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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022115512
(43)【公開日】2022-08-09
(54)【発明の名称】長尺体支持具
(51)【国際特許分類】
   H02G 7/00 20060101AFI20220802BHJP
   F16L 3/10 20060101ALI20220802BHJP
   F16L 3/24 20060101ALI20220802BHJP
   H02G 1/02 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
H02G7/00
F16L3/10 A
F16L3/24 C
H02G1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021012137
(22)【出願日】2021-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】里 義久
(72)【発明者】
【氏名】瀧田 祐太
(72)【発明者】
【氏名】中野 光浩
【テーマコード(参考)】
3H023
5G352
5G367
【Fターム(参考)】
3H023AA04
3H023AC08
3H023AD04
3H023AE02
5G352AC01
5G367AD01
5G367AD11
(57)【要約】
【課題】本発明は、作業者が作業しやすい長尺体支持具を提供する。
【解決手段】前記構造部材に内角側から取り付けられ、前記長尺体を保持する保持本体を備え、該保持本体は、前面を形成し、長さ方向に沿った板状の前板部と、前記前板部よりも後側に配置され、前記保持本体を前記構造部材に取り付けるべく前記第一帯板部及び第二帯板部の少なくとも一方に当接する当接部と、前記前板部と前記当接部との間に配置され、前記長尺体を保持する保持部と、を備え、前記保持部には、前記長尺体が挿通可能であり、挿通された前記長尺体の径方向の動きを規制する保持孔が形成され、前記前板部には、長さ方向に沿って形成され、かつ、前記保持孔に連通し、前記長尺体を前記保持孔へ導入可能な前連通口が形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する長さ方向と帯幅方向とを有する第一帯板部と第二帯板部とが、内角を形成するように前記帯幅方向の一端同士が連結されてなる構造部材と、該構造部材の内角側の領域において前記長さ方向に沿って延びる長尺体と、を備える構造物に適用され、
前記構造部材に内角側から取り付けられ、前記長尺体を保持する保持本体を備え、
該保持本体は、前面を形成し、前記長さ方向に沿った板状の前板部と、前記前板部よりも後側に配置され、前記保持本体を前記構造部材に取り付けるべく前記第一帯板部及び第二帯板部の少なくとも一方に当接する当接部と、前記前板部と前記当接部との間に配置され、前記長尺体を保持する保持部と、を備え、
前記保持部には、前記長尺体が挿通可能であり、挿通された前記長尺体の径方向の動きを規制する保持孔が形成され、
前記前板部には、前記長さ方向に沿って形成され、かつ、前記保持孔に連通し、前記長尺体を前記前面側から前記保持孔へ導入可能な前連通口が形成されている長尺体支持具。
【請求項2】
前記長さ方向を中心にした周方向に沿うように構成され、前記保持本体と前記構造部材とに巻き掛けて前記保持本体を前記構造部材に取り付ける巻掛部を備える請求項1に記載の長尺体支持具。
【請求項3】
前記前板部は、前記巻掛部によって締め付けられる締付部を有し、
前記当接部が前記第一帯板部及び前記第二帯板部に当接した状態で、前記締付部が前記巻掛部に締め付けられることで、前記保持本体が前記構造部材に取り付けられる請求項2に記載の長尺体支持具。
【請求項4】
前記前板部には、前記長さ方向と前後方向とに直交する幅方向の両端部に、前記巻掛部を挿通するための挿通切欠きが形成されており、前記両端部の挿通切欠きの間の領域に前記締付部が設けられる請求項3に記載の長尺体支持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物の高さ方向に沿って延びる接地線等の長尺体を支持する長尺体支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄塔の高さ方向に沿って延びるケーブルを保持する器具として、特許文献1に記載されたケーブル固定金具が存在する。このケーブル固定金具は、一方向を長手にして延びる二つの帯状板部の長手方向と直交する短手方向の一端同士が直角又は略直角に接続されることで構成される構造用材に取り付けられる金具本体と、前記ケーブルを保持可能に構成された保持手段とを備え、前記金具本体は、前記二つの帯状板部の内角側で、一方の帯状板部の内側面に螺設されたベース部と、該ベース部に対して面交差する方向に延出し、前記保持手段が取付けられる保持手段取付部とを備え、該保持手段取付部は、一方の帯状板部と略平行をなして他方の帯状板部の他端から延びる仮想線と、他方の帯状板部と略平行をなして一方の帯状板部の他端から延びる仮想線によって包囲された領域に前記保持手段を位置させるように構成され、前記保持手段は、前記ベース部と前記保持手段取付部との内角側で、前記保持手段取付部の一方の面に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-284665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1記載のケーブル固定金具では、保持手段がベース部と保持手段取付部との内角側で、前記保持手段取付部の一方の面に取り付けられている。そのため、前記保持手段は、前記保持手段取付部の一方の面側で、ケーブルを保持する。よって、前記保持手段取付部の他方の面側から作業する作業者が、前記保持手段にケーブルを保持させるときには、作業者は、前記保持手段取付部の一方の面側に手指を回り込ませて、前記保持手段にケーブルを保持させる作業を行う必要があり、前記作業がしにくかった。
【0005】
そこで、本発明は、作業者が作業しやすい長尺体支持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、互いに直交する長さ方向と帯幅方向とを有する第一帯板部と第二帯板部とが、内角を形成するように前記帯幅方向の一端同士が連結されてなる構造部材と、該構造部材の内角側の領域において前記長さ方向に沿って延びる長尺体と、を備える構造物に適用され、前記構造部材に内角側から取り付けられ、前記長尺体を保持する保持本体を備え、該保持本体は、前面を形成し、前記長さ方向に沿った板状の前板部と、前記前板部よりも後側に配置され、前記保持本体を前記構造部材に取り付けるべく前記第一帯板部及び第二帯板部の少なくとも一方に当接する当接部と、前記前板部と前記当接部との間に配置され、前記長尺体を保持する保持部と、を備え、前記保持部には、前記長尺体が挿通可能であり、挿通された前記長尺体の径方向の動きを規制する保持孔が形成され、前記前板部には、前記長さ方向に沿って形成され、かつ、前記保持孔に連通し、前記長尺体を前記前面側から前記保持孔へ導入可能な前連通口が形成されている長尺体支持具である。
【0007】
前記構成によれば、前記当接部を前記第一帯板部と前記第二帯板部の少なくとも一方に当接することで、前記保持本体を前記構造部材に内角側から取り付けることができ、前記長尺体を前記前板部に形成された前記前連通口から前記保持孔に導入することで、前記保持部が前記長尺体を保持できるため、前記保持本体は前記長尺体を確実に保持できる。
【0008】
また、本発明の長尺体支持具では、前記長さ方向を中心にした周方向に沿うように構成され、前記保持本体と前記構造部材とに巻き掛けて前記保持本体を前記構造部材に取り付ける巻掛部を備える。
【0009】
前記構成によれば、前記巻掛部を前記保持本体と前記構造部材とに巻き掛けて前記保持本体を前記構造部材に取り付けることにより、前記保持本体を、ボルトなどの構造部材の外角側へ突出する締付部材を用いずに取り付けることができ、作業者や他のケーブルなどの引っ掛かりを防止できる。
【0010】
また、本発明の長尺体支持具では、前記前板部は、前記巻掛部によって締め付けられる締付部を有し、前記当接部が前記第一帯板部及び前記第二帯板部に当接した状態で、前記締付部が前記巻掛部に締め付けられることで、前記保持本体が前記構造部材に取り付けられる。
【0011】
前記構成によれば、前記当接部が前記第一帯板部及び前記第二帯板部に当接した状態で、前記締付部が前記巻掛部に締め付けられることにより前記保持本体が前記構造部材に取り付けられるため、前記保持本体を前記構造部材に確実に取り付けることができる。
【0012】
また、本発明の長尺体支持具では、前記前板部には、前記長さ方向と前後方向とに直交する幅方向の両端部に、前記巻掛部を挿通するための挿通切欠きが形成されており、前記両端部の挿通切欠きの間の領域に前記締付部が設けられる。
【0013】
前記構成によれば、長さ方向と前後方向とに直交する幅方向の両端部に、前記巻掛部を挿通するための前記挿通切欠きが形成され、前記両端部の前記挿通切欠きの間の領域に前記締付部が設けられるため、前記巻掛部を前記挿通切欠きに挿通することで前記巻掛部の前記保持本体へのズレを防止でき、前記挿通切欠きの間の前記締付部で締め付けることで、確実に取り付けることができる。
【発明の効果】
【0014】
以上、本発明の長尺体支持具によれば、前板部よりも前側から長尺体を前連通口に挿し込むことで、保持本体が長尺体を保持することができ、支持作業がしやすい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る長尺体支持具の一実施形態の正面図であって、構造物に適用された状態を示す。
図2】本実施形態に係る長尺体支持具の平面図であって、構造物に適用された状態を示す。
図3】本発明に係る長尺体支持具において、一実施形態とは異なる態様で、保持本体が長尺体を保持する方法を説明するための図であり、(a)は保持本体が長尺体と内押さえ具を保持する態様を示し、(b)は長尺体が前板よりも前側で保持される態様を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る長尺体支持具の一実施形態について説明する。この長尺体支持具は、例えば、鉄塔などの構造物の上下方向に沿う長尺体を支持するためのものである。
【0017】
以下の説明に際しては、図1の上下方向を「長さ方向」と特定し、図1及び図2の左右方向を「幅方向」として特定する。また、図2の上下方向を「前後方向」として特定する。そして、前記「長さ方向」、前記「幅方向」及び前記「前後方向」はそれぞれが直交する。
【0018】
まず、説明の便宜上、本実施形態に係る長尺体支持具1が適用される構造物Aの構成について説明する。この構造物Aは、例えば、鉄塔のことである。この構造物Aは、構造部材Xと、長尺体Yとを備える。
【0019】
構造部材Xは、例えば、鉄塔の四隅に立設されるアングルである。この構造部材Xは、互いに直交する長さ方向と帯幅方向とを有する第一帯板部X1と第二帯板部X2とを備える。この構造部材Xは、図1に示すように、第一帯板部X1の帯幅方向の一端から第二帯板部X2が連続するように配置されている。そのため、第一帯板部X1と第二帯板部X2の帯幅方向の一端同士が連結している。また、本実施形態の構造部材Xでは、図2に示すように、帯幅方向に沿う第一帯板部X1の一端から第一帯板部X1の帯幅方向とは異なる方向に帯幅方向が沿うように第二帯板部X2が配置される。即ち、本実施形態においては、第一帯板部X1と第二帯板部X2の帯幅方向が直交するように構成されている。よって、本実施形態の構造部材Xは、劣角としての内角を形成するように、第一帯板部X1及び第二帯板部X2が連結して構成されることで、L状の山形鋼として構成されている。なお、構造部材Xの内角のうち、第一帯板部X1の帯幅方向の他端部と第二帯板部X2の帯幅方向の他端部との間を結ぶ仮想の線よりも構造部材X側のことを、「構造部材Xの内角側の領域Z」として説明する。
【0020】
長尺体Yは、例えば、接地線などの線材が該当する。本実施形態では、図1に示すように、一本の長尺体Yが長さ方向に沿って配置されている場合について説明するが、例えば、長尺体Yが複数本配置されていてもよい。長尺体Yは、構造部材Xの内角側の領域Zにおいて長さ方向に沿って延びる。本実施形態の長尺体Yは、構造部材Xの上端と下端それぞれにおいて、長さ方向の端部が支持されることにより、長さ方向に沿って配置されている。そのため、図1に示すように、本実施形態では、長尺体Yのうち、長さ方向の中途部が構造部材Xに沿って配置されている。
【0021】
続いて、本実施形態の長尺体支持具1の構成について説明する。長尺体支持具1は、保持本体2と、巻掛部3とを備える。
【0022】
保持本体2は、構造部材Xに内角側から取り付けられる。また、この保持本体2は、長尺体Yを保持する。本実施形態の保持本体2は、前板部20と、横板部21と、保持部22と、を備える。
【0023】
前板部20は、長さ方向に沿った板状に形成されている。本実施形態の前板部20は、図1、2に示すように、板の面方向が長さ方向と幅方向に沿う面となっている。そのため、本実施形態の前板部20は、前後方向に前面200と裏面(図示しない)とを形成した矩形板状に構成されている。なお、本実施形態では、図1に示すように、前板部20の前面200が保持本体2の前面になっている。また、本実施形態の前板部20は、図1及び2に示すように、幅方向の寸法が、第一帯板部X1の帯幅方向の他端と第二帯板部X2の帯幅方向の他端との間の距離よりも長い。
【0024】
前板部20には、幅方向の端部に、後述する巻掛部3を挿通するための挿通切欠き20cが形成されている。本実施形態の前板部20には、幅方向の両端部に挿通切欠き20cが形成されている。この挿通切欠き20cは、前板部20を幅方向に切欠くようにして形成されている。本実施形態の挿通切欠き20cは、図1に示すように、前板部20の幅方向の端縁を開放している。本実施形態の場合、挿通切欠き20cは、前板部20の長さ方向の両端部の間に形成されている。また、この挿通切欠き20cは、前板部20を前後方向に貫通するように形成されている。そのため、本実施形態では、図1に示すように、前板部20を正面視したときに、挿通切欠き20cによって後側を確認できる。そして、本実施形態の挿通切欠き20cは、幅方向の両端部において、三つずつ設けられている。さらに、この挿通切欠き20cは、切込み深さが異なるように上下方向に複数並べて設けられている。具体的に、本実施形態において、挿通切欠き20cは、長さ方向の他方側(下側)に進むにつれて、幅方向での切込み深さが深くなるように設けられている。
【0025】
前板部20には、長さ方向に沿って前連通口20aが形成されている。本実施形態の前連通口20aは、前板部20の幅方向の途中部分(図1では、中央部)に形成されている。より具体的には、前連通口20aは、図1に示すように、幅方向において、両端に形成された挿通切欠き20cの間に配置されている。また、本実施形態の前連通口20aは、前板部20を幅方向に二分割するべく、前板部20の長さ方向の全域に形成されている。
【0026】
前連通口20aは、後述する保持孔22bに連通するべく、前板部20を前後方向に貫通するように形成されている。そして、この前連通口20aは、幅方向において長尺体Yの直径よりも長い。そのため、この前連通口20aには、長尺体Yを径方向で挿し込むことができると共に、長尺体Yを後述する保持孔22bへ導入可能である。
【0027】
前板部20は、後述する巻掛部3によって締め付けられる締付部20bを有する。この締付部20bは、前板部20の前面200のうち、幅方向の両端部の間の領域に設けられている。本実施形態では、図1に示すように、締付部20bは、幅方向の両端部の挿通切欠き20cの間の領域に設けられている。
【0028】
横板部21は、前板部20と異なる方向に沿う板である。本実施形態では、図1に示すように、横板部21として、長さ方向の一方側に配置される上板部21aと、他方側に配置される下板部21bとを備える。そして、本実施形態において、上板部21a及び下板部21bは共通する構成を備える。そのため、以下では、上板部21aについてその構成を説明し、共通する構成については下板部21bに兼用する。なお、本実施形態の上板部21aと下板部21bは、長さ方向において、対称となるように配置されている。
【0029】
上板部21aは、構造部材Xの内角側に取り付けられる。本実施形態の上板部21aは、平面視で略台形状の板として形成されている。この上板部21aは、板の面方向が幅方向と前後方向に沿う。そのため、本実施形態の上板部21aは、長さ方向に上面と下面とを形成した板状に構成される。そして、本実施形態の上板部21aは、二つの斜辺部210と、前端部211と、保持部22とを備える。なお、本実施形態の上板部21aには、図1、2に示すように、取付ピンaを挿通するための押さえ取付部213が形成されている。この押さえ取付部213は、後述する差込孔22cの近くで、上面から上向きに突設している。
【0030】
前端部211は、三角板状に形成された上板部21aの一辺を構成する。この前端部211は、幅方向に沿って形成されている。本実施形態の前端部211は、前板部20の幅方向の長さと略同一に形成されている。この前端部211は、前板部20の長さ方向一方側の端部に連結している。これにより、上板部21aは、前板部20に連結している。一方で、下板部21bでは、前端部211が前板部20の長さ方向の他方側の端部に連結することで、下板部21bが前板部20に連結している。本実施形態では、上板部21aは、前板部20の長さ方向一方の端部から後方に向けて突設される。一方で、下板部21bは、前板部20の長さ方向他方の端部から後方へ向けて突設される。よって、本実施形態において、横板部21は前板部20に連結している。
【0031】
斜辺部210は、平面視で略台形状に形成された上板部21aの一辺を構成する。この斜辺部210は、一端が前端部211の幅方向の端に連続した状態で前端部211よりも後側に配置されている。本実施形態では、図2に示すように、二つの斜辺部210の他端が、前端部よりも後側で幅方向に沿う後端部に連続している。なお、本実施形態の後端部は幅方向において、前端部211よりも短い。そのため、本実施形態の二つの斜辺部210それぞれは、第一帯板部X1と第二帯板部X2の幅方向に沿うように構成されている。そして、この斜辺部210は、構造部材Xのうち、第一帯板部X1及び第二帯板部X2の少なくとも一方に当接する当接部210aと、前記当接部210aよりも前側に配置される前斜部210bとを備える。本実施形態では、二つの斜辺部210それぞれが、第一帯板部X1と第二帯板部X2に当接する当接部210aを備える。そのため、本実施形態において、当接部210aを第一帯板部X1及び第二帯板部X2に当接することにより、横板部21を構造部材Xに当てることができ、内角側から保持本体2を構造部材Xに取り付けることができる。よって、この当接部210aは、前板部20よりも後側に配置されている。
【0032】
保持部22は、長尺体Yを保持する。本実施形態の保持部22は、図1に示すように、長尺体Yを挿通して保持するべく、横板部21(具体的には、上板部21a及び下板部21b)を長さ方向に貫通する保持孔22bが形成された部分である。この保持部22は、図2に示すように、横板部21の幅方向及び前後方向の中央部に設けられている。なお、本実施形態の保持部22は、長尺体Yをしっかりと保持するべく、長尺体Yの周方向全体を囲うように構成される。この保持部22は、前板部20と当接部210aとの間に配置されている。本実施形態の保持部22には、横板部21の前端部211から後側に配置される挿入孔22aと、前記挿入孔22aに連通する保持孔22bと、後述する差込取付部401c、501cを差し込むための差込孔22cが形成されている。
【0033】
挿入孔22aは、前端部211を前後方向で二分割するように形成される孔である。この挿入孔22aは、前端部211にて、前連通口20aと連通している。また、本実施形態の挿入孔22aは、図1に示すように、幅方向の長さが、前連通口20aと略同一である。よって、本実施形態の挿入孔22aには、長尺体Yを挿入可能である。
【0034】
保持孔22bは、長尺体Yを挿通するためのものである。そのため、この保持孔22bは、長尺体Yの直径よりも大きく形成されている。本実施形態の保持孔22bは、円形状の孔である。この保持孔22bは、挿通された長尺体Yの径方向の動きを規制する。また、本実施形態の保持孔22bは、挿入孔22aよりも後側に形成されている。そして、この保持孔22bは、上板部21aの上面と下面を貫通するように形成されている。よって、保持孔22bには長尺体Yが挿通可能である。さらに、この保持孔22bは、前後方向で挿入孔22aと連通している。よって、本実施形態の保持孔22bは、挿入孔22aを介して、前連通口20aに連通している。さらに、本実施形態において、保持孔22bの幅方向の寸法は、挿入孔22aの幅方向の寸法より大きい。
【0035】
本実施形態の差込孔22cは、円形状の保持孔22bから斜辺部210に向かって突出するように形成されている。また、本実施形態の差込孔22cは、前後方向で保持孔22bよりも狭く形成されている。
【0036】
巻掛部3は、長さ方向を中心にした周方向に沿うように構成され、保持本体2と構造部材Xとに巻き掛けて保持本体2を構造部材Xに取り付ける。本実施形態の巻掛部3は、保持本体2と構造部材Xとに巻き付ける巻回部30と、巻回部30を巻き止める巻止部31を備える。
【0037】
巻回部30は、長尺に形成され、保持本体2と構造部材Xに巻き付けることが可能な程度に湾曲する。本実施形態の巻回部30は、帯状に形成され、より具体的には、ステンレスバンドにより形成されている。
【0038】
巻止部31は、輪状にした巻回部30を巻き止める。この巻止部31は、巻回部30の長手方向の一端部に取り付けられており、巻回部30を保持本体2と構造部材Xに巻き付けた状態で、巻回部30の長手方向の他端部を通して止める。本実施形態の巻止部31は、図2に示すように、巻回部30が保持本体2と構造部材Xに巻き付けられた状態において、前板部20(具体的には、前連通口20a)よりも前側に配置される。
【0039】
このような構成の長尺体支持具1では、構造部材Xに取り付けられた保持本体2が長尺体Yを保持し、巻掛部3が保持本体2と構造部材Xに巻き掛けられることにより、長尺体Yを支持する。以下では、長尺体支持具1により長尺体Yを支持するための方法について説明する。
【0040】
まず初めに、保持本体2を構造部材Xに取り付ける。なお、保持本体2を構造部材Xに取り付けるに際しては、構造部材Xの内角側の領域Zにおいて長さ方向に配置される長尺体Yを前側に移動させ、構造部材Xの内角側の領域Zから退避させる。これにより、長尺体Yが保持本体2を構造部材Xに取り付ける際の妨げになることを防止できる。そして、当接部210aを第一帯板部X1及び第二帯板部X2の少なくとも一方に当接することで、保持本体2を構造部材Xに取り付ける。本実施形態では、前連通口20aが長さ方向に沿うように前板部20を配置した状態で、前板部20に連結する横板部21が後側に来るように保持本体2を配置し、横板部21を内角側から第一帯板部X1及び第二帯板部X2に近付ける。そして、斜辺部210それぞれが備える当接部210aを第一帯板部X1及び第二帯板部X2に当接する。ここで、本実施形態の場合、横板部21として上板部21aと下板部21bとを備えるため、上板部21aと下板部21bそれぞれの当接部210aが第一帯板部X1と第二帯板部X2に当接する。このようにして保持本体2を内角側から構造部材Xに取り付ける。よって、構造部材Xに取り付けられた保持本体2は、長尺体Yよりも構造部材Xに近く配置される。
【0041】
続いて、保持本体2が長尺体Yを保持する。ここで、前述したように、構造部材Xに取り付けられた保持本体2は、長尺体Yよりも構造部材Xに近く配置されている。そのため、長尺体Yを、構造部材Xの内角側の領域Zに戻すように移動させて、保持部22に挿入する。本実施形態の場合、当接部210aよりも前側に配置された前板部20の前連通口20aが長さ方向に沿っている。そして、この前連通口20aは、幅方向において長尺体Yの直径よりも大きい。そのため、構造部材Xの内角側の領域Zに向かって移動する長尺体Yを前面200側から前連通口20aに挿し込むことができる。さらに、この前連通口20aは、挿入孔22aを介して保持孔22bに連通している。よって、前連通口20aに挿し込まれた長尺体Yを、構造部材Xの内角側に移動させることで、挿入孔22aを介して保持孔22bに導入する。したがって、本実施形態では、前板部20よりも後側で、保持部22に長尺体Yを保持させることで、当接部210aが第一帯板部X1、第二帯板部X2に圧接されて保持本体2が長尺体Yを保持する。
【0042】
最後に、巻掛部3を保持本体2と構造部材Xに巻き掛ける。本実施形態の場合は、長さ方向を中心として構造部材Xと保持本体2の周りに巻回部30を巻き付けて、巻止部31で巻回部30を巻き止める。ここで、巻掛部3を保持本体2に巻き掛けるときに、巻掛部3を挿通切欠き20cに挿通する。本実施形態では、図1、2に示すように、前板部20の幅方向の両端に形成された挿通切欠き20cに巻回部30を挿通してから、前板部20よりも前側で巻止部31が巻回部30を巻き止める。これにより、前板部20のうち、幅方向両端部の挿通切欠き20cの間に設けられた締付部20bが巻き付け部に締め付けられることで、保持本体2が構造部材Xに取り付けられる。
【0043】
以上、本発明の長尺体支持具によれば、当接部210aを第一帯板部X1と第二帯板部X2の少なくとも一方に当接することで、保持本体2を構造部材Xに内角側から取り付けることができ、長尺体Yを前記前板部20に形成された前連通口20aから保持孔22bに導入することで、保持部22が長尺体Yを保持できるため、保持本体2は長尺体Yを確実に保持できる。本実施形態では、二つの斜辺部210それぞれが第一帯板部X1と第二帯板部X2に当接する当接部210aを備えるため、当接部210aそれぞれを第一帯板部X1及び第二帯板部X2に当接することで、保持本体2を構造部材Xに安定して取り付けることができる。特に、本実施形態においては、横板部21として、上板部21aと下板部21bのそれぞれに当接部210aが備わっているため、長さ方向の一方側と他方側で当接部210aを第一帯板部X1及び第二帯板部X2に当接することで、保持本体2を構造部材Xにより安定して取り付けることができる。そして、長尺体Yを前面200側から前板部20に形成された前連通口20aに挿し込み、挿入孔22aを介して保持孔22bに導入することで、保持本体2が長尺体Yを保持できる。
【0044】
また、本発明の長尺体支持具では、前記巻掛部3を前記保持本体2と前記構造部材Xとに巻き掛けて前記保持本体2を前記構造部材Xに取り付けることにより、前記保持本体2に保持された前記長尺体Yが前記巻掛部3に巻掛けられるため、保持本体2を、ボルトなどの構造部材Xの外角側へ突出するような締付部材を用いることなく、取り付けることができ、作業者やケーブルなどの引っ掛かりを防止できる。本実施形態では、図2に示すように、保持本体2と構造部材Xとに巻掛部3を巻き掛けた状態において、構造部材Xの外角側には、巻回部30が長さ方向を中心として周方向に巻き付けられているだけであるため、例えば、構造部材Xの外角側から構造物Aに登る作業者に引っ掛かることを防止できる。さらに、本実施形態では、図2に示すように、保持本体2と構造部材Xとに巻掛部3を巻き掛けた状態において、前板部20の前面200よりも前側に巻止部31が配置されるため、構造部材Xの外角側から構造物Aに登る作業者が巻止部31を足場として利用することを防止できる。
【0045】
また、本発明の長尺体支持具では、前記当接部210aが前記第一帯板部X1及び前記第二帯板部X2に当接した状態で、前記締付部20bが前記巻掛部3に締め付けられることにより前記保持本体2が前記構造部材Xに取り付けられるため、前記保持本体2が前記構造部材Xから外れることを防止できる。
【0046】
また、本発明の長尺体支持具では、長さ方向と前後方向とに直交する幅方向の両端部に、前記巻掛部3を挿通するための挿通切欠き20cが形成され、前記両端部の挿通切欠き20cの間の領域に締付部20bが設けられるため、前記巻掛部3を前記挿通切欠き20cに挿通することで前記巻掛部3の前記保持本体2へのズレを防止でき、前記挿通切欠き20cの間の前記締付部20bで締め付けることで、確実に取り付けることができる。本実施形態では、前板部20の幅方向の両端に挿通切り欠き20cか形成され、巻回部30が挿通切欠き20cを挿通することにより、前記両端部の挿通切り欠き20cの間の締付部20bが小さくなるため、より短い巻回部30で、保持本体2と構造部材Xを巻き付けることができると共に、巻回部30の保持本体2へのズレを防止できる。
【0047】
また、本実施形態の長尺体支持具1では、保持本体2が内角側から構造部材Xに取り付けられることで、構造部材Xの内角側に保持部22(具体的には、保持孔22b)が配置されるため、保持部22は構造部材Xの内側で長尺体Yを保持できるため、構造部材Xの内角側というデッドスペースを有効に利用することができる。
【0048】
また、本実施形態の長尺体支持具1では、図2に示すように、保持部22が前後方向及び幅方向において、長尺体Yの直径よりも大きく形成されているため、保持部22に保持された長尺体Yは、例えば、保持部22と長尺体Yの直径の差分だけ、保持部22内を幅方向に動くことで、保持部22から抜ける方向に動く可能性を少なくできる。特に、本実施形態の場合、前連通口20aから挿入孔22aを介して、保持孔22bに長尺体が導入された際には、保持孔22bが長尺体Yの直径よりも大きく形成されているため、長尺体Yの径方向の動きを規制できる。
【0049】
また、本実施形態の長尺体支持具1は、図1に示すように、前板部20として上板部21aと下板部21bを備え、前記上板部21aと下板部21bそれぞれに保持部22が設けられているため、長尺体Yの長手方向において、複数の箇所で、長尺体Yを保持できる。
【0050】
また、本実施形態の長尺体支持具1では、図1に示すように、保持孔22bに長尺体Yが挿通されているため、長尺体Yの長さ方向の中途部を保持でき、風などによって長尺体Yが撓むことを防止できる。
【0051】
また、本実施形態の長尺体支持具1では、切込み深さの異なる挿通切欠き20cが設けられているため、構造部材Xの大きさによって、巻掛部3を巻き掛ける場所を変えることで、様々な大きさの構造部材Xに長尺体支持具1を取り付けることができる。
【0052】
また、本実施形態の長尺体支持具1では、前板部20の長さ方向の両端部の間に形成される挿通切欠き20cを挿通するように巻掛部3が保持本体2と構造部材Xに巻き掛けられているため、巻掛部3の保持本体2に対するずれを防止できる。
【0053】
また、本実施形態の長尺体支持具1では、巻掛部3を構造部材X及び保持本体2に巻き掛けることで、保持本体2を構造部材Xに取り付けているため、構造部材Xに保持本体2を取り付けるに際して、構造部材Xにボルトなどを挿通する必要がなく、取り付け時の手間を減らすことができる。
【0054】
また、本実施形態の長尺体支持具1では、横板部21は、前端部211と、該前端部211よりも後側で幅方向に沿う後端部と、一端が前記前板部の幅方向の端部に連続し、他端が前記後端部に連続するように、前端部211から後側に配置されている二つの斜辺部210とを備え、前記後端部は、前記前端部211よりも幅方向で短く構成されることで、略台形状に形成されているため、後端部側から保持本体2を内角側から構造部材Xに近づけた際に、当接部210aを第一帯板部X1及び第二帯板部X2に当接させやすい。
【0055】
なお、本発明の長尺体支持具は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0056】
上記実施形態では、図2に示すように、保持孔22bに長尺体Yが挿通されることで、保持本体2が長尺体Yを保持するように構成されていたが、これに限らず、例えば、図3(a)に示すように、保持本体2が内押さえ具4を介して長尺体Yを保持するようにしてもよい。ここで、内押さえ具4は、押さえ本体40と、該押さえ本体40を保持本体2に取り付ける際に用いる取付ピンaとを備える。また、押さえ本体40は、長尺体Yを保持し、横板部21としての上板部21aと下板部21bに挿し込まれる保持筒部と、該保持筒部に取り付けられ、長尺体Yを固縛するバンドbとを備える。本実施形態の保持筒部は、平面視C型の筒本体部400と、筒本体部400から径方向に突出し、保持本体2の差込孔22cに挿し込まれる差込取付部401cとを備え、筒本体部400には、長尺体Yを固縛したバンドbを挿通するバンド挿通部400aが設けられ、差込取付部401cには、取付ピンaを挿通するためのピン挿通部402が設けられている。この内押さえ具4を介して、保持本体2が長尺体Yを保持するためには、保持孔22bに挿通された長尺体Yに内押さえ具4を取り付けた後、該内押さえ具4を保持本体2に取り付ける。具体的には、保持孔22bに挿通された長尺体Yのうち、保持本体2より上側の部分において、長尺体Yに固縛したバンドbをバンド挿通部400aに挿通すると共に、長尺体Yの外径側からC型の筒本体部400を取り付ける。その後、筒本体部400を保持孔22bに挿し込むと共に、差込取付部401cを差込孔22cに挿し込むことで、保持筒部を上板部21aと下板部21bに挿入する。それから、保持本体2の押さえ取付部213とピン挿通部402に取付ピンaを挿通する。このように、長尺体Yに取り付けた内押さえ具4を保持本体2に取り付けることにより、保持本体2は、内押さえ具4を介して長尺体Yを保持する。この内押さえ具4を用いた際には、長尺体Yと保持孔22bの径方向における差が、保持孔22bに筒本体部400の分だけ埋まるため、保持孔22bに保持された長尺体Yが径方向に動くことを防止できる。また、この内押さえ具4を保持本体2に取り付ける際には、押さえ取付部213とピン挿通部402に取付ピンaを挿通させるため、内押さえ具4が保持本体2から脱落するおそれが防止される。また、例えば、保持本体2が複数の長尺体Yを保持する際に、複数の長尺体Yを一束にして内押さえ具4を取り付けることで、保持本体2が内押さえ具4を介して複数の長尺体Yを保持することができる。
【0057】
上記実施形態では、図2に示すように、前板部20よりも後側で、保持部22に長尺体Yを保持させることで、保持本体2が長尺体Yを保持する場合について説明したが、これに限らず、例えば、図3(b)に示すように、保持本体2が外押さえ具5を介して、長尺体Yを保持することで、前板部20よりも前側で、保持部22に長尺体Yを保持させるようにしてもよい。ここで、外押さえ具5は、押さえ本体50と、該押さえ本体50を保持本体2に取り付ける際に用いる取付ピンaとを備える。また、押さえ本体50は、長尺体を保持し、横板部21としての上板部21aと下板部21bに挿し込まれる保持筒部と、該保持筒部に取り付けられ、長尺体を固縛するバンドbとを備える。本実施形態の保持筒部は、平面視C型の筒本体部500と、該筒本体部500に連設し、前連通口20aと挿入孔22aに挿し込まれる挿入取付部501aと、保持孔22bに挿し込まれる保持取付部501bと、差込孔22cに挿し込まれる差込取付部501cとを備え、筒本体部500には、長尺体Yを固縛したバンドbを挿通するためのバンド挿通部500aが設けられ、差込取付部501cには、取付ピンaを挿通するためのピン挿通部502が設けられている。この外押さえ具を介して、保持本体2が長尺体Yを保持するためには、例えば、長尺体Yに外押さえ具5を取り付けた後、外押さえ具5を保持本体2に取り付ける。具体的に、この場合は、まず、挿入取付部501aを前連通口20aと挿入孔22aに、保持取付部501bを保持孔22bに挿し込むと共に、差込取付部501cを差込孔22cに挿し込むことで、保持筒部を横板部21としての上板部21aと下板部21bに挿し込んだ後、保持本体2の押さえ取付部213とピン挿通部502に取付ピンaを挿通する。その後、前板部20よりも前側で、長尺体Yにバンドbを固縛させてから、このバンドbをバンド挿通部500aに挿通すると共に、長尺体Yの外径側から筒本体部500を取り付ける。これにより、保持本体2が外押さえ具5を介して、長尺体Yを保持し、前板部20よりも前側で、保持部22が長尺体Yを保持できる。
【0058】
上記実施形態では、第一帯板部X1と第二帯板部X2の帯幅方向の一端同士が連結することで、構造部材XはL状の山形鋼である場合について説明したが、これに限らず、例えば、第一帯板部X1の帯幅方向と直交する方向に第二帯板部X2が配置されることで、構造部材XがT型鋼として構成される場合や、それ以外の形鋼、例えば、C形鋼、H形鋼や溝形鋼として構成されていてもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、二つの斜辺部210それぞれが備える当接部210aが第一帯板部X1及び第二帯板部X2に当接する場合について説明したが、これに限らず、例えば、二つの斜辺部210のうち、いずれか一方の斜辺部210が備える当接部210aだけが第一帯板部X1又は第二帯板部X2に当接していてもよい。
【0060】
上記実施形態では、前板部20の幅方向の両端部に挿通切欠き20cが形成されている場合について説明したが、これに限らず、例えば、幅方向の片側の端部にだけ、挿通切欠き20cが形成されていてもよい。また、前板部20の幅方向の両端部に挿通切欠き20cを形成しなくてもよい。
【0061】
上記実施形態では、保持本体2は一つの保持部22を備える場合について説明したが、これに限らず、例えば、保持本体2は二つ以上の保持部22を備えてもよい。この場合、例えば、前板部20には複数の前連通口20aが設けられることが考えられる。
【0062】
上記実施形態では、保持部22は挿入孔22aと保持孔22bとを備えたが、これに限らず、例えば、保持部22は挿入孔22aを備えてなくてもよい。この場合、前連通口20aが保持孔22bに連通していることが考えられる。また、上記実施形態では、差込孔22cは、保持孔22bから斜辺部210に向かって突出するように形成されていたが、これに限らず、例えば、差込孔22cは、保持孔22bから後端部に向かって突出するように形成されていてもよい。
【0063】
上記実施形態では、図2に示すように、挿入孔22aは、幅方向において、保持孔22bよりも小さく形成されていたが、これに限らず、例えば、挿入孔22aの幅方向の大きさを保持孔22bと略同一にし、又は保持孔22bより大きくしてもよい。また、上記実施形態では、挿入孔22aの幅方向の大きさは一定であったが、例えば、前側から後側に進むにつれて、挿通孔の幅方向の大きさが大きくなる又は小さくなるテーパ状に構成されていてもよい。
【0064】
上記実施形態では、保持孔22bは、挿入孔22aよりも後側に形成され、前後方向で挿入孔22aと連通するように構成されていたが、これに限らず、保持孔22bは、幅方向で挿入孔22aと連通するように構成されていてもよい。この場合、例えば、挿入孔22aは、横板部を後側に切欠く前後切欠き孔と、該前後切欠き孔から直交する幅方向に横板部を切欠き、前記前後切欠き孔と連通する幅切欠き孔とを備え、保持孔22bは幅方向で前記幅切欠きと連通していてもよい。
【0065】
上記実施形態では、一つの巻掛部3で保持本体2と構造部材Xを巻き掛ける場合について説明したが、これに限らず、例えば、複数の巻掛部3で保持本体2と構造部材Xを巻き掛けるようにしてもよい。
【0066】
上記実施形態では、巻掛部3を保持本体2と構造部材Xに巻き掛けることで、保持本体2を構造部材Xに取り付ける場合について説明したが、これに限らず、例えば、当接部210aが粘着性を有し、当接部210aを第一帯板部X1及び第二帯板部X2の少なくとも一方に当接することで、保持本体2を構造部材Xに取り付けるように構成されていてもよい。また、例えば、当接部210aが磁性を有するようにすることで、構造部材Xを金属などの磁性を有する材質のもので構成されている場合に、構造部材Xと当接部210aの磁性を用いて、当接部210aを第一帯板部X1及び第二帯板部X2の少なくとも一方に取り付けるようにしてもよい。
【0067】
上記実施形態では、巻回部30の長手方向の一端部に取り付けられた巻止部31により、巻回部30を保持本体2と構造部材Xに止める場合について説明したが、これに限らず、例えば、巻掛部3は巻止部31を備えず、巻回部30を構造部材Xと保持本体2に巻き付けた後、巻回部30の長手方向の端部同士を縛ることで、保持本体2を構造部材Xに取り付けてもよい。
【0068】
上記実施形態では、前板部20が幅方向に沿うように構成されていたが、これに限らず、例えば、前板部20は、幅方向の両端部から幅方向の中央に近づくにつれて前側に配置される平面視弧状に構成されていてもよい。この場合、例えば、横板部21が備える前端部211も幅方向の両端部から幅方向の中心に近づくにつれて前側に配置される平面視弧状に構成されることで、横板部21は平面視で扇状に構成されることが考えられる。
【0069】
上記実施形態では、横板部21として上板部21aと下板部21bを前板部20の長さ方向の両端部に連結するように構成したが、例えば、横板部21としては上板部21a又は下板部21bのいずれか一方だけを備えていてもよい。また、横板部21は、長さ方向で前板部20と略同一の長さに構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1:長尺体支持具、2:保持本体、20:前板部、20a:前連通口、20b:締付部、20c:挿通切欠き、210a:当接部、22:保持部、22b:保持孔、3:巻掛部、A:構造物、X:構造部材、X1:第一帯板部、X2:第二帯板部、Y:長尺体
図1
図2
図3