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特開2022-115511記録装置、記録システム、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022115511
(43)【公開日】2022-08-09
(54)【発明の名称】記録装置、記録システム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20220802BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20220802BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20220802BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20220802BHJP
   B41J 29/46 20060101ALI20220802BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
G06F3/12 334
G03G21/00 386
B41J29/38 302
B41J29/00 Z
B41J29/46 Z
H04N1/00 912
G06F3/12 310
G06F3/12 303
G06F3/12 339
G06F3/12 373
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021012136
(22)【出願日】2021-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】田村 光
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ04
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AR01
2C061AS02
2C061HJ08
2C061HK15
2C061HK23
2C061HP00
2C061HP06
2C061HV09
2C061HV33
2C061HV35
2C061HV44
2H270KA59
2H270KA60
2H270LA60
2H270LA77
2H270LA87
2H270LC22
2H270LD01
2H270LD14
2H270MF08
2H270MF13
2H270NA02
2H270NA06
2H270NA10
2H270NA15
2H270NB22
2H270NC06
2H270NC07
2H270NC20
2H270NC28
2H270ND02
2H270ND03
2H270ND06
2H270ND10
2H270ND16
2H270ND21
2H270NE01
2H270NE07
2H270NE14
2H270QA13
2H270QA33
2H270QA35
2H270QA58
2H270QA63
2H270QB06
2H270QB08
2H270QB11
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC06
5C062AA05
5C062AB08
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB23
5C062AB40
5C062AC02
5C062AC04
5C062AC05
5C062AC65
5C062AC69
5C062AC70
5C062AF07
5C062AF15
(57)【要約】
【課題】記録許可量に基づいて記録動作を実行させる記録サービスにおいてエラーが発生した場合に、エラーの解除に基づいて記録許可量の処理が実行できる記録装置、記録システム、及びプログラムを開示すること。
【解決手段】プリンタ20は、印刷部25による印刷動作を許可する印刷可能枚数の範囲で、印刷動作を実行する。プリンタ20は、印刷枚数に応じて印刷可能枚数を更新する。プリンタ20は、用紙センサ45の検出信号に基づいて、印刷中のジャムの発生を検出する。プリンタ20は、ジャムクリア方法が手順通り実行され検出したジャムが解除されたか否かを判断し(S115)、ジャムが解除された場合(S115:YES)、ジャムによって生じる印刷枚数が、印刷可能枚数から減らされないように返金枚数SH2による補正を実行する(S125)。
【選択図】 図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に記録動作を実行する記録部と、
前記記録部に関するエラーを検出する検出部と、
コントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
前記記録部による記録動作を許可する記録許可量の範囲で、記録動作を前記記録部に実行させる記録処理と、
前記記録処理の記録動作に応じて前記記録許可量を更新する更新処理と、
前記検出部で検出した前記エラーが解除されたか否かを判断するエラー解除判断処理と、
前記エラー解除判断処理により前記エラーが解除されたと判断したことに基づいて、前記エラーにともなって生じる量が、前記更新処理において前記記録許可量から更新されることを制限する許可量制限処理と、
を実行する記録装置。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記検出部で前記エラーを検出したことに基づいて、前記エラーを報知する報知処理を実行し、
前記報知処理を実行した後、前記検出部により前記エラーを検出しなくなったことに基づいて、前記エラー解除判断処理において前記エラーが解除されたと判断する、請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記検出部で前記エラーを検出したとことに基づいて、検出した前記エラーが解決したか否かをユーザに問い合わせる問い合わせ処理を実行し、
前記問い合わせ処理により前記ユーザから前記エラーが解決した旨の応答があったことに基づいて、前記エラー解除判断処理において前記エラーが解除されたと判断する、請求項1又は請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記コントローラは、
前記検出部で前記エラーを検出したと判断したことに基づいて、前記エラーを解除する解除手順を報知する解除手順報知処理を実行し、
前記エラー解除判断処理において、前記解除手順報知処理により報知した前記解除手順に従って作業が行われて前記エラーが解除されたか否か判断する、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の記録装置。
【請求項5】
前記コントローラは、
前記エラー解除判断処理により前記解除手順に従ってエラーが解除されたと判断したことに基づいて、前記解除手順を実施した状態の前記記録装置を復旧させる復旧手順を報知する復旧手順報知処理を実行する、請求項4に記載の記録装置。
【請求項6】
前記記録部は、
着色剤を用いて印刷媒体に印刷を実行する印刷部であり、
前記記録許可量は、
前記印刷部による印刷動作を許可する印刷可能枚数であり、
前記コントローラは、
前記記録処理において、前記印刷可能枚数の範囲で、印刷動作を前記印刷部に実行させ、
前記更新処理において、前記印刷動作に応じた印刷枚数を、前記印刷可能枚数から低減する、請求項1から請求項5の何れか1項に記載の記録装置。
【請求項7】
前記コントローラは、
前記許可量制限処理において、前記エラーにより正常に印刷できなかった前記印刷媒体の枚数が、前記更新処理において前記印刷可能枚数から低減されることを制限する、請求項6に記載の記録装置。
【請求項8】
前記コントローラは、
前記許可量制限処理において、前記印刷可能枚数から前記印刷枚数を低減した枚数に、前記エラーにより正常に印刷できなかった前記印刷媒体の枚数を増やした枚数を、前記更新処理後の前記印刷可能枚数として設定する、請求項7に記載の記録装置。
【請求項9】
前記エラーは、
前記印刷媒体を搬送する搬送路における前記印刷媒体のジャム、前記印刷媒体に対する前記着色剤の着色不良、前記印刷媒体が重なって前記搬送路を搬送される重送のうち、少なくとも1つである、請求項6から請求項8の何れか1項に記載の記録装置。
【請求項10】
サーバと、
情報処理装置と、
前記サーバ及び前記情報処理装置と通信可能な記録装置と、
を備える記録システムであって、
前記記録装置は、
記録媒体に記録動作を実行する記録部と、
前記記録部に関するエラーを検出する検出部と、
コントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
前記記録部による記録動作を許可する記録許可量の範囲で、記録動作を前記記録部に実行させる記録処理と、
前記記録処理の記録動作に応じて前記記録許可量を更新する更新処理と、
前記検出部で検出した前記エラーが解除されたか否かを判断するエラー解除判断処理と、
前記エラー解除判断処理により前記エラーが解除されたと判断したことに基づいて、前記エラーにともなって生じる量が、前記更新処理において前記記録許可量から更新されることを制限する許可量制限処理と、
を実行する記録システム。
【請求項11】
前記コントローラは、
前記記録部による記録動作を実行させる記録命令を前記情報処理装置から受け付ける受付処理と、
前記検出部で前記エラーを検出したことに基づいて、前記エラーを前記情報処理装置に通知するエラー通知処理と、
を実行し、
前記情報処理装置は、
前記エラー通知処理の通知を受信したことに基づいて、前記エラーを解除する解除手順のデータを、前記サーバから取得する解除手順取得処理を実行する、請求項10に記載の記録システム。
【請求項12】
前記コントローラは、
前記エラー解除判断処理により前記エラーが解除されたと判断したことに基づいて、前記エラーの情報と、前記エラーにともなって生じた前記記録許可量の変化量の情報を、前記サーバに送信する情報送信処理を実行する、請求項10又は請求項11に記載の記録システム。
【請求項13】
記録媒体に記録動作を実行する記録部と、前記記録部に関するエラーを検出する検出部と、を備える記録装置のコンピュータが読取り可能なプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記記録部による記録動作を許可する記録許可量の範囲で、記録動作を前記記録部に実行させる記録処理と、
前記記録処理の記録動作に応じて前記記録許可量を更新する更新処理と、
前記検出部で検出した前記エラーが解除されたか否かを判断するエラー解除判断処理と、
前記エラー解除判断処理により前記エラーが解除されたと判断したことに基づいて、前記エラーにともなって生じる量が、前記更新処理において前記記録許可量から更新されることを制限する許可量制限処理と、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置、記録システム、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ユーザが課金を行なって複写機で印刷を行なう画像処理システムについて、印刷時に複写機でジャムが発生した場合に、料金を返金する技術について記載されている。特許文献1の画像処理システムは、印刷時にジャムが発生した場合、ジャムにより印刷できなかったにも関わらず料金を徴収したページが存在するかどうかを判断する。画像処理システムは、印刷できなかったページがある場合、そのページの用紙サイズ等からジャムにより発生した過剰徴収金額を演算し、演算した過剰徴収金額を複写機に表示することで、店員に返却すべき金額を示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-113038号公報(段落0055、図8図9
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した画像処理システムでは、ジャムが発生した後、ジャムリカバリを行う前に、過剰徴収金額を表示している。このため、複写機で発生したジャム等のエラーが解除されずに、エラーに応じた料金が返金される可能性があった。
【0005】
そこで、本明細書は、記録許可量に基づいて記録動作を実行させる記録サービスにおいてエラーが発生した場合に、エラーの解除に基づいて記録許可量の処理が実行できる記録装置、記録システム、及びプログラムを開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書によって開示されるプログラムは、記録媒体に記録動作を実行する記録部と、前記記録部に関するエラーを検出する検出部と、コントローラと、を備え、前記コントローラは、前記記録部による記録動作を許可する記録許可量の範囲で、記録動作を前記記録部に実行させる記録処理と、前記記録処理の記録動作に応じて前記記録許可量を更新する更新処理と、前記検出部で検出した前記エラーが解除されたか否かを判断するエラー解除判断処理と、前記エラー解除判断処理により前記エラーが解除されたと判断したことに基づいて、前記エラーにともなって生じる量が、前記更新処理において前記記録許可量から更新されることを制限する許可量制限処理と、
を実行する記録装置。
【0007】
また、本明細書に開示の内容は、記録装置としての実施に限らず、例えば、記録装置、サーバ、情報処理装置を備える記録システムとして実施しても良く、記録装置のコンピュータが読み取り可能なプログラムとして実施しても有益である。
【発明の効果】
【0008】
上記構成の記録装置、記録システム、プログラムによれば、記録許可量に基づいて記録動作を実行させる記録サービスにおいてエラーが発生した場合に、エラーの解除に基づいて記録許可量の処理が実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本明細書の第1実施形態に係る印刷システムの構成図である。
図2】プリンタの概略構成を示す図である。
図3図1に示すプリンタ管理テーブルの説明図である。
図4図1に示すサーバ管理テーブルの説明図である。
図5】初期デバイス設定処理が実行された場合のシーケンス図である。
図6】携帯端末装置のディスプレイに表示するメニュー画面を示す図である。
図7】携帯端末装置が実行する印刷指示処理のフローチャートである。
図8図7に示す印刷指示処理が実行された場合におけるシーケンス図である。
図9】プリンタが実行する印刷処理のフローチャートである。
図10】携帯端末装置のディスプレイにジャムクリア方法を表示した画面遷移を示す図である。
図11】携帯端末装置のディスプレイに復旧方法を表示した画面遷移を示す図である。
図12】第2実施形態の印刷処理のフローチャートである。
図13】その他の実施形態の印刷システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(印刷システム1の構成)
以下、本明細書の記録システムを具体化した一実施形態である第1実施形態の印刷システムについて、図面を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係る印刷システム1の構成図である。印刷システム1は、ユーザに提供される印刷サービス(本明細書の記録サービスの一例)に用いられるものである。印刷サービスは、プリンタ20によって印刷可能な用紙の枚数である印刷可能枚数に対してユーザが課金することにより、ユーザが印刷可能となるサービスである。ユーザがこの印刷サービスを申し込むときに初期費用を支払うことにより、ユーザに対して所定の印刷可能枚数(例えば2000枚)が付与される。以下の説明では、印刷可能枚数を設定することや、追加で課金して印刷可能枚数を増加させることを、「チャージする」という場合がある。チャージの方法は、特に限定されない。
【0011】
また、本実施例においてプリンタ20は、例えば、インクジェットプリンタである。ベンダからユーザに送付されるプリンタ20には、ユーザに対して付与された所定の印刷可能枚数以上(例えば2000枚+α枚)の印刷をするために必要な量のインクが充填されている。このため、本印刷サービスでは、ユーザは、プリンタ20を入手した後、初期費用を支払うことにより付与された印刷可能枚数の印刷を行うまでの間に、プリンタ20にインクを充填したり、インクカートリッジを交換したりする手間が不要となる。したがって、本印刷サービスは、プリンタ20へのインクの補充作業が不要となり、ユーザにとっての利便性が高いサービスである。
【0012】
また、ユーザが初期費用の支払いにより付与された所定の印刷可能枚数を超えて印刷を行いたい場合は、追加の費用を支払ってチャージする。そして、追加の印刷可能枚数をチャージすることにより、ユーザはプリンタ20を継続して利用可能である。ユーザが追加の印刷枚数のチャージを繰り返したために、初期費用の支払いにより入手したプリンタ20のインク残量が少なくなった場合には、プリンタ20の交換をユーザが申請することによりプリンタ20が交換されることによって、印刷サービスが継続される。尚、上記α枚は印刷サービスを提供するベンダによって適宜設定される枚数である。
【0013】
印刷システム1は、携帯端末装置10、プリンタ20及びサーバ30を備えている。携帯端末装置10とプリンタ20とは、ルータ2を介して相互に通信可能に、有線又は無線によって(例えば、LANによって)接続されている。また、携帯端末装置10とサーバ30とは、ルータ2及びインターネット3を介して相互に通信可能に接続されている。さらに、プリンタ20とサーバ30とは、ルータ2及びインターネット3を介して相互に通信可能に接続されている。尚、上記したネットワークの構成は、一例である。例えば、サーバ30をLAN内に配置しても良い。また、サーバ30に接続される携帯端末装置10やプリンタ20は、複数台でも良く、1つのプリンタ20に対して複数の携帯端末装置10を接続しても良い。即ち、後述する印刷指示処理を実行する携帯端末装置10は、複数台存在しても良く、印刷を実行するプリンタ20を、複数のプリンタ20から選択しても良い。
【0014】
(携帯端末装置10の構成)
携帯端末装置10は、用紙(本願の記録媒体の一例)に対して画像の印刷をプリンタ20に実行させるものである。携帯端末装置10は、例えば、スマートフォンである。携帯端末装置10は、端末CPU11、端末記憶部12、近距離通信部13、ディスプレイ14、入力I/F(インタフェースの略)15、画像取得部16、及び、外部通信部17を備えている。これらの構成要素は、バス18を介して互いに通信可能とされている。
【0015】
端末記憶部12は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、HDD、端末CPU11が備えるバッファなどが組み合わされて構成されている。端末記憶部12には、端末プログラム12A、アプリケーションプログラム(以下、アプリケーションという場合がある)12B、印刷データ12Cが記憶されている。端末プログラム12Aは、携帯端末装置10を統括的に制御するプログラムであり、アプリケーション12Bに基本的な機能やサービスを提供する。端末プログラム12Aは、例えば、Android(登録商標)OSやiOS(登録商標)である。また、携帯端末装置10が例えばPCである場合、端末プログラム12Aは、Windows(登録商標)OSなどである。アプリケーション12Bは、例えば、プリンタ20のベンダから提供されるプログラムであり、端末プログラム12Aの機能等を利用して、プリンタ20に対する設定処理や印刷命令、サーバ30に対するチャージ命令等、後述する各種処理を実行するプログラムである。端末CPU11は、端末プログラム12Aやアプリケーション12Bを実行し、携帯端末装置10の制御やサーバ30への命令等を実行する。印刷データ12Cは、印刷の対象となる画像をプリンタ20が解釈可能なデータ形式に変換されたものである。また、端末記憶部12は、プリンタ20の印刷可能枚数の記憶にも用いられる。携帯端末装置10は、例えば、サーバ30から取得した印刷可能枚数を端末記憶部12に記憶し、記憶した印刷可能枚数の情報を表示等する。
【0016】
尚、以下の説明では、端末プログラム12Aやアプリケーション12Bを端末CPU11で実行する携帯端末装置10のことを、単に装置名で記載する場合がある。例えば、「携帯端末装置10は」という記載は、「端末プログラム12Aやアプリケーション12Bを端末CPU11で実行する携帯端末装置10は」ということを意味する場合がある。また、後述するプリンタプログラム26B1をプリンタCPU26Aで実行するプリンタ20や、サーバプログラム32B1をサーバCPU32Aで実行するサーバ30についても同様である。
【0017】
近距離通信部13は、プリンタ20と近距離にて無線通信するものである。近距離通信部13は、例えば、Bluetooth(登録商標)やNFCによって、後述するプリンタ20の近距離通信部21と無線通信を行う。ディスプレイ14は、各種情報を表示するものであり、LCDや有機ELディスプレイ等を採用できるが、特にこれらに限定されない。入力I/F15としては、ディスプレイ14と一体的に構成されているタッチパネルを採用でき、ディスプレイ14に表示されたアイコン等へのユーザの操作を受け付ける。また、入力I/F15は、キーボード、マウス等でも良い。
【0018】
画像取得部16は、例えば携帯端末装置10が備えるカメラ(図示省略)によって撮影された画像を取得する。また、画像取得部16は、外部装置に相当するHDD等と接続されて画像を取得しても良い。画像取得部16によって取得された画像は、印刷データ12Cに変換されて端末記憶部12に記憶される。
【0019】
外部通信部17は、例えば、Wi-Fi(登録商標)の通信規格に準じた無線通信により、ルータ2との間でデータを送受信する。外部通信部17は、ルータ2を介してプリンタ20に接続されている。また、外部通信部17は、ルータ2及びインターネット3を介してサーバ30に接続されている。尚、外部通信部17は、LANケーブル等の有線通信によりルータ2と接続される構成でも良い。
【0020】
(プリンタ20の構成)
プリンタ20は、例えば、インクジェット方式のカラー印刷機である。プリンタ20は、近距離通信部21、外部通信部22、タンク部23、インク残量検出部24、印刷部25、ユーザI/F27及び、プリンタ制御部26を備えている。外部通信部22は、ネットワークを介して接続された外部装置(本実施例では携帯端末装置10及びサーバ30)と相互に信号の送受信を行うものである。タンク部23は、インクを貯留するものである。本実施例においてインクは4種類あり(マゼンタM、シアンC、イエローY及びブラックBK)、タンク部23は、インクの種類毎に複数設けられている。即ち、プリンタ20は、複数のタンク部23を用いて4種類のインクそれぞれを独立させて貯留する。
【0021】
また、タンク部23は、ユーザがインクを充填不能に設けられている。具体的には、タンク部23は、ユーザによっては触れることができない位置に配置されている。また、タンク部23は、プリンタ20に着脱不能に固定されている。インク残量検出部24は、タンク部23に貯留されたインクの残量であるインク残量を検出するものである。インク残量検出部24は複数のタンク部23それぞれに配置され、複数のタンク部23それぞれのインク残量を検出する。尚、プリンタ20は、タンク部23をユーザが交換可能な構成でも良い。
【0022】
印刷部25は、タンク部23に貯留されたインクを用いて印刷を実行する。印刷部25は、印刷データ12C等の画像を、既知のインクジェット方式で用紙に印刷するための処理を実行する。ユーザI/F27は、例えば、タッチパネル、押しボタンスイッチ等であり、ユーザからの操作入力の受け付けや各種の情報の表示を行う。プリンタ制御部26は、プリンタ20を統括制御するものである。プリンタ制御部26は、プリンタCPU26A、プリンタ記憶部26Bを備えている。尚、上記したプリンタ20の構成は、一例である。例えば、プリンタ20は、タッチパネル等のユーザI/F27を備えない構成でも良い。
【0023】
プリンタCPU26Aは、プリンタ記憶部26B内のプリンタプログラム26B1を実行することで、プリンタ20の動作を制御する。プリンタプログラム26B1は、プリンタ20を統括的に管理するプログラムであり、プリンタ20に各種処理を実行させるプログラムである。プリンタ記憶部26Bは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、HDD、及び、プリンタCPU26Aが備えるバッファなどが組み合わされて構成されている。
【0024】
図2は、プリンタ20の概略構成を示している。図2に示すように、プリンタ20は、略箱形形状の本体筐体40を備えている。本体筐体40の内部には、上記した印刷部25やタンク部23(図1参照)等が収納されている。また、プリンタ20の底部には、用紙トレイ41が設けられている。用紙トレイ41は、複数枚の用紙Pを収納可能に構成され、本体筐体40に対して引き出し可能となっている。
【0025】
また、本体筐体40には、用紙トレイ41から用紙Pを給紙する給紙ローラ42、搬送路44に沿って用紙Pを搬送する搬送ローラ43が設けられている。搬送ローラ43は、搬送路44に沿って複数設けられ、給紙ローラ42によって搬送された用紙Pを、搬送路44に沿って印刷部25に向けて搬送する。また、搬送ローラ43は、印刷部25によって画像を印刷された用紙Pを、用紙トレイ41の上部に設けられた排紙トレイに排紙する。
【0026】
また、本体筐体40には、搬送路44上の用紙Pを検出可能な複数の用紙センサ45が設けられている。用紙センサ45は、例えば、搬送方向における用紙Pの先端を検出するセンサであり、用紙Pの先端に押されることで変位するアクチュエータ部と、アクチュエータ部の回動を検出する光センサとで構成されている。用紙センサ45は、用紙Pが存在せずにアクチュエータ部が初期位置に配置された場合と、用紙Pによってアクチュエータ部が回動した場合とで異なる信号をプリンタ制御部26に出力する。プリンタ20は、用紙センサ45の検出信号に基づいて、搬送路44上の用紙Pの詰まりであるジャムを検出可能となっている。
【0027】
また、本体筐体40は、用紙トレイ41の引き出し動作を検出するトレイセンサ47が設けられている。トレイセンサ47は、給紙ローラ42により用紙Pを給紙可能なセット位置(図2の位置)に用紙トレイ41を配置した場合と、セット位置から用紙トレイ41を引き出した場合とで異なる信号をプリンタ制御部26に出力する。プリンタ20は、トレイセンサ47の検出信号に基づいて、用紙トレイ41の引き出し動作を検出することができる。尚、トレイセンサ47は、用紙トレイ41の引き出し位置に応じた信号を出力する構成でも良い。
【0028】
また、本体筐体40は、ヒンジ48によって本体カバー49を上方(図2中の矢印の方向)へ回動可能となっている。本体カバー49は、ロック解除レバー51によって位置を規制されており、ロック解除レバー51を解除することで、上方へ回動可能となる。ユーザは、本体カバー49を上方へ回動させ、本体筐体40の上方を開口させることで、搬送路44上に詰まった用紙Pを取り出すことができる。本体筐体40は、本体カバー49の回動を検出する開閉センサ50が設けられている。開閉センサ50は、本体カバー49の開閉に応じた検出信号をプリンタ制御部26に出力する。プリンタ20は、開閉センサ50の検出信号に基づいて、本体筐体40の開閉を検出することができる。
【0029】
また、プリンタ記憶部26Bには、プリンタ管理テーブルPTが記憶されている。プリンタ管理テーブルPTは、印刷サービスの利用に関して、プリンタ20に関する情報が記憶されたテーブルである。プリンタ管理テーブルPTに記憶された情報は、後述する各種処理が実行される場合に適宜使用される。プリンタ管理テーブルPTには、図3に示すように、デバイスID、印刷可能枚数、インク残量、アクティベーション情報、デバイス設定、同期日時、印刷済枚数SH1、返金枚数SH2が対応付けられて記憶されている。
【0030】
デバイスIDは、例えば、プリンタ20のベンダによって設定されたシリアル番号であり、任意のプリンタ20を他のプリンタ20と識別できる固有の情報である。印刷可能枚数は、プリンタ20によって印刷を実行可能な用紙Pの枚数を示すものである。プリンタ20を利用するユーザは、プリンタ管理テーブルPTに記憶された印刷可能枚数だけ印刷することができる。印刷可能枚数は、ユーザによって課金されることにより、課金された額に応じた枚数が加算(チャージ)される。一方、印刷可能枚数は、プリンタ20の印刷によって使用された用紙Pの枚数が減算される。
【0031】
インク残量は、インク残量検出部24によって検出されたインク残量を示すものである。プリンタ20は、例えば、インクの補充、ノズルチェック、印刷等のインクを使用する動作を実行した後、インク残量検出部24によって検出したインク残量をプリンタ管理テーブルPTに記憶する。アクティベーション情報は、オン状態に設定された場合に印刷部25による印刷の実行が許容され、オフ状態に設定された場合に印刷部25による印刷の実行が制限されることを示すものである。印刷の実行の制限とは、例えば、印刷部25によって印刷できない状態にプリンタ20をすることをいう。尚、図3図4に示す「〇」はオン状態に設定されていることを示し、「×」は、オフ状態に設定されていることを示している。デバイス設定は、プリンタ20の機能(印刷等)及び各機能の設定(用紙サイズ、カラー、倍率等)、ユーザI/F27に表示する言語等の設定情報である。
【0032】
同期日時は、サーバ30との間で、前回(直近)の同期処理を実行した日時である。ここでいう同期処理とは、例えば、サーバ30とプリンタ20の印刷可能枚数を一致させる処理である。プリンタ20は、例えば、同期日時から一定期間が経過するごとに、サーバ30との間で同期処理を実行する。あるいは、プリンタ20は、電源投入時等の所定の条件が成立した場合に同期処理を実行しても良い。
【0033】
また、印刷済枚数SH1は、印刷済みの枚数の合計をカウントするためのカウンタであり、印刷可能枚数から減算する枚数を計測するのに用いられる。返金枚数SH2は、ジャム等のエラーにより発生した印刷枚数をカウントするためのカウンタである。印刷済枚数SH1、返金枚数SH2の詳細については、後述する。
【0034】
(サーバ30の構成)
サーバ30は、図1に示すように、外部通信部31及びサーバ制御部32を備えている。外部通信部31は、ネットワークを介して接続された携帯端末装置10やプリンタ20と通信を実行する。サーバ制御部32は、サーバ30を統括制御するものである。サーバ制御部32は、サーバCPU32A及びサーバ記憶部32Bを備えている。サーバCPU32Aは、サーバ記憶部32B内のサーバプログラム32B1を実行することで、サーバ30の動作を制御する。サーバプログラム32B1は、サーバ30を統括的に管理するプログラムであり、サーバ30に各種処理を実行させるプログラムである。
【0035】
サーバ記憶部32Bは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、HDD、及び、サーバCPU32Aが備えるバッファなどが組み合わされて構成されている。また、サーバ記憶部32Bには、サーバ管理テーブルSTが記憶されている(図4参照)。サーバ管理テーブルSTは、印刷サービスを利用するにあたって必要な情報が記憶されたテーブルである。サーバ管理テーブルSTは、印刷サービスを利用する各プリンタ20の情報が、プリンタ20のデバイスIDに関連付けて記憶され、ベンダによって管理されている。
【0036】
サーバ管理テーブルSTには、図4に示すように、デバイスID、印刷可能枚数、アクティベーション情報、交換申請情報、及び、チャージ予定枚数が対応付けられて記憶されている。デバイスID、印刷可能枚数、アクティベーション情報は、上述したプリンタ管理テーブルPTと同じデータであり、同じデバイスIDに対応するプリンタ管理テーブルPTのデータが記憶される。
【0037】
本実施例では、サーバ30は、印刷サービスを利用する複数のプリンタ20について、デバイスIDと印刷可能枚数を関連付けたサーバ管理テーブルSTによって、各プリンタ20の印刷可能枚数を管理する。サーバ30は、各ユーザの操作に応じて増減するプリンタ20の印刷可能枚数を、プリンタ20との間で同期する同期処理を実行することで、最新の印刷可能枚数をサーバ管理テーブルSTで管理する。
【0038】
交換申請情報は、オン状態に設定された場合にプリンタ20の交換が既に申請された状態であることを示し、オフ状態である場合にプリンタ20の交換が未だ申請されていない状態であることを示すものである。チャージ予定枚数は、ユーザによってチャージされた印刷可能枚数で、まだプリンタ20に反映していない印刷可能枚数である。例えば、サーバ30は、携帯端末装置10から任意のプリンタ20に対して、所定のチャージ枚数のチャージ要求を受信すると、そのプリンタ20のチャージ予定枚数に、要求されたチャージ枚数を設定する。サーバ30は、要求されたプリンタ20に対するチャージ処理を完了させると、チャージ予定枚数をリセットする。これにより、チャージの実行の有無を、チャージ予定枚数で管理できる。
【0039】
(初期デバイス設定処理)
次に、プリンタ20の初期デバイス設定処理におけるユーザの作業、各装置の処理の内容について説明する。ユーザは、プリンタ20を初めて購入し、ベンダからプリンタ20が到着すると、図5に示す作業を行う。携帯端末装置10、プリンタ20、サーバ30の各装置は、ユーザの作業に応じて各処理を実行する。尚、図5以降のシーケンス図では、ユーザ(人)による作業は、斜め左下向きの矢印で示している。また、図5以降に示す処理、作業の内容や順番は、一例である。また、プリンタ20として、デバイスIDが「dv1」(図3参照)のプリンタ20を設定する場合について説明する。
【0040】
まず、図5のステップ(以下、単にSと記載する)11において、ユーザは、ユーザI/F27を操作して、プリンタ20の電源を投入する(S11)。プリンタ20は、電源が投入されると、プリンタプログラム26B1をプリンタCPU26Aで実行し、プリンタ20のシステムを起動する(S13)。プリンタ20は、システムを起動すると初期導入等を実行する。ここでいう、初期導入とは、例えば、印刷部25による印刷を実行するための準備処理であり、印刷部25のインクの充填処理、ノズルの詰まりのチェック処理などである。また、プリンタ20は、初期導入が完了すると、印刷部25のインク残量を印刷部25で検出する。この時点では、インク残量ink1は、ほぼ満タンの残量となる。また、印刷可能枚数pr1は、何も設定されていないブランクの状態又はゼロ枚である。尚、プリンタ20は、印刷可能枚数pr1を設定された後に、初期導入やインク残量の検出等を実行しても良い。
【0041】
プリンタ20は、システムの起動等を実行すると、通信設定を受け付け可能な状態へ移行する(S15)。プリンタ20は、近距離通信部21や外部通信部22へ電力を供給し、外部装置と通信可能な状態へ移行する。一方、携帯端末装置10は、例えば、電源を投入されると、端末プログラム12Aを実行してシステムを起動した後、入力I/F15に対する操作入力等に応じてアプリケーション12Bを実行し、アプリケーションプログラムを起動する(S17)。
【0042】
また、ユーザは、プリンタ20と携帯端末装置10に対し、通信設定を適宜実行する。例えば、Wi-Fi(登録商標)の通信規格に応じた無線通信でプリンタ20と携帯端末装置10を接続する場合、プリンタ20は、ユーザI/F27のタッチパネルでルータ2のSSIDや暗号化キーの入力を受け付ける(S15)。プリンタ20は、受け付けたSSIDや暗号化キーに基づいて、ルータ2との間で、無線通信で接続を行う。同様に、携帯端末装置10は、入力I/F15に対する操作入力に基づいて、ルータ2と無線通信で接続する。携帯端末装置10は、アプリケーション12Bの起動や、起動後の所定の操作入力に基づいて(S17)、同一ネットワーク上のプリンタ20(外部通信部22のMACアドレスなど)を検出し、Wi-Fi(登録商標)の通信規格に応じた無線通信でプリンタ20と通信可能な状態となる(S19)。また、プリンタ20は、ルータ2を通じてサーバ30と通信可能な状態となる。
【0043】
携帯端末装置10は、例えば、S19で検出したプリンタ20の一覧をディスプレイ14に表示し、プリンタ20の選択を受け付ける。携帯端末装置10は、例えば、選択されたプリンタ20が初めて接続するプリンタ20である場合、そのプリンタ20の情報を要求する(S19)。尚、ここでいう初めて接続するプリンタ20とは、例えば、過去に印刷データ12C等のデータのやり取りを実行したことがないプリンタ20である。携帯端末装置10は、例えば、過去に通信を実行したプリンタ名やデバイスIDを端末記憶部12に記憶しておく。携帯端末装置10は、端末記憶部12にプリンタ名等のデータがないプリンタ20と接続する場合、初めて接続するプリンタ20であると判断し、情報を要求しても良い。
【0044】
プリンタ20は、携帯端末装置10から情報の要求を受け付けると、デバイスID「dv1」、インク残量「ink1」、デバイス設定「dc1」を携帯端末装置10に送信する(S21)。プリンタ20は、ベンダから発送された段階では、プリンタ管理テーブルPTにデータを記憶していない状態となっている。プリンタ20は、デバイスIDやデバイス設定をプリンタ管理テーブルPT以外のプリンタ記憶部26Bの記憶領域に記憶して発送される。プリンタ20は、S21において、このプリンタ記憶部26Bに記憶されたデバイスIDやデバイス設定を送信する。また、プリンタ20は、インク残量検出部24で検出したインク残量を送信する。携帯端末装置10は、デバイスID等をS21で受信すると、図6に示すメニュー画面61を、ディスプレイ14に表示する。携帯端末装置10は、例えば、印刷機能の実行をプリンタ20に命令する印刷アイコン62、プリンタ20の設定を行う設定アイコン63、プリンタ20の状態を確認するステータスアイコン65を、メニュー画面61に表示する。
【0045】
また、携帯端末装置10は、メニュー画面61の下部に設けられたプリンタ表示部69に、S19で選択されたプリンタ20の情報を表示する。携帯端末装置10は、例えば、「オンライン」の文字を表示し、プリンタ20と通信可能になったことをプリンタ表示部69に表示する。携帯端末装置10は、プリンタ表示部69の選択ボタン71をタッチ操作されると、同一ネットワーク上で検出したプリンタ20のプリンタ名(型番など)の一覧を表示し、印刷等を実行するプリンタ20の選択を受け付ける。
【0046】
また、携帯端末装置10は、任意のプリンタ20をプリンタ表示部69で選択された状態で、印刷アイコン62をタッチ操作されると、プリンタ20に対する印刷命令を実行する。また、携帯端末装置10は、設定アイコン63をタッチ操作されると、プリンタ20から取得したデバイス設定等を表示する。また、携帯端末装置10は、ステータスアイコン65をタッチ操作されると、プリンタ20から取得したインク残量などの状態情報を表示する。
【0047】
携帯端末装置10は、S21でデバイスID等を受信したことに応じて、プリンタ管理テーブルPTへ各項目を記憶するプリンタ管理テーブル登録命令をプリンタ20に送信する(S23)。プリンタ20は、S23の命令を受信したことに応じて、プリンタ管理テーブルPTに、デバイスID「dv1」と、S13で検出したインク残量「ink1」と、デバイス設定「dc1」とを対応付けて登録(記憶)する(S27)。また、プリンタ20は、プリンタ管理テーブルPTの印刷可能枚数pr1を、初期導入後のブランク状態のまま維持する。また、プリンタ20は、プリンタ管理テーブルPTのアクティベーション情報をオフ状態に設定する。プリンタ20は、同期日時「cd1」を、ブランク状態に設定する。これにより、プリンタ管理テーブルPTの登録が完了する。尚、プリンタ20は、ベンダから発送される段階でデバイスIDやデバイス設定をプリンタ管理テーブルPTに設定された状態でも良い。
【0048】
また、携帯端末装置10は、S29において、入力I/F15を介してユーザ情報を受け付ける。携帯端末装置10は、例えば、アプリケーション12Bのユーザ登録が未登録であった場合や、プリンタ20のユーザ登録が未登録であった場合、S29のユーザ情報の受付を実行する。このユーザ情報は、例えば、アプリケーション12Bにログインするためのログインユーザの情報や、プリンタ20を使用するユーザに関する情報であり、ユーザID、パスワード、ユーザの氏名、住所、年齢、性別、職業、連絡先のメールアドレス、料金の支払い方法等である。
【0049】
携帯端末装置10は、S29でユーザ情報を受け付けると、受け付けたユーザ情報をサーバ30へ送信する(S31)。サーバ30は、携帯端末装置10からユーザ情報を取得すると、取得したユーザ情報をサーバ記憶部32Bに記憶する(S33)。これにより、プリンタ20を使用するユーザの情報がサーバ30に登録される。サーバ30は、サーバ管理テーブルSTとは別にユーザ情報を管理しても良く、サーバ管理テーブルSTのデバイスIDに関連付けて管理しても良い。
【0050】
また、プリンタ20は、S27を実行しプリンタ管理テーブルPTの登録を完了させると、サーバ30へアクセスし、登録処理を実行する(S35)。プリンタ20は、例えば、予めプリンタ記憶部26Bに記憶されたサーバ30のURLへアクセスする。プリンタ20は、サーバ30へのアクセスに成功すると、サーバ30との間で通信可能な状態となる(S35)。また、プリンタ20は、例えば、デバイスID、印刷可能枚数、アクティベーション情報の登録を依頼する命令を、サーバ30へ送信する。サーバ30は、受信したデバイスIDについて、予め登録されたベンダのシリアル番号との照合を実行し、一致するデバイスIDを検出すると、受信したデバイスID等の情報を関連付けてサーバ管理テーブルSTに登録する(S35)。尚、プリンタ20は、サーバ30のアクセス先の情報を、携帯端末装置10から取得しても良い。また、プリンタ登録処理(S35)を、携帯端末装置10が実行しても良い。
【0051】
また、ユーザは、S29のユーザ情報の登録を完了させると、サービスの申し込みを実行する(S37)。例えば、ユーザは、入力I/F15を操作して、登録したユーザ情報、S19で選択したプリンタ20の情報、選択したプリンタ20について料金を支払う方法などの登録を、サーバ30に対して実行する。料金を支払う方法は、S31で登録した支払い方法から選択しても良く、改めてクレジットカードの情報等を新規に登録しても良い。これにより、ユーザ情報、課金方法が、課金対象のプリンタ20の情報(デバイスIDなど)と関連付けられサーバ30に登録される。
【0052】
また、サーバ30は、サーバ管理テーブルSTへの登録が初登録であるプリンタ20に対して、所定の印刷可能枚数(例えば、2000枚)を初回チャージとしてチャージする(S39)。例えば、サーバ30は、S37によってサービスの申し込みが完了したユーザで、且つ、サーバ管理テーブルSTへの登録が初登録であるプリンタ20のデバイスIDに関連付けられた印刷可能枚数について、所定の枚数を自動で初回チャージしても良い。あるいは、サーバ30は、初回チャージの実行の有無を、携帯端末装置10を介してユーザに確認しても良い(S39)。サーバ30は、初回のチャージ処理が完了すると、チャージの完了通知を携帯端末装置10へ送信する(S41)。尚、初回チャージの印刷可能枚数を、ベンダからユーザにプリンタ20を送付する時点で、プリンタ管理テーブルPTに設定しても良い。
【0053】
携帯端末装置10は、S41の完了通知を受信すると、初回チャージの印刷可能枚数を、サーバ30との間で同期させる同期開始命令を、プリンタ20に送信する(S43)。尚、携帯端末装置10は、完了通知を受信したことをディスプレイ14に表示して、プリンタ20に同期を実行させるか、ユーザの命令を受け付けても良い。
【0054】
プリンタ20は、S43の同期開始命令を受信すると、サーバ30との間で、印刷可能枚数を同期する処理を実行する(S45)。プリンタ20は、例えば、S39の初回チャージでチャージされた印刷可能枚数をサーバ30へ問い合わせる。サーバ30は、デバイスIDに基づいて、初回チャージされた印刷可能枚数を、プリンタ20へ応答する。プリンタ20は、サーバ30から取得した印刷可能枚数で、プリンタ管理テーブルPTの印刷可能枚数を上書きすることで、印刷可能枚数の同期処理を実行する。プリンタ20は、同期処理を完了させると、プリンタ管理テーブルPTの同期日時「cd1」を、現在の日時に更新する。尚、S45の同期処理を開始する条件は、上記した携帯端末装置10からプリンタ20への同期開始命令の送信に限らない。例えば、プリンタ20は、入力I/F15に対する所定の操作入力に基づいて同期処理を開始しても良い。
【0055】
サーバ30は、S45の同期処理を完了させると、プリンタ20を印刷が可能な状態へ移行させる設定を行う(S47)。サーバ30は、サーバ管理テーブルSTにおいて、S39で初回チャージを完了させたプリンタ20のデバイスIDに関連付けられたアクティベーション情報をオン状態(図4の「○」)にする。サーバ30は、サーバ管理テーブルSTのアクティベーション情報を更新すると、アクティベーション情報をオン状態にするアクティベーション命令を、プリンタ20へ送信する(S49)。プリンタ20は、S49のアクティベーション命令を、サーバ30から受信すると、自装置のプリンタ管理テーブルPTのアクティベーション情報をオン状態にする。これにより、プリンタ20は、携帯端末装置10から受信した印刷データ12C等を印刷可能な状態となる。尚、サーバ30は、サーバ管理テーブルSTの交換識別情報の初期値として、オフ状態に設定する。
【0056】
プリンタ20は、アクティベーション情報をオン状態にすると、完了通知を携帯端末装置10へ送信する(S50)。携帯端末装置10は、S50の完了通知を受信すると、例えば、メニュー画面61に、印刷可能な状態になったことを表示する。尚、上記した図5に示す初期デバイス設定処理の内容は、一例である。例えば、プリンタ20へ追加で印刷可能枚数をチャージする予定がない場合、ユーザは、ユーザ情報の登録、クレジットカードの登録等を実行しなくとも良い。この場合、初回チャージの印刷可能枚数だけプリンタ20にチャージしても良い。
【0057】
(印刷指示処理)
次に、携帯端末装置10が実行する印刷指示処理について、図7に示すフローチャートを用いて説明する。印刷指示処理は、プリンタ20に印刷を実行させる処理である。
まず、S51において、携帯端末装置10は、印刷実行操作がされたか否かを判断する。印刷実行操作は、ユーザによるメニュー画面61の印刷アイコン62への操作である。携帯端末装置10は、印刷実行操作がされたことに応じて(S51:YES)ディスプレイ14に表示する印刷実行画面(図示省略)において、印刷に使用する用紙の種類や枚数などの指定を受け付ける。以下、印刷実行画面において指定された用紙の枚数を印刷指定枚数と記載する。
【0058】
携帯端末装置10は、印刷アイコン62が操作されない場合、S51で否定判断し(S51:NO)、S51を繰り返し実行する。一方、携帯端末装置10は、印刷アイコン62が操作されたことに応じて(S51:YES)、プリンタ20から印刷可能枚数及びアクティベーション情報を取得する(S53)。次に、S55において、携帯端末装置10は、S53で取得した印刷可能枚数が印刷指定枚数以上であるか否かを判断する。携帯端末装置10は、印刷可能枚数が印刷指定枚数より少ない場合(S55:NO)、印刷指示処理を中止する(S57)。この場合、携帯端末装置10は、例えば、印刷可能枚数のチャージを促す旨をディスプレイ14に表示しても良い。一方、携帯端末装置10は、印刷可能枚数が印刷指定枚数以上である場合、(S55:YES)、S53で取得したアクティベーション情報がオン状態であるか否かを判断する(S59)。尚、印刷可能枚数と印刷指定枚数の判断は、携帯端末装置10以外の装置、例えば、プリンタ20が実行しても良い。例えば、携帯端末装置10は、S53で印刷可能枚数を要求せず、印刷指定枚数との比較も実施せずに、印刷命令を送信しても良い。そして、プリンタ20は、携帯端末装置10から受信した印刷命令の印刷指定枚数よりプリンタ管理テーブルPTの印刷可能枚数が少ない場合、印刷を中止しても良い。
【0059】
携帯端末装置10は、アクティベーション情報がオフ状態であることに応じて(S59:NO)、S57にて印刷指示処理を中止する。この場合、アクティベーション情報がオフ状態であるため、携帯端末装置10は、初期デバイス設定処理を促す旨をディスプレイ14に表示しても良い。一方、携帯端末装置10は、アクティベーション情報がオン状態であることに応じて(S59:YES)、印刷命令をプリンタ20に送信し(S65)、プリンタ20に印刷を実行させる。印刷命令の情報は、ユーザによる印刷実行操作によって指定された印刷の設定に関する情報であり、具体的には、印刷データ12C、印刷指定枚数や色調などの情報である。
【0060】
次に、S67にて、携帯端末装置10は、印刷が完了したか否かを判断する。携帯端末装置10は、印刷完了通知をプリンタ20から受信するまでの間、S67で否定判断し(S67:NO)、印刷完了通知を受信すると(S67:YES)、印刷可能枚数をプリンタ20から取得する(S69)。プリンタ20は、印刷を実行すると、印刷枚数に応じて印刷可能枚数を減算する。携帯端末装置10は、印刷完了通知を受信すると、減算後の印刷可能枚数をプリンタ20から取得し、端末記憶部12の情報を更新し、図7に示す処理を終了する。例えば、携帯端末装置10は、メニュー画面61のステータスアイコン65の操作に応じて表示する印刷可能枚数や、印刷アイコン62の操作に応じて表示する印刷画面の印刷可能枚数の情報として、取得した更新後の情報を用いる。尚、携帯端末装置10は、印刷完了通知に応じて、インク残量の情報などの他の情報をプリンタ20から取得して更新しても良い。また、携帯端末装置10は、印刷可能枚数等の情報をプリンタ20から取得しなくとも良い。例えば、携帯端末装置10は、印刷可能枚数の情報をサーバ30から取得し表示等しても良い。
【0061】
(印刷指示処理における印刷システム1の動作)
次に、上述した印刷指示処理における印刷システム1の動作について図8を用いて説明する。一例として、印刷指定枚数に対して印刷可能枚数が十分にある状態であり、アクティベーション情報がオン状態である場合について説明する。
【0062】
S71では、携帯端末装置10は、ユーザによる印刷実行操作を受け付ける(図7のS51でYES)。S73では、携帯端末装置10は、印刷実行操作を受け付けたことに応じて、印刷可能枚数を取得するための印刷可能枚数要求、及び、アクティベーション情報を取得するためのアクティベーション情報要求をプリンタ20に送信する。
【0063】
S75では、プリンタ20は、携帯端末装置10の要求に応じて、プリンタ管理テーブルPTに記憶されている印刷可能枚数及びアクティベーション情報を送信する。S77では、携帯端末装置10は、プリンタ20から印刷可能枚数及びアクティベーション情報を取得したことに応じて(図7のS53)、印刷可能枚数及びアクティベーション情報を確認する(図7のS55、S59)。S79では、携帯端末装置10は、印刷可能枚数が印刷指定枚数以上であること(S55:YES)、及びアクティベーション情報がオン状態であること(S59:YES)に応じて、印刷命令をプリンタ20へ送信する(S65)。例えば、携帯端末装置10は、印刷データ12Cを送信して、印刷データ12Cの印刷をプリンタ20に命令する。尚、携帯端末装置10側で、印刷可能枚数が印刷指定枚数以上であるか否かの判断や、アクティベーション情報がオン状態であるか否かの判断を実行しなくとも良い。例えば、プリンタ20が、印刷可能枚数等を判断して、エラーを携帯端末装置10へ通知しても良い。
【0064】
S81では、プリンタ20は、サーバ30との間で通信可能であるか否かを判断する。ここで、例えば、ルータ2の故障、サーバ30の不具合などによって、サーバ30と通信できない場合、プリンタ20は、印刷可能枚数をサーバ30と同期することができない。そこで、本実施例のプリンタ20は、S81において、サーバ30と通信可能であると判断すると(S81:YES)、S85において、印刷部25を制御して印刷処理(図9参照)を実行する。プリンタ20は、印刷処理の実行を完了させると、プリンタ管理テーブルPTの印刷可能枚数を更新する(S87)。具体的には、プリンタ20は、印刷した印刷枚数だけ減算した印刷可能枚数で、プリンタ管理テーブルPTの印刷可能枚数を更新する。この更新に用いる減算後の印刷可能枚数は、後述する図9のS125で演算した印刷可能枚数である。プリンタ20は、印刷を完了したことに応じて、その旨を示す印刷完了通知を携帯端末装置10に送信する(S89)。
【0065】
一方、プリンタ20は、サーバ30と通信できないと判断した場合(S81:NO)、オフライン時印刷可能条件を満たすか否かを判断する(S83)。このオフライン時印刷可能条件は、上記したサーバ30と通信できないオフライン状態でも、印刷を許可する条件である。プリンタ20は、オフライン時印刷可能条件を満たすと判断すると(S83:YES)、S81で肯定した場合と同様に、S85で印刷を実行して、S87以降の処理を実行する。オフライン時印刷可能条件は、例えば、オフライン状態のままで印刷しても良い印刷の上限枚数である。この場合、プリンタ20は、S81で否定判断しても、オフライン状態で印刷した累積の印刷枚数が上限枚数に到達するまでの間、S83で肯定判断する。尚、プリンタ20は、S83のオフライン時印刷可能条件を判断しなくとも良い。例えば、プリンタ20は、サーバ30と通信可能であるか否かに係わらず、印刷可能枚数の範囲で印刷を実行しても良い。
【0066】
また、プリンタ20は、S89で印刷完了通知を送信すると、S87で更新した後の印刷可能枚数を携帯端末装置10へ送信する(S91)。また、プリンタ20は、印刷可能枚数を同期させる同期命令を、サーバ30へ送信する(S93)。プリンタ20は、S87で更新した後の印刷可能枚数、即ち、印刷処理により減算した後の印刷可能枚数を、サーバ30へ送信する。
【0067】
サーバ30は、同期命令をプリンタ20から受信すると、サーバ管理テーブルSTにおいて、送信元のプリンタ20のデバイスIDに対応する印刷可能枚数を、受信した印刷可能枚数で更新(上書き)する(S95)。これにより、サーバ管理テーブルSTの印刷可能枚数が、印刷実行後のプリンタ20の印刷可能枚数に一致する。サーバ30は、S95の更新処理を完了させると、完了した旨の通知をプリンタ20へ送信する(S97)。プリンタ20は、S97の完了通知を受信すると、プリンタ管理テーブルPTの同期日時を、現在の日時に更新する(S99)。プリンタ20は、同期日時を更新すると、同期が完了した旨の通知を、携帯端末装置10へ送信する(S101)。
【0068】
尚、上記した印刷指示処理の内容は、一例である。例えば、プリンタ20は、用紙を一枚ずつ印刷するごとに印刷処理(図9参照)を終了し印刷可能枚数の同期処理を実行しても良く、複数の印刷ジョブをまとめて受け付けた場合、複数の印刷ジョブを全て完了させた後に、同期処理を実行しても良い。また、プリンタ20は、印刷可能枚数の同期処理を、携帯端末装置10を介して実行しても良い。
【0069】
また、サーバ30は、S93の同期処理において、印刷後のプリンタ20のインク残量を取得しても良い。サーバ30は、プリンタ20のインク残量が所定量以下となった場合に、プリンタ20の交換を携帯端末装置10に通知し、プリンタ20の交換申請を携帯端末装置10で受け付けても良い。これにより、インク残量が減ってきた場合に、自動でプリンタ20の交換をユーザに促すことができる。サーバ30は、携帯端末装置10から交換申請を受け付けると、サーバ管理テーブルSTの交換申請情報をオン状態とし、交換の申請の有無を管理する。サーバ30は、交換申請を受け付けたユーザについて、新しいプリンタ20の発送を行い、印刷サービスの継続した提供を行う。
【0070】
(印刷処理)
次に、プリンタ20が実行する印刷処理について図9に示すフローチャートを用いて説明する。プリンタ20は、図8のS85において、S79の印刷命令に基づく印刷処理を開始すると、図9に示す処理を開始する。まず、プリンタ20は、S103において、印刷済枚数SH1及び返金枚数SH2をリセットする。例えば、プリンタ20は、2つのカウンタにゼロの値を設定する。
【0071】
次に、プリンタ20は、印刷済枚数SH1を「1」だけインクリメントする(S105)。次に、プリンタ20は、印刷処理においてジャムの発生を検出したか否かを判断する(S107)。プリンタ20は、用紙センサ45(図2参照)の検出信号に基づいてジャムが発生したか否かを判断する。プリンタ20は、ジャムが発生していないと判断すると(S107:NO)、1ページ分だけ印刷を終了したか否かを判断する(S109)。
【0072】
プリンタ20は、例えば、S109において、ジャム等のエラーが発生せず、用紙Pに対する印刷を正常に実行し、印刷後の用紙Pを排紙トレイに排出したことをもって、1ページ分の印刷が終了したと判断する。プリンタ20は、1ページ分の印刷が終了していない場合(S109:NO)、S107の判断処理を再度実行し、1ページ分の印刷が終了すると(S109:YES)、全ての印刷が終了したか否かを判断する(S111)。プリンタ20は、携帯端末装置10から受信した印刷命令に基づく印刷が全て終了していない場合(S111:NO)、S105を実行する。これにより、印刷済枚数SH1は、印刷枚数が1ページ増加するごとに、「1」だけ増加する。
【0073】
一方、プリンタ20は、印刷中にジャムが発生すると、S107で肯定判断し(S107:YES)、印刷動作を中断し、エラーを報知する(S113)。プリンタ20は、例えば、プリンタ20のユーザI/F27によるエラー表示や、携帯端末装置10へのエラーの通知を実行する。また、S113において、プリンタ20は、ジャムのエラーを解除する方法であるジャムクリア方法を、携帯端末装置10の画面に表示する処理を実行する。例えば、図8に示すように、プリンタ20は、ジャムクリア方法を表示させる表示命令を、携帯端末装置10へ送信する(S113)。携帯端末装置10は、表示命令を受信すると、例えば、ジャムクリア方法のデータをサーバ30からダウンロードし(S131)、ダウンロードしたデータをディスプレイ14に表示する処理を実行する(S133)。
【0074】
尚、携帯端末装置10は、印刷を実行中の画面からジャムクリア方法を表示する画面に自動でディスプレイ14の表示を切り替えても良く、「エラーの解除手順を表示しますか?」などのメッセージを表示して、表示の切り替えについてユーザの指示を受け付けても良い。また、ジャムクリア方法のデータは、携帯端末装置10のアプリケーション12Bが備えても良い。また、携帯端末装置10は、ジャムクリア方法のデータを、プリンタ20からダウンロードしても良い。
【0075】
図10は、ジャムクリア方法のデータをディスプレイ14に表示した状態を示している。ジャムクリア方法のデータは、例えば、6ページのマニュアルのデータで構成されている(S141~S147)。携帯端末装置10は、例えば、マニュアルのページを、タッチパネル(入力I/F15)に対するスワイプ操作やフリック操作に応じて切り替える(図10の矢印の順番)。マニュアルの各ページは、各手順におけるプリンタ20の状態を示す画像81と、プリンタ20に対する操作方法を文字で説明したメッセージ83とで構成されている。1ページ目には、例えば、排紙トレイを折り畳む操作が説明されている(S141)。2ページ目には、用紙トレイ41(図2参照)を本体筐体40から引き出す操作が説明され(S142)、3ページ目には、本体筐体40に設けられたロック解除レバー51を解除する操作が説明されている(S143)。4ページ目には、本体カバー49を上方へ回動させ、本体筐体40の上部を開放させる操作が説明され(S145)、5ページ目には、搬送路44に詰まった用紙Pを、本体筐体40の開口から取り出す操作が説明されている(S146)。そして、7ページ目には、本体筐体40の開口から、破れた紙片が内部に残っていないか確認する旨が説明されている(S147)。ユーザは、各ページ(S141~S147)の手順を実行することで、プリンタ20に詰まっている用紙Pを適切に取り除くことができる。
【0076】
一方、プリンタ20は、図9のS113を実行した後、ジャムクリア方法が手順通りに実行され、用紙センサ45で用紙Pを検出しなくなったか否かを判断する(S115)。プリンタ20は、手順の実行が完了するまでの間(S115:NO)、S115の判断処理を実行する。図2に示すように、プリンタ20には、複数のセンサが設けられている。プリンタ20は、各センサの検出信号に基づいて手順の進行や完了を判断できる。例えば、プリンタ20は、トレイセンサ47に基づいて、図9のS142の用紙トレイ41の取り外し手順を完了したか否かを判断できる。また、プリンタ20は、開閉センサ50に基づいて、S145の本体カバー49を開ける手順が完了したか否かを判断できる。また、プリンタ20は、用紙センサ45のアクチュエータ部の回動に基づいて、ジャムが発生した用紙Pが取り除かれたか否かを判断できる。例えば、プリンタ20は、上記した順で各センサの検出信号が変化し、全ての用紙センサ45で用紙Pを検出しなくなった場合に、S115で肯定判断する(S115:YES)。S115で肯定判断した時点では、プリンタ20は、ジャムがクリア(エラー解除)された状態となるが、本体カバー49が開かれた状態であり、印刷可能な状態に復旧していない。即ち、プリンタ20は、S115で、ジャムクリア方法が手順通りに実行され、手順通り実行された後の用紙センサ45の検出信号を確認することで、発生したエラーが解除されたか否かを判断できる。
【0077】
また、プリンタ20は、全てのセンサを判断せずに、最終工程の用紙センサ45の検出信号だけで、例えば、ジャムの発生を検出した際に用紙Pを検出していた用紙センサ45で用紙Pを検出しなくなったことを条件に、S115で肯定判断しても良い。また、プリンタ20は、各センサの検出信号に基づいて、ジャムクリア方法の手順がどこまで進んだかユーザに通知しても良い。また、プリンタ20は、一定時間が経過しても、ジャムを検出した用紙センサ45で用紙Pを検出しつづける場合、別の手順をユーザに通知しても良い。
【0078】
プリンタ20は、S115で肯定判断すると(S115:YES)、ジャム発生前の状態、即ち、印刷可能な状態に復旧させる方法を携帯端末装置10に表示する処理を実行する(S119)。プリンタ20は、S113と同様に、復旧方法の表示命令を携帯端末装置10に送信する(S119)。携帯端末装置10は、S119の表示命令を受信すると、復旧方法のマニュアルデータを、サーバ30からダウンロードし(S135)、ダウンロードしたデータをディスプレイ14に表示する(S137)。
【0079】
図11は、復旧方法のデータをディスプレイ14に表示した状態を示している。復旧方法のマニュアルは、例えば、3ページで構成され、図10に示すジャムクリア方法のマニュアルと同様に、各ページは、プリンタ20の状態を示す画像85と、操作方法を説明したメッセージ87とで構成されている(S151~S153)。1ページ目には、例えば、本体カバー49を閉じる操作が説明され(S151)、2ページ目には、用紙トレイ41(図2参照)を本体筐体40に戻す操作が説明されている(S152)。そして、3ページ目には、排紙トレイを戻す操作が説明されている(S153)。
【0080】
また、プリンタ20は、図9のS119を実行した後、復旧方法が手順通りに実行され、本体カバー49が閉じられ用紙トレイ41が戻される等してプリンタ20が印刷可能な状態に復旧したか否かを判断する(S121)。プリンタ20は、印刷可能状態に復旧するまでの間(S121:NO)、S121の判断処理を実行する。プリンタ20は、S115と同様に、例えば、各センサの検出信号に基づいてS151~S153の手順が実行されたと判断し、各用紙センサ45で用紙Pを検出しない状態、即ち、エラーを検出せず且つ印刷可能な状態に復旧すると、肯定判断する(S121:YES)。プリンタ20は、S123において、返金枚数SH2を1だけインクリメントする。これにより、返金枚数SH2は、ジャムの発生ごとにインクリメントされ、ジャムの発生にともなって正常に印刷されなかった用紙Pの枚数がカウントされる。また、プリンタ20は、S123において、印刷を再開すると、S105からの処理を再度実行する。これにより、印刷済枚数SH1には、ジャムが発生した用紙Pを含む全ての印刷枚数がカウントされる。
【0081】
そして、プリンタ20は、印刷命令に基づく全ページの印刷を終了すると(S111:YES)、S125を実行する。プリンタ20は、プリンタ管理テーブルPTから読み出した印刷可能枚数から印刷済枚数SH1の値を減算し、減算した枚数に返金枚数SH2の値を加算した値を、図8のS87の更新処理で用いる更新後の印刷可能枚数として設定する。これにより、実際に印刷した枚数に相当する印刷済枚数SH1の枚数を印刷可能枚数から減算した後、ジャムにより発生した分の印刷枚数に相当する返金枚数SH2の枚数を戻すことができる。尚、ジャムが発生しない場合、返金枚数SH2は、ゼロとなる。
【0082】
プリンタ20は、S125を実行すると、S127を実行する。プリンタ20は、S127において、エラーの情報と、エラーにともなって発生した印刷可能枚数の変化量の情報を、サーバ30に送信する。プリンタ20は、例えば、エラーの情報として、ジャムが発生したことを示す情報、即ち、発生したエラーの種類を示す情報や、自装置のシリアル番号、機種名などの情報を送信する。また、プリンタ20は、変化量の情報として、印刷済枚数SH1や返金枚数SH2の情報を送信する。これにより、サーバ30は、各プリンタ20で発生したエラーの情報を収集・分析することができる。プリンタ20は、S127を実行すると、図8のS87以降の処理を実行する。
【0083】
(第2実施形態)
上記した図9に示す印刷処理の内容は、一例である。図12は、第2実施形態の印刷処理の内容を示している。尚、以下の説明では、上記した第1実施形態と同様の内容については、その説明を適宜省略する。第1実施形態では、印刷済枚数SH1と返金枚数SH2とを用いたが、ジャム(エラー)発生時の印刷枚数をカウントする返金枚数SH2を用いなくとも良い。例えば、プリンタ20は、印刷の実行を開始し、図12のS130で印刷済枚数SH1をゼロにリセットした後、S131でエラーが発生したか否かを判断する。
【0084】
第1実施形態では、エラーの種類としてジャムを採用したが、他のエラーを対象としても良く、複数のエラーを対象としても良い。例えば、エラーとしては、ノズルのインク詰まり等によってインクが適切に用紙Pに付着しない着色剤不良(画像の一部抜けや白紙印刷など)を採用できる。また、プリンタ20が、電子写真方式で印刷する場合は、トナーなどの着色剤の不良をエラーとして採用できる。
【0085】
プリンタ20は、S131で着色不良を検出すると(S131:YES)、印刷動作を中止してエラーを報知し、エラーの解除方法を報知する(S132)。プリンタ20は、例えば、ノズルチェック、テスト印刷などを実行する操作方法を携帯端末装置10に表示させる。また、上記第1実施形態では、プリンタ20が、ジャムの解除を判断、即ち、エラーの解除を判断したが、エラーの解除についてユーザによる判断を受け付けても良い。例えば、ユーザは、S132のエラーの解除方法を見て、ノズルチェックやテスト印刷をプリンタ20に実行させた後、印刷された用紙Pの印刷結果が正常であるか確認する。ユーザは、印刷結果を確認して、着色不良が解消されていると判断した場合、エラーが解除された旨の操作を携帯端末装置10に対して行う。携帯端末装置10は、例えば、S132のエラーの解除方法を表示した後、エラーが解除されたか否かを、入力I/F15によって受け付け、エラーが解除された旨の操作を受け付けると、エラーが解除されたことをプリンタ20へ通知する。プリンタ20は、携帯端末装置10からエラーの解除通知を受信すると、S133で肯定判断し(S133:YES)、印刷を再開して(S134)、S131から再度実行する。これにより、エラーの解除をユーザによって確認させることができる。
【0086】
あるいは、エラーとしては、拍車痕を採用できる。例えば、印刷直後の用紙Pがインクによって濡れていることから、画像の劣化を防止するために、搬送ローラ43の一部を拍車状に形成した場合に、その拍車状のローラを用紙Pに押しつける力が過剰となることで、用紙Pに拍車痕が形成される虞がある。プリンタ20は、例えば、拍車痕のエラーを検出する圧力センサ等を備え、圧力センサの検出信号に基づいて拍車痕のエラーを検出すると(S131:YES)、搬送ローラ43の位置を調整等するマニュアルを携帯端末装置10に表示に表示しても良い。そして、テスト印刷の結果をユーザに確認させ、ユーザの確認結果に基づいて拍車痕の解除を判断しても良い(S133)。
【0087】
また、エラーとしては、複数の用紙Pが重なって搬送路44を搬送される重送を採用できる。この場合、プリンタ20は、第1実施形態のジャムの場合と同様に、用紙センサ45等で重送を判断し、エラーの解除方法等を携帯端末装置10に表示させることができる。尚、エラーの解除方法を携帯端末装置10に表示させずに、プリンタ20のユーザI/F27に表示しても良い。
【0088】
また、上記した第1実施形態では、プリンタ20は、S107でジャムを判断する前に印刷済枚数SH1をインクリメントしたが、図12に示すように、エラーが発生せずに、1ページ分の印刷が完了したと判断した後に(S109:YES)、印刷済枚数SH1をインクリメントしても良い。そして、プリンタ20は、全ての印刷が完了した後(S111:YES)、カウントした印刷済枚数SH1の値を印刷可能枚数から減算しても良い。この場合にも、第1実施形態と同様に、S133によりエラーが解除されたと判断したことに基づいて、エラーにともなって生じる印刷枚数が、印刷可能枚数から減算されることを制限できる(本願の許可量制限処理の一例)。
【0089】
因みに、印刷システム1は、記録システムの一例である。プリンタ20は、記録装置の一例である。用紙Pは、印刷媒体の一例である。印刷部25は、記録部の一例である。用紙センサ45は、検出部の一例である。プリンタ制御部26は、検出部、コントローラの一例である。印刷可能枚数は、記録許可量の一例である。返金枚数SH2は、エラーにともなって生じる量の一例である。S85の印刷処理は、記録処理の一例である。S125,S135,S87は、更新処理の一例である。S115は、エラー解除判断処理の一例である。S125、S135は、許可量制限処理の一例である。S113は、報知処理、エラー通知処理の一例である。S133は、エラー解除判断処理、問い合わせ処理の一例である。S113は、解除手順報知処理の一例である。S119は、復旧手順報知処理の一例である。S79は、受付処理の一例である。S131は、解除手順取得処理の一例である。S127は、情報送信処理の一例である。
【0090】
(効果)上記した各実施例によれば、以下の効果を奏する。
(1)プリンタ20は、印刷部25による印刷動作を許可する印刷可能枚数の範囲で、印刷動作を実行する(S85)。プリンタ20は、印刷枚数に応じて印刷可能枚数を更新する(S87)。プリンタ20は、用紙センサ45の検出信号に基づいて、印刷中のジャムの発生を検出する。プリンタ20は、ジャムクリア方法が手順通り実行され、検出したジャムが解除されたか否かを判断する(S115)。プリンタ20は、ジャムが解除された場合(S115:YES)、ジャムによって生じる印刷枚数が、印刷可能枚数から減らされないように返金枚数SH2による補正を実行する(S125)。これによれば、印刷中にジャムが発生した場合、ジャムによって印刷済枚数SH1にカウントされた印刷枚数を、返金枚数SH2を加算することで補正でき、印刷不良によって発生した料金分をユーザに返却できる。また、ジャムが解消した後で、印刷可能枚数の返却を行うことで、プリンタ20が、ジャムなどのエラーが発生した状態のままにされることを抑制できる。例えば、用紙Pが詰まったままのプリンタ20がベンダ等に返却されることをなくすことで、回収業者は、用紙Pの詰まりなどを確認する必要がなくなり、プリンタ20のリサイクル作業が容易となる。
【0091】
(2)プリンタ20は、用紙センサ45の検出信号に基づいてジャムを検出すると、エラーを報知する(S113)。プリンタ20は、エラーを報知した後、用紙センサ45によってジャムを検出しなくなったことに基づいて、エラーが解除されたと判断する(S115:YES)。これによれば、ジャムが解消されたことを、用紙センサ45によって確認した上で、印刷可能枚数の返却等を実行できる。
【0092】
(3)また、プリンタ20は、第2実施形態に示すように、エラーを検出したとことに基づいて、検出したエラーが解決したか否かをユーザに問い合わせても良い(S133)。プリンタ20は、携帯端末装置10を介してユーザからエラーが解決した旨の応答があったことに基づいて、エラーが解除されたと判断する(S133:YES)。これによれば、エラーが解消されたことを人に確認した上で、印刷可能枚数の返却等を実行できる。
【0093】
(4)また、プリンタ20は、ジャムを検出した場合(S107:YES)、ジャムを解除するジャムクリア方法(解除手順の一例)の表示を携帯端末装置10に命令する(S113)。プリンタ20は、報知したジャムクリア方法の手順に従って作業が行なわれた後の用紙センサ45の検出信号を確認することで、ジャムがクリアされたか否かを判断できる(S115)。これによれば、ジャムクリア方法をユーザに提示して実施させ、より確実にジャムをクリアできる。
【0094】
(5)また、プリンタ20は、ジャムクリア方法の手順に従って作業が行なわれジャムが解消したと判断した場合(S115:YES)、印刷可能状態に復旧させる方法(復旧手順の一例)の表示を携帯端末装置10に命令する(S119)。これによれば、手順をユーザに確認させることで、ジャムクリアの作業をした状態から、印刷が可能な通常の状態にプリンタ20を容易に復旧させることができる。
【0095】
(6)また、プリンタ20は、印刷可能枚数の範囲で、印刷部25により印刷を行う。これによれば、課金により印刷可能枚数をチャージするようなプリンタ20において、ジャムの発生などによって印刷可能枚数が減らされ、ユーザに不利益が発生することを抑制できる。
【0096】
(7)また、プリンタ20は、ジャムにより正常に印刷できなかった印刷枚数(返金枚数SH2)が、印刷可能枚数から低減されないように、加算する処理を実行する(S125)。これによれば、返金枚数SH2を印刷可能枚数に加算することで、ジャムで生じた消費枚数を戻すことができる。
【0097】
(8)また、プリンタ20は、S125において、印刷可能枚数から印刷済枚数SH1(印刷枚数の一例)を低減した枚数に、返金枚数SH2を増やした枚数を、印刷後の印刷可能枚数として設定する。これによれば、返金枚数SH2の分だけ印刷可能枚数を戻すことで、ユーザに不利益が発生することを抑制できる。
【0098】
(9)また、本明細書におけるエラーとしては、用紙Pのジャム、用紙Pに対するインクの着色不良、用紙Pが重なって搬送路44を搬送される重送のうち、少なくとも1つを採用できる。これによれば、このようなエラーが発生した場合に、印刷可能枚数がエラー時の印刷枚数で減らされることを制限でき、ユーザの利益・権利を守ることができる。
【0099】
(10)また、プリンタ20は、携帯端末装置10から印刷命令を受信し(S79)、印刷を開始した後、用紙センサ45でジャムを検出したことに基づいて、エラーを携帯端末装置10に通知する(S113)。携帯端末装置10は、通知を受信したことに基づいて、ジャムクリア方法のデータを、サーバ30からダウンロードする(S131)。これによれば、解除手順の文書データなど、データ量の大きいファイルをプリンタ20や携帯端末装置10に記憶させる必要がなく、ジャム等のエラーの発生に応じて、サーバ30から適宜手順のデータをダウンロードできる。
【0100】
(11)また、プリンタ20は、エラーが解除されたと判断したことに基づいて、エラーの情報と、エラーにともなって発生した印刷可能枚数の変化量の情報を、サーバ30に送信する(S127)。これによれば、エラーの発生頻度、エラーによって発生した印刷枚数、エラーが発生しているプリンタ20の機種情報等を収集・分析でき、エラーの再発の抑制を図ることができる。
【0101】
(その他の実施形態)
上記実施例では、印刷を許可する枚数を示す印刷可能枚数をプリンタ20やサーバ30に記憶させた。これに対し、印刷可能枚数そのものではなく、印刷可能枚数に係わる情報をプリンタ20等に記憶しても良い。図13は、その他の実施形態の印刷システム1Aを示している。尚、以下の説明では、上記各実施形態と同様の構成については、同一符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0102】
図13に示すように、例えば、印刷システム1Aのサーバ30は、印刷済枚数151、チャージ済枚数152をサーバ記憶部32Bに記憶している。また、プリンタ20は、印刷済枚数153、チャージ済枚数154をプリンタ記憶部26Bに記憶している。印刷済枚数151,153は、プリンタ20によって印刷された印刷枚数の総計である。即ち、印刷済枚数151,153は、上記実施例の印刷可能枚数とは異なり、印刷回数が増えるごとに増加する枚数である。チャージ済枚数152,154は、携帯端末装置10によってチャージされたチャージ枚数の総計である。即ち、チャージ済枚数152,154は、ユーザからチャージされるごとに増加する枚数である。この場合、印刷可能枚数は、チャージ済枚数152,154から印刷済枚数151,153を減算した値となる。プリンタ20とサーバ30は、この印刷済枚数151,153とチャージ済枚数152,154について、一方の情報に基づいて他方の情報を更新する更新処理を実行する。
【0103】
詳述すると、例えば、プリンタ20には、チャージ済枚数154の初期値として、購入時に5000枚がチャージされる。プリンタ20は、印刷処理を実行すると印刷した枚数だけ印刷済枚数153を増加させる(S307)。この際、プリンタ20は、ジャム等のエラーが発生した場合、エラーにともなって生じた印刷枚数が印刷済枚数153に加算されることを制限する。即ち、印刷済枚数153の増加に、エラーの枚数を含めない処理する。プリンタ20は、例えば、印刷後に、チャージ済枚数154から印刷済枚数153を減算した値、即ち、印刷可能枚数がゼロとなった場合、それ以降の印刷動作を制限する。従って、本実施例では、印刷可能枚数自体を装置が記憶せずとも、演算によって管理することができる。また、例えば、サーバ30は、携帯端末装置10からチャージ命令を受信すると(S301)、チャージ命令で命令されたチャージ枚数(例えば、1000枚)をチャージ済枚数152に加算する(S303)。サーバ30は、加算後のチャージ済枚数152で、プリンタ20のチャージ済枚数154を更新(上書き)する(S305)。これにより、プリンタ20のチャージ済枚数154に、チャージ枚数が加算される(例えば、5000+1000=6000枚)。尚、サーバ30は、チャージ済枚数154を上書きせずに、加算するチャージ枚数をプリンタ20へ通知し、加算処理をプリンタ20に実行させても良い。
【0104】
プリンタ20は、更新後のチャージ済枚数154(例えば、6000枚)を上限値として設定し、携帯端末装置10等から印刷命令を受信すると(S310)、印刷済枚数153がチャージ済枚数154以上となるまで印刷を実行する。上記したように、プリンタ20は、例えば、印刷が終了するごとに、印刷枚数(エラーの枚数を除く枚数)だけ印刷済枚数153を増加させる(S307)。そして、プリンタ20は、増加させた後の印刷済枚数153で、サーバ30の印刷済枚数151を更新(上書き)する(S309)。
【0105】
このような枚数を増加させて管理する印刷システム1Aにおいても、上記したエラーの発生に応じて印刷済枚数153を変更し、印刷可能枚数を管理できる。例えば、プリンタ20は、第1実施形態とは異なり、印刷の終了に合わせて、印刷済枚数153に印刷済枚数SH1の値を加算し値から、ジャムに応じてカウントした返金枚数SH2の値を減算した値を、印刷後の印刷済枚数153として設定しても良い。
【0106】
(変形例)
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の実施例の変形例を以下に列挙する。
【0107】
例えば、上記した各実施形態では、プリンタ20は、エラーを携帯端末装置10に通知したが、通知しなくとも良い。プリンタ20は、エラーの通知等を実行せずに、印刷可能枚数からジャムによって生じた印刷枚数(返金枚数SH2)だけ減らされないように処理しても良い。あるいは、プリンタ20は、エラーを通知せずに、最初からエラーの解除方法を通知しても良い。
また、プリンタ20は、返金枚数SH2の全部を戻さずに、エラーにともなって生じた枚数の一部(一定の割合の枚数)を返却しても良い。
また、上記の実施例において、本願の情報処理端末として、スマートフォンである携帯端末装置10を採用したが、これに限らない。情報処理装置としては、デスクトップPC、ノートPC、タブレットPC等の端末を採用できる。
【0108】
また、1つのプリンタ20に対して、複数の携帯端末装置10から印刷の命令や印刷可能枚数のチャージを実施しても良い。
プリンタ20は、ユーザがインクを補充可能(タンク部23の各インクタンクを交換可能)な構成でも良い。また、インクなどの消耗品を補充するための手段としては、他にはタンク部23に対してインクなどが入ったボトルから注入可能にする構成などが挙げられる。
また、本願の記録装置として、インクジェット方式のプリンタ20を採用したが、レーザープ方式やサーマル方式のプリンタでも良い。また、記録装置は、個人ユーザ向けのプリンタに限らず、商業用・産業用の印刷機でも良い。従って、記録装置は、印刷機能の他に、スキャン機能、コピー機能、FAX機能等を備える複合機でも良い。また、記録装置は、金属部材等に対して、レーザによりマーカを行うレーザマーカでも良い。従って、本願の記録媒体は、用紙に限らず、金属部材等でも良い。
【0109】
また、プリンタ20は、プリンタ管理テーブルPTを、プリンタ記憶部26Bに記憶する構成であったが、これに限らない。例えば、プリンタ20は、ICカードやメモリカード等を読み取り可能な読み取りI/Fを備えても良い。そして、プリンタ20は、読み取りI/Fに装着されたICカード等から、デバイスIDや印刷可能枚数などのプリンタ管理テーブルPTの情報を読み取って用いても良い。即ち、プリンタ20は、プリンタ管理テーブルPTを、ICカード等で管理される構成でも良い。
あるいは、プリンタ20は、印刷可能枚数等のプリンタ管理テーブルPTの情報を、印刷部25のインクタンクに設けられたメモリ、レーザプリンタの場合であれば、トナーカートリッジのメモリ、感光体ドラムのメモリなど、プリンタプログラム26B1が記憶された記憶部以外のメモリ等に記憶して管理しても良い。
また、本願における記録許可量は、印刷枚数に限らない。例えば、記録許可量は、インクやトナーの消費量でも良い。記録許可量は、何ドット(ピクセル)だけインクの吐出を許可する量、インクの使用を許可する量(何mlなど)でも良い。あるいは、記録許可量は、感光体ドラム等の印刷動作にともなって回転する部材の回転数で規定しても良い。
【符号の説明】
【0110】
1 印刷システム(記録システム)、20 プリンタ(記録装置)、25 印刷部(記録部)、26 プリンタ制御部(検出部、コントローラ)、44 搬送路、45 用紙センサ(検出部)、P 用紙(記録媒体)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13