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  • 特開-NK細胞活性化組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022115615
(43)【公開日】2022-08-09
(54)【発明の名称】NK細胞活性化組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/10 20160101AFI20220802BHJP
   A61K 35/644 20150101ALI20220802BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20220802BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220802BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220802BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20220802BHJP
【FI】
A23L33/10
A61K35/644
A61P37/04
A61P43/00 107
A61P35/00
A61P31/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021012277
(22)【出願日】2021-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】598162665
【氏名又は名称】株式会社山田養蜂場本社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100140888
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 欣乃
(72)【発明者】
【氏名】池上 志穂
(72)【発明者】
【氏名】八巻 礼訓
【テーマコード(参考)】
4B018
4C087
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018LB02
4B018LB03
4B018LB06
4B018LB07
4B018LB08
4B018LB09
4B018MD77
4B018ME14
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB22
4C087MA52
4C087NA14
4C087ZB09
4C087ZB22
4C087ZB26
4C087ZB33
(57)【要約】
【課題】本発明は、蜂蜜のさらなる健康効果を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の組成物は、蜂蜜を有効量に含む、ナチュラルキラー細胞を活性化するための組成物である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蜂蜜を有効量に含む、ナチュラルキラー細胞を活性化するための組成物。
【請求項2】
前記蜂蜜が、マヌカ蜂蜜、百花蜂蜜及び甘露蜂蜜からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
食品組成物又は医薬組成物である、請求項1又は2に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)を活性化する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
蜂蜜は食用のみならず、様々な健康効果や美容効果を有することが知られている。例えば、蜂蜜を抗菌剤(特許文献1)や、創傷治療用組成物、化粧品用組成物(特許文献2、3)などとして様々な用途に利用することができる。
【0003】
一方、NK細胞は、細胞傷害性リンパ球の一種であり、自然免疫の主要因子として働き、特に腫瘍細胞やウイルス感染細胞を拒絶する重要な役割を担う。形態的特徴から大形顆粒リンパ球とも呼ばれる。NK細胞を活性化させると、免疫力を高めることができると期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2016/072377
【特許文献2】特表2003-516357号公報
【特許文献3】特開2003-63984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、蜂蜜のさらなる健康効果を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らが、上記目的を達成すべく鋭意研究の結果、蜂蜜がNK細胞を活性化できるという新規な効果を見出し、本発明の完成に至った。
【0007】
すなわち、本発明は、例えば、以下の各発明に関する。
[1]
蜂蜜を有効量に含む、ナチュラルキラー細胞を活性化するための組成物。
[2]
上記蜂蜜が、マヌカ蜂蜜、百花蜂蜜及び甘露蜂蜜からなる群より選択される少なくとも1種である、[1]の組成物。
[3]
食品組成物又は医薬組成物である、[1]又は[2]の組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、NK細胞活性化能を向上することができ、それによって免疫向上が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1のNK細胞活性の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の組成物は、蜂蜜を有効成分し、有効量の蜂蜜を含み、ナチュラルキラー細胞を活性化する組成物である。
【0011】
蜂蜜は、ミツバチが、植物の花蜜、樹液、植物に寄生する虫の分泌液等から集めた蜜を主原料として作り出したものである。本実施形態において、蜂蜜の種類には特に制限がなく、例えば、マヌカ蜂蜜、甘露蜂蜜、百花蜂蜜、アカシア蜂蜜、クローバー蜂蜜、オレンジ蜂蜜、レンゲ蜂蜜、ローズマリー蜂蜜、ヒマワリ蜂蜜、菜の花蜂蜜、コーヒー蜂蜜、ボダイジュ蜂蜜、パクチー(コリアンダー)蜂蜜、とち蜂蜜、そば蜂蜜、はぜ蜂蜜、そよご蜂蜜、くろがねもち蜂蜜、からすさんしょう蜂蜜等を用いることができる。蜂蜜は、マヌカ蜂蜜、百花蜂蜜、及び甘露蜂蜜からなる群より選択されることが好ましい。
【0012】
蜂蜜は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。蜂蜜を採取するために利用されるミツバチの種類、及び蜂蜜の産地は特に限定されない。蜂蜜の産地は特に限定されないが、マヌカ蜂蜜は例えばニュージーランド産であってよく、甘露蜂蜜は例えばブルガリア産であってよい。蜂蜜は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0013】
マヌカ(Leptospermum scoparium)は主にニュージーランドに生育するフトモモ科の木本植物である。蜂蜜の中でも、マヌカ由来の蜂蜜は、特に高い抗菌性を有することが知られている(特開2007-277210号公報)。
【0014】
甘露蜂蜜は、ヨーロッパでは「森の蜜」と呼ばれ、さまざまな木(カシやマツ、モミ、トウヒなど)からでる樹液を昆虫が一旦体に取り入れたのち、その糖分だけを再び樹木の葉や幹に水滴の形で残したものをミツバチが集め、はちみつに仕上げたものである。マヌカ蜂蜜と同様に、高い抗菌性を有することが知られている(特開2018-119007)。
【0015】
百花蜂蜜は、1種の花蜜をもとに作られる「単花蜜」ではなく、様々な樹木や野花をもとにつくられた蜂蜜である。
【0016】
蜂蜜を採取するために利用されるミツバチの種類は特に限定されない。蜂蜜は、例えば、常法に従い養蜂産品として入手することができる。
【0017】
蜂蜜は、蜂の巣箱中に保管されている間は一般に、ミツバチの体温等により35℃前後に保たれている。蜂の巣箱から採取された蜂蜜は一般に、粘度を低下させて輸送、充填等の作業を容易にすること、及び結晶を融解することを目的として、必要に応じて加熱される。
【0018】
採取後の蜂蜜は、採取されたそのままであってもよく、加温前又は後に、タンパク質、ワックス、ゴミ、蜂や巣のカス等の除去、ろ過、有機溶媒による抽出、分画などの精製処理、殺菌、濃縮等の処理が行われてもよい。
【0019】
蜂蜜の組成としては、約80%が糖質であり、そのほか、ビタミン、ミネラル、フラボノイド、有機酸、脂肪酸などの健康成分が含まれており、残りは水分である。蜂蜜の糖質の多くは、ブドウ糖及び果糖であり、他にオリゴ糖や麦芽糖も少量に含まれている。
【0020】
本実施形態において、組成物における蜂蜜の含有量(有効量)は、例えば0.1質量%以上、1質量%以上、3質量%以上、5質量%以上、7質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、35質量%以上、40質量%以上、45質量%以上、50質量%以上、55質量%以上、60質量%以上、65質量%以上、70質量%以上、75質量%以上、80質量%以上、85質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、97質量%以上、98質量%以上、99質量%以上、99.5質量%以上、又は100質量%であってよい。組成物における蜂蜜の含有量は、例えば99.5質量%以下、99質量%以下、98質量%以下、97質量%以下、95質量%以下、90質量%以下、85質量%以下、80質量%以下、75質量%以下、70質量%以下、65質量%以下、60質量%以下、55質量%以下、50質量%以下、45質量%以下、40質量%以下、35質量%以下、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下、7質量%以下、5質量%以下、3質量%以下、2質量%以下又は1質量%以下であってよい。
【0021】
組成物は、蜂蜜以外のその他の公知のNK細胞活性化能を有する成分を更に含んでいてもよい。その他のNK細胞活性化能を有する成分は、摂取することが可能な、例えばアガリクス(βグルカン)、R-1乳酸菌等が挙げられる。
【0022】
NK細胞活性化能は、ヒト全血より分離採取した末梢血単核球細胞(PBMC)を用いて、試験物質添加後の遊離Eu3+量を時間分解蛍光法によって測定することによって評価することができる。
【0023】
本実施形態に係る組成物は、食品組成物、医薬組成物(医薬品)、医薬部外品であってよい。また、蜂蜜はそのまま食品組成物(食品)として用いてもよく、食品に添加して用いてもよい。
【0024】
食品組成物(食品)としては、食品の3次機能(体調調節機能)が強調されたものであることが好ましい。食品の3次機能が強調された食品としては、例えば、健康食品、機能性食品、栄養組成物(nutritional composition)、栄養補助食品、サプリメント、保健用食品、特定保健用食品、栄養機能食品、又は機能性表示食品等が挙げられる。
【0025】
食品に添加して用いる場合、食品は食品として許容される成分を含んでいてもよい。食品として許容される成分としては、例えば、ミネラル類、ビタミン類、フラボノイド類、キノン類、ポリフェノール類、アミノ酸、核酸、必須脂肪酸、清涼剤、結合剤、甘味料、崩壊剤、滑沢剤、着色料、香料、安定化剤、防腐剤、徐放調整剤、界面活性剤、溶解剤、湿潤剤等が挙げられる。
【0026】
食品としては以下のようなものが挙げられ、これらの製造工程中の中間製品、又は最終製品に、有効量の蜂蜜を混合して、上記の目的に用いられる食品を得ることができる:コーヒー、ジュース及び茶飲料等の清涼飲料、乳飲料、乳酸菌飲料、ヨーグルト飲料、炭酸飲料、並びに、日本酒、洋酒、果実酒及びハチミツ酒等の酒などの飲料;カスタードクリーム等のスプレッド;フルーツペースト等のペースト;チョコレート、ドーナツ、パイ、シュークリーム、ガム、ゼリー、キャンデー、クッキー、ケーキ及びプリン等の洋菓子;大福、餅、饅頭、カステラ、あんみつ及び羊羹等の和菓子;アイスクリーム、アイスキャンデー及びシャーベット等の氷菓;カレー、牛丼、雑炊、味噌汁、スープ、ミートソース、パスタ、漬物、ジャム等の調理済みの食品;ドレッシング、ふりかけ、旨味調味料及びスープの素等の調味料。
【0027】
食品組成物の製法は特に限定されず、適宜公知の方法に従うことができる。例えば、食品組成物の製造工程における中間製品又は最終製品に、上記蜂蜜を混合等して、上記の目的に用いられる食品組成物を得ることができる。
【0028】
医薬品又は医薬部外品は、固体、液体、ペースト等のいずれの形状であってもよく、タブレット(素錠、糖衣錠、発泡錠、フィルムコート錠、チュアブル錠、トローチ剤等を含む)、カプセル剤、丸剤、粉末剤(散剤)、細粒剤、顆粒剤、液剤、懸濁液、乳濁液、シロップ、ペースト、注射剤(使用時に、蒸留水又はアミノ酸輸液若しくは電解質輸液等の輸液に配合して液剤として調製する場合を含む)等の剤形であってもよい。これらの各種製剤は、例えば、有効成分である上記発酵物と、必要に応じて他の成分とを混合して上記剤形に成形することによって調製することができる。
【0029】
例えば、薬学的に許容される添加剤(賦形剤、結合材、滑沢剤、崩壊剤、乳化剤、界面活性剤、基剤、溶解補助剤、懸濁化剤等)、食品として許容される成分(例えば、ミネラル類、ビタミン類、フラボノイド類、キノン類、ポリフェノール類、アミノ酸、核酸、必須脂肪酸、清涼剤、結合剤、甘味料、崩壊剤、滑沢剤、着色料、香料、安定化剤、防腐剤、徐放調整剤、界面活性剤、溶解剤、湿潤剤)を挙げることができる。
【0030】
本実施形態に係る組成物に含まれる蜂蜜の一日の摂取量は、0.01~70g/日であればよく、4~70g/日がより好ましい。本実施形態に係る組成物は一日一回摂取されてもよく、一日二回、一日三回等、複数回に分けて摂取されてもよい。また、摂取のタイミングも特に限定されず、食前、食後、食間、就寝前のいずれのタイミングであってもよい。
【実施例0031】
以下、本発明を実施例に基づいてより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0032】
(実施例1 各種蜂蜜によるNK細胞活性化能の検討)
被験者20名を募集し、採血を行った。採血後24時間以内の被験者全血よりPBMCを分離採取した。試験物質を培地に懸濁後、PBMCに添加し、培養を行った。20時間培養したPBMCをEffector細胞、蛍光物質(Eu3+)で標識したヒト癌細胞(K562)をTarget細胞とし、Effector細胞/Target細胞=40:1及び20:1で混合した。混合液を4時間培養後、上清中に遊離したEu3+量を時間分解蛍光法により測定した。結果を図1に示す。
【0033】
図1によれば、蜂蜜を終濃度0.8μg/mLにて培地に懸濁した際、E/T比20:1のとき、蜂蜜を加えていないときのNK活性と比較して、マヌカ蜂蜜では116%、百花蜂蜜では122%、甘露蜂蜜では137%であった。
図1