(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022115579
(43)【公開日】2022-08-09
(54)【発明の名称】宅配ボックス管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/08 20120101AFI20220802BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20220802BHJP
A47G 29/30 20060101ALI20220802BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20220802BHJP
【FI】
G06Q10/08 330
G06K7/10 128
A47G29/30
G16Y10/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021012226
(22)【出願日】2021-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】松下 真矢
(72)【発明者】
【氏名】下沢 智啓
(72)【発明者】
【氏名】下中 淳史
【テーマコード(参考)】
3K100
5L049
【Fターム(参考)】
3K100CA43
3K100CB10
3K100CC05
5L049AA16
5L049CC52
(57)【要約】 (修正有)
【課題】複数の荷室を有する宅配ボックスに格納された荷物の情報を簡易な構成で管理する宅配ボックス管理システムを提供する。
【解決手段】宅配ボックス管理システムSは、複数の荷室Lと、荷室Lの扉13の開閉状態を検知する開閉センサ14と、アンテナ12とを電波が通過しない筐体内に備える宅配ボックス1と、アンテナ12が無線タグから受信した電波から無線タグが取り付けられた荷物を識別する荷物IDを取得する荷物識別情報取得部221と、荷室Lの扉13が開閉された後に新たな荷物IDが取得された場合、荷室Lを識別する荷室IDに新たな荷物IDを関連付けて記憶部21に記憶させる記憶制御部223と、を備える宅配ボックス管理装置2とを有する。記憶制御部223は、扉13が開閉された後に記憶部21に荷物IDに関連付けて記憶された荷室IDに対応する荷物IDが取得されなくなった場合、荷室IDに関連付けられた荷物IDを削除する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
宅配ボックスと、前記宅配ボックスに格納された荷物の情報を管理する宅配ボックス管理装置とを備え、
前記宅配ボックスは、
電波が壁を通過しない筐体と、
前記筐体内に設けられ、電波が通過する仕切りで仕切られた複数の荷室と、
各荷室の開口部を開閉自在とする扉の開閉状態を検知するセンサと、
前記筐体内に設置され、前記荷室に格納された荷物に取り付けられた無線タグに記憶された情報を読み取るための読取電波を出力し、前記無線タグから出力された応答電波を受信するアンテナと、
を有し、
前記宅配ボックス管理装置は、
前記アンテナが前記無線タグから受信した前記応答電波から、前記無線タグが取り付けられた前記荷物を識別する荷物識別情報を取得する荷物識別情報取得部と、
前記複数の荷室のいずれかの扉が開閉された後に、新たな荷物識別情報が取得された場合、前記扉が開閉された荷室を識別する荷室識別情報に、前記新たな荷物識別情報を関連付けて記憶部に記憶させる記憶制御部と、
を備え、
前記記憶制御部は、前記複数の荷室のいずれかの扉が開閉された後に、前記記憶部に前記荷物識別情報に関連付けて記憶された前記荷室識別情報に対応する前記荷物識別情報が取得されなくなった場合、前記荷室識別情報に関連付けられた前記荷物識別情報を削除する、
宅配ボックス管理システム。
【請求項2】
前記アンテナは、前記複数の荷室のいずれかの扉が開いていることを前記センサが検知している間、前記読取電波を出力せず、開いていた前記扉が閉じたことを前記センサが検知したら前記読取電波を出力し、前記応答電波を受信する、
請求項1に記載の宅配ボックス管理システム。
【請求項3】
前記アンテナは、前記筐体内に格納された複数の前記荷物の各無線タグから前記応答電波をそれぞれ受信し、
前記荷物識別情報取得部は、前記扉が開閉された後に前記アンテナが受信した複数の応答電波の各々から前記荷物識別情報を取得し、取得した複数の前記荷物識別情報を示す格納荷物リストを前記記憶部に記憶させ、
前記宅配ボックス管理装置は、前記複数の荷室のいずれかの扉が開く前に前記記憶部に記憶されていた格納荷物リストと、開いていた前記扉が閉じた後に新たに前記記憶部に記憶された格納荷物リストとを比較することにより、前記扉が開閉された後に新たに取得された荷物識別情報又は前記扉が開閉された後に取得されなくなった荷物識別情報を特定する識別情報特定部をさらに備える、
請求項1又は2に記載の宅配ボックス管理システム。
【請求項4】
前記記憶制御部は、前記識別情報特定部により特定された前記扉が開閉された後に新たに取得された荷物識別情報を、前記扉が開閉された荷室を識別する荷室識別情報に関連付けて前記記憶部に記憶させる、
請求項3に記載の宅配ボックス管理システム。
【請求項5】
前記記憶制御部は、前記荷室識別情報に関連付けて前記記憶部に記憶された荷物識別情報のうちの、前記識別情報特定部により特定された前記扉が開閉された後に取得されなくなった荷物識別情報を前記記憶部から削除する、
請求項3又は4に記載の宅配ボックス管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宅配ボックスに格納された荷物の情報を管理する宅配ボックス管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
宅配ボックスに設けられた複数の荷室の各々に格納された荷物の情報を管理する技術が知られている。特許文献1には、複数の荷室の各々に設けられたセンサが、荷物が格納されたことを検知したり、荷物に取り付けられた伝票や無線タグから荷物に関する情報を取得したりすることで、荷室に格納された荷物の情報を管理する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術は、複数の荷室の各々にセンサを設ける必要があり、荷物の情報を管理する装置の構成が複雑になっていた。そのため、宅配ボックスに格納された荷物の情報を簡易な構成で管理する技術が求められていた。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、複数の荷室を有する宅配ボックスに格納された荷物の情報を簡易な構成で管理することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様においては、宅配ボックスと、前記宅配ボックスに格納された荷物の情報を管理する宅配ボックス管理装置とを備え、前記宅配ボックスは、電波が壁を通過しない筐体と、前記筐体内に設けられ、電波が通過する仕切りで仕切られた複数の荷室と、各荷室の開口部を開閉自在とする扉の開閉状態を検知するセンサと、前記筐体内に設置され、前記荷室に格納された荷物に取り付けられた無線タグに記憶された情報を読み取るための読取電波を出力し、前記無線タグから出力された応答電波を受信するアンテナと、を有し、前記宅配ボックス管理装置は、前記アンテナが前記無線タグから受信した前記応答電波から、前記無線タグが取り付けられた前記荷物を識別する荷物識別情報を取得する荷物識別情報取得部と、前記複数の荷室のいずれかの扉が開閉された後に、新たな荷物識別情報が取得された場合、前記扉が開閉された荷室を識別する荷室識別情報に、前記新たな荷物識別情報を関連付けて記憶部に記憶させる記憶制御部と、を備え、前記記憶制御部は、前記複数の荷室のいずれかの扉が開閉された後に、前記記憶部に前記荷物識別情報に関連付けて記憶された前記荷室識別情報に対応する前記荷物識別情報が取得されなくなった場合、前記荷室識別情報に関連付けられた前記荷物識別情報を削除する、宅配ボックス管理システムを提供する。
【0007】
例えば、前記アンテナは、前記複数の荷室のいずれかの扉が開いていることを前記センサが検知している間、前記読取電波を出力せず、開いていた前記扉が閉じたことを前記センサが検知したら前記読取電波を出力し、前記応答電波を受信する。
【0008】
例えば、前記アンテナは、前記筐体内に格納された複数の前記荷物の各無線タグから前記応答電波をそれぞれ受信し、前記荷物識別情報取得部は、前記扉が開閉された後に前記アンテナが受信した複数の応答電波の各々から前記荷物識別情報を取得し、取得した複数の前記荷物識別情報を示す格納荷物リストを前記記憶部に記憶させ、前記宅配ボックス管理装置は、前記複数の荷室のいずれかの扉が開く前に前記記憶部に記憶されていた格納荷物リストと、開いていた前記扉が閉じた後に新たに前記記憶部に記憶された格納荷物リストとを比較することにより、前記扉が開閉された後に新たに取得された荷物識別情報又は前記扉が開閉された後に取得されなくなった荷物識別情報を特定する識別情報特定部をさらに備える。
【0009】
例えば、前記記憶制御部は、前記識別情報特定部により特定された前記扉が開閉された後に新たに取得された荷物識別情報を、前記扉が開閉された荷室を識別する荷室識別情報に関連付けて前記記憶部に記憶させる。
【0010】
例えば、前記記憶制御部は、前記荷室識別情報に関連付けて前記記憶部に記憶された荷物識別情報のうちの、前記識別情報特定部により特定された前記扉が開閉された後に取得されなくなった荷物識別情報を前記記憶部から削除する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数の荷室を有する宅配ボックスに格納された荷物の情報を簡易な構成で管理できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施の形態に係る宅配ボックス管理システムの概要を説明するための図である。
【
図2】宅配ボックス管理システムの構成を模式的に示す図である。
【
図3】荷物情報管理テーブルの一例を模式的に示す図である。
【
図4】格納荷物リストの一例を模式的に示す図である。
【
図5】格納荷物リストの一例を模式的に示す図である。
【
図6】荷物情報管理テーブルの一例を模式的に示す図である。
【
図7】宅配ボックス管理装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[宅配ボックス管理システムSの概要]
図1は、実施の形態に係る宅配ボックス管理システムSの概要を説明するための図である。宅配ボックス管理システムSは、宅配ボックス1に格納された荷物を管理するシステムである。宅配ボックス管理システムSは、複数の荷室を有する宅配ボックス1と、宅配ボックス1に格納された荷物の情報を管理する宅配ボックス管理装置2とを有する。宅配ボックス1は、荷室L1から荷室L12までの12個の荷室を有している。以下、荷室L1から荷室L12までの12個の荷室を区別する必要が無い場合「荷室L」という。
【0014】
図1の宅配ボックス1には、荷物N1~荷物N3が格納されている。以下、荷物N1~荷物N3の各々を区別する必要が無い場合、荷物Nという。宅配ボックス管理装置2は、筐体11内に設けられたアンテナ12が送信する電波により、筐体11内に格納された複数の荷物Nの各々に取り付けられた無線タグT1~無線タグT3に記憶された情報を取得できる。無線タグT1~無線タグT3(以下、区別する必要が無い場合「無線タグT」という)には、無線タグTが取り付けられた荷物Nを識別する荷物識別情報(以下「荷物ID」という)が記憶されている。
【0015】
宅配ボックス管理装置2は、複数の荷室Lのいずれかの扉13が開閉された後に、新たな荷物IDを取得した場合、扉13が開閉された荷室Lに荷物Nが格納されたことを特定する。そして、宅配ボックス管理装置2は、扉13が開閉された荷室Lの荷室識別情報(以下「荷室ID」という)に、荷物Nの荷物IDを関連付けて記憶する。一方、宅配ボックス管理装置2は、複数の荷室Lのいずれかの扉13が開閉された後に、荷物IDに関連付けて記憶された荷室IDに対応する荷物IDが取得されなくなった場合、荷物Nが取り出されたことを特定する。この場合、宅配ボックス管理装置2は、扉13が開閉された後に取得されなくなった荷物IDを削除する。
【0016】
このように、宅配ボックス管理システムSは、複数の荷室Lに格納された荷物Nに関する情報を取得するセンサとして、無線タグTに記憶された情報を読み取るための電波を出力するアンテナ12を備えるだけで、荷室Lに格納された荷物Nの情報を取得できる。そのため、宅配ボックス管理システムSは、複数の荷室Lの各々に、荷物Nが格納されたことを検知するためのセンサや荷物Nの情報を取得するためのセンサを設ける必要が無く、簡易な構成で荷物の情報を管理できる。
【0017】
[宅配ボックス管理システムSの構成]
以下、宅配ボックス管理システムSの構成を、
図1及び
図2を用いて説明する。
図2は、宅配ボックス管理システムSの構成を模式的に示す図である。
【0018】
宅配ボックス1の筐体11は、アンテナ12が出力する読取電波及び無線タグTから出力された応答電波が筐体11の壁(具体的には、天板、底板及び側板が成す壁)を通過しないように、電波が通過しない材料で構成されている。筐体11の壁は、例えば、電波が通過しない材料である電波反射性材料で構成されている。電波反射性材料は、例えば金属、鏡等であるが、これに限らず公知の材料を用いることができる。筐体11に電波反射性材料を用いることによりアンテナ12が出力した読取電波が筐体11内で反射するので、筐体11内全域に読取電波が広がりやすくなる。その結果、宅配ボックス1内の無線タグTの読取性能を向上できる。また、筐体11は、電波が通過しない材料として、電波吸収性材料で構成されてもよい。電波吸収性材料は、例えば水分含有量の多い材料であるが、これに限らず公知の材料を用いることができる。なお、扉13は、筐体11と同様に電波が通過しない材料で構成されている。
【0019】
複数の荷室Lは、筐体11内に設けられている。複数の荷室Lの各々は、電波が通過する仕切りで仕切られている。電波が通過する仕切りは、例えば電波透過性材料で構成されている。電波透過性材料は、例えば木材、布、紙、ゴムなどであるが、これに限らず公知の材料を用いることができる。
【0020】
複数の荷室Lの各々の開口部には、各荷室Lの開口部を開閉自在とする扉13の開閉状態を検知する開閉センサ14が設けられている。開閉センサ14は、プッシュスイッチ又は光センサを用いることができるが、これに限定するものではない。
【0021】
筐体11内に設置されたアンテナ12は、荷物Nに取り付けられた無線タグTに記憶された情報を読み取るための読取電波を送信する。例えば、アンテナ12は、複数の荷室Lのいずれかの開閉センサ14が、扉13が開いていることを検知している間、読取電波を出力しない。アンテナ12は、開いていた扉13が閉じたことを開閉センサ14が検知したら読取電波を出力する。
【0022】
ところで、アンテナ12が出力する読取電波は、筐体11の天板に設けられたアンテナ12から鉛直方向の下方に向けて円錐状に広がる(
図1参照)。そこで、アンテナ12を筐体11の天板、底板又は側板の中心に設置することにより、筐体11内全域に読取電波が広がりやすくなる。また、アンテナ12は、各荷室Lの扉13と対抗する位置でない位置に設置するのが望ましい。このように、アンテナ12を各荷室Lの扉13と対抗する位置でない位置に設置することにより、扉13と開口部との隙間から読取電波が通過してしまうことを抑制できたり、扉13が開いているときに読取電波が誤って出力されても、筐体11外に漏れ出ることを抑制できたりする。
【0023】
無線タグTは、例えばRFIDタグである。無線タグTは、アンテナ12から送信された読取電波の一部をエネルギー源として動作する。無線タグTは、読取電波を受信すると、無線タグTに記憶された情報を含む応答電波を出力する。無線タグTに記憶された情報は、無線タグTが取り付けられた荷物Nを識別する荷物識別情報である。
【0024】
アンテナ12は、読取電波を受信した無線タグTから出力された応答電波を受信する。例えば、アンテナ12は、筐体11内に格納された複数の荷物Nの各無線タグTから応答電波をそれぞれ受信する。アンテナ12は、受信した応答電波を示す情報を宅配ボックス管理装置2に出力する。
【0025】
宅配ボックス管理装置2は、通信部20と、記憶部21と、制御部22とを備える。通信部20は、宅配ボックス管理装置2と外部装置との間で情報を送受信するための通信モジュールである。外部装置は、例えば、荷物Nを受け取るユーザの端末、又は荷物Nを配達する事業者のサーバである。通信部20は、例えばインターネットを介して各種情報を外部装置と送受信する。
【0026】
記憶部21は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びハードディスク等を含む記憶媒体である。記憶部21は、制御部22が実行するプログラムを記憶する。記憶部21は、荷室IDと荷物IDとを関連付けた荷物情報管理テーブルを記憶する。
図3は、荷物情報管理テーブルの一例を模式的に示す図である。
図3は、扉13が開閉する前の荷物情報管理テーブルである。
図3に示すように、荷室ID[L7]に荷物ID[N001]が関連付けられ、荷室ID[L9]に荷物ID[N002]が関連付けられている。宅配ボックス管理システムSを管理するユーザは、荷物情報管理テーブルを参照することにより、宅配ボックス1のどの荷室Lにどの荷物Nが格納されているかを把握できる。
【0027】
制御部22は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを含む計算リソースである。制御部22は、記憶部21に記憶されたプログラムを実行することにより、荷物識別情報取得部221、識別情報特定部222及び記憶制御部223としての機能を実現する。
【0028】
荷物識別情報取得部221は、アンテナ12が無線タグTから受信した応答電波から、無線タグTが取り付けられた荷物Nを識別する荷物IDを取得する。荷物識別情報取得部221は、扉13が開閉された後にアンテナ12が受信した複数の応答電波の各々から荷物IDを取得し、取得した複数の荷物IDを示す格納荷物リストを記憶部21に記憶させる。具体的には、荷物識別情報取得部221は、複数の荷室Lのいずれかの扉13が開く前に取得していた荷物IDを示す第1格納荷物リストと、開いていた扉13が閉じた後に新たに取得した荷物IDを示す第2格納荷物リストとを記憶部21に記憶させる。
【0029】
荷物識別情報取得部221が格納荷物リストを記憶させる処理を具体的に説明する。まず、荷物識別情報取得部221は、扉13が開閉されたら、記憶部21に記憶されていた第1格納荷物リストを削除して、前回扉13が開閉された際に記憶させた第2格納荷物リストを第1格納リストとして記憶部21に記憶させる。次に、荷物識別情報取得部221は、開いていた扉13が閉じた後に取得した荷物IDを示す第2格納荷物リストを記憶部21に新たに記憶させる。このように、荷物識別情報取得部221は、扉13が開閉される毎に、第1格納荷物リスト及び第2格納荷物リストの各々を更新する。
【0030】
図4は、格納荷物リストの一例を模式的に示す図である。
図4(a)は、第1格納荷物リストである。
図4(a)において、荷物ID[N001]と荷物ID[N002]とが記憶されている。
図4(b)は、第2格納荷物リストである。
図4(b)において、荷物ID[N001]と荷物ID[N002]とに加え、荷物ID[N003]が記憶されている。
【0031】
識別情報特定部222は、新たに取得された荷物IDを特定する。具体的には、まず、識別情報特定部222は、複数の荷室Lのいずれかの扉13が開く前に記憶部21に記憶された第1格納荷物リストと、新たに記憶部21に記憶された第2格納荷物リストとを比較する。そして、識別情報特定部222は、比較結果に基づいて、扉13が開閉された後に新たに取得された荷物IDを特定する。一例を挙げると、識別情報特定部222は、
図4(a)に示す第1格納荷物リストと、
図4(b)に示す第2格納荷物リストとを比較して、荷物ID[N003]を、新たに取得された荷物IDとして特定する。
【0032】
識別情報特定部222は、取得されなくなった荷物IDを特定する。具体的には、識別情報特定部222は、第1格納荷物リストと、第2格納荷物リストとを比較し、比較結果に基づいて、扉13が開閉された後に取得されなくなった荷物IDを特定する。
【0033】
図5は、取得されなくなった荷物IDを特定することを説明するための図である。
図5(a)は、第1格納荷物リストである。
図5(a)において、荷物ID[N001]と荷物ID[N002]と荷物ID[N003]とが記憶されている。
図5(b)は、第2格納荷物リストである。
図5(b)において、荷物ID[N001]と荷物ID[N002]とが記憶され、荷物ID[N003]が記憶されていない。識別情報特定部222は、
図5に示す例において、荷物ID[N003]を、扉13が開閉された後に取得されなくなった荷物IDとして特定する。
【0034】
記憶制御部223は、複数の荷室Lのいずれかの扉13が開閉された場合、開閉センサ14の検知結果に基づいて扉13が開閉された荷室Lを特定する。
図1の例では、記憶制御部223は、荷室L6の扉13が開閉されたことを特定する。
【0035】
記憶制御部223は、扉13が開閉された後に、新たな荷物IDが取得された場合、扉13が開閉された荷室Lに、新たな荷物IDの荷物Nが格納されたことを特定する。この場合、記憶制御部223は、扉13が開閉された荷室Lを識別する荷室IDに、新たな荷物IDを関連付けた荷物情報管理テーブルを記憶部21に記憶させる。具体的には、記憶制御部223は、識別情報特定部222により特定された扉13が開閉された後に新たに取得された荷物IDを、扉13が開閉された荷室Lを識別する荷室IDに関連付けて記憶部21に記憶させる。一例を挙げると、記憶制御部223は、扉13が開閉された荷室Lの荷室ID[L6]に、識別情報特定部222が新たに取得した荷物IDとして特定した荷物ID[N003]を関連付けた荷物情報管理テーブルを記憶部21に記憶させる。
【0036】
図6は、荷物情報管理テーブルの一例を模式的に示す図である。
図6において、荷室ID[L6]に荷物ID[N003]が関連付けられたことを太線で示す。このように、記憶制御部223は、どの荷室Lに荷物Nが格納されたかを記憶させることができる。
【0037】
また、記憶制御部223は、扉13が開閉された後に、記憶部21に荷物IDに関連付けて記憶された荷室IDに対応する荷物IDが取得されなくなった場合、扉13が開閉された荷室Lから荷物Nが取り出されたことを特定する。具体的には、記憶制御部223は、識別情報特定部222が取得されなくなった荷物IDを特定した場合、取得されなくなった荷物IDを、扉13が開閉された荷室Lから取り出されたことを特定する。
【0038】
そして、記憶制御部223は、扉13が開閉された荷室Lの荷室IDに関連付けられた荷物IDを削除する。具体的には、記憶制御部223は、荷室IDに関連付けて記憶部21に記憶された荷物IDのうちの、識別情報特定部222により特定された扉13が開閉された後に取得されなくなった荷物IDを記憶部21から削除する。一例を挙げると、記憶制御部223は、識別情報特定部222が取得できなくなった荷物IDとして荷物ID[N003]を特定し、荷室L6の扉13が開閉されたことを特定した場合、荷物情報管理テーブルから荷物ID[N003]を削除する。
【0039】
[宅配ボックス管理装置2が実行する処理]
図7は、宅配ボックス管理装置2が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図7のフローチャートは、複数の荷室Lのいずれかの扉13が開いたら実行される。また、
図7のフローチャートが実行される前に、第1格納荷物リスト及び第2格納荷物リストが記憶部21に記憶されているものとする。
【0040】
記憶制御部223は、扉13が開いた荷室Lの荷室IDを特定する(ステップS1)。具体的には、記憶制御部223は、各荷室Lに設けられた開閉センサ14の検知結果に基づいて、扉13が開いていることを検知した開閉センサ14を特定し、特定した開閉センサ14が設けられた荷室Lの荷室IDを特定する。
【0041】
荷物識別情報取得部221は、アンテナ12から応答電波を示す情報を受信したか否かを判定する(ステップS2)。荷物識別情報取得部221は、アンテナ12から応答電波を示す情報を受信していない場合(ステップS2でNo)、扉13が開閉されてから所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS3)。所定時間は、読取電波を送信したアンテナ12が応答電波を受信するまでの時間である。受信するまでの時間は、例えば10秒である。宅配ボックス管理装置2は、所定時間が経過していない場合(ステップS3でNo)、応答電波を示す情報を受信するか、又は所定時間が経過するまで、ステップS2とステップS3とを繰り返す。宅配ボックス管理装置2は、所定時間が経過した場合(ステップS3でYes)、宅配ボックス1の複数の荷室Lのいずれにも荷物Nが格納されていないとみなして、処理を終了する。
【0042】
荷物識別情報取得部221は、アンテナ12から応答電波を示す情報を受信したら(ステップS2でYes)、応答電波を示す情報から荷物IDを取得する(ステップS4)。そして、荷物識別情報取得部221は、記憶部21に記憶されていた第1格納荷物リストを削除して、前回扉13が開閉された際に記憶させた第2格納荷物リストを第1格納リストとして記憶部21に記憶させる。次に、荷物識別情報取得部221は、扉13が開閉された後に取得した荷物IDを示す格納荷物リストを、第2格納荷物リストとして記憶部21に記憶させる。
【0043】
識別情報特定部222は、開閉前後の格納荷物リストを比較する(ステップS5)。具体的には、識別情報特定部222は、扉13が開く前に取得した荷物IDを示す第1格納荷物リストと、扉13が閉じた後に新たに取得した荷物IDを示す第2格納荷物リストとを比較して、新たに取得された荷物ID又は取得されなくなった荷物IDを特定する。
【0044】
記憶制御部223は、新たな荷物IDがあるか否かを判定する(ステップS6)。記憶制御部223は、識別情報特定部222が新たに取得された荷物IDを特定した場合、新たな荷物IDがあると判定し(ステップS6でYes)、扉13が開閉された荷室Lの荷室IDに、新たな荷物IDを関連付けて記憶部21に記憶させる(ステップS7)。
【0045】
記憶制御部223は、新たな荷物IDがない場合(ステップS6でNo)、取得できなくなった荷物IDがあるか否かを判定する(ステップS8)。記憶制御部223は、取得できなくなった荷物IDがない場合(ステップS8でNo)、荷室Lの扉13が開閉されたが荷物Nの格納又は取出しが無かったと判定し、処理を終了する。
【0046】
記憶制御部223は、取得できなくなった荷物IDがある場合(ステップS8でYes)、取得できなくなった荷物IDを記憶部21から削除する(ステップS9)。具体的には、記憶制御部223は、荷室IDに関連付けて記憶部21に記憶された荷物IDのうちの、取得されなくなった荷物IDを記憶部21から削除する。
【0047】
(変形例)
上記の実施の形態では、宅配ボックス1と、宅配ボックス管理装置2とが同じ場所に設置されることを想定しているが、宅配ボックス1と、宅配ボックス管理装置2とが異なる場所に設置されていてもよい。この場合、宅配ボックス1と、宅配ボックス管理装置2とは、インターネットなどのネットワークを介して通信可能に接続される。さらに、宅配ボックス管理装置2は、インターネットなどのネットワークを介して異なる場所に設置された複数の宅配ボックス1と通信可能に接続されることにより、異なる場所に設置された複数の宅配ボックス1を管理することができる。
【0048】
[宅配ボックス管理システムSの効果]
以上説明したとおり、宅配ボックス管理システムSは、電波が壁を通過しない筐体11内に設けられ、電波が通過する仕切りで仕切られた複数の荷室L、及び無線タグTを読み取るための電波を出力するアンテナ12を有する宅配ボックス1と、宅配ボックス1に格納された荷物Nの情報を管理する宅配ボックス管理装置2とを有する。宅配ボックス管理装置2は、複数の荷室Lのいずれかの扉13が開閉された場合に、新たな荷物IDを取得したとき、扉13が開閉された荷室Lの荷室IDに、荷物Nの荷物IDを関連付けて記憶する。また、宅配ボックス管理装置2は、複数の荷室Lのいずれかの扉13が開閉された場合に、荷物IDに関連付けて記憶された荷室IDに対応する荷物IDが取得されなくなったとき、取得されなくなった荷物IDを記憶部21から削除する。
【0049】
このように、宅配ボックス管理システムSは、複数の荷室Lに格納された荷物Nに関する情報を取得するセンサとして、無線タグTに記憶された情報を読み取るための電波を出力するアンテナ12を備えるだけで、荷室Lに格納された荷物Nの情報を取得できる。そのため、宅配ボックス管理システムSは、複数の荷室Lの各々に、荷物Nが格納されたことを検知するためのセンサや荷物Nの情報を取得するためのセンサを設ける必要が無く、簡易な構成で荷物の情報を管理できる。
【0050】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0051】
S 宅配ボックス管理システム
1 宅配ボックス
11 筐体
12 アンテナ
13 扉
14 開閉センサ
L 荷室
2 宅配ボックス管理装置
20 通信部
21 記憶部
22 制御部
221 荷物識別情報取得部
222 識別情報特定部
223 記憶制御部