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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022115639
(43)【公開日】2022-08-09
(54)【発明の名称】機械式駐車装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/18 20060101AFI20220802BHJP
   G07B 15/00 20110101ALI20220802BHJP
【FI】
E04H6/18 601G
E04H6/18 601A
G07B15/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021012309
(22)【出願日】2021-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】503002732
【氏名又は名称】住友重機械搬送システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】岡 泰大
【テーマコード(参考)】
3E127
【Fターム(参考)】
3E127AA18
3E127BA05
3E127BA59
3E127CA20
3E127DA09
3E127DA16
3E127FA09
3E127FA16
3E127FA61
(57)【要約】
【課題】使用言語が異なる複数の利用者に対して利便性を向上できる機械式駐車装置を提供する。
【解決手段】機械式駐車装置は、入庫、出庫又はこれら両方が可能な第1箇所と駐車箇所との間で車両を搬送する搬送機構を有する機械式駐車装置である。そして、第1箇所における案内出力の言語が複数言語のうち選択された言語に切り替え可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入庫、出庫又はこれら両方が可能な第1箇所と駐車箇所との間で車両を搬送する搬送機構を有する機械式駐車装置であって、
前記第1箇所における案内出力に出力される言語が複数言語のうち選択された言語に切り替え可能である機械式駐車装置。
【請求項2】
入庫又は出庫を行うための情報を入力可能な操作パネルを備え、
前記操作パネルは、前記操作パネルに出力される言語を複数言語の中から選択可能に構成され、
前記操作パネルにおける言語の選択に応じた言語で前記案内出力が出力される、
請求項1記載の機械式駐車装置。
【請求項3】
入庫時に選択された言語に応じて出庫時の案内出力の言語を切り替える第1制御部を備える請求項1記載の機械式駐車装置。
【請求項4】
利用者又は車両と紐づけられた識別情報、ICカードの情報、携帯端末のアプリケーションを介して送信された識別情報、前記第1箇所に向かう車両の映像データ、あるいは、利用者の生体情報を読み取るセンサーの出力に基づいて、前記案内出力に出力される言語を切り替える第2制御部を備える請求項1記載の機械式駐車装置。
【請求項5】
前記案内出力に出力される言語が標準言語と異なる言語に切り替えられた場合に、次の入庫時又は次の出庫時に、前記案内出力に出力される言語を前記標準言語に戻す第3制御部を備える請求項1記載の機械式駐車装置。
【請求項6】
入庫又は出庫の予約画面で出力された言語に基づいて前記案内出力に出力される言語を切り替える第4制御部を備える請求項1記載の機械式駐車装置。
【請求項7】
車両の移動方向を誘導する誘導表示部を備え、
前記案内出力は、前記誘導表示部の案内表示を含む請求項1記載の機械式駐車装置。
【請求項8】
利用者ごとの選択された言語の情報が含まれる利用者情報を出力可能な情報出力部を備える請求項1記載の機械式駐車装置。
【請求項9】
前記利用者情報には、選択された言語と、選択された言語に紐づけられた入庫又は出庫の時刻に関する情報とが含まれる請求項8記載の機械式駐車装置。
【請求項10】
前記情報出力部は、前記利用者情報を入庫又は出庫に連動して出力する請求項8記載の機械式駐車装置。
【請求項11】
駐車に関する券を発行する発券機を備え、
前記発券機は、前記案内出力に出力された言語で利用者への伝達内容が表記された前記券を発行する請求項1記載の機械式駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、機械式駐車装置において入庫又は出庫の際に利用者に伝達すべき情報を日本語の表記と他の言語とで交互に表示させるシステムが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-023430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の機械式駐車装置のように使用の可能性のある複数の言語の表記を順に切り替えていたのでは、想定される利用者の言語の種類が多くなると、各言語の出力時間が短くなるという課題がある。また、複数の言語表記を同時に出力する場合には、各言語の出力スペースが制限されるという課題が生じる。
【0005】
本発明は、使用言語が異なる複数の利用者に対して利便性を向上できる機械式駐車装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る機械式駐車装置は、
入庫、出庫又はこれら両方が可能な第1箇所と駐車箇所との間で車両を搬送する搬送機構を有する機械式駐車装置であって、
前記第1箇所における案内出力に出力される言語が複数言語のうち選択された言語に切り替え可能である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、使用言語が異なる複数の利用者に対して利便性を向上できる機械式駐車装置を提供できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1の機械式駐車装置のシステム構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態1の機械式駐車装置の乗降室を示す図である。
図3】操作パネルの第1表示例を示す画像図である。
図4】操作パネルの第2表示例の第1画面(A)と第2画面(B)を示す画像図である。
図5】案内出力装置の一例を示す図であり、(A)は誘導表示部の一例、(B)は注意案内板の一例、(C)は非常口案内板の一例、(D)は非常停止ボタンの一例をそれぞれ示す。
図6】UI制御部により実行されるUI処理の手順を示すフローチャートである。
図7図6のステップS4又はS5で実行される入力処理の手順を示すフローチャートの一部である。
図8】同、フローチャートの一部である。
図9】本発明の実施形態2の機械式駐車装置及び関連施設を示すブロック図である。
図10】発券機から発行される券の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の各実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
(実施形態1)
図1は、実施形態1の機械式駐車装置のシステム構成を示すブロック図である。図2は、乗降室を示す図である。
【0011】
本発明の実施形態に係る機械式駐車装置1は、入庫時又は出庫時に利用者が車両に乗降する乗降室3と、複数の駐車箇所を有する駐車室2と、乗降室3から駐車室2の駐車箇所へ車両を搬送する搬送機構5とを備える。搬送機構5は、乗降室3の停止枠F1(図2)に正しく停止された車両を駐車室2へ搬送することができる。乗降室3は、本発明に係る第1箇所の一例に相当する。
【0012】
乗降室3の入口又は乗降室3の周辺には、入庫又は出庫を行うための情報を入力可能な操作パネル31が設けられている。さらに、乗降室3には、入庫する車両が停止されるよう設定された停止枠F1と、車両の停止位置を検出する図示略のセンサ又はカメラと、利用者(運転者)に車両の位置を把握させるためのミラー(或いはミラーと同様の表示が可能なカメラ及び表示パネル)32と、利用者に案内情報を出力する案内出力装置(33~36)とが設けられている。
【0013】
図3は、操作パネルの第1表示例を示す画像図である。図4は、操作パネルの第2表示例の第1画面(A)及び第2画面(B)を示す画像図である。
【0014】
操作パネル31は、画像出力とタッチ入力とが可能なパネルであり、画像を変更することで、表記の言語を変更することができる。また、操作パネル31には、図3に示すように、言語を選択可能な言語選択操作部311が設けられる。言語選択操作部311は、図3に示すように、複数(例えば3つ以上)の言語を指定できる複数の指定ボタンB1~B4を含む形式であってもよいし、図4(A)に示すように、言語切替画面を出力する第1ボタンB5を含み、第1ボタンB5が選択されたときに図4(B)に示すように、複数(例えば3つ以上)の言語を指定できる複数の指定ボタンB6~B13が出力される形式であってもよい。
【0015】
図5は、案内出力装置を示す図であり、(A)は誘導表示部の一例、(B)は注意案内板の一例、(C)は非常口案内板35の一例、(D)は非常停止ボタンの一例を示す。
【0016】
案内出力装置には、車両の停止位置、移動方向、及び利用者の行動を誘導する誘導表示部(誘導案内板)33と、利用者に注意情報を提供する注意表示板34と、非常口の位置を示す非常口案内板35と、電気的に非常停止釦の表示を出力する表示器36aを含んだ非常停止ボタン36と、音声出力を行う音声出力部37等が含まれる。誘導表示部33、注意表示板34、非常口案内板35、及び、非常停止ボタン36の表示器36aは、電子ペーパー、液晶表示器などの電気的に画像出力可能な表示装置から構成され、出力する画像を変更することで、表記の言語を変更することができる。音声出力部37は、音声データを変更することで、音声の言語を変更することができる。
【0017】
機械式駐車装置1は、図1に示したように、各部を制御する制御装置4を備える。制御装置4は、CPU(Central Processing Unit)、CPUがデータを展開するRAM(Random Access Memory)、CPUが実行する制御プログラムを格納した記憶装置、並びに、CPUと機械式駐車装置1の各機器との間で指令及び情報を受け渡しするインタフェースを有するコンピュータである。制御装置4においては、CPUが制御プログラムを実行することで複数の機能モジュールが実現される。複数の機能モジュールには、搬送機構5を制御する搬送制御部41と、利用者からの要求の入力と利用者への案内出力を行うUI(ユーザーインタフェース)制御部42と、予め選択可能に標準言語の情報が格納される標準言語情報格納部45と、利用者が選択した言語の情報が蓄積される言語選択情報データベース46と、が含まれる。UI制御部42は、本発明に係る第1制御部、第2制御部、第3制御部及び第4制御部の一例に相当する。
【0018】
搬送制御部41は、UI制御部42から入庫指令を受けると、乗降室3の停止枠F1に停止されている車両を駐車室2の駐車スペースへ搬送するように搬送機構5を制御する。また、搬送制御部41は、UI制御部42から出庫指令を受けると、対象の車両を駐車室2から乗降室3の停止枠F1まで搬送するように搬送機構5を制御する。
【0019】
UI制御部42は、通常入庫、通常出庫、予約入庫及び予約出庫の各パターンで、利用者からの車両の入庫又は出庫の要求を入力し、また、入庫時又は出庫時に利用者に案内を出力する制御を行う。
【0020】
<通常入庫>
通常入庫の場合、UI制御部42は、まず、操作パネル31から所定情報の入力操作を受け付ける。所定情報には、利用者又は車両を識別する識別番号が含まれる。加えて、所定情報には、入庫の要求を示す情報が含まれていてもよい。識別番号は、利用者又は車両に紐づけられて予め登録された管理番号であってもよいし、利用者又は車両に一時的に付与された番号であってもよい。所定情報の入力は、操作パネル31のボタン操作により行われてもよいし、ICカード、磁気カード又は二次元コードの読み込みにより行われてもよい。
【0021】
所定情報が入力されて入庫の要求がなされると、UI制御部42は、案内出力装置から入庫用の案内出力を開始する。案内出力には、乗降室3の車両用扉から車両を進入させる案内、利用者に車両を停止枠F1で停止させるための車両の誘導案内、搭乗者を車両から降車させ、さらに、乗降室3から退出させる案内などが含まれる。このような案内は、誘導表示部33に「前進」、「後退」、「左へ」、「右へ」、「降車」、「退出」等の表示を、車両及び利用者の位置に合わせて出力することで実現される。さらに、UI制御部42は、上記誘導表示部33の表示出力に連動させて音声出力を並行して行ってもよい。
【0022】
また、入庫のために車両が乗降室3に滞在する間、UI制御部42は、注意表示板34に「停車後のエンジン停止の確認」、「シフト位置の確認」、「サイドブレーキの確認」などの注意事項を表示を継続的に行う。さらに、UI制御部42は、非常停止ボタン36上の表示器36aに非常停止釦であることの表示と、非常口案内板35の非常口の案内表示の出力とを継続的に行う。
【0023】
そして、車両が停止枠F1に正しく停止され、利用者が乗降室3から退出したことが確認されると、UI制御部42から搬送制御部41へ入庫指令が送られて、搬送制御部41の制御により搬送機構5が動作し、乗降室3から駐車室2へ車両が搬送される。
【0024】
<通常出庫>
通常出庫の場合、UI制御部42は、まず、操作パネル31から所定情報の入力操作を受け付ける。所定情報には、利用者又は車両を識別する識別番号が含まれ、さらに、出庫の要求を示す情報が含まれていてもよい。これらが入力されると、UI制御部42は、識別番号により識別される駐車車両を指定して搬送制御部41に出庫指令を送り、搬送制御部41が当該駐車車両を乗降室3まで搬送する。搬送の間、UI制御部42は、操作パネル31に出庫中である旨の案内情報を出力してもよい。
【0025】
車両が乗降室3まで搬送されると、UI制御部42は、乗降室3の状態を利用者が進入可能でかつ乗降室3から車両を退出可能な状態とし、また、注意表示板34、非常停止ボタン36上の表示器36a、並びに、非常口案内板35に、予め定められた案内の表示出力を継続的に行う。さらに、これらと並行して、UI制御部42は、誘導表示部33等に、利用者に車両に搭乗して乗降室3から車両を外に移動可能である旨の案内出力を行ってもよいし、車両を乗降室3の外へ誘導する案内出力を行ってもよい。車両が乗降室3から外に移動したら、UI制御部42は、乗降室3の扉を閉じて、出庫の処理が完了する。
【0026】
<予約入庫、予約出庫>
入庫又は出庫を行いたいときに別の車両が入庫中又は出庫中である場合、さらには、入庫又は出庫の順番を待っている1つ又は複数の車両がある場合には、利用者は、操作パネル31に予約のための情報を入力して、入庫又は出庫の予約を行うことができる。操作パネル31の予約画面に入力する情報は、予約を示す予約識別番号、又は、通常入庫又は通常出庫のときに入力する所定情報であってもよい。予約の入力が行われる際には、操作パネル31に、続いて何番目に入庫又は出庫が行われるか順番の案内が行われてもよい。このように、入庫又は出庫の予約を行っておくことで、自分の順番が来たときには、予約識別番号を確認して、利用者の車両を入庫又は出庫することができる。
【0027】
<案内言語の切替え制御>
図6は、UI制御部42が実行するUI(ユーザインタフェース)処理の手順を示すフローチャートである。
【0028】
UI処理は、機械式駐車装置1の稼働中に常に実行される。UI処理が開始されると、UI制御部42は、操作パネル31の入力操作の開始の判別(ステップS1)と、入庫又は出庫の案内出力の開始要求の有無の判別(ステップS2)とを繰り返す。入庫又は出庫の案内出力の開始要求は、通常入庫又は通常出庫の操作パネル31の入力処理が完了した場合に生じる。あるいは、入庫又は出庫の案内出力の開始要求は、予約入庫又は予約出庫で次の順番が来た場合に生じる。
【0029】
ステップS1の判別の結果、操作パネル31の入力操作の開始があると、UI制御部42は、直ちに入庫又は出庫が可能か否かを判別し(ステップS3)、YESであれば、操作パネル31から通常入庫及び通常出庫の入力処理を実行する(ステップS4)。一方、ステップS3の判別結果がNOであれば、操作パネル31から予約入庫及び予約出庫の入力処理を実行する(ステップS5)。
【0030】
図7及び図8は入力処理の手順を示すフローチャートである。ステップS4又はステップS5の入力処理が開始されると、UI制御部42は、まず、標準言語情報格納部45に格納された言語情報を読み出し、当該言語情報に応じた言語を用いて操作パネル31の操作画面の表示出力を行う(ステップS31)。そして、UI制御部42は、操作の判別と、判別された操作に対応する処理とを、繰り返し行うループ処理(ステップS32~S44)を実行する。
【0031】
ループ処理では、UI制御部42は、キー操作が有るか判別し(ステップS32)、キー操作があれば操作に応じた入力処理(ステップS33)を実行する。さらに、UI制御部42は、言語選択操作部311が操作されたか判別し(ステップS34)、操作があれば他の情報(例えば利用者又は車両を識別する識別番号、予約を識別する予約識別番号等)の入力中でも、操作画面の表記を選択された言語に切り替える処理を行う(ステップS35)。言語選択操作部311は、入力処理中、常に、操作可能な状態とされる。
【0032】
また、UI制御部42は、ループ処理において、利用者又は車両を識別する識別番号の入力が完了されたか判別し(ステップS36)、完了したら、言語選択情報データベース46から、当該識別番号に紐づけられた選択言語の情報があるか検索し(ステップS37)、選択言語の情報が有る場合には、現在の入力処理中に言語選択操作部311を介した言語の切替え操作が有ったか判別する(ステップS38)。そして、その結果がNOであれば、識別番号に紐づけられた選択言語に、操作画面の表記を切り替える処理を行う(ステップS39)。入庫の際に、利用者が言語選択操作を行った場合には、後述するステップS46にて利用者の識別番号に選択言語が紐づけられる。したがって、ステップS36~S39の処理により、出庫の際には、利用者が識別番号を入力することで、入庫の際に選択された言語に操作画面の表記を切り替えることができる。
【0033】
同様に、UI制御部42は、ループ処理において、予約を識別する予約識別番号の入力が完了されたか判別し(ステップS40)、完了したら、言語選択情報データベース46から予約識別番号に紐づけられた選択言語の情報があるか検索し(ステップS41)、選択言語の情報が有る場合には、現在の入力処理中に言語選択操作部311を介した言語の切替え操作が有ったか判別する(ステップS42)。そして、その結果がNOであれば、予約識別番号に紐づけられた選択言語に、操作画面の表記を切り替える処理を行う(ステップS43)。
【0034】
同様に、UI制御部42は、ループ処理において、入力完了の操作が行われたか判別し(ステップS44)、YESであれば、現在の入力処理中に言語選択操作部311を介した言語の切替え操作が有ったか判別し(ステップS45)、YESであれば、利用者又は車両を識別する識別番号又は予約識別番号に紐づけて選択言語の情報を、言語選択情報データベース46に格納する(ステップS46)。ステップS46において、予約識別番号と利用者又は車両を識別する識別番号とが紐づけられている場合には、UI制御部42は、識別情報と選択言語の情報とを紐づけて言語選択情報データベース46に格納する。
【0035】
操作パネル31からの入力処理が終了すると、図6のUI処理のステップS1に処理が戻される。そして、UI処理において、通常入庫又は通常出庫の入力処理が完了されるか、予約された次の入庫又は次の出庫のタイミングが来ると、UI制御部42は、ステップS2の判別処理で案内出力の開始要求有りと判別する。
【0036】
すると、UI制御部42は、入庫又は出庫を行う利用者又は車両、或いは、入庫又は出庫の対象である予約識別番号に紐づけられた選択言語の情報を、言語選択情報データベース46から検索する(ステップS6)。そして、検索の結果、UI制御部42は、選択言語の情報が有ったか否かを判別し(ステップS7)、有れば、言語選択情報データベース46の検索で得られた選択言語を使用言語に決定する(ステップS8)。一方、無ければ、標準言語情報格納部45に格納されている標準言語を使用言語に設定する(ステップS9)。そして、UI制御部42は、入庫か出庫かを判別し(ステップS9)、ステップS8又はS9で決定された使用言語で、入庫又は出庫の判別結果に応じて、入庫の案内出力(ステップS11)又は出庫の案内出力(ステップS12)を実行する。
【0037】
ステップS11の案内出力、あるいは、ステップS12の案内出力において、前述した誘導表示部33の「前進」、「後退」、「左へ」、「右へ」、「降車」、「退出」の表示、音声出力部37からの音声出力、注意表示板34の表示、非常停止ボタン36上の表示器36aの表示、並びに、非常口案内板35の表示が、ステップS8又はS9で決定された言語を用いて行われる。
【0038】
以上のように、実施形態1の機械式駐車装置1によれば、UI処理(図6)のステップS6~S12の処理により、乗降室3の案内出力の言語が複数言語のうち、利用者により選択された言語に切り替えることができる。したがって、使用言語が異なる多数の利用者が利用する場合に、利用者は、操作パネル31で選択した言語で、入庫時又は出庫時の案内出力を受けることができる。よって、使用言語が異なる多数の利用者の利便性を向上できる。
【0039】
さらに、実施形態1の機械式駐車装置1によれば、入力処理(図7図8)のステップS34、S35の処理により、操作パネル31は、操作パネル31に出力される言語を、利用者によって複数言語の中から選択可能に構成される。したがって、利用者は、操作パネル31の操作中の複数のタイミング或いは操作中なら常時、言語の切り替えを行う機会が得られる。したがって、利用者は適宜なタイミングで言語を切り替えることができ、利用者の利便性がより向上する。
【0040】
さらに、実施形態1の機械式駐車装置1によれば、入力処理(図7図8)のステップS44~S46と、UI処理(図6)のステップS6、S8、S12の処理により、入庫時に言語を選択した場合に、選択した言語に応じて出庫時の案内出力の言語が切り替わる。したがって、利用者は、出庫の際には、言語選択を行わなくても、入庫時に選択した言語で案内出力を受けることができる。よって、利用者による出庫の際の言語選択の手間を省いて、利用者の利便性をより向上できる。
【0041】
さらに、実施形態1の機械式駐車装置1によれば、入力処理(図7図8)のステップS44~S46と、UI処理(図6)のステップS6~S12の処理により、利用者は、入庫予約又は出庫予約の際に言語を選択すれば、入庫時又は出庫時に言語選択を行わなくても、予約の際に選択した言語で案内出力を受けることができる。したがって、利用者による入庫又は出庫の際の言語選択の手間を省いて、利用者の利便性をより向上できる。
【0042】
さらに、実施形態1の機械式駐車装置1によれば、UI処理(図6)のステップS7、S9の処理により、前回の利用者に合わせて案内出力で出力される言語が切り替えられた場合でも、次の利用者の言語選択がなければ、案内出力で出力される言語が、次の入庫時又は次の出庫時の案内出力の言語は標準言語に戻される。したがって、大きな割合で利用者の使用言語が決まっているような場合には、当該言語を標準言語として設定しておくことで、大きな割合で利用者の言語選択の手間を省くことができる。よって、利用者の利便性をより向上できる。
【0043】
さらに、実施形態1の機械式駐車装置1によれば、使用言語を切り替え可能な案内出力には、車両の移動方向を誘導する誘導表示部33の表示が含まれる。したがって、使用言語が異なる利用者に対して、表示言語を切り替えることで、車両の移動方向を分かりやすく誘導することができ、各利用者はスムースな入庫または出庫を行うことができる。
【0044】
(実施形態2)
図9は、実施形態2の機械式駐車装置1A及びその周辺設備を示すブロック図である。
【0045】
実施形態2の機械式駐車装置1Aは、実施形態1の構成に加えて、乗降室3の手前に配置された利用者識別装置6を備える。さらに、制御装置4において実現される機能モジュールには、利用者識別装置6が識別した利用者識別情報と駐車場の利用者を識別するための識別番号(管理番号)とを対応づけるデータテーブルが格納された利用者識別情報データベース47と、集計処理部43と、第1出力処理部44Aと、第2出力処理部44Bと、第3出力処理部44Cとが含まれる。第1出力処理部44A、第2出力処理部44B及び第3出力処理部44Cは、本発明に係る情報出力部の一例に相当する。
【0046】
さらに、実施形態2の機械式駐車装置1Aの周辺設備には、駐車に関する券を発行する発券機7と、乗降室3につながる移動経路に配置された電子広告板8とが含まれる。
【0047】
利用者識別装置6は、乗降室3へ向かう車両又は利用者から、利用者識別情報を取得する装置である。利用者識別装置6は、無線によりICカードの識別情報を読み取るETC(Electronic Toll Collection System)などの無線システム、非接触ICチップを有するICカード又は携帯端末から識別情報を読み取る読取装置、携帯端末の所定のアプリケーションと近接無線通信を行って識別情報を受信する通信装置、乗降室3に向かう車両の映像を画像解析して予め登録された識別情報を特定する画像解析装置、利用者の生態情報を読み取るセンサーの出力を受けて予め登録された利用者の識別情報を特定する解析装置のうち、1つ又は複数を含む。
【0048】
UI制御部42は、実施形態1と同様の処理に加えて、次のような処理を行う。すなわち、UI制御部42は、乗降室3へ向かう車両又は利用者から利用者識別装置6が利用者識別情報を取得した場合に、利用者識別情報データベース47と、言語選択情報データベース46とから、利用者識別情報と駐車用の識別番号とを対応づけて、利用者が過去に駐車場で選択した言語が有るか、或いは、利用者に対応して登録された選択言語が有るかを検索し、選択言語がある場合には、当該言語を用いて操作パネル31の表示及び案内出力を行う。さらに、UI制御部42は、集計処理部43と第3出力処理部44Cへ使用言語を示す情報を提供する。
【0049】
集計処理部43は、駐車ごとに、案内出力で使用された言語、入庫時刻及び出庫時刻が集計された第1利用者情報を作成する。さらに、集計処理部43は、利用者ごとに、案内出力で使用された言語の情報が集計された第2利用者情報を作成する。
【0050】
第1出力処理部44Aは、集計処理部43が駐車ごとに集計した第1利用者情報を、オペレータの要求に基づき出力する。当該情報は、例えば、どこの国の顧客がどの時間帯にどれだけ訪問したかというような、ショッピングモール等にとって有用な顧客情報であり、第1出力処理部44Aにより、このような有用な情報を機械式駐車装置1Aの管理者等に提供することができる。
【0051】
第2出力処理部44Bは、集計処理部43が利用者ごとに集計した第2利用者情報を、外部の発券機7に出力する。発券機7は、例えば、商業施設の会計装置に連動して発券(割引券、レシート、サービス券など)を行う装置、あるいは、駐車料金を支払って支払い済みの駐車券やレシートを発行する精算機などである。発券機7は、発券を行う前に、利用者の識別情報を、ICカード、二次元コード、携帯端末又は生体情報から取得した場合に、第2利用者情報と照合することで、利用者の使用言語を特定することができる。そして、使用言語が特定された場合には、発券機7は、券の印字言語を、使用言語に切り替える。したがって、機械式駐車装置1Aの利用者は、駐車のために言語を選択した後、駐車場の周辺で発券を受ける場合に、選択した言語で伝達内容が表記された発券を受けることができる。図10は発券機7から発行される券71の一例を示す。図10の「****」の部分の表記に、選択された言語が使用されることになる。
【0052】
第3出力処理部44Cは、入庫又は出庫した利用者の使用言語を示す第3利用者情報を、入庫と連動して、又は出庫と連動して出力する。第3利用者情報は、入庫後の利用者が通過する経路、あるいは、出庫した車両が通過する経路に設置される電子広告板8に送られる。電子広告板8は、入庫又は出庫と連動して送られた利用者の使用言語の情報に基づき、利用者又は車両が通過すると推定されるタイミングに合わせて、広告の表記言語を、第3利用者情報に基づく言語に切り替える。このような処理により、機械式駐車装置1Aの利用者に、駐車場の周囲で、駐車時に選択した言語で表記された広告を提供することができる。なお、第3出力処理部44Cから使用言語の情報が送られて言語を切り替える装置は、電子広告板8に限られず、通行案内の表示出力または音声出力を行う装置など、言語を使用する装置であれば、どのような装置であっても、同様の効果を得ることができる。
【0053】
以上のように、実施形態2の機械式駐車装置1Aによれば、実施形態1と同様の効果に加え、次のような効果が奏される。すなわち、実施形態2の機械式駐車装置1Aによれば、利用者識別装置6により、利用者が所有するICカード、利用者が所有する携帯端末のアプリケーション、車両の映像、あるいは、利用者の生体情報に基づいて、入庫時又は出庫時の操作パネル31の表記言語、並びに、案内出力に出力される言語が、利用者に対応して登録された言語、又は、利用者が過去に選択した言語に切り替えられる。したがって、利用者による言語選択の手間を省いて、適した言語で利用者に案内を行うことができ、利用者の利便性がより向上する。
【0054】
さらに、実施形態2の機械式駐車装置1Aによれば、第1出力処理部44A、第2出力処理部44B及び第3出力処理部44Cにより、駐車ごとに、並びに、利用者ごとに、案内出力に出力された言語が集計された第1利用者情報及び第2利用者情報、並びに、案内出力に出力された言語が示された第3利用者情報が出力される。したがって、機械式駐車装置1Aの外で第1利用者情報~第3利用者情報を受けて、利用者の使用言語に合わせた様々なサービスを提供することができる。
【0055】
具体的には、第1利用者情報には、案内出力に出力された言語の情報と、入庫又は出庫の時刻に関する情報とが含まれる。したがって、第1利用者情報により、例えば、機械式駐車装置1Aの周辺施設において、どこの国の利用者がどの時間帯にどれだけ訪問したかという、周辺施設におけるサービス提供上の有用な情報を提供できる。
【0056】
また、第3利用者情報は、案内出力に出力された言語の情報が、入庫又は出庫と連動して出力される。したがって、第3利用者情報により、入庫後の利用者又は出庫後の利用者にリアルタイムでサービス(広告、誘導表示など)を提供する際に、サービスの言語を適正に選択することができる。
【0057】
さらに、実施形態2の機械式駐車装置1Aによれば、第2利用者情報が発券機7に送られ、発券機7は第2利用者情報を利用して券の表記を利用者に応じた言語に切り替えることができる。したがって、発券を受ける利用者の利便性が向上する。
【0058】
以上、本発明の各実施形態について説明した。しかし、本発明は上記の実施形態に限られない。例えば、上記実施形態では、第1箇所として入庫箇所と出庫箇所とが兼用された乗降室を有する構成を示したが、本発明に係る機械式駐車装置においては入庫箇所と出庫箇所とが別々に存在していてもよい。さらに、入庫又は出庫の際に利用者に送られる案内出力の種類及び内容、入庫又は出庫の際に利用者が操作パネル等を用いて入力する情報の種類及び内容など、実施の形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0059】
1、1A 機械式駐車装置
2 駐車室
3 乗降室(第1箇所)
F1 停止枠
31 操作パネル
311 言語選択操作部
33 誘導表示部
34 注意表示板
35 非常口案内板
36 非常停止ボタン
36a 表示器
37 音声出力部
4 制御装置
41 搬送制御部
42 UI制御部
43 集計処理部
44A 第1出力処理部
44B 第2出力処理部
44C 第3出力処理部
45 標準言語情報格納部
46 言語選択情報データベース
47 利用者識別情報データベース
5 搬送機構
6 利用者識別装置
7 発券機
8 電子広告板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10