(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022115588
(43)【公開日】2022-08-09
(54)【発明の名称】給紙装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 3/66 20060101AFI20220802BHJP
B65H 5/36 20060101ALI20220802BHJP
B65H 11/00 20060101ALI20220802BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
B65H3/66
B65H5/36
B65H11/00 Z
G03G15/00 407
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021012239
(22)【出願日】2021-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 貴彦
【テーマコード(参考)】
2H072
3F063
3F101
3F343
【Fターム(参考)】
2H072BA17
2H072BB02
2H072CA01
2H072CB06
2H072HA01
2H072HB10
2H072JA02
2H072JA04
3F063AA01
3F063BA04
3F063BA09
3F063BA10
3F063BC02
3F063CA04
3F101FA01
3F101FA06
3F101FB02
3F101FC11
3F101FC18
3F101FE02
3F101LA07
3F101LB03
3F343FA02
3F343FB01
3F343FC05
3F343GA01
3F343GB01
3F343GC01
3F343GD01
3F343HA11
3F343KA02
3F343KA11
3F343KA14
3F343KA17
3F343KB03
3F343LA03
3F343LA15
3F343LC04
(57)【要約】
【課題】長尺紙を含む多様な用紙に印刷する画像の品質を向上し得るようにする。
【解決手段】画像形成装置1は、前給紙部20の用紙ガイド22に回動可能な長尺紙ガイド23を設け、長尺用紙PLの先端近傍である案内区間PL1を用紙トレイ21上に載置させ、末端近傍の当接区間PL3を筐体2上に載置させ、中空区間PL2を用紙トレイ21の上方で湾曲させる。画像形成装置1は、長尺用紙PLを給紙する際、中空区間PL2を長尺紙ガイド面23Cに対し十分な面積により当接させ、両者の間の摺動抵抗を十分に小さく抑えて該長尺用紙PLを円滑に給紙する。これにより画像形成装置1は、画像形成ユニット40から長尺用紙PLへトナー画像を転写する際に搬送速度が急激に変動してショックラインが形成されることを確実に回避でき、高い品質の画像を得ることができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面及びその反対の面である第2面を有する媒体として、単票の第1媒体、又は前記第1媒体よりも搬送方向に長い第2媒体を第1載置面に載置可能な第1載置部と、
前記第1載置部に載置された前記媒体を、該媒体の前記第2面側を前記第1載置面と対向させた姿勢として前記搬送方向に搬送する給紙搬送部と、
前記第1載置部に載置された前記媒体の前記搬送方向に沿った端辺を案内する第1案内部と、
複数枚載置された前記第1媒体または、前記第2媒体の前記第1面側を案内する第2案内部と
を具え、
前記第2案内部は、
複数枚載置されたときの前記第1載置面から離れた前記第1媒体または、前記第2媒体の前記第1面側と接触可能な第1当接部と、
前記第1当接部よりも前記搬送方向の上流側において前記第2媒体の前記第1面側と接触可能な第2当接部と、
前記第2当接部よりも前記搬送方向の上流側において前記第2媒体の前記第1面側と接触可能な第3当接部と
を具え、
前記第2当接部は、前記第1当接部のなかで前記第2媒体の前記搬送方向に関する下流側端部と前記第3当接部のなかで前記第2媒体の前記搬送方向に関する上流側端部とを結ぶ仮想線よりも、前記第1載置部側に配置されている
ことを特徴とする給紙装置。
【請求項2】
前記第1当接部は、前記第1載置面との間に前記媒体を位置させるよう、当該媒体の存在範囲を規制する
ことを特徴とする請求項1に記載の給紙装置。
【請求項3】
前記第2当接部は、前記第1載置部に対し前記第1当接部よりも遠方に位置し、
前記第3当接部は、前記第1載置部に対し前記第2当接部よりも遠方に位置している
ことを特徴とする請求項1に記載の給紙装置。
【請求項4】
前記第1当接部、前記第2当接部及び前記第3当接部は、前記搬送方向と直交する幅方向に沿った当接辺を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の給紙装置。
【請求項5】
前記第1当接部、前記第2当接部及び前記第3当接部は、何れも曲面部分を有し、且つ前記搬送方向を法線とする仮想的な平面による当該曲面部分の断面形状が、前記搬送方向と直交し前記第1載置面と平行な方向に沿った直線状である
ことを特徴とする請求項1に記載の給紙装置。
【請求項6】
前記第2案内部は、前記第1当接部及び前記第2当接部を通る連続した曲面を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の給紙装置。
【請求項7】
前記第2案内部は、前記第2当接部及び前記第3当接部を通る連続した曲面を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の給紙装置。
【請求項8】
前記第2案内部は、前記第1当接部、前記第2当接部及び前記第3当接部を通る連続した曲面である第2案内当接面を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の給紙装置。
【請求項9】
前記第2案内当接面は、前記搬送方向を法線とする仮想的な平面による断面形状が、前記搬送方向と直交し前記第1載置面と平行な方向に沿った直線状である
ことを特徴とする請求項8に記載の給紙装置。
【請求項10】
前記搬送方向と直交する幅方向に沿った回動軸を中心として、前記第1案内部に対し前記第2案内部を回動させる回動部と
を具えることを特徴とする請求項1に記載の給紙装置。
【請求項11】
前記回動軸から前記第1当接部までの距離は、当該回動軸から前記第2当接部までの距離及び前記第3当接部までの距離よりも小さい
ことを特徴とする請求項10に記載の給紙装置。
【請求項12】
前記回動部における、前記第2当接部及び前記第3当接部を前記第1載置面に近接させる方向に関する回動範囲を規制する第1回動範囲規制部と
を具えることを特徴とする請求項10に記載の給紙装置。
【請求項13】
前記回動部における、前記第2当接部及び前記第3当接部を前記第1載置面から離隔させる方向に関する回動範囲を規制する第2回動範囲規制部と
を具えることを特徴とする請求項10に記載の給紙装置。
【請求項14】
前記第2当接部及び前記第3当接部を前記第1載置面に近接させる方向に付勢する第1付勢部と
を具えることを特徴とする請求項10に記載の給紙装置。
【請求項15】
前記第2当接部及び前記第3当接部を前記第1載置面から離隔させる方向に付勢する第2付勢部と
を具えることを特徴とする請求項10に記載の給紙装置。
【請求項16】
前記第2案内部は、前記第1案内部に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の給紙装置。
【請求項17】
第1面及びその反対の面である第2面を有する媒体として、単票の第1媒体、又は前記第1媒体よりも搬送方向に長い第2媒体を第1載置面に載置可能な第1載置部と、
前記第1載置部に載置された前記媒体を、該媒体の前記第2面側を前記第1載置面と対向させた姿勢として前記搬送方向に搬送する給紙搬送部と、
前記第1載置部に載置された前記媒体の前記搬送方向に沿った端辺を案内する第1案内部と、
複数枚載置された前記第1媒体または、前記第2媒体の前記第1面側を案内する第2案内部と、
前記第2媒体の一部を載置可能な第2載置部と、
現像剤による現像剤画像を形成し、前記給紙搬送部により搬送された前記媒体に転写する画像形成部と
を具え、
前記第2案内部は、
複数枚載置されたときの前記第1載置面から離れた前記第1媒体または、前記第2媒体の前記第1面側と接触可能な第1当接部と、
前記第1当接部よりも前記搬送方向の上流側において前記第2媒体の前記第1面側と接触可能な第2当接部と、
前記第2当接部よりも前記搬送方向の上流側において前記第2媒体の前記第1面側と接触可能な第3当接部と
を具え、
前記第2当接部は、前記第1当接部のなかで前記第2媒体の前記搬送方向に関する下流側端部と前記第3当接部のなかで前記第2媒体の前記搬送方向に関する上流側端部とを結ぶ仮想線よりも前記第1載置部側に配置され、
前記第2載置部は、前記第1載置面に沿った方向に関し、前記給紙搬送部よりも前記搬送方向側に位置している
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項18】
前記第2媒体は、前記第1載置面の法線方向に関して前記第1載置部から離れた第1載置上空間を通過し、
前記第2案内部は、前記第1載置上空間から前記第2当接部までの距離よりも、前記第1載置上空間から前記第3当接部までの距離の方が短い
ことを特徴とする請求項17に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は給紙装置及び画像形成装置に関し、例えば画像形成装置に供給すべき用紙を載置するトレイに適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置においては、例えば用紙を給紙する給紙部(給紙装置とも呼ぶ)により用紙を1枚ずつ給紙し、内部に形成された搬送経路に沿って搬送部により当該用紙を搬送しながら、画像形成部により形成した画像を用紙に転写して定着させ、該画像が形成された(すなわち印刷された)用紙を排紙するものが広く普及している。
【0003】
このうち給紙部としては、例えば本体の前方へ突出した位置において用紙を載置する用紙トレイ、当該用紙の移動範囲を規制する用紙ガイド、及び用紙に駆動力を伝達するためのローラ等を有するものがある(例えば、特許文献1参照)。この給紙部は、用紙トレイに載置された用紙を用紙ガイドにより案内すると共に、回転するローラにより用紙を1枚ずつに分離しながら本体の内部へ引き込み、搬送部に引き渡すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-234254号公報(
図1及び
図3等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで画像形成装置では、多様な用紙に印刷を行う場合、例えば用紙の搬送方向に関して用紙トレイよりも長い用紙(以下長尺用紙と呼ぶ)に対し画像を形成する場合がある。この場合、画像形成装置では、長尺用紙の先端近傍を用紙トレイ上に載置し得るものの、その他の部分を当該用紙トレイに収めることができない。そこで画像形成装置では、例えば長尺用紙における先端近傍のみが用紙トレイに載置され、当該長尺用紙の中程から末端側に渡る部分が上方ないし後方へ折り返すように湾曲され、当該末端近傍を本体の上側に載せるように載置される場合がある。
【0006】
しかしながら画像形成装置では、このように載置された長尺用紙を給紙部により先頭側から順次引き込んでいくと、当該長尺用紙の一部が用紙ガイドや本体等に引っ掛かる等して両者の間で摩擦力が増加し、やがて長尺用紙の搬送に伴いこの引っかかりが解消されて摩擦力が急激に低下する、という現象が発生する場合がある。
【0007】
このとき画像形成装置では、給紙部による長尺用紙の給紙速度が急激に変化するため、これに伴って本体内の搬送部における長尺用紙の搬送速度も急激に変化してしまう。この結果、画像形成装置では、画像形成部において長尺用紙に転写したトナー画像が搬送方向に沿って局所的に伸張又は短縮され、搬送方向と直交する幅方向に沿った線状に画像の濃度が局所的に変化したショックラインと呼ばれる部分が形成され、印刷される画像の品質を大幅に劣化させてしまう、という問題があった。
【0008】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、長尺用紙を含む多様な用紙に印刷する画像の品質を向上し得る給紙装置及び画像形成装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決するため本発明の給紙装置においては、第1面及びその反対の面である第2面を有する媒体として、単票の第1媒体、又は第1媒体よりも搬送方向に長い第2媒体を第1載置面に載置可能な第1載置部と、第1載置部に載置された媒体を、該媒体の第2面側を第1載置面と対向させた姿勢として搬送方向に搬送する給紙搬送部と、第1載置部に載置された媒体の搬送方向に沿った端辺を案内する第1案内部と、複数枚載置された第1媒体または、第2媒体の第1面側を案内する第2案内部とを設け、第2案内部には、複数枚載置されたときの第1載置面から離れた第1媒体または、第2媒体の第1面側と接触可能な第1当接部と、第1当接部よりも搬送方向の上流側において第2媒体の第1面側と接触可能な第2当接部と、第2当接部よりも搬送方向の上流側において第2媒体の第1面側と接触可能な第3当接部とを設け、第2当接部が、第1当接部のなかで第2媒体の搬送方向に関する下流側端部と第3当接部のなかで前記第2媒体の搬送方向に関する上流側端部とを結ぶ仮想線よりも、第1載置部側に配置されているようにした。
【0010】
また本発明の画像形成装置においては、第1面及びその反対の面である第2面を有する媒体として、単票の第1媒体、又は第1媒体よりも搬送方向に長い第2媒体を第1載置面に載置可能な第1載置部と、第1載置部に載置された媒体を、該媒体の第2面側を第1載置面と対向させた姿勢として搬送方向に搬送する給紙搬送部と、第1載置部に載置された媒体の搬送方向に沿った端辺を案内する第1案内部と、複数枚載置された第1媒体または、第2媒体の第1面側を案内する第2案内部と、第2媒体の一部を載置可能な第2載置部と、現像剤による現像剤画像を形成し、給紙搬送部により搬送された媒体に転写する画像形成部とを設け、第2案内部には、複数枚載置されたときの第1載置面から離れた第1媒体または、第2媒体の第1面側と接触可能な第1当接部と、第1当接部よりも搬送方向の上流側において第2媒体の第1面側と接触可能な第2当接部と、第2当接部よりも搬送方向の上流側において第2媒体の第1面側と接触可能な第3当接部とを設け、第2当接部が、第1当接部のなかで第2媒体の搬送方向に関する下流側端部と第3当接部のなかで前記第2媒体の搬送方向に関する上流側端部とを結ぶ仮想線よりも、第1載置部側に配置され、第2載置部は、第1載置面と平行な方向に関し、給紙搬送部よりも搬送方向側に位置しているようにした。
【0011】
本発明は、第2媒体の先頭側を第1載置面上に載置し、該第2媒体の末尾側を該第1載置面の法線方向へ折り返すように湾曲させた場合に、該第2媒体の第1面側に対し第2案内部の第1当接部、第2当接部及び第3当接部を適宜当接させる。これにより本発明は、第2媒体に作用する摩擦力を比較的小さく抑えることができ、進行速度の変動を招くことなく円滑に給紙及び搬送することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、長尺紙を含む多様な用紙に印刷する画像の品質を向上し得る給紙装置及び画像形成装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図4】右用紙ガイド及び右長尺紙ガイドの構成を示す略線的斜視図である。
【
図5】右長尺紙ガイドの断面形状を示す略線的断面図である。
【
図7】長尺用紙の給紙の様子(1)を示す略線図である。
【
図8】長尺用紙の給紙の様子(2)を示す略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0015】
[1.画像形成装置の構成]
図1に示すように、画像形成装置1は、電子写真式のプリンタであり、媒体としての用紙P、具体的には単票用紙PCや長尺用紙PLに対し、カラーの画像を形成する(すなわち印刷する)ことができる。因みに画像形成装置1は、原稿を読み取るイメージスキャナ機能や電話回線を使用した通信機能等を有しておらず、印刷機能のみを有する単機能のSFP(Single Function Printer)となっている。
【0016】
画像形成装置1は、略箱型に形成された筐体2の内部に種々の部品が配置されている。因みに以下では、
図1における右端部分を画像形成装置1の正面とし、この正面と対峙して見た場合の上下方向、左右方向及び前後方向をそれぞれ定義した上で説明する。
【0017】
画像形成装置1は、制御部3により全体を統括制御するようになっている。制御部3は、図示しないコンピュータ装置等の上位装置と接続されており、この上位装置から印刷指示や印刷データを受信すると、用紙Pの表面に印刷画像を形成する印刷処理を実行する。
【0018】
筐体2内の最下部には、A4サイズやA3サイズ等にカットされた単票用紙PC(以下これを第1媒体とも呼ぶ)を集積した状態で収納する用紙カセット4が設けられている。因みに用紙カセット4は、例えば最大でA3サイズの用紙P、すなわち搬送方向に沿った長さが最大で約420[mm]の単票用紙PCを、収納し得るようになっている。
【0019】
用紙カセット4の前上方には、下給紙搬送部10が設けられている。下給紙搬送部10は、ピックアップローラ11、フィードローラ12、分離片13、搬送ガイド14、搬送ローラ対15及び16等を有している。このうちピックアップローラ11等の各ローラは、中心軸を左右方向に沿わせた円柱状に形成されており、それぞれ回転可能に支持されている。また一部のローラには、図示しない給紙モータから駆動力が伝達されている。
【0020】
下給紙搬送部10は、制御部3の制御に基づいて各ローラを適宜回転させることにより、用紙カセット4に収納されている単票用紙PCを1枚ずつに分離しながらピックアップし、搬送ガイド及び搬送ローラ対により搬送路Uに沿って前上方へ進行させ、やがて後上方へ折り返して後方へ送り出す。
【0021】
一方、筐体2の前側には、前給紙部20が設けられている。給紙装置としての前給紙部20は、用紙P(単票用紙PCや長尺用紙PL)が載置される用紙トレイ21、当該用紙Pを案内する用紙ガイド22、ピックアップローラ25、フィードローラ26及びリタードローラ27を有している。以下では、ピックアップローラ25、フィードローラ26及びリタードローラ27をまとめて給紙搬送部28とも呼ぶ。
【0022】
用紙トレイ21は、上面である載置面21Cに用紙Pを載置させると共に、用紙ガイド22により当該用紙Pの左右方向に関する位置を規制する(詳しくは後述する)。以下では、載置面21Cに載置された用紙Pにおける上側の面を表面又は第1面とも呼び、該用紙Pにおける下側の面を裏面又は第2面とも呼ぶ。給紙搬送部28の各ローラは、下給紙搬送部10のピックアップローラ11等と同様に、中心軸を左右方向に沿わせた円柱状に形成されており、それぞれ回転可能に支持されている。また一部のローラには、図示しない給紙モータから駆動力が伝達されている。
【0023】
前給紙部20は、制御部3の制御に基づいて給紙搬送部28の各ローラを適宜回転させることにより、用紙トレイ21の載置面21C上に載置されている用紙Pを1枚ずつに分離し、該用紙Pの裏面を該用紙トレイ21の載置面21Cに対向させた姿勢としたまま、用紙ガイド22により案内しながら後方へ搬送する。
【0024】
前給紙部20の後側では、搬送路Uが後方へ向かう直線状に形成されており、その下側に中搬送部30が配置されている。中搬送部30は、前側に配置された前ローラ31及び後側に配置された後ローラ32の周囲に無端ベルトでなる搬送ベルト33が張架された構成となっている。また前ローラ31及び後ローラ32の間には、4個の転写ローラ34が配置されている。
【0025】
この中搬送部30は、図示しないベルト駆動モータから後ローラ32に駆動力が伝達されると、該後ローラ32を矢印R2方向へ回転させ、これに伴って搬送ベルト33を走行させる。このとき搬送ベルト33は、搬送路Uに沿った上側部分、すなわち前ローラ31及び後ローラ32の間に張架された部分を、後方向へ進行させる。中搬送部30は、下給紙搬送部10又は前給紙部20から用紙Pが引き渡されると、該搬送ベルト33の上側に用紙Pを載置した状態で、該搬送ベルト33の走行に伴って該用紙Pを後方向へ進行させる。
【0026】
中搬送部30の上側であり、搬送路Uを挟んで該中搬送部30の反対側には、4個の画像形成ユニット40K、40Y、40M及び40Cが前側から後側へ向かって順に配置されている。画像形成ユニット40K、40Y、40M及び40C(以下これらをまとめて画像形成ユニット40とも呼ぶ)は、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)の各色にそれぞれ対応しているものの、色のみが相違しており、何れも同様に構成されている。
【0027】
画像形成部としての画像形成ユニット40は、各色のトナー(現像剤とも呼ばれる)が収納されたトナーカートリッジや、多数のLED(Light Emitting Diode)が左右方向に沿って配置されたLEDヘッド、周側面が帯電可能であり光の照射に応じて帯電状態を変化させる感光体ドラム41、及び複数のローラ等を有している。このうち感光体ドラム41及び各ローラは、所定の駆動源から駆動力が伝達されることにより、所定の回転方向に回転する。また感光体ドラム41は、その下端近傍を搬送路Uに当接させると共に、転写ローラ34との間に搬送ベルト33を挟持している。
【0028】
画像形成ユニット40は、制御部3の制御に基づき、形成すべき画像に応じた照射パターンでLEDヘッドを発光させ、感光体ドラム41の周側面に帯電画像を形成し、これにトナーを付着させてトナー画像(現像剤画像とも呼ばれる)を形成する。また各画像形成ユニット40は、搬送ベルト33により搬送路Uに沿って用紙Pが搬送されてくると、感光体ドラム41から該用紙Pに対してそれぞれの色のトナー画像を順次重ねるように転写する。
【0029】
中搬送部30の後端近傍には、定着部45が設けられている。定着部45は、搬送路Uに沿って搬送される用紙Pに熱及び圧力を加えることにより、該用紙Pにトナー画像を定着させる定着処理を行い、さらに後方へ引き渡す。
【0030】
定着部45の後上側には、上搬送排紙部50が配置されている。上搬送排紙部50は、下給紙搬送部10の一部と類似した構成となっており、用紙Pを案内する搬送ガイド51や複数の搬送ローラ52等を有している。この上搬送排紙部50は、制御部3の制御に従って各搬送ローラを適宜回転させることにより、定着部45から引き渡される用紙Pを後上方へ搬送してから前方へ向けて折り返し、筐体2の上面2Tのうち後寄りに形成された排出トレイ55へ排出する。
【0031】
このように画像形成装置1は、前給紙部20の用紙トレイ21上に載置された用紙Pの姿勢をほぼ維持したまま搬送し、画像形成ユニット40によりその上面にトナー画像を転写して定着させる。すなわち用紙トレイ21では、載置された用紙Pの上面が印刷面となる。以下では、用紙トレイ21に載置された用紙Pの上面を表面とも呼び、また下面を裏面とも呼ぶ。
【0032】
[2.前給紙部の構成]
次に、前給紙部20の構成について、
図2及び
図3等を参照しながら、用紙トレイ21、用紙ガイド22及び長尺紙ガイド23に分けて、それぞれ説明する。因みに
図2は前給紙部20の模式的な斜視図であり、
図3は左右方向を法線とする仮想的な平面による模式的な断面図である。
【0033】
[2-1.用紙トレイの構成]
図2及び
図3に示すように、前給紙部20の用紙トレイ21は、前後方向に関して大きく3分割されており、後側の第1トレイ61、中央の第2トレイ62及び前側の第3トレイ63により構成されている。
【0034】
第1トレイ61は、複数の部品の組み合わせにより、全体として左右方向に長く、前後方向に短く、上下方向に薄い扁平な直方体状に形成されている。具体的に第1トレイ61は、カバー体71、載置板72、ローラ保護部73及び載置板スプリング74(
図3)により構成されている。
【0035】
カバー体71は、主に第1トレイ61の下側部分並びに左右の両側部分を形成している。カバー体71における左右両側部分の内側面には、前端近傍にカバー体軸受部71Bがそれぞれ形成されると共に、前端近傍から後端近傍に至る比較的長い範囲に、概ね前後方向に沿った第1収納溝71Dがそれぞれ形成されている。またカバー体71における左右の両側部分における外面の後端近傍には、第1軸受部61Bがそれぞれ形成されている。第1軸受部61Bは、左右方向に沿った中心軸を有する円筒の後側を一部開放し、後方へ延長したような形状となっている。
【0036】
載置板72は、上下方向に薄い板状に形成されており、その上面が概ね平坦に形成されることにより、用紙Pを載置させるための第1載置面61Cとなっている。また載置板72における左半分及び右半分には、それぞれ左右方向に沿うと共に上下方向に貫通するスライド溝72Dが2本ずつ形成されている。
【0037】
さらに載置板72には、左右両側の前端近傍に、左右の外方へ向けて突出した載置板軸体72Pがそれぞれ設けられている。載置板軸体72Pは、中心軸を左右方向に沿わせた比較的小さい円柱状となっている。載置板72は、左右両側において載置板軸体72Pをカバー体71のカバー体軸受部71Bにそれぞれ挿通されることにより、カバー体71の下側部分との間に隙間(以下これを第1収納空間61Sと呼ぶ)を形成した状態で、該載置板軸体72Pを中心として該カバー体71に対し回動し得るようになっている。
【0038】
ローラ保護部73は、全体として左右方向に長い中空の直方体状に形成されており、載置板72の後端近傍を上側から覆うように配置されている。このローラ保護部73は、ピックアップローラ25を回転可能に支持すると共に、その上側を覆っている。
【0039】
載置板スプリング74は、コイルばねであり、自然状態から圧縮された状態で、カバー体71及び載置板72の後寄りにおいて、両者の間に挟まれるように配置されている。このため第1トレイ61は、カバー体71に対して載置板72の後端近傍を上方へ押し上げるように回動させ、第1載置面61Cをピックアップローラ25の下端近傍に押し付けることができる。因みに第1トレイ61は、仮に第1載置面61C上に用紙Pが載置されていた場合、その最上面をピックアップローラ25の下端近傍に押し付けることができる。
【0040】
一方、筐体2(
図1)の前側部分には、正面から見て中央付近に、概ね長方形状に窪んだ筐体前凹部2Dが形成されている。筐体前凹部2D(
図2)における左右方向の長さは、第1トレイ61における左右方向の長さよりも僅かに長くなっている。また筐体前凹部2Dにおける上下方向の長さは、第1トレイ61における概ね前後方向、詳細には第1載置面61C上における用紙Pの搬送方向の長さよりも、僅かに長くなっている。さらに筐体前凹部2Dにおける左右の内側面の下端近傍となる箇所には、筐体軸体2Pがそれぞれ立設されている。
【0041】
第1トレイ61は、左右それぞれにおいて筐体前凹部2Dの筐体軸体2Pが第1軸受部61Bに嵌め込まれることにより、該筐体軸体2Pを中心として筐体2に対し回動可能となっている。すなわち第1トレイ61は、
図1に示したように先端側を筐体軸体2Pの前方に向け、その大部分を筐体2の前面よりも前方に位置させた姿勢(以下これを開放姿勢と呼ぶ)とした場合、第1載置面61Cに用紙Pを載置させることができる。このとき第1載置面61Cは、概ね上方向に向いているものの、詳細には後側に対して前側が高くなるように、水平方向に対してやや傾斜している。
【0042】
また第1トレイ61は、図示しないものの、第2トレイ62及び第3トレイ63を内部に収納した状態(詳しくは後述する)とした上で、先端側を筐体軸体2Pの上方に位置させた姿勢(以下これを閉塞姿勢と呼ぶ)とした場合、筐体前凹部2Dを閉塞して筐体2の前面を概ね平面状とすることができる。このように第1トレイ61は、筐体2に対して約80度の範囲で回動することにより、閉塞姿勢又は開放姿勢に遷移することができる。
【0043】
第2トレイ62(
図2)は、全体として上下方向に薄い板状に形成され、その上面である第2載置面62Cが略平坦に形成されており、第1トレイ61と比較して前後方向及び左右方向にやや短く、また上下方向に関して十分に短くなっている。第2トレイ62の左右両側面には、後端近傍に第2軸体62Aがそれぞれ立設されている。各第2軸体62Aは、例えば中心軸を左右方向に沿わせた比較的小さい円柱状に形成されており、第1トレイ61の第1収納空間61S内に設けられた第1収納溝71Dにそれぞれ嵌め込まれている。また第2トレイ62の前端近傍には、左右の両端からやや内側となる2箇所に、第2軸孔62Hがそれぞれ形成されている。各第2軸孔62Hは、例えば中心軸を左右方向に沿わせた丸孔となっている。
【0044】
このため第2トレイ62は、ユーザにより前方向又は後方向へ向かう力が加えられると、第2軸体62Aを第1収納溝71D内で摺動させながら、第1トレイ61に対し前後方向に移動することができる。例えば第2トレイ62は、最も前側へ移動された場合、
図2及び
図3に示したように、ほぼ全ての部分が第1収納空間61Sの外部に引き出されると共に、第2載置面62Cを第1載置面61Cの前側に隣接させ、概ね連続した面を形成することができる。また第2トレイ62は、最も後側へ移動された場合、図示しないものの、ほぼ全ての部分を第1収納空間61Sの内部に収納させ、第2載置面62Cを第1載置面61Cの下側に重ねるように位置させることができる。
【0045】
第3トレイ63は、全体として上下方向に薄い板状に形成され、その上面である第3載置面63Cが略平坦であり、第2トレイ62と比較して、前後方向の長さがやや短く、左右方向の長さが約2/3ないし3/5程度であり、上下方向に短く(薄く)なっている。
【0046】
第3トレイ63の後端における左右両端近傍には、後方へ向けて比較的短い柱状の第3腕部63Mが延設されている。各第3腕部63Mの内側面には、内側に向けて第3軸体63Aが立設されている。この第3軸体63Aは、中心軸を左右方向に沿わせた比較的小さい円柱状に形成されている。第3トレイ63は、左右それぞれにおいて第3軸体63Aが第2トレイ62の第2軸孔62Hに挿通されることにより、該第2トレイ62に対して回動可能となっている。
【0047】
すなわち第3トレイ63は、
図2及び
図3に示したように先端側を第3軸体63Aの前方に向け、その大部分を第2トレイ62よりも前方に位置させた状態(以下これを展開状態と呼ぶ)とした場合、第3載置面63Cを第2載置面62Cの前側に隣接させることができる。このとき第3載置面63Cは、概ね上方向に向いているものの、後側に対して前側が高くなるように、水平方向に対してやや傾斜しており、また該水平方向に対する傾斜角度が、第2載置面62Cよりも大きくなっている。
【0048】
また第3トレイ63は、展開姿勢から約半回転されると、図示しないものの、先端側を第3軸体63Aの前方に向け、第3載置面63Cを第2載置面62Cと対向させるようにして、第2トレイ62に重畳させた状態(以下これを重畳状態と呼ぶ)に遷移する。これにより第3トレイ63は、第2トレイ62と共に1枚の板状となる。
【0049】
かかる構成により用紙トレイ21は、使用されない場合、ユーザの操作により、第3トレイ63を第2トレイ62に重畳させた重畳状態とさせ、該第2トレイ62を第1トレイ61の第1収納空間61S内に収納した収納状態とさせた上で、該第1トレイ61により筐体前凹部2Dを閉塞した閉塞状態に遷移させる。
【0050】
一方、用紙トレイ21は、使用される場合、ユーザの操作により、第1トレイ61を筐体2の前方に展開させて筐体前凹部2Dを開放した開放状態に遷移させ、該第1トレイ61の第1収納空間61Sから第2トレイ62を引き出させた上で、第3トレイ63を該第2トレイ62の前方に展開させた展開状態に遷移させる。これにより用紙トレイ21は、
図2及び
図3に示したように、第1載置面61C、第2載置面62C及び第3載置面63Cを相互に連結させた状態となる。以下では、用紙トレイ21において第1載置面61C、第2載置面62C及び第3載置面63Cにより形成される面を、載置面21Cと呼ぶ。
【0051】
用紙トレイ21は、この載置面21C上に1枚の用紙P若しくは複数枚の集積された用紙Pを載置させることができる。このとき用紙トレイ21は、用紙Pのうち単票用紙PCについて、載置面21Cに沿って搬送される方向である搬送方向(すなわち概ね前後方向)に沿った長さが、該載置面21Cの長さよりも短く、又は僅かに長い程度であれば、該載置面21C上に載置させてそのまま保持することができる。以下では、用紙トレイ21を第1載置部とも呼び、載置面21Cを第1載置面とも呼ぶ。
【0052】
[2-2.用紙ガイドの構成]
次に、第1案内部としての用紙ガイド22について説明する。用紙トレイ21における第1トレイ61の上側には、左側に左用紙ガイド22Lが設けられると共に、右側に右用紙ガイド22Rが設けられている。因みに左用紙ガイド22Lは右用紙ガイド22Rと略左右対称であるため、以下では、右用紙ガイド22Rを中心に説明する。
【0053】
右用紙ガイド22Rは、
図4(A)に模式的な分解斜視図を示すように、大きく分けて、下側の基部81とその上側に位置する横規制部82とにより構成されている。基部81は、全体として前後方向に長く、左右方向に短く、上下方向に薄い直方体状ないし薄板状に形成されており、その上面(以下基部載置面81Cと呼ぶ)及び下面が何れも概ね平坦に形成されている。
【0054】
また基部81は、
図4(B)に示すように、下面の2箇所において下方へ突出した下突出部81Pが形成されている。右用紙ガイド22Rは、第1トレイ61の載置板72における右側に形成された各スライド溝72D(
図2及び
図3)に各下突出部81Pがそれぞれ挿入された上で、該下突出部81Pの下側に抜け止め部材83(
図3)が取り付けられる。これにより右用紙ガイド22Rは、ユーザの操作により、第1トレイ61の載置板72から分離することなく、該載置板72に対して左右方向に沿って変位できる。
【0055】
ここで前給紙部20では、右用紙ガイド22Rの基部載置面81Cが、用紙トレイ21の第1トレイ61における載置板72の第1載置面61Cよりも僅かに高い位置にあるものの、その高低差が僅かとなっている。このため前給紙部20では、右用紙ガイド22Rが適切な位置に移動された状態で、第1載置面61C上に用紙Pが載置された場合、当該用紙Pの右端近傍部分を基部載置面81Cに載置させることができ、該基部載置面81Cをあたかも第1載置面61Cの一部として、すなわち載置面21Cの一部として機能させることができる。
【0056】
また基部載置面81Cは、載置板72の第1載置面61Cと略平行であり、該載置板72に対して左右方向に移動した際にも、該第1載置面61Cと略平行な状態を維持する。このため右用紙ガイド22Rは、
図2及び
図3に示した状態において、左右方向に関する位置に関わらず、基部載置面81Cの前側よりも後側が高くなるように傾斜させている。
【0057】
横規制部82(
図4)は、全体として前後方向に長く、上下方向に短く、左右方向に薄い直方体状ないし薄板状に形成されており、その左側面が概ね平坦に形成されている。このため右用紙ガイド22Rは、横規制部82の左側面により、用紙トレイ21の載置面21C上に載置された用紙Pに関し、右方向への移動範囲を規制することができる。
【0058】
また横規制部82は、上側部分における前端付近、中央付近及び後端付近の3箇所に、周囲よりも上方へ突出した上突出部82A、82B及び82Cがそれぞれ形成されている。このうち中央付近の上突出部82Bにおける左側面には、左方向へ向けて、ガイド軸体82Pが立設されている。ガイド軸体82Pは、中心軸を左右方向に沿わせた比較的小さい円柱状に形成されている。
【0059】
[2-3.長尺紙ガイドの構成]
第2案内部としての長尺紙ガイド23、すなわち左長尺紙ガイド23L及び右長尺紙ガイド23Rは、左用紙ガイド22L及び右用紙ガイド22Rにそれぞれ設けられている(
図2)。因みに左長尺紙ガイド23Lは右長尺紙ガイド23Rと略左右対称であるため、以下では、右長尺紙ガイド23Rを中心に説明する。
【0060】
右長尺紙ガイド23Rは、
図4(A)及び(B)に示したように、全体として細長く湾曲した直方体状若しくは棒状となっており、大きく分けて本体部91、軸受部92及び範囲規制部93により構成されている。本体部91は、前後方向に長く上下方向に短く左右方向にさらに短い直方体状であり、後端付近及び前端付近に対し中央付近を下方向へ突出させるようにして円弧状に湾曲している。
【0061】
軸受部92は、中心軸を左右方向に沿わせた円筒状に構成されており、左右方向に貫通する丸孔でなる軸受孔92Hが形成されると共に、本体部91の後端に連結されている。軸受部92の外径は、本体部91の後端部分における上下方向の長さよりも長くなっている。また軸受部92は、その下端近傍において、該軸受部92の外周面と本体部91の下面とを円滑に接続させ、連続した曲面を形成している。以下では、本体部91の下面及び軸受部92の下面を、まとめて長尺紙ガイド面23Cと呼ぶ。第2案内当接面としての長尺紙ガイド面23Cは、
図5に示すように、前後方向(すなわち、概ね本体部91の長手方向に沿った方向)を法線とする仮想的な平面により切断した場合、切断面の下辺が左右方向に沿った直線状、すなわち搬送方向と直交し、且つ第1載置面61Cと平行な方向(以下これを幅方向とも呼ぶ)に沿った直線状となる。
【0062】
右用紙ガイド22Rは、
図4(B)に示したように、ガイド軸体82Pに右長尺紙ガイド23Rの軸受孔92Hが挿通され、抜け止めねじ84が該ガイド軸体82Pに取り付けられている。これにより右長尺紙ガイド23Rは、右用紙ガイド22Rに対し、ガイド軸体82Pを回動中心として回動することができる。以下では、ガイド軸体82P及び軸受孔92Hをまとめて回動部24とも呼ぶ。
【0063】
また以下では、右長尺紙ガイド23Rにおける軸受部92側を根元側とも呼び、その反対側を先端側とも呼ぶ。さらに以下では、長尺紙ガイド面23Cのうち根元側、先端側、及び両者の概ね中間に位置する3箇所を、それぞれ第1当接部23T1、第2当接部23T2及び第3当接部23T3と呼ぶ。このうち第1当接部23T1は、本体部91の下面と軸受部92の外周面との接続部分となっている。このため右長尺紙ガイド23Rでは、軸受部92の仮想的な中心線である回動軸23Xから第1当接部23T1までの距離が、当該回動軸から第2当接部23T2までの距離、及び当該回動軸23Xから第3当接部23T3までの距離よりも小さく(短く)なっている。
【0064】
右長尺紙ガイド23Rでは、長尺紙ガイド面23Cが、第1当接部23T1、第2当接部23T2及び第3当接部23T3を通る連続した曲面となっている。換言すれば、第1当接部23T1、第2当接部23T2及び第3当接部23T3は、いずれも曲面の一部分(以下これを曲面部分とも呼ぶ)となっている。また
図5に示したように、第1当接部23T1及び第2当接部23T2は、何れも左右方向に沿った直線状となっている。さらに
図4に示したように、第3当接部23T3も左右方向に沿った直線状となっている。
【0065】
第1回動範囲規制部としての範囲規制部93(
図4)は、本体部91の右側面における先端部分において、右方向へ突出するように設けられている。このため右長尺紙ガイド23Rは、
図6(A)に模式的な側面図を示すように、右用紙ガイド22Rに対して矢印R1方向へ、すなわち先端部分を第1載置面61Cに近づける方向へ回動すると、範囲規制部93を右用紙ガイド22Rの上突出部82Cに当接させた段階で停止し、これ以上の回動が制限される。すなわち範囲規制部93は、右長尺紙ガイド23Rにおける矢印R1方向への回動範囲を規制している。
【0066】
また右長尺紙ガイド23Rは、
図6(A)に示したように矢印R1方向へ最も回動した場合、第3当接部23T3を基部載置面81Cに最も近接させた姿勢となる。以下これを近接姿勢と呼ぶ。右長尺紙ガイド23Rに関し、第1当接部23T1における仮想的な接線を接線LTとすると、当該接線LTは、この近接姿勢において、基部載置面81Cに対してほぼ平行となっている。
【0067】
このとき右長尺紙ガイド23Rは、基部載置面81C又は第1載置面61Cに対し、第1当接部23T1よりも第2当接部23T2を遠方に位置させ、且つ該第2当接部23T2よりも第3当接部23T3を遠方に位置させている。ここで、
図6(A)において、第1当接部23T1のなかで最も後側、すなわち用紙Pの搬送方向に関する下流側の端部と、第3当接部23T3のなかで最も前側、すなわち用紙Pの搬送方向に関する上流側の端部とを結ぶ仮想的な直線である仮想線LVを定義する。そうすると前給紙部20では、この仮想線LVに関して、第2当接部23T2が基部載置面81Cと同じ側に、すなわち用紙トレイ21の第1トレイ61(
図2及び
図3)と同じ側に位置している。
【0068】
一方、右長尺紙ガイド23Rは、近接姿勢(
図6(A))から矢印R2方向へ、すなわち先端部分を第1載置面61Cから遠ざける方向へ約90度回動されると、
図6(A)と対応する
図6(B)に示すように、第3当接部23T3を基部載置面81Cから大きく離隔させ、接線LTを基部載置面81Cとほぼ直交させた姿勢となる。以下これを離隔姿勢と呼ぶ。このとき右長尺紙ガイド23Rは、近接姿勢の場合と同様に、基部載置面81C又は第1載置面61Cに対し、第1当接部23T1よりも第2当接部23T2を遠方に位置させ、且つ該第2当接部23T2よりも第3当接部23T3を遠方に位置させている。
【0069】
ところで右長尺紙ガイド23Rは、近接姿勢(
図6(A))において、基部載置面81Cとの間隔を、該基部載置面81C上に載置可能な用紙Pの最大枚数に応じた長さD1としている。これを換言すれば、右長尺紙ガイド23Rは、基部載置面81Cとの間に用紙Pを位置させるように、当該用紙Pの存在範囲を規制できる。このため前給紙部20では、載置面21C上にA4サイズ等のカット紙でなる用紙Pが複数枚集積された状態で載置された場合、当該用紙Pのうち最も上側の、すなわち載置面21Cから離れた用紙Pの表面を、右長尺紙ガイド23Rの長尺紙ガイド面23Cにおける第1当接部23T1と接触させる可能性がある。
【0070】
また右長尺紙ガイド23Rは、軸受部92の外周面が円筒の一部として形成されている。このため右長尺紙ガイド23Rは、近接姿勢から離隔姿勢(
図6(B))まで回動する間、基部載置面81Cとの間隔を、長さD1のまま維持することができる。すなわち右長尺紙ガイド23Rは、右用紙ガイド22Rに対する回動により姿勢を変化させたとしても、基部載置面81Cとの間に形成する用紙Pの存在範囲を、ほぼ一定に維持することができる。
【0071】
因みに前給紙部20では、筐体2に対して用紙トレイ21が回動されて閉塞状態となる場合、長尺紙ガイド23を近接姿勢とすることにより、筐体前凹部2D内に収納し得るようになっている。また前給紙部20では、用紙トレイ21の回動時に長尺紙ガイド23が近接姿勢から矢印R2方向へある程度回動した姿勢であったとしても、該長尺紙ガイド23の先端近傍等を筐体2側の部品と適宜当接させることにより、該長尺紙ガイド23を矢印R1方向へ回動させて近接姿勢に近づけさせ、閉塞状態とすることができる。
【0072】
[3.長尺紙の載置及び給紙]
次に、画像形成装置1により長尺紙でなる用紙P(以下これを長尺用紙PL又は第2媒体と呼ぶ)に画像を形成する(すなわち印刷する)場合について説明する。ここでは、例えば長尺用紙PLにおける搬送方向に沿った長さが1200[mm]である場合を想定する。この1200[mm]という長さは、一般的に使用される単票用紙PCにおける一辺の長さ、例えばA4サイズやA3サイズにおける一辺の長さである210[mm]、297[mm]及び420[mm]等と比較して、十分に長くなっている。
【0073】
画像形成装置1は、長尺用紙PLに印刷する場合、該長尺用紙PLを用紙カセット4(
図1)に収納し得ないため、該長尺用紙PLを前給紙部20から給紙することになる。画像形成装置1では、長尺用紙PLの先頭近傍において裏面を載置面21Cと対向させるようにして用紙トレイ21の載置面21C上に載置させるものの、該長尺用紙PLにおける他の部分が該用紙トレイ21からはみ出ることになる。
【0074】
ここで画像形成装置1では、仮に長尺用紙PLにおける用紙トレイ21からはみ出た部分を該用紙トレイ21の前端から下方へ垂れ下げさせた場合、垂れ下がった部分が給紙に伴って周囲の物品に当接し、或いは引っ掛かるなどして円滑に搬送できない恐れや、破損する恐れがある。またこの場合、画像形成装置1では、長尺用紙PLのうち垂れ下がった部分の荷重により、当該長尺用紙PL全体が用紙トレイ21から滑り落ちる恐れがあり、その際に当該長尺用紙PLが汚損する恐れもある。
【0075】
そこで画像形成装置1では、
図7(A)に模式図を示すように、長尺用紙PLの先頭近傍を用紙トレイ21上に載置させる一方、当該長尺用紙PLを全体的に撓ませ、その末尾近傍を筐体2の上面2T(以下これを第2載置部とも呼ぶ)上に載置させることができる。筐体2の上面2Tは、用紙トレイ21の載置面21Cに沿った方向に関して、給紙搬送部28よりも後側に、すなわち該給紙搬送部28による搬送方向側に位置している。
【0076】
このとき長尺用紙PLは、主に用紙トレイ21の上側の空間、すなわち載置面21Cの法線方向に関して該用紙トレイ21から離れた箇所の空間(以下これを載置上空間21SU又は第1載置上空間と呼ぶ)において大きく撓んでいる。また長尺用紙PLは、長尺紙ガイド23の近傍において、長尺紙ガイド面23Cの下側ないし前側からやや離れた箇所を通過している。このとき長尺紙ガイド23は、近接姿勢(
図6(A))若しくはこれに近い姿勢となっている。このため長尺紙ガイド23では、載置上空間21SUから第2当接部23T2までの距離よりも、該載置上空間21SUから第3当接部23T3までの距離の方が、短くなっている。
【0077】
説明の都合上、以下では、長尺用紙PLのうち用紙ガイド22により左右から挟まれて案内されている部分を案内区間PL1と呼び、用紙トレイ21及び用紙ガイド22、並びに筐体2に当接していない部分を中空区間PL2と呼び、筐体2の上面2Tに当接している部分を当接区間PL3と呼ぶ。このうち中空区間PL2は、湾曲することにより、前に凸となる曲面を形成している。
【0078】
画像形成装置1は、印刷処理を開始すると、前給紙部20による給紙動作を開始し、給紙搬送部28の各ローラを適宜回転させることにより、長尺用紙PLを先頭側から後方へ(すなわち搬送方向へ)搬送して筐体2の内部へ引き込んでいく。このとき長尺用紙PLは、
図7(B)に示すように、当接区間PL3において筐体2の上面2Tと当接している部分において摩擦力による負荷が作用するため殆ど移動せず、中空区間PL2を筐体2へ引き寄せながら縮小させていく。またこのとき長尺紙ガイド23は、長尺紙ガイド面23Cの一部を長尺用紙PLの表面に当接させる。
【0079】
さらにこのとき長尺用紙PLは、中空区間PL2の縮小に伴い、筐体2の上側に位置する部分が徐々に下降し、やがて当該筐体2に当接して当接区間PL3の一部となる。すなわち長尺用紙PLは、前給紙部20において先頭側から徐々に給紙されることに伴い、中空区間PL2を縮小していくと共に、当接区間PL3を拡大していく。
【0080】
続いて画像形成装置1は、印刷処理を継続することにより、前給紙部20による給紙動作も継続し、長尺用紙PLを引き続き筐体2の内部へ引き込んでいく。これにより長尺用紙PLは、
図8(A)に示すように、中空区間PL2がさらに縮小するため、その表面を長尺紙ガイド23の長尺紙ガイド面23Cにおける比較的広い範囲において当接させ、さらに該長尺紙ガイド23を矢印R2方向へ回動させ、近接姿勢(
図6(A))から離隔姿勢(
図6(B))に近づけていく。これにより長尺紙ガイド23は、長尺用紙PLの表面との間に生じる摩擦力に関して、単位面積当たりの当該摩擦力を比較的小さく抑えることができ、当該長尺用紙PLの摺動を殆ど妨げること無く、円滑に進行させることができる。
【0081】
また長尺用紙PLは、中空区間PL2の縮小に伴い、当接区間PL3をさらに拡大し、やがて筐体2の上面における前端近傍に到達させる。これにより長尺用紙PLでは、長尺紙ガイド23に当接した部分のうち最も先端側となるガイド当接箇所PLAと、筐体2に当接した部分のうち最も前側となる筐体当接箇所PLBとの間で張力が作用する。
【0082】
やがて画像形成装置1は、長尺用紙PLにおける中空区間PL2がさらに縮小すると、ガイド当接箇所PLA及び筐体当接箇所PLBとの間で当該長尺用紙PLが直線状に張架された状態となって張力が増加する。ここで長尺用紙PLは、この張力が当接区間PL3において上面2Tとの間に作用する摩擦力を上回ると、末尾部分を含めた該当接区間PL3の部分を前方へ進行させ、該当接区間PL3を短縮していく。
【0083】
このとき長尺紙ガイド23は、例えば第1当接部23T1、第2当接部23T2及び第3当接部23T3(
図4等)を全て含むような、長尺紙ガイド面23Cの大部分により長尺用紙PLと当接するため、やはり当該長尺用紙PLの摺動を殆ど妨げること無く、円滑に進行させる状態を継続する。ここで、長尺紙ガイド面23Cに沿った用紙Pの搬送方向を流体物が流れる方向と見なした場合、第1当接部23T1よりも上流側に第2当接部23T2が位置しており、さらに当該第2当接部23T2よりも上流側に第3当接部23T3が位置している。
【0084】
その後、画像形成装置1は、前給紙部20により長尺用紙PLを末端部分まで給紙して筐体2の内部に取り込み、画像の印刷処理を完了する。
【0085】
このように前給紙部20では、用紙トレイ21の載置面21C上に1枚の長尺用紙PLが載置された場合、当該長尺用紙PLの表面を、右長尺紙ガイド23Rの長尺紙ガイド面23Cにおける第1当接部23T1、第2当接部23T2及び第3当接部23T3と適宜接触させながら、搬送方向に沿って円滑に給紙することができる。
【0086】
[4.効果等]
以上の構成において、本実施の形態による画像形成装置1は、前給紙部20の用紙ガイド22に長尺紙ガイド23を設け、該用紙ガイド22に対して該長尺紙ガイド23を回動可能に構成した(
図2~
図6)。
【0087】
画像形成装置1は、長尺用紙PLに画像を印刷する場合、先端近傍の案内区間PL1が前給紙部20の用紙トレイ21上に載置されて用紙ガイド22により案内され、末端近傍の当接区間PL3が筐体2上に載置されて該筐体2と当接し、中空区間PL2が用紙トレイ21の上方に位置する載置上空間21SUにおいて湾曲する(
図7(A))。
【0088】
画像形成装置1(
図1)は、前給紙部20により長尺用紙PLの給紙を開始すると、中空区間PL2を徐々に短縮させ、該長尺用紙PLを長尺紙ガイド23の長尺紙ガイド面23Cに対し、十分な面積により当接させる(
図7(B)及び
図8(A))。このため画像形成装置1は、長尺用紙PLと長尺紙ガイド23との間で摩擦力や摺動抵抗を十分に小さく抑えることができ、該長尺用紙PLを円滑に給紙できる。
【0089】
これにより画像形成装置1は、長尺用紙PLの一部を筐体2内において搬送路Uに沿って搬送し、画像形成ユニット40によりトナー画像を当該長尺用紙PLに転写する際に、当該長尺用紙PLの下流側が前給紙部20により引っ張られること、すなわち当該長尺用紙PLの搬送速度が変動することを、未然に防止できる。すなわち画像形成装置1は、画像形成ユニット40から長尺用紙PLにトナー画像を転写する途中で当該長尺用紙PLの搬送速度が急激に変化した場合に生じ得る、当該長尺用紙PL上のトナー画像が搬送方向に伸張又は短縮されて濃淡が変化したショックラインが形成されることを、確実に回避できる。
【0090】
また画像形成装置1は、長尺紙ガイド23の本体部91(
図4)を下に凸の円弧状に湾曲させ、近接姿勢(
図6(A))において、長尺紙ガイド面23Cの第1当接部23T1及び第3当接部23T3を結ぶ仮想線LVに対し、第2当接部23T2を基部載置面81Cと同じ側に位置させるようにした。このため画像形成装置1は、長尺用紙PLにおける中空区間PL2が湾曲して前に凸となる曲面を形成した際に、長尺紙ガイド面23Cのうち比較的広い面積を当該長尺用紙PLに当接させることができる。
【0091】
さらに画像形成装置1は、長尺紙ガイド23の長尺紙ガイド面23Cを、本体部91を前後方向に沿った法線を有する仮想的な平面により切断した場合、切断された部分が左右方向に沿った直線状となるようにした(
図5)。これにより画像形成装置1は、長尺紙ガイド23の長尺紙ガイド面23Cを、長尺用紙PLに対して可能な限り広い接触面積で当接させ、接触負荷を分散させることができるため、局所的に過大な抵抗が発生することを未然に防止できる。
【0092】
そのうえ画像形成装置1は、前給紙部20において、用紙ガイド22に対して長尺紙ガイド23を固定せず、回動可能とした(
図6)。このため画像形成装置1では、長尺用紙PLが給紙されて中空区間PL2の長さや形状が変化した場合にも、長尺紙ガイド23が適宜回動することにより当該中空区間PL2の形状に追従できる。これにより画像形成装置1では、長尺用紙PLが長尺紙ガイド23の長尺紙ガイド面23Cに対して十分に大きい面積で当接する状態を維持できるので、当該長尺用紙PLを円滑に給紙し続けることができる。
【0093】
また画像形成装置1は、長尺紙ガイド23の先端側に範囲規制部93を設けることにより、
図6(A)に示したように、近接姿勢の長尺紙ガイド23と基部載置面81Cとの間隔を、該基部載置面81C上に載置可能な用紙Pの最大枚数に応じた長さD1とした。このため画像形成装置1は、用紙トレイ21上に載置される用紙Pの枚数を規制するための部材を別途設ける必要が無い。
【0094】
さらに画像形成装置1は、長尺紙ガイド23の軸受部92を円筒形状とした(
図4)。これにより画像形成装置1は、
図6(B)に示したように、長尺紙ガイド23を回動させて近接姿勢及び離隔姿勢の間の様々な姿勢とした場合にも、基部載置面81Cとの間隔をほぼ長さD1のままとすることができ、用紙トレイ21上に載置される用紙Pの枚数を適切に規制できる。
【0095】
以上の構成によれば、本実施の形態による画像形成装置1は、前給紙部20の用紙ガイド22に回動可能な長尺紙ガイド23を設け、長尺用紙PLの先端近傍である案内区間PL1を用紙トレイ21上に載置させ、末端近傍の当接区間PL3を筐体2上に載置させ、中空区間PL2を用紙トレイ21の上方で湾曲させる。画像形成装置1は、長尺用紙PLを給紙する際、中空区間PL2を長尺紙ガイド面23Cに対し十分な面積により当接させ、両者の間の摺動抵抗を十分に小さく抑えて該長尺用紙PLを円滑に給紙する。これにより画像形成装置1は、画像形成ユニット40から長尺用紙PLへトナー画像を転写する際に搬送速度が急激に変動してショックラインが形成されることを確実に回避でき、高い品質の画像を得ることができる。
【0096】
[5.他の実施の形態]
なお上述した実施の形態においては、長尺紙ガイド23(
図4~
図6)における本体部91の形状を、長手方向を前後方向に沿わせた直方体における中央付近を下方向へ突出させるように湾曲させた形状、すなわち左右方向から見た場合の概形を、下に凸の円弧状とする場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば左右方向から見た場合の概形を、折れ線状や曲線と直線との組み合わせた形状等、種々の形状としても良い。また本体部91は、直方体を湾曲させた形状に限らず、例えば三角柱や円柱を湾曲させた形状等、種々の立体形状であっても良い。さらに本体部91は、前端から後端まで連続した形状に限らず、例えば前端及び後端の間で2個以上に分割された形状であっても良い。これに伴い、第1当接部23T1、第2当接部23T2及び第3当接部23T3については、曲面部分に限らず、平面部分や複数の面が接合される接合部分(当接辺とも呼ぶ)等であっても良い。これらの場合、要は第1当接部23T1、第2当接部23T2及び第3当接部23T3が形成されており、これらを長尺用紙PLの表面に適宜当接させ得れば良い。
【0097】
さらに上述した実施の形態においては、長尺紙ガイド23の長尺紙ガイド面23Cを、前後方向に沿った法線を有する仮想的な平面により切断した場合に、切断された部分が左右方向に沿った直線状となるような曲面とする場合について述べた(
図5)。しかし本発明はこれに限らず、長尺紙ガイド面23Cを、例えば当該切断された部分が下に凸の曲線状等、種々の形状となるような曲面としても良い。
【0098】
さらに上述した実施の形態においては、用紙ガイド22のガイド軸体82P及び長尺紙ガイド23の軸受孔92Hにより回動部24を構成し、ユーザの操作等により該用紙ガイド22に対し該長尺紙ガイド23を回動させる場合について述べた(
図4及び
図5)。しかし本発明はこれに限らず、例えば回動部24に所定のスプリング(第1付勢部とも呼ぶ)を組み込み、
図5における矢印R1方向へ回動するように付勢しても良い。
【0099】
さらに上述した実施の形態においては、長尺紙ガイド23における本体部91の先端側に範囲規制部93を設け、該長尺紙ガイド23の矢印R2方向への回動範囲を規制する場合について述べた(
図4及び
図5)。しかし本発明はこれに限らず、例えば長尺紙ガイド23から範囲規制部93を省略しても良い。この場合、例えば回動部24に所定のスプリング(第2付勢部とも呼ぶ)を組み込み、長尺紙ガイド23が近接姿勢(
図5(A))よりも矢印R1方向へ回動した場合に、当該スプリングの付勢力により矢印R2方向へ付勢して近接姿勢に戻すようにしても良い。或いは、例えば長尺紙ガイド23の矢印R1方向への回動範囲を規制する部材(以下これを第2回動範囲規制部と呼ぶ)を設け、該長尺紙ガイド23を離隔姿勢(
図5(B))よりも矢印R1方向へ回動させないようにしても良い。
【0100】
さらに上述した実施の形態においては、回動部24により、左右方向に沿った回動軸を回動中心として、用紙ガイド22に対し長尺紙ガイド23を回動可能に構成する場合について述べた(
図4)。しかし本発明はこれに限らず、例えば用紙ガイド22に対し長尺紙ガイド23を固定しても良い。この場合、用紙トレイ21を閉塞状態とする場合に長尺紙ガイド23が筐体2側の部品と干渉しなければ良い。或いは、例えば回動部24に代えて、搬送方向に沿った回動軸を有する回動機構を設け、長尺紙ガイド23を使用しない場合に内側へ折り畳むようにしても良い。
【0101】
さらに上述した実施の形態においては、用紙ガイド22に長尺紙ガイド23を設ける場合について述べた(
図4等)。しかし本発明はこれに限らず、例えば第1トレイ61のローラ保護部73(
図2及び
図3)に長尺紙ガイド23を設けても良い。さらにこの場合、例えばローラ保護部73に対する長尺紙ガイド23の取付箇所に、回動部24と同様の回動機構を設けても良い。
【0102】
さらに上述した実施の形態においては、長尺紙ガイド23が近接姿勢である場合に(
図5(A))、基部載置面81Cとの間隔を該基部載置面81C上に載置可能な用紙Pの最大枚数に応じた長さD1する場合、すなわち該基部載置面81C上に載置可能な用紙Pの最大枚数を長尺紙ガイド23により規定する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば長尺紙ガイド23とは別に、該基部載置面81C上に載置可能な用紙Pの最大枚数を規制する規制部材を設けても良い。
【0103】
さらに上述した実施の形態においては、長尺紙ガイド23の軸受部92(
図4)を円環状とすることにより、該長尺紙ガイド23の姿勢に関わらず基部載置面81Cとの間隔を長さD1に維持する場合について述べた(
図5)。しかし本発明はこれに限らず、例えば軸受部92の外形を他の種々の形状としても良い。この場合、長尺紙ガイド23が所定の姿勢(例えば近接姿勢)である場合にのみ、基部載置面81Cとの間隔を長さD1とするようにしても良い。
【0104】
さらに上述した実施の形態においては、画像形成ユニット40や定着部45等を用い、電子写真方式によって用紙Pに画像を形成する画像形成装置1に本発明を適用する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えばインクジェット方式や熱転写方式等、種々の方式により用紙Pに画像を形成する画像形成装置に適用しても良い。
【0105】
さらに上述した実施の形態においては、本発明を単機能のプリンタである画像形成装置1に適用する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば複写機やファクシミリ装置の機能を有するMFP(Multi Function Peripheral)等、他の種々の機能を有する画像形成装置に適用しても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0106】
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
【0107】
さらに上述した実施の形態においては、第1載置部としての用紙トレイ21と、給紙搬送部としての給紙搬送部28と、第1案内部としての用紙ガイド22と、第2案内部としての長尺紙ガイド23とによって給紙装置としての前給紙部20を構成する場合について述べた。このうち第2案内部については、第1当接部としての第1当接部23T1と、第2当接部としての第2当接部23T2と、第3当接部としての第3当接部23T3とによって構成する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる第1載置部と、給紙搬送部と、第1案内部と、第2案内部とによって給紙装置を構成し、第2案内部をその他種々の構成でなる第1当接部と、第2当接部と、第3当接部とによって構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明は、例えば電子写真方式により画像を形成する画像形成装置において、用紙を給紙する給紙装置で利用できる。
【符号の説明】
【0109】
1……画像形成装置、2……筐体、2T……上面、20……前給紙部、21……用紙トレイ、21C……載置面、21SU……載置上空間、22……用紙ガイド、23……長尺紙ガイド、23C……長尺紙ガイド面、23T1……第1当接部、23T2……第2当接部、23T3……第3当接部、24……回動部、28……給紙搬送部、40……画像形成ユニット、45……定着部、81……基部、81C……基部載置面、82……横規制部、82B……上突出部、82P……ガイド軸体、91……本体部、92……軸受部、92H……軸受孔、93……範囲規制部、LT1……接線、LV……仮想線、P……用紙、PC……単票用紙、PL……長尺用紙、PL1……案内区間、PL2……中空区間、PL3……当接区間、PLA……ガイド当接箇所、PLB……筐体当接箇所、U……搬送路。