(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022115505
(43)【公開日】2022-08-09
(54)【発明の名称】映像音声同期装置、映像音声同期方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 21/44 20110101AFI20220802BHJP
H04N 21/442 20110101ALI20220802BHJP
H04N 5/93 20060101ALI20220802BHJP
G10K 15/02 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
H04N21/44
H04N21/442
H04N5/93
G10K15/02
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021012128
(22)【出願日】2021-01-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000130329
【氏名又は名称】株式会社コルグ
(74)【代理人】
【識別番号】100121706
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128705
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147773
【弁理士】
【氏名又は名称】義村 宗洋
(72)【発明者】
【氏名】大石 耕史
(72)【発明者】
【氏名】小林 正人
【テーマコード(参考)】
5C053
5C164
5D208
【Fターム(参考)】
5C053GB06
5C053GB10
5C053HA01
5C053JA22
5C053LA11
5C053LA14
5C164FA29
5C164MA02S
5C164MA07S
5C164PA41
5C164TA08S
5C164UB05P
5C164UB08S
5C164UB26S
5C164UB37S
5C164UB41P
5C164UB71S
5C164YA21
5D208BA10
5D208BB09
(57)【要約】
【課題】オーディオ信号を劣化させずに映像と音声を同期することが出来る映像音声同期装置を提供する。
【解決手段】デジタル・ビデオ信号と、対応するデジタル・オーディオ信号とを入力とし、これらを同期させる映像音声同期装置であって、デジタル・ビデオ信号の到達フレーム総数をカウントする到達フレーム数カウンターと、デジタル・オーディオ信号の到達サンプル総数をカウントする到達サンプル数カウンターと、到達フレーム総数または到達サンプル総数が基準値に達するごとに、到達フレーム総数から到達サンプル総数に基づいて算出される理論フレーム総数を差し引いた差分を求める時刻比較部と、差分が1以上の場合にデジタル・ビデオ信号のフレームを1つ間引く処理を、差分が-1以下の場合にデジタル・ビデオ信号のフレームを1つ挿入する処理を、差分の絶対値が1未満になるまで実行するフレーム調整部を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル・ビデオ信号と、対応するデジタル・オーディオ信号とを入力とし、これらを同期させる映像音声同期装置であって、
前記デジタル・ビデオ信号の到達フレーム総数をカウントする到達フレーム数カウンターと、
前記デジタル・オーディオ信号の到達サンプル総数をカウントする到達サンプル数カウンターと、
前記到達フレーム総数または前記到達サンプル総数が基準値に達するごとに、到達フレーム総数から到達サンプル総数に基づいて算出される理論フレーム総数を差し引いた差分を求める時刻比較部と、
前記差分が1以上の場合に前記デジタル・ビデオ信号のフレームを1つ間引く処理を、前記差分が-1以下の場合に前記デジタル・ビデオ信号のフレームを1つ挿入する処理を、前記差分の絶対値が1未満になるまで実行するフレーム調整部を含む
映像音声同期装置。
【請求項2】
請求項1に記載の映像音声同期装置であって、
前記時刻比較部は、
オーディオ入力がバッファ処理されている場合に、前記理論フレーム総数を、前記到達サンプル総数をサンプルレートで除算した値と、最終バッファ到着時からのCPU経過時間に基づいて算出する
映像音声同期装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の映像音声同期装置であって、
前記デジタル・ビデオ信号と前記デジタル・オーディオ信号の経路の違いによって生じる遅延を補正するように前記デジタル・オーディオ信号を一定時間遅延させる遅延器を含む
映像音声同期装置。
【請求項4】
デジタル・ビデオ信号と、対応するデジタル・オーディオ信号とを入力とし、これらを同期させる映像音声同期方法であって、
前記デジタル・ビデオ信号の到達フレーム総数をカウントする到達フレーム数カウントステップと、
前記デジタル・オーディオ信号の到達サンプル総数をカウントする到達サンプル数カウントステップと、
前記到達フレーム総数または前記到達サンプル総数が基準値に達するごとに、到達フレーム総数から到達サンプル総数に基づいて算出される理論フレーム総数を差し引いた差分を求める時刻比較ステップと、
前記差分が1以上の場合に前記デジタル・ビデオ信号のフレームを1つ間引く処理を、前記差分が-1以下の場合に前記デジタル・ビデオ信号のフレームを1つ挿入する処理を、前記差分の絶対値が1未満になるまで実行するフレーム調整ステップを含む
映像音声同期方法。
【請求項5】
請求項4に記載の映像音声同期方法であって、
前記時刻比較ステップは、
オーディオ入力がバッファ処理されている場合に、前記理論フレーム総数を、前記到達サンプル総数をサンプルレートで除算した値と、最終バッファ到着時からのCPU経過時間に基づいて算出する
映像音声同期方法。
【請求項6】
請求項4または5に記載の映像音声同期方法であって、
前記デジタル・ビデオ信号と前記デジタル・オーディオ信号の経路の違いによって生じる遅延を補正するように前記デジタル・オーディオ信号を一定時間遅延させる遅延ステップを含む
映像音声同期方法。
【請求項7】
コンピュータを請求項1から3の何れかに記載の映像音声同期装置として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は映像と音声を同期させる映像音声同期装置、映像音声同期方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、動画配信において映像と音声にずれが生じることが知られており、例えば非特許文献1には、映像と音声がクロック同期しておらず、それぞれが内部クロックで動作するために、両者のクロック精度の違いにより、だんだんと映像と音声のずれが大きくなっていく現象とその同期方法について開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】玄光社、“TASCAM DR-701Dレポート(1)~HDMI接続でカメラと同期する映像制作のためのPCM音声レコーダー”、[online]平成28年1月20日、[令和3年1月26日検索]、インターネット〈URL:https://videosalon.jp/report/tascam-dr-701d%E3%83%AC%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%88%E2%9D%B6%E3%80%9Chdmi%E6%8E%A5%E7%B6%9A%E3%81%A7%E3%82%AB%E3%83%A1%E3%83%A9%E3%81%A8%E5%90%8C%E6%9C%9F%E3%81%99%E3%82%8B%E6%98%A0%E5%83%8F%E5%88%B6/〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えばデジタル音声入力の場合、
図1に示すようにデジタル・ビデオ信号のビデオ・クロックを基準にオーディオにサンプルレート変換処理が施されるのが一般的であるが、この変換処理によってデジタル・オーディオ信号の音質が劣化する。
【0005】
また、例えばアナログ音声入力の場合、
図2に示すようにビデオ・クロックから生成したオーディオ・クロックでアナログ・オーディオ信号をデジタル変換するのが一般的であるが、ビデオ・クロックはオーディオ・クロックよりもジッタが大きい場合が多いため、この変換処理によってデジタル・オーディオ信号の音質が劣化する。また、ビデオ・クロックからオーディオ・クロックを生成するためには、PLL(Phase Locked Loop)回路が必要となり、ここでもジッタが増加する。
【0006】
そこで本発明では、オーディオ信号を劣化させずに映像と音声を同期することが出来る映像音声同期装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の映像音声同期装置は、デジタル・ビデオ信号と、対応するデジタル・オーディオ信号とを入力とし、これらを同期させる装置であって、到達フレーム数カウンターと、到達サンプル数カウンターと、時刻比較部と、フレーム調整部を含む。
【0008】
到達フレーム数カウンターは、デジタル・ビデオ信号の到達フレーム総数をカウントする。到達サンプル数カウンターは、デジタル・オーディオ信号の到達サンプル総数をカウントする。時刻比較部は、到達フレーム総数または到達サンプル総数が基準値に達するごとに、到達フレーム総数から到達サンプル総数に基づいて算出される理論フレーム総数を差し引いた差分を求める。フレーム調整部は、差分が1以上の場合にデジタル・ビデオ信号のフレームを1つ間引く処理を、差分が-1以下の場合にデジタル・ビデオ信号のフレームを1つ挿入する処理を、差分の絶対値が1未満になるまで実行する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の映像音声同期装置によれば、オーディオ信号を劣化させずに映像と音声を同期することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】従来の映像音声同期処理(デジタル音声入力の場合)を示す図。
【
図2】従来の映像音声同期処理(アナログ音声入力の場合)を示す図。
【
図3】実施例1の映像音声同期装置の機能構成を示すブロック図。
【
図4】実施例1の映像音声同期装置の動作を示すフローチャート。
【
図5】実施例2の映像音声同期装置の機能構成を示すブロック図。
【
図6】実施例2の映像音声同期装置の動作を示すフローチャート。
【
図7】実施例3の映像音声同期装置の機能構成を示すブロック図。
【
図8】実施例3の映像音声同期装置の遅延器の動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、同じ機能を有する構成部には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
【実施例0012】
以下、
図3を参照して実施例1の映像音声同期装置の機能構成を説明する。同図に示すように本実施例の映像音声同期装置1は、到達フレーム数カウンター11と、到達サンプル数カウンター12と、時刻比較部13と、フレーム調整部14と、ローカル記憶部15と、配信部16を含む。本装置には、デジタル・ビデオ信号と、対応するデジタル・オーディオ信号とが入力され、本装置からはこれらを同期させた映像が出力される。なお、アナログ・オーディオ信号が用意されている場合には、このアナログ・オーディオ信号はADコンバータ9により、デジタル・オーディオ信号に変換され、映像音声同期装置1に入力される。以下、
図4を参照して本実施例の映像音声同期装置1の動作を説明する。
【0013】
<到達フレーム数カウンター11>
到達フレーム数カウンター11は、デジタル・ビデオ信号の到達フレーム総数をカウントする(S11)。
【0014】
<到達サンプル数カウンター12>
到達サンプル数カウンター12は、デジタル・オーディオ信号の到達サンプル総数をカウントする(S12)。
【0015】
<時刻比較部13>
時刻比較部13は、到達フレーム総数または到達サンプル総数が基準値(例えば到達フレーム総数の基準値=150フレームの倍数)に達するごとに、到達フレーム総数Factualから到達サンプル総数に基づいて算出される理論フレーム総数Fidealを差し引いた差分Δfを求める(S13)。具体的には、時刻比較部13は以下の式(1)、式(2)により差分Δfを求める。
【0016】
Fideal=フレームレート[fps]×到達サンプル総数/サンプルレート[Hz]…(1)
Δf=Factual-Fideal…(2)
<フレーム調整部14>
フレーム調整部14は、差分Δfが1以上の場合にデジタル・ビデオ信号のフレームを1つ間引く処理を、差分Δfが-1以下の場合にデジタル・ビデオ信号のフレームを1つ挿入する処理を、差分Δfの絶対値が1未満になるまで実行し、処理の結果をローカル記憶部15に送信する(S14)。具体的には、フレーム調整部14は以下の(a),(b)の処理を実行する。
【0017】
(a)Δf≧1.0の場合、フレーム調整部14は、以降に到達するビデオ・フレームをΔf<1.0となるまで、間引く。なお、ビデオ・フレームをΔf<1.0となるまで間引く際に、到達フレーム数カウンター11に該当フレーム分が加算されないことに注意する。
【0018】
(b)Δf≦-1.0の場合、フレーム調整部14は、前フレームを1枚分複製し、Factualに1を加算する処理を、Δf>-1.0となるまで繰り返す。ここでFactualに1を加算する処理とは到達フレーム数カウンター11に1を加算することに該当する。
【0019】
<ローカル記憶部15>
ローカル記憶部15は、ステップS14を実行済みのデジタル・ビデオ信号、デジタル・オーディオ信号を記憶する(S15)。
【0020】
<配信部16>
配信部16は、必要に応じて、ローカル記憶部15に記憶済みのリップシンク(同期)が取れたデジタル・ビデオ信号、デジタル・オーディオ信号をインターネット・サーバにアップロードする(S16)。
【0021】
このように、本実施例の映像音声同期装置1によれば、オーディオ信号を基準としてビデオ信号のフレーム間引き/挿入処理を行うことで、映像と音声の同期を行うため、オーディオ信号を劣化させずに映像と音声を同期することが出来る。