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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022115524
(43)【公開日】2022-08-09
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/08 20200101AFI20220802BHJP
【FI】
G01R31/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021012153
(22)【出願日】2021-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】満井 法嗣
(72)【発明者】
【氏名】篠田 誠一
【テーマコード(参考)】
2G033
【Fターム(参考)】
2G033AA02
2G033AB01
2G033AC02
2G033AD19
2G033AD20
2G033AE02
2G033AF00
2G033AG14
(57)【要約】
【課題】電線における事故点の有無を判定するための計測装置が出力する指標の時系列データに基づいて、信頼性の向上した事故点の有無の判定を出力可能な情報処理装置を提供する。
【解決手段】電線が地絡しているか否かを判定するための計測装置が計測中に出力する指標の時系列データを取得する取得部と、計測装置が計測中に出力する指標の時系列データを入力した場合に電線が地絡しているか否かを出力するよう学習済みの学習済みモデルを用いて、取得した時系列データから前記電線が地絡しているか否かを出力する出力部と、を備えた情報処理装置。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線が地絡しているか否かを判定するための計測装置が計測中に出力する指標の時系列データを取得する取得部と、
計測装置が計測中に出力する指標の時系列データを入力した場合に電線が地絡しているか否かを出力するよう学習済みの学習済みモデルを用いて、取得した前記時系列データから前記電線が地絡しているか否かを出力する出力部と、
を備えた情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記指標の時系列データは、前記計測中における前記計測装置のメーターの映像データである、
情報処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理装置であって、
前記メーターは、地絡表示メーターと、出力電圧メーターとを含む、
情報処理装置。
【請求項4】
電線が地絡しているか否かを判定するための計測装置が計測中に出力する指標の時系列データと、前記電線が地絡しているか否かとが対応付けられた教師データを取得する取得部と、
取得した教師データに基づき、計測装置が計測中に出力する指標の時系列データを入力した場合に前記電線が地絡しているか否かを出力する学習済みモデルを生成するモデル生成部と、
を備えた情報処理装置。
【請求項5】
電線が地絡しているか否かを判定するための計測装置が計測中に出力する指標の時系列データを取得するステップと、
計測装置が計測中に出力する指標の時系列データを入力した場合に電線が地絡しているか否かを出力するよう学習済みの学習済みモデルを用いて、取得した前記時系列データから前記電線が地絡しているか否かを出力するステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項6】
電線が地絡しているか否かを判定するための計測装置が出力する指標の時系列データと、前記電線が地絡しているか否かとが対応付けられた教師データを取得するステップと、
取得した教師データに基づき、計測装置が計測中に出力する指標の時系列データを入力した場合に前記電線が地絡しているか否かを出力する学習済みモデルを生成するステップと、
を含む情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
配電線路に地絡による事故が発生したおそれがある場合に、事故点の有無を判定することができる装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、パルス電圧値を表示する電圧表示メーターと、事故点に流れる地絡電流の大きさに比例した指示値を表示する地絡表示メーターを備え、高圧配電線路の停電区間の一部から事故点に高電圧のパルスを注入して事故点で放電を起こさせて、事故点に流れる地絡電流によって事故点を探査する事故点探査装置が開示されている。
【0004】
この事故点探査装置による探査において、作業者は、電圧表示メーターと、地絡表示メーターとが出力する指標を目視で確認し、確認結果に基づいて配電線路の事故点の有無を判定する。そして、作業者は、配電設備の複数箇所に設けられている開閉器の開閉操作を複数回繰り返し、その都度事故点の有無を判定することにより、事故点を探索することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-317349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された事故点探査装置を用いた事故点の有無の判定は、以下の理由から困難であって信頼性を欠く場合がある。
【0007】
一般に、事故点の有無の判定は、地絡表示メーターが示す値から判定する。事故点が存在する場合は、地絡表示メーターが振れる。しかしながら、このときの振れ幅について、事故点の有無を判定するための明確な閾値は存在しない。作業者は、地絡表示メーターの振れ幅から事故点の有無の判定が困難な場合、電圧表示メーターが示す値を考慮して事故点の有無を判定する。
【0008】
更に、地絡表示メーターと、電圧表示メーターとの出力は、時間の経過とともに変動する。例えば、地絡表示メーターは、パルス電圧を注入した直後にピーク値を示し、その後に減衰する。作業者は、パルス電圧が注入された直後のピーク値や減衰の速さを確認することで事故点の有無を判定する。
このように、作業者は、地絡表示メーターが示したピーク値や、その後の減衰の速さといった挙動や、2つのメーターそれぞれの挙動を総合考慮した上で事故点の有無を判定する。これらの判定は経験に依るところが大きいため、経験の乏しい作業者による判定は信頼性を欠く。
【0009】
本発明の目的は、電線における事故点の有無を判定するための計測装置が出力する指標の時系列データに基づいて、信頼性の高い事故点の有無の判定を出力可能な情報処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明のうちの一つは、電線が地絡しているか否かを判定するための計測装置が計測中に出力する指標の時系列データを取得する取得部と、計測装置が計測中に出力する指標の時系列データを入力した場合に電線が地絡しているか否かを出力するよう学習済みの学習済みモデルを用いて、取得した時系列データから前記電線が地絡しているか否かを出力する出力部と、を備えた情報処理装置である。
【0011】
このような構成によれば、電線における事故点の有無を判定するための計測装置が出力する指標の時系列データに基づいて、信頼性の向上した事故点の有無の判定を出力することができる。作業員は、情報処理装置の出力に基づいて、作業者の経験によらず、事故点の有無について判断をすることが可能となる。
【0012】
本発明の他の一つは、上記情報処理装置であって、前記指標の時系列データは、前記計測中における前記計測装置のメーターの映像データである。
【0013】
このような構成によれば、計測装置を撮影することによって得たメーターの映像データに基づいて、事故点の有無の判定を出力することができる。これによって、既存の計測装置を用いることができるため、新たな計測装置を導入する必要が無い。
【0014】
本発明の他の一つは、上記情報処理装置であって、前記メーターは、地絡表示メーターと、出力電圧メーターとを含む。
【0015】
このような構成によれば、地絡表示メーターと、出力電圧メーターとを含む既存の計測装置を用いた計測により、作業員は、事故点の有無について判断をすることが可能となる。
【0016】
本発明の他の一つは、電線が地絡しているか否かを判定するための計測装置が計測中に出力する指標の時系列データと、前記電線が地絡しているか否かとが対応付けられた教師データを取得する取得部と、取得した教師データに基づき、計測装置が計測中に出力する指標の時系列データを入力した場合に電線が地絡しているか否かを出力する学習済みモデルを生成するモデル生成部と、を備えた情報処理装置である。
【0017】
このような構成によれば、情報処理装置は、指標の時系列データに基づいて、電線が地絡しているか否かを出力可能な学習済みモデルを生成することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、電線における事故点の有無を判定するための計測装置が出力する指標の時系列データに基づいて、信頼性の向上した事故点の有無の判定を出力可能な情報処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】情報処理システム1の構成を示す図である。
図2】情報処理装置2のハードウェアの一例を示す図である。
図3】教師データの一例を示す図である。
図4】教師データのうち、映像データを構成する複数のフレーム画像データのうちの一つを表現した図である。
図5】情報処理装置2の機能ブロックを示す図である。
図6】学習済みモデルを生成するまでの処理の流れを説明するフローチャートである。
図7】地絡の有無を表示させるまでの処理の流れを説明するフローチャートである。
図8】映像データを構成する複数のフレーム画像データのうちの一つを説明する図である。
図9】出力画面240の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
==実施形態==
<情報処理システム>
図1は、本実施形態の情報処理システム1の概略構成を示す図である。情報処理システム1は、情報処理装置2と、計測装置4と、携帯端末5とを含む。情報処理装置2と、携帯端末5とは、ネットワークNWを介して通信可能に接続されている。ネットワークNWは、例えばインターネット等の公衆回線、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)等の専用回線等である。
【0021】
計測装置4は、電線の停電区間の一部から、事故点と推測される点にパルス電圧を所定の周期で印加し、事故点と推測される点に流れる地絡電流に基づいて、電線が地絡しているか否かを判定するための計測を行う装置である。ここで、「電線」とは、配電線、送電線を含む。計測装置4は、一般の事故点探査装置を用いることができる。なお、本実施形態において、「事故点」とは、電線が地絡している箇所を意味する。
【0022】
計測装置4は、地絡表示メーター40aと、出力電圧メーター40bとを備えている。地絡表示メーター40aは、事故点と推測される点に流れる地絡電流の大きさに比例した指標を表示するメーターである。出力電圧メーター40bは、パルス電圧値を表示するメーターである。以下では特に断らない限り、地絡表示メーター40aと、出力電圧メーター40bとをまとめて「メーター40」と呼ぶ。図1には示されていないが、本実施形態の計測装置4のメーター40は、針式メーターである。なお、メーター40の態様はこれに限られない。メーター40は、例えば、液晶パネル等に数値で出力値を表示するメーターであってもよい。
【0023】
作業員は、計測装置4を携帯し、配電設備の電線における事故点の探索をするために現場に赴く。「配電設備」とは、発電所で生成された電力を、電力の需要者へ送電するための設備である。配電設備は、架空配電設備であってもよいし、地中配電設備であってもよい。
【0024】
携帯端末5は、スマートフォン、タブレット端末、ノートパソコン等の携帯可能な端末であり、カメラを搭載している。作業員は、計測装置4と共に携帯端末5を携帯して事故点の探索をするために現場に赴き、計測装置4がパルス電圧を印加している期間(以下、「計測中」と呼ぶ)のメーター40の映像(以下では、計測中のメーター40の映像を、単に「メーター40の映像」と呼ぶ)を撮影する。携帯端末5は、撮影したメーター40の映像を情報処理装置2に出力する。
【0025】
なお、メーター40の映像は、携帯端末5により撮影されたものに限られず、例えば、電力会社等が管理するカメラにより撮影されたものでもよい。メーター40の映像は、記録媒体を介して情報処理装置2に提供してもよいし、有線又は無線の通信手段(LAN(Local Area Network)、USB(Universal Serial Bus)等)を介して情報処理装置2に出力してもよい。
【0026】
情報処理装置2は、メーター40の映像が入力された場合に、電線が地絡しているか否かを出力する学習済みモデルを生成する。情報処理装置2は、更に、生成した学習済みモデルを用いて、メーター40の映像から電線が地絡しているか否かを出力する(詳細は後述)。
【0027】
[情報処理装置のハードウェア構成]
図2は、情報処理装置2のハードウェアの一例を示す図である。例示する情報処理装置2は、プロセッサ20、主記憶装置21、補助記憶装置22、入力装置23、出力装置24、及び通信装置25を備える。なお、例示する情報処理装置2は、その全部または一部が、例えば、クラウドシステムによって提供される仮想サーバのように、仮想化技術やプロセス空間分離技術等を用いて提供される仮想的な情報処理資源を用いて実現されるものであってもよい。また、情報処理装置2によって提供される機能の全部または一部は、例えば、クラウドシステムがAPI(Application Programming Interface)等を介して提供するサービスによって実現してもよい。また、情報処理システム1は、通信可能に接続された複数の情報処理装置2を用いて構成してもよい。
【0028】
同図において、プロセッサ20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、AI(Artificial Intelligence)チップ等を用いて構成されている。
【0029】
主記憶装置21は、プログラムやデータを記憶する装置であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリ(NVRAM(Non Volatile RAM))等である。
【0030】
補助記憶装置22は、例えば、SSD(Solid State Drive)、ハードディスクドライブ、光学式記憶装置(CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等)、ストレージシステム、ICカード、SDカードや光学式記録媒体等の記録媒体の読取/書込装置、クラウドサーバの記憶領域等である。補助記憶装置22には、記録媒体の読取装置や通信装置25を介してプログラムやデータを読み込むことができる。補助記憶装置22に格納(記憶)されているプログラムやデータは主記憶装置21に随時読み込まれる。
【0031】
入力装置23は、外部からの入力を受け付けるインタフェースであり、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、カードリーダ、ペン入力方式のタブレット、音声入力装置等である。
【0032】
出力装置24は、処理経過や処理結果等の各種情報を出力するインタフェースである。出力装置24は、例えば、上記の各種情報を可視化する表示装置(液晶モニタ、LCD(Liquid Crystal Display)、グラフィックカード等)、上記の各種情報を音声化する装置(音声出力装置(スピーカ等))、上記の各種情報を文字化する装置(印字装置等)である。
【0033】
入力装置23及び出力装置24は、ユーザとの間で情報の受け付けや情報の提示を行うユーザインタフェースを構成する。
【0034】
通信装置25は、他の装置との間の通信を実現する装置である。通信装置25は、インターネット等の通信ネットワークを介して他の装置との間の通信を実現する、有線方式または無線方式の通信インタフェースであり、例えば、NIC(Network Interface Card)、無線通信モジュール、USBモジュール等である。情報処理装置2は、通信装置25を介して携帯端末5との間で情報の入力や出力を行う構成となっている。
【0035】
情報処理装置2には、例えば、オペレーティングシステム、ファイルシステム、DBMS(DataBase Management System)(リレーショナルデータベース、NoSQL等)、KVS(Key-Value Store)等が導入されていてもよい。
【0036】
情報処理システム1が備える前述の各機能は、情報処理装置2のプロセッサ20が、主記憶装置21に格納されているプログラムを読み出して実行することにより、もしくは、情報処理システム1を構成するハードウェア(FPGA、ASIC、AIチップ等)によって実現される。情報処理システム1は、前述した各種の情報(データ)を、例えば、データベースのテーブルやファイルシステムが管理するファイルとして記憶する。
【0037】
[教師データ]
図3及び4は、上述した補助記憶装置22に記憶されている、本実施形態の教師データ6を説明する図である。教師データ6は、複数のデータを含んでいる。複数のデータの夫々は、実施済の地絡の有無を判定するための計測装置4による計測に対応している。図3の一の列には、一のデータが配列されている。
【0038】
本実施形態の教師データ6は、時系列データ60と、地絡の有無61とが対応付けられたデータである。教師データ6は、複数のデータを含んでいる。図3の一の列には、一のデータが配列されている。複数のデータの夫々は、入力データと、入力データに対して付与される正解データとから構成されている。複数のデータの夫々は、計測装置4によって実施済の一の計測に基づいて生成されたデータである。入力データは、時系列データ60(後述)である。ここで、時系列データ60は、入力データである。本実施形態では、時系列データ60は、携帯端末5により撮影されたメーター40の映像を再生するための映像データである。図3には、映像データを特定するファイル名が示されている。正解データは、地絡の有無61である。
【0039】
図4は、教師データ6のうち、データ6aにおける、映像データを構成する複数のフレーム画像データ60aのうちの一つを表現した図である。
【0040】
本実施形態では、時系列データ60は、携帯端末5により撮影されたメーター40の映像を表現する映像データとしたが、これに限られない。時系列データ60は、メーター40の出力値の時系列を特定できるデータであればよい。例えば、計測装置4自体がメーター40の出力値の時系列データを生成できる場合は、これを時系列データ60として用いてもよい。
【0041】
[情報処理装置の機能ブロック]
図5は、本実施形態の情報処理装置2の機能ブロックを示す図である。本実施形態の情報処理装置2には、プロセッサ20が所定のプログラムを実行することにより、第1取得部30と、モデル生成部31と、第2取得部32と、出力部33と、表示制御部34とが実現される。
【0042】
第1取得部30は、補助記憶装置22に記憶されている教師データ6(図3)を取得する。
【0043】
モデル生成部31は、第1取得部30が取得した教師データ6に基づき、学習済みモデルを生成する。学習済みモデルは、時系列データ60を入力した場合に電線が地絡しているか否かを出力するよう学習済みの機械学習モデルである。
【0044】
モデル生成部31は、メーター40の映像の特徴量を学習するディープラーニングを行うことで、メーター40の映像を入力とし、地絡の有無を出力とするニューラルネットワークを、学習済みモデルとして構築(生成)する。「メーター40の映像の特徴量」とは、メーター40の形状、メーター40の目盛盤のレイアウト、メーター40の針の配置の時間変化等を含む。
【0045】
モデル生成部31は、メーター40の映像の特徴量から、メーター40の時系列データ60の波形の特徴を抽出する。時系列データ60の波形の特徴は、例えば、時系列データ60の波形の最大値、最小値、極大値、極小値等を含む。また、時系列データ60の波形の特徴は、時間について波形を一回又は複数回微分したものの最大値、最小値、極大値、極小値等を含んでもよい。また、時系列データ60の波形の特徴は、時系列データ60の波形をフーリエ級数展開することによって得られたフーリエスペクトルであってもよい。
【0046】
ニューラルネットワークは、例えばCNN(Convolution Neural Network)であり、メーター40の映像の入力を受け付ける入力層と、地絡の有無を出力する出力層と、特徴量を抽出する中間層とを有する。ニューラルネットワークを構築(生成)する詳細な処理については後述する。
【0047】
第2取得部32は、計測装置4が計測中に出力する指標の時系列データを取得する。前述のように、本実施形態では、指標の時系列データは、計測中における計測装置のメーター40の映像データである。第2取得部32は、携帯端末5から、ネットワークNWを介してメーター40の映像を取得する。或いは、携帯端末5は、ネットワークNWを介してメーター40の映像を補助記憶装置22に予め記憶しておく。そして、第2取得部32は、補助記憶装置22からメーター40の映像を取得してもよい。
【0048】
出力部33は、モデル生成部31が生成した学習済みモデルを用いて、第2取得部32が取得したメーター40の映像から電線が地絡しているか否かを出力する。
【0049】
表示制御部34は、出力部33によって出力された地絡の有無を告知する出力画面を生成し、出力装置24に表示させる。
【0050】
[学習済みモデルを生成するまでの処理]
図6は、情報処理装置2が学習済みモデルを生成するまでの処理の流れを説明するフローチャートである。学習済みモデルを生成するまでの処理は、ステップS11と、ステップS12とを含んでいる。
【0051】
先ず、情報処理装置2の第1取得部30は、ステップS11において、教師データを取得する。図3に示した教師データ6は、ステップS11において第1取得部30が取得した教師データの一例である。
【0052】
次いで、情報処理装置2のモデル生成部31は、ステップS12において、教師データ6を用いて、学習済みモデルを生成する。
【0053】
ステップS12において、図示しないニューラルネットワークの入力層は、入力された画素値を中間層に受け渡す。中間層は、画素値から抽出した特徴量を出力層に受け渡す。出力層は、中間層から出力された特徴量に基づいて地絡の有無を識別する。
【0054】
なお、本実施形態では学習済みモデルがニューラルネットワークであるものとして説明するが、学習済みモデルはSVM(Support Vector Machine)、ベイジアンネットワーク、回帰木等、他の学習アルゴリズムで構築された学習済みモデルであってよい。
【0055】
モデル生成部31は、入力データであるメーター40の時系列データ60を入力層に入力し、出力層から地絡の有無の結果を取得する。出力層から出力された地絡の有無の結果を、正解データと比較し、地絡の有無の結果が正解データとなるように、演算処理に用いるパラメータを最適化する。演算処理に用いるパラメータとは、例えばニューロン間の重み(結合係数)、各ニューロンで用いられる活性化関数の係数等である。パラメータの最適化の方法は特に限定されないが、モデル生成部31は、例えば誤差逆伝播法を用いて各種パラメータの最適化を行う。
【0056】
以上説明した処理により、学習済みモデルを生成するまでの処理が終了する。生成された学習済みモデルは、補助記憶装置22に記憶される。
【0057】
[地絡の有無を表示させるまでの処理]
図7は、情報処理装置2が、地絡の有無の結果を表示させるまでの処理の流れを説明するフローチャートである。地絡の有無の結果を表示させるまでの処理は、ステップS21~ステップS23を含んでいる。この処理の前に、補助記憶装置22には、学習済みモデルが記憶されているとする。
【0058】
先ず、第2取得部32は、ステップS21において、時系列データ60として、メーター40の映像と、学習済みモデルとを取得する。具体的には、第2取得部32は、携帯端末5から、ネットワークNWを介してメーター40の映像を取得する。更に、第2取得部32は、補助記憶装置22から、学習済みモデルを取得する。図8は、携帯端末5が撮影したメーター40の映像の、映像データを構成する複数のフレーム画像データ7aのうちの一つを説明する図である。
【0059】
出力部33は、ステップS22において、学習済みモデルを用いて、メーター40の映像から地絡の有無の結果を出力する。このとき学習済みモデルは、ステップ12において生成された学習モデルである。また、入力であるメーター40の映像は、ステップS21において、第2取得部32が取得したメーター40の映像である。
【0060】
表示制御部34は、ステップS23において、出力部33によって出力された地絡の有無の結果を説明する出力画面240を生成し、出力装置24に表示させる。
【0061】
図9は、この例での出力画面240の一例を示す図である。出力画面240には、再生中のメーター40の映像7と、出力部33が出力した地絡の有無の結果として、「有」と表示されている。再生中のメーター40の映像7は、ステップS21において、第2取得部32が取得したメーター40の映像である。
【0062】
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。
【0063】
例えば、本実施形態では、出力値を地絡の有無としたが、これに限られず、地絡している可能性としてもよい。
【0064】
また、本実施形態では、第1取得部30と、モデル生成部31と、第2取得部32と、出力部33と、表示制御部34とが情報処理装置2に備えられる態様を示したが、これに限られるものではない。例えば、第1取得部30と、モデル生成部31とが一の情報処理装置に備えられ、第2取得部32と、出力部33と、表示制御部34とが他の情報処理装置に備えられてもよい。
【0065】
これらのような場合であっても、情報処理装置2によれば、時系列データに基づいて、信頼性の高い地絡の有無の判定結果を出力することができる。
【符号の説明】
【0066】
1:情報処理システム
2:情報処理装置
20:プロセッサ
21:主記憶装置
22:補助記憶装置
23:入力装置
24:出力装置
25:通信装置
30:第1取得部
31:モデル生成部
32:第2取得部
33:出力部
34:表示制御部
4:計測装置
40:メーター
40a:地絡表示メーター
40b:出力電圧メーター
5:携帯端末
6:教師データ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9