉粒体付着物をより効果的に除去できるとともに、簡易な構成で取り扱いやすく、メンテナンス性にも優れた粉粒体容器内壁付着物除去装置ならびに粉粒体容器内壁付着物の除去方法を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、圧縮空気供給源と、前記圧縮空気供給源から供給された圧縮空気を所定方向に案内して噴射する噴射ノズルとを備え、前記圧縮空気の噴射により粉粒体貯蔵容器の内壁に付着した粉粒体付着物を除去する粉粒体容器内壁付着物除去装置であって、前記噴射ノズルには、前記粉粒体貯蔵容器に収容された粉粒体と同じ粉粒体を球状又は弾頭状に圧縮成形してなる粉粒体圧縮成形弾装填される粉粒体圧縮成形弾装填部を設け、前記粉粒体圧縮成形弾装填部に装填された前記粉粒体圧縮成形弾が前記圧縮空気とともに噴射されるようにして構成する。
【0011】
前記圧縮空気供給源は、圧縮空気を前記噴射ノズルに供給することができる装置であればよいが、タンク内に蓄圧した圧縮空気をバルブ操作によって瞬時に排出して前記噴射ノズルに供給することができる装置であることが好ましい。
【0012】
前記粉粒体圧縮成形弾は、前記粉粒体貯蔵容器に収容された粉粒体と同じ種類の粉粒体を用いて球状又は弾頭状に圧縮成形して得ることが考えられる。また、前記粉粒体圧縮成形弾の大きさは、前記粉粒体圧縮成形弾装填部の内径よりも小さい径にしたものであればよいが、前記圧縮空気を受けて噴射される際に、前記噴射ノズル内をスムーズに移動でき、かつ、目詰まりを起こさない程度の範囲で可及的に大きな径のものとしておくことが好ましい。
【0013】
前記粉粒体圧縮成形弾装填部は、前記粉粒体圧縮成形弾を装填することが可能であればよく、前記粉粒体圧縮成形弾を一つだけ直接装填できる構成のものとしたり、前記粉粒体圧縮成形弾を複数充填可能なリボルバー式又はマガジン式の弾倉を備え、使用時に前記粉粒体圧縮成形弾が順次装填される構成のものとしたりすることが考えられる。
【0014】
請求項2の発明は、前記粉粒体圧縮成形弾装填部が、装填された前記粉粒体圧縮成形弾の装填位置を保持する保持手段を備えたことを特徴とする。前記保持手段は、前記粉粒体圧縮成形弾装填部に装填された前記粉粒体圧縮成形弾を、圧縮空気が供給されるまでの間、所定位置に暫定的に保持するための手段であり、たとえば、粉粒体圧縮成形弾が装填される位置の前後方向の粉粒体圧縮成形弾装填部内壁に僅かな凸部を設けたり、粉粒体圧縮成形弾が装填される載置面に粉粒体圧縮成形弾の形状に応じた僅かな凹部を設けたりすることが考えられる。前記保持手段としての凸部又は凹部の高さは、何れも圧縮空気の噴射による粉粒体圧縮成形弾の移動に支障がない程度(圧縮空気による粉粒体圧縮成形弾の噴射に支障がない程度)の僅かな高さとし、粉粒体圧縮成形弾と接する側は傾斜面としておくことが好ましい。
【0015】
請求項3の発明は、圧縮空気を噴射して粉粒体貯蔵容器の内壁に付着した粉粒体付着物を除去する粉粒体容器内壁付着物の除去方法において、前記粉粒体貯蔵容器に収容された粉粒体と同じ粉粒体で球状又は弾頭状に圧縮成形されてなる粉粒体圧縮成形弾を前記圧縮空気とともに噴射することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、圧縮空気供給源と、前記圧縮空気供給源から供給された圧縮空気を所定方向に案内して噴射する噴射ノズルとを備え、前記圧縮空気の噴射により粉粒体貯蔵容器の内壁に付着した粉粒体付着物を除去する粉粒体容器内壁付着物除去装置において、前記噴射ノズルには、前記粉粒体貯蔵容器に収容された粉粒体と同じ粉粒体を球状又は弾頭状に圧縮成形してなる粉粒体圧縮成形弾装填される粉粒体圧縮成形弾装填部を設け、前記粉粒体圧縮成形弾装填部に装填された前記粉粒体圧縮成形弾が前記圧縮空気とともに噴射されるようにしたので、噴射ノズルに粉粒体圧縮成形弾を装填し、圧縮空気とともに噴射して粉粒体貯蔵容器内壁の粉粒体付着物に衝突させることができる。そして、噴射ノズルから噴射されるのは、粉粒体貯蔵容器に収容された粉粒体と同じ粉粒体で成形された粉粒体圧縮成形弾なので、粉粒体をそのままの状態で噴射するよりも粉粒体付着物に衝突する際の衝撃力を大きくすることができ、固化した粉粒体付着物であっても効果的に破壊して除去することができ、かつ、粉粒体貯蔵容器内に異物が混入するおそれもない。
【0017】
請求項2の発明によれば、粉粒体圧縮成形弾装填部は、装填された粉粒体圧縮成形弾の装填位置を保持する保持手段を備えているので、粉粒体圧縮成形弾装填部に装填された粉粒体圧縮成形弾が圧縮空気によって噴射される前に、傾斜や振動などの影響を受けて誤って噴射ノズルから脱落してしまうことを防止することができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、圧縮空気を噴射して粉粒体貯蔵容器の内壁に付着した粉粒体付着物を除去する粉粒体容器内壁付着物の除去方法において、前記粉粒体貯蔵容器に収容された粉粒体と同じ粉粒体で球状又は弾頭状に圧縮成形されてなる粉粒体圧縮成形弾を前記圧縮空気とともに噴射するようにしたので、粉粒体貯蔵容器に収容された粉粒体と同じ粉粒体で成形された粉粒体圧縮成形弾を噴射して粉粒体貯蔵容器内壁の粉粒体付着物に衝突させることができる。噴射ノズルから噴射される粉粒体圧縮成形弾は、粉粒体貯蔵容器に収容された粉粒体と同じ粉粒体で成形して構成されているので、粉粒体をそのままの状態で噴射するよりも、粉粒体付着物に衝突する際の衝撃力を大きくすることができる。これにより、固化した粉粒体付着物であっても効果的に破壊して除去することができ、また、粉粒体貯蔵容器内に異物が混入するおそれもない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】この発明の粉粒体容器内壁付着物除去装置の概要を示す図
図2】同じく主要部分の内部構造を示す図
図3】同じく圧縮空気供給源に圧縮空気が蓄圧される仕組みを説明する図
図4】同じく圧縮空気供給源から圧縮空気が排出される仕組みを説明する図
図5】同じく噴射ノズルの概要を示す断面図
図6】同じく噴射ノズルの概要を示す平面図
図7】同じく粉粒体圧縮成形弾の装填状態を示す図(図5のA-A線断面図)
図8】同じく使用状態を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1及び2はこの発明の粉粒体容器内壁付着物除去装置の概要を示す図である。図3は圧縮空気供給源に圧縮空気が蓄圧される仕組みを、図4は圧縮空気供給源から圧縮空気が排出される仕組みをそれぞれ説明する図である。また、図5ないし図7は圧縮空気供給源に接続される噴射ノズルの概要を示す図である。
【0021】
粉粒体容器内壁付着物除去装置1は、圧縮空気供給源2に噴射ノズル3を接続して構成されている。
【0022】
圧縮空気供給源2は、エアタンク21と、内部に格納されたピストン221をピストン室222内の空気圧の変動により作動させてエアタンク21の開口部211の開閉を行う開閉バルブ22と、開閉バルブ22内のピストン室222への給排気操作及びエアタンク21内への給排気操作を行う三方弁23とを備えている。符号24は給気管であり、逆止弁25を介してエアタンク21と接続されている。
【0023】
三方弁23を介して高圧気体を導入すると、高圧気体は給気管24を通り、逆止弁25を経てエアタンク21へ導入される。このとき、三方弁23を介して供給される高圧気体の一部はピストン室222内へ流入するので、ピストン室222内の圧力が高まり、この圧力によってピストン221が付勢されて弁座223に圧接され、排気路224が閉鎖される。これにより、エアタンク21の開口部211が閉じられ、エアタンク21に供給される高圧気体がエアタンク21内で蓄圧されるようになっている(図3参照)。
【0024】
一方、三方弁23を排気側へ操作すると、ピストン室222内の気体が排気されて減圧されるので、ピストン221が後退して排気路224の閉鎖が解除される。このとき、給気管24内の気体も三方弁23から排気されるが、エアタンク21と接続された逆止弁25の作用により、エアタンク21内の圧縮空気が給気管24から三方弁23に排出されることはない。これにより、エアタンク21内で蓄圧された気体は開口部211から一気に排出され、排気路224を通って外部に排出されるようになっている(図4参照)。
【0025】
噴射ノズル3は、3つの円筒状の中空管を接続して構成されており、圧縮空気供給源2から出力された圧縮空気が入力される入力部31と、粉粒体貯蔵容器Hに収容された粉粒体Pと同じ粉粒体を球状に圧縮成形してなる粉粒体圧縮成形弾Bが装填される粉粒体圧縮成形弾装填部32と、入力部31から入力された圧縮空気を所定方向に案内して外部に出力する出力部33とを備えている。入力部31、粉粒体圧縮成形弾装填部32、出力部33の内径は何れも同じ大きさにしてある。
【0026】
入力部31は、略L字状の中空管で構成され、一端に圧縮空気供給源2に接続するためのフランジ311が、他端に粉粒体圧縮成形弾装填部32と接続するためのフランジ312が形成されている。粉粒体圧縮成形弾装填部32は、直線状の中空管で構成されており、一端に入力部31と接続するためのフランジ321が、他端に出力部33と接続するためのフランジ322が形成されている。出力部33は、逆さL字状の中空管で構成されており、一端に粉粒体圧縮成形弾充填部32と接続するためのフランジ331が形成されている。そして、入力部31と粉粒体圧縮成形弾装填部32は、入力部21のフランジ312と粉粒体圧縮成形弾装填部32のフランジ321とを締結して接続され、粉粒体圧縮成形弾装填部32と出力部33は、粉粒体圧縮成形弾装填部32のフランジ322と出力部33のフランジ331とを締結して接続されており、入力部31のフランジ311を圧縮空気供給源2の排気口225に設けられたフランジと締結することにより、噴射ノズル3が圧縮空気供給源2と接続されるようになっている。
【0027】
粉粒体圧縮成形弾装填部32は、水平方向中間部において、中空管の上側略半分に開口部323が形成されており、この開口部323を完全に覆うようにカバー324が取り付けられている。このカバー324は、6つのボルト325を外すことによって取り外すことができ、カバー324を取り外すことで開口部323が現れるようになっている。この開口部323は、円筒状の中空管の略上側半分を切り取る形で開口しているので、この開口部323を介して、粉粒体圧縮成形弾装填部32の内径よりも僅かに小径とした粉粒体圧縮成形弾Bを粉粒体圧縮成形弾装填部32の内部に充填することができる。
【0028】
この粉粒体圧縮成形弾装填部32内部には、開口部323の入力部31側近傍の垂直方向中心位置に、左右一対の突起326,326が設けられている。この突起326,326は、粉粒体圧縮成形弾装填部32に装填された粉粒体圧縮成形弾Bが後方(入力部31方向)に移動することを規制するためのものである。また、粉粒体圧縮成形弾装填部32内部の、粉粒体圧縮成形弾装填部32の水平方向中心よりやや出力部33側の最下部には、粉粒体圧縮成形弾装填部32の内面より僅かに突出した小突起327が設けてある。この小突起327は、粉粒体圧縮成形弾装填部32の下側から螺着されたボルトの先端部であり、角が面取りされた山形形状に形成されている。また、小突起327は、ボルトを回すことによって粉粒体圧縮成形弾装填部32内面からの突出高さを調整することが可能となっている。この小突起327は、粉粒体圧縮成形弾装填部32に装填された粉粒体圧縮成形弾Bが前方(出力部33方向)に移動することを規制するためのものである。この突起326,326及び小突起327が、粉粒体圧縮成形弾装填部32に装填された粉粒体圧縮成形弾Bを所定位置に暫定的に保持するための保持手段を構成している。
【0029】
粉粒体圧縮成形弾装填部32に装填される粉粒体圧縮成形弾Bは、粉粒体貯蔵容器Hに収容された粉粒体Pと同じ粉粒体Pを用い、圧縮成形により球状に成形されている。この粉粒体圧縮成形弾Bの直径は、噴射ノズル3の内径よりも僅かに小径のものとしてある。
【0030】
次いで、粉粒体容器内壁付着物除去装置1を用いて粉粒体貯蔵容器Hの内壁に付着した粉粒体付着物を除去する方法を説明する。
【0031】
まず初めに、図8に示すように、粉粒体容器内壁付着物除去装置1を粉粒体貯蔵容器Hの側壁に取り付けておく。このとき、噴射ノズル3の出力部33を粉粒体貯蔵容器Hの内部に配置し、粉粒体圧縮成形弾装填部32を粉粒体貯蔵容器Hの外部に配置して取り付ける。
【0032】
粉粒体貯蔵容器Hの内壁に付着した粉粒体Pを除去したい場合、噴射ノズル3の粉粒体圧縮成形弾装填部32に取り付けられたカバー324を外して開口部323を露出させ、粉粒体貯蔵容器Hに収容された粉粒体Pと同じ粉粒体を用いて球状に圧縮成形した粉粒体圧縮成形弾Bを粉粒体圧縮成形弾装填部32の内部に充填する。粉粒体圧縮成形弾Bを充填した後、カバー324を取り付けて開口部323を閉塞し、粉粒体圧縮成形弾装填部32内への粉粒体圧縮成形弾Bの装填が完了する。このとき、粉粒体圧縮成形弾装填部32に装填された粉粒体圧縮成形弾Bの後方(噴射ノズル3の入力部31側)には突起326、326が設けられ、前方(噴射ノズル3の出力部33側)には小突起327が設けられているので、粉粒体圧縮成形弾Bの前後方向への移動が規制され、振動や傾斜などの影響を受けて粉粒体圧縮成形弾Bが入力部31側又は出力部33側に大きく移動してしまうことはない。
【0033】
一方、圧縮空気供給源2では、三方弁23を給気側に操作して、エアータンク21内に給気を行い圧縮空気をエアタンク21内で蓄圧しておく。粉粒体圧縮成形弾装填部32への粉粒体圧縮成形弾Bの装填が完了した後、三方弁23を排気側に操作すると、開閉バルブ22が作動してエアタンク21内の圧縮空気の全てが瞬時に排気路224を通って勢いよく排出され、噴射ノズル3の入力部31に入力される。入力部31内に流入した圧縮空気はそのまま粉粒体圧縮成形弾装填部32に案内され、粉粒体圧縮成形弾装填部32内に装填された粉粒体圧縮成形弾Bを出力部33方向に勢いよく付勢する。このとき、粉粒体圧縮成形弾Bは、粉粒体圧縮成形弾装填部32の内径よりも僅かに小径の大きさにしてあるので、粉粒体圧縮成形弾装填部32内における圧縮空気の逃げ場がほとんどなく、圧縮空気の圧力を粉粒体圧縮成形弾Bに効率よく伝えることができる。また、粉粒体圧縮成形弾装填部32内の突起326,326は僅かな高さに形成してあるので、入力部31から送られてくる圧縮空気の圧力にはほとんど影響がない。そして、圧縮空気によって付勢された粉粒体圧縮成形弾Bは、粉粒体圧縮成形弾装填部32内の小突起327を乗り越えて出力部33へと押し出され、出力部33から圧縮空気とともに勢いよく外部に噴射される。ここで、小突起327は山形形状に形成されているので、圧縮空気に付勢された粉粒体圧縮成形弾Bは小突起327を容易に乗り越えることができ、小突起327との接触によって粉粒体圧縮成形弾Bが破壊されてしまうおそれはない。
【0034】
噴射ノズル3の出力部33から噴射された圧縮空気と粉粒体圧縮成形弾Bは、粉粒体貯蔵容器Hの内壁に付着した粉粒体Pに勢いよく衝突し、粉粒体Pを崩壊させる。粉粒体圧縮成形弾Bは、粉粒体貯蔵容器Hに収容された粉粒体Pと同じ粉粒体を圧縮成形して構成されているので、粉粒体そのままの状態よりも重量、質量、固さが増し、粉粒体付着物に衝突する際の衝撃力(破壊力)を大きくすることができ、また、粉粒体貯蔵容器H内に異物が混入するおそれもない。
【0035】
この粉粒体容器内壁付着物除去装置1において、粉粒体圧縮成形弾Bが装填される噴射ノズル3の構造は簡易な構造となっており、粉粒体圧縮成形弾装填部32に粉粒体圧縮成形弾Bを装填する際には、粉粒体貯蔵容器Hの外部においてカバー324を脱着するだけでよく、取り扱いが容易である。また、粉粒体圧縮成形弾Bによって噴射ノズル3が目詰まりすることもなく、噴射ノズル3の内部を清掃する際には、粉粒体圧縮成形弾Bを装填しない状態で圧縮空気供給源2から圧縮空気を供給するだけでよく、メンテナンス性にも優れている。
【産業上の利用可能性】
【0036】
この発明は、ホッパー、サイロ等の粉粒体貯蔵容器の内壁に付着した粉粒体付着物を除去する粉粒体容器内壁付着物除去装置、ならびに、この粉粒体容器内壁付着物除去装置を用いた粉粒体容器内壁付着物の除去方法に関するものであり、産業上の利用可能性を有するものである。
【符号の説明】
【0037】
1 粉粒体容器内壁付着物除去装置
2 圧縮空気供給源
21 エアタンク
211 開口部
22 開閉バルブ
221 ピストン
222 ピストン室
223 弁座
224 排気路
225 排気口
23 三方弁
24 給気管
25 逆止弁
3 噴射ノズル
31 入力部
311,312 フランジ
32 粉粒体圧縮成形弾装填部
321,322 フランジ
323 開口部
324 カバー
325 ボルト
326 突起
327 小突起
33 出力部
331 フランジ
粉粒体圧縮成形弾
H 粉粒体貯蔵容器
P 粉粒体