(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022115604
(43)【公開日】2022-08-09
(54)【発明の名称】包装袋
(51)【国際特許分類】
B65D 33/00 20060101AFI20220802BHJP
【FI】
B65D33/00 C
B65D33/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021012263
(22)【出願日】2021-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】000241186
【氏名又は名称】朋和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120857
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100116872
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 和子
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 智彦
【テーマコード(参考)】
3E064
【Fターム(参考)】
3E064AB25
3E064BA17
3E064BA26
3E064BA30
3E064BA35
3E064BA36
3E064BA55
3E064BB03
3E064BC08
3E064BC18
3E064EA30
3E064FA01
3E064FA04
3E064FA06
3E064HA06
3E064HB03
3E064HM01
3E064HP01
(57)【要約】
【課題】易開封部を備える包装袋において、安全に取り扱うことができるとともに誤開封の発生を抑制することができる包装袋を提供する。
【解決手段】互いに重ねられるシート状の第1の包材10及び第2の包材20と、第1の包材10と第2の包材20とが互いに接着され、第1の包材10と第2の包材20との間に収容部5を形成するシール部40と、シール部40に設けられ、収容部5を開く起点となる易開封部50と、を備え、易開封部50は、第1の包材10におけるシール部40の領域内に設けられ、シール部40の端縁から収容部5の方向に切り込まれて形成される第1の切込み部60と、第2の包材20におけるシール部40の領域内に設けられ、シール部40の端縁から収容部5の方向に切り込まれて形成される第2の切込み部70と、を含み、第1の切込み部60の形状パターン60Aと第2の切込み部の形状パターン70Aとが異なっている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに重ねられるシート状の第1の包材及び第2の包材と、
前記第1の包材と前記第2の包材とが互いに接着され、前記第1の包材と前記第2の包材との間に収容部を形成するシール部と、
前記シール部の所定箇所に設けられ、前記収容部を開く起点となる易開封部と、を備え、
前記易開封部は、
前記第1の包材における前記シール部の領域内に設けられ、前記シール部の端縁から前記収容部の方向に切り込まれて形成される第1の切込み部と、
前記第2の包材における前記シール部の領域内に設けられ、前記シール部の端縁から前記収容部の方向に切り込まれて形成される第2の切込み部と、を含み、
前記第1の切込み部の形状パターンと、前記第2の切込み部の形状パターンとが異なっている、包装袋。
【請求項2】
前記第1の切込み部は、線状に形成された少なくとも1つの第1の切込みを含み、
前記第2の切込み部は、線状に形成され、前記第1の切込みと重ならない少なくとも1つの第2の切込みを含む、請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記第1の切込み及び前記第2の切込みのそれぞれは、前記シール部の表裏方向に貫通するノッチ、またはシール部の表面から一部を厚み方向に削除したハーフカットのいずれかである、請求項2に記載の包装袋。
【請求項4】
前記第1の切込み部は、線状に形成された少なくとも1つの第1の切込みを含み、
前記第2の切込み部は、前記第1の切込みよりも大きい幅を有する帯状の第3の切込みを含み、
少なくとも1つの前記第1の切込みが前記第3の切込みに重なっている、請求項1に記載の包装袋。
【請求項5】
前記第1の切込み及び前記第3の切込みのそれぞれは、前記シール部の表裏方向に貫通するノッチ、またはシール部の表面から一部を厚み方向に削除したハーフカットのいずれかである、請求項4に記載の包装袋。
【請求項6】
前記第1の包材及び前記第2の包材のうちの少なくとも一方に、前記易開封部の位置を示す識別表示部が設けられている、請求項1~5のいずれか1項に記載の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液状、粒状、粉状あるいは固形状等の食品や薬品等の収容物を密封して持ち運びを可能とする包装袋が使用されている。例えば、重ねられた樹脂フィルムからなる2枚の包材の周縁を封止して袋状に形成し、周縁のシール部の所定箇所に、開封の起点となる易開封部としてのノッチを設けた包装袋が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示される包装袋のノッチは、2枚の包材が重ねられて封止された周縁の縁から切込みを入れた態様であり、表裏方向、すなわち一方の包材から他方の包材側に貫通している。このため、ノッチからシール部の外側の縁にかけて直角形状の角部が形成され、この角部がまくれることにより突出して手指を傷付ける可能性がある。また、その角部に物が当たって意図せずともノッチからシール部に切れ目が生じて誤開封を招くおそれもある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、易開封部を備える包装袋において、安全に取り扱うことができるとともに誤開封の発生を抑制することができる包装袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の包装袋は、互いに重ねられるシート状の第1の包材及び第2の包材と、前記第1の包材と前記第2の包材とが互いに接着され、前記第1の包材と前記第2の包材との間に収容部を形成するシール部と、前記シール部の所定箇所に設けられ、前記収容部を開く起点となる易開封部と、を備え、前記易開封部は、前記第1の包材における前記シール部の領域内に設けられ、前記シール部の端縁から前記収容部の方向に切り込まれて形成される第1の切込み部と、前記第2の包材における前記シール部の領域内に設けられ、前記シール部の端縁から前記収容部の方向に切り込まれて形成される第2の切込み部と、を含み、前記第1の切込み部の形状パターンと、前記第2の切込み部の形状パターンとが異なっている。
【0007】
(2)(1)において、前記第1の切込み部は、線状に形成された少なくとも1つの第1の切込みを含み、前記第2の切込み部は、線状に形成され、前記第1の切込みと重ならない少なくとも1つの第2の切込みを含む。
【0008】
(3)(2)において、前記第1の切込み及び前記第2の切込みのそれぞれは、前記シール部の表裏方向に貫通するノッチ、またはシール部の表面から一部を厚み方向に削除したハーフカットのいずれかである。
【0009】
(4)(1)において、前記第1の切込み部は、線状に形成された少なくとも1つの第1の切込みを含み、前記第2の切込み部は、前記第1の切込みよりも大きい幅を有する帯状の第3の切込みを含み、少なくとも1つの前記第1の切込みが前記第3の切込みに重なっている。
【0010】
(5)(4)において、前記第1の切込み及び前記第3の切込みのそれぞれは、前記シール部の表裏方向に貫通するノッチ、またはシール部の表面から一部を厚み方向に削除したハーフカットのいずれかである。
【0011】
(6)(1)~(5)のいずれかにおいて、前記第1の包材及び前記第2の包材のうちの少なくとも一方に、前記易開封部の位置を示す識別表示部が設けられている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、易開封部を備える包装袋において、安全に取り扱うことができるとともに誤開封の発生を抑制することができる包装袋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る包装袋を示す正面図である。
【
図3】第1実施形態の易開封部を示す図であって、(a)第1の包材側の第1の切込み部を示す正面図、(b)第2の包材側の第2の切込み部を示す正面図である。
【
図4】第1実施形態の易開封部を示す正面図である。
【
図5】第1実施形態の易開封部を示す斜視図である。
【
図6】第1実施形態の包装袋を製造する方法の一例を示す平面図である。
【
図8】第1実施形態の易開封部の変形例を示す斜視図である。
【
図9】本発明の第2実施形態に係る易開封部を示す図であって、(a)第1の包材側の第1の切込み部を示す正面図、(b)第2の包材側の第2の切込み部を示す正面図である。
【
図10】第2実施形態の易開封部を示す正面図である。
【
図11】第2実施形態の易開封部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0015】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る包装袋1の正面図である。
図2は、
図1のII-II断面図である。
図2に示すように、包装袋1は、表側の第1の包材10と、第1の包材10に重ねられて接合される裏側の第2の包材20と、底面側の第3の包材30と、シール部40と、易開封部50と、を備える。
図1では、表側の第1の包材10が示されている。各包材10、20、30は、所定形状に形成された可撓性を有するシート状の樹脂から構成される。
【0016】
図2に示すように、包装袋1は、第3の包材30を下側に配置することにより自立可能なガセット式の袋である。
図1においては、自立した状態での包装袋1の左右方向を矢印Xで示し、上下方向を矢印Zで示している。また、
図2においては、自立した状態での包装袋1の上下方向を矢印Zで示し、表裏方向である前後方向を矢印Yで示している。以下の説明における左右方向、上下方向及び前後方向(または表裏方向)のそれぞれは、
図1及び
図2で示す方向に基づく。
【0017】
図1に示すように、包装袋1は、正面視において略矩形状の輪郭を有する。
なお、本発明に係る包装袋1の外形形状は矩形状に限定されず、例えば多角形状や、外形線に曲線が含まれる形状等であってもよい。
【0018】
シール部40は、表裏の第1の包材10と第2の包材20との周縁部が互いに重ねられて接着された包装袋1における外周部を構成する部分である。
図1及び
図2に示すように、シール部40は、上部シール部41と、左右一対の側部シール部42と、前後一対の底部シール部43と、を含む。
【0019】
上部シール部41は、第1の包材10の左右方向に延びる上部周縁部11と、第2の包材20の左右方向に延びる上部周縁部21とが互いに重ねられて接着された部分である。
左右一対の側部シール部42のそれぞれは、第1の包材10の上下方向に延びる側部周縁部12と、第2の包材20の上下方向に延びる側部周縁部22とが互いに重ねられて接着された部分である。
左右一対の底部シール部43のそれぞれは、第1の包材10の左右方向に延びる前側底部周縁部13Aと、第3の包材30の左右方向に延びる前側周縁部31Aとが互いに重ねられて接着された部分、ならびに第2の包材20の左右方向に延びる後側底部周縁部13Bと、第3の包材30の左右方向に延びる後側周縁部31Bとが互いに重ねられて接着された部分である。
【0020】
上部シール部41、側部シール部42及び底部シール部43のそれぞれは、熱溶着(ヒートシール)や超音波溶着等の手段で形成される。第1の包材10、第2の包材20及び第3の包材30の内側には、各シール部41~43で囲まれて液密的に密閉された空間からなる収容部5が形成される。収容部5には、所定量の収容物が収容されて密封される。収容物としては、例えば、液状、粒状、粉状あるいは固形状等の食品や薬品等が挙げられる。収容物は、例えば上部シール部41以外を封止した状態で、封止されていない上側の開口から収容部5に収容される。この後、開口していた上部シール部41を形成して封止し、収容物を包装袋1内に密封する。
【0021】
ここで、上記各包材10、20、30を構成する材料について述べる。各包材10、20、30は、例えば、塩化ビニール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン(ポリアミド)等の樹脂、あるいはアルミ箔等により成形された可撓性を有するシートである。例えば上記樹脂やアルミ箔のうちの1種からなるフィルムの単層構造のものや、1種または複数種のフィルムが貼り合わされた複層構造のものなどが用いられる。単層構造の場合、その厚みは例えば20~100μm程度とされ、複層構造の場合、その厚さは例えば30~200μm程度とされる。
【0022】
易開封部50は、左右の側部シール部42における上部シール部41に近接する上部の所定箇所にそれぞれ配置されている。すなわち包装袋1は左右一対の易開封部50を備える。左右一対の易開封部50は同じ構成であって左右対称に設けられている。易開封部50は、側部シール部42を引き裂いて収容部5を開く起点となる部分である。
【0023】
図3~
図5を参照して、易開封部50を説明する。なお、
図3~
図5に示す易開封部50は、
図1において左側の易開封部50を示すが、右側の易開封部50も左右対称の同じ構成を備えるため、ここでは説明を省略する。
【0024】
易開封部50は、
図3(a)に示す第1の包材10に設けられた第1の切込み部60と、
図3(b)に示す第2の包材20に設けられた第2の切込み部70と、を含んでいる。易開封部50は、第1の包材10に印刷された識別表示部51により目視で容易にその位置が確認可能となっている。識別表示部51は、ホームベース型の外形を有する。識別表示部51は、その外形の一部をなす三角形の頂点が左右方向内側(収容部5側)に向くように側部シール部42の領域内に配置される。三角形の頂点の向きは、易開封部50に切れ目を入れて開封する方向を示す。
なお、易開封部50の位置を示す識別表示部51は、第2の包材20に設けられてもよく、双方の包材10、20に設けられてもよい。
【0025】
図3(a)に示すように、第1の包材10側の第1の切込み部60は、第1の切込みとして左右方向に延びる3つの第1のノッチ61を含んでいる。3つの第1のノッチ61は、第1の切込み部60の形状パターン60Aを形成している。3つの第1のノッチ61は、側部シール部42の領域内である識別表示部51の領域内において、上下方向に等間隔をおいて均等に配置される。第1のノッチ61は、第1の包材10の側部周縁部12の端縁12aから識別表示部51内に切り込まれた線状のスリット(切込み)であり、側部周縁部12の表裏方向に貫通するとともに、端縁12aに開放している。したがって、側部周縁部12には、端縁12aから第1のノッチ61にかけて複数の直角形状の角部12bが形成される。
なお、第1のノッチ61の数は3つに限定されず、少なくとも1つであってよい。
【0026】
図3(b)に示すように、第2の包材20側の第2の切込み部70は、第2の切込みとして左右方向に延びる2つの第2のノッチ71を含んでいる。2つの第2のノッチ71は、第2の切込み部70の形状パターン70Aを形成している。2つの第2のノッチ71は、側部シール部42の領域内において、上下方向に等間隔をおいて均等に配置される。第2のノッチ71は第1のノッチ61と同様の構成であって、第2の包材20の側部周縁部22の端縁22aから内側である収容部5側に切り込まれた線状のスリットであり、側部周縁部22の表裏方向に貫通するとともに、端縁22aに開放している。したがって、側部周縁部22には、端縁22aから第2のノッチ71にかけて複数の直角形状の角部22bが形成される。
なお、第2のノッチ71の数は2つに限定されず、少なくとも1つであってよい。
【0027】
本実施形態の第1のノッチ61及び第2のノッチ71は、いずれも僅かな隙間が空くように形成されているが、極めて小さい隙間であって目視では閉塞しているような単なる切れ目であってもよい。各ノッチ61、71は、例えば適宜形状の刃先を備えたカッターにより各包材10、20を押し切るなどの手段で形成される。
なお、第1の切込み部60及び第2の切込み部70を構成する切込みは、シール部40に対して容易に切れ目を入れることができて易開封部50から収容部5に向けて各包材10、20を引き裂き容易とする部分である。そのような切込みとしては、上記各ノッチ61、71のような包材を表裏に貫通するノッチの他に、包材10、20の厚み方向の一部を超音波やレーザー等の手段で表面から所定深さ削除したハーフカットでもよい。
【0028】
図4及び
図5は、第1の包材10と第2の包材20とが接合された包装袋1の状態での易開封部50を示している。
図4及び
図5に示すように、易開封部50においては、3つの第1のノッチ61と2つの第2のノッチ71とは、表裏方向に重ならず、上下方向にずれて配置される。詳しくは、正面視した場合において、上下に隣接する一対の第1のノッチ61の間に、第2のノッチ71が1つずつ均等に配置される。第1の包材10の側部周縁部12の端縁12aと第2の包材20の側部周縁部22の端縁22aとは左右方向にすれず、上下方向に揃って延び、側部シール部42の端縁42aが形成される。
【0029】
易開封部50においては、3つの第1のノッチ61は相手側の第2の包材20の側部周縁部22に塞がれ、2つの第2のノッチ71は相手側の第1の包材10の側部周縁部12に塞がれる。これにより、第1の包材10側の各角部12b及び第2の包材20側の各角部22bは、平面状に一体化され、突出する状態とはならない。
このように第1のノッチ61と第2のノッチ71とが表裏方向に重ならず、かつ、各角部12b、22bが突出しない状態は、各ノッチ61、71によって形成される第1の切込み部60の形状パターン60Aと第2の切込み部70の形状パターン70Aとが異なっていることによる。
【0030】
ところで、3つの第1のノッチ61及び2つの第2のノッチ71のそれぞれは、
図3(a)、(b)に示すように、第1の包材10及び第2の包材20のそれぞれに予め形成される。そして、包装袋1が製造されると、すなわち各側部周縁部12、22が互いに接着されて側部シール部42が形成されると、各ノッチ61、71は上記のように識別表示部51の領域内において互いに上下方向にずれて配置される。
【0031】
図6は、上記易開封部50を備える本実施形態の包装袋1を製造する好適な方法の一例を模式的に示している。
【0032】
図6は、製造ラインにおいて、原反100をF方向に搬送しながら、側部シール部42及び底部シール部43を連続的に形成している状態を示している。例えば、はじめに、搬送方向に沿った底部シール部43が形成され、次いで搬送方向に直交する側部シール部42が形成される。側部シール部42及び底部シール部43は、例えば加熱した圧着部材で原反100を挟んで圧着する熱溶着により形成される。側部シール部42及び底部シール部43が形成された原反100は、側部シール部42の部分で切断され、上部シール部41の部分が開口した状態の包装袋1が連続的に製造される。
【0033】
搬送方向に並ぶ切断前の隣り合う2つの包装袋1の境界にまたがって、側部シール部42の2つ分が一括して形成される。識別表示部51は、2つ分の側部シール部42を形成する前に予め印刷される。2つ分の側部シール部42には、搬送方向に並ぶ包装袋1の境界となる幅方向の中央に、原反100を切断する切断線Sが設定される。側部シール部42及び底部シール部43が形成された後、製造ラインの下流側(
図6の右側)において切断線Sが図示せぬカッターで順次切断され、複数の包装袋1が順次得られる。
【0034】
ここで、
図7に示すように、第1の包材10及び第2の包材20となる2枚の原反100には、予め第1のノッチ61及び第2のノッチ71の2つ分が、それぞれパンチング加工によって同時に形成されている。切断線Sで2枚の原反100を切断することにより、
図1に示した左側の易開封部50と右側の易開封部50とが同時に形成される。
【0035】
第1実施形態の包装袋1においては、一方の易開封部50を利用して開封することができる。易開封部50に切れ目が入るように当該易開封部50を端縁42aから収容部5に向けて引きちぎるように力を加える。すると、第1の包材10側の3つの第1のノッチ61及び第2の包材20側の2つの第2のノッチ71のうちのいずれか1つに切れ目が誘導され、そのノッチ(61または71)に塞がれていた相手側の包材の側部周縁部(12または22)に切れ目が入り、易開封部50が当該のノッチに沿って引き裂かれる。引き続き引き裂いていくと、側部シール部42が引き裂かれ、切れ目は収容部5を間に挟む表裏の第1の包材10及び第2の包材20に到達する。この後、さらに第1の包材10及び第2の包材20を引き裂いて切れ目を延ばしていくことにより、当該包装袋1の上部を開封することができる。
【0036】
以上説明した第1実施形態に係る包装袋1は、互いに重ねられるシート状の第1の包材10及び第2の包材20と、第1の包材10と第2の包材20とが互いに接着され、第1の包材10と第2の包材20との間に収容部5を形成するシール部40と、シール部40の所定箇所に設けられ、収容部5を開く起点となる易開封部50と、を備え、易開封部50は、第1の包材10におけるシール部40の領域内に設けられ、シール部40の端縁42aから収容部5の方向に切り込まれて形成される第1の切込み部60と、第2の包材20におけるシール部40の領域内に設けられ、シール部40の端縁42aから収容部5の方向に切り込まれて形成される第2の切込み部70と、を含み、第1の切込み部60の形状パターン60Aと、第2の切込み部70の形状パターン70Aとが異なっている。
【0037】
具体的には、第1の切込み部60は、線状の切込みにより形成された少なくとも1つの第1のノッチ61を含み、第2の切込み部70は、線状の切込みにより形成され、第1のノッチ61と重ならない少なくとも1つのノッチ71を含んでいる。
【0038】
第1の切込み部60の形状パターン60Aと第2の切込み部70の形状パターン70Aとが同じであって合致している場合には、従来のように切込み(本実施形態での第1のノッチ61、第2のノッチ71に相当)が表裏方向に貫通して当該の切込みで形成される角部(本実施形態の角部12b、22bに相当)が突出する状態となり得る。しかし本実施形態のように第1の切込み部60の形状パターン60Aと第2の切込み部70の形状パターン70Aとが異なることにより、各角部12b、22bは突出せずに側部シール部42と平面状に一体化する。このため、開封前において各角部12b、22bにより手指が傷付くという事態が回避される。すなわち、包装袋1を安全に取り扱うことができる。また、各角部12b、22bに物が当たってまくれることもないため、意図せずとも第1のノッチ61または第2のノッチ71を起点として側部シール部42に切れ目が生じるおそれがなく、結果として誤開封の発生が抑制される。
【0039】
また、本実施形態の包装袋1においては、第1の包材10及び第2の包材20のうちの少なくとも一方に、易開封部50の位置を示す識別表示部51が設けられていると好ましい。
【0040】
これにより、易開封部50の位置を容易に確認することができるので、開封位置を間違うおそれがないとともに、開封作業を迅速に行うことができる。
【0041】
図8は、上述した第1実施形態の変形例を示している。この変形例では、第1の包材10及び第2の包材20のそれぞれは、基材層とシーラント層とを備える多層フィルムである。すなわち、第1の包材10は、外面側の基材層10aと内面側のシーラント層10bとを備え、第2の包材20は、外面側の基材層20aと内面側のシーラント層20bとを備える。基材層10a、20aは、例えば少なくとも1つの二軸延伸樹脂フィルムを含むフィルムで構成される。シーラント層10b、20bは、例えばポリエチレン等を主成分とする樹脂フィルムで構成される。
【0042】
当該変形例において、易開封部50を構成する第1の包材10側の第1の切込み部60は、第1の切込みとして基材層10aのみを削除した3つの第1のハーフカット62を含む。また、易開封部50を構成する第2の包材20側の第2の切込み部70は、第2の切込みとして基材層20aのみを削除した2つの第2のハーフカット72を含む。これらハーフカット62、72は、いずれも左右方向に線状に延びており、易開封部50の表裏面に弱線部としての溝を形成する。
【0043】
3つの第1のハーフカット62により、第1の切込み部60の形状パターン60Aが形成され、2つの第2のハーフカット72により、第2の切込み部70の形状パターン70Aが形成される。第1のハーフカット62及び第2のハーフカット72は、第1実施形態の第1のノッチ61及び第2のノッチ71と同様の位置にそれぞれ配置されている。したがって各ハーフカット62、72によって形成される第1の切込み部60の形状パターン60Aと第2の切込み部70の形状パターン70Aとは異なっており、第1のハーフカット62及び第2のハーフカット72は、表裏方向に重ならない。
【0044】
この変形例によれば、易開封部50に切れ目を入れる際に、3つの第1のハーフカット62及び2つの第2のハーフカット72のうちのいずれか1つに切れ目が誘導されて易開封部50に切れ目が入り、側部シール部42が引き裂かれて包装袋1の上部が開封される。この場合、シーラント層10b、20bとしては、切れ目が入りやすく引き裂き性のよい樹脂フィルムを用いると、開封をより容易に行うことができるので好ましい。
【0045】
(第2実施形態)
続いて、本発明の第2実施形態を説明する。
第2実施形態は、上記第1実施形態の易開封部50における第2の包材20側の第2の切込み部70が異なる形態となっており、他の構成は同じである。したがって、上記第1実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略し、主に相違点のみを説明する。
【0046】
図9(a)は、第2実施形態の易開封部50を構成する第1の包材10側の第1の切込み部60を示し、
図9(b)は、第2実施形態の易開封部50を構成する第2の包材20側の第2の切込み部70を示している。
図9(a)に示す第2実施形態の第1の切込み部60は、上記第1実施形態の第1の切込み部60と同じ構成、すなわち3つの第1のノッチ61を含んでいる。
【0047】
図9(b)に示すように、第2実施形態の第2の切込み部70は、第3の切込みとして第1のノッチ61よりも大きい幅を有する帯状の1つの第3のノッチ73を含んでいる。第3のノッチ73は、第2の切込み部70の形状パターン70Bを形成している。第3のノッチ73は、識別表示部51と同様のホームベース型の形状を有し、その外形の一部をなす三角形の頂点が左右方向内側(収容部5側)に向くように側部シール部42の領域内に配置される。
【0048】
第3のノッチ73は、第2の包材20の側部周縁部22の端縁22aから内側である収容部5側に延びる帯状の切欠きであり、側部周縁部22の表裏方向に貫通するとともに、端縁22aに開放している。したがって、側部周縁部22には、端縁22aから第3のノッチ73にかけて上下一対の直角形状の角部22cが形成される。第3のノッチ73による第2の切込み部70の形状パターン70Bは、第1の包材10側の第1の切込み部60の形状パターン60Aと異なっている。
【0049】
図10及び
図11は、第2実施形態の易開封部50を示している。第2実施形態の易開封部50においては、第1の包材10側の3つの第1のノッチ61のうち、上下2つの第1のノッチ61は第2の包材20側の第3のノッチ73には重なっておらず、中央の第1のノッチ61のみが第3のノッチ73に重なっている。
【0050】
第2実施形態の易開封部50においては、第1の包材10側の3つの第1のノッチ61のうち、上下2つの第1のノッチ61は相手側の第2の包材20の側部周縁部22に塞がれている。易開封部50における第1の包材10側においては、第1のノッチ61の間に2つの片部15が形成されるが、これら片部15は第2の包材20側の側部周縁部22にその一部が接着し、まくれにくくなっている。これにより、第3のノッチ73によって裏側に露出する2つの角部12dは突出しにくくなっており、角部12dによって手指が傷付く事態が起こりにくい。
【0051】
また、第2の包材20側の第3のノッチ73は、相手側の第1の包材10の側部周縁部12である2つの片部15によってほとんどの領域が塞がれ、中央の第1のノッチ61の部分において表裏方向に貫通している。
【0052】
第2実施形態においては、開封するにあたって易開封部50に切れ目が入るように当該易開封部50を端縁42aから収容部5に向けて引きちぎるように力を加えると、第1の包材10側の3つの第1のノッチ61のうちのいずれか1つに誘導されて易開封部50に切れ目が入る。第2実施形態では、表裏に貫通している中央の第1のノッチ61に切れ目が入りやすい。そして、引き続き引き裂いていく力を加えることにより、側部シール部42を経て表裏の第1の包材10及び第2の包材20が引き裂かれ、包装袋1の上部を開封することができる。
【0053】
第2実施形態に係る包装袋1において、第1の包材10側の第1の切込み部60は、線状の切込みにより形成された少なくとも1つの第1のノッチ61を含み、第2の包材20側の第2の切込み部70は、第1のノッチ61よりも大きい幅を有する帯状の第3のノッチを含み、少なくとも1つの第1のノッチ61が第3のノッチ73に重なっている。
【0054】
これにより、第3のノッチ73に重なる第1のノッチ61により、易開封部50を引き裂きやすくなり、開封をより容易に行うことができる。
【0055】
本発明は上記各実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、第1実施形態において、第1のノッチ61及び第2のノッチ71の数や形成位置は任意であり、それぞれの形状パターン60A、70Aが互いに異なる態様になればよい。
また、第1実施形態における第1のノッチ61及び第2のノッチ71は、いずれか一方がハーフカットであってもよい。第2実施形態においての第1のノッチ61及び第3のノッチ73は、いずれか一方がハーフカットでもよく、双方ともにハーフカットでもよい。
また、各包材10、20に形成される易開封部50を構成するノッチやハーフカットに代表される切込みとしては、線状や帯状等の形状に限らず、それぞれの形状パターン60A、70Aが互いに異なる態様になればいかなる形状であってよい。
【符号の説明】
【0056】
1 包装袋
5 収容部
10 第1の包材
20 第2の包材
40 シール部
42a シール部の端縁
50 易開封部
51 識別表示部
60 第1の切込み部
60A 第1の切込み部の形状パターン
61 第1のノッチ(第1の切込み)
62 第1のハーフカット(第1の切込み)
70 第2の切込み部
70A 第2の切込み部の形状パターン
71 第2のノッチ(第2の切込み)
72 第2のハーフカット(第2の切込み)
73 第3のノッチ(第3の切込み)