(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022115577
(43)【公開日】2022-08-09
(54)【発明の名称】超音波トランスデューサ
(51)【国際特許分類】
H04R 17/00 20060101AFI20220802BHJP
【FI】
H04R17/00 330H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021012223
(22)【出願日】2021-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】滝 辰哉
【テーマコード(参考)】
5D019
【Fターム(参考)】
5D019AA19
5D019BB28
(57)【要約】
【課題】配線部材と圧電素子との接続安定性の向上が図られた超音波トランスデューサを提供する。
【解決手段】超音波トランスデューサ1において、端子金具61,62の第二部分64が、主面40b上において電極41,42に重ねられて、電極41,42と直接接している。それにより、端子金具61,62と電極41,42とが電気的に接続されている。さらに、端子金具61,62の第二部分64および電極41,42にそれぞれ接合された接合部80の接合部材84により、端子金具61,62と電極41,42とが接合されて、端子金具61,62が電極41,42から剥離する事態が抑制されている。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向において互いに対向する一対の主面を有する圧電素体と、該圧電素体の主面上に設けられた一対の電極とを有する圧電素子と、
前記圧電素体の主面上において前記電極に重ねられて該電極と接する重畳接触部を含む端子金具を有し、前記圧電素子と電気的に接続された配線部材と、
前記端子金具の重畳接触部と前記圧電素子の電極とを接合する接合部と
を備え、
前記接合部が、前記端子金具の重畳接触部に設けられた貫通部を充たし、該貫通部内において前記圧電素子の電極に接合された接合部材を有する、超音波トランスデューサ。
【請求項2】
前記接合部材は、前記貫通部内において前記圧電素子の電極と重なる本体部と、前記貫通部の縁において前記端子金具と重なる庇部とを有する、請求項1に記載の超音波トランスデューサ。
【請求項3】
前記第1方向から見て、前記重畳接触部のうちの前記電極と重なる領域の総面積は、前記接合部材の前記本体部の総面積より広い、請求項2に記載の超音波トランスデューサ。
【請求項4】
前記接合部材が導電性を有し、前記端子金具と前記圧電素子の電極とを電気的に接続する、請求項1~3のいずれか一項に記載の超音波トランスデューサ。
【請求項5】
前記端子金具の重畳接触部に複数の前記接合部が設けられている、請求項1~4のいずれか一項に記載の超音波トランスデューサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波トランスデューサに関する。
【背景技術】
【0002】
圧電素子を備えた超音波トランスデューサが知られている(たとえば特許文献1~5)。特許文献1に記載の超音波トランスデューサでは、圧電素子に配線部材の一種であるリード線が接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-32594号公報
【特許文献2】特開2013-102410号公報
【特許文献3】特開2008-311736号公報
【特許文献4】特開2000-121739号公報
【特許文献5】特開平11-266497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
超音波トランスデューサにおいては、製品ごとの振動特性のバラツキ(いわゆる、個体バラツキ)が小さいことが求められる。しかしながら、上述した従来技術に係る超音波トランスデューサでは、リード線のハンダ接続によって配線部材と圧電素子との電気的接続が図られているため、個体バラツキが生じやすい。
【0005】
発明者らは、個体バラツキについて研究を重ね、リードフレーム等の端子金具を用いることで、配線部材と圧電素子との接続安定性が向上して、個体バラツキを抑制することができるとの知見を得た。発明者らはさらに研究を重ね、配線部材と圧電素子との接続安定性をより高めることができる技術を新たに見出した。
【0006】
本発明の一つの態様は、配線部材と圧電素子との接続安定性の向上が図られた超音波トランスデューサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの態様に係る超音波トランスデューサは、第1方向において互いに対向する一対の主面を有する圧電素体と、該圧電素体の主面上に設けられた一対の電極とを有する圧電素子と、圧電素体の主面上において電極に重ねられて該電極と接する重畳接触部を含む端子金具を有し、圧電素子と電気的に接続された配線部材と、端子金具の重畳接触部と圧電素子の電極とを接合する接合部とを備え、接合部が、端子金具の重畳接触部に設けられた貫通部を充たし、該貫通部内において圧電素子の電極に接合された接合部材を有する。
【0008】
上記超音波トランスデューサにおいては、接合部の接合部材が圧電素子の電極と接合されていることで、配線部材の端子金具と圧電素子の電極との接続安定性が高められている。
【0009】
他の態様に係る超音波トランスデューサでは、接合部材は、貫通部内において圧電素子の電極と重なる本体部と、貫通部の縁において端子金具と重なる庇部とを有する。
【0010】
他の態様に係る超音波トランスデューサでは、第1方向から見て、重畳接触部のうちの電極と重なる領域の総面積は、接合部材の本体部の総面積より広い。
【0011】
他の態様に係る超音波トランスデューサでは、接合部材が導電性を有し、端子金具と圧電素子の電極とを電気的に接続する。
【0012】
他の態様に係る超音波トランスデューサでは、端子金具の重畳接触部に複数の接合部が設けられている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の種々の態様によれば、配線部材と圧電素子との接続安定性の向上が図られた超音波トランスデューサが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態に係る超音波トランスデューサを示す斜視図である。
【
図2】超音波トランスデューサの分解斜視図である。
【
図4】超音波トランスデューサの部分拡大図である。
【
図5】超音波トランスデューサの部分拡大図である。
【
図6】超音波トランスデューサの部分拡大図である。
【
図7】(a)は圧電素子の底面図であり、(b)は圧電素子の側面図であり、(c)は圧電素子の平面図である。
【
図9】本実施形態の変形例に係る超音波トランスデューサの樹脂部材の斜視図である。
【
図10】超音波トランスデューサの部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号が用いられ、重複する説明は省略される。
【0016】
図1~
図8を参照して、本実施形態に係る超音波トランスデューサの構成を説明する。
図1は、本実施形態に係る超音波トランスデューサの斜視図である。
図2は、超音波トランスデューサの分解斜視図である。
図3は、超音波トランスデューサの断面図である。超音波トランスデューサ1は、音響整合部材2と、フレーム部材3と、圧電素子4と、一対の配線5と、少なくとも1つの端子金具6と、樹脂部材7と、充填部材8とを備える。超音波トランスデューサ1の配線部材9は、配線5と端子金具6とを含んで構成されている。
図4は、超音波トランスデューサ1からフレーム部材3及び充填部材8を除いた状態を示している。
図5は、
図4に示した状態から音響整合部材2をさらに除いた状態を示している。
図6は、
図5に示した状態から樹脂部材7をさらに除いた状態を示している。
図7(a)~
図7(c)は、圧電素子4を示している。
図8は、樹脂部材7を示している。
【0017】
超音波トランスデューサ1は、圧電素子4によって、超音波を発する、又は、受けた超音波を検出する超音波送受装置である。超音波トランスデューサ1が超音波を発する場合には、たとえば、圧電素子4に交流電圧が印加され、当該交流電圧によって圧電素子4が連続的に変位する。圧電素子4の変位に応じて、超音波トランスデューサ1から超音波が発せられる。超音波トランスデューサ1が超音波を検出する場合には、たとえば、受けた超音波に起因する圧電素子4の変位によって圧電素子4に起電力が発生する。起電力の発生によって超音波を受けたか否かが検出され、発生した起電力の大きさによって超音波の音圧又は音圧レベルなどが検出される。
【0018】
音響整合部材2は、圧電素子4を収容している収容空間Sを形成している。音響整合部材2は、少なくとも圧電素子4の一部及び端子金具6の少なくとも一部を覆って当該圧電素子4の音響インピーダンスを補整する。音響整合部材2は、その形状、構造、及び材料によって、圧電素子4の音響インピーダンスと、空気やガス等の媒質の音響インピーダンスとの整合を図る。音響整合部材2は、たとえば、エポキシ樹脂で形成されている。音響整合部材2は、たとえば、エポキシ樹脂にガラスビーズを混入した複合材料の発泡成形によって形成されている。音響整合部材2は、有底筒状を呈している。音響整合部材2は、底部22と、側部23と、を有している。底部22及び側部23は、一体に形成されている。
【0019】
底部22は、円板形状を呈している。底部22は、圧電素子4の変位に応じて超音波を発する、又は、外部からの超音波を受けて圧電素子4に振動を伝達する部分である。底部22は、互いに対向している第一主面22a及び第二主面22bを有している。第一主面22a及び第二主面22bは、第一主面22aと第二主面22bとの対向方向(第1方向)から見て、たとえば、円形状を呈している。第一主面22aは、音響整合部材2の収容空間Sを形成している。第二主面22bは、超音波トランスデューサ1における超音波の発信面及び受信面を構成している。底部22には、テーパー部22cが設けられている。テーパー部22cは、第一主面22a側から第二主面22b側に向かって先細りになっている。底部22の厚さは、たとえば、2.3mm~2.6mmである。底部22の厚さは、第一主面22aと第二主面22bとの間の最短距離である。
【0020】
側部23は、有底円筒形状を呈している。側部23は、底部22の第一主面22aから、第一主面22aと第二主面22bとの対向方向に沿って延在している。側部23の内面23aは、底部22の第一主面22aと共に収容空間Sを形成している。
【0021】
フレーム部材3は、音響整合部材2に取り付けられている。フレーム部材3は、たとえば、ゴムで形成されている。フレーム部材3は、音響整合部材2と共に収容空間Sを形成している。フレーム部材3は、本体部31と、フランジ部32と、を有している。本体部31及びフランジ部32は、一体に形成されている。
【0022】
本体部31は、略円筒形状を呈している。本体部31は、音響整合部材2の側部23に取り付けられている。本体部31は、側部23の上部の外周面を取り囲むと共に、側部23の上部に配置されている。本体部31は、収容空間Sに連通する開口部Kを形成している。本体部31の内径は、音響整合部材2の側部23の内径よりも小さい。フランジ部32は、本体部31の上端部に設けられている。フランジ部32は、円枠状を呈している。フランジ部32は、本体部31の外周面から径方向の外側に張り出している。
【0023】
図7(a)、
図7(b)及び
図7(c)に示されるように、圧電素子4は、圧電素体40と、一対の電極41,42と、を有している。圧電素体40は、円板形状を呈している。圧電素体40は、互いに対向している一対の主面40a,40bと、主面40aと主面40bとを連結している側面40cと、を有している。主面40a,40bは、円形状を呈している。
【0024】
圧電素体40は、複数の圧電体層(不図示)が積層されて構成されている。各圧電体層は、圧電材料からなる。本実施形態では、各圧電体層は、圧電セラミック材料からなる。圧電セラミック材料には、たとえば、PZT[Pb(Zr、Ti)O3]、PT(PbTiO3)、PLZT[(Pb,La)(Zr、Ti)O3]、又はチタン酸バリウム(BaTiO3)が用いられる。各圧電体層は、たとえば、上述した圧電セラミック材料を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。実際の圧電素体40では、各圧電体層は、各圧電体層の間の境界が認識できない程度に一体化されている。圧電素体40内には、複数の内部電極(不図示)が配置されている。各内部電極は、導電性材料からなる。導電性材料には、たとえば、Ag、Pd、又はAg-Pd合金が用いられる。
【0025】
電極41は、主面40a、主面40b、及び側面40cに配置されている。電極41は、主面40a、側面40c及び主面40bにわたって配置されている。電極41のうち主面40aに配置されている部分は、略円形状を呈している。電極42は、主面40bに配置されている。電極42は、円形が一部切り欠かれた形状を呈している。
【0026】
電極41と電極42とは、互いに離間している。主面40a,40bの対向方向(第1方向)から見て、電極41のうち主面40bに配置されている部分の面積は、電極42のうち主面40bに配置されている部分の面積よりも小さい。電極41及び電極42は、導電性材料からなる。導電性材料には、たとえば、Ag、Pd、又はAg-Pd合金が用いられる。電極41及び電極42は、たとえば、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。
【0027】
圧電素子4は、音響整合部材2の底部22に配置されている。圧電素子4は、圧電素体40の主面40aが底部22の第一主面22aと対向するように配置されている。すなわち、圧電素子4は、電極41が第一主面22aと対向するように配置されている。本実施形態では、圧電素子4の主面40aが底部22の第一主面22aに直接接している。
【0028】
一対の配線5は、それぞれ対応する圧電素子4の電極41,42に電気的に間接的に接続されている。一対の配線5のそれぞれは、リード線51,52を含む。リード線51,52は、音響整合部材2及びフレーム部材3によって形成される収容空間Sからフレーム部材3の開口部Kを介して収容空間Sの外部に延在している。リード線51は、電極41に電気的に間接的に接続されている。リード線52は、電極42に電気的に間接的に接続されている。
【0029】
端子金具6は、圧電素子4と電気的に接続されている。本実施形態では、端子金具6は、2つの端子金具61,62を含む。端子金具61,62は、圧電素子4の主面40bに主面40bの縁に沿って設けられている。端子金具61及び端子金具62の各々は、第一部分63及び第二部分64(重畳接触部)を有している。第一部分63及び第二部分64は、互いに電気的に接続されている。本実施形態では、第一部分63及び第二部分64は、一体的に接続されている。端子金具61,62は、導電性を有し、金属で構成されている。端子金具61,62を構成する金属は、たとえば、リン青銅、無酸素銅、又は銅合金などである。本実施形態では、端子金具61,62はリードフレームである。
【0030】
端子金具61,62の第一部分63は、配線5に物理的に接続され、圧電素子4から離間している。第一部分63は、主面40a,40bと交差する方向に延在している。第一部分63は、主面40a,40bの対向方向、又は、当該対向方向から見て圧電素子4の重心から離れる方向に延在している。本実施形態では、第一部分63は、主面40a,40bの対向方向に延在している。配線5は、圧電素子4及び第二部分64から離間して、第一部分63に物理的に接続されている。本実施形態では、端子金具61の第一部分63がリード線51の導線部分に物理的に接続されており、端子金具62の第一部分63がリード線52の導線部分に物理的に接続されている。本明細書において、「物理的に接続されている」とは、直接的に当接している場合に加えてハンダ又は導電性樹脂などの導電性接着材料を介して接続されている場合を含むが、導電性接着材料以外の他の部材を介する場合を含まない。端子金具61,62の第二部分64は、後述する接合部80により、圧電素子4の電極41,42にそれぞれ接合されている。
【0031】
第一部分63及び第二部分64は、それぞれ板形状を呈する板部65,66を含む。第一部分63は板部65を含み、第二部分64は板部66を含む。板部65と板部66とは、互いに交差する方向に延在している。板部65は、電極41,42から離れる方向に延在している。本実施形態において、板部65と板部66とは、互いに直交する方向に延在している。換言すれば、本実施形態において、端子金具61,62は、L字形状を呈している。板部65は、主面40a,40bの対向方向に延在している。板部66は、主面40bに沿って延在している。第二部分64の板部66は、主面40a,40bの対向方向から見て長方形状を呈する。主面40a,40bの対向方向から見て、板部66の面積は、電極41のうち主面40bに配置された部分の面積よりも小さい。端子金具61,62の板部66(より詳しくは、接合部80を除いた板部66)は、主面40b上において電極41,42に重ねられて、電極41,42と直接接しており、ただし接合はされていない。端子金具61,62の板部66は、後述する接合部80により、圧電素子4の電極41,42にそれぞれ接合されている。本明細書において接合とは、たとえばアンカー効果である機械的結合である。すなわち、端子金具61,62の板部と電極41,42とは、機械的に結合されていない状態で、互いに接している。
【0032】
第一部分63は、板部65に接続された把持部67と、係合部68と、チェック端子部69と、当接部70とをさらに含む。把持部67、係合部68、チェック端子部69、及び、当接部70は、板部65に対して一体に接続されており、板部65に対して折れ曲がっている。換言すれば、把持部67、係合部68、チェック端子部69、及び、当接部70は、板部65から突出している。
【0033】
把持部67は、配線5を把持する。端子金具61の把持部67はリード線51の先端部分を把持し、端子金具62の把持部67はリード線52の先端部分を把持する。本実施形態では、把持部67は、カシメ加工によって、配線5を把持する。把持部67は、複数のピン部分を含み、各ピン部分が折れ曲がることで配線5を把持する。配線5のリード線51の導線部分は、把持部67によって端子金具61の板部65に物理的に接続される。配線5のリード線52の導線部分は、把持部67によって端子金具62の板部65に接続されている。本実施形態では、把持部67は、少なくとも一つのピン部分によって配線5の導線部分を把持し、当該導線部分が少なくとも一つのピン部分にも接続されている。
【0034】
係合部68は、一対のピン部分を含み樹脂部材7に係合している。樹脂部材7と係合部68との係合によって、端子金具61,62は樹脂部材7に固定されている。本明細書において、「固定」とは、ガタを有するように係合されている状態を含む。
【0035】
チェック端子部69は、配線5の通電をチェックするための端子である。端子金具61,62が圧電素子4に配置された後にチェック端子部69にテスターなどの端子を接触させることで、端子金具61,62が電極41,42に接続されているか否かが確認され得る。
【0036】
当接部70は、主面40a,40bの対向方向と交差する方向に突出している。当接部70は、音響整合部材2に向かって突出し、音響整合部材2に弾性的に当接する。本実施形態では、当接部70と音響整合部材2の内面23aとの当接によって、音響整合部材2に対して圧電素子4が端子金具61,62を介して位置決めされる。
【0037】
樹脂部材7は、音響整合部材2及びフレーム部材3によって形成された収容空間Sに収容されている。
図8に示されているように、樹脂部材7は、枠状を呈している。樹脂部材7の厚さ方向は、主面40a,40bの対向方向と一致する。樹脂部材7は、主面40a,40bの対向方向に延在する軸周りに形成されている。樹脂部材7は、当該樹脂部材7の外周を音響整合部材2に囲まれている。樹脂部材7は、圧電素子4の外周に沿って設けられている。樹脂部材7は、圧電素子4の主面40bの縁に沿って延在している。樹脂部材7は、主面40a,40bの対向方向から見て主面40bの重心を囲うように延在している。
【0038】
樹脂部材7は、欠落部7a,7bを有している。端子金具61の係合部68が欠落部7aの縁に係合する。端子金具62の係合部68が欠落部7bの縁に係合する。これによって、複数の端子金具61,62は、樹脂部材7に固定される。本実施形態では、樹脂部材7は、係合部68と板部66とに挟まれている。係合部68によって端子金具6に対する樹脂部材7の外周方向における動きが制限されると共に、係合部68と板部66とによって樹脂部材7の厚さ方向における動きが制限される。樹脂部材7の材料は、たとえば、PBT、LCPなどの熱可塑性成形材料を含む。
【0039】
本実施形態の変形例として、樹脂部材7は、
図9に示されているように、一部断絶した枠状を呈していてもよい。樹脂部材7は、圧電素子4の主面40a,40bの縁に沿って枠状に延在している。樹脂部材7は、主面40a,40bの対向方向から見て主面40bの重心を囲うように延在している。樹脂部材7は、互いに離間し、かつ、互いに対向している両端7c,7dを有している。両端7c,7dは、主面40a,40bの対向方向と直交する方向に離間している。本変形例において、樹脂部材7は、C字形状を呈している。この場合も、樹脂部材7は、収容空間Sに収容され、外周を音響整合部材2に囲まれている。この場合、樹脂部材7は、その形状によって圧電素子4の主面40a,40bの対向方向と直交する方向に弾性を有している。樹脂部材7は、外周を囲む音響整合部材2の内面23aに弾性的に当接する。上述した実施形態と同様に樹脂部材7には、端子金具6が固定されている。本変形例では、樹脂部材7が音響整合部材2に当接することで、音響整合部材2に対して圧電素子4が樹脂部材7及び端子金具6を介して位置決めされる。本変形例における樹脂部材7が超音波トランスデューサ1に用いられる場合、端子金具6は当接部70を含んでいなくてもよい。
【0040】
充填部材8は、音響整合部材2及びフレーム部材3によって形成された収容空間Sに充填されている。したがって、収容空間Sには、圧電素子4、配線5の一部、端子金具6、樹脂部材7、充填部材8が収容されている。充填部材8は、音響整合部材2、フレーム部材3、圧電素子4、配線5の一部、端子金具6、及び樹脂部材7に接する。充填部材8は、収容空間Sに圧電素子4、配線5の一部、端子金具6、及び樹脂部材7が収容された後に充填される。充填部材8は、圧電素子4、配線5の一部、端子金具6、樹脂部材7を覆っている。充填部材8は、例えば、エポキシ樹脂及びウレタン樹脂の少なくとも一つを含む。
【0041】
続いて、端子金具61,62の第二部分64と圧電素子4の電極41,42とを接合する接合部80について、
図10及び
図11を参照しつつ説明する。
【0042】
端子金具61,62の第二部分64のそれぞれには、複数の接合部80が設けられている。本実施形態では、端子金具61,62の第二部分64のそれぞれに2つの接合部80が設けられている。より具体的には、
図10に示すように、主面40a,40bの対向方向から見て、長方形状を呈する第二部分64の板部66の長辺方向に並ぶように、2つの接合部80が設けられている。各接合部80は、長方形の長辺に相当する端面64aおよび短辺に相当する側面64bから所定距離だけ離間して設けられている。
【0043】
各接合部80は、第二部分64に設けられた貫通部82と、貫通部82を充たす接合部材84とを備えて構成されている。
【0044】
貫通部82は、第二部分64の上面64cから下面64dまで延びて、第二部分64を貫いている。貫通部82は、本実施形態では貫通孔である。貫通部82は、主面40a,40bの対向方向から見て円形状を呈し、形成領域の面積はS1である。貫通部82は、第二部分64の上面64cから下面64dにわたって同一の形状および寸法を有する。
【0045】
接合部材84は、少なくとも一部が貫通部82内に位置しており、貫通部82内において電極42に接合されている。本実施形態では接合部材84はハンダである。
【0046】
接合部材84は、樹脂材料で構成されててもよく、導電性フィラーを含む導電性樹脂であってもよい。接合部材84は、導電性であってもよく絶縁性であってもよい。
【0047】
本実施形態では、接合部材84は、貫通部82を完全に充たす本体部85と、上面64cの高さ位置より上側において貫通部82および貫通部82の周縁を覆う頭部86とを有する。
【0048】
本体部85は、円柱状の形状を有し、主面40a,40bの対向方向から見て貫通部82と同じ形状および寸法を有する。すなわち、本体部85の形成領域の面積は、貫通部82の形成領域の面積と同じくS1である。本体部85は、その下端面85aにおいて電極42に接合される。本体部85は、その側面85bにおいて第二部分64に接合される。
【0049】
頭部86は、本体部85と一体的に構成されている。頭部86は、貫通部82の周縁における上面64cを覆う庇部87を有する。庇部87は、第二部分64の上面64cに接合されている。
【0050】
上述のとおり、端子金具61,62の第二部分64(板部66)は、主面40b上において電極41,42に重ねられて、電極41,42と直接接している。それにより、端子金具61,62と電極41,42とが電気的に接続されている。さらに、端子金具61,62の第二部分64および電極41,42にそれぞれ接合された接合部80の接合部材84により、端子金具61,62と電極41,42とが接合されて、端子金具61,62が電極41,42から剥離する事態が抑制されている。すなわち、端子金具61,62と電極41,42との間の接続強度が高められている。
【0051】
したがって、超音波トランスデューサ1においては、配線部材9の端子金具6の第二部分64と圧電素子4の電極41,42との間の高い接続安定性が実現されている。そのため、超音波トランスデューサ1では個体バラツキが生じにくくなっている。
【0052】
また、超音波トランスデューサ1においては、接合部材84の庇部87が、貫通部82の縁において端子金具61,62と係合されており、端子金具61,62が電極41,42から剥がれにくくなっており、接続安定性のさらなる向上が図られている。また、本実施形態のように、接合部材84が導電性を有する場合には、庇部87においても接合部材84と端子金具61,62とが電気的に接続されるため、より確実な導通が図れる。
【0053】
さらに、超音波トランスデューサ1は、第1方向から見て、端子金具61,62の第二部分64のうちの電極41,42と重なる領域(
図10のS2領域)の総面積は、接合部材84の本体部85の形成領域(
図10のS1領域)の総面積より広くなるように設計されている。端子金具61,62の第二部分64と電極41,42との互いの対向面が、完全に平坦な面であれば、S2領域の面積が真実接触面積となる。互いの対向面がある程度の表面粗さを有する態様(すなわち、微小な凹凸が形成されている態様)であってもよく、この場合には、S2領域の面積は見かけの接触面積となる。S2領域の面積を十分に広く確保することで、接合部材84が導電性であっても絶縁性であっても、端子金具61,62と電極41,42との間において確実な導通を図ることができる。本実施形態のように接合部材84が導電性を有する場合には、端子金具61,62と電極41,42との間においてより確実な導通を図ることができる。
【0054】
本実施形態のように端子金具61,62の第二部分64のそれぞれの2つの接合部80を設けることで、端子金具61,62と電極41,42との間においてより確実な導通を図ることができる。また、端子金具61,62の第二部分64のそれぞれの2つの接合部80を設けることで、個体バラツキがより抑制されている。
【0055】
以上、本発明の実施形態及び変形例について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態及び変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0056】
たとえば、貫通部は、円形の貫通孔に限らず、楕円形や多角形の貫通孔であってもよい。また、貫通部は、貫通孔に限らず、第二部分64の端面64aまたは側面64bから内側に向かって延びる切り欠き部であってもよい。
【0057】
端子金具は、リードフレームに限らず、その他の導電性を有する金属部材であってもよい。端子金具の第二部分にそれぞれ設けられる接合部の数は、2つに限らず、1つであってもよく、3つ以上であってもよい。配線部材は、配線を含む態様であってもよく配線を含まない態様であってもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…超音波トランスデューサ、4…圧電素子、5…配線、6,61,62…端子金具、9…配線部材、40a,40b…主面、63…第一部分、64…第二部分、65,66…板部、80…接合部、84…接合部材、85…本体部、86…頭部、87…庇部